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特許7272959最適化されたビーム寸法を有するダイオードを使用したファイバ結合式ダイオードレーザにおけるパワーおよび輝度スケーリング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】最適化されたビーム寸法を有するダイオードを使用したファイバ結合式ダイオードレーザにおけるパワーおよび輝度スケーリング
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230502BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20230502BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/022
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019557547
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018013201
(87)【国際公開番号】W WO2018132498
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】62/444,773
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518055899
【氏名又は名称】エヌライト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】ヘメンウェイ,デヴィッド・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】カンスカー,マノジュ
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-114977(JP,A)
【文献】特開2009-170881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0323752(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295386(US,A1)
【文献】特開2000-323781(JP,A)
【文献】特開2013-235943(JP,A)
【文献】特開2016-062918(JP,A)
【文献】特表2009-520353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0064305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積重ね軸に関して所定の間隔を有するレーザダイオードのセットであって、それぞれのレーザダイオードは、1.62μmより小さい高速軸ビーム全幅または少なくとも48度の高速軸全幅ビーム広がりを有する放出ビームを生成する高速軸および低速軸を規定する放出領域を有し、レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に平行であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に直交する、レーザダイオードのセットと、
前記レーザダイオードのそれぞれに関連する高速軸コリメータ(FAC)であって、高速軸コリメータのそれぞれは共通焦点距離を有し、レーザダイオードのそれぞれの放出領域は、それぞれの高速軸コリメータに結合して、前記高速軸に沿ってコリメートされるそれぞれのビームを生成する、高速軸コリメータ(FAC)と、
前記高速軸コリメータから前記高速軸に沿ってコリメートされたビームである高速軸コリメートビームを受信し、前記所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる、円柱レンズの無限焦点望遠鏡と、
前記無限焦点望遠鏡から前記高速軸コリメートビームをビーム間にギャップがない状態で受信するために位置付けられる対物レンズと、
前記対物レンズから前記高速軸コリメートビームを受信するために位置付けられるコアを有する光ファイバとを備え
前記FACおよび前記対物レンズは焦点距離f FAC およびf をそれぞれ有し、前記ファイバにおける前記レーザダイオードの前記放出領域の倍率はf /Mf FAC であり、前記高速軸コリメートビームの高速軸開口数はNA FA =(d stair ×m×M)/(2×f )であり、ここで、mは前記セット内のレーザダイオードの数であり、d stair は所定間隔である、装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置において、Mは1.0より小さい、装置。
【請求項3】
請求項に記載の装置において、fFACは200μmから400μmの間であり、fは5mmから12mmの間であり、Mは0.9より小さい、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、レーザダイオードの前記セットの前記ダイオードのそれぞれは、800nm~1,000nmの波長範囲で放出し、レーザダイオードの前記セットは、1)少なくとも160Wの総光パワーを前記光ファイバ内に結合する7つのレーザダイオードの2つのセット、2)0.15より小さい開口数のビームにおける少なくとも200Wの総光パワーを、105μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する9つのレーザダイオードの2つのセット、3)0.18より小さい開口数のビームにおける少なくとも360Wの総光パワーを、105μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する15のレーザダイオードの2つのセット、または、4)0.18より小さい開口数のビームにおける少なくとも800Wの総光パワーを、200μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する24のレーザダイオードの2つのセットからなる、装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置において、前記光ファイバは105μmまたは200μmのコア径を有する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記所定の間隔は、200μmから1,000μmの間である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記レーザダイオードは、固定低速軸間隔を有するように低速軸方向に分配される、装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置において、レーザダイオードの前記セットの前記レーザダイオードのそれぞれに対応する反射体のセットを更に備え、それぞれの反射体は、それぞれのFACからビームを受信し、前記ビームを前記対物レンズに方向付けるために位置付けられるため、前記対物レンズにおける前記方向付けられたビームの伝搬軸は平行である、装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置において、前記FACからそれぞれの高速軸コリメートビームを受信し、受信したビームを更に前記低速軸に沿ってコリメートしてFAおよびSAコリメートビームを出力する低速軸コリメータ(SAC)のセットであり、前記FAおよびSAコリメートビームをそれぞれの反射体に方向付けるために位置付けられる低速軸コリメータ(SAC)のセットを更に備える、装置。
【請求項10】
互いに平行であるそれぞれの高速軸に沿って固定間隔を有するために位置付けられるレーザダイオードのセットであって、それぞれのレーザダイオードは、1.60μmより小さい高速軸ビームサイズまたは少なくとも48度の高速軸全幅ビーム広がりによって規定され、高速軸および低速軸を規定する放出領域を有し、レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行でかつ積重ね軸に平行であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に直交する、レーザダイオードのセットと、
