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特許7273023新規のレジスト下層膜形成用重合体、これを含むレジスト下層膜形成用組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】新規のレジスト下層膜形成用重合体、これを含むレジスト下層膜形成用組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20230502BHJP
   C08G 61/02 20060101ALI20230502BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230502BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G61/02
G03F7/004 501
G03F7/11 502
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020503881
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 KR2018007467
(87)【国際公開番号】W WO2019022394
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0094063
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ナムキュ
(72)【発明者】
【氏名】ハム ジンス
(72)【発明者】
【氏名】イ キュンピョ
(72)【発明者】
【氏名】イ クヮンクク
(72)【発明者】
【氏名】イ クヮンホ
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒェリョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン スヨン
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0099997(KR,A)
【文献】特表2016-530375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0200853(US,A1)
【文献】国際公開第2016/208300(WO,A1)
【文献】特開2013-077010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0098870(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0017174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0015779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
C08G 61/02
G03F 7/004
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式2で表される部分を含む重合体と、有機溶媒と、架橋剤と、酸触媒及び酸発生剤から選択される1つ以上の添加剤とを含む、レジスト下層膜組成物。
〔化学式2〕
【化1】
前記化学式2中、
Xは、C10-C30芳香族環であり、
Yは、下記構造からなり、R 11 は、水素であり、
【化2】
Aは、下記構造からなり、R およびR は、水素であり、
【化3】
は、C10-C30芳香族環であり、
aおよびbは、それぞれ独立して、1~4の整数であり、
mは、1~30の整数である。
【請求項2】
前記XおよびXは、それぞれ独立して、下記構造から選択される、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【化4】
【請求項3】
前記重合体の重量平均分子量は、500~50,000である、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項4】
前記重合体は、下記構造から選択される構造を含む、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
(前記構造において、mは、1~30の整数である。)
【請求項5】
全体のレジスト下層膜組成物に対して、前記重合体0.5~50重量%と、有機溶媒50~99.5重量%とを含み、前記重合体100重量部に対して、架橋剤0.1~30重量部を含み、前記重合体100重量部に対して、酸触媒または酸発生剤0.01~10重量部を含む、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項6】
前記有機溶媒は、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびN-メチルピロリドンから選択される1種以上である、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項7】
消泡剤および界面活性剤から選択される一つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
【請求項8】
前記架橋剤は、下記化学式4-1~4-7で表される化合物から選択される1種以上である、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
〔化学式4-1〕
【化18】
〔化学式4-2〕
【化19】
〔化学式4-3〕
【化20】
前記化学式4-3中、R31およびR32は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシであり、R33は、C1-C10アルキルである。
〔化学式4-4〕
【化21】
〔化学式4-5〕
【化22】
前記化学式4-5中、R34~R37は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシであり、R38およびR39は、それぞれ独立して、水素、C1-C10アルキルまたはハロC1-C10アルキルである。
〔化学式4-6〕
【化23】
前記化学式4-6中、R40~R43は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシである。
〔化学式4-7〕
【化24】
前記化学式4-7中、R44~R49は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシである。
【請求項9】
前記酸触媒または酸発生剤は、下記化学式5-1~5-10で表される化合物から選択される1種以上である、請求項1に記載のレジスト下層膜組成物。
〔化学式5-1〕
【化25】
〔化学式5-2〕
【化26】
〔化学式5-3〕
【化27】
〔化学式5-4〕
【化28】
〔化学式5-5〕
【化29】
〔化学式5-6〕
【化30】
〔化学式5-7〕
【化31】
〔化学式5-8〕
【化32】
〔化学式5-9〕
【化33】
〔化学式5-10〕
【化34】
【請求項10】
a)請求項1に記載のレジスト下層膜組成物を基板の上部に塗布し、加熱して、レジスト下層膜を形成するステップと、
b)前記a)ステップのレジスト下層膜の上部にフォトレジスト膜を形成するステップと、
c)前記b)ステップのレジスト下層膜とフォトレジスト膜が被覆された基板を露光させた後、現像して、フォトレジストパターンを形成するステップと、
d)前記c)ステップのフォトレジストパターンを食刻マスクとしてレジスト下層膜を食刻し、前記パターンの形態で前記基板を露出させるステップと、
e)前記基板の露出した部分をエッチングするステップとを含む、半導体素子の製造方法。
【請求項11】
前記b)ステップの前に、前記a)ステップのレジスト下層膜の上部に無機物レジスト下層膜または底部反射防止膜(bottom anti-reflective coating;BARC)を形成するステップをさらに含む、請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項12】
前記c)ステップのフォトレジストパターンを形成するステップの間に、露光前および/または露光後にそれぞれ加熱を行うことを特徴とする、請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項13】
