IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大豊工業株式会社の特許一覧 ▶ 日本ガスケット株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-セパレータ 図1
  • 特許-セパレータ 図2
  • 特許-セパレータ 図3
  • 特許-セパレータ 図4
  • 特許-セパレータ 図5
  • 特許-セパレータ 図6
  • 特許-セパレータ 図7
  • 特許-セパレータ 図8
  • 特許-セパレータ 図9
  • 特許-セパレータ 図10
  • 特許-セパレータ 図11
  • 特許-セパレータ 図12
  • 特許-セパレータ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0286 20160101AFI20230502BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/0297 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230502BHJP
【FI】
H01M8/0286
H01M8/0276
H01M8/0297
H01M8/2483
H01M8/10 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021086054
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022178919
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207791
【氏名又は名称】大豊工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000228383
【氏名又は名称】日本ガスケット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】徳増 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】川原 賢大
(72)【発明者】
【氏名】村居 奈生弥
(72)【発明者】
【氏名】内田 健二
(72)【発明者】
【氏名】新井 博之
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-073422(JP,A)
【文献】特開2012-212611(JP,A)
【文献】特開平06-196177(JP,A)
【文献】特開2007-311079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、
前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、
前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、
前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、
を具備し、
前記シール部の少なくとも一部は、
前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して内側にオフセットした位置に形成される、
セパレータ。
【請求項2】
燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、
前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、
前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、
前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、
を具備し、
前記シール部の少なくとも一部は、
前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して外側にオフセットした位置に形成される、
セパレータ。
【請求項3】
燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、
前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、
前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、
前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、
を具備し、
前記シール部は、
第一部分が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して内側にオフセットした位置に形成され、
前記第一部分とは異なる第二部分が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して外側にオフセットした位置に形成される、
セパレータ。
【請求項4】
燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、
前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、
前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、
前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、
を具備し、
前記シール部は、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の両方に設けられ、
前記燃料ガス流路面に形成された前記シール部と、前記酸化ガス流路面に形成された前記シール部と、が互いにオフセットした位置に形成される、
セパレータ。
【請求項5】
前記シール部は、
前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の両方に設けられ、
前記燃料ガス流路面に形成された前記シール部と、前記酸化ガス流路面に形成された前記シール部と、が互いにオフセットした位置に形成される、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記シール部は、
前記接合部の全周に亘って形成される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を構成するセパレータの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池を構成するセパレータの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のセパレータは、第1セパレータ及び第2セパレータを対向させた状態で、第1セパレータ及び第2セパレータの外周部に溶接等を施すことで一体的に接合して形成される。上記セパレータとMEA(電解質膜・電極構造体)とが互いに隣接するように交互に積層されることで、燃料電池が形成される。
【0004】
上記第1セパレータ及び第2セパレータは、各対向面に、上記溶接により形成された接合部に囲まれた領域が形成される。上記接合部に囲まれた領域には、セパレータを冷却するための冷却媒体が供給される。
【0005】
また、上記第1セパレータ及び第2セパレータは、隣接するMEA側を向く面の外周部に、発電のためにMEAに供給される燃料ガスや酸化ガスの漏れを防止するシール部が形成される。セパレータでは、シール部に囲まれた領域においてMEAを用いた発電が行われる。
【0006】
