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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】車両用支持部材
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20230502BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20230502BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230502BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B62D21/00 B
B60K1/04 Z
B62D25/20 C
B62D25/08 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019191442
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021066273
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康秀
(72)【発明者】
【氏名】各務 綾加
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 浩
(72)【発明者】
【氏名】沢藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩文
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00
B60K 1/04
B62D 25/20
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイキャスト製とされ、
パワーユニットルーム内に配置された機器を固定可能な固定部と、
前記パワーユニットルームの車両幅方向外側に位置すると共に車体の一部を構成する一対のフロントサイドメンバに対して支持された外周壁部と前記固定部とを繋ぐ固定部接続リブ部と、
を有し、
前記外周壁部は、車両前方側に配置されると共に前記一対のフロントサイドメンバ間に架け渡された前側壁部と、
車両後方側に配置されると共に前記一対のフロントサイドメンバ間に架け渡された後側壁部と、
車両幅方向一方側に配置されると共に前記前側壁部と前記後側壁部との間に介在しかつ車両前後方向に延びる第1外側壁部と、
車両幅方向他方側に配置されると共に前記前側壁部と前記後側壁部との間に介在しかつ車両前後方向に延びる第2外側壁部と、
を含んで構成され、
車両上下方向から見て環状とされると共に前記外周壁部の内側に配置され、壁部接続リブ部を介して当該外周壁部と繋がれた内周壁部をさらに備える、
車両用支持部材。
【請求項2】
前記固定部接続リブ部における前記外周壁部との境界部は、車両上下方向から見て当該外周壁部における当該固定部接続リブ部との境界部の接線方向に沿って延びる直線に沿うように配置されている、
請求項1に記載の車両用支持部材。
【請求項3】
前記固定部としての第1固定部と、
前記固定部としての第2固定部と、
前記第1固定部から前記第2固定部側に延びる前記固定部接続リブ部としての第1リブ部と、
前記第2固定部から前記第1固定部側に延びる前記固定部接続リブ部としての第2リブ部と、
前記外周壁部の一部を構成しかつ前記第1リブ部と前記第2リブ部とを繋ぐ接続壁部と、
を備えている、
請求項1又は請求項2に記載の車両用支持部材。
【請求項4】
前記接続壁部、前記第1リブ部、前記第2リブ部及び前記内周壁部の車両上方側に配置されると共に当該外周壁部、当該第1リブ部、当該第2リブ部及び当該内周壁部に繋がれた上壁部をさらに備え、
前記接続壁部の車両幅方向中央部と前記内周壁部との間の距離は、当該接続壁部と前記第1リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離と、当該接続壁部と前記第2リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離と、のそれぞれに対して短い距離に設定されている、
請求項3に記載の車両用支持部材。
【請求項5】
前記前側壁部及び前記後側壁部は、車両上下方向から見て車両幅方向に延びると共に、当該前側壁部及び当該後側壁部の車両幅方向の長さは、前記第1外側壁部及び前記第2外側壁部の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定され、
前記固定部接続リブ部は、前記前側壁部及び前記後側壁部の少なくとも一方に繋がれている、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車両用支持部材。
【請求項6】
前記固定部接続リブ部は、前記第1外側壁部及び前記第2外側壁部の少なくとも一方に繋がれている、
請求項に記載の車両用支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用サブフレームに関する発明が開示されている。この車両用サブフレームは、アルミニウム合金の鋳造品(ダイキャスト)とされており、フロントサスペンションからの荷重を支持するリアクロスメンバを備えている。このリアクロスメンバは、車両下方側が開放された筒状とされており、その内側には、放射状に延びるリブが設けられている。このため、下記特許文献1に記載された先行技術では、フロントサスペンションからリアクロスメンバに入力される荷重を上記リブで分散して支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/017260号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パワーユニットルーム内に種々の機器を配置するにあたって、機器を支持可能な部材が必要となる。しかしながら、上記特許文献1に係る車両用サブフレームでは、フロントサスペンションからの荷重がリアクロスメンバに入力される。このため、上記特許文献1に係る車両用サブフレームでパワーユニットルーム内の機器を支持すると、フロントサスペンションからの荷重が機器に影響を及ぼすことが考えられる。