前記露光は、ArF、KrF、EUVを含む遠紫外線(DUV;Deep Ultra Violet)、電子ビーム(Electron beam)、X-線およびイオンビームからなる群から選択される一つまたはそれ以上を使用することを特徴とする、請求項10に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体およびディスプレイ製造工程に使用する新規の構造の重合体、これを含む半導体およびディスプレイ製造工程用の下層膜組成物およびこれを用いた半導体素子の製造方法に関し、より詳細には、本発明の新規の重合体は、最適化したエッチ選択比と平坦化特性および優れた耐熱性を同時に有していることで、これを含む下層膜組成物は、半導体多層リソグラフィ(lithography)工程にハードマスクとして使用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の小型化および高集積化に伴い、パターンのサイズが急速に小さくなるにつれて、フォトレジストパターンの倒れ現象が工程上の最大の難点として目立ち、そのため、高解像性をなすためにフォトレジスト膜の厚さがますます薄くなることが必然になった。しかし、薄くなったフォトレジストで形成されたパターンを使用して十分なエッチ選択比で被食刻層を食刻することは非常に困難となり、そのため、フォトレジストと被食刻層との間に食刻(エッチ(etch))耐性が強い無機物あるいは有機物膜質を取り入れることになった。この膜質をハードマスクと称し、ハードマスク工程は、通常、フォトレジストパターンを用いて、ハードマスクを食刻してパターニングした後、ハードマスクのパターンを用いて被食刻層を食刻する工程を意味する。前記ハードマスク工程に用いられるハードマスクの材質は、様々な膜質が用いられており、例としては、ポリシリコン、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、チタンナイトライド、無定形炭素(amorphous carbon)などがあり、通常、化学蒸気蒸着法(chemical vapor deposition:CVD)により製造される。
【0003】
前記化学蒸気蒸着法によって生成されたハードマスクは、エッチ選択性やエッチ耐性に優れた物性を有しているが、パーティクル(particle)の発生、段差の大きい部分での空隙(void)などの問題を抱えており、特に、高い初期装備投資費用の問題が最も問題になっている。これを解決するための方法として、前記蒸着式ハードマスクの代りに、半導体ライン内、フォトリソグラフィ工程で使用されているトラック装備を用いて、容易にスピンコートが可能なスピンオン(spin on)ハードマスク組成物の開発の必要性が現れ、そのための具体的な物質の開発が本格化している状況である。前記スピンコーティングにより形成されるハードマスク(スピンオンハードマスク)は、エッチング(etching)耐性の面では、CVD工程によるハードマスクのような性能を有するには難点があるが、溶液状態のコーティングにより、より容易な薄膜の形成と、向上したコーティング均一性および薄膜の表面粗さが改善されるなどの利点を有している。また、化学蒸気蒸着法に比べ、初期投資費用が少ないという利点をも有している。
【0004】
上述のように、最近、LSI(large scale integrated circuit)の継続した高集積化によるリソグラフィ工程の微細化は、既存の最新技術であるアルゴンフルオライド液浸露光フォトレジストによっても実現に限界があり、特に、30nmノード(node)以下の超微細パターン工程を行うためには、リソグラフィ工程で使用するフォトレジストの解像度が決定的な重要因子として作用する。しかし、既存のフォトレジストでは、30nm以下のパターンを実現するのに限界があり、新たな追加工程を開発し、これを解消している状況である。
【0005】
現在開発されている様々な工程技術のうち実際の工程に適用されていることは、2回の露光とエッチング工程を進めるダブルパターニング方法とスペーサを用いたダブルパターニング工程(SPT)が主流となっており、この追加の工程にハードマスクの役割として使用する材料を、通称、下層膜組成物と称している。注目すべきことは、初期の無定形炭素の代わりにハードマスクとして使用しようとすることの他に、新たな高解像度を実現するための工程であるダブルパターニング(Double patterning)工程がArFリソグラフィ工程の全般を主導している状況で、新たなハードマスク物質として使用量が急増していることである。かかる下層膜に求められる最大の物性としては、高い食刻耐性および熱安定性、一般的な有機溶媒に対する優れた溶解性、貯蔵安定性、接着性などの特性とともに、優れたコーティング均一度などがある。熱安定性が求められる理由は、下層膜を形成した後、上部に、後続工程として高温での真空蒸着工程を行うためであり、一般的に、耐熱性は、安定した真空蒸着工程のために400℃で低い高分子の分解と、5%以下の膜減少を求めている。エッチング耐性は、下層膜として最小の厚さを有して下部層(substrate)を食刻するためのもう一つの非常に重要な要素である。膜の厚さが厚いほど自然にパターンが工程中に倒れ得る恐れが増加するためである。エッチング耐性は、重合体の炭素含量が高いほど有利であるが、溶媒に対する溶解度とコーティング均一度などを考慮すると、82%以上が適切である。
【0006】
従来、かかる下層膜材料の特性を満たすために、組成物において高分子物質は、主に、炭素含有量および極性が高く、熱安定性の高い高分子が主に研究されており、特に、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテル、その他、フェノール系高分子などについて様々な研究が行われている。前記の高分子の一部は、十分な高温安定性と膜形成能力を有していることが認められたが、食刻耐性と関連して所望の水準の炭素含量を有する場合、急激な溶解度の低下によって貯蔵安定性の面と、ライン内の混用性およびコーティング均一度の面で問題を示すこともある。これらのうち耐熱性の面で足りない物質は、低い熱安定性によって工程中にガス発生量が多いという欠点をも抱えている。
【0007】
すなわち、下層膜組成物の物性は、重合体の特性によって左右される。特に、熱安定性とエッチング耐性の場合、重合体の特性が、そのまま下層膜組成物の特性に反映される。熱安定性の場合、重合体の主鎖の安定性によって左右され、エッチング耐性の場合、重合体に存在する炭素の含量が高いほど優れる。耐熱性に優れた重合体としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアリールケトンエーテルなどが挙げられるが、エッチング耐性が劣るか、一般的な有機溶媒に対して溶解度が低くて、下層膜の材料として使用するには限界がある。
【0008】
また、表面の平坦化性とパターンの縁部の均一性は、添加剤や高分子の分子量で調節することができる。その他、パターンの機械的な物性も高分子の種類と構造によって決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上述の問題を解消するために、熱安定性とコーティング均一度に優れ、エッチング耐性を向上させることができる新規の重合体を合成し、前記重合体が、優れた熱安定性、エッチング耐性およびコーティング均一度の特性を有し、且つ高い炭素含量にもかかわらず半導体工程で通常使用する有機溶媒に対する溶解度が高いことから、貯蔵安定性およびライン混用性の特性を著しく向上させたことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、優れた熱安定性、エッチング耐性およびコーティング均一度に優れた下層膜形成用重合体を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記下層膜形成用重合体を含み、熱安定性、エッチング耐性、表面平坦化度およびギャップフィル(gap fill)特性に優れ、パターンの機械的な物性に優れた下層膜組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記下層膜組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むレジスト下層膜形成用重合体を提供する。
〔化学式1〕
【化1】
前記化学式1中、
Yは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
Aは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
は、C10-C30芳香族環であり、
aは、1~4の整数であり、
前記Y、AおよびXの炭素数の和は、少なくとも30である。
【0014】
また、本発明は、前記化学式1で表される繰り返し単位を含む重合体および有機溶媒を含むレジスト下層膜組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、a)前記化学式1で表される繰り返し単位を含むレジスト下層膜形成用重合体と、有機溶媒とを含むレジスト下層膜組成物を基板の上部に塗布するステップと、b)前記a)ステップの基板を加熱してレジスト下層膜を形成するステップとを含むレジスト下層膜の形成方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、a)前記レジスト下層膜組成物を基板の上部に塗布し、加熱して、レジスト下層膜を形成するステップと、b)前記a)ステップのレジスト下層膜の上部にフォトレジスト膜を形成するステップと、c)前記b)ステップのレジスト下層膜とフォトレジスト膜が被覆された基板を露光させた後、現像して、フォトレジストパターンを形成するステップと、d)前記c)ステップのフォトレジストパターンを食刻マスクとしてレジスト下層膜を食刻し、前記パターンの形態で前記基板を露出させるステップと、e)前記基板の露出した部分をエッチングするステップとを含む半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の新規の重合体は、高い炭素含量により、最適化したエッチ選択比と平坦化特性の他に、優れた耐熱性を示すことから、これを含むレジスト下層膜組成物は、半導体多層リソグラフィ(lithography)工程でスピンコートによってハードマスク(スピンオンカーボン(spin on carbon:SOC)ハードマスク)を形成することができ、400℃で加熱する後工程でヒュームの発生が少なく、高温SOC物質としても有用である。
