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特許7273041レーザ・プロジェクタ及び回折ディスプレイ・デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】レーザ・プロジェクタ及び回折ディスプレイ・デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230502BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20230502BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230502BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230502BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/10 B
G02B5/18
H04N5/64 511A
H04N5/74 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020533718
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 FI2018050929
(87)【国際公開番号】W WO2019122516
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】20176163
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロムステット、カシミール
(72)【発明者】
【氏名】オルッコネン、ユーソ
(72)【発明者】
【氏名】アイキオ、ミカ
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0327789(US,A1)
【文献】特開2013-222058(JP,A)
【文献】特開2015-192080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255016(US,A1)
【文献】特開2015-099238(JP,A)
【文献】米国特許第08233204(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286204(US,A1)
【文献】特表2017-511894(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113533(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02,26/10
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管平面上にイメージを提示するためのレーザ・プロジェクタであって、
複数の狭い波長の光ビームを放出することができるレーザ源と、
前記レーザ源によって放出された光を前記導波管平面の異なる瞳孔まで誘導するための案内要素であって、前記導波管平面内で前記異なる瞳孔が互いを基準としてずらされる、案内要素と
を備え、
前記レーザ源及び前記案内要素が、前記導波管平面上で空間的に分離されて前記異なる瞳孔の中に入る少なくとも3つの狭い波長のビームを作るように適合され、
前記レーザ源及び前記案内要素が、前記狭い波長のビームを異なる角度で前記異なる瞳孔まで誘導するように適合され、前記レーザ源が、前記少なくとも3つの狭い波長のビームに対応する少なくとも3つの初期ビームを作るように適合される少なくとも3つの異なるレーザ・サブ・ソースを備え、前記初期ビームが異なる角度で前記案内要素上まで伝播し、前記案内要素が、異なる角度の前記初期ビームをそれぞれ前記異なる瞳孔の方に反射するようにさらに適合され
前記サブ・ソースが、前記案内要素の方に向けられた、異なるロケーション及び角度にあるレーザ源であり、
前記異なる瞳孔が前記導波管平面上で互いに直線状に又は三角形に位置し、互いに重なり合わない、レーザ・プロジェクタ。
【請求項2】
前記レーザ源が、3つのレーザ源と、前記案内要素の方に向かう異なる角度の前記狭い波長のビームを作るように適合されるプリズム・カプラとを備える、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記案内要素が1つ又は複数のマイクロ電気機械ミラーを備える、請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記案内要素が、前記イメージを形成することを目的として前記入力瞳孔内の異なるロケーション上にスキャニング・ビームを作るように移動可能である、請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
回折パーソナル・ディスプレイ・デバイスであって、
導波管平面を有し、前記導波管平面の中で互いからずらされる少なくとも3つの入力瞳孔を備える回折導波管と、
