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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】リソグラフィ投影対物レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20230502BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20230502BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
G03F7/20 501
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021538724
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 CN2019129760
(87)【国際公開番号】W WO2020140859
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】201811648652.0
(32)【優先日】2018-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭▲銀▼章
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-527403(JP,A)
【文献】特開2005-055625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って順に配列された第1のレンズ群と、第2のレンズ群と、第3のレンズ群と、第4のレンズ群と、第5のレンズ群とで構成されており、前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群はいずれも負の屈折力を有し、前記第2のレンズ群及び前記第4のレンズ群はいずれも正の屈折力を有し、前記第5のレンズ群の屈折力は0であり、前記第1のレンズ群、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記第4のレンズ群及び前記第5のレンズ群の屈折力の和の範囲は、0より大きく0.0017mm -1 未満であるリソグラフィ投影対物レンズであって、前記リソグラフィ投影対物レンズは絞りを更に含み、
前記第1のレンズ群、前記第3のレンズ群及び前記第4のレンズ群はいずれも非球面レンズを含み、1枚の前記非球面レンズは1つの非球面表面を含み、前記非球面レンズの数は4以上且つ8以下であり、前記第2のレンズ群及び前記第5のレンズ群におけるレンズはいずれも球面レンズであ
前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群は、いずれの前記非球面レンズの非球面乖離度が0.5mm未満であり、前記第4のレンズ群に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在し、或いは、
前記第1のレンズ群及び前記第4のレンズ群は、いずれの前記非球面レンズの非球面乖離度が0.5mm未満であり、且つ前記第3のレンズ群に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在し、
前記非球面レンズの非球面乖離度は、前記非球面レンズの非球面表面と最適近似球面との間の軸方向距離である、リソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項2】
前記第4のレンズ群に少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズが存在する、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項3】
前記第1のレンズ群に少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズが存在する、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項4】
前記第2のレンズ群は複数枚の正の屈折力を有するレンズを含み、前記第1のレンズ群に正の屈折力を有するレンズの屈折力の数値は、前記第2のレンズ群のいずれか1枚のレンズの屈折力の数値よりも小さい、請求項に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項5】
前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群はいずれもメニスカスレンズを含む、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項6】
前記第1のレンズ群及び前記第4のレンズ群は合計少なくとも2枚の前記メニスカスレンズを含む、請求項に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項7】
前記第3のレンズ群は少なくとも2枚の非球面レンズを含む、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項8】
前記絞りは前記第4のレンズ群における隣接する2枚のレンズの間に位置する、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項9】