【0018】
本発明のレジスト下層膜組成物は、新規の重合体により、優れたエッチング耐性、熱安定性およびコーティング均一度を示し、特に、高い炭素含量にもかかわらず、有機溶媒に対する優れた溶解度を有することで、貯蔵安定性と半導体工程でのライン混用性を著しく向上させる効果を奏する。
【0019】
また、本発明により形成されたレジスト下層膜は、熱安定性に優れ、段差のあるウェハに塗布する時にも、ギャップフィル(gap fill)特性に優れることから平坦化度に優れるという利点がある。また、本発明により形成されたレジスト下層膜は、エッチング耐性に優れ、ドライエッチング工程の際に、一定のパターンの形状を形成するための保護膜(ハードマスク)の役割を行い、レジスト膜質のエッチング速度を上げるか下げるほどマスクの損失を最小化することができ、下部膜質の食刻量(エッチング量)を増加させることができる。
【0020】
また、本発明のレジスト下層膜組成物を用いて、レジスト下層膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を実施した場合であっても、パターン実現度(pattern fidelity)、CD(critical dimension)均一度、表面粗さ(surface roughness)などの面で優れた結果を示した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実現例について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施するように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現され得、ここで説明する実現例に限定されない。
【0022】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一つによって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためであり、本発明を制限することを意図しない。
【0023】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別に断らない限り、複数形態をも含むものと意図することができる。
【0024】
本発明において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素化合物であり、各環に適切には4~7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一環または縮合環系を含み、多数個の芳香族環が単結合で連結されている形態をも含む。また、前記「芳香族環」は、少なくとも一つの水素の除去によって目的とする個数の結合部位を有することができる。
【0025】
本発明において別の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=0)、チオ(=S)、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルアミノ、ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルシリル、アミノ、ヒドロカルビルアミノ、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビリデンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の置換基で置換されることを意味する。
【0026】
具体的には、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=0)、チオ(=S)、C1-C20アルキル、ハロC1-C20アルコキシ、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C6-C20アリール、C6-C20アリールオキシ、C1-C20アルコキシカルボニル、C1-C20アルキルカルボニルオキシ、C2-C20アルケニルカルボニルオキシ、C2-C20アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C20アルキルカルボニルアミノ、C2-C20アルケニルカルボニルアミノ、C2-C20アルキルカルボニルアミノ、C2-C20アルキニルカルボニルアミノ、SR´、NR´´R´´´(R´~R´´´は、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、C2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリール)、C1-C20アルキルシリル、C2-C20アルケニルシリル、C2-C20アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C6-C20アリールC1-C20アルキル、C6-C20アリールC2-C20アルケニル、C6-C20アリールC2-C20アルキニル、C3-C20シクロアルキル、C3-C20シクロアルキルC1-C20アルキル、C3-C20シクロアルケニル、C6-C20ヘテロアリール、C3-C20ヘテロシクロアルキル環、C3-C20ヘテロアリールC1-C20アルキル、C3-C20ヘテロシクロアルキル、C1-C20アルキリデンおよびC3-C20シクロアルキリデンから選択されるいずれか一つ以上で置換されることを意味する。
【0027】
本発明において、「ヒドロカルビル」または「ヘテロヒドロカルビル」は、ヒドロカーボンまたはヘテロヒドロカーボンから誘導される1個の結合サイトを有するラジカルを意味し、「ヘテロ」は、炭素がO、SおよびN原子から選択される一つ以上の原子で置換されたものを意味する。
【0028】
本発明において、「アルキル」は、炭素および水素原子だけで構成された1価の直鎖または分岐鎖飽和炭化水素ラジカルを意味し、かかるアルキルラジカルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどを含むが、これに限定されない。
【0029】
本発明において、「アリール」は、一つの水素の除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであり、各環に、適切には4~7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または縮合環系を含み、多数個のアリールが単結合で連結されている形態をも含む。縮合環系は、飽和または部分的に飽和された環のような脂肪族環を含むことができ、必ず一つ以上の芳香族環を含んでいる。また、前記脂肪族環は、窒素、酸素、硫黄、カルボニルなどを環の中に含むこともできる。前記アリールラジカルの具体例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インデニル(indenyl)、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、9,10-ジヒドロアントラセニルなどを含む。
【0030】
本発明において、「シクロアルキル」は、単環、二環、または三環系を示す。単環系は、3~8個の炭素原子を含む飽和環式炭化水素基によって例示される。単環系の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。二環系はまた単環の2個の非隣接炭素原子が1個および3個のさらなる炭素原子の間のアルキレンブリッジによって連結され架橋された単環系によって例示される。二環系の例としては、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナンおよびビシクロ[4.2.1]ノナンが含まれるが、これに制限されない。三環系はまた、二環の2個の非隣接炭素原子が結合または1個および3個の炭素原子の間のアルキレンブリッジによって連結された二環系によって例示される。三環系の代表例としては、トリシクロ[3.3.1.03,7]ノナンおよびトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン(アダマンタン)が含まれるが、これに制限されない。
【0031】
本発明において、「アルコキシ」、「シクロアルキルオキシ」および「アリールオキシ」は、それぞれ、-O-アルキルラジカル、-O-シクロアルキルラジカルおよび-O-アリールラジカルを意味し、ここで、「アルキル」、「シクロアルキル」および「アリール」は、前記で定義したとおりである。
【0032】
以下、本発明について、より詳細に説明する。
【0033】
本発明は、半導体およびディスプレイの製造工程で使用される優れた下層膜物性を有する組成物を製造するための核心の材料である、下記化学式1で表される繰り返し単位を含む新規の重合体を提供する。
〔化学式1〕
【化2】
前記化学式1中、
Yは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
Aは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