前記セットの前記レーザダイオードのそれぞれに対応する高速軸コリメータ(FAC)および低速軸コリメータ(SAC)であって、FACのそれぞれは共通焦点距離fFACを有し、SACのそれぞれは共通焦点距離fSACを有し、FACおよびSACは、前記レーザダイオードのそれぞれの放出領域から放出される光ビームをコリメートするために位置付けられる、高速軸コリメータ(FAC)および低速軸コリメータ(SAC)と、
円柱レンズの無限焦点望遠鏡であり、コリメートビームを受信し、前記所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる、無限焦点望遠鏡であって、該無限焦点望遠鏡で生成される出力ビームはギャップによって分離されていない、前記無限焦点望遠鏡と、
前記無限焦点望遠鏡から前記出力ビームを受信し、前記出力ビームを焦点に方向付けるために位置付けられる対物レンズとを備え
前記FACおよび前記対物レンズは焦点距離f FAC およびf をそれぞれ有し、前記ファイバにおける前記レーザダイオードの前記放出領域の倍率はf /Mf FAC であり、前記高速軸コリメートビームの高速軸開口数はNA FA =(d stair ×m×M)/(2×f )であり、ここで、mは前記セット内のレーザダイオードの数であり、d stair は所定間隔である、光ビーム源。
【請求項11】
請求項10に記載の光ビーム源において、前記対物レンズの前記焦点に位置付けられる入力表面を有する光ファイバを更に備える、光ビーム源。
【請求項12】
請求項11に記載の光ビーム源において、前記光ファイバは、50μmから1.0mmの間のコア径を有する、光ビーム源。
【請求項13】
請求項10に記載の光ビーム源において、複数の熱伝導性段差を有するレーザダイオードマウントを更に備え、前記レーザダイオードのそれぞれは、それぞれの段差に留められて、それぞれの高速軸に沿って離間して配置される、光ビーム源。
【請求項14】
請求項10に記載の光ビーム源において、前記レーザダイオードはフレア式レーザダイオードである、光ビーム源。
【請求項15】
レーザダイオードマウントの所定の段差高さに基づいて、選択された数のレーザダイオードからの放出ビームを光ファイバ内に結合するために、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択するステップと、
前記選択された数のレーザダイオードを前記所定の高さに位置付けるステップと、
前記レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームからコリメートビームを生成するために、低速軸および高速軸コリメーションレンズを位置付けるステップと、
前記コリメートビームを前記光ファイバ内に方向付けるために、及び前記コリメートビームが対物レンズのところでギャップによって分離されていないように、高速軸望遠鏡および対物レンズを位置付けるステップとを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記放出ビーム高速軸広がり、前記放出ビーム高速軸サイズ、および前記高速軸導波路厚の少なくとも1つは、前記光ファイバの開口数に基づいて選択される、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、前記段差高さは200μmから1,000μmの間であり、前記高速軸望遠鏡の倍率は1より小さい、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、前記光ファイバのコア径に基づいて前記放出ビームの高速軸倍率を選択するステップを更に含む、方法。
【請求項19】
高速軸方向に沿う固定分離および或る数のレーザダイオードに基づいて、選択された電力、選択された開口数、または両方を有する結合式ビームを光ファイバ内に結合するために、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、または高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択するステップと、
前記数のレーザダイオードを前記固定分離に位置付け、前記レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームを、対応する高速軸および低速軸コリメータ、高速軸望遠鏡、および対物レンズによって前記光ファイバに方向付けるステップであって、前記放出ビームが前記対物レンズのところでギャップによって分離されていないステップとを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記放出ビーム高速軸サイズは1.60μmより小さい、または、前記高速軸ビーム広がりは48度より大きい、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、低速軸BPPが最大許容可能ファイバBPPより小さくなるように低速軸寸法を選択するステップを更に含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、低速軸寸法は、前記レーザダイオードの1つまたは複数のレーザダイオードの光損傷に関連する閾値に基づいて選択される、方法。
【請求項23】
共通高速軸方向に沿って段差高さを選択するステップと、
前記選択された段差高さに基づいて、共通高速軸ビーム径および共通高速軸ビーム広がりを選択するステップと、
ビームをギャップによって分離することなく、出力ファイバコア径および開口数に対応する結合式のビーム高速軸ビーム径およびビーム広がりを有する結合式ビームを生成するために、前記段差高さだけ離間して配置され、前記共通高速軸ビーム径および前記共通高速軸ビーム広がりを有するレーザダイオードのセットのそれぞれからのビームを、それぞれの高速軸コリメータ、高速軸望遠鏡、および対物レンズによって前記共通高速軸方向に沿って整形し、前記結合式ビームが、前記出力ファイバコア径および開口数に対応する結合式のビーム低速軸ビーム径およびビーム広がりを有するように、レーザダイオードの前記セットのそれぞれからのビームを、それぞれの低速軸コリメータおよび前記対物レンズによって低速軸方向に沿って整形するステップとを含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、レーザダイオードの前記セットの前記ビームは、前記対物レンズのアパーチャの一部分を満たすために結合される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月10日に出願された米国仮出願第62/444,773号の利益を主張し、その出願は参照によりその全体を組込まれる。
【0002】
本開示はマルチエミッタ・レーザダイオードシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバレーザポンピングおよび材料処理等の用途についてファイバ結合式ハイパワー高輝度ダイオードレーザについての大きな需要が存在する。参照により本明細書に組込まれる米国特許第8,891,579号、米国特許第9,455,552号、および米国公報第2016/0181762号に記載されるような、幾つかのアプローチにおいて、複数の単一エミッタダイオードレーザが、高速軸に沿って積重ねられて、パワースケーリングおよび輝度改善を達成する。パッケージパワーを更にスケーリングする1つの方法は、高速軸方向により多くのエミッタを付加することである。しかしながら、エミッタを付加することは、高速軸開口数(NA)を増加させるため、同じNAにおけるパワーを更に増加させない。したがって、パワースケーリングのために高速軸に積重ねられるエミッタの数を増加させかつ高速軸イメージサイズおよびNAをファイバアパーチャにおいて不変に維持し得る、または、等価的に、輝度改善が達成されるように高速軸ビームパラメータ積BPP(:beam-parameter-product)を維持し得ることが所望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、概して、光ファイバ内に結合できるビームの数が、より大きい広がりを有する放出ビームを使用して増加されることを可能にし、したがって、増加した結合式ビームパワーを提供する方法および装置に関する。