(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】センサを有するグレージング
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
B60J1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020528077
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2018082266
(87)【国際公開番号】W WO2019101884
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】イセレンタント, アルノー
(72)【発明者】
【氏名】コリニョン, マクシム
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アヨウブ, パトリック
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524536(JP,A)
【文献】特開2015-131924(JP,A)
【文献】特表2005-515466(JP,A)
【文献】米国特許第04072936(US,A)
【文献】特開2016-128193(JP,A)
【文献】特開2009-146453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面及び内面(2)を有する自動車用グレージング(1)であって、前記自動車用グレージング(1)が、前記自動車用グレージング(1)上
の破損/非破損を識
別するための少なくとも1つのセンサ(3)を含み、前記センサ(3)が、電気コネクタに接続されて、前記少なくとも1つのセンサ(3)によって生成され
た信号への外部アクセスを与える、自動車用グレージング(1)において、前記センサ(3)が、再利用可能であり、且つ
両面接着テープ(4)又は感圧両面テープにより、前記自動車用グレージング(1)の内面(2)に
おいてガラスに固定されることを特徴とする自動車用グレージング(1)。
【請求項2】
前記自動車用グレージング(1)上
の破損/非破損を識
別するための複数のセンサ(3、3’、3’’...)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサ(3)は、前記自動車用グレージング(1)の振動及び/又は音響シグネチャを測定するセンサ(3)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサ(3)は、加速度計、マイクロフォン又は圧電センサの中から選択され、より好ましくは、前記センサは、圧電センサであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(3)又は複数のセンサ(3、3’、3’’...)は、プリント回路基板(5)(PCB)に取り付けられ、且つ機械的に固定されて、モノセンサデバイス(20)又はマルチセンサデバイス(10)を形成することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項6】
前記複数のセンサ(3、3’、3’’...)は、長く且つ薄いPCB上に整列されて、薄いマルチセンサデバイス(10)を形成することを特徴とする、請求項4に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項7】
前
記両面接着テープ(4)又は感圧両面テー
プは、再配置可能な両面テープ
であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項8】
前記モノセンサデバイス(20)又はマルチセンサデバイス(10)は、前記自動車用グレージングから取り外し可能であり、且つ別のグレージング上で再利用可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項9】
前記モノセンサデバイス(20)又は前記マルチセンサデバイス(10)は、前記自動車用グレージングの縁部上、好ましくは前記自動車用グレージングの上部若しくは底部上又は角部に取り付けられることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項10】
前記モノセンサデバイス(20)又は前記マルチセンサデバイス(10)は、カバーボックス(7)によって保護されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項11】
前記自動車用グレージング(1)は、積層板グレージングであり、その上に前記モノセンサデバイス(20)又はマルチセンサデバイス(10)が前記内面(2)において内部シート上に取り付けられることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【請求項12】