は、C10-C30芳香族環であり、
aは、1~4の整数であり、
前記Y、AおよびXの炭素数の和は、少なくとも30である。
【0034】
本発明の一実施形態において、前記Aは、下記構造から選択される芳香族環であってもよく、芳香族環が結合される結合サイトは、下記構造の芳香族環の炭素から選択され得る。
【化3】
前記構造において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルコキシ、C3-C20シクロアルキルオキシ、C6-C20アリールオキシ、SRまたはNRであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
は、CRまたはC=Rであり、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
は、C1-C20アルキリデンまたはC3-C20シクロアルキリデンである。
【0035】
本発明の一実施形態において、前記Yは、下記構造から選択される芳香族環であってもよく、芳香族環が結合される結合サイトは、下記構造の芳香族環の炭素から選択され得る。
【化4】
前記構造において、R11~R13は、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルコキシ、C3-C20シクロアルキルオキシ、C6-C20アリールオキシ、SR14またはNR1516であり、
14~R16は、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
11は、CR1718またはC=R19であり、
17およびR18は、それぞれ独立して、水素、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキルまたはC6-C20アリールであり、
19は、C1-C20アルキリデンまたはC3-C20シクロアルキリデンである。
【0036】
本発明の一実施形態において、前記重合体は、下記化学式2で表される部分を含むことができる。
〔化学式2〕
【化5】
前記化学式2中、
Xは、C10-C30芳香族環であり、
Yは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
Aは、置換または非置換のC6-C30芳香族環であり、
は、C10-C30芳香族環であり、
aおよびbは、それぞれ独立して、1~4の整数であり、
mは、1~30の整数である。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記XおよびXは、それぞれ独立して、下記構造から選択される芳香族環であってもよく、芳香族環が結合される結合サイトは、下記構造の芳香族環の炭素から選択され得る。
【化6】
【0038】
本発明の一実施形態において、前記重合体は、二つのY、AおよびXの炭素数の和が少なくとも30であり、前記重合体は、少なくとも二つの多環の芳香族環を含み、これによって重合体の繰り返し単位内に一定量以上の最大の炭素密度を有し、優れたエッチング耐性を示すだけでなく、エッチングガス(etch gas)に対して、基板に比べ優れた選択性を有する。
【0039】
本発明の一実施形態において、前記重合体は、繰り返し単位内にAを中心に両方にYが置換されており、このようにAを中心に両方に置換されたYが互いに同一であることによって重合体の繰り返し単位内の一定量以上の最大の炭素密度を有して優れたエッチング耐性を示すだけでなくエッチングガス(etch gas)に対する基板に対して優れた選択性を有することになる。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記重合体は、エッチング耐性およびコーティング均一度に優れるだけでなく、優れた熱安定性を有し、高い炭素含量を有しているにもかかわらず、有機溶媒に対して優れた溶解度を有しており、スピン-オンコーティング方法でレジスト下層膜を効果的に形成することができる。また、所定のパターンを有する下部膜の上にスピン-オンコーティング方法で形成された時に、パターンの間のギャップを充填することができるギャップ-フィル特性および平坦化特性にも優れ、半導体多層リソグラフィ(lithography)工程においてハードマスクとして使用可能である。また、本発明に係る重合体は、高い炭素含量を有するにもかかわらず、有機溶媒に対する溶解度に優れ、貯蔵安定性を向上させることができる。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、500g/mol以上であるか、下層膜組成物の製造およびハンドリングの容易性、膜形成、コーティング均一度、ホール充填特性および溶解度を向上させるための面で、重合体の重量平均分子量は、500~50,000g/mol、好ましくは800~20,000g/mol、さらに好ましくは800~10,000g/molである。前記重合体の重量平均分子量が500g/mol未満の場合、コーティング均一度が低下するという欠点がある。
【0042】
本発明の一実施形態において、前記重合体は、下記構造から選択される構造を含むことができるが、これに限定されない。また、下記構造でヒドロキシ基が結合される結合サイトは、制限されるものではなく、芳香族環の中の置換可能な炭素から選択され得る。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【0043】
(前記構造において、mは、1~30の整数である。)
【0044】
前記構造において、結合サイトは、芳香族環の炭素から選択され、制限されるものではない。
【0045】
本発明の一実施形態において、本発明に係る重合体は、公知の重合反応により合成され得、下記化学式Aの単量体と化学式Bの単量体を重合させて製造され得るが、これに限定されるものではない。
【0046】
〔化学式A〕
【化35】
【0047】
〔化学式B〕
【化36】
【0048】
(前記化学式AおよびB中、Y、A、Xおよびaは、前記化学式1での定義のとおりである。)
【0049】
また、本発明は、前記化学式1で表される繰り返し単位を含む重合体を含むレジスト下層膜組成物を提供ものであり、本発明の下層膜組成物は、半導体多層リソグラフィ(lithography)工程においてハードマスクとして使用され得る。
【0050】
本発明の一実施形態において、本発明のレジスト下層膜組成物は、シリコンウェハなどの基板の上にスピンコーティング(spin coating、スピンオンカーボン(spin on carbon))方法などで下層膜を形成できるものであり、前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体を含んでおり、エッチング耐性、熱安定性、コーティング均一度、表面平坦化性、パターンの縁部の均一性およびパターンの機械的な物性に優れ、ハードマスク工程またはウェハ表面を平坦化する工程に適用可能である。
【0051】
本発明の一実施形態において、本発明のレジスト下層膜組成物は、前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体および有機溶媒を含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体は、前記化学式2または化学式3の繰り返し単位を含む重合体であってもよい。
【0053】
本発明の一実施形態において、前記レジスト下層膜形成用重合体の含量は、全体のレジスト下層膜組成物に対して、0.5~50重量%、好ましくは1~30重量%、さらに好ましくは2~20重量%である。前記範囲で使用されることで、レジスト下層膜組成物の溶解度および膜形成時のコーティング性に優れることができる。前記レジスト下層膜形成用重合体の含量が0.5重量%未満の場合、所望の厚さの下層膜が形成されないという問題が生じ得、50重量%を超える場合、下層膜が均一に形成されないという問題が生じ得る。
【0054】
本発明の一実施形態において、本発明のレジスト下層膜組成物は、架橋剤、酸触媒、酸発生剤、消泡剤および界面活性剤から選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0055】
本発明に係る前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体を前記有機溶媒に溶解してウェハ上にコーティングした後、高温で自ら架橋反応を行うこともできるが、一般的に、架橋剤と触媒を添加して架橋反応を行う。前記重合体と架橋剤および触媒を溶媒に溶解した組成物は、ろ過過程を経て粒子性不純物を完全に除去する。
【0056】
本発明の一実施形態において、本発明のレジスト下層膜組成物に使用可能な有機溶媒としては、前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体と架橋剤、酸触媒または酸発生剤を十分に溶解できるものであれば如何なるものでもよいが、一般的には、半導体の製造工程に使用する有機溶媒として、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどを使用することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記架橋剤は、架橋反応を誘導して下層膜をさらに硬化させるためのものであり、本発明のレジスト下層膜組成物に使用可能な架橋剤としては、限定されるものではないが、一例として、下記化学式4-1~4-7で表される化合物から選択される1種以上を使用することができる。
