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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】広告出力方法及び広告配信システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230502BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020535907
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2019031583
(87)【国際公開番号】W WO2020032240
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】62/717,221
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山内 真樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 菜々美
(72)【発明者】
【氏名】矢羽田 洋
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123120(JP,A)
【文献】特表2015-531525(JP,A)
【文献】特開2009-271845(JP,A)
【文献】国際公開第2008/026441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを備えるシステムを用いた屋内空間における広告出力方法であって、
前記メモリには、第1の広告を含む複数の広告の各々の内容に関する情報が記憶されており、
前記プロセッサは、
(f)広告の視聴者が受ける印象に基づいて予め定められた第1の判断基準に基づいて、前記メモリに記憶されている前記第1の広告の内容から前記第1の広告の基本費用を算出し、
(g)前記システムに相応しくない広告を判断するために予め定められた第2の判断基準に基づいて、前記第1の広告の内容から前記第1の広告の追加費用を算出し、
(h)算出された前記基本費用及び算出された前記追加費用の合計に基づいて、前記複数の広告の中から出力する広告を決定し、
(i)前記決定した広告を前記屋内空間に出力する指示を出力する、
広告出力方法。
【請求項2】
さらに、
(j)前記屋内空間に配置された情報表示端末による購入の発生度合に基づいて前記基本費用を修正し、
前記(h)では、修正された前記基本費用及び算出された前記追加費用の合計に基づいて、前記複数の広告の中から出力する広告を決定する、
請求項に記載の広告出力方法。
【請求項3】
さらに、
(k)前記第1の広告の内容に関する用語に対するネットワーク上の感情分析の結果に基づいて前記基本費用を修正し、
前記(h)では、修正された前記基本費用及び算出された前記追加費用の合計に基づいて、前記複数の広告の中から出力する広告を決定する、
請求項に記載の広告出力方法。
【請求項4】
屋内空間に広告を配信する広告配信システムであって、
プロセッサと、
第1の広告を含む複数の広告の各々の内容に関する情報が記憶されているメモリと、を備え、
前記プロセッサは、
(f)広告の視聴者が受ける印象に基づいて予め定められた第1の判断基準に基づいて、前記メモリに記憶されている前記第1の広告の内容から前記第1の広告の基本費用を算出し、
(g)前記システムに相応しくない広告を判断するために予め定められた第2の判断基準に基づいて、前記第1の広告の内容から前記第1の広告の追加費用を算出し、
(h)算出された前記基本費用及び算出された前記追加費用の合計に基づいて、前記複数の広告の中から出力する広告を決定し、
(i)前記決定した広告を前記屋内空間に出力する指示を出力する、
広告配信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、住空間にある情報表示端末に対して情報を適切に提示するための広告出力方法及び広告配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、個人がスマートフォン又はパソコンにて閲覧したページ、検索したワード、又は購入した商品情報から、その個人のニーズを推定し、推定されたニーズに関連度の高い広告を優先して提示することが広くなされている。
【0003】
また、成功報酬型広告(アフィリエイトマーケティング)では、ウェブページにある広告をクリックして商品の購入へ至った場合に、その広告を表示したウェブページの製作者(例えば、ブログを書いてその広告を掲載した人)にアフィリエイトフィーと呼ばれる報酬が支払われる。
【0004】
ウェブ広告を配信したい広告主と、商品の説明を行い購入へ誘導することで報酬を得たいウェブページ制作者と、商品の購入を検討するために商品情報を探している訪問者とのマッチングを低コストで効率的に行えることもあり、このようなアフィリエイトマーケティングは広く浸透している。
【0005】
一方で、住宅又は部屋などの人が生活する空間(住空間)における広告/情報表示サービスは未だ認知されるほどの成功例は出ていない。
【0006】
テレビコマーシャルを例にとると、不特定多数の番組視聴者に対する一方向の広告配信であるため、視聴者一人一人に合わせて広告を変更することはできない。またテレビコマーシャルを見てその商品を購入する場合でも、商品はテレビとはまったく別のチャネル(実在する店舗又はインターネット上の通信販売など)で購入され、何がきっかけで商品が売れたのかが、テレビコマーシャルの広告主は判断できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-92918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在のウェブ広告では、ウェブページを閲覧している閲覧者(厳密には、閲覧者が利用する情報端末)の経済活動(例えば、商品購入)を助長するために、閲覧者が興味を持っている商品/サービスに関係度の高い広告を優先して出力するための仕組みが採用されている。
【0009】
そのため、何時、どこでウェブページを閲覧していても、広告を見ている閲覧者のその時の状況とは関係なく、過去の購入履歴に関連した広告が表示される。これは一種の過学習状態である。
【0010】
例えば、特許文献1には、算出された関連度が広告テーブルに記憶された関連度よりも大きいと判定された広告情報が複数ある場合には、広告情報の入札額にクリック率(CTR:Click Through Rate)を掛けた値が大きい広告情報が選択されることが開示されている。
【0011】
このような広告の出力方法では、住空間に暮らしている人の状況に対して合理性及び適合性の高い広告を提示することは難しい。例えば、過去に購入した商品Aに関する広告が出力され続ければ、出力された広告は、住空間で暮らしている人の状況に対する合理性/適合性が低下する。つまり、広告は、住空間で暮らしている人にとって有益な広告とならず、商品/サービスの購入に繋がらないため、広告主にとっても費用対効果が低い広告となってしまう。
【0012】
そこで、本開示は、屋内空間の状況に対して合理性/適合性が高い広告を当該屋内空間に配信することができる広告出力方法及び広告配信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様に係る広告出力方法は、プロセッサとメモリとを備えるシステムを用いた屋内空間における広告出力方法であって、前記メモリには、第1の広告を含む複数の広告の各々の内容に関する情報が記憶されており、前記プロセッサは、(f)広告の視聴者が受ける印象に基づいて予め定められた第1の判断基準に基づいて、前記メモリに記憶されている前記第1の広告の内容から前記第1の広告の基本費用を算出し、(g)前記システムに相応しくない広告を判断するために予め定められた第2の判断基準に基づいて、前記第1の広告の内容から前記第1の広告の追加費用を算出し、(h)算出された前記基本費用及び算出された前記追加費用の合計に基づいて、前記複数の広告の中から出力する広告を決定し、(i)前記決定した広告を前記屋内空間に出力する指示を出力する。
【0015】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様に係る広告出力方法によれば、屋内空間の状況に対して合理性/適合性が高い広告を当該屋内空間に配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態1に係る広告配信サービスの全体像を表す。
図2図2は、実施の形態1における広告費の決定プロセスを示すフローチャートである。
図3図3は、実施の形態1における広告費の決定プロセスを示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1における広告費の決定プロセスを示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態1における広告素材属性に応じた広告費の説明図である。
図6図6は、実施の形態1の変形例に係る広告配信サービスの全体像を表す。
図7図7は、実施の形態1の変形例におけるパネルデータ及び広告データの一例を示す。
