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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】樹脂建材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/26 20060101AFI20230502BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20230502BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20230502BHJP
   E06B 3/20 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E06B1/26
B29C48/15
E06B1/32
E06B3/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019233151
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101083
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】大垣 博範
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-343579(JP,A)
【文献】特開2000-303743(JP,A)
【文献】特開2006-116732(JP,A)
【文献】特開2002-307616(JP,A)
【文献】特開2007-138614(JP,A)
【文献】特開2020-79531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 3/99
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル樹脂材料からなる基材と、未使用樹脂材料からなる表面層を有し、
基材は、少なくとも表面積の異なる二つの面を備えており、
二つの面のうち表面積が小さい方の面が有する未使用樹脂材料の表面層の厚さは、二つの面のうちの表面積が大きい方の面が有する未使用樹脂材料の表面層の厚さよりも小さい樹脂建材。
【請求項2】
基材が備える表面積の異なる二つの面は、ひとつの部材が備える異なる二つの面である請求項1に記載の樹脂建材。
【請求項3】
基材は、少なくとも一つの本体部材と、別体部材とからなり、
基材が備える異なる二つの面は、本体部材が備える面と別体部材が備える他の面である請求項1に記載の樹脂建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル樹脂材料を用いて形成された樹脂建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料によって表面層を形成してなる樹脂建材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-336453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す樹脂建材は、基材をリサイクル樹脂材料により形成することで、建具のコストダウンを図ることができる。
ところで、上記のような樹脂建材は、リサイクル樹脂の表面に未使用樹脂を合わせて共に押し出すことなどで形成するが、リサイクル樹脂からなる基材の表面に未使用樹脂を均一の厚さで押し出すことは難しく、特に、基材の表面積が広い面においては、層の薄い部分はリサイクル樹脂の色が透けてしまって色見が変わるなど意匠性に問題が生じる可能性がある。
【0005】
本実施形態の樹脂建具は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、リサイクル樹脂材料からなる基材に未使用樹脂材料からなる表面層を形成してなる樹脂建材について、未使用樹脂材料による表面層を適正厚さで形成することで、未使用樹脂材料を用いた良好な樹脂建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、リサイクル樹脂材料からなる基材と、未使用樹脂材料からなる表面層を有し、基材は、少なくとも表面積の異なる二つの面を備えており、二つの面のうち表面積が小さい方の面が有する未使用樹脂材料の表面層の厚さは、二つの面のうちの表面積が大きい方の面が有する未使用樹脂材料の表面層の厚さよりも小さい樹脂建材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、未使用樹脂材料を用いた良好な樹脂建材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る樹脂建具の竪断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る樹脂建具の横断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る樹脂建具の下枠の竪断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る樹脂建具の内障子の召合框の横断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る樹脂建具の外障子の召合框の上部拡大図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の横断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は竪框の竪断面図であり、(b)は竪框と上框との接合部分の図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は端部キャップの図であり、(b)は竪框と上框との接合部分の図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る樹脂建具の図であり、(a)は竪框と上框との接合部分の図であり、(b)は竪框の竪断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、図1,2に示す、枠体1の内周に、内、外障子2、3を開閉自在に支持してなる引違い窓の例を用いて説明する。
