(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
A63F5/04 683
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2019146631
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】川邊 保
(72)【発明者】
【氏名】小島 紹広
【審査官】木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205285(JP,A)
【文献】特開2013-202188(JP,A)
【文献】特開2017-000368(JP,A)
【文献】特開2018-057586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者側に有利な特別状態として、ゲームの実行に応じて発生条件が成立した場合に発生する第1特別状態、及び該第1特別状態の発生を前提とした突入条件が成立した場合に発生する第2特別状態が設けられ、特別状態が発生した場合に前記第1特別状態及び前記第2特別状態に共通する特別信号を外部に出力すると共に、ゲームを実行したことを特定可能なゲーム信号を外部に出力する遊技機に対応する遊技場用システムであって、
前記ゲーム信号及び特別信号に基づき前記特別状態が発生した場合に成立可能な初期化条件の成立後に実行されたゲーム数を示す成立後ゲーム数を特定するゲーム数特定手段と、
前記特別信号に基づき前記第1特別状態または前記第2特別状態の発生を特定する発生特定手段と、
該発生特定手段により前記第1特別状態または前記第2特別状態の発生が特定された場合に、前記ゲーム数特定手段によって特定された成立後ゲーム数と当該成立後ゲーム数の基準値との比較結果に応じて前記第1特別状態と前記第2特別状態とのうち、いずれの特別状態が発生したかを特定する種別特定手段と、
前記第1特別状態及び前記第2特別状態の発生状況に関する遊技情報である特別情報を取得する遊技情報取得手段と、
該遊技情報取得手段が取得した特別情報を表示する遊技情報表示手段と、を備え
、
前記遊技機は、前記突入条件が成立した場合だけでなく、前記第1特別状態の発生を前提としない特別突入条件が成立した場合にも前記第2特別状態を発生可能であり、当該いずれの突入条件が成立したかに関わらず、前記第2特別状態が開始されたことを特定可能な開始信号を外部に出力するように構成され、
前記種別特定手段は、前記第1特別状態であるか、前記特別突入条件の成立に応じて発生した第2特別状態であるかを、前記開始信号を利用して特定する遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技情報取得手段は、前記第1特別状態の発生回数と前記第2特別状態の発生回数とを対象とした第1比率情報、及び遊技機で実行された総ゲーム数から前記第1特別状態中及び第2特別状態中におけるゲーム数を除外したゲーム数と、前記第1特別状態の発生回数と、を対象とした第2比率情報のうちの少なくとも一方を前記特別情報として取得し、
前記遊技情報表示手段は、前記第1及び第2の比率のうちの少なくともいずれか一方の比率を表示する請求項
1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技情報表示手段は、前記成立後ゲーム数を複数の範囲に区分すると共に、区分単位で前記特別情報を表示する請求項1
または2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記遊技情報取得手段は、前記第1特別状態の終了後の成立後ゲーム数と当該成立後ゲーム数の基準値との比較結果に基づき前記第2特別状態の前提とならなかったハズレの第1特別状態を特定し、当該ハズレの第1特別状態が連続した回数を前記特別情報として取得する請求項1~
3のいずれか1項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される遊技機の中には、例えば下記の特許文献1のようにチャンスゾーン(CZ)の発生中に所定の移行条件が成立した場合に、特別状態が発生するという遊技仕様の遊技機がある。このような遊技機の遊技者の多くは、CZが発生した場合に移行条件が成立する度合いを示す情報を参考にして遊技機の状況を判断している。そこで、特許文献1には、特別状態の移行率等を遊技者に提示することが提案されている。この文献では、CZを発生させる特別状態を区別可能な信号が出力される遊技機を対象として移行率等を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊技機の中には、CZを発生させる特別状態と、CZを発生させない特別状態やCZからの移行後に発生した特別状態等と、で共通の信号を出力する遊技機もあり、このような遊技機の場合、CZ中に応じた移行率等を正確に特定できないおそれがある。
【0005】
本願は上記事情に鑑み、複数種類の特別状態について共通の信号が出力される遊技機であっても、遊技の状況を示す遊技情報を精度高く特定できる遊技場用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遊技機では、遊技者側に有利な特別状態として、ゲームの実行に応じて発生条件が成立した場合に発生する第1特別状態、及び第1特別状態の発生を前提とした突入条件が成立した場合に発生する第2特別状態が設けられている。この遊技機は、特別状態が発生した場合に第1特別状態及び第2特別状態に共通する特別信号を外部に出力すると共に、ゲームを実行したことを特定可能なゲーム信号を外部に出力する。
【0007】
本発明の遊技場用システムは、特別状態が発生した場合に成立可能な初期化条件の成立後に実行されたゲーム数を示す成立後ゲーム数を特定する。そして、遊技場用システムは、第1特別状態または第2特別状態が発生した場合に、成立後ゲーム数を基準値と比較した結果に応じて第1特別状態及び第2特別状態のうちのいずれが発生したかを特定する。本発明の遊技場用システムによれば、第1特別状態及び第2特別状態の発生状況に関する特別情報を表示可能である。
【0008】
以上のように、本発明の遊技場用システムは、第1特別状態と第2特別状態とで共通の信号が出力される遊技機について、第1特別状態及び第2特別状態の発生状況に関する特別情報を表示可能な優れた特性のシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】スロットマシンが備えるリールの外周に配置された図柄の配列を展開して示す展開図。
【
図5】スロットマシンの役、入賞図柄、特典を示す説明図。
【
図6】遊技状態毎の各役の当選乱数の個数を示す説明図。
【
図9】情報表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【
図11】遊技進行に伴うスロットマシンの出力信号の説明図。
【