このようなセパレータにおいては、上記接合部やシール部に囲まれた領域の面積を比較的大きくすることで、セパレータの発電効率や冷却効率を向上させることができる。ただし、セパレータ自体の外形を大きくすることは、セパレータの製造コストや燃料電池の設置スペース等の観点から望ましくない。そこで、セパレータ自体の外形を大きくすることなくシール部に囲まれた領域の面積を比較的大きくすることで、面積を有効に利用することができるセパレータが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-186165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、面積を有効に利用することができるセパレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項においては、燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、を具備し、前記シール部の少なくとも一部は、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して内側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0012】
請求項においては、燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、を具備し、前記シール部の少なくとも一部は、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して外側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0013】
請求項においては、燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、を具備し、前記シール部は、第一部分が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して内側にオフセットした位置に形成され、前記第一部分とは異なる第二部分が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部に対して外側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0014】
請求項においては、燃料電池を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜と隣接するように配置される板形状のセパレータであって、前記燃料ガスの流路が形成された燃料ガス流路面を有するアノードセパレータと、前記酸化ガスの流路が形成された酸化ガス流路面を有するカソードセパレータと、前記燃料ガスの流路及び前記酸化ガスの流路を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ及び前記カソードセパレータを互いに接合する接合部と、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の少なくとも一方に設けられ、前記接合部に沿って延びると共に、前記セパレータの厚さ方向に見て前記接合部と重複するように形成されるシール部と、を具備し、前記シール部は、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の両方に設けられ、前記燃料ガス流路面に形成された前記シール部と、前記酸化ガス流路面に形成された前記シール部と、が互いにオフセットした位置に形成されるものである。
【0015】
請求項においては、前記シール部は、前記燃料ガス流路面及び前記酸化ガス流路面の両方に設けられ、前記燃料ガス流路面に形成された前記シール部と、前記酸化ガス流路面に形成された前記シール部と、が互いにオフセットした位置に形成されるものである。
請求項においては、前記シール部は、前記接合部の全周に亘って形成されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項においては、セパレータの面積を有効に利用することができる。また、接合部に囲われる部分の面積を比較的大きくすることができる。
【0019】
請求項においては、セパレータの面積を有効に利用することができる。また、シール部に囲われる部分の面積を比較的大きくすることができる。
【0020】
請求項においては、セパレータの面積を有効に利用することができる。また、第一部分と重複する接合部に囲われる部分の面積を比較的大きくすることができる。
【0021】
請求項においては、セパレータの面積を有効に利用することができる。また、アノードセパレータに形成されたシール部と、カソードセパレータに形成されたシール部と、のうちの一方により囲われた部分の面積を比較的大きくすることができる。
【0022】
請求項においては、アノードセパレータに形成されたシール部と、カソードセパレータに形成されたシール部と、のうちの一方により囲われた部分の面積を比較的大きくすることができる。
請求項においては、セパレータの面積をより有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係るセパレータを備える燃料電池を示した斜視図。
図2】セパレータ及び膜電極接合体を示した分解斜視図。
図3】セパレータを示した分解斜視図。
図4】セパレータを示した背面図。
図5】セパレータを示した正面図。
図6】(a)第一実施形態に係るセパレータを示した側面断面図。(b)比較対象のセパレータを示した側面断面図。
図7】セパレータ及び膜電極接合体を示した側面断面図。
図8】燃料電池を用いた発電の様子を示した模式図。
図9】(a)第一実施形態に係るセパレータを模式的に示した正面図。(b)(a)におけるB1-B1断面図。
図10】(a)本発明の第二実施形態に係るセパレータの一例を模式的に示した正面図。(b)第二実施形態に係るセパレータの他の一例を模式的に示した正面図。(c)第二実施形態に係るセパレータの更に他の一例を模式的に示した正面図。(d)(c)におけるB2-B2断面図。
図11】(a)本発明の第三実施形態に係るセパレータの一例を模式的に示した正面図。(b)第三実施形態に係るセパレータの他の一例を模式的に示した正面図。(c)第三実施形態に係るセパレータの更に他の一例を模式的に示した正面図。(d)(c)におけるB3-B3断面図。
図12】(a)本発明の第四実施形態に係るセパレータの一例を模式的に示した正面図。(b)第四実施形態に係るセパレータの他の一例を模式的に示した正面図。(c)本発明の第五実施形態に係るセパレータを模式的に示した正面図。(d)(c)におけるB4-B4断面図。
図13】本発明の第六実施形態に係るセパレータ及び膜電極接合体を模式的に示した側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0025】
まず、図1及び図8を用いて、本発明の第一実施形態に係るセパレータ100が設けられる燃料電池1の概略について説明する。
【0026】
燃料電池1は、電気化学反応により発電を行うものである。燃料電池1は、例えば車両に搭載されたモータ等を駆動させる電源として用いられる。燃料電池1は、水素を含む気体である燃料ガスと、酸素を含む気体である酸化ガスと、を用いた電気化学反応により発電を行う(図8を参照)。燃料電池1としては、例えば高分子電解質型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)等の燃料電池を採用可能である。
【0027】
燃料電池1は、電気化学反応による発電の基本単位となる単セル(単位セル)A(図8を参照)を積層することで形成される。燃料電池1は、図1に示すように、上記単セルAを複数個積層すると共に、積層された単セルAの積層方向の両端部をエンドフランジ2で挟み、締結ボルト3により締結することで一体化した構造体(燃料電池スタック)として形成される。
【0028】
単セルAは、図8に示すように、電解質膜部210をアノード220及びカソード230で挟んだ膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)200を、更にアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120で挟んで形成される(図7も参照)。発電に用いられる燃料ガスは、アノードセパレータ110を介して膜電極接合体200に供給され、酸化ガスは、カソードセパレータ120を介して膜電極接合体200に供給される。なお、アノードセパレータ110、カソードセパレータ120及び膜電極接合体200の詳細な説明は後述する。