前記第1のレンズ群は3枚のレンズを含み、前記第1のレンズ群の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、
前記第2のレンズ群は4枚のレンズを含み、
前記第3のレンズ群は3枚のレンズを含み、前記第3のレンズ群の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、
前記第4のレンズ群は7枚のレンズを含み、前記第4のレンズ群の7枚のレンズに3枚又は4枚の非球面レンズがあり、
前記第5のレンズ群は2枚のレンズを含む、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項10】
前記第5のレンズ群のいずれか1枚のレンズの入光面及び出光面はいずれも平面である、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項11】
前記第1のレンズ群は変形レンズ用補償器を含み、前記変形レンズ用補償器は前記第1のレンズ群の1枚のレンズであり、前記変形レンズ用補償器のアスペクト比の範囲は9~10であり、前記アスペクト比はレンズの最大口径と厚みとの比率であり、
前記変形レンズ用補償器の第1の表面の有効光通過口径はφであり、前記変形レンズ用補償器の第2の表面の有効光通過口径はφであり、前記変形レンズ用補償器の第2の表面は前記変形レンズ用補償器の第1の表面と前記第2のレンズ群との間に位置し、φ-φ>20mmである、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項12】
前記リソグラフィ投影対物レンズは、フッ化アルゴンArFエキシマレーザーからの光及びフッ化クリプトンKrFエキシマレーザーからの光に適用される、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項13】
前記リソグラフィ投影対物レンズの最大像側開口数は0.82である、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【請求項14】
前記リソグラフィ投影対物レンズの物像共役距離は1100mm以下である、請求項1に記載のリソグラフィ投影対物レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2018年12月30日、出願番号が201811648652.0号中国専利出願の優先権を主張し、該発明の全部内容を参照によって本発明に援用される。
【0002】
本発明の実施例は、リソグラフィ技術に関し、例えば、リソグラフィ投影対物レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
光リソグラフィは、マスクパターンを光で投影転写する技術である。集積回路は、投影露光装置により作成される。投影露光装置を用いて、異なるマスクパターンを有するパターンがシリコンウェーハ又は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,LCD)パネルなどの基板上に画像形成され、集積回路、薄膜磁気ヘッド、液晶ディスプレイパネル、又はマイクロ電気機械システム(Micro-Electro-Mechanical System,MEMS)などの一連の構造を製造するように構成される。露光装置の技術レベルは、過去数十年にわたって進歩しており、より小さいラインサイズ、より大きい露光面積、より高い信頼性及び収率、より低いコストへのニーズを満たす。
【0004】
高画像形成性能は、リソグラフィ投影対物レンズがより大きな開口数(例えば、開口数は0.5よりも大きい)を実現でき、且つ形成された画像の収差を合理的な範囲内に制御することが要求される。いくつかの適用シナリオでは、高画像形成性能は、リソグラフィ投影対物レンズがより長い波長(例えば、193nm以上)に適用可能であることが更に要求される。関連技術におけるリソグラフィ投影対物レンズは、高画像形成性能の要求下で、より多くの非球面レンズを使用する必要があり、加工コストが高い。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、非球面レンズの数の減少及び加工コストの削減を達成するために、リソグラフィ投影対物レンズを提供する。
【0006】
本発明の実施例は、リソグラフィ投影対物レンズを提供しており、前記リソグラフィ投影対物レンズは、光軸に沿って順に配列された第1のレンズ群と、第2のレンズ群と、第3のレンズ群と、第4のレンズ群と、第5のレンズ群とを含み、前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群はいずれも負の屈折力を有し、前記第2のレンズ群及び前記第4のレンズ群はいずれも正の屈折力を有し、前記第5のレンズ群の屈折力は0であり、前記第1のレンズ群、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記第4のレンズ群及び前記第5のレンズ群の屈折力の和は0であり、前記リソグラフィ投影対物レンズは絞りを更に含み、
前記第1のレンズ群、前記第3のレンズ群及び前記第4のレンズ群はいずれも非球面レンズを含み、1枚の前記非球面レンズは1つの非球面表面を含み、前記非球面レンズの数は4以上且つ8以下である。
【0007】