代替的に、固定数のエミッタを用いて、開口数がより小さい状態で出力ビーム内のより少数のビームによって総光パワーを維持できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの例において、装置は、積重ね軸に関して所定の間隔を有するレーザダイオードのセットを備え、それぞれのレーザダイオードは、1.62μmより小さい高速軸ビーム全幅を有する放出ビームを生成する高速軸および低速軸を規定する放出領域を有する。レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行でかつ積重ね軸に直交であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ積重ね軸に直交する。高速軸コリメータ(FAC)は、レーザダイオードのそれぞれに関連し、高速軸コリメータのそれぞれは共通焦点距離を有する。レーザダイオードのそれぞれの放出領域は、それぞれの高速軸コリメータに結合して、高速軸に沿ってコリメートされるそれぞれのビームを生成する。無限焦点望遠鏡(高速軸望遠鏡またはFAT(:fast axis telescope)とも呼ばれる)は、高速軸コリメータから高速軸コリメートビームを受信し、所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる。対物レンズは、無限焦点望遠鏡から高速軸コリメートビームを受信し、結合済みビームを光ファイバのコアに送出する。通常、FACおよび対物レンズは焦点距離fFACおよびfをそれぞれ有し、Mは高速軸方向におけるFATの倍率であり、ファイバにおけるレーザダイオードの放出領域の倍率はf/MfFAである。典型的な例において、Mは0.8より小さく、fFACは、100μmから1,000μmの間、250μmから600μmの間、200μmから400μmの間であり、fは5mmから12mmの間である。特定の例において、レーザダイオードのセットは、少なくとも160Wの総パワーを光ファイバ内に結合する7つのレーザダイオードの2つのセットからなる。光ファイバは、50μm、105μm、または200μmのコア径を有し、高速軸間隔は400μmから450μmの間である。典型的な実施形態において、レーザダイオードは、固定間隔を有するように低速軸方向に沿って分配される。なお更なる例において、レーザダイオードのセットのレーザダイオードのそれぞれに対応する反射体のセットは、それぞれのFACからビームを受信し、ビームを対物レンズに方向付けるために位置付けられるそれぞれの反射体を含むため、対物レンズにおける方向付けられたビームの伝搬軸は平行である。通常、低速軸コリメータ(SAC:slow axis collimator)のセットは、FACからそれぞれのビームを受信し、FAおよびSAコリメートビームをそれぞれの反射体に方向付けるために位置付けられる。
【0006】
光ビーム源は、互いに平行であるそれぞれの高速軸に沿って固定間隔を有するように位置付けられるレーザダイオードのセットを備え、それぞれのレーザダイオードは、1.6μmより小さい全幅を有する高速軸ビームによって規定され、高速軸および低速軸を規定する放出領域を有し、レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ高速軸に直交する。セットのレーザダイオードのそれぞれに対応する高速軸コリメータ(FAC)および低速軸コリメータ(SAC)は、レーザダイオードのそれぞれの放出領域から放出される光ビームをコリメートするために位置付けられる。FACのそれぞれは共通焦点距離fFACを有し得、SACのそれぞれは共通焦点距離fSACを有し得る。無限焦点望遠鏡は、コリメートビームを受信し、所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる。対物レンズは、無限焦点望遠鏡からビームを受信し、ビームを焦点に方向付けるように位置付けられる。入力表面を有する光ファイバは対物レンズの焦点に位置付けられる。特定の例において、光ファイバは、50μmから1.0mmの間のコア径を有する。他の例において、レーザダイオードのそれぞれは、複数の段差を有するレーザダイオードマウントのそれぞれの段差に留められて、それぞれの高速軸に沿って均等に離間して配置される。
【0007】
方法は、レーザダイオードマウントの所定の段差高さに基づいて、選択された数のレーザダイオードからの放出ビームを光ファイバ内に結合するために、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択することを含む。選択された数のレーザダイオードは所定の高さに位置付けられ、低速軸および高速軸コリメーションレンズは、レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームからコリメートビームを生成するように位置付けられる。高速軸望遠鏡および対物レンズは、コリメートビームを光ファイバ内に方向付けるために位置付けられる。幾つかの例において、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、および高速軸導波路厚の少なくとも1つは、光ファイバの開口数に基づいて選択される。典型的な例において、段差高さは400μmから1500μmの間であり、高速軸望遠鏡の倍率は1より小さい。幾つかの実施形態において、放出ビームの高速軸倍率は、光ファイバのコア径に基づいて選択される。
【0008】
他の例において、方法は、高速軸方向に沿う固定分離および或る数のレーザダイオードに基づいて、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、または高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択することであって、それにより、選択された電力、選択された開口数、または両方を有する結合式ビームを光ファイバ内に結合することを含む。レーザダイオードは固定分離に位置付けられ、レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームは、対応する高速軸および低速軸コリメータ、高速軸望遠鏡、および対物レンズによって光ファイバに方向付けられる。典型的な例において、放出ビーム高速軸サイズは1.60μmより小さい。
【0009】
開示される技術の、上記および他の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複数のエミッタからのビームを光ファイバ内に結合するマルチエミッタ組立体を示す図である。
図2図2Aは3つのレーザビームのスタックがビーム圧縮器によって圧縮される代表的なレーザダイオード組立体を示す図である。図2Bは入力ビームスタックを示す図である。図2Cは圧縮されたビームスタックを示す図である。
図3A】2つのビームスタックが偏光多重化を使用して形成され、2つのビームスタックがビーム圧縮器を使用して圧縮されるレーザダイオード組立体を示す図である。
図3B】圧縮前のビームスタックを示す図である。
図3C】圧縮後のビームスタックを示す図である。
図3D】代表的な階段段差レーザダイオードマウントを示す図である。
図3E】圧縮前の梁間ギャップなしのビームスタックを示す図である。
図3F】圧縮後の梁間ギャップなしのビームスタックを示す図である。
図4】複数のレーザダイオードビームを光ファイバ内に結合する方法を示す図である。