図8図8は、実施の形態1の変形例に係る広告配信システムの機能構成を示すブロック図である。
図9A図9Aは、実施の形態1の変形例における過去のパネル操作履歴と配信条件(広告費)の基本費用との関係の例を示す。
図9B図9Bは、実施の形態1の変形例におけるインターネット上のユーザの反応情報と基本費用との関係の例を示す。
図10図10は、実施の形態1の変形例におけるパネル及び広告の属性の適合性と広告費との関係の一例を示す。
図11図11は、実施の形態1の変形例において、配信する広告を選択する処理を示すフローチャートである。
図12図12は、実施の形態1の変形例におけるパネル及び広告の属性の適合性と広告費との関係の他の一例を示す。
図13図13は、実施の形態2に係る広告配信サービスの全体像を表す。
図14A図14Aは、実施の形態2における屋内空間データの一例を示す。
図14B図14Bは、実施の形態2における広告データの一例を示す。
図15図15は、実施の形態2に係る広告配信システムの処理を示すフローチャートである。
図16図16は、実施の形態2における適合度合の一例を説明するための表である。
図17図17は、実施の形態2におけるマッチングスコアと評価価格との対応関係の一例を説明するための表である。
図18図18は、実施の形態2における評価価格の一例を説明するための表である。
図19図19は、実施の形態2の変形例における適合度合の一例を説明するための表である。
図20図20は、実施の形態2の変形例における適合度合の他の一例を説明するための表である。
図21図21は、実施の形態2の変形例における屋内空間データの一例を示す。
図22A図22Aは、実施の形態2におけるサービス提供システムの全体像を示す。
図22B図22Bは、実施の形態2におけるデータセンタ運営会社の一例を示す。
図22C図22Cは、実施の形態2におけるデータセンタ運営会社の一例を示す。
図23図23は、実施の形態2におけるサービスの類型1(自社データセンタ型)を示す。
図24図24は、実施の形態2におけるサービスの類型2(IaaS利用型)を示す。
図25図25は、実施の形態2におけるサービスの類型3(PaaS利用型)を示す。
図26図26は、実施の形態2におけるサービスの類型4(SaaS利用型)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。
【0020】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る広告配信サービスの全体像を表す。一軒の家201は、ある住人の住空間を示している。家201は複数の居住スペースから構成されている。図1には、複数の居住スペースの1つであるリビングルーム200が図示されている。リビングルーム200は、住空間の一例である。なお、住空間は、リビングルームに限定されない。例えば、住空間は、キッチン、寝室又は子供部屋であってもよい。リビングルーム200には、テレビ101、ソファー102、及びソファー102の近くに情報表示端末100が設置されている。以下、情報表示端末100をパネル100と呼ぶ。
【0022】
この住空間の住人は、例えばソファー102に座ってテレビ101を視聴しながら、パネル100を使ってリビングルーム200の照明及び空調を調整したり、時刻又は周辺地域の天気若しくは渋滞情報にアクセスしたりする。
【0023】
パネル100及びテレビ101などの情報端末は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線ルーター103を介して、インターネットに接続されている。広告配信システム300は、パネル100及びテレビ101などの情報端末にインターネットを介して繋がっている。
【0024】
広告配信システム300は、プロセッサ301及びメモリ302を備える。
【0025】
プロセッサ301は、メモリ302に格納されたインストラクション及び/又はソフトウェアプログラムを実行するための電子回路である。プロセッサ301は、メモリ302に格納されたインストラクション及び/又はソフトウェアプログラムを実行したときに、本実施の形態に係る広告配信サービスを実現する。プロセッサ301によって行われる各種処理については、図2図4を用いて後述する。
【0026】
メモリ302は、例えば半導体メモリ及び/又はディスクドライブにより実装される。メモリ302には、広告A及び広告Bを含む複数の広告に関する情報である広告データ400が格納されている。広告データ400には、広告ごとに、その広告の素材情報である広告素材及び広告配信条件を記述した発信条件が関連付けられて管理されている。
【0027】
従来、広告配信会社が、住人に対して配信する広告を選択する際には、より高い広告費が広告主から支払われる広告、宣伝する商品/サービスの販売に繋がった場合に広告主から支払われるアフィリエイトフィー(報酬)がより高い広告、又は、住人が過去に検索又は購入したことのある商品/サービスに関する広告が優先して選択される。
【0028】
このように選択された広告が住人の個人向け端末(例えばスマートフォン又はパソコン)に配信される場合には、特定の個人向けに広告が最適化されていても問題は起こりにくい。一方、住空間に設置された情報端末(例えばパネル100又はテレビ101)に広告が配信される場合には、特定の個人向けに広告が最適化されれば問題が起こることがある。
【0029】
住空間には、複数の住人(例えば家族又は友人)が生活しており、その住空間にいる人が置かれている状況(例えば、時刻、室温、湿度など)が時々刻々と大きく変化する。
【0030】
例えば、多くの未成年が利用している住空間(例えば子供部屋、又は大人が不在中のリビングルーム)に設置された情報端末に対して、酒の広告は不適切である。このような不適切な広告の配信が続けば、その住空間の住人から、広告配信サービスは、気の利かない不要又は不適切なサービスであると思われ、サービス解約が求められる。
【0031】
同様に、外出の準備を慌ただしくしている平日朝の時間帯に、酒の広告を出力することも宣伝効果が低いと思われる。多くの人にとって、酒の広告は落ち着いて過ごしている状況(例えば夕方以降)で提供される方が受け入れられやすいだろう。
【0032】
また、ある商品をインターネットの通販サイトから購入する前後に、過去に検索した商品の広告に埋め尽くされるような過剰なリコメンド(過学習)も再考すべきである。過剰なリコメンドが働くことで、新たな広告の価値が下がり、そういった広告に嫌気を感じるようになっては、広告配信サービスを続けられなくなってしまう。
【0033】
このように、住空間に出力される広告は、時々刻々と変化する住空間の状況、及び/又は住空間を共有する単独又は複数の人に適合した内容を有していなければ、高い宣伝効果を産み出すことが難しい。
【0034】
図2図3、及び図4は、実施の形態1における広告の発信条件(広告費)の決定方法を説明するフローチャートである。
【0035】
図2に記載の通り、発信条件の決定プロセスでは、プロセッサ301は、まず広告の視聴者が受ける印象に基づいて予め定められた第1の判断基準に基づいて、広告の内容から基本費用を算出する(S110)。次にプロセッサ301は、広告配信システム300に相応しくない広告を判断するために予め定められた第2の判断基準に基づいて、広告の内容から追加費用を算出する(S120)。プロセッサ301は、基本費用と追加費用を合計して、当該広告の発信条件(広告費)を決定して(S130)、決定プロセスを終了する。
【0036】
基本費用の決定プロセス(S110)では、図3に記載の通り、プロセッサ301は、当該広告の表現が暴力的、宗教的、及び成人向けの少なくとも1つに該当するか否かを判定する(S111)。ここで、広告の表現が、暴力的、宗教的、及び成人向けの何れにも該当しない場合には(S111のNo)、プロセッサ301は、広告配信システム300として標準的な基本費用(C0)を適用し(S112)、基本費用を決定するプロセスを終了する。
【0037】
一方、広告の表現が、暴力的、宗教的、及び成人向けの1つ以上に該当する場合には(S111のYes)、プロセッサ301は、標準的な基本費用(C0)よりも高額な基本費用(C1)を適用し(S113)、基本費用を決定するプロセスを終了する。
【0038】
C1はC0よりも大きい金額を示している。C0及びC1としては、固定値が用いられてもよい。固定値とは、各種条件に応じて変動しない一定値である。また、C0及びC1として、所定の条件に応じて時間的に変動する可変値が用いられてもよい。
【0039】
また、基本費用を決定するための要素として、上記暴力的、宗教的、及び成人向けの表現とは異なる要素が用いられてもよい。例えば、基本費用を決定するための要素として、法律や条例に違反する行為を容認又は助長するような表現、及び公序良俗に反する表現が用いられてもよい。
【0040】
追加費用の決定プロセス(S120)では、図4に記載の通り、プロセッサ301は、当該広告が広告配信システムを運営している広告配信会社が広告配信システムに相応しくないと判断する広告であるか否かを判定する(S121)。ここで、プロセッサ301は、当該広告が広告配信システムに相応しくないと判断される広告である場合には(S121のYes)、追加費用(C2)を適用し(S122)、そうでなければ(S121のNo)追加費用を課さずに、決定プロセスを終了する。
【0041】
