(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0217 20230101AFI20230502BHJP
【FI】
G06Q30/0217
(21)【出願番号】P 2020138202
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畑 朋美
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 安昭
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴明
(72)【発明者】
【氏名】助光 康大
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-025817(JP,A)
【文献】特開2016-157372(JP,A)
【文献】特開2018-160114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、前記対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された対象領域情報に基づいて、前記対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離
であって、疾病の流行状況に応じて長さが変動する平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する算出部と、
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数が前記ユーザ数の範囲外である場合、前記対象ユーザの数が前記ユーザ数の範囲に収まるように、前記インセンティブの内容を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数が前記ユーザ数の範囲を超える場合、前記対象領域内のユーザの数を減らす前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記対象ユーザに前記対象領域外への移動を促す前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記対象領域である店舗の前記対象領域情報としての店舗情報と、前記店舗に位置する前記対象ユーザの数とを取得し、
前記算出部は、
前記店舗内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となる前記ユーザ数の範囲を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数が前記ユーザ数の範囲を超える場合、前記店舗内のユーザの数を減らすためのクーポンを前記インセンティブとする
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、
前記対象ユーザに前記店舗で所定期限内に会計することを促す前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、
前記店舗から所定の範囲内に位置するユーザに対して前記店舗とは異なる他の店舗への来訪を促す前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲とに基づき推定される前記対象領域の混雑を示す混雑情報をユーザに提供する提供部、
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~8のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記提供部は、
前記決定部により決定されたインセンティブを提供する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記決定部は、
前記インセンティブの内容に応じて、前記インセンティブの提供先となるユーザを決定し、
前記提供部は、
前記提供先となるユーザに前記インセンティブを提供する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記決定部は、
各ユーザの混雑を許容するレベルに応じて、前記インセンティブの前記提供先となるユーザを決定する
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数が前記ユーザ数の範囲を下回る場合、前記対象ユーザ以外のユーザに対して前記対象領域への来訪を促す前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記決定部は、
前記対象領域から所定の範囲内に位置するユーザに対して前記対象領域への来訪を促す前記インセンティブの内容に決定する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲との乖離に応じて前記インセンティブの内容を変更する
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記決定部は、
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲に近づくほど、前記インセンティブの内容を低下させる
ことを特徴とする請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、前記対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する取得工程と、
前記取得工程により取得された対象領域情報に基づいて、前記対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離
であって、疾病の流行状況に応じて長さが変動する平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する算出工程と、
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する決定工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、前記対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された対象領域情報に基づいて、前記対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離
であって、疾病の流行状況に応じて長さが変動する平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する算出手順と、
前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人(ユーザ)の混雑を解消するための種々の技術が提供されている。例えば、ビルの各階からのエレベータの利用が集中して乗り場での待ち時間や行先階への到着時間が増加するような状況において、適切な配車予約運転を実施する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができるとは限らない。例えば、上記の従来技術では、エレベータの配車を調整して、ユーザの混雑を解消しているに過ぎず、ユーザ側にインセンティブを提供することでユーザに行動の変化を促すようなものではない。そのため、エレベータの処理能力を超えたユーザの利用が集中した場合、対応することができない。そのため、混雑の解消等のためにユーザの行動を変化させるために、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することが望まれている。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、前記対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する取得部と、前記取得部により取得された対象領域情報に基づいて、前記対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する算出部と、前記対象ユーザの数と前記ユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する決定部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るユーザ情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る店舗情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るインセンティブ情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.情報処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図1の例では、情報処理装置100は、対象領域である店舗に位置するユーザの数と、店舗に収容するユーザの適正な数(以下「適正人数」ともいう)とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する場合を示す。なお、対象領域は、店舗に限らず、店舗以外の施設やエリア等でも良いが、この点については後述する。また、以下では、対象領域に位置するユーザを「対象ユーザ」ともいう。例えば、店舗の場合、店舗内に位置するユーザを対象ユーザとする。店舗内とは、その店舗がサービスを提供行う場所(領域)であれば、屋内であってもよいし、屋外であってもよい。