前記自動車用グレージング(1)は、複数のマルチセンサデバイス(10)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の自動車用グレージング(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、物理的変化に反応するセンサ、より詳細には物理的衝撃に反応するセンサを有する窓などのグレージングに関する。より詳細には、本発明は、自動車用窓に関し、より詳細には、破損をリアルタイムで監視するためのセンサを有する自動車用フロントガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、グレージングが衝撃を受けたとき、ドライバー又は車両の所有者は、グレージングを交換する必要があるか、又は修理のみが必要であるかを評価することができない。衝撃後、ドライバーは、一般に、グレージングを修理又は交換すべきかどうかを評価する車両のガラス修理会社に行く。自動車用グレージングの交換は、コストの限度管理を伴う保険会社にとって相当なコストとなる。したがって、グレージングを交換する代わりにグレージングを早期に修理することによってコスト超過を回避するため、衝撃及び衝撃の重大度をできるだけ早く車両のドライバー若しくは所有者又は可能性のある保険会社に通知する必要がある。
【0003】
そのため、衝撃などの物理的変化を監視して、グレージングを修理又は交換する必要があるかどうかを評価するためのセンサを有するグレージングを提供することが有利であり得る。
【0004】
自動車用グレージングへの衝撃を検出するためにセンサを使用することは、既知である。例えば、米国特許出願公開第20100163675号明細書は、ガラスシート間において、衝撃を検出するためのセンサ又はグレージングの任意の物理的変更を含む積層グレージングを記載している。センサは、グレージングに積層されているため、グレージングを交換する必要がある場合、センサも交換されるため、追加のコスト及びセンサの損失が生じる結果となる。したがって、センサが損傷している場合及び/又はグレージングが損傷している場合、両方を交換する必要がある。グレージングが損傷した場合、新しく交換したグレージングにセンサを再利用することはできない。したがって、グレージングが破損した場合に再利用することができる、グレージングへの衝撃を検出するか又は検出及び位置特定するための効率的なセンサが必要とされている。
【0005】
簡単にするために、以下の説明におけるガラスシートのナンバリングは、グレージングに従来から使用されているナンバリングの命名法を参照する。このように、車両の外部環境と接触するグレージングの面は、側面1(side 1)として既知であり、内部媒体、すなわち乗員室と接触する面は、面2(face 2)と呼ばれる。積層グレージングの場合、車両の外部環境と接触するガラスシートは、側面1として既知であり、内部部品、すなわち乗員室と接触する表面は、面4(face 4)と呼ばれる。
【0006】
誤解を避けるため、「外部」及び「内部」という用語は、車両のグレージングとして設置中のグレージングの向きを指す。
【0007】
また、誤解を避けるために、本発明は、自動車、列車、飛行機などのあらゆる輸送手段に適用可能である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、外面及び内面を有する自動車用グレージングであって、前記自動車用グレージング(1)が、グレージング上の衝撃を検出するか又は検出及び位置特定するために取り付けられた少なくとも1つのセンサを含む自動車用グレージングに関する。
【0009】
本発明によれば、センサは、グレージングの内面に取り付けられて、その衝撃を表す信号を生成し、センサは、電気コネクタに接続されて、センサによって生成された信号への外部アクセスを与える。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、グレージングは、少なくとも熱可塑性中間層上に積層された少なくとも第1及び第2のガラスシートを含む自動車用積層グレージングであって、1つ以上のシートにおける衝撃を検出するか又は衝撃を検出及び位置特定するための少なくとも1つのセンサを有する自動車用積層グレージングである。
【0011】