このフローチャートでは、広告配信会社の判断基準で広告の判断が行われていたが、判断基準の主体は広告配信会社に限定されない。例えば、第三者機関の判断基準に従って広告が判断されてもよく、その判断結果を用いて、追加費用が適用されてもよい。
【0042】
図2図3、及び図4で説明したように、本実施の形態では、広告の視聴者が受ける一般的印象を基に基本費用が設定される。さらに、広告の適性をサービス提供者の立場に基づく広告配信会社の判断基準に基づいて判断された判断結果を基に追加費用が設定される。そして、このように設定された基本費用及び追加費用から、各広告の配信費用(広告費)が決定される。つまり、複数の広告配信の判断基準に基づいて費用が決定され得る。全ユーザに対して、広告が適合するか否かの基準と、一部のユーザに対して、広告が適合するか否かの基準とを設定し得る。例えば、全ユーザに対して、社会通念上ふさわしくないか否かの基準を適用し、一部のユーザに対して、地域毎またはユーザの属性毎に広告が適合するか否かの基準などを設定し得る。一例として、ユーザにネガティブな広告を出力しないための基準と、ユーザにポジティブな広告を出力するための基準とを設定することにより、よりユーザに適した広告を出力することができる。
【0043】
図5は、実施の形態1における配信条件(広告費)の事例を表形式で表す。
【0044】
図5では、暴力的表現を含む広告は、暴力的で成人向け表現を含んでいると判断され、基本費用としてはより高額なC1が適用されている。さらに広告配信会社の判断基準では、この暴力的表現を含む広告は、広告配信サービスに相応しくない広告だと判断され、さらに追加費用としてC2が加算されている。結果として、合計C1+C2の金額がこの暴力的表現を含む広告の発信条件(広告費)として算出されている。
【0045】
宗教的表現を含む広告は、宗教的な表現を含んでいるので基本費用としてC1が適用される。ただし、広告配信会社の判断基準では、この宗教的表現を含む広告は、広告配信サービスには相応しくない広告とは判断されていない。そのため、宗教的表現を含む広告の発信条件(広告費)として、C1の金額が設定されている。
【0046】
成人向けの表現を含む広告には、暴力的表現を含む広告と同様に、基本費用C1及び追加費用C2が適用され、C1+C2の金額が発信条件(広告費)として決定されている。暴力的、宗教的及び成人向けの何れの表現も含まない広告には、基本費用C0が適用され、C0の金額が発信条件(広告費)として決定されている。
【0047】
このように決定された広告費に基づいて、複数の広告の中から1以上の広告が選択される。例えば、複数の広告の中から、最も高い広告費を有する広告が選択される。つまり、基本費用及び追加費用の合計に基づいて、複数の広告の中から出力する広告が決定される。そして、決定された広告を住空間に出力する指示が出力される。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係る広告配信システム300は、屋内空間に広告を配信する広告配信システム300であって、プロセッサ301と、第1の広告を含む複数の広告の各々の内容に関する情報が記憶されているメモリ302と、を備え、プロセッサ301は、(f)広告の視聴者が受ける印象に基づいて予め定められた第1の判断基準に基づいて、メモリ302に記憶されている第1の広告の内容から第1の広告の基本費用を算出し、(g)広告配信システム300に相応しくない広告を判断するために予め定められた第2の判断基準に基づいて、第1の広告の内容から第1の広告の追加費用を算出し、(h)算出された基本費用及び算出された追加費用の合計に基づいて、複数の広告の中から出力する広告を決定し、(i)決定した広告を屋内空間に出力する指示を出力することができる。
【0049】
これによれば、複数の判断基準に基づいて配信費用を決定することができ、広告の視聴者だけでなく広告配信会社にも相応しい広告を適切な配信費用で配信することができる。
【0050】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例について説明する。本変形例では、パネルデータ及び/又はインターネット上の発言等を用いて基本費用が修正される点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、上記実施の形態1と異なる点を中心に、本変形例について図面を参照しながら説明する。
【0051】
図6は、実施の形態1の変形例に係る広告配信サービスの像を表す。
【0052】
本変形例では、メモリ302には、広告データ400に加えて、パネルA及びパネルBを含む複数のパネルに関する情報であるパネルデータ410が格納されている。パネルデータ410には、パネルAの操作履歴及び広告の受信条件設定情報などが関連付けられて記録されている。
【0053】
各パネルの個別設定及び操作履歴をデータベース化して得られるパネルデータ410を広告配信システム300が持つことで、広告配信システム300は、特定のパネル100に対して、どのような場合にどの広告を配信するのかを、住空間と広告との整合性が向上するように決定することができる。
【0054】
また、パネル100は、表示面と、表示面に対するユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチセンサと、を備える。なお、パネル100のユーザインタフェースは、タッチユーザインタフェースに限定されない。例えば、ジェスチャ認識によるタッチレスインタフェースが用いられてもよい。また、ユーザインタフェースには、ハプティクス技術を用いて離れた場所でタッチ操作の触覚を再現させる技術が採用されてもよい。また、発話/会話/音声を通じて、ユーザからの操作を受け付けるボイスユーザインタフェースが用いられてもよい。つまり、パネル100に購入ボタン110のようなグラフィカルユーザインタフェース(GUI)が表示されている時に、ユーザがGUIを操作できる機能がパネル100に備わっていればよい。
【0055】
図7は、パネルデータ410及び広告データ400の内容の一例を示す。ここで示すパネルデータ410及び広告データ400は、具体的にはバイナリー形式、CSV形式、JSON形式、リレーショナルデータベース形式などシステム構成に合わせて扱い易いデータ形式にて管理される。
【0056】
まず、パネル100ごとに管理されるパネルデータ410の内容について説明する。
【0057】
パネルデータ410には、パネル情報、操作履歴、及び受信条件の3つの情報が含まれる。
【0058】
パネル情報の一例を示す。
【0059】
パネル識別情報:ハード識別番号などのパネルの個体を識別するための情報
【0060】
利用者情報:当該パネルが設置される住空間(もしくは居住スペース、部屋ごと)の利用者の氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス
【0061】
利用者決済情報:上記利用者のクレジットカード番号、銀行や電子マネーの口座番号
【0062】
設置場所情報:当該パネルが設置されている場所を示す情報。例えば、キッチン、リビングルーム、バスルーム、寝室、トイレ、子供部屋、ガレージなどの居住スペースの識別情報
【0063】
操作履歴の一例を示す。操作履歴に含まれる情報は、屋内空間の属性に対応する。
【0064】
購入履歴情報:過去にこのパネルを介して購入された商品・サービスの識別情報、家電、家電消耗品、食品などといった商品・サービスの種別情報、その購入決済を行った時刻情報である年月日時分、購入金額である金額、決済に使った手段(クレジットカード、代金引換など)を示す決済手段、その商品・サービスに関する情報にアクセスを始めてから購入を行うまでにかかった購入時間
【0065】
興味あり履歴情報:過去にこのパネルを介して検索や詳細説明表示などの行為がなされた商品・サービスに関する識別情報、種別情報、これらの説明を閲覧していた時間情報である閲覧時間、購入を意思表示したか(例えば、購入ボタンを押したか、ショッピングカートに入れたか)を示す購入意思表現の有無
【0066】
受信条件の一例を示す。受信条件に含まれる情報は、屋内空間の属性に対応する。
【0067】
許諾属性設定:次の許諾属性がユーザにより設定済みであるか否か(デフォルト値のまま)を示す
【0068】
許諾属性:このパネルが受け取る広告に対する暴力的・宗教的・成人向けフィルタ強度の設定値(0以下)
【0069】
操作履歴活用:このパネルの操作履歴情報を今後の広告表示に利用してもよいか否か
【0070】
次に、広告ごとに管理される広告データ400の内容について説明する。
【0071】
広告データ400には、広告情報、広告素材、及び発信条件の3つの情報が含まれる。
【0072】
広告情報には、以下の情報が含まれる。
【0073】
広告識別情報:この広告を識別するための識別番号
【0074】
広告主情報:この広告の広告主の会社名や電話番号
【0075】
広告主決済情報:この広告の広告主の銀行/電子マネー口座番号、クレジットカード番号
【0076】
請求金額情報:この広告に関して、広告主に請求する広告費の金額情報
【0077】
広告素材には、以下の情報が含まれる。
【0078】
素材情報:この広告の映像音声コンテンツデータ、コンテンツに埋め込まれた、もしくは同時に表示されるURLなどのリンク情報
【0079】