図12】情報表示装置が生成するAT履歴情報の説明図(振分ATから初回ATへの移行を含む場合)。
【
図13】情報表示装置が生成するAT履歴情報の説明図(AT当選による初回AT発生を含む場合)。
【
図14】情報表示装置によるAT発生履歴の表示画面の正面図(振分ATから初回ATへの移行を含む場合)。
【
図15】情報表示装置によるAT発生履歴の表示画面の正面図(AT当選による初回AT発生を含む場合)。
【
図16】AT間ゲーム数の区分毎の初回ATへの突入率を示す表示画面の正面図。
【
図18】振分AT中のCZ演出による対決結果を示す表示画面の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、スロットマシン(遊技機)5の遊技情報を表示する情報表示装置1を含む遊技場用システム1Sに関する例である。この内容について、
図1~
図18を用いて説明する。
【0011】
情報表示装置1は、
図1のごとく、スロットマシン5に対して個別に設置され、スロットマシン5の各種の遊技情報を表示する装置である。情報表示装置1は、スロットマシン5、貸出装置43と共に中継器42に接続されている。遊技場では、多数のスロットマシン5等を管理する管理装置41を中心として遊技場用システム1Sが構築されている。この遊技場用システム1Sでは、スロットマシン5、情報表示装置1と貸出装置43との組み合わせが2組ずつ接続された中継器42、及び管理装置41が通信ネットワーク40に接続されている。なお、
図1では省略しているが管理装置41には数百台のスロットマシン5等の遊技機が接続されている。
【0012】
管理装置41は、CPU、ROM、RAM、I/O等を含む制御部やHDD(ハードディスクドライブ)等よりなる記憶部等を含む本体413、モニタ411及びプリンタ等からなる出力部、キーボード412及びマウス等を含む操作部を備えている。管理装置41は、遊技機IDが割り当てられた各スロットマシン5の遊技情報を個別に集計等して特定する機能を備えている。
【0013】
貸出装置43は、遊技価値として遊技に使用されるメダルを遊技者に貸し出す装置である。遊技場では、貸出装置43から借り受けたメダルを利用してスロットマシン5の遊技を楽しむことができる。次に、(1)スロットマシン、及び(2)情報表示装置について説明した後、(3)遊技場用システムの全体動作を説明する。
【0014】
(1)スロットマシン
管理対象となるスロットマシン5は、
図2に示すごとく、図柄の変動表示を遊技者に視認させるための図柄表示窓51、クレジットメダルを賭けるベットボタン54、メダルを投入するメダル投入口530、ゲームを開始させるためのスタートレバー521、回転中のリールを停止させるための3個のストップボタン522、入賞に応じた払出メダルの枚数を表示する払出数表示部551、クレジットメダルの枚数を表示するクレジット表示部552、払出されたメダルの受皿55、入賞を補助するAT報知や演出表示等を行う液晶表示部56等を備えている。
【0015】
図柄表示窓51は、図柄表示領域510L、C、Rを含む表示窓である。各図柄表示領域510L、C、Rは、いずれも縦に3図柄分の表示領域である。図柄表示窓51全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図柄分の図柄表示領域が形成されている。図柄表示窓51は、遊技者側から図柄520が見えるように、窓全体が透明な樹脂プレートにより形成されている。
【0016】
2次元マトリクス状に9個の図柄520が配置される図柄表示領域においては、
図3のごとく、入賞の対象となる入賞図柄の並び方向である入賞ライン511~514が設定されている。本例の入賞ラインは、上段中段の2本の水平方向の入賞ライン514、511、及び対角方向の入賞ライン512、513よりなる4ラインにより構成されている。4本のうちの3本の入賞ライン511~513は、いずれも、中列中段の真ん中の図柄表示位置(
図3ではベル図柄を例示。)を通過するように設けられている。
【0017】
各図柄表示領域510L、C、Rの裏側には、それぞれリール52L、C、Rが設けられている。リール52は、
図4に示すごとく、その外周面に略一定の間隔を空けて21個の図柄520が配置された回転式のリールである。リール52が回転すると、対応する図柄表示領域510において、21個の図柄520が序列を維持しながら変動表示される。
【0018】
スロットマシン5の遊技状態としては、特別状態であるAT状態のほか、AT状態が非発生の通常状態がある。さらに、AT状態には、約10Gに亘る振分AT(第1特別状態の一例)と、10G分の初回ATから始まる特別AT(第2特別状態の一例)と、がある。スロットマシン5の遊技では、振分ATに続いて、振分ATよりも有利な特別ATが開始されたときに連荘となる。
【0019】
振分ATは、AT状態が終了した後の通常状態下で実行されたゲーム数であるAT間ゲーム数(成立後ゲーム数の一例)が規定ゲーム数(規定G数、所謂天井ゲーム数)に到達するという発生条件が成立した場合に発生する第1特別状態の一例をなすAT状態である。振分ATは、特別ATが所謂連荘で発生する可能性があるチャンスゾーン(CZ)となっている。
【0020】
特別ATは、振分ATで実行される状態移行抽選での当選(状態移行当選)という突入条件(振分ATの発生を前提とした突入条件の一例)が成立した場合に連荘で発生するほか、通常状態の各ゲームで実行されるAT抽選での当選(AT当選)という特別突入条件が成立した場合に発生するAT状態である。そして、初回ATは、特別ATの最初の10Gに亘るAT状態である。
【0021】
スロットマシン5では、
図5に示す通り、6種類の5枚役、7枚役、2枚役、1枚役A・Bなどの小役、及びリプレイ役が設定されている。同図では、左列に入賞役の名称を、中列に入賞図柄を、右列に入賞に応じた特典を示してある。特にAT報知の対象役(以下AT役という。)である5枚役Aの入賞図柄は、左右リール52L・Rの停止図柄の定めがなく、中リール52Cのベル図柄のみが規定された図柄である。
【0022】
スロットマシン5では、後述する内部抽選により各役の当否が決定される。何れかの役が当選すると、対応する内部当選フラグがON状態にセットされる。各役の内部当選フラグは、その内部当選フラグが初めて成立したゲームで入賞したか否かに関わらず次のゲームを開始するまでにOFF状態(ゼロ)にリセットされる。したがって、各役が内部当選したゲームで入賞しなかった場合、全て取りこぼしとなる。
【0023】
本例のスロットマシン5では、AT役である5枚役Aの内部当選パターンとして5通りのパターン(
図6参照。)が用意されている。5通りのパターンは、全て、5枚役Aが5枚役B~Fのうちの何れか1つと同時に内部当選するパターンである。5枚役Aが5枚役B~Fのうちの何れか1つと同時当選した場合、その組み合わせとストップボタン522の押し順に応じて5枚役Aのベル図柄が中リール52Cの上段及び中段のいずれかで停止するように制御される。上段に停止した場合(有効ライン1本で入賞)には5枚、中段に停止した場合、3本の有効ライン上で入賞するマルチ入賞となり、15枚のメダルが払い出される。