【0011】
また、適正人数とは、対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離(「ユーザ間距離」ともいう)が所定の範囲内となるユーザ数の範囲をいう。ユーザ間距離は、例えば1.2-2mの間で設定される。なお、適正人数は、上限値(単に「上限」ともいう)と下限値(単に「下限」ともいう)とが同じ、すなわち特定(1つ)の数であってもよい。例えば、適正人数は、店舗内にいるユーザ同士の間隔が所定の距離、いわゆる社会的距離を保てる距離となるユーザ数である。
図1の例では、インセンティブの一例として、ユーザに(割引)クーポンを提供する場合を示すが、インセンティブは、クーポンに限らず、ユーザの行動に変化を与え得るものであれば、種々のインセンティブであってもよい。
【0012】
〔情報処理システムの構成〕
図1の説明に先立って、
図2を用いて情報処理システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と、店舗装置20と、データ提供装置50と、情報処理装置100とが含まれる。端末装置10と、店舗装置20と、データ提供装置50と、情報処理装置100とは所定のネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、
図2に示した情報処理システム1には、複数台の端末装置10や、複数台の端末装置10や、複数台の店舗装置20や、複数台のデータ提供装置50や、複数台の情報処理装置100が含まれてもよい。
【0013】
端末装置10は、ユーザによって利用されるコンピュータである。端末装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。
図1は、端末装置10がスマートフォンである場合を示す。なお、以下では、端末装置10をユーザと表記する場合がある。すなわち、以下では、ユーザを端末装置10と読み替えることもできる。
【0014】
また、端末装置10は、GPS(Global Positioning System)センサ等の機能を有し、ユーザの位置を検知し、取得可能であるものとする。また、端末装置10は、通信を行っている基地局の位置情報や、Wi-Fi(登録商標)(Wireless-Fidelity)やBluetooth(登録商標)等の所定の無線通信機能やビーコン等の機能を用いてユーザの位置情報を検知し、取得してもよい。なお、以下では位置情報を単に「位置」と記載する場合がある。例えば、端末装置10は、GPSや上記のような無線通信機能やビーコン等の情報を組み合わせることにより、ユーザの位置の推定精度を高めてもよい。また、端末装置10は、位置等の種々の情報等を情報処理装置100に送信する。端末装置10は、ユーザの位置を定期的(例えば15秒間隔や1分間隔等)に情報処理装置100へ送信する。なお、端末装置10は、ユーザの位置に限らず、ユーザの行動を示す行動履歴を情報処理装置100へ送信する。
【0015】
また、端末装置10は、GPSセンサ等に限らず種々のセンサにより、各種センサ情報を検知してもよい。端末装置10は、センサにより検知された各種センサ情報を情報処理装置100へ送信する。端末装置10は、加速度センサを有し、ユーザの移動における加速度情報(センサ情報)を検知する。端末装置10は、イメージセンサ等の画像センサを有し、ユーザの画像情報(センサ情報)を検知する。端末装置10は、マイク等の音センサを有し、音声情報(センサ情報)を検知する。また、端末装置10は、温度センサや気圧センサ等の種々の機能を有し、温度や気圧等のユーザの置かれている環境情報を検知し、取得可能であってもよい。例えば、端末装置10を利用するユーザは、端末装置10と通信可能なウェアラブルデバイスを身に付けることにより、端末装置10によりユーザ自身のコンテキスト情報を取得可能としてもよい。例えば、端末装置10は、種々のセンサを有し、各種センサ情報を検知する。例えば、端末装置10を利用するユーザは、端末装置10と通信可能なリストバンド型のウェアラブルデバイスを身に付けることにより、端末装置10によりユーザ自身の心拍(脈拍)に関する情報を端末装置10が取得可能としてもよい。また、端末装置10は、血糖値センサや心拍センサ等の種々の機能を有し、ユーザの血糖値(血糖値情報)や心拍数(心拍情報)等の生体情報(センサ情報)を検知し、取得可能であってもよい。なお、端末装置10は、自装置以外のセンサが検知したセンサ情報を収集し、情報処理装置100へ送信してもよい。
【0016】
以下では、ユーザID「U1」により識別されるユーザを「ユーザU1」とする場合がある。このように、以下では、「ユーザU*(*は任意の数値)」と記載した場合、そのユーザはユーザID「U*」により識別されるユーザであることを示す。例えば、「ユーザU2」と記載した場合、そのユーザはユーザID「U2」により識別されるユーザである。また、
図1に示す例においては、端末装置10を利用するユーザに応じて、端末装置10を端末装置10-1~10-3として説明する。例えば、端末装置10-1は、ユーザID「U1」により識別されるユーザ(ユーザU1)により使用される端末装置10である。また、例えば、端末装置10-2は、ユーザID「U2」により識別される(ユーザU2)により使用される端末装置10である。また、以下では、端末装置10-1~10-3について、特に区別なく説明する場合には、端末装置10と記載する。
【0017】
店舗装置20は、各店舗の管理者よって利用されるコンピュータである。例えば、飲食店Aの管理者は、店舗装置20を用いて、情報処理装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、店舗装置20は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等により実現される。店舗装置20は、店舗に関する各種情報を情報処理装置100に送信する。店舗装置20は、情報処理装置100が要求する情報を、情報処理装置100に送信する。店舗装置20は、店舗の所在地、席数、広さ、店員の数、窓の数、テラス席の数等の様々な情報を含む店舗情報を情報処理装置100に送信する。
【0018】
また、店舗装置20は、店舗に配置されたセンサにより検知されたセンサ情報を情報処理装置100へ送信してもよい。また、センサ情報は、センサにより検知される情報であれば、どのような情報であってもよい。例えば、センサ情報は、画像センサにより検知された店舗に関連する画像情報であってもよい。具体的な例を挙げると、センサ情報は、店舗内の店員の動きを示す画像情報であってもよい。例えば、センサ情報は、音センサにより検知された店舗に関連する音声情報であってもよい。具体的な例を挙げると、センサ情報は、店舗内の活気度(例えば、騒がしい、静かなど)を示す音声情報であってもよい。
【0019】
例えば、飲食店Aの管理者は、店舗装置20を用いて、情報処理装置100が提供するユーザへのインセンティブ付与のサービスを利用することを要求する情報を情報処理装置100に送信する。また、店舗装置20は、情報処理装置100から情報提供を受けてもよい。店舗装置20は、情報処理装置100から自店舗の混雑を示す混雑情報や他店舗の混雑を示す混雑情報を受信してもよい。
【0020】
データ提供装置50は、各種のデータを情報処理装置100へ提供するサーバである。例えば、データ提供装置50は、感染症に関連する感染症情報を情報処理装置100へ提供してもよい。また、例えば、データ提供装置50は、天気や気温等の気象に関するデータを情報処理装置100へ提供してもよい。データ提供装置50は、各地で行われるイベントに関するイベント情報を情報処理装置100へ提供してもよい。例えば、データ提供装置50は、いわゆる広く開かれた利用が許可されているデータであるオープンデータを情報処理装置100へ提供する。例えば、データ提供装置50は、各自治体が管理し、自治体が保有するデータをデータとして外部に提供する情報処理装置であってもよい。データ提供装置50は、利用が許可されているデータ(情報)であれば、上記に限らず、道路情報等の交通に関するデータや地理空間情報、防災・減災情報、調達情報、統計情報等の種々のデータを提供してもよい。
【0021】
情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定するコンピュータである。情報処理装置100は、施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報に基づいて、対象領域の適正人数を算出する。例えば、情報処理装置100は、店舗の店舗情報に基づいて、店舗の適正人数を算出する。情報処理装置100は、店舗内に位置するユーザ(対象ユーザ)の数とその店舗の適正人数とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する。
【0022】