好ましくは、前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群は、いずれの前記非球面レンズの非球面乖離度が0.5mm未満であり、前記第4のレンズ群に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在し、或いは、
前記第1のレンズ群及び前記第4のレンズ群は、いずれの前記非球面レンズの非球面乖離度が0.5mmに等しく、前記第3のレンズ群に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在し、
非球面レンズの非球面乖離度は、非球面レンズの非球面表面と最適近似球面との間の軸方向距離である。
【0008】
好ましくは、前記第4のレンズ群に少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズが存在する。
【0009】
好ましくは、前記第1のレンズ群に少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズが存在する。
【0010】
好ましくは、前記第2のレンズ群は複数枚の正の屈折力を有するレンズを含み、前記第1のレンズ群に正の屈折力を有するレンズの屈折力の数値は、前記第2のレンズ群のいずれか1枚のレンズの屈折力の数値よりも小さい。
【0011】
好ましくは、前記第1のレンズ群及び前記第3のレンズ群はいずれもメニスカスレンズを含む。
【0012】
好ましくは、前記第1のレンズ群及び前記第4のレンズ群は合計少なくとも2枚の前記メニスカスレンズを含む。
【0013】
好ましくは、前記第3のレンズ群は少なくとも2枚の非球面レンズを含む。
【0014】
好ましくは、前記絞りは前記第4のレンズ群における隣接する2枚のレンズの間に位置する。
【0015】
好ましくは、前記第1のレンズ群は3枚のレンズを含み、前記第1のレンズ群の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、
前記第2のレンズ群は4枚のレンズを含み、
前記第3のレンズ群は3枚のレンズを含み、前記第3のレンズ群の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、
前記第4のレンズ群は7枚のレンズを含み、前記第4のレンズ群の7枚のレンズに3枚又は4枚の非球面レンズがあり、
前記第5のレンズ群は2枚のレンズを含む。
【0016】
好ましくは、前記第5のレンズ群のいずれか1枚のレンズの入光面及び出光面はいずれも平面である。
【0017】
好ましくは、前記第1のレンズ群は変形レンズ用補償器を含み、前記変形レンズ用補償器は前記第1のレンズ群の1枚のレンズであり、前記変形レンズ用補償器のアスペクト比の範囲は9~10であり、アスペクト比はレンズの最大口径と厚みとの比率であり、
前記変形レンズ用補償器の第1の表面の有効光通過口径はφであり、前記変形レンズ用補償器の第2の表面の有効光通過口径はφであり、前記変形レンズ用補償器の第2の表面は前記変形レンズ用補償器の第1の表面と前記第2のレンズ群との間に位置し、φ-φ>20mmである。
【0018】
好ましくは、前記リソグラフィ投影対物レンズは、フッ化アルゴン(Argon Fluoride,ArF)エキシマレーザーからの光及びフッ化クリプトン(Krypton Fluoride,KrF)エキシマレーザーからの光に適用される。
【0019】
好ましくは、前記リソグラフィ投影対物レンズの最大像側開口数は0.82である。
【0020】
好ましくは、前記リソグラフィ投影対物レンズの物像共役距離は1100mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図である。
図2】本発明の実施例に係る平行平板の光路模式図である。
図3図1に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図である。
図4図1に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図である。
図5】本発明の実施例に係る他のリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図である。
図6図5に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図である。
図7図5に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図である。
図8】本発明の実施例に係る他のリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図である。
図9図8に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図である。
図10図8に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明を更に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためにのみ使用されることを理解できる。説明の便宜上、構造全体ではなく、本発明に関連する一部のみが図面に示されている。
【0023】
実施例1