【0024】
5枚役Aと他の5枚役とが同時当選した際、5枚役Aのベル図柄を中リール52Cの中段に停止させるためのストップボタン522の押し順は、同時当選した他の5枚役の種類に応じて異なり、以下のようになっている。AT状態では、AT役である5枚役Aのベル図柄を中リール52Cの中段に停止させるためのストップボタン522の押し順が報知される(AT報知)。
・5枚役A・Bの同時当選:中→左→右、あるいは中→右→左。
・5枚役A・Cの同時当選:左→中→右。
・5枚役A・Dの同時当選:左→右→中。
・5枚役A・Eの同時当選:右→中→左。
・5枚役A・Fの同時当選:右→左→中。
【0025】
スロットマシン5は、CPU(Central Processor Unit)やROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの電子部品が実装された制御基板50を備えている(
図1及び
図2参照。)。制御基板50は、例えばROMに格納されたソフトウェアプログラムをCPUで処理することで例えば以下の(a)~(f)の各機能を実現する。また、液晶表示部56により下記(g)(h)としての機能が実現される。
【0026】
(a)内部抽選手段:内部当選役を決定するための内部抽選を実行する手段。内部抽選手段は、当選乱数が規定された図示しない内部抽選テーブルに対して抽選用乱数(0~65535)を照合することで、内部当選役を決定する。なお、内部抽選テーブルにおける当選乱数の数は、モードに応じて異なっている。
図6にモード1の場合の各役の当選乱数の数を例示するが、モード6などの高設定ほど当選乱数の数が多くなっており遊技者側に有利である。なお、同図のごとく、AT役である5枚役Aが単独で内部当選する当選乱数はゼロ個であり、5枚役Aは必ず他の5枚役と同時に内部当選する。
(b)ゲーム数カウント手段:ゲーム数をカウントする手段。カウント対象のゲーム数としては、AT状態の終了後に実行されたゲーム数であるAT間ゲーム数、AT状態の残りのゲーム数等がある。
(c)AT状態発生手段:AT報知が実行される有利なAT状態を発生させる手段。上記の通り、AT状態としては、振分AT、初回ATから始まる特別AT等がある。
(d)移行抽選手段:遊技状態を移行するか否かを決定するための移行抽選を実行する手段。移行抽選としては、通常状態からAT状態(初回AT)への移行抽選であるAT抽選、振分ATから初回ATへの移行抽選である状態移行抽選等がある。
(e)ATゲーム数抽選手段:AT状態で実行するゲーム数であるATゲーム数を抽選により決定する手段。ATゲーム数抽選手段が実行する抽選としては、特別ATで実行されるATゲーム数を決定する振分抽選、特別ATのATゲーム数に上乗せするゲーム数を決定する上乗せ抽選等がある。
(f)天井抽選手段:通常状態が継続する最大ゲーム数(所謂天井ゲーム数)である規定G数を決定するための天井抽選を実行する手段。規定G数は、AT間ゲーム数の上限であり、AT間ゲーム数が規定G数に到達すると振分ATが発生する。なお、規定G数の最大ゲーム数は800ゲームとなっている。したがって、通常状態が継続するゲーム数であるAT間ゲーム数が800ゲームを超えることはない。
(g)演出手段:振分AT中のCZ演出を含む各種の演出を実行する手段。CZ演出では、怪獣との対決シーンの動画が液晶表示部56に表示される。
(h)AT報知手段:5枚役Aをマルチ入賞させるためのストップボタン522の押順を報知するAT報知を実行する手段。
【0027】
なお、スロットマシン5では、1~6の6段階のモード設定が可能である。スロットマシン5では、内部当選役を決定するための内部抽選や、AT状態に関する抽選などの各種抽選における遊技者側の有利度合いがモード毎に異なっている。例えば
図7に例示するように天井抽選により決定される規定G数がモード毎に相違している。通常状態が継続可能な最大ゲーム数(所謂天井)を定める規定G数の平均は、例えば、モード6が約150ゲーム、モード3が約555ゲーム、モード1が約777ゲームとなっている。モード5や6などの高設定ほど、通常状態の継続ゲーム数であるAT間ゲーム数が少なくなるので、遊技者側に有利である。
【0028】
次に、以上のように構成されたスロットマシン5の(1.1)基本動作、(1.2)出力信号について説明する。
(1.1)基本動作
スロットマシン5では、メダル投入口530にメダルが投入されるか、あるいはベットボタン54の操作により、規定数のメダルがゲームに賭けられたとき、ゲームを開始できる状態になる。この状態でスタートレバー521が操作されると、内部抽選が実行されると共に各リール52が始動される。この内部抽選では、上記のごとく、0~65535の範囲から抽出された乱数が各役の当選乱数が規定された内部抽選テーブルと照合されて内部当選役が決定される。
【0029】
スロットマシン5の遊技では、ストップボタン522が操作されたとき、対応するリール52が停止する。このとき何れかの役の内部当選フラグが成立しており、かつ、ストップボタン522の操作タイミングを基準とした所定の引込範囲内にその役に対応する図柄520が存在していれば、いわゆる引込制御(すべり制御)を含む停止制御により、その図柄520が停止表示される。全てのリール52の停止に応じてゲームが終了し、図柄表示窓51に設定された入賞ライン511~514に沿って、何れかの役の入賞図柄が揃っていれば、その役の入賞となる。
【0030】
AT状態中では、5枚役Aが他の5枚役と同時当選したゲームでAT報知が実行される。AT報知は、液晶表示部56による表示演出によって実行される。AT報知は、中リール52Cのベル図柄を中段で停止させることで3本の入賞ライン511~513上で5枚役Aをマルチ入賞させ、これにより15枚の払出を得るためのストップボタン522の押し順の報知である。遊技者が、報知された押し順通りにストップボタン522を操作すれば、中リール52Cのベル図柄が中段に停止して5枚役Aが入賞し、15枚のメダルを獲得できる。一方、報知通りの操作がされないと、5枚役Aのマルチ入賞が不可能となり、15枚のメダルを獲得できなくなる。
【0031】
上記の通り本例のスロットマシン5では、遊技者に有利な特別状態の一例であるAT状態として、振分AT、及び初回ATから始まる特別ATが設定されている。各AT状態は、AT報知の仕様が共通する一方、発生契機や継続ゲーム数やAT状態中に実行される抽選などの仕様が相違している。なお、スロットマシン5による遊技進行については、(3)遊技場用システム1Sの全体動作において後述する。
【0032】
(1.2)出力信号
スロットマシン5が外部出力する信号には以下の遊技信号がある。スロットマシン5は、中継器42に遊技信号を入力する。情報表示装置1等の外部装置は、中継器42経由でスロットマシン5が出力する遊技信号を取得できる。
(a)アウト信号(ゲーム信号の一例):開始操作に応じてベット状態のメダル(本例では3枚)を消費したとして出力される信号。アウト信号は、ベットされたメダル1枚につき1回、パルス出力されるため、アウト信号数×1がアウト(消費価値、使用媒体数)となる。なお、リプレイゲームについても対応分のアウト信号が出力される。