図5図5Aは3つのレーザダイオードからのビームが対物レンズアパーチャを満たすために結合されるマルチエミッタ配置構成を示す図である。図5Bは3つのレーザダイオードからのビームが対物レンズアパーチャを満たすために結合されるマルチエミッタ配置構成を示す図である。図5Cは3つのレーザダイオードからのビームが対物レンズアパーチャを満たすために結合されるマルチエミッタ配置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来のマルチエミッタ・レーザダイオードシステムは、概して、複数のエミッタからのビームを結合することによって大きい出力パワーを達成しようと試みる。ハイパワー動作の場合、比較的厚い半導体利得領域が使用されて、パワー密度を低減し、それにより、長期で損傷なしのエミッタ動作を可能にする。ビーム結合は、比較的大きいエミッタ高速軸開口数によって制限される可能性があり、増加したパワーおよび損傷抵抗を提供するための利得領域厚の増加は、低減した高速軸開口数を生成し、ビーム結合光学部品を簡略化する。本開示は、従来のアプローチと対照的に、より薄い利得領域およびより高い高速軸開口数が、より多くのエミッタからのパワーをビーム送出ファイバ内に結合することを可能にし、したがって、より高いビームパワーを提供することを認識するアプローチを採用する。そのため、従来のアプローチを無視することは、以下で論じるように優れたマルチエミッタレーザダイオードを可能にする。
【0012】
本出願および特許請求項において使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途はっきりと(clearly)指示しない限り、複数形を含む。さらに、用語「含む(includes)」は「備える(comprises)」を意味する。
【0013】
本明細書で述べるシステム、装置、および方法は、いずれの点でも制限的であるとして解釈されるべきでない。代わりに、本開示は、単独でならびに互いとの種々の組合せおよび部分的組合せで、種々の開示される実施形態の全ての新規のおよび非自明の特徴および態様を対象とする。開示されるシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様または特徴あるいはその組合せに限定されないし、システム、方法、および装置は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在することまたは問題が解決されることを必要としない。
【0014】
開示される方法の幾つかのオペレーションは、便宜的な提示のために特定の逐次的順序で述べられるが、以下で述べる特定の言語によって特定の順序付けが必要とされない限り、説明のこの方法は再配置を包含することが理解されるべきである。例えば、順次に述べるオペレーションは、幾つかの場合に再配置されてもよいまたは同時に実施されてもよい。さらに、簡潔にするために、添付図面は、開示するシステム、方法、および装置を他のシステム、方法、および装置と連携して使用し得る種々の方法を示さない場合がある。さらに、説明は、開示する方法を述べるために、「生成する(produce)」および「提供する(provide)」のような用語を時として使用する。これらの用語は、実施される実際のオペレーションの高レベル抽象化である。これらの用語に対応する実際のオペレーションは、特定の実装態様に応じて変化することになり、当業者によって容易に識別可能である。
【0015】
本開示の装置または方法を参照して本明細書で提示されるオペレーションの理論、科学的原理、または他の理論的説明は、よりよい理解のために提供されており、範囲を制限することを意図されない。添付特許請求項における装置および方法は、オペレーションのこうした理論によって述べる方法で機能する装置および方法に限定されない。
【0016】
以下の説明において、レーザビームまたは他の伝搬光放射は、1つまたは複数の軸に沿う伝搬を指す。本明細書で使用するとき、こうした軸は、プリズムまたはミラー等の光学要素を使用して屈曲され得るまたは折り畳まれ得るリニア軸を指す。幾つかの例において、円柱レンズまたは球レンズ等の光学要素は、レンズが、湾曲の表面中心を通って方向付けられる中心軸を有することを示すために、心出しされているまたはオンアクシスであると呼ばれる。他の例において、オフアクシスレンズまたはレンズセグメントが使用され得る。レンズ中心厚は、湾曲の表面中心を通って延在する主軸に沿って切取られたレンズ厚を指す。開示する例において、表面湾曲が、概して、円柱または球面に対応するが、より複雑な湾曲が使用され得る。非球面等のこうしたより複雑な表面の場合でさえ、湾曲の表面半径は、概して、オンアクシス曲率に基づいて規定されるが、オフアクシス表面形状はこの曲率に従わない。光学表面は反射防止または他のコーティングを備え得るが、こうしたコーティングは、開示する例から省略される。ビーム、表面、および軸は、概して、約1度、2度、または5度以内にある場合、平行であると言及される。
【0017】
本明細書において、通常、選択された導波路厚、屈折率、および屈折率差を有するエピタキシャル導波路設計を選択することによって、単一エミッタレーザダイオード放出領域の適切な高速軸寸法の選択に基づくレーザパッケージ輝度スケーリングを可能にし得る、システム、方法、および装置が開示される。レーザダイオードは、概して、放出領域が薄いが細長くなるような1つまたは複数のエピタキシャル層によって規定される。エピタキシャル層厚寸法に平行な軸は、本明細書で高速軸(FA:fast axis)と呼ばれる。その理由は、放出ビームがこの方向により大きい広がりを有するからである。通常、FA方向の放出は、回折限界を受け、放出ビーム開口数は、ビーム波長と放出領域厚の比に比例する。エピタキシャル層に平行な軸は本明細書で低速軸(SA:slow axis)と呼ばれる。その理由は、放出ビームが、高速軸に比べて、この方向により少ない広がりを有するからである。ほとんどの例において、低速軸に沿って、放出ビームは、単一モードに対応せず、複雑な強度分布を有し得る。一方、高速軸に沿って、ビーム強度はほぼガウシアンである。便宜上、高速軸および低速軸に関するビーム広がりおよび寸法は、高速/低速軸開口数あるいは高速/低速軸角度半径または直径と呼ばれる。ビーム寸法は、高速/低速軸ビーム直径、半径、または幅と同様に呼ばれる。ビーム寸法は、1/e強度または振幅あるいは他の値に基づき得、全幅または半幅であり得る。以下の図面および説明において、低速軸方向におけるビーム操作は、高速軸特徴を強調するために論じられない場合がある。
【0018】
幾つかの例において、放出ビームは、1/e強度または振幅に対応する寸法に基づいて特徴付けられる。放出ビームは、有効放出エリアおよび寸法、または、放出波長とビーム寸法または放出エリア寸法との比に対応する角度寸法を参照して同様に述べられ得る。典型的な例において、>50°の高速軸広がり(1/eパワーにおけるFW)を有するレーザダイオードがダイオードレーザアレイに積重ねられる。固定の高速軸コリメータ(FAC:fast axis collimator)および階段高さの場合、より大きい高速軸広がりが、FAC、低速軸コリメータ(SAC)、焦点距離および高速軸望遠鏡(FAT)によって生成される結合式コリメートビームにおいてより高いフィルファクタ/より少ないデッドスペースを可能にする。ビーム広がりは、概して、ビーム波長、ビーム放出エリアの寸法、および導波路屈折率の関数である。特定の広がり角度は、ビーム波長および放出領域特徴に基づいて選択され得る。ほとんどの例において、800nmから1,000nmの間の波長で放出するレーザダイオードが使用されるが、200nmから2,000nmの間の任意の利用可能な波長範囲または任意の他の範囲が使用され得る。
【0019】