【0029】
本実施形態では、燃料電池1を、単セルAの積層方向を水平方向(前後方向)に向けた略直方体形状に形成している。燃料電池1には、燃料ガスと、酸化ガスと、セパレータ100を冷却するための冷却媒体(例えば水等)と、が適宜の供給ライン(不図示)を介して供給される。また、燃料電池1内に供給され、発電や冷却に使用された燃料ガス、酸化ガス及び冷却媒体は、適宜の排出ライン(不図示)を介して排出される。
【0030】
本実施形態においては、前記積層方向に互いに隣接する単セルAのうち、互いに向き合う一方の単セルAのアノードセパレータ110と、他方の単セルAのカソードセパレータ120とが接合され、一体化したひとつの部材としてセパレータ100(バイポーラプレートと呼ぶ事もある)が形成される(図7を参照)。以下では、図2から図9までを用いてセパレータ100の構成について詳細に説明する。
【0031】
セパレータ100は、燃料電池1に供給された燃料ガス及び酸化ガスを膜電極接合体200へ導くものである。セパレータ100には、冷却媒体が供給される。図2から図4までに示すように、セパレータ100は、正面視で左右方向に長尺な略矩形状の板形状に形成される。図2に示すように、セパレータ100は、膜電極接合体200と隣接するように配置される。セパレータ100は、酸性雰囲気下での耐食性及び電気伝導性に優れた材料で形成される。セパレータ100の材料としては、ステンレスやチタン等の金属材料を採用可能である。セパレータ100は、図3に示すように、それぞれ板形状であるアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を接合することで形成される。セパレータ100は、アノードセパレータ110、カソードセパレータ120、接合部130、外周シール部140及び開口シール部150を具備する。
【0032】
図3図4図6(a)及び図7に示すアノードセパレータ110は、燃料ガスを膜電極接合体200(アノード220)へ導くものである。アノードセパレータ110は、セパレータ100の厚さ方向一方側(後方側)を構成する。アノードセパレータ110は、板形状の金属材料に適宜プレス加工を施すことで形成される。アノードセパレータ110は、アノード側面110aと、対向面110bと、を有する。
【0033】
図4及び図7に示すアノード側面110aは、当該アノード側面110aの後方に配置された膜電極接合体200のアノード220へ向く面である。アノード側面110aには、燃料電池1に供給された燃料ガスが流通する。
【0034】
図3及び図7に示す対向面110bは、カソードセパレータ120と対向する面である。対向面110bには、燃料電池1に供給された冷却媒体が流通する。
【0035】
アノードセパレータ110は、燃料ガス供給孔111、燃料ガス排出孔112、酸化ガス供給孔113、酸化ガス排出孔114、冷媒供給孔115、冷媒排出孔116、燃料ガス流路溝117及び冷媒流路溝118を具備する。
【0036】
図3及び図4に示す燃料ガス供給孔111、燃料ガス排出孔112、酸化ガス供給孔113、酸化ガス排出孔114、冷媒供給孔115及び冷媒排出孔116(以下では必要に応じて「各孔」と称する場合がある。)は、供給又は排出される燃料ガス、酸化ガス及び冷却媒体が通過する部分である。各孔は、アノードセパレータ110を厚さ方向に貫通するように形成される。各孔は、正面視で略矩形状に形成される。
【0037】
燃料ガス供給孔111は、膜電極接合体200側に供給される燃料ガスが通過する部分である。燃料ガス供給孔111は、アノードセパレータ110の右下の角部に位置する。
【0038】
燃料ガス排出孔112は、膜電極接合体200側から排出される燃料ガスが通過する部分である。燃料ガス排出孔112は、アノードセパレータ110の左上の角部に位置する。すなわち、燃料ガス排出孔112は、燃料ガス供給孔111の対角に位置する。
【0039】
酸化ガス供給孔113は、膜電極接合体200側に供給される酸化ガスが通過する部分である。酸化ガス供給孔113は、アノードセパレータ110の左下の角部に位置する。
【0040】
酸化ガス排出孔114は、膜電極接合体200側から排出される酸化ガスが通過する部分である。酸化ガス排出孔114は、アノードセパレータ110の右上の角部に位置する。すなわち、酸化ガス排出孔114は、酸化ガス供給孔113の対角に位置する。
【0041】
冷媒供給孔115は、セパレータ100に供給される冷却媒体が通過する部分である。冷媒供給孔115は、アノードセパレータ110の左部において、燃料ガス排出孔112と酸化ガス供給孔113との間に位置する。
【0042】
冷媒排出孔116は、セパレータ100から排出される冷却媒体が通過する部分である。冷媒排出孔116は、アノードセパレータ110の右部において、燃料ガス供給孔111と酸化ガス排出孔114との間に位置する。
【0043】
なお、本実施形態におけるアノードセパレータ110の各孔の位置や形状、大きさは、一例であり、図4等で示したものに限られず、適宜変更可能である。
【0044】
図4及び図6(a)に示す燃料ガス流路溝117は、アノード側面110aにおいて流通する燃料ガスの流路である。燃料ガス流路溝117は、燃料ガス供給孔111と燃料ガス排出孔112とを連通するように形成される。燃料ガス流路溝117は、図6(a)に示すように、アノード側面110aにおいて、前方へ凹むように形成される。図4に示すように、燃料ガス流路溝117は、概ね上下方向に並列するように複数形成される。複数の燃料ガス流路溝117は、全体として背面視で略矩形状となるように形成される。
【0045】
図3及び図6(a)に示す冷媒流路溝118は、対向面110bにおいて流通する冷却媒体の流路である。冷媒流路溝118は、冷媒供給孔115と冷媒排出孔116とを連通するように形成される。冷媒流路溝118は、図6(a)に示すように、対向面110bにおいて、後方へ凹むように形成される。図3に示すように、冷媒流路溝118は、概ね上下方向に並列するように複数形成される。複数の冷媒流路溝118は、全体として正面視で略矩形状となるように形成される。
【0046】
燃料ガス流路溝117及び冷媒流路溝118(以下では必要に応じて「各溝」と称する場合がある。)は、アノードセパレータ110を形成する際のプレス加工により、アノードセパレータ110の一部に凹凸が形成されることで形成される。すなわち、プレス加工によりアノード側面110aを前方に凹ませた部分が燃料ガス流路溝117となり、アノード側面110aを凹ませた分、対向面110bにおいて突出する部分の間の部分(後方に凹む部分)が冷媒流路溝118となる。
【0047】
図3図5図6(a)及び図7に示すカソードセパレータ120は、酸化ガスを膜電極接合体200(カソード230)へ導くものである。カソードセパレータ120は、セパレータ100の厚さ方向他方側(前方側)を構成する。カソードセパレータ120は、板形状の金属材料に適宜プレス加工を施すことで形成される。カソードセパレータ120は、カソード側面120aと、対向面120bと、を有する。
【0048】
図5及び図7に示すカソード側面120aは、当該カソード側面120aの前方に配置された膜電極接合体200のカソード230へ向く面である。カソード側面120aには、燃料電池1に供給された酸化ガスが流通する。
【0049】
図7に示す対向面120bは、アノードセパレータ110と対向する面である。対向面120bには、燃料電池1に供給された冷却媒体が流通する。
【0050】
カソードセパレータ120は、燃料ガス供給孔121、燃料ガス排出孔122、酸化ガス供給孔123、酸化ガス排出孔124、冷媒供給孔125、冷媒排出孔126、酸化ガス流路溝127及び冷媒流路溝128を具備する。
【0051】