少なくとも3つの狭い波長の光ビームを前記入力瞳孔に投射するためのプロジェクタと
を備え、
前記プロジェクタが請求項1からまでのいずれか一項に記載のプロジェクタである、
回折パーソナル・ディスプレイ・デバイス。
【請求項6】
前記導波管が少なくとも3つの導波管層を備え、前記入力瞳孔が異なる層に位置する、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
各入力瞳孔が回折用の入力部回折格子を備え、前記導波管が、使用者に対して多色イメージを提示するために互いに位置合わせされる複数の出力部回折格子をさらに備える、請求項又はに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折導波管ディスプレイに関する。詳細には、本発明は、回折導波管ベースのパーソナル・ディスプレイのためのプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の導波管ディスプレイでは、示されることになるイメージがそれを通って伝播する導波管要素は、単層又は複層の導波管であり得る。イメージ全体すなわち全波長及びその視野(FOV)全体を単一の導波管の中に入力して運搬することが知られている。また、要素のFOVを増大させるために、イメージの波長を異なる層に分離することが知られている。この事例では、層の各々が、互いの上に配置されて特定の波長範囲のみを対応する導波管層へと回折し、残りの波長を下にある層まで通過させるように設計される別個の入力部回折格子(in-coupling grating)を含む。しかし、このようなシステムの性能は、特に、レーザベースのイメージ・プロジェクタでは最適でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の欠陥のうちの少なくとも一部の欠陥を解決すること、並びに新規の回折導波管要素及びそのためのプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、多様な波長を有しており、導波管平面上で空間的に分離されて導波管の異なる瞳孔の中に入る少なくとも3つの狭い波長のビームを作るという発想に基づくものである。
【0005】
具体的には、本発明は独立請求項の記載内容によって特徴付けられる。
【0006】
一態様によると、導波管平面上にイメージを提示するためのレーザ・プロジェクタが提供される。プロジェクタが、多色光ビーム又は複数の狭い波長の光ビームを放出することができるレーザ源と、光源によって放出された光を導波管平面の異なる瞳孔まで誘導するための案内要素とを備え、導波管平面内で異なる瞳孔が互いを基準としてずらされ、ここでは、レーザ源及び案内要素が導波管平面上で空間的に分離されて上記異なる瞳孔の中に入る少なくとも3つの狭い波長のビームを作るように適合され、ここでは、レーザ源及び案内要素が上記狭い波長のビームを異なる角度で上記異なる瞳孔まで誘導するように適合され、ここでは、レーザ源が、上記少なくとも3つの狭い波長のビームに対応する少なくとも3つの初期ビームを作るように適合される少なくとも3つの異なるレーザ・サブ・ソースを備え、初期ビームが異なる角度で案内要素上まで伝播し、案内要素が、異なる角度の初期ビームをそれぞれ上記異なる瞳孔の方に反射するようにさらに適合される。
【0007】
別の態様によると、互いの上に積層される少なくとも3つの導波管層を備える導波管を備える導波管ディスプレイ要素が提供される。さらに、各導波管層に連結されて層の平面上で互いを基準としてずらされる回折用の入力部回折格子であって、この回折用の入力部回折格子が、導波管に結合される異なる光波長範囲のための入力瞳孔を形成する、回折用の入力部回折格子と、多色光イメージを形成するために瞳孔を通して入力されて層の中を伝播する光を導波管から出力するための回折出力手段とが提供される。
【0008】
導波管平面内で又は導波管の層の平面内で互いを基準としてずらされるというのは、導波管(層)の法線に対して横の方向におけるずれを意味する。
【0009】
別の態様によると、回折導波管要素及び上記の種類のレーザ・プロジェクタを備えるパーソナル・ディスプレイ・デバイスが提供される。プロジェクタが、3つの異なる波長チャンネルを使用して導波管の入力瞳孔に3つのイメージを提供するように適合される。
【0010】
本発明は有利な利益を提供する。各原色が別個の導波管内で伝播させられるような導波管構造では、これに応じる形で、入力瞳孔に入る光が分離されなければならない。これは、導波管の入力部回折格子が、導波管内部を伝播する波長(色)に加えて、導波管を通過する必要がある色を基準として、最適化されなければならない。レーザなどの狭帯域の光源を使用する場合、導波管を機能的に最適化するときに光の狭帯域の特性が完全には利用され得ない、ということになる。各原色のための別個の入力部回折格子を使用することによりこの欠陥が取り除かれることになる。その理由は、原色はそれぞれの導波管に入るときに既に分離されているからである。それにより、導波管構造の最適化において行う必要のある妥協が低減され、それによりシステムの全体の性能が向上する。