本明細書で使用される場合、「内側」、「外側」、「左」、「右」、「上」、「下」、「水平」、「垂直」などの空間又は方向の用語は、図面の図に示されるように本発明に関する。しかしながら、本発明では、様々な代替的な向きを想定することができ、したがって、そのような用語は、限定と見なされるべきではないことが理解されるであろう。更に、本明細書及び特許請求の範囲で使用される、寸法、物理的特性などを表す全ての数は、「約」という用語によって全ての例において変更されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の本明細書及び特許請求の範囲に示される数値は、本発明によって得られることが望ましい及び/又は求められる特性に応じて変化し得る。少なくとも且つ均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な数字の数に照らして、且つ通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、それに包含される任意及び全ての部分範囲を包含すると理解されるべきである。また、本明細書で使用される場合、「上に配置される」又は「上に取り付けられる」という用語は、上に配置されているか又は上に取り付けられていることを意味するが、必ずしも表面と接触していることを意味しない。例えば、ある物品又は物品の構成要素が別の物品又は物品の構成要素の「上に取り付けられる」又は「上に配置される」ことは、それぞれ物品間又は物品の構成要素間の材料の存在を排除しない。
【0012】
本発明の非限定的な実施形態は、自動車用積層透明グレージング、特に自動車用フロントガラスに関する。しかしながら、本発明は、いかなる特定のタイプの自動車用グレージングにも限定されない。更に、本発明は、グレージングの層又はシートの材料に限定されず、層又はシートは、アニールされ、熱強化され、且つ熱及び化学的に強化され、透明であり、着色され、コーティング及び未コーティングのガラスシートであるが、これらに限定されない、硬化及び未硬化のプラスチックシートで作製することができる。なおも更に、本発明は、不透明なシートを有する窓、例えば不透明コーティングを有するガラスシート及びそれらの組み合わせで実施することができる。
【0013】
フロントガラスは、第1の中間層によって第2のガラスシートに積層された第1のガラスシートを含み得る。
【0014】
フロントガラス又はグレージングは、フロントガラス又はグレージングの外面から霧を取り除き、且つ/又はその上の氷を溶かすために熱を供給され得る。
【0015】
一般に、フロントガラスのガラスシートは、透明であり、化学的に強化されたガラスシートであり得るが、本発明は、これに限定されず、ガラスシートは、熱強化又は熱処理されたガラスシートであり得る。更に理解されるように、本発明は、ガラスシートの数に限定されず、フロントガラスを作り上げる熱可塑性中間層及びフロントガラスは、任意の数のシート及び/又は中間層を有することができる。
【0016】
本発明によれば、衝撃を検出するか又は衝撃を検出及び位置特定するためのセンサは、グレージングの振動及び/又は音響シグネチャ並びに特定の実施形態ではフロントガラスの振動及び/又は音響シグネチャを測定するセンサである。センサは、加速度計、マイクロフォン又は圧電センサであり得る。好ましい実施形態では、センサは、圧電センサである。使用し得るセンサの一例は、TE Connectivity-Measurement Specialties社によって製造されたセンサLDT0-028K又はMurata社によって製造された7BB-20-6L0である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、システムの堅牢性のためにPCBに取り付けられ、且つ機械的に固定される。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、好ましくは発泡体が設けられた少なくとも1つ以上のセンサは、ブラケット上に取り付けられ、且つプリント回路基板(PCB)及びカバーに接続される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、グレージングに面するその表面上に発泡体を備え、発泡体は、センサをガラス上に押し付ける。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ここではバイセンサデバイスと呼ばれる2つのセンサが中央ユニットに設けられる。バイセンサデバイスは、衝撃を検出し、且つ破損/非破損状況を識別するのに適している。バイセンサデバイスは、例えば、グレージングの左側又は右側など、グレージングへの衝撃の位置を推定することもできる。バイセンサデバイスは、約3cm×11cmであり得る。デバイスは、更に幅広く(センサ間の間隔を広げることにより、左/右の位置をより正確に検出することが可能になる)又はより高く(より大きいセンサを可能にするため)することもできる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、複数のセンサとも呼ばれる3つ以上のセンサがプリント回路基板(PCB)に取り付けられる。次いで、センサは、好ましくは、PCB上に電気的に接続され、且つシステムの堅牢性のためにPCBに機械的に取り付けられる。
【0022】