【0010】
(全体の構成)
本実施形態の引違い窓の枠体1は、合成樹脂等の樹脂材料からなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,13を四周組して形成されている。
内、外障子2、3は、それぞれ合成樹脂等の樹脂材料からなる上框21,31、下框22,32及び左右の竪框23,24,33,34を四周組してなる框体を形成し、框体の内周に複層ガラス等のパネル体25,35を保持して形成されている。
【0011】
(上枠部分の構成)
枠体1を構成する上枠11は、躯体開口部の内周に配置され、複数の中空部を備える上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部111bと、上枠本体部111aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部111cと、上枠本体部111aの室内寄りの内周面から下方に延びる中空形状の上内レール部111dと、上枠本体部111aの室外寄りの内周面から下方に延びる中空形状の上外レール部111eと、上枠本体部111aの外周面から外周方向に延びる取付片部111fと、上枠本体部111aの室内側から室内方向に延びるアングル部111gを有している。
そして、上枠11は、取付片部111f及びアングル部111gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0012】
内、外障子2,3を構成する上框21,31は、上框本体211,311と押縁212,312を有している。
上框本体211,311は、中空部を有する上框本体部211a,311aと、上框本体部211a,311aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部211b,311bと、上框本体部211a,311aの外周に形成され上枠11の上内レール部111d,上外レール部111eに案内される上レール案内部211c,311cを有しており、ガラス間口壁部211b,311bと押縁212,312によってガラス間口が形成されている。
【0013】
(下枠部分の構成)
枠体1を構成する下枠12は、躯体開口部の内周に配置され、複数の中空部を備える下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部121bと、下枠本体部121aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部121cと、下枠本体部121aの室内寄りの内周面から上方に延びる中空形状の下内レール部121dと、下枠本体部121aの室外寄りの内周面から上方に延びる中空形状の下外レール部121eと、下枠本体部121aの外周面から外周方向に延びる取付片部121fと、下枠本体部121aの室内側から室内方向に延びるアングル部121gを有している。
【0014】
下内レール部121d及び下外レール部121eの上端部位には、それぞれ金属材料からなる下レールR,Rが配置されている。
そして、下枠12は、取付片部121f及びアングル部121gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0015】
下枠12の室内側壁部121bと下内レール部121dの間及び下内レール部121dと下外レール部121eとの間には、カバー部材C,Cが配置されている。
【0016】
内、外障子2,3を構成する下框22,32は、下框本体221,321と押縁222,322と、戸車9,9を有している。
下框本体221,321は、中空部を有する下框本体部221a,321aと、下框本体部221a,321aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部221b,321bと、下框本体部221a,321aの外周に形成され下枠12の下内レール部121d,下外レール部121eに案内される下レール案内部221c,321cを有しており、ガラス間口壁部221b,321bと押縁222,322によってガラス間口が形成されている。
【0017】
戸車9,9は、下框22,32の下框本体部221a,321aに配置されており、下枠12の下内レール部121d及び下外レール部121eの上端部位に配置された下レールR,Rに案内される。
【0018】
(竪枠部分の構成)
枠体1を構成する左、右竪枠13,13は、躯体開口部の内周に配置される竪枠本体部131a,131aと、竪枠本体部131a,131aの室内側から内周方向に延びる室内側壁部131b,131bと、竪枠本体部131a,131aの室外側から内周方向に延びる室外側壁部131c,131cと、竪枠本体部131a,131aの室内寄りの内周面から内方方向に延びる中空形状の内突出部131d,131dと、竪枠本体部131a,131aの室外寄りの内周面から内方方向に延びる中空形状の外突出部131e,131eと、竪枠本体部131a,131aの外周面から外周方向に延びる取付片部131f,131fと、竪枠本体部131a,131aの室内側から室内方向に延びるアングル部131g,131gを有している。