【0058】
〔化学式4-1〕
【化37】
【0059】
〔化学式4-2〕
【化38】
【0060】
〔化学式4-3〕
【化39】
【0061】
前記化学式4-3中、R31およびR32は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシであり、R33は、C1-C10アルキルである。
【0062】
〔化学式4-4〕
【化40】
【0063】
〔化学式4-5〕
【化41】
【0064】
前記化学式4-5中、R34~R37は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシであり、R38およびR39は、それぞれ独立して、水素、C1-C10アルキルまたはハロC1-C10アルキルである。
【0065】
〔化学式4-6〕
【化42】
【0066】
前記化学式4-6中、R40~R43は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシである。
【0067】
〔化学式4-7〕
【化43】
【0068】
前記化学式4-7中、R44~R49は、それぞれ独立して、ヒドロキシまたはC1-C3アルコキシである。
【0069】
本発明の一実施形態において、本発明で使用可能な架橋剤は、具体的には下記構造で例示され得る。
【化44】
【0070】
本発明の一実施形態において、前記架橋剤の使用量は、種類に応じて若干相違するが、本発明の前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体100重量部に対して、0.1~30重量部、好ましくは0.1~20重量部、さらに好ましくは0.5~10重量部が適切である。架橋剤の使用量が少なすぎると、架橋が十分に行われず、上部の有機物コーティング工程で溶媒に溶解されるという欠点があり、使用量が多すぎると、架橋剤が架橋後にも残り、ヒューム(Fume)が多量発生し、レジストの安定性を低下させるという欠点がある。
【0071】
本発明の一実施形態において、架橋工程で架橋速度を高めるために架橋触媒を使用することもできる。架橋触媒は、塩基性触媒よりも酸触媒または酸発生剤がより有利に作用する。前記酸発生剤としては、熱分解によって酸を発生するもの、光照射によって酸を発生するものをいずれも使用可能である。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記酸触媒または酸発生剤は、重合体の架橋反応の温度を下げ、架橋率を向上させるために添加されるものであり、本発明で使用可能な前記酸触媒または酸発生剤としては、限定されるものではないが、一例として、下記化学式5-1~5-10で表される化合物から選択される1種以上であってもよい。
【0073】
〔化学式5-1〕
【化45】
【0074】
〔化学式5-2〕
【化46】
【0075】
〔化学式5-3〕
【化47】
【0076】
〔化学式5-4〕
【化48】
【0077】
〔化学式5-5〕
【化49】
【0078】
〔化学式5-6〕
【化50】
【0079】
〔化学式5-7〕
【化51】
【0080】
〔化学式5-8〕
【化52】
【0081】
〔化学式5-9〕
【化53】
【0082】
〔化学式5-10〕
【化54】
【0083】
前記酸触媒は、トルエンスルホン酸のような強酸と、熱によって分解されて酸が発生される潜在性酸発生剤とに分けられる。組成物の製造においては、トルエンスルホン酸のような強酸を使用するよりも潜在性酸発生剤を使用することが、保管安定性の面で有利である。強酸を使用する場合、レジスト下層膜組成物の保管安定性が低下するという欠点がある。前記酸触媒または酸発生剤の使用量は、前記化学式1の繰り返し単位を含む重合体100重量部に対して、0.01~10重量部が適切であり、好ましくは0.05~5重量部、さらに好ましくは0.1~5重量部が適切である。これもまた、使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなるという欠点がある一方、使用量が多すぎると、硬化物の物性を低下させるという欠点がある。特に、酸の強度が大きいか多いと、ヒュームが多量発生するという欠点がある。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記界面活性剤は、レジスト下層膜の形成の際、コーティング均一性を向上させるために使用することができ、例えば、商用化の界面活性剤であるエアプロダクツ社製のサーフィノール系、DIC社製のF-シリーズ(F-410、F-444、F-477、R-08、R-30など)などを使用することができる。前記界面活性剤を使用する場合、前記界面活性剤の含量は、全体のレジスト下層膜組成物100重量部に対して、0.1~1重量部、好ましくは0.2~0.8重量部である。前記界面活性剤の含量が全体のレジスト下層膜組成物100重量部に対して、1重量部を超えると、レジスト膜質が不良になる恐れがある。本発明に係るレジスト下層膜組成物は、前記成分を通常の方法によりブレンドして製造することができる。
【0085】
本発明に係る下層膜組成物は、通常のスピンコーティングによって膜を形成できる膜形成(film-forming)の特性を有する。
【0086】
また、本発明は、前記レジスト下層膜組成物を用いて、レジスト下層膜を形成する方法を提供する。具体的には、レジスト下層膜形成方法は、前記レジスト下層膜組成物を基板の上部に塗布するステップと、前記レジスト下層膜組成物が塗布されたウェハを加熱し、レジスト下層膜を形成するステップとを含む。
【0087】
本発明の一実施形態において、前記レジスト下層膜組成物は、スピンコーティング(spin-coating)方式で基板の上部に塗布され、コーティング厚さは、特に限定されないが、50~20,000Åの厚さで基板の上部にスピンコーティングされ得る。また、加熱温度200~450℃、好ましくは300~400℃で30秒~5分間加熱し、基板の上部にレジスト下層膜を形成することができる。加熱過程を終了した基板は、次の工程のために使用される。また、コーティング工程、下層膜の厚さ、加熱温度および時間は、前記範囲に限定されるものではなく、目的に応じて、互いに異なる様々な形態に製造され得る。
【0088】
本発明のレジスト下層膜組成物は、前記化学式1の繰り返し単位を含むレジスト下層膜形成用重合体を含んでおり、エッチング耐性、熱安定性、コーティング均一度、表面平坦化性、パターンの縁部の均一性およびパターンの機械的な物性に優れ、ハードマスク工程またはウェハ表面を平坦化する工程に適用可能である。また、本発明のレジスト下層膜組成物は、前記化学式1の繰り返し単位を有するレジスト下層膜形成用重合体の高い炭素含量にもかかわらず、有機溶媒に対する溶解度に優れ、著しく向上した貯蔵安定性と半導体工程でのライン混用性を有する。
【0089】
また、本発明は、前記レジスト下層膜組成物を用いた半導体素子の製造方法を提供する。具体的には、前記半導体素子の製造方法は、a)基板の上部に本発明のレジスト下層膜組成物を塗布し、加熱して、レジスト下層膜を形成するステップと、b)前記a)ステップのレジスト下層膜の上部にフォトレジスト膜を形成するステップと、c)前記b)ステップのレジスト下層膜とフォトレジスト膜が被覆された基板を露光させた後、現像して、フォトレジストパターンを形成するステップと、d)前記c)ステップのフォトレジストパターンを食刻マスクとしてレジスト下層膜を食刻し、前記パターンの形態で前記基板を露出させるステップと、e)前記基板の露出した部分をエッチングするステップとを含む。
【0090】
本発明の一実施形態において、前記基板は、通常使用可能なものであり、シリコンウェハ、ガラス基板または高分子基板であってもよい。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記b)ステップの前に、前記a)ステップのレジスト下層膜の上部に通常のシリコン含有レジスト下層膜(無機物下層膜)または底部反射防止膜(bottom anti-reflective coating;BARC)をさらに形成してもよい。前記シリコン含有レジスト下層膜(無機物下層膜)は、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸化窒化ケイ素(SiON)で作製され得る。また前記シリコン含有レジスト下層膜の上に底部反射防止膜(BARC)を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記c)ステップのフォトレジストパターンを形成するステップの間に、露光前および/または露光後にそれぞれ加熱を行うことができ、前記露光は、ArF、KrF、EUVを含む遠紫外線(DUV;Deep Ultra Violet)、電子ビーム(Electron beam)、X-線およびイオンビームからなる群から選択される一つまたはそれ以上を使用して行われ得る。また、前記c)ステップのフォトレジストパターンの形成は、TMAH(tetramethylammonium hydroxide)現像液(developer)などの通常のアルカリ水溶液を用いた現像(develop)によって行われ得、前記d)ステップの下層膜の除去は、CHF/CF混合ガスなどを用いたドライエッチングによって行われ得、前記e)ステップの基板のエッチングは、ClまたはHBrガスを用いたプラズマエッチングによって行われ得る。ここで、エッチング方法などは、前記内容に限定されるものではなく、工程条件に応じて様々に変更され得る。