(b)セーフ信号:メダルが1枚付与(払出)される毎に1パルス出力される信号。セーフ信号数×1がセーフ(入賞付与価値、払出媒体数)となる。なお、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分のセーフ信号が出力される。
(c)第1AT信号(特別信号の一例):振分AT及び特別AT(初回AT中を除く)の継続中に出力される共通の状態信号。なお、特別AT中では、セーフからアウトを差し引いた差枚数が所定数(例えば100枚)に達する度に第1AT信号の出力が一旦途切れる。なお、継続出力される第1AT信号に代えて、AT状態の開始時や差枚数が所定数に到達する度に1パルス出力されるような状態信号であっても良い。
(d)第2AT信号(開始信号の一例):特別ATの開始に応じて発生する初回ATの継続中に出力される状態信号。第2AT信号は、特別ATの開始を特定可能な開始信号の一例である。なお、第2AT信号の出力態様としては、継続出力する態様に代えて、初回AT(特別AT)の開始時に1パルス分、或いは1ゲーム分出力されるような態様であっても良い。ここで、初回ATの開始時とは、初回ATの1ゲーム目であっても良く、2ゲーム目であっても良く、初回ATの開始を契機とした時点であればよい。
【0033】
(2)情報表示装置
情報表示装置1は、
図8のごとく、大型の液晶ディスプレイよりなるデータ表示部13を備える装置である。データ表示部13がなす表示エリア130の左側には、表示データを切り替える各種のデータ切替ボタン141、呼出ボタン145が配置されている。情報表示装置1の上側の外周には、表示エリア130の上部を取り囲むようにランプ部12が配設されている。
【0034】
データ表示部13は、遊技に関する遊技情報の表示部であり、遊技情報表示手段としての機能を備えている。データ表示部13の表示エリア130には、例えば、
図8の通常画面が表示される。この通常画面では、当日の累計ゲーム数(累計G数)、通常状態の継続ゲーム数であるAT間ゲーム数、AT状態が連続して発生した所謂連荘の回数を表す連荘回数、AT状態の発生回数を表すAT回数、累計の差枚数である累計枚数等が表示される。
【0035】
データ切替ボタン141の操作に応じて、AT状態の履歴情報(後述)や過去の遊技情報等を通常画面から切り替えて表示エリア130(データ表示部13)に表示可能である。特に、遊技情報表示手段としての機能を備えるデータ表示部13は、振分AT及び特別ATに関する遊技情報であるAT情報(特別情報の一例)を表示可能である。なお、AT情報の表示内容については、
図14~
図18を参照して後で詳しく説明する。
【0036】
情報表示装置1は、
図9のごとく、制御部11を中心として電気的に構成されている。制御部11は、ソフトウェアを実行して各種演算を実施するCPU111、メモリ手段としてのROM112、RAM114、信号の送受信を行うI/O部115を含んでいる。制御部11に対しては、ランプ部12、データ表示部13、各種ボタン141、145、赤外線受光部15等が電気的に接続されている。
【0037】
I/O部115は、スロットマシン5の遊技信号を受信する信号受信手段としての機能を備えている。本例の信号受信手段が中継器42経由でスロットマシン5から取り込む遊技信号としては、(a)アウト信号、(b)セーフ信号、(c)第1AT信号、(d)第2AT信号等がある。なお、情報表示装置1は、中継器42を経由して貸出装置43から売上信号等を取得する。売上信号は、メダル貸出の対価として消費された貨幣価値を示す信号である。
【0038】
制御部11は、ソフトウェアをCPU111に実行させることで、以下の各手段としての機能を実現する。
(a)ゲーム数特定手段:AT状態(特別状態)が発生した場合に成立可能な初期化条件の成立後に実行されたゲーム数を示すAT間ゲーム数(成立後ゲーム数)を特定する手段。ゲーム数特定手段は、ゲーム信号の一例であるアウト信号、及び特別信号の一例であるAT信号に基づいてAT間ゲーム数を特定する。本例の初期化条件は、AT状態の終了に伴うAT信号の出力停止、及び所謂開店処理や日時更新のような営業開始処理である。AT間ゲーム数は、前回のAT状態が終了した後、あるいは所謂開店処理や日時更新のような営業開始処理後に実行されたゲーム数である。
(b)発生特定手段:特別信号の一例である第1AT信号、または開始信号の一例である第2AT信号に基づき、AT状態の発生を特定する手段。発生特定手段は、第1AT信号に基づいて振分AT(第1特別状態)あるいは特別AT(第2特別状態)の発生を特定する。また、発生特定手段は、開始信号の一例である第2AT信号に基づいて初回ATの発生を特定する。
(c)種別特定手段:発生特定手段により特定されたAT状態の種別を特定する手段。種別特定手段は、第1AT信号に係るAT状態が振分ATか特別ATかを特定すると共に、第2AT信号に係るAT状態である初回ATの種別(状態移行当選かAT当選か)を特定する。種別特定手段は、AT間ゲーム数(成立後ゲーム数の一例)と、後述する基準値と、の比較結果に応じて、AT状態の種別を特定する。
(d)遊技情報取得手段:AT状態(振分AT、及び初回ATから始まる特別AT)の発生状況に関する遊技情報であるAT情報を取得する手段。
【0039】
ROM112の記憶領域には、AT状態の種別を特定する際に種別特定手段が参照する基準値が格納されている。基準値としては、振分ATか特別ATかを特定するための第1基準値と、初回ATの種別を特定するための第2基準値と、が設定されている。本例の第1基準値及び第2基準値は、いずれも5Gである。言うまでもなく、2つの基準値として異なる値を設定しても良い。
【0040】
RAM114の記憶領域には、対応するスロットマシン5の遊技情報である各種の遊技データを記憶するデータ記憶エリアが形成されている。遊技データには、振分AT、初回AT及び特別ATを含むAT状態の発生状況に関する特別情報の一例であるAT情報が含まれている。情報表示装置1は、スロットマシン5の遊技に関する各種の遊技データを生成し、データ記憶エリアに格納する。なお、情報表示装置1は、アウト信号をゲーム信号として取り扱い、ベット数に当たる回数分、アウト信号を連続的に受信したときにゲームの実行を検知する。
【0041】
(3)遊技場用システムの全体動作
(3.1)スロットマシン5の遊技の流れ、(3.2)遊技進行に伴う出力信号を説明し、続いて(3.3)情報表示装置1が生成する履歴情報、(3.4)情報表示装置1が生成するAT情報、(3.5)情報表示装置1によるデータ表示、について説明する。
【0042】
(3.1)スロットマシンの遊技の流れ
スロットマシン5の遊技では、通常状態下で規定G数のゲームを消化した場合に所謂天井に達し、AT状態のひとつである振分ATに移行する。ここで、規定G数はAT状態(振分ATあるいは特別AT)が終了して通常状態へ移行する際の初期化条件の成立に応じて、天井抽選により決定されるゲーム数である。規定G数は、最大800ゲーム(800G)である。上記の通り、天井抽選により決定される規定G数の平均は、モードに応じて差が設けられている(