また、情報処理装置100は、各ユーザに位置に応じて、インセンティブの提供先となるユーザを決定する。例えば、情報処理装置100は、端末装置10からGPSや上記のような無線通信機能やビーコン等のユーザの位置に関する情報を取得し、それらの情報を組み合わせることにより、ユーザの位置の推定精度を高めてもよい。情報処理装置100は、店舗の店舗情報等の対象領域の対象領域情報を、各対象を管理する管理者が利用する管理装置やサーバから取得してもよいし、データ提供装置50から取得してもよい。
【0023】
ここから、
図1を用いて、情報処理の流れについて説明する。まず、情報処理装置100は、店舗の適正人数を算出する(ステップS10)。情報処理装置100は、各店舗の店舗情報を基に、各店舗の適正人数を算出する。情報処理装置100は、席数、広さ、店員の数、窓の数、テラス席の数等の店舗情報と設定されたユーザ間距離とを用いて、店舗の適正人数を算出する。例えば、情報処理装置100は、人数を算出する関数を用いてもよいが、詳細は後述する。情報処理装置100は、適正人数一覧SNに示すように、店舗SP11の適正人数を10人から20人の間であると算出する。また、情報処理装置100は、店舗SP12の適正人数を50人から75人の間であると算出する。
【0024】
図1の例では、情報処理装置100は、ユーザU1~U3等が利用する端末装置10が有するGPSセンサ等の機能により、ユーザU1~U3が利用する端末装置10の位置を取得する。
図1に示す地
図MP1は、ユーザU1~U3の位置を模式的に示す。
【0025】
まず、情報処理装置100は、ユーザU1が利用する端末装置10-1から位置情報LC1を取得する(ステップS11-1)。なお、
図1の例では位置情報LC1等の抽象的な符号で図示するが、位置情報は、具体的な緯度や経度を示す情報(緯度経度情報)等であってもよい。また、以下、「位置情報LC*(*は任意の数値)」を「位置LC*」と記載する場合がある。例えば、「位置LC1」と記載した場合、その位置は位置情報LC1に対応する位置であることを示す。
図1の例では、位置LC1は、店舗SP11内の位置であるものとする。
【0026】
また、情報処理装置100は、ユーザU2が利用する端末装置10-2から位置情報LC2を取得する(ステップS11-2)。
図1の例では、位置LC2は、店舗SP11から所定の範囲内(例えば700m以内等)の位置であるものとする。また、情報処理装置100は、ユーザU3が利用する端末装置10-3から位置情報LC3を取得する(ステップS11-3)。
図1の例では、位置LC3は、店舗SP12内の位置であるものとする。
【0027】
以下、ステップS11-1~S11-3を区別せずに説明する場合、ステップS11と総称する。また、ステップS11-1~S11-3に限らず、各ユーザの位置の取得は、複数回行われてもよい。なお、
図1では、3人のユーザU1~U3を図示するが、情報処理装置100は、ユーザU1~U3に限らず、例えばユーザU4、ユーザU5等の多数のユーザ(例えば、100万ユーザや1000万ユーザ等)の位置を取得する。
【0028】
これにより、情報処理装置100は、ユーザに関する情報を収集する(ステップS12)。例えば、情報処理装置100は、ユーザ位置一覧ULに示すように、ユーザU1~U5等の位置LC1~LC5等を収集する。
【0029】
そして、情報処理装置100は、店舗に位置するユーザの数を推定する(ステップS13)。例えば、情報処理装置100は、店舗SP11、SP12等の各店舗の店舗情報中の店舗の所在地や占める領域を示す情報(店舗領域)と、各ユーザの位置とを比較することにより、各店舗に位置するユーザの数を推定する。例えば、情報処理装置100は、ユーザの位置が、店舗SP11の店舗領域に含まれる場合、そのユーザが店舗SP11に位置すると推定する。なお、情報処理装置100は、ユーザが店舗SP11のWi-Fiに接続している場合、そのユーザが店舗SP11に位置すると推定してもよい。情報処理装置100は、各ユーザの位置を用いて、各店舗内にいるユーザ(対象ユーザ)の数を、各店舗の最新人数として推定する。情報処理装置100は、混雑一覧SCに示すように、店舗SP11の最新人数を40人と推定する。また、情報処理装置100は、店舗SP12の最新人数を60人と推定する。
【0030】
そして、情報処理装置100は、店舗の混雑度合いを推定する(ステップS14)。例えば、情報処理装置100は、各店舗の適正人数と、各店舗の最新人数とを比較することにより、各店舗の混雑度合いを示す混雑レベルを推定する。情報処理装置100は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数である場合、その店舗の混雑度合いが適正であると推定し、混雑レベルをレベルLV0と推定する。例えば、情報処理装置100は、混雑一覧SCに示すように、店舗SP12の最新人数「60」が、店舗SP12の適正人数「50-75」の範囲内である場合、店舗SP12の混雑度合いが適正であると推定し、店舗SP12の混雑レベルをレベルLV0と推定する。
【0031】
また、情報処理装置100は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数を超える場合、その店舗が混雑していると推定し、混雑レベルをレベルLV0よりも大きく、すなわちレベルLV1以上であると推定する。例えば、情報処理装置100は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数の上限からの乖離が大きい場合、混雑レベルの値を大きく推定する。例えば、情報処理装置100は、混雑一覧SCに示すように、店舗SP11の最新人数「40」が、店舗SP11の適正人数「10-20」の範囲内である場合、店舗SP11の混雑度合いが過剰であると推定し、店舗SP11の混雑レベルをレベルLV2と推定する。
【0032】
また、情報処理装置100は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数を下回る場合、その店舗が空いていると推定し、混雑レベルをレベルLV0よりも小さく、すなわちレベルLV-1(マイナス1)以下であると推定する。例えば、情報処理装置100は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数の下限からの乖離が大きい場合、混雑レベルの値を小さく推定する。例えば、情報処理装置100は、混雑一覧SCに示すように、店舗SP22の最新人数「15」が、店舗SP22の適正人数「25-35」の範囲内である場合、店舗SP22の混雑度合いが不足であると推定し、店舗SP11の混雑レベルをレベルLV-2と推定する。なお、上記は一例であり、情報処理装置100は、種々の情報を適宜用いて店舗の混雑度合いを推定してもよい。
【0033】
そして、情報処理装置100は、ユーザに提供するインセンティブの内容を決定する(ステップS15)。まず、情報処理装置100は、インセンティブを提供するユーザ(以下「提供先ユーザ」ともいう)を決定する。情報処理装置100は、インセンティブ一覧ILから、提供先ユーザに提供するインセンティブを決定する。
【0034】
図1の例では、情報処理装置100は、混雑レベルがLV0よりも大きいLV2である店舗SP11の混雑を解消するために、ユーザにインセンティブを提供すると決定する。
【0035】
情報処理装置100は、提供内容一覧DLに示すように、店舗SP11に位置するユーザU1を提供先ユーザに決定する。そして、情報処理装置100は、インセンティブ一覧ILのうち、「10分以内に会計で10%割引」を内容とするインセンティブIS1を提供すると決定する。ユーザU1が店舗SP11内にいることと、店舗SP11の混雑レベルがLV2であることを基に、ユーザU1に提供するインセンティブをインセンティブIS1に決定する。すなわち、情報処理装置100は、ユーザU1に早く店舗SP11から退店させることにより、店舗SP11の混雑を解消するように、店舗SP11に位置するユーザU1に提供するインセンティブを決定する。
【0036】
なお、情報処理装置100は、店舗SP11の混雑レベルがLV2よりも大きい(LV5等)場合、「10分以内に会計で20%割引」を内容とするインセンティブIS2を提供すると決定する。このように、情報処理装置100は、混雑度合いが適正レベル(LV0)から乖離しているほど、インセンティブの質または量を大きくする。
【0037】
また、情報処理装置100は、提供内容一覧DLに示すように、店舗SP11の周辺に位置するユーザU2を提供先ユーザに決定する。そして、情報処理装置100は、インセンティブ一覧IL2のうち、「他の店舗に入店で10%割引」を内容とするインセンティブIS11を提供すると決定する。なお、インセンティブIS11には、10分以内や20分以内等制限時間があってもよく、「15分以内に他の店舗に入店で10%割引」等であってもよい。ユーザU2が店舗SP11の周辺にいることと、店舗SP11の混雑レベルがLV2であることを基に、ユーザU2に提供するインセンティブをインセンティブIS11に決定する。すなわち、情報処理装置100は、ユーザU2に店舗SP11以外の店舗に入店させることにより、店舗SP11がさらに混雑すること抑制するように、店舗SP11の周辺に位置するユーザU2に提供するインセンティブを決定する。
【0038】