素材属性:この広告の表現に対する暴力性・宗教性・成人向けのレベル数値(0以上)、この広告に適した季節(月日)・時間帯(朝、昼、晩、深夜など)・パネル周辺地域の天気(晴れ/くもり/雨、気温、湿度、暑さ指数(WBGT)など)を評価するための合致度データ(整数値)
【0080】
発信条件には、以下の情報が含まれる。
【0081】
配信費用:この広告主が負担できる最大の1回あたりの広告費を示す配信上限料金、この広告に対して広告管理会社が判断した相応しくない度合(バイアス強度数値)
【0082】
対象パネル:この広告を配信するパネルに必要な購入履歴回数や合計購入金額情報などの要件
【0083】
上記の通り、パネルデータ410はパネルごとの操作履歴を蓄積しており、広告データ400は表示されるパネル100との適合性を高めるための属性情報が多数登録されている。広告配信システム300は、これらのデータを一括管理することにより、パネルと広告の最適なマッチングを追求していく。
【0084】
図8は、実施の形態1の変形例に係る広告配信システム300の機能構成を示すブロック図である。
【0085】
広告配信システム300は、多数のパネル100(パネルA、パネルB、パネルC、・・・)と接続され、それら個々のパネル100の表示画面を制御するパネル制御部303を備える。このパネル制御部303は、各パネルに対する操作を受け取り、それに応じて適切なコンテンツに表示画面を更新する機能だけでなく、前述のパネルデータ410をその操作に応じて適宜更新して、パネルデータベース307に記録する機能も有する。
【0086】
一方で、広告配信システム300は、様々な広告主(広告主A、広告主B、広告主C、・・・)の端末500と接続され、広告登録を受け付ける広告登録部304を備える。この広告登録部304は、各広告主の端末500から広告に関する情報を受け取り、広告データ400として広告データベース309に新規登録する機能を有する。また、広告登録部304は、広告主の口座にアクセスして未回収分の広告費を徴収する機能も有する。
【0087】
広告データベース309に登録されたばかりの広告データ400には、その広告の素材属性が未設定である。広告評価部306は、広告管理会社、第三者機関、又はコンテンツの表現を高精度に判断可能な画像処理システムにより、広告の表現を評価して数値化された結果を広告データ400に追記する。これにより、広告データ400が完成し、新たな広告候補として広告配信システム300に認識される。
【0088】
広告決定部305は、パネルデータベース307及び広告データベース309に加えて、当該パネルが設置された地域の時刻及び天気情報が格納された時刻・天気データベース308にアクセスして、どのパネルに対して、どのような条件で、どの広告を提示するべきかを決定する機能を有する。
【0089】
また、広告決定部305は、決定された条件(時刻など)に従って、決定した広告に関する情報を広告データベース309から読み取り、パネル制御部303に対して、対象パネル情報や表示条件の情報と共に送信する。これを受け取ったパネル制御部303は、指定された条件に沿って広告が表示されるようにパネル100を制御する。
【0090】
これらの広告配信システム300の各機能ブロックは、プロセッサ301及び/又はメモリ302によって実現される。例えば、メモリ302に格納されたインストラクション及び/又はソフトウェアプログラムが実行されたときに、プロセッサ301は、各機能ブロックの機能を実現する。なお、プロセッサ301及びメモリ302は、1つの装置に実装されてもよいし、複数の装置に分散して実装されてもよい。また、広告配信システム300の各機能ブロックは、専用の電子回路によって実現されてもよい。
【0091】
図9Aは、実施の形態1の変形例における過去のパネル操作履歴と配信条件(広告費)の基本費用との関係の例を示す。
【0092】
図9Aでは、例えば、6:00-12:00までの朝の時間帯で、過去にこのパネルを介して購入が発生した度合が定量的指標として50である。この購入発生度合は、午後の時間帯(12:00-18:00)で100となり、夜の時間帯(18:00-24:00)で500と最大となり、深夜の時間帯(24:00-6:00)で0と最小となっている。
【0093】
購入発生度合とは、その時間枠の中で過去に商品・サービスを購入した合計金額を、その時間枠内の延べ利用時間で割り、それに所定の係数を掛けて得られる数値指標である。この値が大きいことはその時間枠で過去によく購入されている(購入された金額の合計が大きい)ということを意味している。もちろん、逆に小さい場合には、あまりその時間枠では購入履歴がないということである。
【0094】
言い換えれば、この購入発生度合が高い時間枠では、そのパネルを介して商品・サービスが購入される可能性が高いと言える。よって、その時間枠は広告費が高くなるようにされてもよい。
【0095】
図9Aでは、標準的な基本費用(C0)は、夫々の時間帯において、広告配信システム300が設定した最低金額であるMinC0にその時間枠の購入発生度合を足した値で算出されてもよい。その場合、C0は、時間帯に応じて変化してもよい。
【0096】
同様に、より高額な基本費用(C1)に対しても、夫々の時間帯において、広告配信システム300が設定した最低金額であるMinC1にその時間枠の購入発生度合を足した値で算出されてもよい。その場合、C1は、時間帯に応じて変化してもよい。
【0097】
このように、図9Aでは、基本費用は、屋内空間に配置されたパネル100による購入の発生度合に基づいて修正される。広告配信システム300は、パネル100ごとに、過去の購入合計金額を時間枠ごとに集計して、その時間枠ごとに広告費の基本費用を算出することで、経済合理性を保った形で基本費用を設定することができる。
【0098】
なお、上記説明では過去の購入合計金額を用いたが、これに限らず、過去の購入回数、又は過去の購入平均金額、又は過去一定期間内での購入合計金額、又は過去一定期間内での購入回数、又は過去一定期間内での購入平均金額、又は過去の同時期(例えば1年前の同日を含む数日間)での購入合計金額、又は過去の同時期での購入回数、又は過去の同時期での購入平均金額などを用いてもよい。
【0099】
本変形例に係る広告配信システム300は、広告が表示されるパネル100、又は、パネル100が設置された住空間で商品又はサービスの購入が起こり易い時間帯で、その購入の発生確率に応じて広告費(の基本費用)を高くすることができる。
【0100】
図9Bは、実施の形態1の変形例におけるインターネット上のユーザの反応情報と基本費用との関係の例を示す。ここでは、反応情報は、感情分析(Sentiment Analysis)の結果を示す。図9Bでは、広告の内容に関する用語である「自動車」に対するインターネット上でのユーザの発言を抽出し、その発言がポジティブ又はネガティブであるのかを集計している。例えば、発言がポジティブ又はネガティブであるのかは、所定の期間毎に集計される。図9Bの例では、発言がポジティブ又はネガティブであるのかは、1カ月毎に集計されている。期間は、1日、1週間、3カ月間などの単位で設定してもよい。インターネット上のユーザの発言とは、ソーシャルネットワークサービスへの投稿、ニュース記事などを含む。反応情報は、複数の用語と、それぞれの用語への感情分析結果とが対応付けられた関係を含む。感情分析結果は、ポジティブ、ネガティブ、またはポジティブまたはネガティブのいずれでもないである。反応情報は、所定以上の回数の発言が集計された用語のみを含んでもよい。または、反応情報は、ネガティブな発言の回数がポジティブの発言の回数よりも多い用語のみを含んでもよい。
【0101】
図9Bにおいて、ポジティブな発言又はネガティブな発言であるか否かは、「自動車」の用語を含むインターネット上の文章を抽出し、その文章にポジティブな形容詞又はネガティブな形容詞が含まれているか否かに応じて判断される。ポジティブな意味を有する形容詞又はネガティブな意味を有する形容詞は、あらかじめ設定され、広告配信システム300が利用可能なメモリに記録される。
【0102】
基本費用については、図9Aと同様に設定し得る。例えば、標準的な基本費用(C0)は、夫々の期間において、広告配信システム300が設定した最低金額であるMinC0にその期間のネガティブな発言の発生度合を足した値で算出されてもよい。その場合、C0は、期間に応じて変化してもよい。ネガティブな発言の発生度合は、ネガティブな発言の回数/(ポジティブな発言の回数+ネガティブな発言の回数)で表現される。
【0103】
同様に、より高額な基本費用(C1)に対しても、夫々の期間において、広告配信システム300が設定した最低金額であるMinC1にその期間のネガティブな発言の発生度合を足した値で算出されてもよい。その場合、C1は、期間に応じて変化してもよい。例えば、広告に含まれている複数の用語が含まれている。広告に反応情報に含まれる複数の用語が含まれている場合、用語毎の標準的な基本費用(C0、C1)を算出され、その平均値が用いられてもよい。または、ネガティブな発言の発生度合の高い上位の用語の標準的な基本費用(C0、C1)が用いられてもよい。
【0104】
広告は、ネガティブな発言の発生度合が高い単語を有する場合、住人は、通常生活する中で目に触れる可能性が高いが、悪い印象を持っている内容が含まれている可能性がある。そのような印象を与える内容を住人に提供することは、広告が住人に適合しないだけでなく、システムに対して悪い印象を与える可能性がある。したがって、標準的な基本費用を高く設定されることで、広告主が、高い費用を払ってでも住人に提供したい広告となるため、住人に適合し、かつ住人に悪い影響を与える可能性が低いと考えることができる。