例えば、複数のセンサは、グレージング、より詳細にはフロントガラスなどの自動車用グレージング上に設けられた3~10個のセンサ、好ましくは3~6個のセンサを含む、。このマルチセンサデバイスは、衝撃を検出し、破損/非破損状況を識別し、特にグレージングの水平位置(X/Y軸に応じたX位置)におけるグレージングへの衝撃をより正確に位置特定するのに適している。複数のセンサは、別々のPCB上又は同じPCB上に配置することができる。特定の実施形態では、マルチセンサデバイスは、ケーブルを介して物理的に分離された更なる2つの外部センサを有するバイセンサデバイスを含み得る。
【0023】
本発明の一実施形態では、PCBごとに、ここではモノセンサデバイスと呼ばれる1つのセンサが使用される。モノセンサデバイスは、衝撃を検出し、且つ破損/非破損状況を識別するのに適している。好ましい実施形態では、モノセンサデバイスは、1cm×1cm~10cm×10cm、より好ましくは1cm×1cm~6cm×6cmのサイズを有する正方形を形成するか、又は直径1~10cm、より好ましくは1cm~6cmの円を形成する。
【0024】
別の実施形態では、複数のセンサ、典型的には3~10個、好ましくは3~6個のセンサが1つのグレージング上、特にフロントガラス上に取り付けられる。特に、複数のセンサは、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)上に取り付けられる。複数のセンサが別々のPCB上又は1つのPCB上に取り付けられて、複数のマルチセンサデバイスを提供し得る。結果として得られるマルチセンサデバイスは、衝撃の検出、破損/非破損状況の識別及びフロントガラス上の衝撃の位置特定に適している。したがって、衝撃がドライバーの視野内に位置する場合、車両の乗員の安全を保証し、交換の必要性につながる衝撃の伝播を回避するために、衝撃を修復すべきであるか、又は衝撃が重大な場合にはできるだけ早く交換すべきである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、センサは、長く且つ薄いPCB上に整列されて、およその寸法で長さ:20~50cm、幅=2~10cmのセンサの薄いディスクリートのバーを形成する。次いで、薄いPCB上に整列されたセンサが離間され、内部間隔は、典型的に、10~20cmである。
【0026】
モノセンサ及びマルチセンサのいずれの設計でも、デバイスは、共通して面4と呼ばれる車内部の内面のグレージング、特にフロントガラスグレージング上に取り付けられて、モノセンサ又は複数のセンサがドライバーの視野で可能な限り小さいフロントガラス上の位置において、過酷な環境からセンサを保護する。モノセンサ又はマルチセンサは、それらがドライバーの視野にできるだけ影響を及ぼさないゾーンであるグレージング上に取り付けられることが理解されるであろう。好ましくは、モノセンサ又はマルチセンサは、フロントガラスの上部又は底部に取り付けられる。より好ましくは、モノセンサ又はマルチセンサは、例えば、グレージングの角部など、グレージングの内面の別個の場所に取り付けられる。
【0027】
特定の実施形態では、モノセンサ又はマルチセンサは、PCBの一方の側面に取り付けられ、PCBの他方の側面にある全ての必要な電子機器は、したがって、センサとガラスとの間の直接接触を可能にする。
【0028】
本発明によれば、モノセンサデバイス又はマルチセンサデバイスとも呼ばれるモノセンサ又は複数のセンサを含むPCBは、ガラスに固定される。PCBは、ガラスに直接接着され得るか、又は好ましくは、PCBは、ガラスに接着されたPCBを保護するハウジングを介してグレージングに固定される。
【0029】
好ましくは、本発明の一実施形態では、モノセンサ又は複数のセンサを含むPCBは、両面接着テープ又は感圧両面テープによって固定される。より好ましくは、再配置可能な両面テープが使用され得る。接着性がより低い側面では、デバイスの複数の取り付け/取り外しが可能となる。このタイプのテープは、センサの性能を低下させないため、非常に有利である。また、センサ(モノ又はマルチ)が損傷した場合、グレージングを完全に変更したり又はグレージングを損傷したりすることなく、センサを別のセンサと容易に交換できる。このテープは、70℃以上、理想的には120℃までの温度に耐性があり、UV光に耐性があるように選択される。そのようなテープの例は、3M社から入手可能である。
【0030】
本発明の別の実施形態では、テープの接着性の低い側面は、マイクロ吸引テープで置き換えることができ、他の側面は、従来の接着テープである。したがって、モノ又はマルチセンサデバイス(PCB及びセンサ)を非常に容易に取り付け/取り外しできるため、センサが損傷した場合又はグレージングを交換しなければならない場合のコストを大幅に削減することができる。
【0031】