【0093】
本発明により形成されたレジスト下層膜は、優れた熱安定性、エッチング耐性およびコーティング均一度に優れた前記化学式1の繰り返し単位を有する重合体によって形成されるものであり、熱安定性、エッチング耐性およびコーティング均一度に優れる。また、前記重合体の高い炭素含量にもかかわらず、有機溶媒に対する溶解度に優れ、著しく向上した貯蔵安定性と半導体工程でのライン混用性を有する。
【0094】
以下、具体的な実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0095】
[実施例1]単量体(I)の製造
【化55】
【0096】
第1ステップ:ピレンジイルビス(フェニルメタノン)(pyrene-diylbis(phenylmethanone))(化合物I-a)の製造
フラスコに塩化アルミニウム(33.46g、0.25mol)とジクロロメタン126gを添加し、30分間撹拌した。前記溶液に塩化ベンゾイル(35.22g、0.25mol)とピレン(20.30g、0.10mol)をジクロロメタン126gと混合した溶液をゆっくり添加した後、12時間撹拌した。反応が終了すると、メタノールをゆっくり添加した後、冷却して形成された沈殿物をろ過し、ピレンジイルビス(フェニルメタノン)(pyrene-diylbis(phenylmethanone))(化合物I-a)42.50gを得た。H-NMR(500 MHz, CDCl) δ 8.4-8.5(2H), 8.2-8.3(2H), 8.2-8.1(4H), 7.8-8.0(4H), 7.6-7.7(2H), 7.4-7.5(4H).
【0097】
第2ステップ:ピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(単量体I)の製造
フラスコにピレンジイルビス(フェニルメタノン)(化合物I-a)(38.00g、0.09mol)、テトラヒドロフラン110gとメタノール110gを入れて撹拌した。前記溶液に水素化ホウ素ナトリウム(12.30g、0.32mol)をゆっくり投入した後、2時間撹拌した。反応が終了すると、1M塩化水素溶液をゆっくり添加した後、形成された沈殿物をろ過し、ピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(単量体I)34.85gを得た。H-NMR(DMSO-d) δ 8.5(2H), 8.2(4H), 8.1(2H), 7.4(4H), 7.3(4H), 7.2(2H), 6.7(2H), 6.3(2H).
【0098】
[実施例2]単量体(II)の製造
【化56】
【0099】
第1ステップ:1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノン)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanone))(化合物II-a)の製造
フラスコに塩化アルミニウム(27.35g、0.21mol)とジクロロメタン265gを添加し、30分間撹拌した。前記溶液にイソフタロイルクロライド(20.31g、0.10mol)とピレン(42.49g、0.21mol)をジクロロメタン265gと混合した溶液をゆっくり添加した後、2時間撹拌した。反応が終了すると、エタノールをゆっくり添加した後、形成された沈殿物をろ過し、1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノン)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanone))(化合物II-a)45.60gを得た。H-NMR(DMSO-d) δ 8.5-8.4(4H), 8.4-8.2(8H), 8.2-8.1(9H), 7.8(1H)
【0100】
第2ステップ:1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)の製造
フラスコに1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノン)(化合物II-a)(45.55g、0.09mol)、テトラヒドロフラン220gとメタノール22gを入れて撹拌した。前記溶液に水素化ホウ素ナトリウム(2.63g、0.07mol)をゆっくり投入した後、2時間撹拌した。反応が終了すると、1M塩化水素溶液をゆっくり添加した後、形成された沈殿物をろ過し、1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)44.35gを得た。H-NMR(DMSO-d) δ 8.3(2H), 8.1(6H), 8.0(6H), 7.8(2H), 7.6(1H), 7.1(3H), 6.6(2H), 6.2(2H)
【0101】
[実施例3]重合体(1)の製造
フラスコに実施例1で得られたピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(単量体I)(6.22g、0.015mol)と1-ナフトール(1-Naphthol)(3.89g、0.027mol)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)23.6gを添加し、内部が120℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%にジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(1)7.87gを得た。前記乾燥した重合体(1)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が865g/molであった。
【0102】
[実施例4]重合体(2)の製造
フラスコに実施例1で得られたピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(化合物I)(6.22g、0.015mol)と1-ヒドロキシピレン(1-Hydroxypyrene)(5.89g、0.027mol)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)28.3gを添加し、内部が120℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%にジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.52g、0.003mol)を添加した後、12時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタンに滴下し、褐色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(2)9.68gを得た。前記乾燥した重合体(2)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が868g/molであった。
【0103】
[実施例5]重合体(3)の製造
フラスコに実施例1で得られたピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(化合物I)(6.22g、0.015mol)と9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン(9,9-Bis(6-hydroxy-2-naphthyl)fluorene)(12.16g、0.027mol)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)42.9gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%にジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(3)14.65gを得た。前記乾燥した重合体(3)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が954g/molであった。
【0104】
[実施例6]重合体(4)の製造
フラスコに実施例1で得られたピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(化合物I)(6.22g、0.015mol)と9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-hydroxyphenyl)fluorene)(9.46g、0.027mol)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)36.6gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%に1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(4)12.48gを得た。前記乾燥した重合体(4)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が975g/molであった。