そして、情報処理装置100は、決定したインセンティブを提供先ユーザに提供する。情報処理装置100は、ユーザU1にインセンティブIS1を提供する(ステップS16-1)。情報処理装置100は、10分以内に店舗SP11で会計した場合に、その会計額が10%オフとなるクーポンをインセンティブIS1としてユーザU1に提供する。
【0039】
情報処理装置100は、ユーザU2にインセンティブIS11を提供する(ステップS16-2)。情報処理装置100は、15分以内に店舗SP11以外の他の店舗(以下「他店舗SPX」とする)に入店した場合に、他店舗SPXでの会計額が10%オフとなるクーポンをインセンティブIS11としてユーザU2に提供する。例えば、情報処理装置100は、ユーザU2に他店舗SPXへの来店予約を促すコンテンツをユーザU2に提供してもよい。この場合、情報処理装置100は、「15分以内に他店舗SPXに入店で10%割引」と表示されたクーポンと、「いますぐ来店予約する」と記載されたボタン(来店予約ボタン)とを組み合わせたコンテンツをユーザU2の端末装置10-2に送信する。コンテンツを確認したユーザU2は、来店予約ボタンを選択し、他店舗SPXへの来店予約を行う。そして、端末装置10-2は、ユーザU2が他店舗SPXへの来店予約を行ったことを示す情報を、情報処理装置100または他店舗SPXの店舗装置20に送信する。このように、情報処理装置100は、来店予約をユーザに行わせることにより、来店見込み客を確保することができる。また、情報処理装置100は、ユーザの来店予約の情報を用いて混雑度を推定してもよい。これにより、情報処理装置100は、直近の混雑度の推定の精度を向上させることができる。なお、情報処理装置100は、種々の情報を適宜用いて他の店舗を決定してもよい。例えば、情報処理装置100は、ユーザU2の周辺に位置し、空いている店舗、すなわち混雑レベルがLV0よりも小さい店舗を他の店舗に決定する。
図1の例では、店舗SP22が、ユーザU2の位置周辺にあり、混雑レベルがLV-2であり空いている。そのため、情報処理装置100は、10分以内に店舗SP22に入店した場合に、店舗SP22での会計額が10%オフとなるクーポンをインセンティブIS11として提供する。なお、上記は一例であり、情報処理装置100は、種々の情報を適宜用いて、具体的なインセンティブの内容を決定する。
【0040】
このように、情報処理装置100は、店舗の混雑度合いと各ユーザに位置とに応じて、誰にどのようなインセンティブを提供するかという、インセンティブの内容を決定する。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。また、情報処理装置100は、店舗の混雑を解消するように、インセンティブの内容を決定することで、店舗の混雑を解消することができる。すなわち、情報処理装置100は、店舗等の対象領域におけるユーザ間の適正な距離(いわゆる社会的距離)を保つことを可能にすることができる。
【0041】
上述のように、情報処理装置100は、店舗等の対象領域の情報を受け付ける。例えば、情報処理装置100は、席数、広さ、店員の数等、窓の数、テラスがあるかないか等を受け付ける。情報処理装置100は、店舗情報からソーシャルディスタンスを確保するために混雑レベルを算出する。例えば、情報処理装置100は、ユーザ間の平均距離が数メートルになるように適正人数を算出する。例えば、情報処理装置100は、店舗に窓の数が多かったりテラスがあったりすると、適正人数の上限を上げる。情報処理装置100は、利用者の位置情報や、POS端末から入力された情報で、店舗の混雑度(人数など)を推定する。
【0042】
情報処理装置100は、混雑レベルなどの混雑情報を利用し、ユーザが混雑を避けるようインセンティブの内容を決定する。例えば、情報処理装置100は、店舗内のユーザ数が適正人数を超え、混雑している店舗内にいるユーザに今会計すると20%オフのクーポンを提供したり、その店舗外の人に、他の店に行くと10%オフのクーポンを提供したりする。また、情報処理装置100は、店舗内のユーザ数が適正人数となり混雑度が下がると、割引率を下げたり、クーポンの提供を中止したりする。これにより、情報処理装置100は、店舗内のユーザ数が、適正範囲(適正人数)内、例えば適正範囲の上限をぎりぎり下回る範囲で落ち着くように、インセンティブの内容を変更する。
【0043】
情報処理装置100は、インセンティブをユーザに提示する。例えば、情報処理装置100は、混雑時間を避けての来店にした場合にインセンティブを提供するとユーザに提示する。また、情報処理装置100は、滞在時間が短いユーザへインセンティブを提供するとユーザに提示する。
【0044】
〔1-1.空いている場合〕
なお、上記では、店舗内のユーザの数が店舗の適正人数を超える場合、すなわち店舗が混雑している場合の処理を一例として示したが、店舗内のユーザの数が店舗の適正人数を下回る場合もインセンティブを提供してもよい。例えば、情報処理装置100は、店舗内のユーザの数が店舗の適正人数を下回る場合、すなわち店舗が空いている場合、その店舗内のユーザの数が適正人数になるように、ユーザに提供するインセンティブを決定する。
【0045】
例えば、情報処理装置100は、混雑レベルがLV0よりも小さいLV-3である店舗SP13に集客し、適正人数にするために、ユーザにインセンティブを提供すると決定する。例えば、情報処理装置100は、店舗SP13の周辺に位置するユーザを提供先ユーザに決定する。そして、情報処理装置100は、「15分以内に入店で10%割引」を内容とするインセンティブを提供すると決定する。情報処理装置100は、15分以内に店舗SP13に入店した場合に、店舗SP13での会計額が10%オフとなるクーポンをインセンティブとして提供する。これにより、情報処理装置100は、適正人数になるように集客し、店舗の空いている状態を解消することができる。
【0046】
〔1-2.混雑情報の提供〕
情報処理装置100は、ユーザに各店舗の混雑情報を提供してもよい。例えば、情報処理装置100は、混雑一覧SCのような各店舗の混雑度合いを示す情報をユーザの端末装置10に送信する。これにより、各ユーザは、どの店舗がどの程度混雑しているのかを把握することができる。
【0047】
〔1-3.ユーザ間距離〕
例えば、上述したユーザ間の平均的な距離(ユーザ間距離)は、パーソナルスペース等と称される一般的な距離(1.2mから2mの間等)で適宜設定されるが、社会的な状況に応じて変動してもよい。例えば、ユーザ間距離の設定値は、インフルエンザやコロナウィルスなどのウイルス感染症や風邪等の流行状況に応じて変動してもよい。例えば、ユーザ間距離の設定値は、ウイルス感染症や風邪等の患者が増加傾向にある場合、情報処理装置100の管理者等は、ユーザ間距離の設定値を大きくしてもよい。また、ユーザ間距離の設定値は、ウイルス感染症や風邪等の流行が終息した場合、情報処理装置100の管理者等は、ユーザ間距離の設定値を小さくしてもよい。
【0048】
このように、情報処理装置100は、感染症の流行具合に応じたユーザ間距離の設定値を用いて処理を行うことで、感染症の流行拡大を抑制することができる。例えば、情報処理装置100は、管理者等により設定されたユーザ間距離に応じて、各対象領域の適正人数を算出する。例えば、情報処理装置100は、設定されたユーザ間距離と、対象領域の広さとを基に、適正人数を算出してもよい。例えば、情報処理装置100は、対象領域の広さを設定されたユーザ間距離で除すること等により、適正人数を算出してもよい。
【0049】
〔1-4.他の施設〕
なお、
図1では、対象領域として、施設である店舗を一例として説明したが、施設は店舗に限らず、美術館、博物館、公園等の様々な施設であってもよい。この場合、インセンティブとしては、施設の利用料の割引(クーポン)やその施設に併設される売店で利用できる割引(クーポン)等であってもよい。
【0050】
情報処理装置100は、施設である美術館内のユーザの数がその美術館の適正人数を超える場合、他の施設(例えば他の美術館や博物館等)の割引(クーポン)をインセンティブとして、その美術館内のユーザに提供すると決定してもよい。そして、情報処理装置100は、その美術館内のユーザにインセンティブを提供してもよい。
【0051】
また、情報処理装置100は、美術館内のユーザの数がその美術館の適正人数を下回る場合、その美術館の割引(クーポン)をインセンティブとして、その美術館の周辺(例えば500m以内等)に位置するユーザに提供すると決定してもよい。そして、情報処理装置100は、その美術館の周辺に位置するユーザにインセンティブを提供してもよい。
【0052】
〔1-5.エリア〕
また、対象領域は、施設に限らず、所定の範囲(エリア)であってもよい。例えば、エリアは、店舗等の施設が複数並ぶ通りや商店街等であってもよい。この場合、インセンティブとしては、その通りや商店街に並ぶ施設で利用できる割引(クーポン)等であってもよい。
【0053】
情報処理装置100は、エリアである商店街に位置するユーザの数がその商店街の適正人数を超える場合、他のエリア(例えば他の商店街や他の商業施設等)の割引(クーポン)をインセンティブとして、その商店街に位置するユーザに提供すると決定してもよい。そして、情報処理装置100は、その商店街に位置するユーザにインセンティブを提供してもよい。
【0054】