図5に示す燃料ガス供給孔121、燃料ガス排出孔122、酸化ガス供給孔123、酸化ガス排出孔124、冷媒供給孔125及び冷媒排出孔126(以下では必要に応じて「各孔」と称する場合がある。)は、供給又は排出される燃料ガス、酸化ガス及び冷却媒体が通過する部分である。各孔は、カソードセパレータ120を厚さ方向に貫通するように形成される。カソードセパレータ120の各孔は、アノードセパレータ110の各孔とそれぞれ連通する。
【0052】
カソードセパレータ120の各孔(燃料ガス供給孔121、燃料ガス排出孔122、酸化ガス供給孔123、酸化ガス排出孔124、冷媒供給孔125及び冷媒排出孔126)は、アノードセパレータ110の各孔(燃料ガス供給孔111、燃料ガス排出孔112、酸化ガス供給孔113、酸化ガス排出孔114、冷媒供給孔115及び冷媒排出孔116)に対応した位置に設けられる。なお、カソードセパレータ120の各孔の説明は省略する。
【0053】
図5及び図6(a)に示す酸化ガス流路溝127は、カソード側面120aにおいて流通する酸化ガスの流路である。酸化ガス流路溝127は、酸化ガス供給孔123と酸化ガス排出孔124とを連通するように形成される。酸化ガス流路溝127は、図6(a)に示すように、カソード側面120aにおいて、後方へ凹むように形成される。図5に示すように、酸化ガス流路溝127は、概ね上下方向に並列するように複数形成される。複数の酸化ガス流路溝127は、全体として背面視で略矩形状となるように形成される。
【0054】
図5及び図6(a)に示す冷媒流路溝128は、対向面120bにおいて流通する冷却媒体の流路である。冷媒流路溝128は、冷媒供給孔125と冷媒排出孔126とを連通するように形成される。冷媒流路溝128は、図6(a)に示すように、対向面120bにおいて、前方へ凹むように形成される。冷媒流路溝128は、アノードセパレータ110の冷媒流路溝118と同様に複数形成される。図6(a)に示すように、冷媒流路溝128は、アノードセパレータ110の冷媒流路溝118と共に冷却媒体が流通する空間を形成する。
【0055】
酸化ガス流路溝127及び冷媒流路溝128(以下では必要に応じて「各溝」と称する場合がある。)は、アノードセパレータ110の各溝と同様、プレス加工により凹凸が形成されることで形成される。
【0056】
図4図5及び図6(a)に示す接合部130は、アノードセパレータ110とカソードセパレータ120とを接合するものである。接合部130は、対向面110b及び対向面120bを対向させた状態で、アノードセパレータ110とカソードセパレータ120の外周部同士を溶接(例えばレーザ溶接)することで形成される。接合部130は、冷却媒体の漏れを抑制するシールを構成する。
【0057】
図4及び図5に示すように、接合部130は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の各孔と各溝を囲むように、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外周部(正面視におけるアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外側部分)の全周に亘って延びるように形成される。すなわち、接合部130は、各孔及び各溝よりも外側に位置するように形成される。また、接合部130は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外周部を一周するように連続して形成されている。
【0058】
図4図5図6(a)及び図9に示す外周シール部140は、セパレータ100を流通する燃料ガスや酸化ガスの漏れを抑制するものである。本実施形態では、外周シール部140は、アノードセパレータ110のアノード側面110aと、カソードセパレータ120のカソード側面120aと、のそれぞれに設けられる。外周シール部140は、弾性を有するゴム部材等により形成される。
【0059】
外周シール部140は、接合部130に沿って延びるように形成される。外周シール部140は、セパレータ100の厚さ方向に見て接合部130と重複するように形成される。外周シール部140は、セパレータ100の厚さ方向に見て、外周シール部140の延出方向(外周シール部140が延びる方向)の全体が接合部130と重複している。
【0060】
また、外周シール部140は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の各孔と各溝を囲むように、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外周部の全周に亘って形成される。すなわち、外周シール部140は、各孔及び各溝よりも外側に位置するように形成される。また、外周シール部140は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外周部を一周するように連続して形成されている。
【0061】
本実施形態では、図4図5図6(a)及び図9(b)に示すように、アノードセパレータ110の外周シール部140と、カソードセパレータ120の外周シール部140と、がセパレータ100の厚さ方向に見て互いに一致するように形成されている。また、本実施形態では、図9に示すように、外周シール部140の全周に亘って、当該外周シール部140の幅方向(外周シール部140の延出方向に対して直交する方向)中心が、接合部130の幅方向(接合部130の延出方向に対して直交する方向)中心と一致するように形成される。なお、図9(b)では、外周シール部140の幅方向中心及び接合部130の幅方向中心を一点鎖線で示している。
【0062】
図4及び図5に示す開口シール部150は、セパレータ100の各孔を通過する燃料ガスや酸化ガスの漏れを抑制するものである。開口シール部150は、図4に示すように、アノードセパレータ110のアノード側面110aにおいて、酸化ガス供給孔113、酸化ガス排出孔114、冷媒供給孔115及び冷媒排出孔116のそれぞれの開口を囲むように形成される。また、開口シール部150は、図5に示すように、カソードセパレータ120のカソード側面120aにおいて、燃料ガス供給孔121、燃料ガス排出孔122、冷媒供給孔125及び冷媒排出孔126のそれぞれの開口を囲むように形成される。開口シール部150は、上記開口の全周に亘って形成される。開口シール部150は、外周シール部140と同様、弾性を有するゴム部材等により形成される。
【0063】
上述の如き外周シール部140及び開口シール部150は、例えば射出成形によってアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120上に形成される。本実施形態では、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を互いに接合した後に、外周シール部140及び開口シール部150をアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120上に形成している。この際には、外周シール部140を、接合部130と重複するように形成する。
【0064】
なお、セパレータ100に外周シール部140及び開口シール部150を設ける方法としては、射出成形に限られない。より最適には、射出成形のように外周シール部140をセパレータ100に直接成形せず、予め別のシート等に形成した外周シール部140及び開口シール部150を、セパレータ100に接着する方法の採用が望ましい。上記方法によれば、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120に各溝を形成した後に、各溝を横切るように開口シール部150を形成する場合でも、射出成型時の射出圧により各溝形状を崩してしまうようなことを抑制することができる。また、上記方法によれば、射出成形による方法とは異なり、ゲートの処理等が不要となる。
【0065】
以下では、図2図7及び図8を用いて膜電極接合体200の構成について詳細に説明する。
【0066】
膜電極接合体200は、燃料ガス及び酸化ガスを用いた電気化学反応により発電を行うものである。膜電極接合体200は、正面視で左右方向に長尺な略矩形状の板形状に形成される。膜電極接合体200は、複数の燃料ガス流路溝117及び複数の酸化ガス流路溝127に概ね対応した形状に形成される。膜電極接合体200は、電解質膜部210、アノード220、カソード230及びシート部240を具備する。