本発明の非限定的な一実施形態では、1つ以上の衝撃センサは、ガラスシートの側面のそれぞれの1つに隣接して取り付けられる。本発明の非限定的なこの実施形態では、衝撃検出器のそれぞれは、圧電材料を含むが、例えば圧電結晶に限定されない。圧電材料が振動、例えばガラスシートの外面に石が当たることによって引き起こされるガラスシートの振動にさらされると、圧電材料は、圧縮又は歪みを受け、その結果、電場が生成され、アラーム及び/若しくはレコーダーをアクティブにするか、又はアラーム及び/若しくはレコーダーをアクティブにさせて、衝突又は衝撃をアナウンス及び/又は記録するために使用することができる。更に、3つ以上の衝撃検出器を使用して、以下に説明するように、フロントガラスの表面上の衝撃の位置を特定することができる。
【0032】
ここでの検討は、本発明の教示に従って、フロントガラスの選択された構成要素の破損及び/又は性能を監視するための、グレージング及び特にフロントガラスの選択された構成要素上のセンサの配置に向けられている。
【0033】
本発明の非限定的な一実施形態では、フロントガラスには、物体がフロントガラスに当たったり衝突したりしたときに信号を生成する衝撃センサが設けられているが、これは、例えば、フロントガラスの外面、より一般的に言えばグレージングに当たるなど、本発明を限定するものではない。例えば、本発明を限定するものではないが、自動車には、異物(例えば石)が空中を飛び、フロントガラスの外面に当たる可能性がある。グレージングの内面(1枚のグレージングの場合には面2、積層グレージングの場合には面4)上及びより詳細にはフロントガラス上に取り付けられた衝撃センサを使用して、1つ以上の異物がフロントガラスに当たったことと、任意選択的に衝突又は衝撃が発生した外面上の位置及びフロントガラスの表面上の衝撃の相対エネルギーとを示すことができる。更に、ソフトウェアが衝撃センサにリンクされ得、それにより、石又は物体がグレージングに当たった場合、グレージングを交換又は修理のみする必要があるかどうかを検出するために衝突の重大性を監視し得る。ソフトウェアは、例えば、グレージングの性能(重量、熱的快適性、エネルギー消費の節約など)を向上させるために、自動車の所有者にとって有利なグレージングのリストを提供し得る。
【0034】
本発明は、物体がフロントガラスに当たった又は衝突したとき、例えば、本発明を限定するものではないが、グレージング及び特にフロントガラスの外面に当たったとき、グレージングへの衝突後に(モノ又は複数の)センサによって生成された信号を分析する方法にも関する。本発明の一実施形態によれば、センサ生出力信号は、以下を含む複数の信号処理ステップに送られることになる。
- 信号にハイパスフィルタを適用する。したがって、不必要な影響に関連する低周波ノイズ(エンジンノイズ、ホイール及びロードノイズ、音楽などのような)を除去して、関連する信号のみを保持することができる。
- 信号増幅を適用して、信号レベルを数十又は数百ミリボルトから、典型的には0~5Vである、標準的なアナログ-デジタル変換ステージと互換性のあるレベルに増加させる。
- 複数の増幅をまた同じ信号に適用して、それにより異なる増幅レベルで同じ信号の複数のコピーを生成する。これにより、センサの位置からどの程度離れて衝撃が発生したかに応じて、センサが異なる振幅で信号を感知する事実に対処することを可能にする。信号に異なるゲインを適用すると、信号の少なくとも1つのコピーが少なくとも検出され、クリップされない可能性が高くなる。
- 信号の正及び負の両方の変動を、正の信号でのみ機能することを目的とするADC(アナログデジタルコンバータ)によって取得することができるように、オフセットを信号に適用し得る。
- マイクロコントローラを使用して、PCB上の機能を管理する。マイクロコントローラには、一般に、アナログ信号を、マイクロコントローラ及びその他の電子システムによって更に処理され得るデジタル信号に変換するADCが含まれる。
- 外部制御ユニットに通信する。例えば、(LTEチップ、Bluetooth(登録商標)チップ、Simカードリーダー、アンテナなどのような)関連する構成要素及びプロトコルを使用できる。
- 関連する信号状況を取得する閾値レベルを使用して、センサの信号を、閾値レベルを下回ると無視し、異なるシステム(アンプ、コンパレータ、マイクロコントローラ、通信チャネルなど)を、消費電力を低減するスリープモードに設定し得る。
- いくつかの異なる閾値を、信号が特定のレベルに到達するかどうかに使用し得る。特定の実施形態では、2つの閾値が使用され、「ウィンドウ」コンパレータを形成する。信号がウィンドウの境界内に留まっている間、システムは、スリープし続け得る。信号が境界のいずれかを超えると(すなわち上限閾値より大きくなるか、下限閾値より小さくなると)、システムは、起動して信号の取得を開始する。
- 衝撃が発生すると、閾値を超え、異なるシステムが起動する。全てのセンサの記録は、衝撃後、約50ミリ秒、好ましくは5~10ミリ秒の所与の時間に作成される。これらの信号は、「トレース」と呼ばれる。
【0035】
本発明によれば、信号が処理される。トレースは、マイクロコントローラを使用してPCB上でローカルにも処理できる。有用な情報を抽出するために、アルゴリズムが使用され得る。アルゴリズムから生成される出力の例は、衝撃の発生、破損又は非破損の影響、衝撃/破損のX及びY位置であり得る。本発明の一実施形態によれば、生成された出力は、LTE、Bluetooth(登録商標)などの通信手段を使用して、ユーザ及び/又は制御システムに送信される。