図1は、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図であり、図1を参照し、リソグラフィ投影対物レンズは、光軸に沿って順に配列された第1のレンズ群LG1と、第2のレンズ群LG2と、第3のレンズ群LG3と、第4のレンズ群LG4と、第5のレンズ群LG5とを含み、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3はいずれも負の屈折力を有し、第2のレンズ群LG2及び第4のレンズ群LG4はいずれも正の屈折力を有し、第5のレンズ群LG5の屈折力は0であり、第1のレンズ群LG1、第2のレンズ群LG2、第3のレンズ群LG3、第4のレンズ群LG4及び第5のレンズ群LG5の屈折力の和は0である。第1のレンズ群LG1はリソグラフィ投影対物レンズの最前端(入射端、物面に近い)であり、第5のレンズ群LG5はリソグラフィ投影対物レンズの最後端(出射端、像面に近い)であり、腰部は第3のレンズ群LG3内に位置する。第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3はいずれも負の屈折力を有し、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3は主に負の屈折力を有する負レンズを含むことができる。これらの負の屈折力を有する負レンズは、リソグラフィ投影対物レンズの光路における光スポット口径がより小さい領域に現れることにより、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3は、有効光通過口径がより小さいレンズを使用可能であり、且つ収差における像面湾曲の矯正に寄与する。リソグラフィ投影対物レンズは単一の腰部を有する光学系構成であってもよい。腰部はレンズの口径が収縮する位置を示すため、対応するレンズを通過する光スポットの有効口径は減少する。本発明の実施例に係るレンズの口径とはレンズの有効光通過口径である。
【0024】
ここで、屈折力は像側ビーム収束度と物側ビーム収束度との差に等しく、光学系の光線に対する折り曲げ能力を解析するものである。屈折力の絶対値が大きいほど、光線に対する折り曲げ能力が強くなり、屈折力の絶対値が小さいほど、光線に対する折り曲げ能力が弱くなる。屈折力が正数である場合、光線の屈折は収束性があり、屈折力が負数である場合、光線の屈折は発散性がある。屈折力は、1枚のレンズのある屈折面(すなわち、レンズの1つの表面)を解析するために適用されてもよく、あるレンズを解析するために適用されてもよく、複数枚のレンズがともに形成されたシステム(すなわち、レンズ群)を解析するために適用されてもよい。第1のレンズ群LG1、第2のレンズ群LG2、第3のレンズ群LG3、第4のレンズ群LG4及び第5のレンズ群LG5の屈折力の和が0に近いほど、第1のレンズ群LG1、第2のレンズ群LG2、第3のレンズ群LG3、第4のレンズ群LG4及び第5のレンズ群LG5からなる両側テレセントリック構造のテレセントリックエラーが小さくなる。本発明の実施例において、第1のレンズ群LG1、第2のレンズ群LG2、第3のレンズ群LG3、第4のレンズ群LG4及び第5のレンズ群LG5の屈折力の和は0であり、開口数が高いリソグラフィ投影対物レンズの画質矯正の難易度の低下に寄与する。リソグラフィ投影対物レンズは更に絞り(Aperture Stop,AS)を含み、絞りASを調整することでリソグラフィ投影対物レンズの有効光通過口径を調整可能であるため、絞りASを調整することで、異なるリソグラフィ投影対物レンズの適用シナリオに適応するようにリソグラフィ投影対物レンズの開口数を調整可能である。
【0025】
第1のレンズ群LG1、第3のレンズ群LG3及び第4のレンズ群LG4はいずれも非球面レンズを含み、1枚の非球面レンズは1つの非球面表面を含み、該非球面レンズの他の表面は球面又は平面である。非球面表面を1つだけ有する非球面レンズの加工検出の難易度は、非球面表面を2つ有する非球面レンズよりもはるかに低いため、非球面レンズは1つの非球面表面を含んで構成されることにより、非球面レンズの製造コスト及び測定コストを削減する。非球面レンズの数は4以上且つ8以下である。ここで、非球面レンズは非球面を有するレンズである。ここで使用される用語「非球面」は、非球面表面と最適近似球面との間の最大軸方向距離が2μm以上の非球面表面と理解すべきである。この定義は、所望の変形を有する球形表面及び通常、レンズ/投影光学系の製造後に収差を補正するために導入される非球面表面部分を除外するために使用され、これらの収差は、投影光学系の具体的な設計は固有するものではなく、通常、製造プロセスにより引き起こされる。
【0026】
本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズは5つのレンズ群を含み、各レンズ群に少なくとも2枚のレンズを含み、いずれも屈折の方法で光線に対する制御を達成する。本発明の実施例に係る非球面レンズは非球面表面を1つだけ有し、非球面レンズの製造及び測定コストの削減に寄与する。且つ、本発明の実施例に係る非球面レンズの数は、4以上8以下であり、より少ない非球面レンズを使用することにより、非球面レンズの数の減少及び加工コストの削減を達成する。
【0027】
好ましくは、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの最大像側開口数は0.82に達することができ、高開口数のリソグラフィ投影対物レンズに属する。リソグラフィ投影対物レンズは絞りASを更に含むため、絞りASを調整することでリソグラフィ投影対物レンズの開口数を0~0.82にすることができる。
【0028】