図1は、代表的なマルチエミッタシステムの所定の部分を示す。便宜的な例証のために、3つのエミッタおよび関連する光学要素が詳細に示されるが、更なるエミッタおよび関連する光学要素が、概して含まれ、図1において破線で示される。図1に示すように、レーザダイオード102A~102Cは、高速軸方向(図1においてX方向として示す)に沿って共通距離dstairだけ離間して配置され、高速軸角度半径θFAを有するビームを放出する。レーザダイオード102A~102Cは、通常、Y方向に(図1の平面に垂直に)オフセットするが、こうした変位は図1に示されない。それぞれの高速軸コリメータ(FAC)106A~106Cは、レーザダイオード102A~102Cからビームを受信し、軸107A~107Cに沿って方向付けられるコリメートビーム108A~108Cを生成する。無限焦点望遠鏡(ビームエキスパンダまたは高速軸望遠鏡(FAT)とも呼ばれる)110は、ビームを受信し、圧縮出力ビーム112A~112Cを生成する。対物レンズ116は、その後、出力ビーム112A~112Cを光ファイバ120のコア118内に集束させるまたはその他の方法で方向付ける。圧縮出力ビーム112A~112Cに対応する集束ビームによって形成される結合式ビームは、mMdstair/2fに比例する開口数(NA)を有するコア118に方向付けられる。ここで、MはFAT倍率であり、mはエミッタの総数であり、fは対物レンズ116の焦点距離である。典型的な実用的な例において、倍率M<1は、円柱レンズに基づく無限焦点望遠鏡によって高速軸に沿ってのみ適用される。集束済みで圧縮済みのビームの高速軸角度半径は、約MfFACθFA/fであり、レーザダイオード102A~102Cのそれぞれの放出領域の高速軸倍率は、角度半径と高速軸高さとの積が一定のままであるように約f/MfFACである。対物レンズ116は、概して、圧縮ビーム112A~112Cをファイバ120の表面122に集束させるために位置付けられる。図1に示すように、レーザダイオード102A~102Cは、共通広がりを有するビームを生成し、FAC106A~106Cは共通焦点距離を有する。レーザダイオード102A~102Cのそれぞれの放出領域の高速軸倍率は、約f/MfSACであり;低速軸ビームサイズは、概して、FATによって不変である。
【0020】
図1の例において、レーザダイオード102A~102Cからの放出ビームは、レンズアパーチャを満たすように示され、FAレンズアパーチャが満たされない場合、更なるエミッタおよび関連する光学部品が、任意のギャップを満たすために位置付けられて、結合式光パワーを増加させ得る。ほとんどの場合、ビームは、クリッピングを回避するためにFACを少し少なめに満たすように配置される。
【0021】
図1に示すようなマルチエミッタシステムにおいて、出力ファイバの入力表面における高速軸イメージスポットサイズは、
【数1】

として表され得る。ここで、BFAは高速軸方向における放出ダイオードビームサイズであり、fおよびfFACはそれぞれ対物レンズおよびFACの焦点距離であり、Mは高速軸望遠鏡(FAT)の倍率である。高速軸NAFAは、1次近似に対して、ダイオード高速軸ビームサイズまたはFACレンズ焦点距離に無関係である:
【数2】

ここで、dstairはダイオードレーザ階段(積重ね)高さであり、mは高速軸方向に積重ねられるダイオードレーザの数である。そして、高速軸ビームパラメータ積(BPPFA)は:
【数3】

である。
【0022】
高速軸におけるファイバ結合式輝度を増加させるために、積重ねられるダイオードレーザの数は増加され、したがって、高速軸BPPを一定かつ最大許容可能ファイバBPP未満に維持しながらパワーを増加させ得る。
【0023】
階段高さは、dstair2=dstair1×m/mであるようなdstair2まで低減され得る。ここで、mおよびmは、dstair1、dstair2にそれぞれ関連する積重ねられたエミッタの数である。残念ながら、このアプローチは、高速軸間隔dstairを提供する基板に対する変更を必要とする。こうした基板は、製造するのが難しいまたは費用がかかる可能性があり、種々の数のエミッタを有するマルチエミッタシステムについて共通高速軸間隔dstairを有する同じまたは同様の基板を使用することがしばしば好ましい。エミッタ高速軸間隔dstairは、通常、約250μmから1.0mmの間、または、約400μmから500μmの間であり、実際には、±10μm、±20μm、±50μmの公差に対して製造され、幾つかの場合に、費用のかかる材料または処理するのが難しい材料で作られる。幾つかの例において、100μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μmm、450μm、500μm、550μm、600μm、750μm、800μm、900μm、または1000μmの固定間隔、あるいは約75μmから約5mmの範囲の他の間隔が、種々の数のエミッタのために使用される。そのため、高速軸間隔の変更を必要としない高速軸に沿うエミッタ積重ねを増加させるためのアプローチが好ましい。代替的に、fFAC2=fFAC1×m/mかつM=M×m/mであるように、FAC焦点距離が増加され、その後、FAT倍率が低減され得る。これは、特別なFAC設計を必要として、特別なFAC設計は、複雑であり得、いずれの場合も、異なる取付けおよび組立て材料およびプロシージャを必要とし得る。そのため、FACに対する変更を必要としないアプローチが、特に、共通の光学的および機械的コンポーネントを使用して異なる数のエミッタを有するシステムを製造するために好ましい。
【0024】
便宜的な製造可能性およびスケーラビリティについて、高速軸ビームサイズおよびFAT倍率は、BFA2=BFA1×m/mかつM=M×m/mであるように低減され得る。上記で述べた他のアプローチと比較して、これは、光学設計アーキテクチャまたは光学アライメントおよび作製プロセスに対してほとんどまたは全く変更を必要としない;高速軸ビームサイズは、エミッタエピタキシャル層設計によって制御され得る。ダイオードレーザの高速軸ビーム寸法を低減することは、低ビームNAのために高速軸BPPを低減することを可能にする、または、ハイパワー/高輝度のために同じBPPに関してエミッタカウントを増加させることを可能にする。単一エミッタ高速軸BPPと、高速軸において積重ねられるダイオードレーザの数の積は、通常、ファイバによって許容される最大高速軸BPPより小さい。すなわち、m×BPPSE<BPPFAである。ここで、mは積重ねられるエミッタの数であり、BPPSEは単一エミッタBPPであり、BPPFAはファイバBPPである。パワー損失および信頼性の低減をもたらす場合があるビームクリッピングの対価を払って、より多くの単一エミッタが、積重ねられ、ファイバ内に結合され得る。
【0025】
幾つかの代表的な例は、以下の表において要約され、以下の表は、より大きい初期高速軸ビームサイズに基づく従来のマルチエミッタシステムのためのパラメータを同様に含む。表のシステムは、偏光、波長、または他の多重化方法を使用して高速軸積重ね式エミッタの2つのセットを結合することに基づき、エミッタの総数は2×7または2×8として表される。表は、低速軸(SA)ビームサイズを同様に含み、同じSA特性が代表的な例において使用される。FAイメージサイズはBFA/(fFACM)として決定され得る。これらの例において、放出波長は約0.9μmであるが、他の波長における同様のシステムが設けられ得る。典型的な波長範囲は約250nmから約2.0μmに及ぶ。
【0026】
【表1】
【0027】
表1から明らかであるように、薄い(または高NAの)エミッタが使用されて、高速軸に沿うレーザダイオードの間隔が固定の場合でも、更なるエミッタからのパワーを結合することによってファイバ結合式パワーを増加させ得る、または、エミッタの数を増加させることなく、同じパワーを提供しながら、出力ファイバにおいてビームNAを低減し得る。1.60μm、1.58μm、1.56μm、1.54μm、1.52μm、1.50μm、1.48μm、1.46μm、1.44μm、1.42μm、1.40μm、1.38μm、1.36μm、1.34μm、1.32μm、1.30μm、1.28μm、またはそれより小さい値未満の放出高速軸ビームサイズ(1/eにおけるFW)、または、約1.70μmから1.20μmの間の任意のサイズ、または、こうしたビームサイズに対応する広がりを有する放出ビームが使用され得る。典型的な放出ビーム全幅広がり(1/eビームパワー)は、36、38、40、42、44、46、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、59度、またはそれより大きい値である。典型的なFAT倍率は、0.9、0.85、0.8、0.75、0.7、0.6、0.55、0.5、0.45、0.4、0.35、0.30、またはそれより小さい値、あるいは、0.25から1.0の間の任意の値である。一例において、0.34の倍率が使用される。
【0028】
高速軸ビームサイズの低減を通して輝度スケーリングする上記方法は、特定の低速軸寸法を必要とせず、種々の低速軸幅を有するレーザダイオードを使用してファイバ結合式ダイオードレーザパッケージにおいて適用され得る。従来の理解によれば、破滅的光ミラー損傷(COMD:catastrophic optical mirror damage)の可能性は、上述したようなシステムにおいて1エミッタごとに所与のパワーにおいて増加することになる。ファセットCOMDによって制限される最大CWダイオードパワーは:
【数4】

として表され得る。ここで、dQWはアクティブな層厚であり、Γは高速軸モーダル制限ファクターであり、dQW/Γは有効高速軸モーダルサイズであり、Wは低速軸ビーム幅であり、RはPRファセット(出力カプラー)反射率であり、
【数5】

はCOMDパワー密度である。高速軸ビームサイズのみを低減することは、それだけで、最大ダイオードパワーを低減する、または、同じパワーレベルで働くCOMDの可能性を増加させることになる。幾つかの例において、低速軸ビーム幅を増加させることは、匹敵するファセット信頼性のために、高速軸ビームサイズの低減を補償し得る。低速軸輝度を犠牲にすることなく、高いファセット信頼性を達成するために、より広い低速軸ビーム幅を有するが、同じかまたは更に低い低速軸BPPを有するレーザダイオード設計が好ましい。例えば、特定のSAビームサイズは、米国特許第9,166,369号に記載される、いわゆるフレア式レーザダイオードにおいて選択され得、その特許は参照によって本明細書に組込まれる。フレア式レーザダイオードは、全てが同じSA BPPを提供する種々の低速軸幅の中での選択を可能にし、高速軸ビームサイズが低減されるため、ファセット信頼性要件を満たし得る。
【0029】
表1の例は、例に過ぎず、制限的であると考えられない。明確にするために、出力ファイバにおけるサイズおよびNAは、幾何学的光学部品モデルを使用して計算され、全てが約0.9μmの波長にある。
【0030】
低NA高輝度2×7エミッタの例(列2)は、1.7μmの従来のFAビームの代わりに、1.34μmの低減されたFAビームサイズを有するレーザダイオードを使用する。これは、2×7の同じダイオードレーザカウントの下で、低減された高速軸BPPをもたらす。FAT倍率は、(同じ効率的なファイバ結合について)ファイバにおいて同じ高速軸イメージサイズを得るために修正される。高速軸NAは、一方で、低減された高速軸BPPのために、0.107から0.138に低減される。95%NAは、0.150と対照的に0.132である。エミッタカウントが同じであるため、ファイバ結合式パワーは同様のレベルに維持されるが、輝度は大幅に改善される。幾つかの例において、FAT倍率および対物レンズ焦点距離は共に変動する。
【0031】
高輝度2×9エミッタは、低NAパッケージの場合と同様に、同じ低減されたFAビームサイズレーザダイオードならびに同じ光学部品を使用する。低減された高速軸BPPを目標とする代わりに、あと2つの行のエミッタが、従来のパッケージ(列1)の場合と同様に、同じ高速軸BPPを維持しながらのパワースケーリングのために、垂直方向に積重ねられている。結果は、28%のファイバ結合式パワーの増加である。
【0032】
表2は、一対のダイオードレーザ設計:1.7μm高速軸ビームサイズを有する95μm長方形設計および1.34μm高速軸ビームサイズを有するフレア式レーザダイオードについて、高速軸モーダル制限ファクターおよび低速軸ビーム幅を示す。フレア式レーザダイオードは、125μm低速軸ビーム幅を有するが、95μm長方形レーザのBPPと同様かまたは小さいBPPを有する。W×dQW/Γに比例するフレア式レーザダイオードの最大CW COMDパワーは、21%小さい高速軸ビームサイズを有する場合でも、長方形設計より7%高い。したがって、低減した高速軸ビームサイズを有するフレア式レーザダイオードに関してファセット信頼性の懸念は全く存在しないはずである。
【表2】
【0033】
薄化された導波路を使用する別の例は図2A~2Cに示される。パッケージ化されたダイオードレーザ組立体200は、便宜的な例証のために部分的に除去されて示されるハウジング202を含む。段差状表面204は、複数の段差状表面部分206A~206Cを含み、複数の段差状表面部分206A~206Cに対して、1つまたは複数のダイオードレーザ208A~208Cが、それぞれ留められ、異なる高さに位置付けられて、通常、単調に下降または上昇する。通常、単一ダイオードレーザがそれぞれの段差に留められ、複数のダイオードレーザが複数の段差に留められて、実質的に平行な軸に沿ってレーザ放射を放出する。平行配置構成からの逸脱は、以下で論じるように必要に応じて補償され得る。図2Aにおいて、ダイオードレーザ208A~208Cの高速軸は、図の平面に垂直であり;低速軸は図の平面内にある。ダイオードレーザ208A~208Cからの放出ビームは、高速軸コリメーション光学部品212および低速軸コリメーション光学部品214によって受信されコリメートされて、コリメートビームを生成する。オプションの体積ブラッグ回折格子要素213が、高速軸コリメーション光学部品212と低速軸コリメーション光学部品214との間に位置決めされて、レーザダイオード208A~208Cの波長のロッキングを提供し得る。ターニングミラー216は、コリメーション後に互いに対して全体的に平行に伝搬するコリメートビームを受信する。図2Aの例において、ターニングミラー216はコリメートビームを直角に反射するために位置付けられるため、反射ビームはビーム圧縮器220に方向付けられる。それぞれのレーザダイオードの伝搬方向は、対応する反射体の対応する調整具によって調整され得る。ビーム圧縮器220(すなわち、高速軸望遠鏡)において、反射ビームの高速軸は、上下に積重ねられて、ダイオードレーザ208A~208Cにそれぞれ対応し、段差状表面部分206A~206Cの高さに基づく分離を有する積重ね式ビーム222A~222C(図2Bに示す)を形成する。ターニングミラー216およびコリメーション光学部品214は、共通表面218に好都合に留められ得る。
【0034】
それぞれのコリメートビームについてのそれぞれのターニングミラー216の一番上の部分は、反射ビームが後続のターニングミラー216によってクリップされないような高さに位置付けされる。例えば、図2Aにおいて、図面の一番下のミラーは、対応する段差状表面部分206Aの最も大きい段差高さに対応するために最も大きい高さを有する。積重ね式ビーム222A~222Cの間隔は、ビーム圧縮器220によって調整され、その後、圧縮ビームは、光ファイバ210内に圧縮ビームを方向付ける対物レンズ224に方向付けられる。幾つかの例において、対物レンズ224は単一平凸レンズであり、一方、他の例において、球面および非球面を含むより複雑な複数要素レンズが使用される。
【0035】
図2B~2Cに示すように、積重ね式ビーム222A~222Cの入力ビームスタックは、ビーム232A~232Cの圧縮ビームスタックとしてビーム圧縮器220によって出力される。ビーム分離が、圧縮方向のビーム径と共に圧縮されることに留意されたい。この例において、積重ね式ビーム222A~222の間のギャップが同様に圧縮される。
【0036】
図3A~3Dを参照すると、ダイオードレーザ組立体300は、z軸が図3Aの平面から出て上方に延在する右手xyz座標系380を参照して述べられる。ダイオードレーザ組立体300は、レーザビームのそれぞれのセットを反射体ならびに高速軸および低速軸コリメータの対応するセット312~315に放出するように配置されるレーザダイオードのセット302~305を含む。例えば、セット302のレーザダイオードは、ビームをx軸方向に放出し、そのビームは、その後、セット312のそれぞれの反射体によって方向転換されて、y軸方向に沿って伝搬する。それぞれのセットのレーザダイオードは、z軸に沿う同じセットの他のレーザダイオードから変位またはオフセットされ、関連する反射体は、セットからのレーザビームが反射体によってブロックされないように位置付けられる。図3Dに示すように、レーザダイオードのセット302は、段差状マウント320に留められて、適切なz軸オフセットを提供し;同様のマウントは、レーザダイオードの残りのセットのために設けられる。ほとんどの場合、段差状マウント320は熱伝導性材料で作られる。便宜上、ビーム伝搬軸322~325は、それぞれのセットの一番下のレーザダイオードについて示され;それぞれのセットの残りのレーザダイオードについてのビーム伝搬軸は、同様であるが、z軸に沿って変位する。
【0037】