【0036】
本発明の別の実施形態では、生センサ信号は、LTE、Bluetooth(登録商標)などの通信手段を介して、別のストレージ及び処理ユニット(例えば、クラウド)に送信される。その場合、アルゴリズムは、このストレージ及び処理ユニットレベルで実行される。次いで、関連する情報がユーザ又は制御システムに転送される。したがって、有利には、アルゴリズムを、より容易に適合/改善又は更新することができる。
【0037】
例えば、最寄りのセンターのドライバーにグレージングを交換すること又はエネルギー消費、熱的快適性などに関して自動車にいずれのタイプのグレージングがより適合するかを通知するために、情報をスマートフォンに直接転送し得る。
【0038】
本発明の非限定的な一実施形態では、情報は、フロントガラスの構成要素の性能を監視及び/又は判定するために、センサ又は検出器からの信号を読み取って分析するソフトウェアを有するコンピュータを含む車両コンソールに送信される。モニターは、視覚的表示を提供し、スピーカは、フロントガラスの性能及び/又はフロントガラスの個々の構成要素に関する可聴情報を提供する。コンソールには、注意を喚起するアラームをモニターに含めることができる。自動車にコンソールを配置することにより、自動車内の人員にフロントガラスのリアルタイムの性能を提供することができる。情報は、有利には、ドライバーのスマートフォンに転送し得る。
【0039】
本発明の別の非限定的な実施形態では、コンソールは、無線送信機及び受信機を有し、送信機は、タワーに信号を送信する。信号は、フロントガラスの性能に関するデータを搬送する。タワーは、フロントガラスの状態に関するデータを搬送する信号を衛星に送信する。衛星は、フロントガラスの性能に関するデータを搬送する信号を制御センターに送信する。受信したデータは、調査され、実行すべき適切なアクションがスケジュールされる。本発明の非限定的な一実施形態では、受信した情報に基づいて、制御センターの人員は、必要なアクションがある場合、いずれのアクションが必要であるかを判定する。フロントガラスの修理又はフロントガラスの交換などのアクションが必要である場合、修理スケジュールを示す信号が衛星に送信される。衛星は、修理スケジュールを有する信号をタワーに送信する。タワーは、修理スケジュールを有する信号を、コンソールと、全ての部品、機器及び個人の必要物を指定された修理場所で手配できるように、通常、自動車が次に予定している停車地である指定された修理場所に地理的に近いメンテナンスセンターとに送信する。
【0040】
本発明の非限定的な一実施形態では、センサからのデータが、フロントガラスを交換する必要があることを示す場合、フロントガラスを緊急に交換する必要があれば、修理スケジュールには、自動車が次に予定している停車地までのフロントガラスの出荷を含むことができる。
【0041】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ここではモノセンサ又は複数センサデバイスとも呼ばれるモノセンサ又は複数のセンサを含むPCBは、カバーボックス又はハウジングボックスによって保護される。カバー又はハウジングボックスは、好ましくは、PCBの周りに取り付けられて、モノセンサ又は複数センサデバイスを保護するだけでなく、審美性を向上させ、車への統合をより良くさせる。カバー又はハウジングボックスは、プラスチック及び/又は複合材料で作られ得る。
【0042】
カバーボックスには、ライトパイプを備える穴を含めることもでき、それにより、PCBのいくつかのLEDがPCBのアクティビティ又はステータスの視覚的表示を提供することを可能にする。
【0043】
上述のように、PCBを固定するためのテープは、ハウジングの背面の全面を覆い得る。しかしながら、特定の一実施形態では、テープは、ハウジングの背面の側面、例えばセンサの縁部とハウジングの縁部との間の1cm幅上の領域にのみ配置される。これにより、グレージングからデバイスをより簡単に取り外すことが可能になる。
【0044】
別の実施形態では、テープの接着性の低い側面は、マイクロ吸引テープで置き換えることができ、他の側面は、従来の接着テープである。これにより、デバイスの複数の取り付け/取り外しが可能になる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、グレージングに面するその表面上に発泡体を備え、発泡体は、センサをガラス上に押し付ける。次いで、センサとハウジングとの間の発泡体がセンサをガラスに押し付ける。
【0046】