【0105】
[実施例7]重合体(5)の製造
フラスコに実施例1で得られたピレンジイルビス(フェニルメタノール)(pyrene-diylbis(phenylmethanol))(化合物I)(6.22g、0.015mol)と1,5-ナフタレンジオール(1,5-Naphthalenediol)(4.34g、0.027mol)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)24.6gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%に1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、1時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(5)8.32gを得た。前記乾燥した重合体(5)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が5.572g/molであった。
【0106】
[実施例8]重合体(6)の製造
フラスコに実施例2で得られた1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)(8.08g、0.015mol)と1-ナフトール(1-Naphthol)(3.89g、0.027mol)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)27.9gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%に1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(6)9.38gを得た。前記乾燥した重合体(6)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が972g/molであった。
【0107】
[実施例9]重合体(7)の製造
フラスコに実施例2で得られた1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)(8.08g、0.015mol)と1-ヒドロキシピレン(1-Hydroxypyrene)(5.89g、0.027mol)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)32.6gを添加し、内部が120℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%にジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.52g、0.003mol)を添加した後、12時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタンに滴下し、褐色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(7)10.87gを得た。前記乾燥した重合体(7)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が954g/molであった。
【0108】
[実施例10]重合体(8)の製造
フラスコに実施例2で得られた1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)(8.08g、0.015mol)と9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン(9,9-Bis(6-hydroxy-2-naphthyl)fluorene)(12.16g、0.027mol)、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)47.2gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%にジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(8)15.55gを得た。前記乾燥した重合体(8)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が1.041g/molであった。
【0109】
[実施例11]重合体(9)の製造
フラスコに実施例2で得られた1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)(8.08g、0.015mol)と9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9-Bis(4-hydroxyphenyl)fluorene)(9.46g、0.027mol)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)40.9gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%に1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、6時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(9)13.78gを得た。前記乾燥した重合体(9)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が1.036g/molであった。
【0110】
[実施例12]重合体(10)の製造
フラスコに実施例2で得られた1,3-フェニレンビス(ピレニルメタノール)(1,3-phenylenebis(pyrenylmethanol))(単量体II)(8.08g、0.015mol)と1,5-ナフタレンジオール(1,5-Naphthalenediol)(4.34g、0.027mol)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)28.9gを添加し、内部が110℃になるように加熱しながら撹拌した。40wt%に1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)で希釈したp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.17g、0.001mol)添加した後、1時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタン(Heptane)に強く撹拌しながら滴下し、ピンク色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、重合体(10)9.75gを得た。前記乾燥した重合体(10)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が5.648g/molであった。
【0111】
[比較例1]比較重合体(A)の製造
フラスコにヒドロキシ(2-ナフタレニル)メチルピレノール(Hydroxy(2-naphthalenyl)methylpyrenol)(26.2g、0.07mol)とp-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic acid monohydrate)(0.027g、0.14mmol)および1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4-tetrahydronaphthalene)60.8gを投入した後、120℃条件で12時間撹拌した。前記重合反応の終了後、前記反応物を常温に冷却した後、反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、0.5:9.5質量比のメタノール:ヘプタン混合液に滴下し、沈殿物を得た。得られた沈殿物は、ろ過後、60℃で真空乾燥し、比較重合体(A)18.8gを得た。前記乾燥した比較重合体(A)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が2700g/molであった。
【0112】
[比較例2]比較重合体(B)の製造
フラスコにベンズアルデヒド(Benzaldehyde)(2.7g、0.026mol)と1-ヒドロキシピレン(1-Hydroxypyrene)(11.1g、0.051mol)とジメチルホルムアミド(Dimethylformamide)52.8g、トルエン(Toluene)35.3gを添加し、内部が120℃になるように加熱しながら撹拌した。p-トルエンスルホン酸一水和物(p-Toluenesulfonic monohydrate)を(0.3g、0.003mol)を(0.027g、0.14mmol)添加した後、4時間撹拌した。反応物は、ジクロロメタン(Dichloromethane)で抽出し、ピリジン(Pyridine)で中和して、5wt%塩酸水溶液と蒸留水で精製過程を経た後、ヘプタンに強く撹拌しながら滴下し、黄褐色のパウダーを得た。得られたパウダーは、ろ過後、60℃で真空乾燥し、比較重合体(B)9.3gを得た。前記乾燥した比較重合体(B)をGPCで分析した結果、ポリスチレン換算重量平均分子量が2.180g/molであった。
【0113】