【0067】
電解質膜部(イオン交換膜)210は、膜状の電解質の部材である。電解質膜部210は、燃料ガス中の水素原子から電子を取り除いた水素イオン(プロトン)を通し、燃料ガス及び酸化ガスを通さない性質をもつ。電解質膜部210は、正面視で左右方向に長尺な略矩形状の膜(板)形状に形成される。電解質膜部210としては、フッ素系電解質や、炭化水素(HC)系電解質等、燃料電池に使用される種々の電解質膜を採用可能である。
【0068】
図7及び図8に示すアノード(水素極)220は、後述するカソード230と接続される外部回路から電流が流れ込む(外部回路に電子が放出される)側の電極である。アノード220は、正面視で左右方向に長尺な略矩形状の膜(板)形状に形成される。アノード220は、面積が電解質膜部210の面積よりも小さく形成される。アノード220は、電解質膜部210の前面に配置される。アノード220は、燃料ガス中の水素の酸化反応を進行させることで、水素イオンと電子を生成する。アノード220は、酸化反応を進行させる触媒層や燃料ガスを触媒層へ供給するガス拡散層が積層されて形成されている。
【0069】
カソード230は、外部回路へ電流が流れ出す(外部回路から電子が流れ込む)側の電極である。カソード230は、正面視で左右方向に長尺な略矩形状の膜(板)形状に形成される。カソード230は、面積がアノード220の面積と概ね同じ面積に形成される。カソード230は、適宜の外部回路を介してアノード220と接続される。カソード230は、電解質膜部210の後面に配置される。カソード230は、電解質膜部210を通過した水素イオンが、外部回路から流れ込んだ電子を取り込むと共に酸化ガス中の酸素と化合する還元反応を進行させることで水を生成する。カソード230は、還元反応を進行させる触媒層や酸化ガスを触媒層へ供給するガス拡散層が積層されて形成されている。
【0070】
図7に示すシート部240は、膜電極接合体200の外周部を構成する部分である。シート部240は、電解質膜部210の外周部(アノード220及びカソード230の外側に位置する部分)の一方面(本実施形態では前面)に設けられる。シート部240は、電解質膜部210の外周部を囲む枠形状に形成される。なお、図2ではシート部240の図示を省略している。シート部240は、例えば、PEN等のフィルムの両面にゴムで形成されたシートを積層して形成される。シート部240の両面は、外周シール部140と当接する。
【0071】
上述の如きセパレータ100及び膜電極接合体200は、図2及び図7に示すように、互いに前後方向に隣接するように交互に配置される。なお、図2及び図7では1つの膜電極接合体200と一対のセパレータ100を示しているが、膜電極接合体200及びセパレータ100は、それぞれ求められる発電量に応じて必要な数が配置される。
【0072】
セパレータ100及び膜電極接合体200を交互に積層することで、複数層の単セルAが形成される。本実施形態では、図7に示すように、ある膜電極接合体200と、当該膜電極接合体200の前後に配置される一対のセパレータ100のうち膜電極接合体200と対向するアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120と、が単セルAを構成する。以下では、セパレータ100のうち、ある単セルAを構成するアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を、「アノードセパレータ110A」及び「カソードセパレータ120A」と称して説明する。
【0073】
図7に示すように、単セルAを構成するアノードセパレータ110Aの外周シール部140と、カソードセパレータ120Aの外周シール部140と、は互いに対向するように配置される。本実施形態では、膜電極接合体200のうち電解質膜部210のシート部240の前面及び後面に、アノードセパレータ110A及びカソードセパレータ120Aの外周シール部140を当接させている。すなわち、シート部240を介して各外周シール部140を対向させている。
【0074】
上記対向する各外周シール部140に囲まれることで、気密性が保持された空間が形成される。上記空間において、膜電極接合体200が配置されると共に、燃料電池1に供給される燃料ガスや酸化ガスを用いた発電が行われる。以下では、各外周シール部140により囲われた空間のうち、セパレータ100の各溝が形成されている部分を「発電部X」と称する。複数のセパレータ100が積層されることで、各単セルAごとに複数の発電部Xが形成される。各発電部Xは、各セパレータ100の各孔を介して互いに連通する(図2を参照)。
【0075】
また、各セパレータ100の内部には、接合部130により囲われ、冷却媒体が供給される空間が形成される。以下では、接合部130により囲われた空間を「冷却部Y」と称して説明する(図9(a)を参照)。冷却部Yは、各セパレータ100の各孔を介して互いに連通する(図2を参照)。
【0076】
以下では、図2から図5まで、並びに図7を用いて、燃料ガス、酸化ガス及び冷却媒体の燃料電池1への供給の様子について説明する。
【0077】
図2及び図4に示すように、セパレータ100の燃料ガス供給孔121及び燃料ガス供給孔111を介して燃料電池1の各膜電極接合体200へ供給される燃料ガスの一部は、燃料ガス流路溝117を流通すると共に、燃料ガス排出孔112及び燃料ガス排出孔122を介して排出される。上記燃料ガスの一部は、燃料ガス流路溝117を流通する際にアノード220へ供給される。また、セパレータ100の燃料ガス供給孔121及び燃料ガス供給孔111を介して供給された燃料ガスの他の一部(燃料ガス流路溝117を流通しない燃料ガス)は、供給方向下流側(後側)のセパレータ100の燃料ガス供給孔121及び燃料ガス供給孔111へ供給される。また、燃料ガス排出孔112及び燃料ガス排出孔122を介して排出された燃料ガスは、排出方向下流側(前側)のセパレータ100の燃料ガス排出孔112及び燃料ガス排出孔122へ供給される。
【0078】
また、図2及び図5に示すように、セパレータ100の酸化ガス供給孔123及び酸化ガス供給孔113を介して燃料電池1の各膜電極接合体200へ供給される酸化ガスの一部は、供給方向下流側(後側)のセパレータ100の酸化ガス流路溝127を流通すると共に、酸化ガス排出孔114及び酸化ガス排出孔124を介して排出される。上記酸化ガスの一部は、酸化ガス流路溝127を流通する際にカソード230へ供給される。また、セパレータ100の酸化ガス供給孔123及び酸化ガス供給孔113を介して供給された酸化ガスの他の一部(酸化ガス流路溝127を流通しない酸化ガス)は、供給方向下流側のセパレータ100の酸化ガス供給孔123及び酸化ガス供給孔113へ供給される。また、酸化ガス排出孔114及び酸化ガス排出孔124を介して排出された酸化ガスは、排出方向下流側(前側)のセパレータ100の酸化ガス排出孔114及び酸化ガス排出孔124へ供給される。
【0079】
また、図2及び図3に示すように、セパレータ100の冷媒供給孔125を介してセパレータ100に供給された冷却媒体の一部は、冷媒流路溝118及び冷媒流路溝128を流通すると共に、冷媒排出孔126を介して排出される。上記冷却媒体は、冷媒流路溝118及び冷媒流路溝128を流通する際に、セパレータ100を冷却する。これにより、発電に伴い発熱する燃料電池1の冷却を行うことができる。また、セパレータ100の冷媒供給孔125を介して供給された冷却媒体の他の一部(冷媒流路溝118及び冷媒流路溝128を流通しない冷却媒体)は、冷媒供給孔115を介して供給方向下流側(後側)のセパレータ100の冷媒供給孔125へ供給される。また、冷媒排出孔126を介して排出された冷却媒体は、排出方向下流側(前側)のセパレータ100の冷媒排出孔116及び冷媒排出孔126へ供給される。
【0080】
以下では、図7及び図8を用いて、上述の如き燃料電池1の単セルAでの発電の様子について説明する。
【0081】
燃料ガス流路溝117を流通する燃料ガスは、アノード220へ供給される。上記燃料ガスは、アノード220において、燃料ガス中の水素の酸化反応が進行されて水素イオンと電子とが生成される。