図7参照。)。
【0043】
スロットマシン5の遊技における振分ATは、初回ATに移行できるか可能性があるチャンスゾーン(CZ)である。10Gに亘る振分ATのうちの前半5GがAT報知の実行期間であり、後半5GはCZ演出の実行期間になっている。後半5Gでは、初回ATへの移行の可否を決定するための状態移行抽選が実行されると共に、その当否を報知するためのCZ演出が液晶報知部56等を利用して実行される。例えば
図10のCZ演出は、怪獣と対決する動画を含み、その勝敗によって状態移行抽選の当否を報知する演出である。
【0044】
振分AT中の状態移行抽選に当選した場合、初回ATへの昇格移行を示唆するCZ演出として、例えば怪獣を撃破する等の演出が実行される(
図10(a))。一方、状態移行抽選に当選しなかった場合には、怪獣に敗れた演出が実行されると共に(同図(b))、振分ATの残りゲームの消化に戻る。なお、状態移行抽選の当選確率(突破率)は、モードの値が大きくなるほど高く設定されて遊技者に有利になるといったように、モードに応じて遊技者の有利度合いに差が設けられている。状態移行抽選の当選確率は、例えば、モード1で約30%、モード6で約80%となっている。
【0045】
状態移行抽選に当選して初回ATへの昇格により連荘が発生した場合、10G分の初回ATとなり、特別ATのゲーム数であるATゲーム数を決定するための振分抽選が実行される。なお、振分抽選で決定されるATゲーム数は、高設定(モード6)ほど多く、50~100ゲーム程度である。
【0046】
10Gに亘る初回ATが終了すると、振分抽選により決定されたATゲーム数分の特別ATに移行する。なお、特別AT中には、所謂上乗せ抽選が実行され、当選すればATゲーム数が増加する。上乗せ抽選は、毎ゲーム実行され、当選確率は2~3%程度となっている。また、上乗せ抽選に当選したときに、ATゲーム数に上乗せされるゲーム数は5G、10G、20Gのいずれかである。特別ATは、平均で100G継続するが、モードの値が大きくなるほど継続ゲーム数が多くなる傾向にある。
【0047】
スロットマシン5では、振分ATを経由せず初回ATが発生する場合が設定されている。通常状態下で毎ゲームで実行されるAT抽選に当選した場合、通常状態から”直撃”で初回ATに移行できる。このAT抽選の当選確率はモードに応じて異なるが、1/1000程度である。
【0048】
(3.2)遊技進行に伴うスロットマシンの出力信号
スロットマシン5において特別ATに至る遊技の流れは、
図11の通り2パターンがある。第1のパターンは、通常状態下で規定G数を消化してまず振分ATに移行し、その振分ATで状態移行抽選に当選して初回ATへの昇格により特別ATが発生するパターンである。第2のパターンは、通常状態下のゲームで毎回実行されるAT抽選に当選し、”直撃”で初回ATに昇格して特別ATが発生するパターンである。
【0049】
第1のパターンで通常状態から振分ATに移行すると、まず第1AT信号の出力が開始される。10Gに亘る振分ATの発生中では、第1AT信号が継続的に出力され、振分ATの終了に応じて第1AT信号の出力が終了する。振分ATで状態移行抽選に当選した場合、初回ATへの昇格に応じて特別ATの開始信号である第2AT信号の出力が開始される。10Gに亘る初回ATの発生中では、第2AT信号が継続的に出力され、初回ATの終了に応じて第2AT信号の出力が終了する。なお、振分AT中の状態移行抽選がハズレの場合には、振分ATの終了に応じて第1AT信号の出力が停止し、通常状態へ移行する。
【0050】
初回ATが終了すると、特別AT(非初回AT)の発生中である旨を示す第1AT信号の出力が開始される。特別ATは、初回ATでの振分抽選で決定されたATゲーム数に亘って継続する。特別ATの発生中では、第1AT信号の出力状態が維持される。ただし、特別ATが開始された後の差枚数(セーフからアウトを差し引いたメダル数)が100枚に到達する度に、第1AT信号の出力が中断され、1~2G程度の中断を経て第1AT信号の出力が再開される。特別ATの発生中では、差枚数が100枚に到達する毎の中断を繰り返しながら第1AT信号が継続的に出力される。
【0051】
第2のパターンで通常状態から”直撃”で初回ATに移行すると、特別ATの開始信号の一例である第2AT信号の出力が開始される。10Gに亘る初回ATの発生中では、第2AT信号が継続的に出力され、初回ATの終了に応じて第2AT信号の出力が終了する。そして、初回ATが終了すると、上記第1のパターンの場合と同様、特別AT(非初回AT)の発生中である旨を示す第1AT信号の出力が開始され、その後、差枚数が100枚に到達する度の中断を繰り返しながら第1AT信号が継続的に出力される。
【0052】
なお、スロットマシン5は、ベットされたメダルを消費しゲームを開始する毎に、ベットされたメダルの枚数(3枚)に当たる回数分のアウト信号を出力する。また、役の入賞に応じてメダルが払出された場合、払出されたメダルの枚数分のセーフ信号を出力する。本例の構成では、直前のAT状態が終了した後のゲーム数であるAT間ゲーム数を特定するに当たって、アウト信号がゲーム信号として取り扱われ、アウト信号の受信に応じてゲームの実行が検知され、例えば3枚分のアウトを特定する毎にゲームの実行が特定される。
(3.3)情報表示装置が生成する履歴情報
図12及び
図13は、情報表示装置1が生成するAT履歴情報の例示である。
図12のAT履歴情報は、振分AT経由で初回ATに昇格して特別ATが開始された場合の遊技レコードの情報である。
図13のAT履歴情報は、振分ATを経由せず、上記のAT抽選により”直撃”で初回ATが発生し、特別ATが開始された場合の遊技レコードの情報である。
【0053】
図12のAT履歴情報では、例えばレコードNo.31の特別ATの終了後、121ゲーム(AT間ゲーム数)を経て、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.32)。情報表示装置1は、121ゲームのAT間ゲーム数と、上記の第1基準値(5G)と、を比較し、AT間ゲーム数が第1基準値以上であることからレコードNo.32に係るAT状態を振分ATと特定する。
【0054】
レコードNo.32の振分ATの後、初回ATを示す第2AT信号の受信状態が発生していない。そこで、情報表示装置1は、初回ATに昇格することなく振分ATがそのまま終了したと判断する。その後、237ゲームのAT間ゲーム数を経て、AT状態を示す第1AT信号の出力状態が開始されている(レコードNo.33)。情報表示装置1は、237ゲームのAT間ゲーム数と、上記の第1基準値(5G)と、を比較し、AT間ゲーム数が第1基準値以上であることから、レコードNo.33に係るAT状態を振分ATと特定する。
【0055】