また、情報処理装置100は、商店街に位置するユーザの数がその商店街の適正人数を下回る場合、その商店街で利用できる割引(クーポン)をインセンティブとして、その商店街に位置する周辺(例えば1km以内等)に位置するユーザに提供すると決定してもよい。そして、情報処理装置100は、その商店街の周辺に位置するユーザにインセンティブを提供してもよい。
【0055】
上記のように、情報処理装置100は、特定のエリアや施設で混雑が発生しないよう、ユーザに適切な情報やインセンティブを提示し、混雑回避につながる行動を促す。それにより、情報処理装置100は、特定エリア、施設の利用者数の適正化を図ることができる。
【0056】
〔1-6.ユーザの混雑許容レベル〕
例えば、情報処理装置100は、ユーザ自身が許容できる混雑度(混雑許容レベル)の設定を受け付け、ユーザごとのパーソナライズ対応を行ってもよい。情報処理装置100は、受け付けたユーザの混雑許容レベルをユーザに対応付けて登録する。
【0057】
例えば、情報処理装置100は、ある店舗について、ユーザYに来店をお勧めする時間とユーザZに来店をお勧めする時間を異ならせてもよい。例えば、情報処理装置100は、飲食店Rについて、混雑許容レベルが低い(例えばLV1等)であるユーザYには、混雑レベルが最も低い時間帯の来店予約をお勧めする。また、情報処理装置100は、飲食店Rについて、混雑許容レベルが低くない(例えばLV3等)であるユーザZには、飲食に適した時間帯(例えば12時や18時等)の来店予約をお勧めする。ユーザYやユーザZは、所定の予約サイトが提供する予約システムを用いて、お勧めされた時間で飲食店Rの予約を確保することで、より自分の都合に合った飲食店に来店ができる。
【0058】
また、情報処理装置100は、各ユーザの混雑を許容するレベル(混雑許容レベル)に応じて、インセンティブの提供先となるユーザを決定してもよい。
【0059】
情報処理装置100は、混雑許容レベルが低いユーザから順にインセンティブの提供先に決定してもよい。情報処理装置100は、対象領域の混雑を解消するためにインセンティブを提供する場合、混雑許容レベルが低いユーザから順にインセンティブの提供先に決定してもよい。
【0060】
このように、情報処理装置100は、混雑許容レベルが低い、すなわち混雑が嫌いなユーザを優先してインセンティブを提供することで、インセンティブを提供されたユーザが対象領域外へ移動する可能性を高めることができる。これにより、情報処理装置100は、インセンティブの提供先となるユーザの数の増大を抑制し、早期に混雑を解消することができる。
【0061】
また、情報処理装置100は、混雑許容レベルが高いユーザから順にインセンティブの提供先に決定してもよい。情報処理装置100は、対象領域へ集客するためにインセンティブを提供する場合、混雑許容レベルが高いユーザから順にインセンティブの提供先に決定してもよい。
【0062】
このように、情報処理装置100は、混雑許容レベルが高い、すなわち混雑を気にしない傾向があるユーザを優先してインセンティブを提供することで、インセンティブを提供されたユーザが対象領域に来る可能性を高めることができる。これにより、情報処理装置100は、インセンティブの提供先となるユーザの数の増大を抑制し、早期に適正人数までの集客を達成することができる。
【0063】
〔2.情報処理装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、情報処理装置100は、情報処理装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0064】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、端末装置10との間で情報の送受信を行う。
【0065】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。実施形態に係る記憶部120は、
図3に示すように、ユーザ情報記憶部121と、店舗情報記憶部122と、インセンティブ情報記憶部123とを有する。
【0066】
(ユーザ情報記憶部121)
実施形態に係るユーザ情報記憶部121は、ユーザに関する各種情報を記憶する。例えば、ユーザ情報記憶部121は、ユーザ属性に関する各種情報を記憶する。
図4は、実施形態に係るユーザ情報記憶部の一例を示す図である。
図4に示すユーザ情報記憶部121は、「ユーザID」、「年齢」、「性別」、「自宅」、「勤務地」、「最新位置」、「混雑許容レベル」といった項目が含まれる。
【0067】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。例えば、ユーザID「U1」により識別されるユーザは、
図1の例に示したユーザU1に対応する。また、「年齢」は、ユーザの年齢を示す。なお、「年齢」は、例えば35歳など、ユーザの具体的な年齢であってもよい。また、「性別」は、ユーザの性別を示す。
【0068】
また、「自宅」は、ユーザの自宅の位置情報を示す。なお、
図4では、「自宅」は、「LC11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度や経度を示す情報や「X県Y市Z町」等のような住所を示す情報であってもよい。緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「自宅」は、地域名や住所であってもよい。
【0069】
また、「勤務地」は、ユーザの勤務地の位置情報を示す。なお、
図4では、「勤務地」は、「LC12」といった抽象的な符号を図示するが、緯度や経度を示す情報や「X県Y市Z町」等のような住所を示す情報であってもよい。また、例えば、「勤務地」は、地域名や住所であってもよい。
【0070】
また、「最新位置」は、ユーザの最新位置を示す。例えば、「最新位置」は、ユーザについて最後に取得された位置を示す。なお、
図4では、「最新位置」は、「LC1」といった抽象的な符号を図示するが、緯度や経度を示す情報や「X県Y市Z町」等のような住所を示す情報であってもよい。例えば、「最新位置」は、ユーザが位置する店舗等の対象領域を示す情報であってもよい。
【0071】
また、「混雑許容レベル」は、ユーザが許容する混雑度合いを示す。「混雑許容レベル」は、各ユーザが指定してもよいし、ユーザの情報から情報処理装置100等が自動で推定し設定してもよい。
【0072】
例えば、ユーザID「U1」により識別されるユーザ(ユーザU1)の年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。ユーザU1は、自宅が「LC11」であることを示す。ユーザU1は、勤務地が「LC12」であることを示す。また、ユーザU1の最新位置は「LC1」であることを示す。ユーザU1の混雑許容レベルは「LV2」であることを示す。
【0073】
なお、ユーザ情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、ユーザ情報記憶部121は、ユーザのデモグラフィック属性に関する情報やサイコグラフィック属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、ユーザ情報記憶部121は、氏名、家族構成、収入、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。ユーザ情報記憶部121は、最後に位置情報が取得された日時、すなわち最新位置が取得された日時を記憶してもよい。
【0074】
(店舗情報記憶部122)
実施形態に係る店舗情報記憶部122は、店舗(ストア)に関する各種情報を記憶する。
図5は、実施形態に係る店舗情報記憶部の一例を示す図である。例えば、店舗情報記憶部122は、種々の店舗に関する情報を記憶する。
図5に示す店舗情報記憶部122には、「店舗ID」、「名称」、「カテゴリ」、「店舗情報」、「適正人数」、「最新人数」といった項目が含まれる。
【0075】
「店舗ID」は、店舗を識別するための識別情報を示す。「名称」は、店舗の具体的な名称を示す。例えば、「名称」は、「○○飲食店X町店」のような屋号と店舗の場所を示す情報との組合せであってもよい。また、「カテゴリ」は、店舗が属するカテゴリを示す。
【0076】
また、「店舗情報」は、各店舗の店舗情報である対象領域情報を示す。「店舗情報」には、対応する店舗の所在地、席数、広さ、店員の数、窓の数、テラス席の数等の様々な情報が記憶される。各店舗の店舗情報として記憶される情報は、上記に限られない。例えば、「店舗情報」は、店舗が占める領域(範囲)を示す情報を記憶する。
【0077】
なお、
図5では、「店舗情報」は、「店舗情報#11」、「店舗情報#12」といった抽象的な符号を図示するが、店舗情報#11、店舗情報#12等は、各店舗に関する様々な情報を含む。例えば、店舗情報#11は、飲食店Aが位置する場所を示す。また、店舗情報#11は、飲食店Aの席数、広さ、店員の数等を含む。また、店舗情報#11は、飲食店Aの窓の数、テラスの有無を示す情報を含む。
【0078】
また、「適正人数」は、店舗に適正に収容可能な人数を示す。「適正人数」は、店舗に収容される人数の範囲を示す。「最新人数」は、店舗に位置する人数を示す。「最新人数」は、各ユーザの位置を基に推定される店舗に位置するユーザの数を示す。
【0079】