【0082】
アノード220で生成された水素イオンは、電解質膜部210を通過してカソード230へ移動する。また、アノード220で生成された電子は、外部回路を介してカソード230へ到達する。
【0083】
また、酸化ガス流路溝127を流通する酸化ガスは、カソード230へ供給される。カソード230では、酸化ガス中の酸素、水素イオン及び電子の還元反応が進行されて水が生成される。
【0084】
上記化学反応に伴い、アノード220及びカソード230を接続する外部回路を電子が移動することで、当該外部回路に電流が流れる。このようにして燃料電池1による発電を行うことができる。
【0085】
上述の如きセパレータ100は、外周シール部140と接合部130とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させることで、セパレータ100において外周シール部140及び接合部130が占める面積を小さくすることができる。すなわち、セパレータ100における発電部Xや冷却部Yが占める面積を比較的大きくすることができ、セパレータ100の面積を有効に利用することができる。
【0086】
また、図6(b)では、上述の如きセパレータ100に対する比較対象のセパレータ100Xを示している。セパレータ100Xは、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120に外周シール部140を形成した後に、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を溶接して形成されている。このように形成されるセパレータ100Xでは、溶接に用いられる適宜の冶具で、接合部130の外側及び内側を押さえるためのスペースZを確保する必要がある。上記スペースZには外周シール部140を設置できないため、セパレータ100Xは、接合部130からスペースZを空けて内側に外周シール部140を設けている。
【0087】
図6(a)に示す本実施形態に係るセパレータ100は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を溶接した後に、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120に外周シール部140を形成している。これによれば、図6(b)に示す比較対象のセパレータ100Xのように、スペースZを空けて外周シール部140を設ける必要がなく、外周シール部140と接合部130とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させることができる。従って、外周シール部140を接合部130よりも内側に位置させた場合とは異なり、外周シール部140により囲まれる領域の面積を比較的大きくすることができ、ひいては膜電極接合体200へ燃料ガスや酸化ガスを供給する部分である発電部Xの面積(各溝が形成された領域が占める部分の面積)を大きくすることができる。これにより、セパレータ100自体の外形を大きくすることなくセパレータ100の面積を有効に利用することで、燃料電池1の発電効率を向上させることができる。
【0088】
また、例えばアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を表面処理した後で溶接した場合、接合部130において表面処理が消失し、耐食性の劣る基材が露出することが考えられる。本実施形態に係るセパレータ100によれば、外周シール部140と接合部130とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させたことで、接合部130が露出することを抑制することができる。これにより、接合部130が流体等と接することを抑制し、セパレータ100の耐食性を向上させることができる。なお、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を表面処理した後で溶接する方法に代えて、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を溶接した後に表面処理を行い、その上に外周シール部140を形成する方法を採用してもよい。
【0089】
以上の如く、本実施形態に係るセパレータ100は、
燃料電池1を構成し、燃料ガス及び酸化ガスが供給される電解質膜(膜電極接合体200)と隣接するように配置される板形状のセパレータ100であって、
前記燃料ガスの流路(燃料ガス流路溝117)が形成された燃料ガス流路面(アノード側面110a)を有するアノードセパレータ110と、
前記酸化ガスの流路(酸化ガス流路溝127)が形成された酸化ガス流路面(カソード側面120a)を有するカソードセパレータ120と、
前記燃料ガスの流路(燃料ガス流路溝117)及び前記酸化ガスの流路(酸化ガス流路溝127)を囲むように延びると共に、前記アノードセパレータ110及び前記カソードセパレータ120を互いに接合する接合部130と、
前記燃料ガス流路面(アノード側面110a)及び前記酸化ガス流路面(カソード側面120a)の少なくとも一方に設けられ、前記接合部130に沿って延びると共に、前記セパレータ100の厚さ方向に見て前記接合部130と重複するように形成されるシール部(外周シール部140)と、
を具備するものである。
【0090】
このように構成することにより、セパレータ100の面積を有効に利用することができる。すなわち、シール部(外周シール部140)と接合部130とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させることで、セパレータ100においてシール部(外周シール部140)及び接合部130が占める面積を小さくすることができる。これにより、セパレータ100において、燃料ガス流路溝117や酸化ガス流路溝127、冷媒流路溝118、128が占める面積を大きくすることができ、セパレータ100の面積を有効に利用することができる。また、例えばシール部(外周シール部140)を接合部130よりも内側に位置させた場合とは異なり、シール部(外周シール部140)により囲われた部分(発電部X)の面積を比較的大きくすることができ、ひいては電解質膜(膜電極接合体200)へ燃料ガスや酸化ガスを供給する部分の面積を大きくすることができる。これにより、燃料電池1の発電効率を向上させることができる。
【0091】
また、前記シール部(外周シール部140)は、
前記接合部130の全周に亘って形成されるものである。
【0092】
このように構成することにより、セパレータ100の面積をより有効に利用することができる。
【0093】
なお、アノード側面110aは、燃料ガス流路面の実施の一形態である。
また、燃料ガス流路溝117は、燃料ガスの流路の実施の一形態である。
また、カソード側面120aは、酸化ガス流路面の実施の一形態である。
また、酸化ガス流路溝127は、酸化ガスの流路の実施の一形態である。
また、外周シール部140は、シール部の実施の一形態である。
また、膜電極接合体200は、電解質膜の実施の一形態である。
【0094】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0095】
例えば、本実施形態では、アノードセパレータ110のアノード側面110aと、カソードセパレータ120のカソード側面120aと、の両方に外周シール部140を設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の一方にだけ外周シール部140を設けてもよい。この場合は、外周シール部140は、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の他方に当接するように形成される。
【0096】