【0019】
そして、左、右竪枠13,13は、取付片部131f,131f及びアングル部131g,131gをビス等の固定手段bにより固定することで、躯体開口部の内周に取り付けられる。
【0020】
内、外障子2,3を構成する戸先框24,33は、戸先框本体241,331と押縁242,332を有している。
戸先框本体241,331は、中空部を有する戸先框本体部241a,331aと、戸先框本体部241a,331aの室内側内周に形成されるガラス間口壁241b,331bと、戸先框本体部241a,331aの外周に形成される外周側溝部241c,331cを有している。
【0021】
そして、内、外障子2,3の閉鎖時には、内障子2の外周側溝部241cは、右竪枠13の内突出部131dを収容し、外障子3の外周側溝部331cは、左竪枠13の外突出部131eを収容する。
ガラス間口壁241b,331bと押縁242,332によってガラス間口が形成されている。
【0022】
内、外障子2,3を構成する召合框23,34は、召合框本体231,341と、押縁232,342と、カバー部材233,343を有している。
召合框本体231,341は、中空部を有する召合框本体部231a,341aと、召合框本体部231a,341aの室内側内周に形成されるガラス間口壁部231b,341bを有しており、ガラス間口壁部231b,341bと押縁232,342によってガラス間口が形成されている。
召合框本体部231a,341aの外周には、カバー部材233,343を取り付けるための溝状部231d,341dが形成されている。
【0023】
カバー部材233,343は、召合框23,34の外周面を覆う外周部233a,343aと、外周部233a,343aの見込み方向一方より内周方向に延びる見付部233b,343bを有しており、見付部233b,343bに気密材取付部及び煙返し片が形成されている。
カバー部材233,343は、外周部233a,343aの内周面に係合爪233c,343cが形成されており、召合框本体部231a,341aの外周に形成された溝状部231d,341dに係合爪233c,343cを係合することでカバー部材233,343が取り付けられ、内、外障子3、4の召合部に煙返し及び気密部が形成される。
【0024】
(樹脂枠材、樹脂框材の構成)
本実施形態の枠体1を構成する各枠材及び内、外障子2,3を構成する各框材等の建材は、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料からなる表面層を有して構成されている。
なお、リサイクル樹脂材料からなる基材の表面に未使用樹脂材料からなる表面層を有する樹脂建材は、例えばリサイクル樹脂材料を基材成形用のダイを用いて押出成形した基材の表面に未使用樹脂材料を供給し、さらに建材成形用のダイを用いて押出成形することで得ることができる。
以下、本実施形態の枠材(建材)及び框材(建材)の構成について、下枠12及び内障子2の召合框23を用いて説明する。
【0025】
-下枠の実施例-
本実施形態の下枠12は、図3に示すように、リサイクル樹脂材料からなる基材E121の表面に未使用樹脂材料からなる表面層Fが設けられて形成されている。
未使用樹脂材料からなる表面層Fは、基材E121の全表面に設けられていなくてもよく、本実施形態の下枠12においては、躯体開口部に下枠12が取付られた際に室内及び室外に露出する部位の表面に設けられている。
【0026】
下枠12の基材E121は、下枠12と同様の断面形状を有しており、下枠本体部E121aと、室内側壁部E121bと、室外側壁部E121cと、下内レール部E121dと、下外レール部E121eと、取付片部E121fと、アングル部E121gを有している。
【0027】
ここで、下枠12の基材E121は、例えば、下枠本体部E121a及び室外側壁部121cの室外側面A1や室外側壁部E121cの室内側面A2などの表面積の異なる複数の面を備えており、それら表面には未使用樹脂材料からなる表面層が形成されている。
【0028】
具体的には、下枠本体部E121a及び室外側壁部121cの室外側面A1に未使用樹脂材料からなる表面層F1が設けられ、室外側壁部E121cの室内側面A2に未使用樹脂材料からなる表面層F2が設けられ、室外側壁部E121cと下外レール部E121eとの間の下枠本体部E121aの上面A3に未使用樹脂材料からなる表面層F3が設けられ、下外レール部E121eの室外側面A4に未使用樹脂材料からなる表面層F4が設けられ、下外レール部E121eの室内側面A5に未使用樹脂材料からなる表面層F5が設けられ、下外レール部E121eと下内レール部E121dとの間の下枠本体部E121aの上面A6に未使用樹脂材料からなる表面層F6が設けられ、下内レール部E121dの室外側面A7に未使用樹脂材料からなる表面層F7が設けられ、下内レール部E121dの室内側面A8に未使用樹脂材料からなる表面層F8が設けられ、下内レール部E121dと室内側壁部E121bとの間の下枠本体部E121aの上面A9に未使用樹脂材料からなる表面層F9が設けられ、室内側壁部121bの室外側面A10に未使用樹脂材料からなる表面層F10が設けられ、室内側壁部E121bの上面A11に未使用樹脂材料からなる表面層F11が設けられ、下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12に未使用樹脂材料からなる表面層F2が設けられ、アングル部E121gの上面A13に未使用樹脂材料からなる表面層F13が設けられている。
【0029】