また、「混雑レベル」は、店舗の混雑度合いを示す。「混雑レベル」は、適正人数と最新人数との乖離を基に店舗の混雑具合を数値化したものである。例えば、「混雑レベル」は、最新人数が適正人数の範囲内である場合、「LV0」となる。また、「混雑レベル」は、最新人数が適正人数よりも大きくなるほど、大きなレベル(例えば「LV5」等)となる。また、「混雑レベル」は、最新人数が適正人数よりも小さくなるほど、小さなレベル(例えば「LV-3」等のマイナスのレベル)となる。
【0080】
例えば、
図5の例では、店舗ID「SP11」により識別される店舗(店舗SP11)は、名称「飲食店A」であり、カテゴリ「飲食」に属する店舗であることを示す。また、例えば、
図5の例では、飲食店Aである店舗SP11は、店舗情報が店舗情報#11であり、適正人数が「10-20」であり、最新人数が「40」であり、混雑レベルが「LV2」であることを示す。すなわち、飲食店Aは、その時点での店舗にいるユーザの数が40人であり、適正な人数が10人から20人の間であるため混雑していることを示す。
【0081】
なお、店舗情報記憶部122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。店舗情報記憶部122は、店舗の情報に限らず、店舗以外の施設やエリア等の各種の対象領域の情報を記憶してもよい。
【0082】
(インセンティブ情報記憶部123)
実施形態に係るインセンティブ情報記憶部123は、インセンティブに関する各種情報を記憶する。
図6は、実施形態に係るインセンティブ情報記憶部の一例を示す図である。
図6に示すインセンティブ情報記憶部123は、「インセンティブID」、「インセンティブ」、「条件情報」といった項目を有する。
【0083】
「インセンティブID」は、インセンティブを識別するための識別情報を示す。「インセンティブ」は、インセンティブの内容を示す。
【0084】
「条件情報」は、インセンティブが付与されるための条件を示す。
図6では、「条件情報」は、「条件#1」や「条件#2」といった抽象的な符号を図示するが、実際には、そのインセンティブがユーザに付与されるための条件が格納される。例えば、「条件情報」には、「10分以内に滞在中の店舗を退店」、「20分以内に滞在中の店舗で会計」、「30分以内に他店舗に入店」といった情報などが格納される。
【0085】
図6では図示を省略するが、インセンティブ情報記憶部123は、インセンティブをユーザに提供する際に用いられるコンテンツを格納する「コンテンツ」の項目を有してもよい。例えば、「コンテンツ」には、インセンティブをクーポンとして提供する場合、クーポンの静止画像や動画像やテキストデータやURL、または、これらの格納場所を示すファイルパス名などが格納される。
【0086】
図6では、インセンティブには、インセンティブID「IS1」により識別されるインセンティブ(インセンティブIS1)やインセンティブID「AD12」により識別されるインセンティブ(インセンティブAD12)等が含まれることを示す。
【0087】
また、インセンティブID「IS1」により識別されるインセンティブ(インセンティブIS1)は、条件#1を満たした場合に適用される10%オフ(1割引き)のクーポンであることを示す。
【0088】
なお、インセンティブ情報記憶部123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。
【0089】
(制御部130)
図3の説明に戻って、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0090】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、算出部132と、推定部133と、決定部134と、提供部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0091】
(取得部131)
取得部131は、種々の情報を取得する。取得部131は、端末装置10等の外部装置から各種情報を取得する。また、取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。また、取得部131は、ユーザ情報記憶部121や、店舗情報記憶部122や、インセンティブ情報記憶部123等から各種情報を取得する。例えば、取得部131は、データ提供装置50から各種情報を取得してもよい。例えば、取得部131は、気象庁が管理するサーバ等の種々の外部の情報処理装置から各種情報を取得してもよい。例えば、取得部131は、店舗装置20から各種情報を取得してもよい。
【0092】
取得部131は、施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する。取得部131は、対象領域である店舗の対象領域情報としての店舗情報と、店舗に位置する対象ユーザの数とを取得する。
【0093】
取得部131は、ユーザが利用する端末装置10からユーザの位置情報を取得する。取得部131は、店舗情報記憶部122から、店舗の適正人数、最新人数、混雑レベル等の情報を取得する。取得部131は、推定部133により推定された情報を取得する。
【0094】
(算出部132)
算出部132は、各種情報を算出する。算出部132は、記憶部120に記憶された各種情報に基づいて、種々の情報を算出する。算出部132は、対象領域における適正な人数を示す適正人数を算出する。
【0095】
算出部132は、取得部131により取得された対象領域情報に基づいて、対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲(適正人数)を算出する。算出部132は、ユーザ間距離、対象領域の広さ、対象領域を管理する人の数(スタッフ数)、屋外の範囲、屋内の範囲等を入力として、対象領域における最適な人数(以下「最適人数」ともいう)を出力する関数(「算出関数」ともいう)を用いて、店舗の最適人数を算出する。この場合、算出関数は、例えばユーザ間距離、対象領域の広さ、スタッフ数、屋外の範囲、屋内の範囲等を変数とする関数である。なお、算出関数は、線形関数であってもよいし、非線形関数であってもよい。
【0096】
例えば、算出部132は、ユーザ間距離、席数、広さ、店員の数等を入力として、最適人数を出力する算出関数を用いて、店舗の最適人数を算出する。なお、最適人数を算出する算出関数は、適宜の方法により生成される。例えば、情報処理装置100は、算出関数を生成してもよいし、データ提供装置50から取得してもよい。また、算出関数は、店舗情報等の対象領域情報に限らず、種々の種別の情報を入力としてもよい。例えば、算出関数は、疾病に関する。
【0097】
また、算出部132は、窓の数、テラス席の数を基に、最適人数の上下に幅を持たせることにより、店舗の適正人数を算出する。例えば、算出部132は、窓の数が多い程、最適人数の上下の幅を大きくすることにより、店舗の適正人数を算出する。算出部132は、テラス席の数が多い程、最適人数の上下の幅を大きくすることにより、店舗の適正人数を算出する。
【0098】
また、算出部132は、複数の算出関数を用いて、適正人数を算出してもよい。例えば、算出部132は、適正人数の上限を出力する第1算出関数を用いて、適正人数の上限を算出する。また、算出部132は、適正人数の下限を出力する第2算出関数を用いて、適正人数の下限を算出する。算出部132は、第1算出関数の出力を上限とし、第2算出関数の出力を下限として、適正人数を算出する。第1算出関数及び第2算出関数は、同じ入力が用いられてもよいし、異なる入力が用いられてもよい。例えば、第1算出関数の出力と、第2算出関数の出力とが同じである場合、算出部132は、第1算出関数の出力及び第2算出関数の出力を適正人数とする。
【0099】
(推定部133)
推定部133は、各種情報を推定し、推定した情報を記憶部120に格納する。推定部133は、対象領域に関する各種情報を推定する。推定部133は、店舗内にいるユーザの数を推定し、推定したユーザの数を店舗に対応付けて店舗情報記憶部122に格納する。
【0100】
推定部133は、店舗SP11、SP12等の各店舗の店舗情報中の店舗の所在地や占める領域を示す情報(店舗領域)と、各ユーザの位置とを比較することにより、各店舗に位置するユーザの数を推定する。推定部133は、各ユーザの位置を用いて、各店舗内にいるユーザ(対象ユーザ)の数を、各店舗の最新人数として推定する。
【0101】
推定部133は、店舗の混雑度合いを推定する。推定部133は、各店舗の適正人数と、各店舗の最新人数とを比較することにより、各店舗の混雑度合いを示す混雑レベルを推定する。推定部133は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数である場合、その店舗の混雑度合いが適正であると推定し、混雑レベルをレベルLV0と推定する。
【0102】
また、推定部133は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数を超える場合、その店舗が混雑していると推定し、混雑レベルをレベルLV0よりも大きく、すなわちレベルLV1以上であると推定する。推定部133は、店舗の最新人数が、その店舗の適正人数を下回る場合、その店舗が空いていると推定し、混雑レベルをレベルLV0よりも小さく、すなわちレベルLV-1(マイナス1)以下であると推定する。