また、本実施形態では、外周シール部140を、接合部130の全周に亘って形成した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、接合部130の延出方向の一部に沿って外周シール部140を形成してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、図9に示すように、外周シール部140の幅方向中心が、接合部130の幅方向中心と一致するようにセパレータ100を形成した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、図10から図12までに示す別実施形態(第二~第五実施形態)に示すように、外周シール部140が形成される位置を適宜変更してもよい。
【0098】
以下ではセパレータ100の別実施形態(第二~第五実施形態)について説明する。
【0099】
図10に示す本発明の第二実施形態に係るセパレータ100A、100B、100Cは、外周シール部140の延出方向の少なくとも一部を、厚さ方向に見て重複する接合部130に対して内側にオフセットした位置に形成している。なお、図10(d)は、外周シール部140のオフセットされた部分を示す断面図である。図10(d)では、外周シール部140の幅方向中心及び接合部130の幅方向中心を、それぞれ一点鎖線で示している。
【0100】
図10(a)に示すセパレータ100Aでは、外周シール部140の上部及び下部を、接合部130の上部及び下部に対して内側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の上部及び下部の幅方向中心が、接合部130の上部及び下部の幅方向中心よりも内側に位置するように形成している(図10(d)を参照)。
【0101】
図10(b)に示すセパレータ100Bでは、外周シール部140の右部及び左部を、接合部130の右部及び左部に対して内側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の右部及び左部の幅方向中心が、接合部130右部及び左部の幅方向中心よりも内側に位置するように形成している(図10(d)を参照)。
【0102】
図10(c)に示すセパレータ100Cでは、外周シール部140の全体を、接合部130に対して内側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の全周に亘って、当該外周シール部140の幅方向中心が、接合部130の幅方向中心よりも内側に位置するように形成している(図10(d)を参照)。
【0103】
上述の如きセパレータ100A、100B、100Cにおいても、第一実施形態に係るセパレータ100と概ね同様な効果を奏する。また、上述の如きセパレータ100A、100B、100Cによれば、冷却部Yの面積を比較的大きくすることができる。これにより、冷却媒体によりセパレータ100を効果的に冷却することができる。より詳細には、セパレータ100A、100B、100Cによれば、接合部130の位置を、第一実施形態に係るセパレータ100よりも外側に位置させつつ、接合部130と外周シール部140とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させることができる。これにより、第一実施形態に係るセパレータ100よりもセパレータ100を効果的に冷却することができる。
【0104】
以上の如く、本実施形態に係るセパレータ100A、100B、100Cは、
前記シール部(外周シール部140)の少なくとも一部は、
前記厚さ方向に見て重複する前記接合部130に対して内側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0105】
このように構成することにより、接合部130に囲われる部分(冷却部Y)の面積を比較的大きくすることができる。これにより、接合部130に囲われる部分(冷却部Y)にセパレータ100を冷却するための冷却媒体を供給する場合に、セパレータ100を効果的に冷却することができる。
【0106】
図11に示す本発明の第三実施形態に係るセパレータ100D、100E、100Fは、外周シール部140の延出方向の少なくとも一部を、厚さ方向に見て重複する接合部130に対して外側にオフセットした位置に形成している。なお、図11(d)は、外周シール部140のオフセットされた部分を示す断面図である。図11(d)では、外周シール部140の幅方向中心及び接合部130の幅方向中心を、それぞれ一点鎖線で示している。
【0107】
図11(a)に示すセパレータ100Dでは、外周シール部140の上部及び下部を、接合部130の上部及び下部に対して外側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の上部及び下部の幅方向中心が、接合部130の上部及び下部の幅方向中心よりも外側に位置するように形成している(図11(d)を参照)。
【0108】
図11(b)に示すセパレータ100Eでは、外周シール部140の右部及び左部を、接合部130の右部及び左部に対して外側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の右部及び左部の幅方向中心が、接合部130右部及び左部の幅方向中心よりも外側に位置するように形成している(図11(d)を参照)。
【0109】
図11(c)に示すセパレータ100Fでは、外周シール部140の全体を、接合部130に対して外側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の全周に亘って、当該外周シール部140の幅方向中心が、接合部130の幅方向中心よりも外側に位置するように形成している(図11(d)を参照)。
【0110】
上述の如きセパレータ100D、100E、100Fにおいても、第一実施形態に係るセパレータ100と概ね同様な効果を奏する。また、上述の如きセパレータ100D、100E、100Fによれば、発電部Xの面積を比較的大きくすることができる。これにより、燃料電池1の発電効率をより向上させることができる。より詳細には、セパレータ100D、100E、100Fによれば、外周シール部140の位置を、第一実施形態に係るセパレータ100よりも外側に位置させつつ、接合部130と外周シール部140とをセパレータ100の厚さ方向に見て重複させることができる。これにより、第一実施形態に係るセパレータ100よりも燃料電池1の発電効率をより向上させることができる。
【0111】
以上の如く、本実施形態に係るセパレータ100D、100E、100Fは、
前記シール部(外周シール部140)の少なくとも一部は、
前記厚さ方向に見て重複する前記接合部130に対して外側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0112】
このように構成することにより、シール部(外周シール部140)に囲われる部分(発電部X)の面積を比較的大きくすることができる。これにより、燃料電池1の発電効率をより向上させることができる。
【0113】
図12(a)、(b)に示す本発明の第四実施形態に係るセパレータ100G、100Hは、外周シール部140の一部を厚さ方向に見て重複する接合部130に対して内側にオフセットした位置に形成し、外周シール部140の他の一部を厚さ方向に見て重複する接合部130に対して外側にオフセットした位置に形成している。
【0114】
図12(a)に示すセパレータ100Gでは、外周シール部140の上部及び下部を、接合部130の上部及び下部に対して内側にオフセットした位置に形成し、外周シール部140の右部及び左部を、接合部130の右部及び左部に対して外側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の上部及び下部の幅方向中心が、接合部130の上部及び下部の幅方向中心よりも内側に位置し(図10(d)を参照)、外周シール部140の右部及び左部の幅方向中心が、接合部130右部及び左部の幅方向中心よりも外側に位置するように形成している(図11(d)を参照)。
【0115】