【0011】
したがって、入力瞳孔を導波管平面内で空間的に分離することにより、高い効率で及び収差を最小にしてすべての色が導波管に結合されることが保証される。最も遠い層まで進んだ波長は他の色の入力部回折格子を通過する必要がなく、それにより、ビーム分裂及び迷光波(stray wave)が完全に回避される。また、本発明の実施例により導波管層を通過することが回避され得、それにより、表面反射及び吸収損失が回避される。
【0012】
この導波管要素は、頭部装着型ディスプレイ(HMD:Head-mounted display)及びヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:head-up display)などの、パーソナル・ディスプレイ・デバイスに適する。
【0013】
本明細書で開示されるレーザ・プロジェクタは本明細書で開示される導波管要素にとって理想的である。また、本明細書で開示されるレーザ・プロジェクタは、1つ又は複数の小さいレーザ源及び1つ又は複数のMEMSミラーを使用して小さい空間内に実装され得る。
【0014】
適切な回折格子デザイン及び/又はソフトウェア修正により、提案される幾何形状によって生じるイメージ収差が取り除かれ得る。
【0015】
従属請求項が本発明の選択される実施例を対象とする。
【0016】
次いで、添付図面を参照して、本発明の実施例及びその利点をより詳細に考察する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】プロジェクタ及び導波管を示す側断面図の例である。
図1B】本発明によるプロジェクタ及び導波管を示す側断面図である。
図1C】プロジェクタ及び導波管を示す側断面図の別の例である。
図1D】本発明によるプロジェクタ及び導波管を示す別の側断面図である。
図1E】プロジェクタ及び導波管を示す側断面図の別の例である。
図1F】本発明によるプロジェクタ及び導波管を示す別の側断面図である。
図2A】代替的な入力瞳孔構成を示す上面図である。
図2B】代替的な入力瞳孔構成を示す上面図である。
図3】入力瞳孔の1つの考えられる照射スキームを示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aが、実質的に同じ経路に沿って伝播する3つの波長を含む初期の多色ビームを放出するレーザ源10を有する実例を示す。初期ビーム11が、回折格子をその上に含むミラー12Aに当たる。回折格子を有するミラー12Aが、異なる波長を異なる角度に単色ビーム13A、13B、13Cとして回折する。単色ビーム13A、13B、13Cが、導波管要素20の横方向にずらされる入力瞳孔16A、16B、16Cに当たる。要素20が、互いの上に積層される3つの導波管層14A、14B、14Cを含む。それぞれの層14A、14B、14Cの表面の上に回折格子を提供することにより入力瞳孔16A、16B、16Cが形成され、これらの回折格子が、ビーム13A、13B、13Cの波長を層14A、14B、14Cにそれぞれ結合するように選択される。
【0019】
この実例では、層14A、14B、14Cが異なる被覆率を有し、その結果、ビーム13A、13B、13Cが入力部回折格子に直接にアクセスするようになる。
【0020】
導波管層14A、14B、14Cでは、光は、出力構成18によって出力されない限り、伝播することになり、出力構成18が、通常、各層のための別個の出力部回折格子を備える。出力部回折格子が互いに位置合わせされ、それにより、多色イメージが使用者50によって見られ得る。
【0021】
ミラー12Aが好適には、レーザ源10のアウトプットと同期して入力瞳孔上のイメージ・エリア全体にわたってビーム13A、13B、13Cをスキャンするように構成される可動のマイクロ電気機械(MEMS:microelectromechanical)ミラーである。
【0022】
図1Bが、別個のレーザ源10A、10B、10Cからの3つの単色ビーム11A、11B、11Cが異なる角度でミラー12Bの方に伝播する実施例を示す。ミラー12Bがそれぞれの入力瞳孔16A、16B、16Cの方にビーム13A、13B、13Cの方向を変える。この実例では、ミラー12Bが回折格子を有する必要はないが、例えば、普通の反射MEMSミラーが使用され得る。
【0023】
図1Cが、多色光源10及び3つの別個のミラー22A、22B、22Cが使用される実例を示す。第1の2つのミラー22A、22Bが部分的な透過性を有し、選択される波長のみを反射する。ミラー22A、22B、22Cが入力瞳孔26A、26B、26Cに位置合わせされる場合、反射ビーム13A、13B、13Cが互いに平行であり、等しい角度で入力部回折格子に接触する。具体的には、スキャニング・ビームの中心光線が直角で入力瞳孔26A、26B、26Cに接触するように構成され得る。
【0024】
さらに、3つの別個のレーザ源/対のミラーが使用され得る。
【0025】
図1D図1Bのセットアップの変形形態を示す。3つの別個のレーザ源は本明細書ではミラー12Bを直接には標的としておらず、最初に、角柱梁コンバイナなどのビーム・コンバイナ19を標的としている。多色レーザ源で使用される普通のコンバイナとは異なり、アウトプット・ビーム11A、11B、11Cが重なり合うようには構成されず、異なる角度でミラー12Bを標的とするように構成される。