【0105】
また、ネガティブな発言の発生度合が高い単語を有する広告が住民に提供されることで、住民が広告主にも悪い印象を持ち、広告主に悪影響を及ぼす可能性がある。広告主がネガティブな発言の回数が多い用語を意図せず利用することになったような場合でも、広告主が設定する配信上限料金を超えるように、高い基本費用(C1)を設定することにより、広告の配信を停止することができる。
【0106】
以上のように、図9Bでは、基本費用は、広告の内容に関する用語に対するネットワーク上の感情分析の結果に基づいて修正される。例えば、ネットワーク上の感情分析の結果においてネガティブの発生度合が増加するほど基本費用が増加するように基本費用が修正されるが、これに限定されない。例えば、ネットワーク上の感情分析の結果においてポジティブの発生度合が増加するほど基本費用が減少するように基本費用が修正されてもよい。また、ポジティブ及びネガティブの発生度合の両方が用いられてもよい。または、ポジティブおよびネガティブな発言の発生度合に変えて、ポジティブな発言の回数またはネガティブの発生回数が用いられてもよい。 ここで、広告の内容に関する用語としては、例えば、広告対象を示す用語、広告に現れる人及び/又は場所を示す用語、広告主を示す用語、又は、これらの任意の組み合わせを用いることができるが、これに限定されない。
【0107】
図10は、実施の形態1の変形例におけるパネル及び広告の属性の適合性と広告費との関係の一例を示す。
【0108】
図10では、パネルデータ410の受信条件に含まれる許諾属性に設定されている暴力・宗教・成人向けに関するフィルタ強度の値は、それぞれ、-5、-3、-3である。このフィルタ強度の値が小さいことは、その属性に対してパネルの利用者が強く否定的な印象を持っていることを表している。言い換えれば、このフィルタ強度の値が小さい属性を有する広告や情報を受け取りたくないというパネル利用者の意向が数値化して表現されている。
【0109】
続く、季節、時間帯及び天気については、パネルのデフォルト値である1がそれぞれ設定されている。
【0110】
このようなパネルに対して、3つの広告を例にとり、整合性を確かめる。
【0111】
最初の広告Aでは、その広告データの素材属性にて暴力・宗教・成人向けに関するレベルが5、0、3と設定されている。この値が大きいということは、その広告のその属性のレベルが高いということを意味する。つまり、図10は、広告Aが、暴力性がとても高く、それに伴い成人向けと判断されているが、宗教性はないと判断される表現を含んでいることを示している。
【0112】
また、季節、時間帯及び天気との合致度では、0、-4、0と設定されており、季節や天気との相関性はないが、時間帯が広告配信の予定時刻である17:00とは合わないと評価されていることを意味している。
【0113】
広告Aは、暴力性が高く成人向けと判断されているため、17時では子供が見る可能性があるとしてこの時間帯との合致度が-4と設定されている。
【0114】
広告データ400では、このように季節、時間帯及び天気に関して、細かく日付及び時刻に対して合致度が与えられている。図示していないが、広告データ400では、例えば、夕方17:00の時間帯に対する合致度は-4だが、深夜02:00の時間帯に対する合致度は5、朝8:00の時間帯に対する合致度は-8などと細かく設定されており、広告配信の時刻に応じて合致度が決定される。
【0115】
広告決定部305は、このパネルと広告Aとの整合性(マッチングスコア)を測るために、それぞれの属性値ごとに係数を乗算して、その乗算結果を合計することで、マッチングスコアを計算する。つまり、広告Aの場合は、以下のようにマッチングスコアが計算されることになる。
【0116】
広告Aのマッチングスコア=-5*5-3*0-3*3+1*0+1*(-4)+1*0=-38
【0117】
広告Aの配信条件(広告費)を構成する基本費用は、広告Aが暴力的で成人向けの表現を含むためC1となる。広告配信会社のバイアス強度はC2と評価されており、それがそのまま追加費用とすると、広告費はC1+C2と決定される。
【0118】
広告Aの広告主が設定した配信上限料金はP1であるので、この広告Aが配信される広告候補として残るためには、P1≧C1+C2でなければならない。P1<C1+C2であれば、広告Aは広告候補から除外される。
【0119】
同様に、広告B、広告Cのマッチングスコア、配信条件(広告費)が計算される。ここでは、マッチングスコアを、暴力性、宗教性、成人向け、季節、時間帯、及び天気の6つの属性情報から計算しているが、本開示はこれに限る訳ではなく、この中の一部だけを利用してもよいし、ここに記載以外の属性情報を利用してもよい。
【0120】
例えば、広告配信する時刻が8月3日の17:00であって、その時のパネル設置地域の天気が晴れで暑さ指数(WBGT)が32度である場合に、P1≧C1+C2、P2≧C0、P3<C0であると仮定すると、マッチングスコアが最も高い広告(広告Bと広告C)の中から、最も発信条件(広告費)が高く、かつ発信条件(広告費)が配信上限料金以下である広告Bが選択される。
【0121】
逆に、最も発信条件(広告費)が高い広告の中から、最もマッチングスコアが高い広告を選ばれてもよく、この場合広告Aが選択される。
【0122】
広告選択の基準として、マッチングスコア及び発信条件(広告費)のどちらか最高の広告を候補とせずに、それぞれに重み係数を掛けた値の合計値が高い広告が選択されてもよい。また、さらにマッチングスコア、発信条件(広告費)及び配信上限料金に重み係数を掛けた値の合計値が高い広告が選択されてもよい。
【0123】
言い換えれば、マッチングスコアと発信条件(広告費)との2つのパラメータを用いて、配信する広告が選択されてもよいし、マッチングスコアと発信条件(広告費)と配信上限料金との3つのパラメータを用いて、配信する広告が選択されてもよい。
【0124】
また、配信上限料金の代わりに、配信上限料金と広告費との差分値が用いられてもよい。
【0125】
図11は、実施の形態1の変形例において、配信する広告を選択する処理を示すフローチャートである。
【0126】
図11に示すように、広告決定部305は、特定のパネルに対する広告を決定するために、その特定のパネルに関するパネルデータ410と各広告の広告データ400を読み出す(S210)。その後、広告決定部305は、前述のようにそのパネルに対する各広告のマッチングスコアを計算する(S220)。さらに、広告決定部305は、広告ごとに配信条件(広告費)が幾らになるのかを広告配信会社のバイアス強度を用いて計算する(S230)。つまり、広告決定部305は、各広告の追加費用を計算して、広告費(=基本費用+追加費用)を算出する。広告決定部305は、広告費が配信上限料金以下となる広告候補群を特定し(S240)、その特定された広告候補群の中から少なくともマッチングスコアと広告費とを用いて、パネルに配信する広告を選択することで(S250)、広告の選択プロセスを終了する。
【0127】
なお、広告には購入ボタン110のようなリンク情報が同時に配信される場合もある。
【0128】
このような広告では広告視聴時に即座に簡単に購入ができるため、商品・サービスの宣伝効果が高い。パネルデータ410には利用者決済情報(クレジットカード情報)及び利用者情報(氏名、住所、電話番号)などが含まれており、広告配信システム300は、ユーザがパネルの購入ボタン(110)を押すだけで購入決済が完了する仕組みも提供可能である。
【0129】
そのため、広告配信会社のバイアス強度の代わりに、URLリンク埋込がある場合に追加費用(C3)が基本費用に加算されてもよい。
【0130】
また、追加費用として、広告配信会社のバイアス強度(C2)とURLリンク埋込(C3)の両方が同時に適用されてもよい。例えば、広告配信会社が広告サービスと整合しない(例えば、暴力性が高い表現が含まれている)としてバイアス強度(C2)に応じた追加費用(C2)が適用されると同時に、広告にリンク情報が埋め込まれているためにURLリンク埋込追加費用(C3)が適用されてもよい。この場合の発信条件(広告費)は、C1+C2+C3と計算される。この例を、図12を参照しながら説明する。図12では、図10と同じケースを想定しているためマッチングスコアや配信上限料金に変わりはないが、URLリンク埋込の有無に応じて、発信条件(広告費)が異なっている。具体的には、広告Aでは、基本費用(C1)及びバイアス強度の追加費用(C2)に加えて、URLリンク埋込の追加費用(C3)が広告費に加算されている。
【0131】
以上のように、本変形例に係る広告配信システム300は、(j)屋内空間に配置されたパネル100による購入の発生度合に基づいて基本費用を修正し、(h)では、修正された基本費用及び算出された追加費用の合計に基づいて、複数の広告の中から出力する広告を決定することができる。
【0132】
これによれば、広告の配信が広告対象の購入につながる可能性に応じて基本費用を修正することができ、経済合理性に適した配信費用で広告を配信することができる。
【0133】
また、本変形例に係る広告配信システム300は、(k)第1の広告の内容に関する用語に対するネットワーク上の感情分析の結果に基づいて基本費用を修正し、(h)では、修正された基本費用及び算出された追加費用の合計に基づいて、複数の広告の中から出力する広告を決定することができる。