紫外線リソグラフィの分野では、レンズの屈折率は波長が短くなるにつれて増加し、例えば、溶融石英材料の193nm帯の屈折率は1.56、248nm帯の屈折率は1.508である。リソグラフィ投影対物レンズの開口数、視野及び収差の要求が一定である場合、短波長に比べて長波長の実現はより困難である。例示的に、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズは、KrFエキシマレーザーからの光(248nm)に基づいて設計してもよい。したがって、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズは、KrFエキシマレーザーからの光に適用可能であり、すなわち、KrFエキシマレーザーからの光をリソグラフィ投影対物レンズの露光ビームとして使用する。他の実施形態において、リソグラフィ投影対物レンズは、更にArFエキシマレーザーからの光に適用可能であり、すなわち、ArFエキシマレーザーからの光をリソグラフィ投影対物レンズの露光ビームとして使用する。
【0029】
好ましくは、図1を参照し、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3は、いずれの非球面レンズの非球面乖離度が0.5mm以下であり、第4のレンズ群LG4に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在する。ここで、非球面レンズの非球面乖離度は、非球面レンズの非球面表面と最適近似球面との間の軸方向距離である。一実施例において、最適近似球面は非球面に最も近い球面であり、この球面と非球面とは、光軸方向にばらつきが最も小さい。一実施例において、最適近似球面は、非球面頂点及び縁部を通過した包絡球であってもよい。一方、高非球面レンズ(高非球面レンズは、非球面乖離度が0.5mm以上の非球面表面を有するレンズである)は、良好な収差矯正能力を有する。他方、非球面乖離度が大きい非球面であるほど、その製造及び検出の難易度が大きくなり、非球面乖離度が小さい非球面であるほど、その製造及び検出の難易度が小さくなる。その中で、検出の難易度は、主に、高精度のレンズ表面タイプ干渉計検出における補正のための計算ホログラム(Computer-Generated Hologram,CGH)の設計及び製造コストに反映される。高非球面レンズの表面タイプ干渉計の検出に用いられる計算ホログラムの設計及び製造コストは非常に高い。他の好ましい実施形態において、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3は、いずれの非球面レンズの非球面乖離度が0.5mm未満であり、第4のレンズ群LG4に少なくとも1枚の非球面乖離度が0.5mm以上の非球面レンズが存在してもよい。本発明の実施例は、リソグラフィ投影対物レンズが良好な収差矯正能力を有することを確保するだけでなく、リソグラフィ投影対物レンズにおける非球面レンズの全体的な製造コストも削減する。
【0030】
例示的に、図1を参照し、第1のレンズ群LG1は、光軸に沿って順に配列された第1のレンズ1と第2のレンズ2と第3のレンズ3とを含む。第3のレンズ群LG3は、光軸に沿って順に配列された第8のレンズ8と第9のレンズ9と第10のレンズ10とを含む。第8のレンズ8、第9のレンズ9及び第10のレンズ10はいずれも負の屈折力を有する負レンズである。第4のレンズ群LG4は、光軸に沿って順に配列された第11のレンズ11と、第12のレンズ12と、第13のレンズ13と、第14のレンズ14と、第15のレンズ15と、第16のレンズ16と、第17のレンズ17とを含む。第4のレンズ群LG4における第16のレンズ16は高非球面レンズである。第1のレンズ群LG1における第1のレンズ1及び第2のレンズ2、第3のレンズ群LG3における第9のレンズ9、第10のレンズ10及び第11のレンズ11、並びに第4のレンズ群LG4における第14のレンズ14の非球面乖離度は0.5mm未満である。
【0031】
好ましくは、図1を参照し、第1のレンズ群LG1に少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズが存在する。第1のレンズ群LG1は負の屈折力を有するため、第1のレンズ群LG1は主に負の屈折力を有する負レンズを含む。第1のレンズ群LG1にすべて負の屈折力を有する負レンズを採用すれば、第1のレンズ群LG1は収差を除去することは容易ではない。本発明の実施例において、第1のレンズ群LG1に少なくとも1枚の正の屈折力を有するレンズを設けることで、収差をよりよく除去する。
【0032】
例示的に、図1を参照し、第1のレンズ1及び第3のレンズ3は負の屈折力を有する負レンズであり、第2のレンズ2は正の屈折力を有する正レンズである。
【0033】
好ましくは、図1を参照し、第2のレンズ群LG2は、複数枚の正の屈折力を有するレンズを含み、第1のレンズ群LG1に正の屈折力を有するレンズの屈折力の数値は、第2のレンズ群LG2のいずれか1枚のレンズの屈折力の数値よりも小さい。第1のレンズ群LG1に正の屈折力を有するレンズの屈折力の数値は小さく、第1のレンズ群LG1に正の屈折力を有するレンズは、第1のレンズ群LG1及びリソグラフィ投影対物レンズの屈折力に大きな影響を与えず、これにより微調整の役割を果たし、第1のレンズ群LG1、第2のレンズ群LG2、第3のレンズ群LG3、第4のレンズ群LG4及び第5のレンズ群LG5の屈折力の和は0であることの達成に寄与する。
【0034】
例示的に、図1を参照し、第2のレンズ群LG2は、光軸に沿って順に配列された第4のレンズ4と、第5のレンズ5と、第6のレンズ6と、第7のレンズ7とを含み、第4のレンズ4、第5のレンズ5、第6のレンズ6及び第7のレンズ7はいずれも正の屈折力を有する正レンズである。第2のレンズ2の屈折力は、第4のレンズ4、第5のレンズ5、第6のレンズ6及び第7のレンズ7の屈折力よりも小さい。