図12(b)に示すセパレータ100Hでは、外周シール部140の上部及び下部を、接合部130の上部及び下部に対して外側にオフセットした位置に形成し、外周シール部140の右部及び左部を、接合部130の右部及び左部に対して内側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、外周シール部140の上部及び下部の幅方向中心が、接合部130の上部及び下部の幅方向中心よりも外側に位置し(図11(d)を参照)、外周シール部140の右部及び左部の幅方向中心が、接合部130右部及び左部の幅方向中心よりも内側に位置するように形成している(図10(d)を参照)。
【0116】
上述の如きセパレータ100G、100Hにおいても、第一実施形態に係るセパレータ100と概ね同様な効果を奏する。また、上述の如きセパレータ100G、100Hによれば、外周シール部140の一部と重複する接合部130に囲われる部分(冷却部Y)の面積を比較的大きくすることができる。また、外周シール部140の他の一部により囲われた部分(発電部X)の面積を比較的大きくし、燃料電池1の発電効率を向上させることができる。
【0117】
以上の如く、本実施形態に係るセパレータ100G、100Hは、
前記シール部(外周シール部140)は、
第一部分(上部及び下部と、右部及び左部と、の一方)が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部130に対して内側にオフセットした位置に形成され、
前記第一部分とは異なる第二部分(上部及び下部と、右部及び左部と、の他方)が、前記厚さ方向に見て重複する前記接合部130に対して外側にオフセットした位置に形成されるものである。
【0118】
このように構成することにより、シール部(外周シール部140)の第一部分(上部及び下部と、右部及び左部と、の一方)と重複する接合部130に囲われる部分(冷却部Y)の面積を比較的大きくすることができる。また、シール部(外周シール部140)の第二部分(上部及び下部と、右部及び左部と、の他方)により囲われた部分(発電部X)の面積を比較的大きくし、燃料電池1の発電効率を向上させることができる。
【0119】
図12(c)、(d)に示す本発明の第五実施形態に係るセパレータ100Jは、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140と、カソードセパレータ120に形成された外周シール部140と、を互いにオフセットした位置に形成している。なお、図12(d)では、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140の幅方向中心と、カソードセパレータ120に形成された外周シール部140と、それぞれ一点鎖線で示している。
【0120】
セパレータ100Jでは、アノードセパレータ110のアノード側面110aに形成された外周シール部140の全体を、カソードセパレータ120のカソード側面120aに形成された外周シール部140に対して外側にオフセットした位置に形成した例を示している。より詳細には、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140の全周に亘って、当該外周シール部140の幅方向中心が、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140の幅方向中心よりも外側に位置するように形成している(図12(d)を参照)。
【0121】
なお、図12に示す例は一例であり、第五実施形態に係るセパレータ100Jとしては上述した例に限られない。例えば、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140の全体を、カソードセパレータ120に形成された外周シール部140に対して内側にオフセットしてもよい。また、例えばアノードセパレータ110に形成された外周シール部140の延出方向の少なくとも一部を、カソードセパレータ120に形成された外周シール部140に対して外側又は内側にオフセットした位置してもよい。
【0122】
上述の如きセパレータ100Jにおいても、第一実施形態に係るセパレータ100と概ね同様な効果を奏する。また、上述の如きセパレータ100Jによれば、アノードセパレータ110に形成された外周シール部140と、カソードセパレータ120に形成された外周シール部140と、のうちの一方により囲われた部分の面積を比較的大きくすることができる。これにより、例えば、発電効率の観点から燃料ガス及び酸化ガスの供給量のバランスを調整することができる。
【0123】
以上の如く、本実施形態に係るセパレータ100Jは、
前記シール部(外周シール部140)は、
前記燃料ガス流路面(アノード側面110a)及び前記酸化ガス流路面(カソード側面120a)の両方に設けられ、
前記燃料ガス流路面(アノード側面110a)に形成された前記シール部(外周シール部140)と、前記酸化ガス流路面(カソード側面120a)に形成された前記シール部(外周シール部140)と、が互いにオフセットした位置に形成されるものである。
【0124】
このように構成することにより、アノードセパレータ110に形成されたシール部(外周シール部140)と、カソードセパレータ120に形成されたシール部(外周シール部140)と、のうちの一方により囲われた部分の面積を比較的大きくすることができる。
【0125】
なお、上記各実施形態では、外周シール部140の上部、下部、左部及び右部を構成する一辺の全部をオフセットした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、上記一辺の一部だけをオフセットするようにしてもよい。
【0126】
また、上記各実施形態では、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を溶接により接合した例を示したが、このような態様に限られない。アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の接合方法は、例えばかしめや圧着等の適宜の接合方法を採用可能である。
【0127】
また、本実施形態では、図7に示すように、アノードセパレータ110及びカソードセパレータ120を接合したセパレータ100と、膜電極接合体200と、を隣接させた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、図13に示す第六実施形態のようにしてもよい。
【0128】
図13に示す本発明の第六実施形態に係るセパレータ100Kは、単セルAを構成するアノードセパレータ110、カソードセパレータ120及び膜電極接合体200を一体に形成した点で上記各実施形態と異なる。セパレータ100Kは、膜電極接合体200のシート部240の両面と、シート部240に対向するアノードセパレータ110及びカソードセパレータ120の外周部と、を接合することで形成される。本実施形態では、熱圧着によりアノードセパレータ110、カソードセパレータ120及び膜電極接合体200を接合している。上記熱圧着によりセパレータ100Kの外周部には接合部130が形成される。
【0129】
本実施形態においても、接合部130及び外周シール部140は、セパレータ100Kの厚さ方向に見て重複している。なお、本実施形態では、アノードセパレータ110、カソードセパレータ120の一方(カソードセパレータ120)だけに外周シール部140を設けている。
【0130】
上述の如きセパレータ100Kにおいても、第一実施形態に係るセパレータ100と概ね同様な効果を奏する。
【0131】
また、上記各実施形態では、燃料電池1を、車両に搭載されたモータ等を駆動させる電源として用いた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、燃料電池1を、車両に搭載された他の電子機器の電源として用いてもよい。また、燃料電池1は、車両に限られず、種々の電気製品の電源として使用可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 燃料電池
100 セパレータ
110 アノードセパレータ
120 カソードセパレータ
200 膜電極接合体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13