【0134】
これによれば、ネットワーク上の感情分析の結果に基づいて基本費用を修正することができ、ネットワーク上の感情に適した広告を適切な配信費用で配信することができる。例えば、ネットワーク上の感情がポジティブである用語に関する広告の基本費用を増加させることもでき、より広告効果を高めることができる。
【0135】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、屋内空間に配置されたセンサで取得された屋内空間の属性、又はメモリに記憶された屋内空間の属性と、広告の属性との適合度合に応じて広告配信の価格が決定される点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について、上記実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0136】
図13は、実施の形態2に係る広告配信サービスの全体像を表す。本実施の形態では、リビングルーム200内にセンサ104が配置されている。センサ104は、リビングルーム200内の物理量を検出する。センサ104は、例えばイメージセンサであり、リビングルーム200内の画像を撮影する。なお、センサ104は、イメージセンサに限定されない。センサ104は、例えば赤外線センサ、可視光センサ、超音波センサ、重量センサ、又は、これらの任意の組み合わせであってもよい。
【0137】
本実施の形態に係る広告配信システム300Aは、プロセッサ301A及びメモリ302Aを備える。
【0138】
プロセッサ301Aは、メモリ302Aに格納されたインストラクション及び/又はソフトウェアプログラムを実行するための電子回路である。プロセッサ301Aは、メモリ302Aに格納されたインストラクション及び/又はソフトウェアプログラムを実行したときに、本実施の形態に係る広告配信サービスを実現する。プロセッサ301Aによって行われる各種処理については、図15を用いて後述する。
【0139】
メモリ302Aは、例えば半導体メモリ及び/又はディスクドライブにより実装される。メモリ302Aには、屋内空間データ420と広告データ430とが格納されている。
【0140】
屋内空間データ420は、例えば屋内空間に配置されたセンサ104で取得されたセンサ値に基づいて生成される。屋内空間とは、住空間を包含する用語であり、住空間に加えて、オフィス空間及び商業施設内の店舗、休憩場所及びフードコートを含む。屋内空間データ420は、例えば図14Aに示すように、屋内空間の状況を示す各種情報を屋内空間の属性として有する。図14Aでは、屋内空間データ420は、センサ104で検出されたユーザの識別情報と、屋内空間に関する情報(居住地域)と、屋内空間のユーザの個人情報(性別、年齢、世帯構成、職業)と、屋内空間内の状態情報(時間帯、滞在場所、使用機器・住設(住宅設備)、行動)とを含む。
【0141】
ここでは、世帯構成は、屋内空間内で居住する人の中に未就学の子供が含まれるか否かを示す。また、時間帯は、1日の中の時間区分を示す。滞在場所は、ユーザが滞在している屋内空間を特定する情報である。使用機器・住設は、ユーザが使用している機器又は住宅設備を示す。行動は、テレビを視聴している、食事をしている、インターネットを利用している等のユーザの行動を示す。屋内空間内の状態情報は、センサ104の出力信号に基づいて取得される。
【0142】
広告データ430は、複数の広告の各々の属性に関する情報を含む。ここでは、広告の属性は、広告の配信に適した屋内空間の属性を表す。広告データ430は、図14Bに示すように、屋内空間に関する情報(居住地域)と、屋内空間のユーザの個人情報(性別、年齢、世帯構成、職業)と、屋内空間内の状態情報(時間帯、滞在場所、使用機器・住設(住宅設備)、行動)とを含む。図14Bでは、広告Aは、例えば、X月X日の門真市のショッピングモールでの子供向けのイベントに関する広告である。このような広告Aに対して、広告の配信に適した屋内空間の属性として、居住地域「門真市」、年齢「30代、40代、50代」、世帯構成「未就学子供有」、時間帯「夜22:00~24:00」、使用機器・住設「端末」、行動「インターネット」が設定されている。
【0143】
ここで、以上のように構成された広告配信システム300Aの処理について図15図18を参照しながら説明する。図15は、実施の形態2に係る広告配信システム300Aの処理を示すフローチャートである。
【0144】
図15に示すように、プロセッサ301Aは、まず、屋内空間に配置されたセンサ104で取得された屋内空間の属性、又はメモリ302Aに記憶された屋内空間の属性を取得する(S310)。例えば、プロセッサ301Aは、屋内空間データ420を参照して屋内空間の属性を取得する。
【0145】
続いて、プロセッサ301Aは、複数の広告に含まれる第1の広告の入札価格を受け付ける(S320)。例えば、プロセッサ301Aは、第1の広告の入札価格として、広告主Aの端末500から広告Aの入札価格を受け付ける。入札価格とは、広告主が広告の配信に対して支払う意思がある標準的な価格である。
【0146】
プロセッサ301Aは、メモリ302Aに記憶されている第1の広告の属性と、ステップS310において取得された屋内空間の属性との適合度合に応じて、入札価格を変更した評価価格を計算する(S330)。例えば、プロセッサ301Aは、屋内空間に配信される広告の評価価格を計算するために、複数の広告の各々について、当該広告の属性と屋内空間の属性との適合度合の値を計算する。そして、プロセッサ301Aは、計算された適合度合の値に基づいて、複数の広告の各々の評価価格を計算する。
【0147】
ここで、適合度合の値の計算例を、図16を参照しながら説明する。図16は、実施の形態2における適合度合の一例を説明するための表である。図16では、ユーザAの屋内空間の属性と広告Aの属性とのマッチングスコアが表されている。ここでは、マッチングスコアの合計値が、屋内空間の属性と広告の属性との適合度合の値に相当する。
【0148】
マッチングスコアの計算には、マッチングフィルタが用いられる。マッチングフィルタは、例えばメモリ302Aに予め格納され、複数の属性に対応する係数のセットを有する。なお、マッチングフィルタは、複数の広告で共用されてもよいし、複数の広告で個別に用いられてもよい。また、フィルタ係数は、整数値に限定されず、小数値が用いられてもよい。
【0149】
屋内空間の属性と広告の属性とが適合する場合に、属性に対応するマッチングフィルタの係数がマッチングスコアに反映される。例えば、居住地域において、ユーザAの屋内空間の属性「門真市」と広告Aの属性「門真市」とが一致するので、マッチングフィルタの係数「10」がマッチングスコアに採用されている。このように属性ごとに屋内空間と広告との間で属性が一致するか否かが判定され、屋内空間と広告との間で属性が一致する場合に、属性に対応する係数がマッチングスコアに反映される。屋内空間の属性と広告の属性との適合度合の値として、このようにして得られるマッチングスコアの合計値を用いることができる。
【0150】
次に、このようにして得られたマッチングスコアの合計値に基づく評価価格の計算について、図17及び図18を参照しながら説明する。図17は、実施の形態2におけるマッチングスコアと評価価格との対応関係の一例を説明するための表である。図18は、実施の形態2における評価価格の一例を説明するための表である。
【0151】
図17では、マッチングスコアの範囲と評価価格とが対応付けられている。ここでは、評価価格は、入札価格を必要に応じて修正することで得られる価格である。つまり、評価価格は、入札価格を必要に応じて変更した価格である。
【0152】
例えば、図17では、マッチングスコアの合計値が20以上であれば、入札価格に予め定められた価格αを加算した結果が評価価格として算出される。また例えば、マッチングスコアの合計値が10以上20未満であれば、入札価格がそのまま評価価格として用いられる。また例えば、マッチングスコアの合計値が0以上10未満であれば、入札価格から予め定められた価格βを減算した結果が評価価格として算出される。また例えば、マッチングスコアの合計値が0未満であれば、評価価格は設定されない。
【0153】
以上のように、本実施の形態では、マッチングスコアの合計値(つまり屋内空間の属性と広告の属性との適合度合の値)の増加に対して評価価格が非減少となる関係を用いて評価価格が計算される。なお、図17の表は、マッチングスコアと評価価格との関係の一例であり、これに限定されない。
【0154】
このようなマッチングスコアと評価価格との関係に基づいて、マッチングスコア及び入札価格から評価価格が計算される。図18では、3つの広告(広告A、広告B及び広告C)について、図17を参照してマッチングスコア及び入札価格から評価価格が計算されている。例えば、広告Aでは、マッチングスコアが「16」であるので、入札価格「110」がそのまま評価価格として採用されている。広告Bでは、マッチングスコアが「20」であるので、入札価格「100」にα(=20)が加算されて「120」が評価価格として計算されている。広告Cでは、マッチングスコアが「-5」であるので、評価価格が設定されていない。
【0155】