【0005】
また、パワーユニットルーム内の機器を安定して支持するにあたって、機器を支持する部材は、上記特許文献1に記載された先行技術のように、機器による荷重を分散できる構成であることが好ましい。一方で、機器を支持する部材に放射状に延びるリブ等を設ける構成は、この部材の構成の簡略化の観点では好ましくない。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、パワーユニットルーム内の機器を安定して支持することができると共に、構成の簡略化を図ることができる車両用支持部材を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用支持部材は、ダイキャスト製とされ、パワーユニットルーム内に配置された機器を固定可能な固定部と、前記パワーユニットルームの車両幅方向外側に位置すると共に車体の一部を構成する一対のフロントサイドメンバに対して支持された外周壁部と前記固定部とを繋ぐ固定部接続リブ部と、を有し、前記外周壁部は、車両前方側に配置されると共に前記一対のフロントサイドメンバ間に架け渡された前側壁部と、車両後方側に配置されると共に前記一対のフロントサイドメンバ間に架け渡された後側壁部と、車両幅方向一方側に配置されると共に前記前側壁部と前記後側壁部との間に介在しかつ車両前後方向に延びる第1外側壁部と、車両幅方向他方側に配置されると共に前記前側壁部と前記後側壁部との間に介在しかつ車両前後方向に延びる第2外側壁部と、を含んで構成され、車両上下方向から見て環状とされると共に前記外周壁部の内側に配置され、壁部接続リブ部を介して当該外周壁部と繋がれた内周壁部をさらに備えている。
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、車両用支持部材は、固定部を備えており、パワーユニットルーム内に配置された機器を当該固定部に固定することができる。また、本発明では、外周壁部が、パワーユニットルームの車両幅方向外側に位置すると共に車体の一部を構成する一対のフロントサイドメンバに対して支持されている。このため、本発明では、パワーユニットルーム内に配置された機器を車体に対して支持することができる。
【0009】
しかも、本発明は、ダイキャスト製とされており、鋼板で構成された車両用支持部材に比し、パワーユニットルーム内に配置された機器に起因する振動や音を吸収することができる。
【0010】
ところで、パワーユニットルーム内に配置された機器の自重等の荷重を分散するには、固定部の周辺に放射状に延びるリブ部等を設けることが考えられる。しかしながら、このような構成は、本発明の構成の複雑化を招くこととなる。
【0011】
ここで、本発明では、固定部接続リブ部によって外周壁部と固定部とが繋がれており、パワーユニットルーム内に配置された機器から固定部に入力される荷重が、固定部接続リブ部及び外周壁部に伝達される。その結果、固定部の周辺に放射状に延びるリブ部等を設けることなく、パワーユニットルーム内に配置された機器から固定部に入力される荷重を分散して支持することができる。
また、本発明によれば、外周壁部が、前側壁部、後側壁部、第1外側壁部及び第2外側壁部を含んで構成されている。前側壁部は、車両前方側に配置されており、後側壁部は、車両後方側に配置されている。そして、前側壁部及び後側壁部は、それぞれ一対のフロントサイドメンバ間に架け渡されている。
また、第1外側壁部は、車両幅方向一方側に配置されており、第2外側壁部は、車両幅方向他方側に配置されている。そして、第1外側壁部及び第2外側壁部は、それぞれ前側壁部と後側壁部との間に介在すると共に、車両前後方向に延びている。
一方、車両上下方向から見て外周壁部の内側には、車両上下方向から見て環状とされた内周壁部が配置されている。そして、内周壁部は、壁部接続リブ部を介して外周壁部と繋がれている。
このため、本発明では、外周壁部の車両前方側の部分と車両後方側の部分とを一対のフロントサイドメンバに対して支持することができる。すなわち、車両用支持部材は、車体に対して車両前後方向に間隔をあけた2箇所で支持される。また、本発明では、内周壁部で仕切られた中央側が車両上下方向から見て肉抜きされた状態となっている。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係る車両用支持部材は、請求項1に記載の発明において、前記固定部接続リブ部における前記外周壁部との境界部は、車両上下方向から見て当該外周壁部における当該固定部接続リブ部との境界部の接線方向に沿って延びる直線に沿うように配置されている。
【0013】
請求項2に記載の本発明によれば、固定部接続リブ部と外周壁部との間で荷重が伝達されるとき、当該荷重は、固定部接続リブ部及び外周壁部に対して、外周壁部における当該固定部接続リブ部との境界部の接線方向に作用する。このため、固定部接続リブ部と外周壁部との間において固定部からの荷重が円滑に伝達される。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る車両用支持部材は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記固定部としての第1固定部と、前記固定部としての第2固定部と、前記第1固定部から前記第2固定部側に延びる前記固定部接続リブ部としての第1リブ部と、前記第2固定部から前記第1固定部側に延びる前記固定部接続リブ部としての第2リブ部と、前記外周壁部の一部を構成しかつ前記第1リブ部と前記第2リブ部とを繋ぐ接続壁部と、を備えている。
【0015】
請求項3に記載の本発明によれば、第1固定部が第2固定部側に延びる第1リブ部を介して、第2固定部が第1固定部側に延びる第2リブ部を介して、それぞれ外周壁部の一部を構成する接続壁部に繋がれている。このため、第1固定部からの荷重と第2固定部からの荷重とを外周壁部における共通の部位に伝達させることができ、当該外周壁部の単純化に寄与する。