躯体開口部に下枠12が取付られた際に室内及び室外に露出しない下枠本体部E121a及びアングル部E121gの下面と取付片部E121fの表面には未使用樹脂材料からなる表面層は設けられていない。
【0030】
そして、本実施形態の下枠12においては、例えば、下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12に設けられた未使用樹脂材料による表面層F12の厚さt12とアングル部E121gの上面A13に設けられた未使用樹脂材料による表面層F13の厚さt13とを比べると、比較的小さい表面積を有するアングル部E121gの上面A13に形成された表面層F13の厚さt13は、下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12に形成された表面層F12の厚さt12よりも小さく形成されている。
【0031】
これは、リサイクル樹脂材料を押出成形した基材の表面に未使用樹脂材料を供給し、さらに押出成形するに際して、基材における表面積が大きな面は未使用樹脂材料による表面層を均一の厚みで形成することが難しいことから、表面積の比較的大きな面A12の表面層F12の厚さを、表面積の比較的小さな面A13の表面層F13の厚さよりも大きく形成したものである。
【0032】
すなわち、基材E121の下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12は、アングル部E121gの上面A13の表面積に比べて大きい表面積を有する面であるために、未使用樹脂材料による表面層F12の厚さt12がアングル部E121gの上面A13の表面層F13の厚さt13よりも大きく形成されている。
【0033】
以上の構成によって、基材が備える表面積の異なる複数の面のうち、比較的表面積の大きな表面に対して、未使用樹脂材料を無駄に使用することなく表面層を確実に設けることができ、表面層が薄くなりすぎて基材の色が透けることなどを抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施形態の下枠12において、未使用樹脂材料からなる表面層の厚みの関係は、下枠本体部E121a及び室内側壁部E121bの室内側面A12とアングル部E121gの上面A13との間のみに限定して採用されるものではなく、例えば下枠本体部E121a及び室外側壁部121cの室外側面A1に設けられる表面層F1と室外側壁部E121cの室内側面A2に設けられる表面層F2との間に採用するなど、下枠12の基材E121が備える表面積の異なるいずれの面の間に採用してもよい。
【0035】
特に、枠体1については、最も室内側にある見付け面A1及び最も室外側にある見付け面A12室外側の見付面は、常に人目につく比較的表面積の広い部位であることから、他の表面に比べて表面層F1,F12の厚さ寸法が大きいことが好ましい。
また、内、外障子2,3の閉鎖時に露出する部分である内周面(見込面)A6についても、同様の理由により、他の表面に比べて表面層F6の厚さ寸法が大きいことが好ましい。
【0036】
-召合框の実施例-
本実施形態の内障子2の召合框23は、図4に示すように、召合框23の本体部材である召合框本体231と、別体部材である押縁232及びカバー部材233を有しており、それぞれ基材E231,E232,E233の表面に未使用樹脂材料からなる表面層が設けられて形成されている。
なお、未使用樹脂材料からなる表面層は、基材E231,E232,E233の全表面に設けられていなくてもよく、本実施形態の内障子2の召合框23においては、露出する部位の表面にだけ設けられている。
【0037】
召合框本体231の基材E231は、中空部を有する召合框本体部E231aと、召合框本体部E231aの室外側内周に形成されるガラス間口壁部E231bを備えており、召合框本体部E231aの外周には、カバー部材233を係合する被係合部E231dが形成され、召合框本体部E231aの室内側内周には、押縁232を係合する被係合部E231eが形成されている。
【0038】
押縁232の基材E232は、中空形状の押縁本体部E232aと、押縁本体部E232aの外周に設けられ召合框本体部E231aの被係合部E231eに係合する係合片E232bを有しており、押縁本体部E232aの内周にガラスとの間を気密する気密片232cが設けられている。
【0039】
カバー部材233の基材E233は、召合框本体231の外周面を覆う外周部E233aと、外周部E233aの見込み方向室外側より内周方向に延びる見付部E233bを有しており、外周部E233aの内周面に召合框本体部E231aに形成された被係合部E231dに係合する係合爪E233cが形成されている。
【0040】
ここで、召合框本体231の基材E231、押縁232の基材E232、カバー部材233の基材E233は、例えば、召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21、押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23、カバー部材233の外周部E233aの外周側面A25などの表面積の異なる複数の面を備えており、それら表面には未使用樹脂材料からなる表面層が形成されている。
【0041】
具体的には、召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21に未使用樹脂材料からなる表面層F21が設けられ、召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22に未使用樹脂材料からなる表面層F22が設けられている。