ここで、図15のフローチャートの説明に戻る。プロセッサ301Aは、計算された評価価格に基づいて、複数の広告の中から屋内空間に出力する広告を決定する(S340)。例えば、プロセッサ301Aは、複数の広告の中から最も評価価格が高い広告を選択する。なお、広告の決定方法は、これに限定されない。例えば、広告の決定では、評価価格に加えて、実施の形態1と同様に、配信上限料金及び/又はマッチングスコアが用いられてもよい。
【0156】
次に、プロセッサ301Aは、決定された広告を屋内空間に出力し(S350)、処理を終了する。例えば、プロセッサ301Aは、屋内空間内に配置されたパネル100に、決定された広告を当該パネル100に表示する指示を出力する。これにより、屋内空間に広告が出力される。例えば、このように広告が屋内空間に出力された後に、広告配信費用として、広告の入札価格が広告主に請求される。これにより、ユーザに適合する広告は、入札価格が低い場合でも評価価格が高くなり、広告が出力され得る。よって、評価価格を用いることにより、広告主に対して、ユーザに適合する条件での広告の出力を誘導することが可能となる。その結果、ユーザは、適合度の高い広告を閲覧することができる可能性が高くなる。
【0157】
以上のように、本実施の形態に係る広告配信システム300Aは、屋内空間に広告を配信する広告配信システム300Aであって、プロセッサ301Aと、複数の広告の各々の属性に関する情報が記憶されているメモリ302Aとを備え、プロセッサ301Aは、(a)屋内空間に配置されたセンサ104で取得された屋内空間の属性、又はメモリ302Aに記憶された屋内空間の属性を取得し、(b)複数の広告に含まれる第1の広告の入札価格を受け付け、(c)メモリ302Aに記憶されている第1の広告の属性と、屋内空間の属性との適合度合に応じて、入札価格を変更した評価価格を計算し、(d)評価価格に基づいて、複数の広告の中から出力する広告を決定し、(e)決定した広告を屋内空間に出力する指示を出力することができる。
【0158】
これによれば、広告の属性と屋内空間の属性との適合度合に応じて計算された評価価格に基づいて広告を決定することができる。したがって、屋内空間の状況と適合性が高い広告を当該屋内空間に出力することができる。
【0159】
また、本実施の形態に係る広告配信システム300Aにおいて、第1の広告及び屋内空間の各々は、複数の属性を有し、上記(c)では、複数の属性の各々について、第1の広告と屋内空間との間で当該属性が一致するか否かを判定し、当該属性が一致する場合に適合度合の値を増加又は減少させてもよい。
【0160】
これによれば、複数の属性を用いて適合度合の値を増加又は減少させることができ、より高い精度で適合度合の値を計算することができる。
【0161】
また、本実施の形態に係る広告配信システム300Aにおいて、複数の属性の各々には係数が予め対応付けられており、上記(c)では、当該属性が一致する場合に、当該属性に対応する係数を用いて、適合度合の値を増加又は減少させてもよい。
【0162】
これによれば、複数の属性の各々に対応付けられた係数を用いて適合度合の値を計算することができる。したがって、適合度合に対する属性の影響度に応じた値を係数として用いることができ、属性に対して重み付けすることができる。したがって、より高い精度で適合度合の値を計算することができる。
【0163】
また、プロセッサ301Aは、S310とS320とを入れ替えても処理を実行してもよい。また、S320において、プロセッサ301Aは、あらかじめ受け付けられた第1の広告の入札価格を、メモリから取得してもよい。
【0164】
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について図面を参照しながら説明する。
【0165】
上記実施の形態2で示した屋内空間及び広告の属性は一例であり、これに限定されない。例えば、屋内空間における子供の存在を示す子供の存在が属性として用いられてもよい。例えば、図19では、子供の存在に対して「-3」のフィルタ係数が適用されているので、子供が存在する屋内空間に対する広告Aのマッチングスコアが減少する。また例えば、属性として、複数のユーザの存在が用いられてもよい。屋内空間で複数のユーザが生活する場合において、一部の広告は、所定のユーザに対しては適合度が高く、かつ、そのユーザは他のユーザに見られたくない属性を有する。例えば、所定のユーザが趣味に関わり、かつ、他のユーザに興味が薄い物品またはサービスの広告である。例えば、30代~60代の男性のユーザに対して、ゴルフのクラブの広告、ゴルフ場の利用の広告が対象となり得る。例えば、20代~50代の女性のユーザに対して、バッグの広告、エステの利用の広告が対象となり得る。
【0166】
また例えば、上記実施の形態2における属性の組み合わせが1つの属性として用いられてもよい。例えば、図20では、時間帯と行動との組み合わせが1つの属性として用いられている。具体的には、時間帯が「朝」であり、行動が「料理」である場合に、「-3」のフィルタ係数が適用されている。
【0167】
また、上記実施の形態2で示した屋内空間データは、一例であり、これに限定されない。例えば、屋内空間データは、ユーザ単位ではなく、図21に示すように屋内空間に居住するファミリー単位で管理されてもよい。この場合、ファミリーのいずれかの構成員の属性が広告の属性と一致すれば、フィルタ係数がマッチングスコアに反映されてもよい。また、屋内空間データは、パネル単位で管理されてもよい。
【0168】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、広告配信サービスを提供するサービス提供システムのサービスの類型について説明する。
【0169】
[提供するサービスの全体像]
図22Aには、実施の形態3におけるサービス提供システムの全体像が示されている。
【0170】
グループ1000は、例えば企業、団体、家庭等であり、その規模を問わない。グループ1000には、複数の機器1010に含まれる機器A、機器B及びホームゲートウェイ1020が存在する。例えば、複数の機器1010は、上記各実施の形態におけるパネル100及びテレビ101等に対応する。また、ホームゲートウェイ1020は、上記各実施の形態における無線ルーター103に対応する。複数の機器1010には、インターネットと接続可能な機器(例えば、スマートフォン、PC、TV等)もあれば、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器(例えば、照明、洗濯機等)も存在する。それ自身ではインターネットと接続不可能な機器であっても、ホームゲートウェイ1020を介してインターネットと接続可能となる機器が存在してもよい。またグループ1000には複数の機器1010を使用するユーザ990Aが存在する。
【0171】
データセンタ運営会社1100には、クラウドサーバ1110が存在する。クラウドサーバ1110とはインターネットを介して様々な機器と連携する仮想化サーバである。クラウドサーバ1110は、主に通常のデータベース管理ツール等で扱うことが困難な巨大なデータ(ビッグデータ)等を管理する。データセンタ運営会社1100は、データ管理やクラウドサーバ1110の管理、それらを行うデータセンタの運営等を行っている。データセンタ運営会社1100が行っている役務については詳細を後述する。ここで、データセンタ運営会社1100は、データ管理やクラウドサーバ1110の運営等のみを行っている会社に限らない。例えば複数の機器1010のうちの1つの機器を開発・製造している機器メーカが、併せてデータ管理やクラウドサーバ1110の管理等を行っている場合は、機器メーカがデータセンタ運営会社1100に該当する(図22B)。また、データセンタ運営会社1100は1つの会社に限らない。例えば機器メーカ及び他の管理会社が共同もしくは分担してデータ管理やクラウドサーバ1110の運営を行っている場合は、両者もしくはいずれか一方がデータセンタ運営会社1100に該当するものとする(図22C)。
【0172】
サービスプロバイダ1200は、サーバ1210を保有している。ここで言うサーバ1210とは、その規模は問わず例えば、個人用PC内のメモリ等も含む。また、サービスプロバイダがサーバ1210を保有していない場合もある。例えば、サーバ1210は、上記各実施の形態における広告配信システムに対応する。
【0173】
なお、上記サービスにおいてホームゲートウェイ1020は必須ではない。例えば、クラウドサーバ1110が全てのデータ管理を行っている場合等は、ホームゲートウェイ1020は不要となる。また、家庭内のあらゆる機器がインターネットに接続されている場合のように、それ自身ではインターネットと接続不可能な機器は存在しない場合もある。
【0174】
次に、上記サービスにおける情報の流れを説明する。
【0175】
まず、グループ1000の機器A又は機器Bは、各機器で得られた情報をデータセンタ運営会社1100のクラウドサーバ1110に送信する。クラウドサーバ1110は機器A又は機器Bの情報を集積する(図22Aの(a))。ここで集積される情報は、複数の機器1010の、例えば運転状況や動作日時、動作モード、位置等を示す情報である。例えば、テレビの視聴履歴やレコーダの録画予約情報、洗濯機の運転日時・洗濯物の量、冷蔵庫の開閉日時・開閉回数、冷蔵庫内の食品の量などであるが、これらのものに限らずあらゆる機器から取得が可能なすべての情報をいう。情報は、インターネットを介して複数の機器1010自体から直接クラウドサーバ1110に提供される場合もある。また複数の機器1010から一旦ホームゲートウェイ1020に情報が集積され、ホームゲートウェイ1020からクラウドサーバ1110に提供されてもよい。