【0021】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、請求項3に記載の発明において、前記接続壁部、前記第1リブ部、前記第2リブ部及び前記内周壁部の車両上方側に配置されると共に当該外周壁部、当該第1リブ部、当該第2リブ部及び当該内周壁部に繋がれた上壁部をさらに備え、前記接続壁部の車両幅方向中央部と前記内周壁部との間の距離は、当該接続壁部と前記第1リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離と、当該接続壁部と前記第2リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離と、のそれぞれに対して短い距離に設定されている。
【0022】
請求項に記載の本発明によれば、接続壁部、第1リブ部、第2リブ部及び内周壁部の車両上方側に上壁部が配置されており、当該上壁部は、接続壁部、第1リブ部、第2リブ部及び内周壁部に繋がれている。このため、第1固定部及び第2固定部から入力される荷重を上壁部にも分散させることができる。
【0023】
ところで、上壁部には、第1固定部及び第2固定部側からの荷重が接続壁部を介して入力されるため、接続壁部と内周壁部との間の距離が長いと当該荷重によって上壁部に発生する曲げモーメントが大きくなることが考えられる。
【0024】
ここで、本発明では、接続壁部の車両幅方向中央部と内周壁部との間の距離が、当該接続壁部と第1リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離と、当該接続壁部と第2リブ部との境界部と当該内周壁部との間の距離とのそれぞれに対して短い距離に設定されている。このため、第1固定部及び第2固定部側からの荷重によって上壁部に発生する曲げモーメントが大きくなることを抑制することができる。
【0025】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記前側壁部及び前記後側壁部は、車両上下方向から見て車両幅方向に延びると共に、当該前側壁部及び当該後側壁部の車両幅方向の長さは、前記第1外側壁部及び前記第2外側壁部の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定され、前記固定部接続リブ部は、前記前側壁部及び前記後側壁部の少なくとも一方に繋がれている。
【0026】
請求項に記載の本発明によれば、前側壁部及び後側壁部の車両幅方向の長さは、第1外側壁部及び第2外側壁部の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定されており、パワーユニットルームの車両前後方向の短縮化に対応することができる。
【0027】
ところで、固定部から入力される荷重を分散するにあたって、固定部接続リブ部は、外周壁部において所定の方向に一定の長さを確保可能な箇所に繋がれていることが好ましい。
【0028】
ここで、本発明では、前側壁部及び後側壁部が車両上下方向から見て車両幅方向に延びると共に、上述したように、前側壁部及び後側壁部の車両幅方向の長さが第1外側壁部及び第2外側壁部の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定されている。そして、固定部接続リブ部が前側壁部及び後側壁部の少なくとも一方に繋がれている。このため、固定部接続リブ部が第1外側壁部や第2外側壁部に繋がれているような構成に比し、固定部から入力される荷重が分散しやすくなる。
【0029】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、請求項に記載の発明において、前記固定部接続リブ部は、前記第1外側壁部及び前記第2外側壁部の少なくとも一方に繋がれている。
【0030】
請求項に記載の本発明によれば、固定部接続リブ部は、第1外側壁部及び第2外側壁部の少なくとも一方に繋がれており、固定部から入力される荷重が少なくとも当該一方に分散される。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用支持部材は、パワーユニットルーム内の機器を安定して支持することができると共に、構成の簡略化を図ることができるという優れた効果を有する。
また、本発明に係る車両用支持部材は、車両前後方向に離れた複数個所で車体に対して支持されることでより安定してパワーユニットルーム内の機器を支持することができると共に、軽量化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0032】
請求項2に記載の本発明に係る車両用支持部材は、パワーユニットルーム内の機器から入力される荷重による応力の集中箇所の発生を抑制することができるという優れた効果を有する。
【0033】
請求項3に記載の本発明に係る車両用支持部材は、パワーユニットルーム内の機器を複数個所で支持しつつ、構成の簡略化を図ることができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、パワーユニットルーム内の機器から入力される荷重による応力の集中箇所の発生を抑制しつつ、当該荷重をより分散させることができるという優れた効果を有する。
【0036】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、車両のフロントオーバハングの短縮化に寄与しつつ、パワーユニットルーム内の機器を安定して支持することができるという優れた効果を有する。
【0037】
請求項に記載の本発明に係る車両用支持部材は、パワーユニットルーム内の機器をより安定して支持することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態に係る車両用支持部材の構成を示す断面図(図5の1-1線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
図2】本実施形態に係る車両用支持部材の構成を示す断面図(図1の2-2線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