カバー又はハウジングボックスは、センサ及び電子機器(モノ又は複数の)デバイスの過熱を回避するために熱を逃がすためのいくつかの穴を含み得る。より好ましくは、ハウジングの背面は、発泡体に力を加えるために、発泡体のサイズよりも小さい穴を含む。したがって、センサを備える自動車の内部に面しているグレージングの面に設けられた発泡体は、最初にグレージングに固定され、次いでハウジングの背面がグレージングに固定され、穴を介して部分的に突き出ている発泡体がセンサをガラスに押し付ける。
【0047】
本発明の実施形態によれば、発泡体は、-20℃~105℃の温度に耐性があり、UV及び疎水性に耐性がある発泡体である。発泡体は、例えば、12~28KPa(標準ASTM D1056による)の圧縮たわみ、10%以下(ASTM D1056)の真空水吸収を備える気泡ゴムで作られ得る。発泡体は、センサが設けられた固体ディスク又はセンサを取り囲む円であり得る。
【0048】
カバー又はハウジングボックスは、好ましくは、ボルト、接着剤などの機械的手段によって又は磁気的手段を介してPCBに取り付けられる。本発明の一実施形態によれば、ケーブルが自動車のバッテリーからPCBに設けられ、センサデバイス及びその電子機器に電力を供給することを可能にする。
【0049】
別の実施形態では、PCBは、「標準」電力ケーブルをPCBに接続できるようにする外形(例えば、マイクロUSBポート)を特徴とする。そのようなケーブルは、必ずしも自動車のバッテリーに接続する必要はないが、代わりに自動車のUSBポートに接続することができるか、又は1つ以上のUSBポートを提供するシガーライターアダプターに接続することができる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によれば、環境発電技術を使用して、センサデバイス及びその電子機器に電力を供給し得る。このエネルギー管理では、特にスリープモードで最小値に低減させることができる。その場合、消費電力は、20mWと低く、更に5mW未満と低くなり得る。別の実施形態では、小さい太陽電池及びバッテリーを使用して、センサへのケーブル接続を回避し得る。好ましい実施形態では、太陽電池及び1つ以上のスーパーキャパシタが使用される。特定の実施形態では、完全に放電されると、光電池上で再び光を受けた後、数分以内(典型的には5分未満)に急速充電して、システムを利用可能にする小さいスーパーキャパシタ及びゆっくりと充電されるが、代わりに大容量及びより長い自律性を提供するより大きいスーパーキャパシタなど、2つのスーパーキャパシタの組み合わせが使用される。
【0051】
理解できるように、本発明は、電力がセンサに供給される方法に限定されず、任意の回路配置を本発明の実施に使用することができ、例えば、本発明を限定するものではないが、センサの一方の電気接点をフロントガラスのシートの任意の1つ以上の上に取り付けることができ、センサに電力を供給するための専用電源の一方の極及び専用電源の他方の極に接続された検出器の他方の接点に直接接続することができる。理解できるように、本発明は、本発明の実施において使用される電源のタイプに限定されず、電源は、交流又は直流を生成することができる。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態では、1つ以上のセンサ又は検出器は、好ましくは、120℃を超える温度に耐える。
【0053】
本発明の別の実施形態では、1つ以上のセンサは、マイクロホンセンサ又は検出器である。
【0054】
ここで、本発明を、限定ではなく例示として提供される図面及び例示的な実施形態を参照してより具体的に説明する。図面は、概略図であり、正確な縮尺ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。より多くの利点は、実施例で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の一実施形態による、グレージングに固定されたマルチセンサデバイスの一実施例の平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、グレージングに固定されたモノセンサデバイスの別の実施例の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、複数のマルチセンサデバイスを含むフロントガラスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の第1及び第2の実施形態による
図1及び
図2を参照すると、グレージングパネル1は、自動車用の積層グレージング、より具体的にはフロントガラスである。本発明の好ましい実施形態によれば、自動車用グレージングは、少なくとも1つの熱可塑性の中間層で積層された外部及び内部のガラスシートを含む積層グレージングである。積層グレージングの場合、車両の外部環境と接触するガラスシートは、面1として既知であり、内部部品、すなわち乗員室と接触する表面は、面4と呼ばれる。図面に不必要に負担をかけないように、フロントガラスの詳細は、ここでは示さない。
【0057】