レコードNo.33の振分ATの後、AT間ゲーム数1ゲームで、初回ATを示す第2AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.34)。情報表示装置1は、1ゲームのAT間ゲーム数が第2基準値(5G)未満であることから、レコードNo.34の初回ATにつき、レコードNo.32の振分AT中の状態移行当選に由来する初回ATと特定する(所謂連荘)。つまり、種別特定手段としての情報表示装置1は、振分ATであるか、初回ATから始まる特別ATであるか、特別ATの開始信号の一例であって初回ATを特定可能な第2AT信号を利用して特定する。
【0056】
その後、AT間ゲーム数1ゲームで、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.35)。情報表示装置1は、1ゲームのAT間ゲーム数と、上記の第1基準値(5G)と、を比較する。そして、レコードNo.34の第2AT信号に係る初回AT終了後のAT間ゲーム数が第1基準値未満であることから、レコードNo.35に係るAT状態を特別ATと特定する。
【0057】
その後、レコードNo.36~39で、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている。これらのレコードの第1AT信号の受信状態は、AT間ゲーム数が1ゲームあるいは2ゲームで開始されている。レコードNo.36~39は、スロットマシン5において特別AT中に差枚数が100枚に到達する毎に第1AT信号の出力状態が一旦、中断され、AT間ゲーム数1ゲームあるいは2ゲームで再開されることに起因するレコードである。したがって、レコードNo.36~39に係るAT状態は、AT間ゲーム数が第1基準値(5G)未満であるので、いずれも特別ATと特定される。特別AT中の差枚数は、このように特別ATと特定された回数に100枚を乗じた枚数に近いということになる。
【0058】
図13のAT履歴情報では、例えばレコードNo.17の特別ATの終了後、244ゲーム(AT間ゲーム数)が消化されたとき、初回ATを示す第2AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.18)。情報表示装置1は、244ゲームのAT間ゲーム数が第2基準値(5G)以上であることから、レコードNo.18の初回ATにつき、通常状態下で実行されたAT抽選での当選(AT当選)に由来する”直撃”の初回ATと特定する。つまり、種別特定手段としての情報表示装置1は、振分ATであるか、初回ATから始まる特別ATであるか、特別ATの開始信号の一例であって初回ATを特定可能な第2AT信号を利用して特定する。
【0059】
その後、AT間ゲーム数1ゲームで、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.19)。情報表示装置1は、1ゲームのAT間ゲーム数と、上記の第1基準値(5G)と、を比較し、AT間ゲーム数が第1基準値未満であることから、レコードNo.19に係るAT状態を特別ATと特定する。
【0060】
その後、レコードNo.20、21で、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている。これらのレコードの第1AT信号の受信状態は、AT間ゲーム数が1ゲームで開始されている。レコードNo.20、21は、スロットマシン5において特別AT中に差枚数が100枚に到達する毎に第1AT信号の出力状態が一旦、中断され、AT間ゲーム数約1ゲームで再開されることに起因して発生するレコードである。それ故、レコードNo.20、21に係るAT状態は、AT間ゲーム数が第1基準値(5G)未満であるので、いずれも特別ATと特定される。
【0061】
図13のAT履歴情報では、レコードNo.21に係る特別ATの後、91ゲーム(AT間ゲーム数)が消化されたとき、初回ATを示す第2AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.22)。情報表示装置1は、91ゲームのAT間ゲーム数が第2基準値(5G)以上であることから、レコードNo.22の初回ATにつき、通常状態下で実行されたAT抽選での当選(AT当選)に由来する”直撃”の初回ATと特定する。
【0062】
その後、AT間ゲーム数1ゲームで、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている(レコードNo.23)。情報表示装置1は、1ゲームのAT間ゲーム数と、上記の第1基準値(5G)と、を比較し、AT間ゲーム数が第1基準値未満であることから、レコードNo.23に係るAT状態を特別ATと特定する。
【0063】
その後、レコードNo.24で、AT状態を示す第1AT信号の受信状態が開始されている。このレコードの第1AT信号の受信状態は、AT間ゲーム数が1ゲームで開始されている。レコードNo.24は、スロットマシン5において特別AT中に差枚数が100枚に到達する毎に第1AT信号の出力状態が一旦、中断され、AT間ゲーム数約1ゲームで再開されることに起因するレコードである。したがって、レコードNo.24に係るAT状態は、特別ATと特定される。
【0064】
(3.4)情報表示装置が生成するAT情報
情報表示装置1は、例えば
図12、
図13のAT履歴情報に基づいて、AT状態に関する以下の各種のAT情報を生成する。なお、情報表示装置1では、AT情報のほか、スロットマシン5で実行された累計のゲーム数、累計の差枚数など、一般的な遊技情報が併せて集計される。
【0065】
(a)突入回数:初回ATの発生回数。集計対象の突入回数としては、AT間ゲーム数の区分毎の突入回数、及び各区分の突入回数の合計である総突入回数がある。突入回数は、状態移行当選に由来する初回ATであるか、AT当選に由来する直撃の初回ATであるか、に関わらず集計される。
(b)突入率:AT間ゲーム数の区分毎の突入回数の総突入回数に対する割合。
(c)直撃回数:通常状態下のAT当選に応じて直撃で発生した特別AT(初回ATから始まるAT状態)の回数。
(d)対決勝利回数:CZの対決に勝利して初回ATに移行した連荘の回数(状態移行当選の回数)。
(e)対決負け回数:CZの対決に負けた回数(状態移行抽選のハズレ回数)。
(f)突破率(移行率):CZの対決での勝率であり、勝利した回数と負けた回数との合計である対決回数のうちの勝利した回数の比率(%)。この突破率は、振分ATの発生回数と特別ATの発生回数とを対象とした第1比率情報の一例である。
(g)対決発生確率(CZ発生確率):振分ATのAT間ゲーム数及び直撃の初回ATのAT間ゲーム数の合計ゲーム数に対するCZ(振分AT)の発生回数の比率。この合計ゲーム数は、スロットマシン5で実行された累計ゲーム数(総ゲーム数)から、第1特別状態の一例である振分AT中に実行されたゲーム数、第2特別状態の一例である特別AT(含、初回AT)中に実行されたゲーム数を除外した通常状態下のゲーム数に相当している。対決発生確率は、この通常状態下のゲーム数と振分ATの発生回数とを対象とした第2比率情報の一例である。