図3】本実施形態に係る車両用支持部材の構成を示す断面図であり、(A)は、図1の3A-3A線に沿って切断した断面を示しており、(B)は図1の3B-3B線に沿って切断した断面を示している。
図4】本実施形態に係る車両用支持部材の構成を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る車両用支持部材を備えた車両の構成を示す模式的に示す側面図(図7の5方向矢視図)である。
図6】本実施形態に係る車両用支持部材を備えた車両の構成を模式的に示す平面図である。
図7】本実施形態に係る車両用支持部材を備えた車両の構成を模式的に示す正面図(図6の7方向矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図1図7を用いて、本発明に係る車両用支持部材の実施形態の一例について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印LHは車両幅方向左側を示している。
【0040】
図7に示されるように、本実施形態に係る「車両用支持部材10(以下、支持部材10と称する)」は、「車両12」の「車体14」に設けられた「パワーユニットルーム16」の車両上方側に配置されると共に、パワーユニット18の一部を支持している。
【0041】
まず、車体14の構成について説明する。車体14は主に鋼材で構成されており、図6にも示されるように、一対の「フロントサイドメンバ20」、一対のサスペンションタワー22、一対の支持パネル24及び一対の支持ブラケット26を含んで構成されている。
【0042】
フロントサイドメンバ20は、パワーユニットルーム16の車両幅方向外側に配置されている。このフロントサイドメンバ20は、その車両幅方向外側の部分を構成するサイドメンバアウタ28と、その車両幅方向内側の部分を構成するサイドメンバインナ30とを含んで構成されると共に、車両前後方向から見た断面が閉断面とされた閉断面構造とされている。なお、フロントサイドメンバ20の内側は、サイドメンバアウタ28とサイドメンバインナ30とを繋ぐ補強パネル32によって、車両上下方向に2分割されている。
【0043】
サスペンションタワー22は、車両下方側が開放されると共に、その内側に図示しないショックアブソーバを収容可能な箱状又は筒状に構成されている。このサスペンションタワー22は、その車両下方側の周縁部が溶接等による図示しない接合部でフロントサイドメンバ20に接合されている。
【0044】
支持パネル24は、本体部24A及び支持部24Bを含んで構成されると共に、サスペンションタワー22の車両前方側に配置されている。本体部24Aは、その車両上方側の部分を構成する上壁部24A1と、その車両前方側の部分を構成すると共に上壁部24A1と連続して設けられた前壁部24A2とを含んで構成されている。この本体部24Aは、車両後方側の周縁部がサスペンションタワー22に、車両下方側の周縁部が図示しないタイヤハウスに、それぞれ溶接等による図示しない接合部で接合されている。
【0045】
一方、支持部24Bは、その車両上方側の部分を構成する上壁部24B1、その車両前方側の部分を構成する前壁部24B2及びその車両後方側の部分を構成する後壁部24B3を含んで、車両幅方向から見て車両下方側が解放されたU字状に構成されている。この支持部24Bは、本体部24Aの車両下方側の部分から車両幅方向内側に延出されており、上壁部24B1の先端側の部分に支持部材10を取り付けるための被挿通部34が形成されている。
【0046】
支持ブラケット26は、支持パネル24の車両後方側に配置されると共に、フロントサイドメンバ20に取り付けられており、本体部26A及び取付部26Bを含んで構成されている。
【0047】
本体部26Aは、その車両上方側の部分を構成する上壁部26A1、その車両前方側の部分を構成する前壁部26A2及びその車両後方側の部分を構成する後壁部26A3を含んで、車両幅方向から見て車両下方側が解放されたU字状に構成されている。この本体部26Aは、フロントサイドメンバ20から車両幅方向内側に延出されており、上壁部26A1の先端側の部分に支持部材10を取り付けるための被挿通部36が形成されている。
【0048】
一方、取付部26Bは、フロントサイドメンバ20に沿って延びる板状とされており、溶接等による図示しない接合部でフロントサイドメンバ20に接合されている。
【0049】
なお、支持ブラケット26は、車両幅方向から見て支持パネル24の支持部24Bに対して車両後方側でかつ車両下方側に位置している。
【0050】
パワーユニット18は、機器としての「電源部38」及び「補器バッテリ40」を備えている。電源部38は、その外殻を構成する箱状のハウジング及びハウジングの内側に内蔵された図示しないジャンクションボックス等の電子機器を含んで構成されている。補器バッテリ40は、各種電装品に電力を供給可能とされると共に、その車両下方側に図示しない支持フレームが取り付けられている。そして、電源部38のハウジング及び補器バッテリ40に取り付けられた支持フレームは、電源部38及び補器バッテリ40の車両下方側に配置された支持部材10に固定されている。
【0051】
ここで、本実施形態では、支持部材10がアルミニウム合金のダイキャスト製とされると共に、図1に示されるように、補強リブ部42で補強されている点に特徴がある。以下、本実施形態の要部を構成する支持部材10の構成について詳細に説明することとする。
【0052】
まず、支持部材10の外形形状について説明する。図4及び図5に示されるように、支持部材10は、幅方向延在部10A、10B及び前後方向延在部10C、10Dを含んで、車両上下方向から見て梯子状に構成されている。
【0053】
幅方向延在部10Aは、支持部材10の車両前方側の部分を構成すると共に車両幅方向に直線的に延在しており、幅方向延在部10Aの車両幅方向から見た断面形状は、車両下方側が解放されたハット状とされている。
【0054】