図1によれば、フロントガラスは、その面4、すなわち図面で参照番号2として参照される積層グレージングの内面に複数のセンサ3、3’、3’’を備える。センサは、両面接着テープ4を介してグレージング1に固定されている。上述したように、センサをグレージングに固定する手段は、感圧両面テープ、より好ましくは再配置可能な両面テープであり得る。したがって、複数センサデバイス10は、グレージングが損傷した場合に再利用することができる。
【0058】
本発明のグレージングは、自動車の設計に適合するように、平坦な又は湾曲したパネルであり得ることが理解されるであろう。ガラス板は、セキュリティの仕様に準拠するように強化できる。加熱可能なシステム、例えばコーティング又はワイヤーのネットワークを、例えば霜取り機能を追加するためにグレージング上に適用することができる。また、ガラス板は、クリアガラス或いはガラスの特定の組成物で着色された又は例えばコーティング若しくはプラスチック層を適用した着色ガラスであり得る。
【0059】
本発明によれば、複数のセンサ3、3’、3’’は、共通してPCB5と呼ばれるプリント回路基板に周知の技術により固定されて、マルチセンサデバイス10(PCBに固定された複数のセンサ)を提供する。PCB5上には、以下に説明するように、複数のセンサ3、3’、3’’などから受信した信号を処理するための電子構成要素6が設けられている。好ましくは、複数センサデバイス10は、PCBの一方の側面に設けられ、電子構成要素6は、PCB5の反対の側面に設けられ、したがってセンサとガラスの表面との間の直接接触を可能にする。
【0060】
例えば、電子構成要素6は、ハイパスフィルタ、信号増幅器、マイクロコントローラ又は外部制御ユニットと通信するための他の関連する構成要素を含み得る。
【0061】
複数センサデバイス10を損傷から保護するために、カバーボックス又はハウジング7が設けられる。カバー又はハウジングボックス7は、好ましくは、PCB5の周りに取り付けられて、モノセンサデバイス20又はマルチセンサデバイス10を保護するだけでなく、審美性を向上させ、車への統合をより良くさせる。カバー又はハウジングボックス7は、プラスチック及び/又は複合材料で作られ得る。
【0062】
カバー又はハウジングボックス7は、センサ(モノ又は複数の)デバイスの過熱を回避するために熱を逃がすためのいくつかの穴を含み得る。カバー又はハウジングボックス7は、好ましくは、ボルト、接着剤などの機械的手段によって又は磁気的手段を介してPCBに取り付けられる。本発明の一実施形態によれば、ケーブルが自動車のバッテリーからPCB5に設けられ、センサデバイス10及びその電子機器に電力を供給することを可能にする。上述のように、無線システムを使用して、マルチセンサデバイス10に電力を供給することができる。
【0063】
本発明によれば、マルチセンサデバイス10は、衝撃の検出、破損/非破損状況の識別及びフロントガラスへの衝撃の位置特定に適している。本発明の一実施形態によれば、より良い信号を取得するために、且つ衝撃の位置を十分明確に画定するために、複数のセンサ3、3’、3’’などが2つ以上の薄いPCB5に沿って整列されている。好ましくは、薄いPCB上のセンサ間の相互間隔は、約20cmである。PCB5に固定されたセンサ3、3’、3’’などの間の間隔は、最適な信号を取得するように適合する必要があり、使用するセンサのタイプにも依存することが理解されるであろう。マルチセンサデバイス10は、好ましくは、審美性の観点からフロントガラス上の別個のゾーンに設けられ、当然のことながらドライバーの視野には設けられない。複数センサデバイスの好ましい位置は、上記で十分に説明されている。好ましくは、複数センサデバイス10は、一例として
図3に示されるように、フロントガラス1の上側若しくは底側又は横方向位置に設けられる。複数センサデバイス10の数は、使用するセンサと、必要な信号の品質とにも基づいて固定されることになる。
【0064】
図2によれば、
図1と
図2との間の違いは、センサデバイスに基づいている。
図2によれば、センサ3は、PCB5に固定されて、モノセンサデバイス20を形成する。モノセンサデバイス20は、ここでは、フロントガラス1の
図2において参照番号2と呼ばれる面4上に設けられている。センサ3は、
図1で説明したのと同じ方法で内面のガラス2及びPCB5に固定されている。モノセンサデバイス20の使用により、破損/非破損の状況を検出することを可能にする。モノセンサデバイス20は、複数センサデバイス10よりも小さいため、モノセンサデバイス20は、上述のゾーンに付け加えて、例えばカメラゾーンのようなグレージング1の他のいくつかの他の部分に配置することができる。
【0065】
本発明は、例示のみを目的として提示された、上記で提示及び検討された本発明の実施形態に限定されず、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及び本出願に直接又は間接的な関係を有する出願に追加される任意の追加的な特許請求の範囲によってのみ限定される。