【0103】
(決定部134)
決定部134は、種々の情報を決定する。決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する。決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲とを比較し、その比較結果を基に、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する。決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲外である場合、ユーザに対してインセンティブを提供すると決定する。
【0104】
決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲外である場合、対象ユーザの数がユーザ数の範囲に収まるように、インセンティブの内容を決定する。決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を超える場合、対象領域内のユーザの数を減らすインセンティブの内容に決定する。決定部134は、対象ユーザに対象領域外への移動を促すインセンティブの内容に決定する。
【0105】
決定部134は、店舗内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する。決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を超える場合、店舗内のユーザの数を減らすためのクーポンをインセンティブとする。決定部134は、対象ユーザに店舗で所定期限内に会計することを促すインセンティブの内容に決定する。決定部134は、店舗から所定の範囲内に位置するユーザに対して店舗とは異なる他の店舗への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。
【0106】
決定部134は、インセンティブの内容に応じて、インセンティブの提供先となるユーザを決定する。決定部134は、各ユーザの混雑を許容するレベルに応じて、インセンティブの提供先となるユーザ(提供先ユーザ)を決定する。決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を下回る場合、対象ユーザ以外のユーザに対して対象領域への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。決定部134は、対象領域から所定の範囲内に位置するユーザに対して対象領域への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。
【0107】
決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲との乖離に応じてインセンティブの内容を変更する。決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲に近づくほど、インセンティブの内容を低下させる。例えば、決定部134は、店舗内の最新人数が適正範囲に近づくほど、クーポンの割引率を低下させる。決定部134は、店舗内の最新人数が適正範囲に近い程、割引率が低いインセンティブを提供すると決定する。決定部134は、店舗内の最新人数が適正範囲から遠い程、割引率が高いインセンティブを提供すると決定する。決定部134は、インセンティブ情報記憶部123中のインセンティブ群から、提供先ユーザに提供するインセンティブを決定する。決定部134は、コンテンツを生成する。決定部134は、インセンティブを示すクーポンを含むコンテンツを生成する。例えば、決定部134は、Java(登録商標)等の種々の技術を適宜用いて、端末装置10へ提供する画面(コンテンツ)を生成する。なお、決定部134は、CSSやJavaScript(登録商標)やHTMLの形式に基づいて、端末装置10へ提供する画面(コンテンツ)を生成してもよい。また、例えば、決定部134は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphics Interchange Format)やPNG(Portable Network Graphics)など様々な形式で画面(コンテンツ)を生成してもよい。
【0108】
(提供部135)
提供部135は、各種情報を提供する。提供部135は、端末装置10や店舗装置20やデータ提供装置50に各種情報を送信する。提供部135は、端末装置10にインセンティブを示す情報を送信する。
【0109】
提供部135は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲とに基づき推定される対象領域の混雑を示す混雑情報をユーザに提供する。提供部135は、決定部134により決定されたインセンティブを提供する。提供部135は、提供先となるユーザにインセンティブを提供する。提供部135は、クーポンをインセンティブとしてユーザに提供する。提供部135は、決定部134により生成されたコンテンツを提供する。
【0110】
〔3.情報処理のフロー〕
次に、
図7を用いて、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順について説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
図7に示すように、情報処理装置100は、施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報を取得する(ステップS101)。そして、情報処理装置100は、対象領域に位置する対象ユーザの数を取得する(ステップS102)。
【0112】
そして、情報処理装置100は、対象領域情報に基づいて、対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する(ステップS103)。情報処理装置100は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲との比較により、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する(ステップS104)。
【0113】
〔4.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部131と、算出部132と、決定部134とを有する。取得部131は、施設またはエリアである対象領域を示す対象領域情報と、対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを取得する。算出部132は、取得部131により取得された対象領域情報に基づいて、対象領域内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する。決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲とに基づいて、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定する。
【0114】
このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域のユーザ数の範囲を算出するとともに、そのユーザ数の範囲と、対象領域に位置するユーザである対象ユーザの数とを基に、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定することで、対象領域における人の混雑具合に応じてインセンティブの内容を決定することができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0115】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲外である場合、対象ユーザの数がユーザ数の範囲に収まるように、インセンティブの内容を決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域の人の数が適正な範囲内に収まるように、インセンティブの内容を決定することで、対象領域内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0116】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を超える場合、対象領域内のユーザの数を減らすインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域内の人の数が適正な範囲を超えた場合、対象領域内の人を減らすようにインセンティブの内容を決定することで、対象領域内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0117】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザに対象領域外への移動を促すインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域の人の数が適正な範囲を超えた場合、対象領域内の人を対象領域外への移動を促すインセンティブの内容を決定することで、対象領域内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0118】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、取得部131は、対象領域である店舗の対象領域情報としての店舗情報と、店舗に位置する対象ユーザの数とを取得する。