幅方向延在部10Bは、支持部材10の車両後方側の部分を構成しており、幅方向延在部10Bの車両幅方向から見た断面形状は、車両下方側が解放されたハット状とされている。幅方向延在部10Bの中央部10B1、すなわち車両上下方向から見て幅方向延在部10Bの車両幅方向中央側において全体の長さの半分程度を占める部分は、車両前後方向から見て車両幅方向に直線的に延在している。また、幅方向延在部10Bの車両幅方向左側の端部10B2及び車両幅方向右側の端部10B3も、車両前後方向から見て車両幅方向に直線的に延在している。
【0055】
なお、端部10B2、10B3は、中央部10B1に対して車両下方側に位置しており、中央部10B1は、幅方向延在部10A対して車両下方側に位置している。
【0056】
一方、中央部10B1と端部10B2との間の部分は、中央部10B1から車両幅方向左側に下り勾配で傾斜した傾斜部10B4とされている。一方、中央部10B1と端部10B3との間の部分は、中央部10B1から車両幅方向右側に下り勾配で傾斜した傾斜部10B5とされている。
【0057】
前後方向延在部10Cは、図6にも示されるように、車両12の車両前後方向に延びる中心線CLに対して車両幅方向左側(車両幅方向一方側)に位置している。そして、前後方向延在部10Cは、車両上下方向から見て幅方向延在部10Aにおける車両幅方向左側の端面10A1から幅方向延在部10Aの全体の長さの4分の1程度の位置と、幅方向延在部10Bにおける中央部10B1と傾斜部10B4との境界部とを繋いでいる。また、前後方向延在部10Cの車両前後方向から見た断面形状は、車両下方側が解放されたハット状とされている。
【0058】
なお、前後方向延在部10Cの車両前方側の部分、すなわち前部10C1は、車両幅方向から見て車両前後方向に直線的に延在しており、前後方向延在部10Cの車両後方側の部分、すなわち後部10C2は、前部10C1から車両後方側に下り勾配で傾斜している。
【0059】
一方、前後方向延在部10Dは、図6にも示されるように、中心線CLに対して車両幅方向右側(車両幅方向他方側)に位置している。そして、前後方向延在部10Dは、車両上下方向から見て幅方向延在部10Aにおける車両幅方向右側の端面10A2から幅方向延在部10Aの全体の長さの4分の1程度の位置と、幅方向延在部10Bにおける中央部10B1と傾斜部10B5との境界部とを繋いでいる。また、前後方向延在部10Dの車両前後方向から見た断面形状は、車両下方側が解放されたハット状とされている。
【0060】
なお、前後方向延在部10Dの車両前方側の部分、すなわち前部10D1は、車両幅方向から見て車両前後方向に直線的に延在しており、前後方向延在部10Dの車両後方側の部分、すなわち後部10D2は、前部10D1から車両後方側に下り勾配で傾斜している。
【0061】
より詳しくは、図1及び図6に示されるように、支持部材10の表面側を構成する外殻部44は、その外周側の部分を構成する「外周壁部46」、その内周側の部分を構成する「内周壁部48」及びその車両上方側の部分を構成する「上壁部50」を含んで構成されている。
【0062】
外周壁部46は、その車両前方側の部分を構成する「前側壁部52」、その車両後方側の部分を構成する「後側壁部54」、その車両幅方向左側の部分を構成する第1外側壁部としての「外側壁部56」及びその車両幅方向右側の部分を構成する第2外側壁部としての「外側壁部58」を含んで構成されている。
【0063】
前側壁部52は、板厚方向を車両前後方向とされて車両幅方向に延びており、幅方向延在部10Aの車両前方側の部分を構成している。この前側壁部52の車両幅方向外側の部分は、車両上下方向から見て車両幅方向に直線的に延びる直線部52Aとされている。一方、前側壁部52の車両幅方向中央部は、幅方向延在部10Aの中央部10A3の一部を構成すると共に、車両上下方向から見て車両前方側に凸となる曲線状に延びる曲線部52Bとされている。
【0064】
後側壁部54は、板厚方向を車両前後方向とされて車両幅方向に延びており、幅方向延在部10Bの車両後方側の部分を構成している。この後側壁部54の車両幅方向外側の部分は、車両上下方向から見て車両幅方向に直線的に延びる直線部54Aとされており、後側壁部54の車両幅方向中央部は、車両上下方向から見て車両前方側に凸となる曲線状に延びる曲線部54Bとされている。
【0065】
外側壁部56は、車両上下方向から見て車両幅方向左側に開放されたU字状とされている。この外側壁部56は、幅方向延在部10Aの車両幅方向左側の端部10A4の車両後方側の部分、前後方向延在部10Cの車両幅方向左側の部分及び幅方向延在部10Bの端部10B2の車両前方側の部分を構成している。
【0066】
外側壁部58は、車両上下方向から見て車両幅方向右側に開放されたU字状とされている。この外側壁部58は、幅方向延在部10Aの車両幅方向右側の端部10A5の車両後方側の部分、前後方向延在部10Dの車両幅方向右側の部分及び幅方向延在部10Bの端部10B3の車両前方側の部分を構成している。
【0067】
なお、上述した前側壁部52及び後側壁部54の車両幅方向の長さは、外側壁部56、58の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定されている。
【0068】
一方、内周壁部48は、車両上下方向から見て矩形の環状とされると共に、外周壁部46の内側に配置されている。この内周壁部48は、幅方向延在部10Aの中央部10A3の車両後方側の部分、幅方向延在部10Bの中央部10B1の車両前方側の部分、前後方向延在部10Cの車両幅方向内側の部分及び前後方向延在部10Dの車両幅方向内側の部分を構成している。
【0069】
上壁部50は、車両上下方向から見て梯子状とされると共に板厚方向を車両上下方向とされた板状とされており、外周壁部46及び内周壁部48と連続して設けられている。
【0070】
この上壁部50における幅方向延在部10Aの端部10A4、10A5を構成する部分には、支持パネル24の被挿通部34に対応する被挿通部60が形成されている。そして、幅方向延在部10Aの端部10A4、10A5は、支持パネル24の支持部24Bに車両下方側から重ねられた状態で、被挿通部34、60に挿通された図示しない固定部材で支持部24Bに固定されている。
【0071】