(h)連敗回数:CZの対決に連続して負けた回数。この連敗回数は、振分ATの終了後のAT間ゲーム数と、上記の第1基準値と、の比較結果に基づき特別ATの前提とならなかったハズレの振分AT(第1特別状態)を特定した上で、ハズレの振分ATが連続した回数として特定される。
(i)連勝回数:CZの対決に連続して勝利した回数。
【0066】
(3.5)情報表示装置によるデータ表示
情報表示装置1は、上記のごとく、データ切替ボタン141(
図8参照。)の操作に応じて各種の情報を表示可能である。以下、情報表示装置1によるAT情報(特別情報の一例)の表示態様について、
図14~
図18を参照して説明する。
【0067】
図14及び
図15は、AT状態の遊技レコードの表示画面を例示する表示エリア130の正面図である。
図14は、
図12のAT履歴情報に対応する表示画面である。
図15は、
図13のAT履歴情報に対応する表示画面である。
図14(a)及び
図15(a)では、各AT状態の発生時刻、及びAT間ゲーム数が表示される。同図では、AT状態のうち、振分AT及び特別AT(除く初回AT)が「BB」と表示され、初回ATが「RB」として表示される。
図14及び
図15で示す発生時刻は、第1AT信号または第2AT信号がOFF(非出力状態)からON(出力状態)に切り替わった時点の時刻である。
【0068】
なお、上記のごとく、特別ATでは、差枚数(セーフからアウトを差し引いたメダル数)が100枚に到達する毎に、第1AT信号が一旦ONからOFFに切り替わり、再度OFFからONに切り替わる。そのため、
図14及び
図15では、特別AT中に差枚数が100枚に到達する毎に新たな遊技レコードが追加されている。なお、差枚数が100枚に到達したときのAT間ゲーム数は、第1AT信号のタイミング等によって相違し、概ね1ゲーム~3ゲーム程度である。
【0069】
図14(b)及び
図15(b)は、各AT状態のAT間ゲーム数を棒グラフで表示する図である。同図中では、棒グラフを構成する横長ブロック状のデジットのうちの点灯(図中、ハッチングで表示。)しているデジットの個数によって、AT間ゲーム数を表している。なお、1個のデジットは、100ゲームを表している。例えば、AT間ゲーム数が124ゲームであれば、2個のデジットが点灯する。なお、特別AT中の差枚数が100枚に到達するごとに新たな遊技レコードが追加されている
図14(a)及び
図15(a)と同様、
図14(b)及び
図15(b)においても、特別AT中の差枚数が100枚に到達するごとに棒グラフが追加されている。例えば、RBの後、デジットが1個点灯するBBの棒グラフが複数、連続している遊技期間は、特別ATの継続期間に対応している。特別AT中の差枚数は、棒グラフの本数×100枚を目安として把握できる。
【0070】
図16は、AT間ゲーム数の区分毎の初回ATへの突入率を示す表示画面である。同図中の左列のAT間G数は、AT間ゲーム数の各区分の範囲である。中央列の回数は、初回ATの突入回数である。この突入回数のうちの分母は、初回ATの総突入回数であり、分子は、初回ATのうち、AT間ゲーム数の各区分の突入回数である。右列の割合は、AT間ゲーム数の各区分の突入回数の総突入回数に対する割合である突入率である。この突入率は、中央列の分数を百分率で表示した値である。
【0071】
図17は、初回ATの内訳を表示する表示画面の例示である。同図中の直撃は、上記の直撃回数であり、AT当選に応じて直撃で発生した初回ATの回数である。対決勝利は、上記の対決の勝利回数であり、振分AT中に実行される上記のCZ演出の対決に勝利したことにより発生した初回ATの回数である。すなわち、対決勝利で表示される回数は、振分AT中に実行される状態移行抽選での当選(状態移行当選)に由来する初回ATの回数である。
【0072】
図18は、振分AT中のCZ演出による対決の結果を表示する表示画面の例示である。同図中の「勝」は、上記の対決勝利回数である。「負」は、上記の対決負け回数であり、初回ATに移行できなかった振分ATの回数を示している。「突破率」は、上記の突破率(移行率)であり、勝利した回数と負けた回数との合計である対決回数のうちの勝利した回数の比率(%)である。
【0073】
図18中の対決発生確率は、上記の対決(CZ)の発生確率であり、AT間ゲーム数の合計ゲーム数に対する振分ATの発生回数の比率である。さらに、現在対決3連敗中のテキスト表示は、対決(CZ)の連敗回数である。なお、連勝中に上記の連勝回数を表示することも良い。連敗回数あるいは連勝回数は、2連敗以上あるいは2連勝以上のときに表示すると良い。
【0074】
以上のように構成された遊技場用システム1Sが対象とするスロットマシン5では、遊技者側に有利な特別状態として、ゲームの実行に応じて発生条件が成立した場合に発生する振分AT(第1特別状態の一例)、及び振分ATの発生を前提とした突入条件(状態移行抽選での当選)が成立した場合に発生する特別AT(第2特別状態の一例)が設けられている。このスロットマシン5は、振分AT及び特別AT(初回ATを除く)に共通する特別信号である第1AT信号を外部に出力すると共に、ゲームを実行したことを特定可能なゲーム信号の一例としてアウト信号を外部出力する。
【0075】
遊技場用システム1Sを構成する情報表示装置1は、特別状態であるAT状態が発生した場合に成立可能な初期化条件の成立後に実行されたゲーム数を示すAT間ゲーム数(成立後ゲーム数)を特定する。情報表示装置1は、振分AT(第1特別状態)または特別AT(第2特別状態)が発生した場合に、AT間ゲーム数を第1基準値(5G)と比較した結果に応じて振分AT及び特別ATのうちのいずれが発生したかを特定する。情報表示装置1は、振分AT及び特別ATの発生状況に関する特別情報としてAT情報を表示可能である。
【0076】
このように本例の遊技場用システム1Sは、振分ATと特別ATとで共通の信号が出力されるスロットマシン5について、振分AT及び特別ATの発生状況に関するAT情報を表示可能な有用なシステムである。
【0077】
スロットマシン5は、状態移行当選という突入条件が成立した場合だけでなく、振分ATの発生を前提としないAT当選という特別突入条件が成立した場合にも特別ATを発生可能である。このスロットマシン5は、いずれの突入条件が成立したかに関わらず、特別ATが開始されたことを特定可能な開始信号として、初回ATに対応する第2AT信号を外部に出力する。情報表示装置1は、初回ATが開始されたことを特定可能な開始信号の一例である第2AT信号を利用して、振分ATであるか、AT当選に応じて発生した特別ATであるか、を特定する。具体的には、開始信号である第2AT信号の受信が開始されたときのAT間ゲーム数を上記の第2基準値(本例では5G)と比較することで、振分ATか、AT当選に応じて発生した特別ATかを特定する。詳しくは後述するが、このような構成を採用すれば、CZ演出が実行される振分AT(チャンスゾーン、CZ)を経由せずに直接、特別ATが発生するスロットマシン5であっても、AT情報の精度を確保できる。