【0026】
図1Eが、図1Aの実例と等しい、プロジェクタ部分のための実例を示すが、導波管30が3つの完全な層を備え、3つの完全な層が入力瞳孔26A、26B、26Cの領域で重なり合う。第1の入力瞳孔26Aが第1のビーム13Aによって直接にアクセス可能であるが、他の入射ビーム13B、13Cがそれぞれ導波管層24A、24A/24Bを通過し、光路上に留まり、その後、入力瞳孔26B、26Cの入力部回折格子に当たる。
【0027】
図1Fが、プロジェクタがスキャニング・タイプではなく、可動ミラーを必要とせず、固定ミラーを必要とするか、又はミラーを一切有さない、実施例を示す。イメージ・プロジェクタ60が、一度にイメージ全体を提示することができる広域プロジェクタである。ここで本発明の多瞳孔導波管(many-pupil waveguide)30に適用されると、プロジェクタが、その投射フィールド内で、互いにずらされて入力瞳孔26A、26B、26Cを標的とする選択される導波管チャンネルに対応する3つの別個のイメージを放出する。ミラー22は必須ではなく、プロジェクタ60は入力瞳孔26A、26B、26Cを直接に標的としてもよい。上でより詳細に考察したスキャニング・レーザの実例と同様に、導波管チャンネルの各々のための別個のイメージ源又はプロジェクタが存在してもよい。
【0028】
図1Fの基本セットアップ、つまり広域イメージ・コーンの別個のセクションを標的とする多様な波長が、レーザ・プラス・MEMSミラー・プロジェクタのようなスキャニング・プロジェクタと共にも使用され得る。
【0029】
図2A及び2Bが、それぞれの導波管層14A、14B、14Cの入力瞳孔16A、16B、16Cのための2つの代替の配置スキームを示す。図2Aでは、入力瞳孔が直線状に配置されて、図2Bでは三角形に配置される。いずれの場合も、それらの回折格子の向き及び/又は導波管内の中間光学要素が、層14A、14B、14Cの出力部回折格子18A、18B、18Cまで光が誘導されることになるように、選択され得る。直線状及び三角形以外の他の構成も可能である。
【0030】
異なる可能性を例示するために、図2Bの入力瞳孔の形状が、図2Aの円形状とは異なり、長方形である。また、要素内の入力瞳孔のサイズも異なっていてよい。これは、例えば、プロジェクタ・ミラーからの入力瞳孔の距離が多様であること及びこれを理由としてより距離の離れた入力瞳孔において「ライト・コーン」が拡大することを考慮すると、有利である。
【0031】
いくつかの実施例では、入力瞳孔の形状が補正される投射角であり、例えば、楕円又は曲げられた長方形の形状を有する。
【0032】
図3が、図1A、1B、1D、1E、及び1Fの実施例の事例の入力瞳孔の図を示す。入射する中央ビーム13A、13B、13Cが角度17A、17B、17Cで入力瞳孔16A、16B、16Cにそれぞれ到着する。これらの角度のうちの1つの角度が直角であってよいが、角度のうちの少なくとも2つの角度が直角であってはならない。特には、いずれの場合も入射光線13A、13B、13Cの間に角度が存在する。これにより、入射光の中央ビームの視野角が入力瞳孔の各々で異なるようになる。これを補償するために、入力瞳孔16A、16B、16Cの入力部回折格子が異なっていてよく、出力されるイメージの強度を維持するように入力光のFOVを補正するように構成され得る。
【0033】
収差の別の原因は入力瞳孔の遠位側エリアの方にイメージが伸びることであり、つまり、ビーム・スキャニング(スキャニング・レーザ・プロジェクタ)中に又は広域イメージ(広域プロジェクタ)の遠位側エリアにおいて角度が小さくなることが理由である。例として、角度17C’の遠位側の光線13C’が入力瞳孔16Cに示される。この収差は、投射されることになるイメージに対して対応する修正を行って伸びを補償することにより、プロジェクタ端部で、通常はソフトウェア修正として、補正され得る。
【0034】
図1Cの実施例では、FOV変位エラーが存在しない。つまり、中央光線の角度17A、17B、17Cが90度であるが、延びの問題(角度17C’)が小さい程度に留まり、同様の形で補正され得る。
【0035】
示される2つの導波管要素の種類のいずれも、本明細書で考察されるプロジェクタ構成のうちの任意の構成と共に使用され得る。
【0036】
次に、本発明の実施例を要約する。実施例は自由に組み合わされ得る。
【0037】
いくつかの実施例では、入力部回折格子のうちの少なくとも2つの入力部回折格子が導波管層の間に配置され、導波管層が入力部回折格子をカバーしており、それにより光が入力部回折格子まで通過することが可能となる。これには、要素が一定の厚さを有するという利点がある。
【0038】
いくつかの実施例では、導波管層が多様な面内被覆率を有し、入力部回折格子の各々がそれぞれの導波管層の表面の上で要素の外側表面上に位置する。介在する層が存在しないことを理由として、これにより入力効率が最大となる。異なるサイズの層を提供することにより及び/又は下にある層の入力瞳孔のロケーションにおいて上部層にアパーチャを提供することにより、異なる被覆率が実現され得る。