一方、上壁部50における幅方向延在部10Bの端部10B2、10B3を構成する部分には、支持ブラケット26の被挿通部36に対応する被挿通部62が形成されている。そして、幅方向延在部10Bの端部10B2、10B3は、支持ブラケット26の本体部26Aに車両下方側から重ねられた状態で被挿通部36、62に挿通された図示しない固定部材で固定されている。
【0072】
図1に示されるように、上記のように構成された外殻部44の内側には、「固定部64、66、68、70、72、74」及び補強リブ部42が設けられている。
【0073】
図2にも示されるように、固定部64、66、68、70、72、74は、それぞれ上壁部50から車両下方側に延びると共に車両下方側が解放された円筒状とされている。また、上壁部50には、固定部64、66、68、70、72、74のそれぞれに対応して被挿通部76が形成されている。そして、固定部64、66、68、70、72、74のそれぞれに挿入されると共に被挿通部76に挿通された図示しない固定部材によって、電源部38や補器バッテリ40の機器が支持部材10に固定されている。
【0074】
より詳しくは、固定部64、66、68は、幅方向延在部10Aに幅方向延在部10Aの延在方向に沿うように連なって設けられている。そして、固定部64、66は、幅方向延在部10Aと前後方向延在部10Cとの境界部に車両幅方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。また、固定部68は、幅方向延在部10Aと前後方向延在部10Dとの境界部の車両幅方向内側に配置されている。
【0075】
また、固定部70は、前後方向延在部10Cの車両前後方向中央部に配置されている。なお、固定部70は、外側壁部56及び内周壁部48と一体的に設けられている。
【0076】
また、固定部72、74は、幅方向延在部10Bに幅方向延在部10Bの延在方向に沿うように連なって設けられている。そして、固定部72は、幅方向延在部10Bと前後方向延在部10Cとの境界部に、固定部74は、幅方向延在部10Bと前後方向延在部10Dとの境界部に、それぞれ配置されている。
【0077】
一方、補強リブ部42は、「固定部接続リブ部78、80、82、84、86、88、90」、固定部連結リブ部92、94、「壁部接続リブ部96、98、100」及び端部補強リブ部102、104、106、108を含んで構成されている。
【0078】
固定部接続リブ部78は、上壁部50から車両下方側に延びると共に板厚方向を車両幅方向とされた板状とされており、固定部64と前側壁部52とを繋いでいる。
【0079】
固定部接続リブ部80は、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両前後方向から見て固定部接続リブ部78と重なるように延びる板状とされており、固定部64と外側壁部56とを繋いでいる。また、固定部接続リブ部80の外側壁部56との境界部は、車両上下方向から見て外側壁部56における固定部接続リブ部80との境界部の接線方向に沿って延びる直線L1に沿うように配置されている。なお、ここでいう固定部接続リブ部80の外側壁部56との境界部が直線L1に沿うように配置される構成には、当該境界部が直線L1に対して僅かにずれるような構成も含まれる。
【0080】
固定部接続リブ部82は、上壁部50から車両下方側に延びると共に板厚方向を車両幅方向とされた板状とされており、固定部66と前側壁部52とを繋いでいる。
【0081】
固定部接続リブ部84は、上壁部50から車両下方側に延びると共に、車両上下方向から見て車両後方側でかつ車両幅方向外側から車両前方側でかつ車両幅方向内側に延びる板状とされており、固定部68と前側壁部52と内周壁部48を繋いでいる。また、固定部接続リブ部84の内周壁部48との境界部は、車両上下方向から見て内周壁部48における固定部接続リブ部84との境界部の接線方向に沿って延びる直線L2に沿うように配置されている。なお、ここでいう固定部接続リブ部84の内周壁部48との境界部が直線L2に沿うように配置される構成には、当該境界部が直線L2に対して僅かにずれるような構成も含まれる。
【0082】
固定部接続リブ部86は、上壁部50から車両下方側に延びる板状とされると共に、固定部70と外側壁部56とを繋いでいる。また、固定部接続リブ部86と外側壁部56との境界部は、車両上下方向から見て外側壁部56における固定部接続リブ部86との境界部の接線方向に沿う直線L3に沿うように配置されている。なお、ここでいう固定部接続リブ部86の外側壁部56との境界部が直線L3に沿うように配置される構成には、当該境界部が直線L3に対して僅かにずれるような構成も含まれる。
【0083】
固定部接続リブ部88は、上壁部50から車両下方側に延びると共に固定部72から固定部74側に延びる板状とされており、固定部72と後側壁部54とを繋いでいる。つまり、本実施形態では、固定部72が第1固定部として機能し、固定部接続リブ部88が第1リブ部として機能している。
【0084】
固定部接続リブ部90は、上壁部50から車両下方側に延びると共に固定部74から固定部72側に延びる板状とされており、固定部74と後側壁部54とを繋いでいる。つまり、本実施形態では、固定部74が第2固定部として機能し、固定部接続リブ部90が第2リブ部として機能している。また、後側壁部54は、接続壁部として機能している。
【0085】
固定部連結リブ部92は、上壁部50から車両下方側に延びると共に板厚方向を車両前後方向とされた板状とされており、固定部64と固定部66とを繋いでいる。
【0086】
固定部連結リブ部94は、上壁部50から車両下方側に延びると共に板厚方向を車両幅方向とされた板状とされており、固定部70と固定部72とを繋いでいる。
【0087】
壁部接続リブ部96は、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見て車両前方側が解放されたV字状に延びる板状とされており、前側壁部52と内周壁部48とを繋いでいる。
【0088】
壁部接続リブ部98は、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見て車両幅方向に延びる板状とされており、外側壁部56における固定部接続リブ部80との境界部と内周壁部48とを繋いでいる。