【0078】
情報表示装置1は、振分ATの回数と、振分AT中の状態移行当選に由来する特別ATとを対象とした第1比率情報として、
図18に例示する突破率(移行率)を表示可能である。さらに、スロットマシン5で実行された累積ゲーム数(総ゲーム数)から振分AT中及び特別AT中(初回ATを含む)のゲーム数(ATゲーム数)を除外したゲーム数と、振分ATの発生回数と、を対象とした第2比率情報として、
図18に例示する対決発生確率を表示可能である。突破率や対決発生確率(チャンスゾーン確率、CZ確率)の表示によれば、CZが発生した場合に特別ATが連荘で発生する度合い、あるいはCZが発生する度合い等を、遊技者が把握できるようになり遊技の興趣を向上できる。なお、本例の構成では、上記の第1比率情報の一例である突破率(移行率)、及び第2比率情報の一例である対決発生確率(CZ確率)の両方を表示可能な情報表示装置1を例示したが、これに代えて、第1比率情報及び第2比率情報のいずれかを表示する情報表示装置1であっても良い。
【0079】
情報表示装置1は、AT間ゲーム数(成立後ゲーム数)を複数の範囲に区分すると共に、特別情報(AT情報)の一例として初回ATの回数及び割合(突入率)をAT間ゲーム数の区分毎に表示する。スロットマシン5は、AT間ゲーム数に応じて遊技者側の有利度合いが異なっている。AT間ゲーム数の区分単位で、初回ATの回数や割合(突入率)などの特別情報を表示すれば、例えば天井抽選により決定される規定G数の振分がモードに応じて異なる場合に、モードを推定しようとする遊技者にとって非常に有益な情報を提供できる。
【0080】
情報表示装置1は、特別ATの前提とならなかったハズレの振分ATを特定し、ハズレの振分ATが連続した回数(
図18参照。)を特別情報(AT情報)として取得し、表示する。連荘が発生しなかった振分ATの連続回数などのAT情報は、例えば、連荘が発生しないCZの連続発生に応じてそろそろ連荘が発生するのでは?といったオカルトめいた期待感を抱く遊技者にとっての有益な情報となり得る。
【0081】
なお、本例の構成に代えて、以下のような構成を採用することも可能である。
本例では、遊技機上方の情報表示装置1にてAT情報(特別情報)を表示する構成を例示したが、例えば貸出装置43等の遊技装置のような遊技機間に設けられる情報表示装置に本案を採用しても良い。
情報表示装置1が表示するAT情報の内容を、インターネットを利用して閲覧可能なインターネットサイトで閲覧可能に構成しても良い。この場合には、遊技場側とインターネット等の通信回線を介して通信可能に接続されたサーバ装置を含めて遊技場用システム1Sを構成できる。
【0082】
本例では、特別状態としてはAT状態を例示したが、所謂ARTや大当りなどAT状態以外の特別情報を採用しても良い。また、モードに応じた遊技者の有利度合いの構成について、例示した以外の構成を採用しても良い。
本例では、AT状態として、振分ATと、初回ATから始まる特別ATと、の2種類を例示している。これに代えて、初回ATと、特別ATと、を異なるAT状態として取り扱うことも良く、この場合には、振分ATと初回ATと特別ATとが3種類のAT状態を構成する。
【0083】
関連する設定情報は予め設定されていれば遊技場の管理者が任意に設定しても良く、管理装置の製造メーカにて設定しても良く、例えばチェーン店本部や遊技機メーカ等の外部の管理サーバからダウンロードして設定しても良い。
【0084】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。また、機種としては、メーカ単位やスペック単位等、遊技機の種類を示せばどの様な区分としても良い。
本例において示した数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、演算式については単なる例示であり例示した演算式と同様の値を示したり、同様の意義を持つ演算値を演算するのであれば、どの様な演算式を採用しても良い。
例示した数値の表示は数値自体の表示に限らず、グラフ表示とする等、数値を示す他の表現方法を採用しても良い。
【0085】
以下と未満についてはどちらを採用しても良く、「達していない」等の表現は以下或いは未満となった場合のいずれにも対応する表現となる。以上と超過についても同様で、「達している」等の表現は双方に対応する表現となる。
【0086】
本例では、液晶表示パネルを利用してAT情報を表示しているが、有機ELパネル等の他の表示デバイスを採用しても良い。
対象となる遊技機としては、スロットマシンやパチンコ遊技機等を例示できる。パチンコ遊技機の場合、単位遊技は所謂図柄変動とすれば良いが、その他に遊技媒体を排出せずデータ上のポイントを遊技に応じて更新する所謂封入式の遊技機等も想定できるため、玉やメダル等の遊技媒体や上記ポイントを包含する遊技価値という表現を適宜使用している。
また、モードの値が大きくなるほど遊技者に有利となる仕様を例示したが、モードの値が大きくなるほど継続ゲーム数が少なくなるといったように遊技者に不利となる構成を含む遊技機を対象としても勿論良い。
【0087】
情報表示装置1が行う処理の一部を管理装置41、貸出装置43などの遊技装置、あるいは中継器42等にて行っても良いし、情報表示装置1のみで全てを構成しても良い。管理装置41が行う情報処理の一部を中継器42等にて行う構成としても良いし、情報表示装置1のみでシステムを構成しても良い。また、例示した構成を適宜設定に応じて採用するか否かを変更しても良いし、変形例を含む例示した構成をどのように組合わせても良いし、適宜構成を除外しても良い。
【0088】
さらに、遊技機と別体の情報表示装置1を例示したが、情報表示装置1としての機能を遊技機に組み込んでも良い。この場合、遊技機側から信号を入力することなく、ゲームや遊技状態等を特定可能となる。
例示した全ての遊技情報(例えばゲームや遊技状態の特定)については、遊技信号やセンサ等から直接的、あるいは間接的に特定する等どのように特定しても良い。
【0089】
以上のごとく本発明の実施例を詳細に説明したが、これらの実施例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、実施例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して実施例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0090】
1S 遊技場用システム
1 情報表示装置
11 制御部(ゲーム数特定手段、発生特定手段、種別特定手段、遊技情報取得手段、信号受信手段)
13 データ表示部(遊技情報表示手段)
130 表示エリア
40 通信ネットワーク
41 管理装置
42 中継器
5 スロットマシン(遊技機)
50 制御基板(内部抽選手段、ゲーム数カウント手段、AT状態発生手段、移行抽選手段、ATゲーム数抽選手段、天井抽選手段)
51 図柄表示窓
52 リール
522 ストップボタン
56 液晶表示部(演出手段、AT報知手段)