【0039】
入力瞳孔は等しいサイズ及び形状である必要はない。
【0040】
いくつかの実施例では、レーザ源及び案内要素が、狭い波長のビームを異なる角度で異なる入力瞳孔まで誘導するように適合され、入力瞳孔における入力部回折格子が、各入力瞳孔において異なる中心角で到着することになるビームを入力し、視野変位の補正を入力光に対して行うように、構成される。回折格子のマイクロ構造の適切なデザインによって補正が行われ得、その結果、効果的に、各入力瞳孔において等しい視野が導波管に結合されることになる。
【0041】
いくつかの実施例では、レーザ源及び案内要素が、互いに空間的にずらされた平行なビームとして狭い波長のビームを入力瞳孔まで誘導するように適合され、入力瞳孔が、等しい角度で導波管層に到着することになる光を入力するように構成される。この事例では、FOV変位の補正が必要ない。しかし、入力瞳孔の遠位側エリアの方へのイメージの伸びが、好適には、上で考察したように、補正される。
【0042】
いくつかの実施例では、入力瞳孔が導波管の平面内で互いに直線状に又は三角形に位置し、互いに重なり合わない。
【0043】
いくつかの実施例では、入力部回折格子の各々が、回折格子周期及び/又は回折格子を有するマイクロ構造プロフィールに関して、他の入力部回折格子とは異なる。これにより、光の伝播特性を個別に最適化することが可能となる。例えば、異なる導波管の伝播のホップ長が、単一の回折格子のみを使用するような状況と比較して互いにより接近するように調整され得る。
【0044】
いくつかの実施例では、レーザ源が多色ビームを作るように適合され、案内要素が狭い波長のビームを多色ビームから分離するように適合される。いくつかの実施例では、案内要素が、導波管平面の方に向かう異なる角度となるように、多色ビームから少なくとも3つの狭い波長のビームを分離することができる格子を有するミラーを備える。
【0045】
いくつかの実施例では、レーザ源が、狭い波長のビームに対応する少なくとも3つの初期ビームを作るように適合される少なくとも3つの異なるレーザ・サブ・ソースを備え、初期ビームが異なる角度で案内要素の上まで伝播し、案内要素が、それぞれ異なる角度で異なる領域の方に向かうように初期ビームを反射するようにさらに適合される。いくつかの実施例では、サブ・ソースが、案内要素の方に向けられた、異なるロケーション及び角度にあるレーザ源である。代替的実施例では、レーザ源が、3つのレーザ源と、案内要素の方に向かう異なる角度の狭い波長のビームを作るように適合されるプリズム・カプラとを備える。
【0046】
いくつかの実施例では、案内要素が1つ又は複数のマイクロ電気機械ミラーを備える。いくつかの実施例では、ミラーが、イメージを形成することを目的として入力瞳孔内の異なるロケーション上にスキャニング・ビームを作るように移動可能である。
【0047】
いくつかの実施例では、異なる入力瞳孔が導波管平面上で互いに直線状に又は三角形に位置し、互いに重なり合わない。
【0048】
いくつかの実施例では、レーザ・イメージ・プロジェクタが、同時に又は交互に異なる波長のレーザ・ビームを用いて入力瞳孔をスキャンするように構成されるスキャニング・レーザ・ビーム・プロジェクタである。代替的実施例では、レーザ・イメージ・プロジェクタが、入力瞳孔に対して異なる波長のサブ・イメージを同時に提示するように構成されるラージ・エリア・プロジェクタである。
【0049】
いくつかの実施例では、各入力瞳孔が回折用の入力部回折格子を備え、導波管が、使用者に対して多色イメージを提示するために互いに位置合わせされる複数の出力部回折格子をさらに備える。
【0050】
いくつかの実施例では、プロジェクタのためのドライバが提供され、ドライバが、案内要素によって狭い波長のビームの空間的な分離により生じるようなつまり中央ビームを基準として遠位側ビームの間の偏向により生じるようなストレッチ及び/又は強度収差などの、イメージ収差を補正するためのソフトウェア手段を備える。
【0051】
本発明の実例は、ニアアイ・ディスプレイ(NED:near-to-the-eye display)のような、拡張現実感(AR:augmented reality)デバイス、仮想現実(VR:virtual reality)デバイス、及び複合現実感(MR:mixed reality)デバイス、並びに他の頭部装着型ディスプレイ(HMD)、さらにはヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)、などの、多様なパーソナル・ディスプレイ・デバイスにおいて、それらの多様な形態で、利用され得る。
【0052】
本明細書で詳細には考察されなくても、導波管及びその個別の層が、入射部回折格子及び出力部回折格子に加えて、射出瞳孔拡大装置の回折格子(exit pupil expander grating)又はビーム方向変化回折格子などの、他の回折光学要素も含むことができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3