前記実施例3~12および比較例1~2で製造された重合体の溶解度について調べるために、様々な溶媒、PGMEA(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate)、PGME(Propylene Glycol Methyl Ether)、EEP(Ethyl 3-ethoxypropionate)およびPGMEA/PGME(体積比3/7)の混合溶媒に、前記重合体それぞれを、20重量%でそれぞれ溶解させた時に各溶液の透明度を、◎:非常に優秀、○:優秀、△:中間、×:不良と評価し、その結果を下記表2に記載した。
【0114】
【表1】
【0115】
[実施例13-22および比較例3-4]レジスト下層膜組成物の製造
下記表2に記載の組成にしたがって、溶媒(50g)に重合体、架橋剤および酸触媒を溶解させた後、0.05μmフィルターでろ過し、粒子性不純物が完全に除去されたレジスト下層膜組成物を製造した。
【0116】
架橋剤としては1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(1,3,4,6-tetrakis(methoxymethyl)glycoluril)を使用し、酸触媒としてはピリジニウムトルエンスルホネート(pyridinium p-toluenesulfonate)を使用した。溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)とシクロヘキサノン(Cyclohexanone)の体積比8:2の混合溶媒を使用した。
【0117】
【表2】
【0118】
[試験例1]レジスト下層膜の製造および評価
前記実施例13-22および比較例3-4の下層膜組成物を、それぞれ、シリコンウェハの上にスピンコーティングした後、240℃で60秒、400℃で120秒間加熱し、4500Åの厚さのレジスト下層膜を形成した。
【0119】
シリコンウェハ上に形成されたレジスト下層膜の表面を目視またはSEM(Scanning Electron Microscope)などを用いて観察した。表面観察により、架橋度、表面均一度、クラック有無およびエッチング耐性に対して、◎:非常に優秀、○:優秀、△:中間、×:不良と評価し、その結果を下記表3に記載した。
【0120】
【表3】
【0121】
評価1:架橋度
前記製造されたレジスト下層膜の架橋能を確認するために、前記加熱工程を行った後、下層膜の厚さを測定し、下層膜が形成されたウェハにシンナー溶液を塗布させた後、1分間静置した。シンナー溶液を完全に除去するために、2000RPMでウェハを回転させてシンナー溶液を除去してからまた下層膜の厚さを測定した。
【0122】
評価2:ギャップ-フィル特性および平坦化特性
前記実施例13-22および比較例3-4の下層膜組成物を、パターンが食刻されているシリコンウェハの上にスピン-コーティングし、240℃で60秒、400℃で120秒間熱処理して下層膜を形成した後、電界放出型電子走査電子顕微鏡(field emission scanning electron microscope:FE-SEM)を用いてギャップ-フィル特性および平坦化特性を観察し、その結果を下記表4に記載した。ギャップ-フィル特性は、パターン断面をFE-SEMで観察し、ボイド(void)の発生有無で判別し、平坦化特性は、FE-SEMで観察されたパターン断面のイメージから下層膜の厚さを測定し、下記計算式1で数値化した。平坦化特性は、h1およびh2の差が大きくないほど優れるため、その数値が小さいほど平坦化特性に優れるものである。
【0123】
[計算式1]
【数1】
【0124】
【表4】
【0125】
評価3:熱安定性
前記実施例13-22および比較例3-4の下層膜組成物をシリコンウェハの上にスピン-オンコーティング方法で塗布した後、ホットプレートの上で240℃で1分間熱処理し、薄膜を形成した。K-MAC社製の薄膜の厚さ測定装置で前記薄膜の厚さを測定した。次いで、前記薄膜を400℃で2分間また熱処理した後、薄膜の厚さを測定した。薄膜の厚さの減少率を下記表5に記載した。
【0126】
【表5】
【0127】
評価4:エッチング耐性
前記実施例13-22および比較例3-4の下層膜組成物をシリコンウェハの上にスピン-オンコーティング方法で塗布した後、240℃で60秒、400℃で120秒間熱処理(bake)し、下層膜を形成した。次いで、前記下層膜の厚さを測定した。次いで、前記下層膜にN/O混合ガスおよびCFガスを使用して、それぞれ60秒および60秒間乾式食刻した後、下層膜の厚さをまた測定した。乾式食刻前後の下層膜の厚さと食刻時間から下記計算式2によって食刻率(bulk etch rate、BER)を計算し、その結果を下記表6に記載した。
【0128】
[計算式2]
(初期の薄膜の厚さ-食刻後の薄膜の厚さ)/食刻時間(Å/s)
【0129】
【表6】
【0130】
評価5:貯蔵安定性の加速試験
前記溶解度関連実験と同様、様々な有機溶媒に、実施例3~12で製造された重合体を10重量%にそれぞれ溶解させた後、50℃で放置し、4週後、溶液の透明度を観察し、貯蔵安定性の加速試験を行った。
【0131】
使用された有機溶媒:E/L(Ethyl lactate)、PGME(Propylene Glycol Methyl Ether)、C/H(Cyclohexanone)、PGME(Propylene Glycol Methyl Ether)/PGMEA(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate):70/30またはEEP(Ethyl 3-etoxypropionate)
【0132】
本発明の重合体は、いずれも一般的な有機溶剤に対して優れた溶解度特性を有するものと確認され、50℃での貯蔵安定性の加速試験の結果、4週後にも沈殿物なしに安定していることが確認され、十分に向上した貯蔵安定性を有するものと確認された。
【0133】
[試験例2]パターンの形成
前記実施例13、実施例14および実施例15の下層膜組成物それぞれを、ウェハの上にスピンコーティングした後、240℃で60秒、400℃で120秒間熱処理して厚さ200nmの下層膜を形成し、前記下層膜の上にBARCをコーティングし、230℃で60秒間熱処理して厚さ20nmのBARC層を形成した。前記BARCとして、ArF Immersion用に、Refractive Index(n)が1.9以上のBARCを使用した。前記下層膜の上にArF用フォトレジストをコーティングし、110℃で60秒間熱処理して厚さ150nmのフォトレジスト層を形成した。前記フォトレジスト層をArFエキシマレーザスキャナ((株)ASML社製)を使用して露光(exposure)し、110℃で60秒間熱処理した。その後、TMAH(2.38wt%水溶液)現像液(developer)で60秒間現像(develop)し、フォトレジストパターンを得た。前記得られたフォトレジストパターンを食刻マスクとして用いて、下層膜をCHF/CF混合ガスを使用してドライエッチングを行い、次いで、BCl/Cl混合ガスを使用してドライエッチングをまた行った。最後に、Oガスを使用して残っている有機物を全部除去した。
【0134】
前記フォトリソグラフィ工程後およびエッチング工程後、それぞれのパターン断面をFE-SEMで観察し、これより、垂直形状のハードマスク層パターン形状およびパターン実現度(pattern fidelity)、CD均一度、Line width粗さ(roughness)などの面で、優れた性質を示すことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の新規の重合体は、高い炭素含量により、最適化したエッチ選択比と平坦化特性の他に、優れた耐熱性を示すことから、これを含むレジスト下層膜組成物は、半導体多層リソグラフィ(lithography)工程でスピンコートによってハードマスク(スピンオンカーボン(spin on carbon:SOC)ハードマスク)を形成することができ、400℃で加熱する後工程でヒュームの発生が少なく、高温SOC物質としても有用である。
【0136】
本発明のレジスト下層膜組成物は、新規の重合体により、優れたエッチング耐性、熱安定性およびコーティング均一度を示し、特に、高い炭素含量にもかかわらず、有機溶媒に対する優れた溶解度を有することで、貯蔵安定性と半導体工程でのライン混用性を著しく向上させる効果を奏する。
【0137】
また、本発明により形成されたレジスト下層膜は、熱安定性に優れ、段差のあるウェハに塗布する時にも、ギャップフィル(gap fill)特性に優れることから平坦化度に優れるという利点がある。また、本発明により形成されたレジスト下層膜は、エッチング耐性に優れ、ドライエッチング工程の際に、一定のパターンの形状を形成するための保護膜(ハードマスク)の役割を行い、レジスト膜質のエッチング速度を上げるか下げるほどマスクの損失を最小化することができ、下部膜質の食刻量(エッチング量)を増加させることができる。
【0138】
また、本発明のレジスト下層膜組成物を用いて、レジスト下層膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を実施した場合であっても、パターン実現度(pattern fidelity)、CD(critical dimension)均一度、表面粗さ(surface roughness)などの面で優れた結果を示した。