召合框本体部E231aの外周面及び内周側面には、未使用樹脂材料からなる表面層は設けられていない。
【0042】
また、押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23及び内周側面A24に未使用樹脂材料からなる表面層F23,F24が設けられている。
押縁本体部E232aの室外側面及び係合片E232bの表面には、未使用樹脂材料からなる表面層は設けられていない。
【0043】
また、カバー部材233の外周部E233aの外周側面A25及び見付部E233bの室外側面A26に未使用樹脂材料からなる表面層F25,F26が設けられている。
外周部E233aの内周側面及び見付部E233bの室内側面には、未使用樹脂材料からなる表面層は設けられていない。
なお、見付部E233bの室外側面A26の気密材保持溝は、気密材が保持されることで露出しないので未使用樹脂材料からなる表面層は設けられなくてもよいが、気密材が設けられない場合など、必要に応じて未使用樹脂材料からなる表面層を設けてもよい。
【0044】
そして、本実施形態の召合框23においては、例えば、召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21に設けられた未使用樹脂材料による表面層F21の厚さt21と押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23に設けられた未使用樹脂材料による表面層F23の厚さt23を比べると、比較的小さい表面積を有する押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23に形成された表面層F23の厚さt23は、召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21に設けられた未使用樹脂材料による表面層F21の厚さt21よりも小さく形成されている。
【0045】
また、例えば、召合框本体231の召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22に設けられた未使用樹脂材料による表面層F22の厚さt22とカバー部材233の見付部E233bの室外側面A26に設けられた未使用樹脂材料による表面層F26の厚さt26を比べると、比較的小さい表面積を有するカバー部材233の見付部E233bの室外側面A26に設けられた未使用樹脂材料による表面層F26の厚さt26は、召合框本体231の召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22に設けられた未使用樹脂材料による表面層F22の厚さt22よりも小さく形成されている。
【0046】
すなわち、本体部材である召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21もしくは召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22は、別体部材である押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23もしくはカバー部材233の見付部E233bの室外側面A26の表面積に比べて大きい表面積を有する面であるために、召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21の表面層F21の厚さt21が押縁本体部E232aの室内側面A23の表面層F23の厚さt23よりも大きく、召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22の表面層F22の厚さt22がカバー部材233の見付部E233bの室外側面A26の表面層F26の厚さt26よりも大きく形成されている。
【0047】
なお、上記実施形態の召合框23において、未使用樹脂材料からなる表面層の厚みの関係は、本体部材である召合框本体231の召合框本体部E231aの室内側面A21と別体部材である押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23との間、もしくは召合框本体部E231a及びガラス間口壁部E231bの室外側面A22とカバー部材233の見付部E233bの室外側面A26との間にのみに限定して採用されるものではなく、例えば押縁232の押縁本体部E232aの室内側面A23に設けられる表面層F23とカバー部材233の外周部E233aの外周側面A25に設けられる表面層F25との間に採用するなど、召合框23を構成する基材が備えるいずれの面の間に採用してもよい。
【0048】
特に、内、外障子2,3の框については、内障子2の各框材の室内側見付け面及び外障子3の上框31、下框32及び左竪框33の室内側見付け面、及び、内障子2の上框21、下框22及び右竪框24の室外側見付け面及び外障子3の各框材の室外側見付け面は、常に人目につく比較的表面積の広い部位であることから、他の表面に比べて表面層の厚さ寸法が大きいことが好ましい。
【0049】
-未使用樹脂材料部分を覆うための他の構成-
以上、リサイクル樹脂を利用した樹脂建材について説明したが、リサイクル樹脂を利用した樹脂建材において、未使用樹脂による表面層の形成が困難もしくは非効率的な部位については、未使用樹脂からなるキャップ等の別部材によって露出を防いでもよい。
【0050】
例えば、図5(a)に示すように、外障子3の召合せ框34の外周面を召合せカバー343によって完全に覆うことができない場合がある。また、召合せ框34に対して切り欠きや加工を施した時などに、未使用樹脂F34が削られるなどして、リサイクル樹脂E34が露出する場合がある。