レーザダイオードのセット302からのレーザビームは、1/2波長板330に方向付けられ、その後、偏光ビームスプリッタ332においてレーザダイオードのセット303からのレーザビームと結合されるため、ビームの垂直積重ね式セット336A(図3Bに示す)がビーム圧縮器340に入射する。レーザダイオードのセット305からのレーザビームは、セット315の反射体によって1/2波長板334に方向付けられ、その後、偏光ビームスプリッタ335において、反射体のセット314によって方向転換された通りにレーザダイオードのセット304からのレーザビームと結合されるため、ビームの垂直積重ね式セット336Aがビーム圧縮器340に入射する。
【0038】
図3Bは、ビーム圧縮器340に入射する積重ね式ビーム336A、336Bを示し;図3Cは、ビーム圧縮器340を出る積重ね式ビーム356A、356Bを示し、ビーム間隔および個々のビーム高さは共に、圧縮比M=H2/H1によって変更される。この例において、円柱ビーム圧縮器が使用され、z方向に圧縮が存在するが、x方向に存在しない。更なる圧縮器が他の方向の圧縮のために設けられ得る、または、球面を使用する圧縮器が使用され得る。幾つかの例において、ビームは、高速軸方向にギャップがない状態で配置される。図3Eは、ビーム間にギャップがない状態でビーム圧縮器340を出る積重ね式ビーム360A、360Bを示し、図3Fは、ビーム間にギャップがない状態でビーム圧縮器340を出る積重ね式ビーム366A、366Bを示す。ギャップがない状態でビームを位置付けることによって利用可能である更なる空間は、更なるエミッタからのビームを提供されて、より高い出力パワーを提供し得る、またはその他の方法で、更なる波長、変調、または他のビーム特徴を提供することによって複数エミッタを利用し得る。代替的に、同じ数のビームが、より小さいエリアに入るようにFATにおいてパックされ、それにより、対物レンズによって提供されるビームの開口数を低減し得る。
【0039】
図4を参照すると、方法400は、402にて、通常、利用可能な段差状マウントに基づいて、高速軸エミッタ間隔を選択することを含む。404にて、出力パワーおよび出力NAが選択され、406にて、エミッタの数が、選択された出力パワーに基づいて決定される。408にて、放出されるFAビーム幅は、必要な数のエミッタを、選択されたNA内に結合することを可能にするために選択される。410にて、離間したエミッタからのビームは、FAC、FAT、および対物レンズによって出力ファイバに結合されて、選択されたNAおよびパワーを達成する。通常、FAC、FAT、および対物レンズは、光ファイバのコアを満たすために放出領域を拡大するために選択される。幾つかの場合、410にて、放出されるSAビーム幅または低速軸寸法は、低速軸BPPが最大許容可能ファイバ低速軸BPPより小さくなるように、また、COMDを回避するために選択され、幾つかの場合、SAビーム幅は、適切なビーム強度を提供するために増加される。
【0040】
代表的な3つのレーザベースシステム500が、配向550、555に示すxyz座標系を参照して図5に示される。便宜的な例証のために、ミラーによる光軸の折畳みは、広げられて、真っすぐのままである。そのため、傾斜した平面表面によるビーム反射は、連続する直線ビーム伝搬として示される。典型的な折畳み式伝搬経路は、図2Aの場合等、上記で示される。
【0041】
レーザダイオード502A~502Cは、高速軸方向(図5に示すx方向)に共通距離dstairだけ分離されて、FAC504A~504Cのそれぞれによってコリメートされたビームを放出する。FAコリメートビーム506A~506Cは、それぞれのSAC507A~507Cに方向付けられて、FAおよびSAコリメートビーム508A~508Cを生成する。図5に示すように、レーザダイオードは、z軸に沿って伝搬し、高速軸方向(示すx方向)に沿って変位されるビームを放出する。通常、レーザダイオード502A~502Cは階段段差マウント上に位置付けられるため、レーザダイオード502A~502Cの放出領域は、xy平面に平行な共通平面内にある。概して、レーザダイオード502A~502Cは低速軸方向(示すy方向)にオフセットする。ビーム506A~506Cは、互いに接触するように見えるが、y軸に沿って変位するため、FAC504A~504Cによってクリップされる必要はない。同様に示すように、レーザダイオード502A~502Cのそれぞれからの放出ビームは、FAC504A~504Cのアパーチャをそれぞれ実質的に満たす。SAC507A~507Cは、xy平面に平行である共通平面内に位置付けられるものとして示されるが、都合よく、ビーム軸に沿って分配され得るまたは伝搬し得る。図5において、SACは湾曲がない状態で示される。その理由は、SACが、概して、xz平面において湾曲がない状態の円柱レンズであるからである。FAおよびSAコリメートビーム508A~508Cは、それぞれのターニングミラー509A~509Cに方向付けられて、座標系555のy軸に沿って伝搬するコリメートビーム515A~515Cを生成する。FAT513は、高速軸(x方向)に沿ってビームサイズを減少させ、対物レンズ516に入射する出力ビーム512A~512Cを生成する。図5Aの例において、FAおよびSAコリメートビーム515A~515Cはギャップによって分離されず、ギャップがない状態でFAT513に入射する。結果として、出力ビーム512A~512Cは、図5Cに示すように、対物レンズ516への入力としてギャップによって分離されない。こうした配置構成において、個々のビームは、対物レンズ516のアパーチャの一部分を満たすために、結合式と呼ばれる。
【0042】
レーザダイオードビームパワーを、所定の階段段差サイズによって、選択される光ファイバ内に結合させるために、高速軸ビーム寸法は、FAC焦点距離、FAT倍率、および対物レンズ焦点距離の組合せによって制御される。これらは、個々のビームが、FAビーム径がファイバコア径に対応する状態で出力ファイバに入射するように選択される倍率を生成する。同様に、低速軸ビーム寸法は、SAビーム径がファイバコア径に対応するように概して選択されるSAC焦点距離および対物レンズ焦点距離に基づいて確立される。代表的な組合せは、共通励起NAおよび共通SA/FA倍率を提供する2×9構成について以下の表3に示される。
【表3】
【0043】
開示される技術の原理が適用し得る多くの可能な実施形態を考慮して、示された実施形態が好ましい例に過ぎないものであって、本開示の範囲を制限するものとして考えられるべきでないことが認識されるべきである。添付特許請求項の範囲および趣旨内に入る全てが特許請求される。
[付記]
[形態1]
積重ね軸に関して所定の間隔を有するレーザダイオードのセットであって、それぞれのレーザダイオードは、1.62μmより小さい高速軸ビーム全幅または少なくとも48度の高速軸全幅ビーム広がりを有する放出ビームを生成する高速軸および低速軸を規定する放出領域を有し、レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に平行であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に直交する、レーザダイオードのセットと、
前記レーザダイオードのそれぞれに関連する高速軸コリメータ(FAC)であって、高速軸コリメータのそれぞれは共通焦点距離を有し、レーザダイオードのそれぞれの放出領域は、それぞれの高速軸コリメータに結合して、前記高速軸に沿ってコリメートされるそれぞれのビームを生成する、高速軸コリメータ(FAC)と、
前記高速軸コリメータから前記高速軸コリメートビームを受信し、前記所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる、無限焦点望遠鏡と、
前記無限焦点望遠鏡から前記高速軸コリメートビームを受信するために位置付けられる対物レンズと、
前記対物レンズから前記高速軸コリメートビームを受信するために位置付けられるコアを有する光ファイバとを備える、装置。
[形態2]
形態1に記載の装置において、前記FACおよび前記対物レンズは焦点距離fFACおよびfをそれぞれ有し、前記ファイバにおける前記レーザダイオードの前記放出領域の倍率はf/MfFAであり、前記高速軸コリメートビームの高速軸開口数はNAFA=(dstair×m×M)/(2×f)であり、ここで、mは前記セット内のレーザダイオードの数であり、dstairは所定間隔である、装置。