【0089】
壁部接続リブ部100は、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見て車両幅方向に延びる板状とされており、内周壁部48における固定部接続リブ部84との境界部と外側壁部58とを繋いでいる。
【0090】
端部補強リブ部102は、幅方向延在部10Aの端部10A4に設けられており、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見てY字状の板状とされている。この端部補強リブ部102は、前側壁部52、外側壁部56及び固定部64を繋いでいる。
【0091】
端部補強リブ部104は、幅方向延在部10Aの端部10A5に設けられており、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見てY字状の板状とされている。この端部補強リブ部104は、前側壁部52、外側壁部58及び固定部68を繋いでいる。
【0092】
端部補強リブ部106は、幅方向延在部10Bの端部10B2に設けられており、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見てY字状の板状とされている。この端部補強リブ部106は、後側壁部54、外側壁部56及び固定部72を繋いでいる。
【0093】
端部補強リブ部108は、幅方向延在部10Bの端部10B3に設けられており、上壁部50から車両下方側に延びると共に車両上下方向から見てY字状の板状とされている。この端部補強リブ部108は、後側壁部54、外側壁部58及び固定部74を繋いでいる。
【0094】
なお、上述した外周壁部46及び内周壁部48の各部位の厚さは、補強リブ部42の各部位の厚さよりも厚く設定されている。
【0095】
また、図1図3(A)及び図3(B)に示されるように、後側壁部54の中央部と内周壁部48との間の距離D1は、後側壁部54と固定部接続リブ部88、90との境界部と内周壁部48との間の距離D2に対して短い距離に設定されている。
【0096】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0097】
本実施形態に係る支持部材10は、図1及び図6に示されるように、固定部64、66、68、70、72、74を備えており、パワーユニットルーム16内に配置された機器を固定部64、66、68、70、72、74に固定することができる。また、本実施形態では、外周壁部46が、一対のフロントサイドメンバ20に対して支持されている。このため、本実施形態では、パワーユニットルーム16内に配置された機器を車体14に対して支持することができる。
【0098】
しかも、本実施形態では、支持部材10がダイキャスト製とされており、鋼板で構成された支持部材に比し、パワーユニットルーム16内に配置された機器に起因する振動や音を吸収することができる。
【0099】
ところで、パワーユニットルーム16内に配置された機器の自重等の荷重を分散するには、固定部64、66、68、70、72、74の周辺に放射状に延びるリブ部等を設けることが考えられる。しかしながら、このような構成は、支持部材10の構成の複雑化を招くこととなる。
【0100】
ここで、本実施形態では、一例として、固定部接続リブ部78によって外周壁部46と固定部64とが繋がれており、パワーユニットルーム16内に配置された機器から固定部64に入力される荷重が、固定部接続リブ部78及び外周壁部46に伝達される。その結果、固定部64の周辺に放射状に延びるリブ部等を設けることなく、パワーユニットルーム16内に配置された機器から固定部64に入力される荷重を分散して支持することができる。したがって、本実施形態では、支持部材10によってパワーユニットルーム16内の機器を安定して支持することができると共に、支持部材10の構成の簡略化を図ることができる。
【0101】
しかも、支持部材10の構成を簡略化することで支持部材10を製造する型の構成も簡略化することができるため、支持部材10の製造時における型内の湯流れを良好にすることができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、一例として、固定部接続リブ部80と外側壁部56との間で荷重が伝達されるとき、当該荷重は、固定部接続リブ部80及び外側壁部56に対して、外側壁部56における固定部接続リブ部80との境界部の接線方向に作用する。このため、固定部接続リブ部80と外側壁部56との間において固定部64からの荷重が円滑に伝達される。したがって、本実施形態では、支持部材10に、パワーユニットルーム16内の機器から入力される荷重による応力の集中箇所が発生することを抑制することができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、固定部72が固定部74側に延びる固定部接続リブ部88を介して、固定部74が固定部72側に延びる固定部接続リブ部90を介して、それぞれ外周壁部46の一部を構成する後側壁部54に繋がれている。このため、固定部72からの荷重と固定部74からの荷重とを外周壁部46における共通の部位に伝達させることができ、外周壁部46の単純化に寄与する。したがって、本実施形態では、支持部材10によってパワーユニットルーム16内の機器を複数個所で支持しつつ、支持部材10の構成の簡略化を図ることができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、外周壁部46が、前側壁部52、後側壁部54、外側壁部56及び外側壁部58を含んで構成されている。前側壁部52は、車両前方側に配置されており、後側壁部54は、車両後方側に配置されている。そして、前側壁部52及び後側壁部54は、支持パネル24及び支持ブラケット26を介して、それぞれ一対のフロントサイドメンバ20間に架け渡されている。
【0105】
また、外側壁部56は、車両幅方向一方側に配置されており、外側壁部は、車両幅方向他方側に配置されている。そして、外側壁部56、58は、それぞれ前側壁部52と後側壁部54との間に介在すると共に、車両前後方向に延びている。