そのような場合、図5(b)に示すように、召し合せ框34のリサイクル樹脂E34が露出する部分を、振れ止め部品、カバー部材、止水板部材などの端部部品5でリサイクル樹脂E34の露出を防止してもよい。
【0051】
また、図6に示す開き建具のように、障子4の戸先框(右竪框)44の外周面に、ハンドル45aを操作することでロックピン45bを上下させてロックを可能にするスライドプレート45cをスライド可能に保持するためのスライドプレート溝44aが設けられることがある。
【0052】
戸先框44の外周面に設けられるスライドプレート溝44aは、図7(a)に示すように、大部分においてスライドプレート45cが配置されるので、スライドプレート溝44aのスライドプレート45cが配置される部位の内側の面は未使用樹脂の表面層がなくてもリサイクル樹脂は露出されない。
【0053】
しかし、図7(b)に示すように、スライドプレート45cは、戸先框44の全長にわたって配置されるものではないため、スライドプレート溝44aの上下領域xは、リサイクル樹脂E44が露出してしまう危険性があった。
そこで、本実施形態の樹脂建材からなる建具においては、スライドプレート溝44aの上下端部に端部キャップ6を装着可能に配置することでスライドプレート45cと協働してリサイクル樹脂E44の露出を防止している。
以下、端部キャップ6について、戸先框44の上部に配置される端部キャップ6を用いて説明する。
【0054】
本実施形態の建具の障子4は、上框41、下框及び左、右竪框43,44は、同じ断面形状をしており、框材の端部を45度の角度で切断して端面同士を当接し溶着などによって框組しており、障子4の外周面には、スライドプレート溝が形成されている。
【0055】
そして、図7(a),(b)に示すように、戸先框44のスライドプレート溝44aには、ロックピン45bを上下するためのスライドプレート45cが上下動自在に配置されているが、スライドプレート45cの上端部の移動領域yを含むスライドプレート溝44aの上方領域xにおいては、スライドプレート45cによってスライドプレート溝44aを完全に覆うことができなかった。
端部キャップ6は、スライドプレート溝44aの上方領域xを覆うために配置されるものである。
【0056】
障子4の角部に取付けられる端部キャップ6は、図8(a)に示すように、竪プレート6aと上プレート6bを有する断面略L字形状をしており、竪プレート6aの裏面には右竪框44のスライドプレート溝44aに挿入するスライド脚部6cが設けられており、上プレート6bの下面(裏面)には上框41の外周面に形成されたスライドプレート溝41aに嵌め込まれる係止部6dが設けられている。
端部キャップ6は、竪プレート6aの下方部分がスライド脚部6cの下端より下方に延びてヒレ部6eが形成されている。
【0057】
そして、端部キャップ6は、図8(b)に示すように、上框41と戸先框44との接合部に対して、スライド脚部6cが右竪框44のスライドプレート溝44aに上方より挿入されるように取り付けられる。
スライドプレート溝44aにスライド脚部6cが挿入された端部キャップ6は、やがて上プレート6bの下面に形成された係止部6dが上框41のスライドプレート溝41aに係合することで、図9(a),(b)に示すように、上框41と戸先框44との角部に固定される。
【0058】
上框41と右竪框(戸先框)44との角部に固定された端部キャップ6は、ヒレ部6eによってスライドプレート溝44aのスライドプレート45cの上端部の移動領域yを覆い、竪プレート6aとヒレ部6eによってスライドプレート溝44aの上方領域xを覆うことができる。
すなわち、上框41と右竪框44との角部に固定された端部キャップ6は、竪框44のスライドプレート溝44aのリサイクル樹脂E44が露出する部分を覆うことができる。
【0059】
以上の実施形態の樹脂建材の構成によって、複数の樹脂部材からなる樹脂建材についても、樹脂建材の基材が備える複数の面のうち、比較的表面積の大きな面に対して、未使用樹脂材料を無駄に使用することなく表面層を確実に設けることができ、表面層が薄くなりすぎて基材の色が透けることを抑制することができる。
【0060】
また、加工、製造上、未使用樹脂材料によって被覆することが効率的ではない部分などには、キャップ等を配置してリサイクル樹脂の露出を防止することができるので、未使用樹脂の節約ができ、また、生産性を低下させることを防止できる。
【0061】
なお、本実施形態においては、樹脂建材を構成する基材の表面のうち露出しない面には、未使用樹脂材料からなる表面層を設けていないが、必要に応じて設けてもよい。
【0062】
また、上記の技術は、樹脂建具を構成する枠体もしくは框体のいずれの部位に適用できるものである。また、樹脂建材に限定されることなく、アルミと樹脂を複合した建具の建材の樹脂部分においても適用できるものである。
また、上記の技術は、樹脂建材を構成する基材のすべての面について適用してもよいが、樹脂建材を構成する基材の任意の異なる二つの面についてのみ適用してもよい。
【0063】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
12 :下枠
E121 :下枠の基材
23 :召合框
231 :召合框本体(本体部材)
E231 :召合框本体(本体部材)の基材
232 :押縁(別体部材)
E232 :押縁(別体部材)の基材
233 :カバー部材(別体部材)
E233 :カバー部材(別体部材)の基材
A1~A26 :基材の面
F1~F26 :未使用樹脂材料の表面層
t12~t26:未使用樹脂材料の表面層の厚さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9