[形態3]
形態2に記載の装置において、Mは1.0より小さい、装置。
[形態4]
形態2に記載の装置において、fFACは200μmから400μmの間であり、fは5mmから12mmの間であり、Mは0.9より小さい、装置。
[形態5]
形態1に記載の装置において、レーザダイオードの前記セットの前記ダイオードのそれぞれは、800nm~1,000nmの波長範囲で放出し、レーザダイオードの前記セットは、1)少なくとも160Wの総光パワーを前記光ファイバ内に結合する7つのレーザダイオードの2つのセット、2)0.15より小さい開口数のビームにおける少なくとも200Wの総光パワーを、105μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する9つのレーザダイオードの2つのセット、3)0.18より小さい開口数のビームにおける少なくとも360Wの総光パワーを、105μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する15のレーザダイオードの2つのセット、または、4)0.18より小さい開口数のビームにおける少なくとも800Wの総光パワーを、200μmのコア径を有する前記光ファイバ内に結合する24のレーザダイオードの2つのセットからなる、装置。
[形態6]
形態5に記載の装置において、前記光ファイバは105μmまたは200μmのコア径を有する、装置。
[形態7]
形態1に記載の装置において、前記所定の間隔は、200μmから1,000μmの間である、装置。
[形態8]
形態1に記載の装置において、前記レーザダイオードは、固定低速軸間隔を有するように低速軸方向に分配される、装置。
[形態9]
形態8に記載の装置において、レーザダイオードの前記セットの前記レーザダイオードのそれぞれに対応する反射体のセットを更に備え、それぞれの反射体は、それぞれのFACからビームを受信し、前記ビームを前記対物レンズに方向付けるために位置付けられるため、前記対物レンズにおける前記方向付けられたビームの伝搬軸は平行である、装置。
[形態10]
形態9に記載の装置において、前記FACからそれぞれのビームを受信し、前記FAおよびSAコリメートビームをそれぞれの反射体に方向付けるために位置付けられる低速軸コリメータ(SAC)のセットを更に備える、装置。
[形態11]
互いに平行であるそれぞれの高速軸に沿って固定間隔を有するために位置付けられるレーザダイオードのセットであって、それぞれのレーザダイオードは、1.60μmより小さい高速軸ビームサイズまたは少なくとも48度の高速軸全幅ビーム広がりによって規定され、高速軸および低速軸を規定する放出領域を有し、レーザダイオードのそれぞれの高速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に直交であり、レーザダイオードのそれぞれの低速軸は、互いに平行でかつ前記積重ね軸に直交する、レーザダイオードのセットと、
前記セットの前記レーザダイオードのそれぞれに対応する高速軸コリメータ(FAC)および低速軸コリメータ(SAC)であって、FACのそれぞれは共通焦点距離fFACを有し、SACのそれぞれは共通焦点距離fSACを有し、FACおよびSACは、前記レーザダイオードのそれぞれの放出領域から放出される光ビームをコリメートするために位置付けられる、高速軸コリメータ(FAC)および低速軸コリメータ(SAC)と、
コリメートビームを受信し、前記所定の間隔および無限焦点望遠鏡に関連する倍率Mに基づいて高速軸ビーム間隔を生成するために位置付けられる、無限焦点望遠鏡と、
前記無限焦点望遠鏡から前記ビームを受信し、前記ビームを焦点に方向付けるために位置付けられる対物レンズとを備える、光ビーム源。
[形態12]
形態11に記載の光ビーム源において、前記対物レンズの前記焦点に位置付けられる入力表面を有する光ファイバを更に備える、光ビーム源。
[形態13]
形態12に記載の光ビーム源において、前記光ファイバは、50μmから1.0mmの間のコア径を有する、光ビーム源。
[形態14]
形態11に記載の光ビーム源において、複数の熱伝導性段差を有するレーザダイオードマウントを更に備え、前記レーザダイオードのそれぞれは、それぞれの段差に留められて、それぞれの高速軸に沿って離間して配置される、光ビーム源。
[形態15]
形態11に記載の光ビーム源において、前記レーザダイオードはフレア式レーザダイオードである、光ビーム源。
[形態16]
レーザダイオードマウントの所定の段差高さに基づいて、選択された数のレーザダイオードからの放出ビームを光ファイバ内に結合するために、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択するステップと、
前記選択された数のレーザダイオードを前記所定の高さに位置付けるステップと、
前記レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームからコリメートビームを生成するために、低速軸および高速軸コリメーションレンズを位置付けるステップと、
前記コリメートビームを前記光ファイバ内に方向付けるために、高速軸望遠鏡および対物レンズを位置付けるステップとを含む、方法。
[形態17]
形態16に記載の方法において、前記放出ビーム高速軸広がり、前記放出ビーム高速軸サイズ、および前記高速軸導波路厚の少なくとも1つは、前記光ファイバの開口数に基づいて選択される、方法。
[形態18]
形態16に記載の方法において、前記段差高さは200μmから1,000μmの間であり、前記高速軸望遠鏡の倍率は1より小さい、方法。
[形態19]
形態16に記載の方法において、前記光ファイバのコア径に基づいて前記放出ビームの高速軸倍率を選択するステップを更に含む、方法。
[形態20]
高速軸方向に沿う固定分離および或る数のレーザダイオードに基づいて、選択された電力、選択された開口数、または両方を有する結合式ビームを光ファイバ内に結合するために、放出ビーム高速軸広がり、放出ビーム高速軸サイズ、または高速軸導波路厚の少なくとも1つを選択するステップと、
前記数のレーザダイオードを前記固定分離に位置付け、前記レーザダイオードのそれぞれからの放出ビームを、対応する高速軸および低速軸コリメータ、高速軸望遠鏡、および対物レンズによって前記光ファイバに方向付けるステップとを含む、方法。
[形態21]
形態20に記載の方法において、前記放出ビーム高速軸サイズは1.60μmより小さい、または、前記高速軸ビーム広がりは48度より大きい、方法。
[形態22]
形態20に記載の方法において、低速軸BPPが最大許容可能ファイバBPPより小さくなるように低速軸寸法を選択するステップを更に含む、方法。
[形態23]
形態22に記載の方法において、低速軸寸法は、前記レーザダイオードの1つまたは複数のレーザダイオードの光損傷に関連する閾値に基づいて選択される、方法。
[形態24]
共通高速軸方向に沿って段差高さを選択するステップと、
前記選択された段差高さに基づいて、共通高速軸ビーム径および共通高速軸ビーム広がりを選択するステップと、
出力ファイバコア径および開口数に対応する結合式のビーム高速軸ビーム径およびビーム広がりを有する結合式ビームを生成するために、前記段差高さだけ離間して配置され、前記共通高速軸ビーム径および前記共通高速軸ビーム広がりを有するレーザダイオードのセットのそれぞれからのビームを、それぞれの高速軸コリメータ、高速軸望遠鏡、および対物レンズによって前記共通高速軸方向に沿って整形し、前記結合式ビームが、前記出力ファイバコア径および開口数に対応する結合式のビーム低速軸ビーム径およびビーム広がりを有するように、レーザダイオードの前記セットのそれぞれからのビームを、それぞれの低速軸コリメータおよび前記対物レンズによって低速軸方向に沿って整形するステップとを含む、方法。
[形態25]
形態24に記載の方法において、レーザダイオードの前記セットの前記ビームは、前記対物レンズのアパーチャの一部分を満たすために結合される、方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C