【0106】
一方、車両上下方向から見て外周壁部46の内側には、車両上下方向から見て環状とされた内周壁部48が配置されている。そして、内周壁部48は、壁部接続リブ部96、98、100を介して外周壁部46と繋がれている。
【0107】
このため、本実施形態では、外周壁部46の車両前方側の部分と車両後方側の部分とを一対のフロントサイドメンバ20に対して支持することができる。すなわち、支持部材10は、車体14に対して車両前後方向に間隔をあけた2箇所で支持される。また、本実施形態では、内周壁部48で仕切られた中央側が車両上下方向から見て肉抜きされた状態となっている。したがって、本実施形態では、支持部材10が車両前後方向に離れた複数個所で車体14に対して支持されることでより安定してパワーユニットルーム16内の機器を支持することができると共に、支持部材10の軽量化を図ることができる。
【0108】
また、本実施形態によれば、後側壁部54、固定部接続リブ部88、固定部接続リブ部90及び内周壁部48の車両上方側に上壁部50が配置されており、上壁部50は、後側壁部54、固定部接続リブ部88、固定部接続リブ部90及び内周壁部48に繋がれている。このため、固定部72、74から入力される荷重を上壁部50にも分散させることができる。
【0109】
ところで、上壁部50には、固定部72、74側からの荷重が後側壁部54を介して入力されるため、後側壁部54と内周壁部48との間の距離が長いと当該荷重によって上壁部50に発生する曲げモーメントが大きくなることが考えられる。
【0110】
ここで、本実施形態では、後側壁部54の中央部と内周壁部48との間の距離D1が、後側壁部54と固定部接続リブ部88、90との境界部と内周壁部48との間の距離D2に対して短い距離に設定されている。このため、固定部72、74側からの荷重によって上壁部50に発生する曲げモーメントが大きくなることを抑制することができる。したがって、本実施形態では、パワーユニットルーム16内の機器から入力される荷重によって支持部材10に応力の集中箇所が発生することを抑制しつつ、当該荷重をより分散させることができる。
【0111】
また、本実施形態によれば、前側壁部52及び後側壁部54の車両幅方向の長さは、外側壁部56及び外側壁部58の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定されており、パワーユニットルーム16の車両前後方向の短縮化に対応することができる。
【0112】
ところで、固定部64、66、68、70、72、74から入力される荷重を分散するにあたって、固定部接続リブ部78、80、82、84、86、88、90は、外周壁部46において所定の方向に一定の長さを確保可能な箇所に繋がれていることが好ましい。
【0113】
ここで、本実施形態では、前側壁部52及び後側壁部54が車両上下方向から見て車両幅方向に延びると共に、上述したように、前側壁部52及び後側壁部54の車両幅方向の長さが外側壁部56及び外側壁部58の車両前後方向の長さよりも長い長さに設定されている。そして、固定部64から延びる固定部接続リブ部78、固定部66から延びる固定部接続リブ部82及び固定部68から延びる固定部接続リブ部84が前側壁部52に繋がれている。また、固定部72から延びる固定部接続リブ部88及び固定部74から延びる固定部接続リブ部90が後側壁部54に繋がれている。
【0114】
このため、固定部接続リブ部78、82、84、88、90が外側壁部56、58に繋がれているような構成に比し、固定部64、66、68、72、74から入力される荷重が分散しやすくなる。したがって、本実施形態では、車両12のフロントオーバハングの短縮化に寄与しつつ、パワーユニットルーム16内の機器を支持部材10で安定して支持することができる。
【0115】
加えて、本実施形態によれば、固定部64から延びる固定部接続リブ部80及び固定部70から延びる固定部接続リブ部86が、外側壁部56に繋がれており、固定部64、70から入力される荷重が外側壁部56に分散される。したがって、本実施形態では、パワーユニットルーム16内の機器を支持部材10によってより安定して支持することができる。
【0116】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、支持部材10が上壁部50を備えていたが、車両12の仕様等に応じて、支持部材10に上壁部50を設けない構成として、より支持部材10の軽量化を図るようにしてもよい。また、外周壁部46、内周壁部48及び補強リブ部42の形状も車両12の仕様等に応じて、種々の形状を採り得る。例えば、支持部材10の外殻部44の各部位の断面を円弧状とすると共に、補強リブ部42を当該断面の形状に対応するようにしてもよい。
【0117】
(2) また、上述した実施形態では、固定部72と固定部74とが、固定部接続リブ部88、90及び後側壁部54を介して繋がれていたが、これに限らない。支持部材10の形状等に応じて、例えば、固定部72と固定部74とを車両幅方向に直線的に延びる後側壁部54で繋いで、より支持部材10の軽量化を図るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10 車両用支持部材
12 車両
14 車体
16 パワーユニットルーム
20 フロントサイドメンバ
38 電源部(機器)
40 補器バッテリ(機器)
46 外周壁部
48 内周壁部
50 上壁部
52 前側壁部
54 後側壁部
56 外側壁部(第1外側壁部)
58 外側壁部(第2外側壁部)
64 固定部
66 固定部
68 固定部
70 固定部
72 固定部
74 固定部
78 固定部接続リブ部
80 固定部接続リブ部
82 固定部接続リブ部
84 固定部接続リブ部
86 固定部接続リブ部
88 固定部接続リブ部
90 固定部接続リブ部
96 壁部接続リブ部
98 壁部接続リブ部
100 壁部接続リブ部
L1 直線
L3 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7