決定部134は、店舗内におけるユーザ間の平均的な距離が所定の範囲内となるユーザ数の範囲を算出する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、店舗の適正なユーザ数の範囲と、店舗内の対象ユーザの数とを基に、ユーザに対して提供するインセンティブの内容を決定することで、店舗における人の混雑具合に応じてインセンティブの内容を決定することができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0119】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を超える場合、店舗内のユーザの数を減らすためのクーポンをインセンティブとする。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、店舗内の人の数が適正な範囲を超えた場合、店舗内の人を減らすようにインセンティブの内容を決定することで、店舗内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0120】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザに店舗で所定期限内に会計することを促すインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、店舗内の人の数が適正な範囲を超えた場合、店舗内の人に会計を行わせて退店を促すようにインセンティブの内容を決定することで、店舗内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0121】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、店舗から所定の範囲内に位置するユーザに対して店舗とは異なる他の店舗への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、店舗の近くにいるユーザを他の店舗へ移動させるようにインセンティブの内容を決定することで、店舗内のユーザの数を適切な範囲に収めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0122】
また、実施形態に係る情報処理装置100は、提供部135を有する。提供部135は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲とに基づき推定される対象領域の混雑を示す混雑情報をユーザに提供する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域の混雑を示す混雑情報をユーザに提供することで、ユーザが混雑具合に応じて、対象領域から去ったり、対象領域に行ったりする自発的な行動を促すことができる。
【0123】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、提供部135は、決定部134により決定されたインセンティブを提供する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、決定したインセンティブを提供することで、ユーザに対して適切にインセンティブを提供することができる。
【0124】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、インセンティブの内容に応じて、インセンティブの提供先となるユーザを決定する。提供部135は、提供先となるユーザにインセンティブを提供する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、インセンティブの内容に応じて提供先のユーザを決定することで、適切にインセンティブを提供するユーザを決定することができる。
【0125】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、各ユーザの混雑を許容するレベルに応じて、インセンティブの提供先となるユーザを決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、各ユーザの混雑を許容度に応じて提供先のユーザを決定することで、適切にインセンティブを提供するユーザを決定することができる。
【0126】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数がユーザ数の範囲を下回る場合、対象ユーザ以外のユーザに対して対象領域への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域内の人の数が適正な範囲を下回る場合、対象領域内の人を増やすようにインセンティブの内容を決定することで、対象領域内のユーザの数を適切な範囲に収めつつ、対象領域が閑散とすることを抑制することができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0127】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象領域から所定の範囲内に位置するユーザに対して対象領域への来訪を促すインセンティブの内容に決定する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域内の人の数が適正な範囲を下回る場合、対象領域内の人を増やすようにインセンティブの内容を決定することで、対象領域内のユーザの数を適切な範囲に収めつつ、対象領域が閑散とすることを抑制することができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0128】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲との乖離に応じてインセンティブの内容を変更する。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域内の人の数が適正な範囲からどれほど離れているかに応じてインセンティブを変更することで、対象領域内の人の数が適正な範囲に収める可能性を高めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0129】
また、実施形態に係る情報処理装置100において、決定部134は、対象ユーザの数とユーザ数の範囲に近づくほど、インセンティブの内容を低下させる。このように、実施形態に係る情報処理装置100は、対象領域内の人の数が適正な範囲に近づくほどに、インセンティブを弱めることで、対象領域内の人の数が適正な範囲に収める可能性を高めることができる。したがって、情報処理装置100は、ユーザに対して提供するインセンティブを適切に決定することができる。
【0130】
〔5.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0131】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0132】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0133】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0134】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0135】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0136】
以上、本願の実施形態及び変形例のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の行に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0137】
〔6.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0138】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0139】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0140】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
121 ユーザ情報記憶部
122 店舗情報記憶部
123 インセンティブ情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 算出部
133 推定部
134 決定部
135 提供部
10 端末装置
20 店舗装置
50 データ提供装置
N ネットワーク