【0176】
次に、データセンタ運営会社1100のクラウドサーバ1110は、集積した情報を一定の単位でサービスプロバイダ1200に提供する。ここで、一定の単位は、データセンタ運営会社が集積した情報を整理してサービスプロバイダ1200に提供することのできる単位でもいいし、サービスプロバイダ1200が要求した単位でもいい。一定の単位と記載したが一定でなくてもよく、状況に応じて提供する情報量が変化する場合もある。情報は、必要に応じてサービスプロバイダ1200が保有するサーバ1210に保存される(図22Aの(b))。そして、サービスプロバイダ1200は、情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、ユーザに提供する。提供するユーザは、複数の機器1010を使用するユーザ990Aでもよいし、外部のユーザ990Bでもよい。ユーザへのサービス提供方法は、例えば、サービスプロバイダから直接ユーザへ提供されてもよい(図22Aの(e)、(f))。また、ユーザへのサービス提供方法は、例えば、データセンタ運営会社1100のクラウドサーバ1110を再度経由して、ユーザに提供されてもよい(図22Aの(c)、(d))。また、データセンタ運営会社1100のクラウドサーバ1110が情報をユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、サービスプロバイダ1200に提供してもよい。
【0177】
なお、ユーザ990Aとユーザ990Bとは、別でも同一でもよい。
【0178】
上記態様において説明された技術は、例えば、以下のクラウドサービスの類型において実現されうる。しかし、上記態様において説明された技術が実現される類型はこれに限られるものでない。
【0179】
[サービスの類型1:自社データセンタ型]
図23は、サービスの類型1(自社データセンタ型)を示す。本類型は、サービスプロバイダ1200がグループ1000から情報を取得し、ユーザに対してサービスを提供する類型である。本類型では、サービスプロバイダ1200が、データセンタ運営会社の機能を有している。即ち、サービスプロバイダが、ビッグデータの管理をするクラウドサーバ1110を保有している。したがって、データセンタ運営会社は存在しない。
【0180】
本類型では、サービスプロバイダ1200は、データセンタ903(クラウドサーバ1110)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ1200は、OS902及びアプリケーション901を管理する。サービスプロバイダ1200は、サービスプロバイダ1200が管理するOS902及びアプリケーション901を用いてサービス904の提供を行う。
【0181】
[サービスの類型2:IaaS利用型]
図24は、サービスの類型2(IaaS利用型)を示す。ここでIaaSとはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの略であり、コンピュータシステムを構築及び稼動させるための基盤そのものを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0182】
本類型では、データセンタ運営会社1100がデータセンタ903(クラウドサーバ1110)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ1200は、OS902及びアプリケーション901を管理する。サービスプロバイダ1200は、サービスプロバイダ1200が管理するOS902及びアプリケーション901を用いてサービス904の提供を行う。
【0183】
[サービスの類型3:PaaS利用型]
図25は、サービスの類型3(PaaS利用型)を示す。ここでPaaSとはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略であり、ソフトウエアを構築及び稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
【0184】
本類型では、データセンタ運営会社1100は、OS902を管理し、データセンタ903(クラウドサーバ1110)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ1200は、アプリケーション901を管理する。サービスプロバイダ1200は、データセンタ運営会社が管理するOS902及びサービスプロバイダ1200が管理するアプリケーション901を用いてサービス904の提供を行う。
【0185】
[サービスの類型4:SaaS利用型]
図26は、サービスの類型4(SaaS利用型)を示す。ここでSaaSとはソフトウエア・アズ・ア・サービスの略である。例えばデータセンタ(クラウドサーバ)を保有しているプラットフォーム提供者が提供するアプリケーションを、データセンタ(クラウドサーバ)を保有していない会社・個人(利用者)がインターネットなどのネットワーク経由で使用できる機能を有するクラウドサービス提供モデルである。
【0186】
本類型では、データセンタ運営会社1100は、アプリケーション901を管理し、OS902を管理し、データセンタ903(クラウドサーバ1110)を運営、管理している。また、サービスプロバイダ1200は、データセンタ運営会社1100が管理するOS902及びアプリケーション901を用いてサービス904の提供を行う。
【0187】
以上いずれの類型においても、サービスプロバイダ1200がサービス提供行為を行ったものとする。また例えば、サービスプロバイダもしくはデータセンタ運営会社は、OS、アプリケーションもしくはビッグデータのデータベース等を自ら開発してもよいし、また、第三者に外注させてもよい。
【0188】
(他の実施の形態)
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る広告配信システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0189】
なお、上記実施の形態2では、屋内空間に配置されたセンサでユーザが検出されていたが、これに限定されない。例えば、屋内空間又はパネル100に対してユーザが予め登録されてもよい。登録は、例えばユーザによって行われてもよい。また例えば、所定のルールに従って、屋内空間又はパネル100に対してユーザが自動的に対応付けられてもよい。所定のルールに基づいて、例えば、最年長の人がキッチンに対応付けられ、最年少の人がリビングルームに対応付けられる。
【0190】
なお、リアルタイムにパネル100の前に存在するユーザが検出されてもよいし、過去に検出された情報を利用されてもよい。過去の情報を参照する例として、パネル100に、最も使用回数又は頻度が高いユーザが対応付けられてもよい。累積的な使用回数又は使用頻度が利用されてもよいし、所定期間の使用回数又は使用頻度が利用されてもよい。
【0191】
また、ユーザの検出及びユーザ情報の取得に関するセンサの使用許諾が要求されてもよい。例えば、ユーザの許諾を得た場合にはユーザを検出し、ユーザの許諾が得られない場合には予め登録されたユーザ情報が利用されてもよい。許諾は、パネル100又はスピーカなどを用いてユーザから得ることができる。
【0192】
住空間に存在するユーザごとに、許諾が取得されてもよい。または、所定の年齢以下のユーザの情報は利用しないなど個別の条件が設定されてもよい。センサの使用を許諾したユーザとセンサの使用を許諾していないユーザとが屋内空間に混在する場合、ユーザを識別して、識別したユーザの許諾状況に合わせてユーザ情報が利用されてもよい。また、ユーザが識別できなければ、ユーザが推定されてもよく、ユーザの推定もできない場合はセンサの使用が禁止されてもよい。
【0193】
なお、屋内空間は、住空間に限られない。例えば、複数の商業施設を有する建物内の複数の空間にも適用可能である。複数の空間の例としては、店舗、ユーザが休憩するフリースペース、フードコードなどの食事空間などがあげられる。それぞれの空間に対して、訪問可能性があるユーザの属性を対応付けた情報を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本開示は、屋内空間に対して広告を配信する広告配信システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0195】
100 情報表示端末(パネル)
101 テレビ
102 ソファー
103 無線ルーター
104 センサ
110 購入ボタン
200 リビングルーム
201 家
300、300A 広告配信システム
301、301A プロセッサ
302、302A メモリ
303 パネル制御部
304 広告登録部
305 広告決定部
306 広告評価部
307 パネルデータベース
308 時刻・天気データベース
309 広告データベース
400、430 広告データ
410 パネルデータ
420 屋内空間データ
500 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25
図26