【0035】
好ましくは、図1を参照し、第4のレンズ群LG4に少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズが存在する。第4のレンズ群LG4は正の屈折力を有するため、第4のレンズ群LG4は主に正の屈折力を有する正レンズを含む。第4のレンズ群LG4にすべて正の屈折力を有する正レンズを採用すれば、第4のレンズ群LG4は収差を除去することは容易ではない。本発明の実施例において、第4のレンズ群LG4に少なくとも1枚の負の屈折力を有するレンズを設けることで、収差をよりよく除去する。
【0036】
例示的に、図1を参照し、第11のレンズ11、第12のレンズ12、第13のレンズ13、第15のレンズ15、第16のレンズ16及び第17のレンズ17はいずれも正の屈折力を有する正レンズである。第14のレンズ14は負の屈折力を有する負レンズである。
【0037】
好ましくは、図1を参照し、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3はいずれもメニスカスレンズを含む。メニスカスレンズは一般に2つの曲率半径が小さく、数値の差も小さい球面からなり、メニスカスレンズはメニスカスを成して収差を矯正するように構成される。メニスカスレンズは通常の球面レンズに比べて、その加工難易度が大きく、加工コストが高い。第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3は負の屈折力を有し、第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3におけるレンズは、リソグラフィ投影対物レンズの光路における光スポット口径がより小さい領域に現れるため、メニスカスレンズを第1のレンズ群LG1及び第3のレンズ群LG3に設けることで、メニスカスレンズの口径の縮小、メニスカスレンズの加工難易度の低減及び加工コストの削減に寄与し、これによりリソグラフィ投影対物レンズの加工コストを削減する。
【0038】
好ましくは、図1を参照し、第1のレンズ群LG1及び第4のレンズ群LG4は合計少なくとも2枚のメニスカスレンズを含む。メニスカスレンズの加工難易度及び加工コストが高いため、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズで使用されるメニスカスレンズの数は少ないので、リソグラフィ投影対物レンズの加工コストを削減できる。
【0039】
例示的に、図1を参照し、第1のレンズ群LG1における第3のレンズ3はメニスカスレンズであり、第4のレンズ群LG4における第14のレンズ14はメニスカスレンズである。
【0040】
本発明の実施例で使用されるメニスカスレンズは、更に、メニスカスレンズの同心度は100mm未満であることを満たし、ここで、メニスカスレンズの同心度はメニスカスレンズの2つの表面の球心点の間の距離である。まず、メニスカスレンズは前表面(前表面は球面である)に対応する球心と後表面(後表面は球面である)に対応する球心とは非常に近いため、その屈折力は非常に小さく、メニスカスレンズの中心視野光線と縁部視野光線とは光路差を形成可能であることにより、メニスカスレンズは、例えば、像面湾曲又は高次収差などの補正を達成できる。また、メニスカスレンズの加工過程に、前表面に対応する球心と後表面に対応する球心は非常に近いため、光学的心取りに不利であり、レンズの心取り及び面取りのプロセス性が悪い。本発明の実施例に係るメニスカスレンズの同心度は100mm未満であり、収差に対する補正を達成できるだけなく、メニスカスレンズの加工プロセス性能も確保できる。
【0041】
好ましくは、図1を参照し、第3のレンズ群LG3は少なくとも2枚の非球面レンズを含む。第1のレンズ群LG1は正の屈折力を有し、第2のレンズ群LG2は正の屈折力を有し、第3のレンズ群LG3は負の屈折力を有し、第4のレンズ群LG4は正の屈折力を有し、このようにして、リソグラフィ投影対物レンズの腰部は第3のレンズ群LG3内に位置し、第3のレンズ群LG3におけるレンズはより小さい口径を有するため、第3のレンズ群LG3内に少なくとも2枚の非球面レンズを設けることにより、非球面レンズの口径を縮小し、非球面レンズの加工難易度及び検出難易度を低減し、よってリソグラフィ投影対物レンズの加工コストを削減する。
【0042】
例示的に、図1を参照し、第3のレンズ群LG3において、第8のレンズ8及び第10のレンズ10は非球面レンズである。
【0043】
好ましくは、図1を参照し、リソグラフィ投影対物レンズは絞りASを更に含み、絞りASは第4のレンズ群LG4における隣接する2枚のレンズの間に位置する。第4のレンズ群LG4は正の屈折力を有し、第4のレンズ群LG4にリソグラフィ投影対物レンズ全体に口径が最も大きなレンズを含み、レンズの口径とは有効光通過口径である。絞りASを第4のレンズ群LG4に設け、絞りASと口径の最も大きなレンズとの距離が近く、リソグラフィ投影対物レンズの開口数の調整に寄与する。
【0044】
例示的に、リソグラフィ投影対物レンズにおける口径の最も大きなレンズは、第4のレンズ群LG4における第13のレンズ13であり、絞りASは第4のレンズ群LG4に位置し、且つ第13のレンズ13と第14のレンズ14との間に位置し、絞りASを第4のレンズ群LG4に設け、且つ絞りASをリソグラフィ投影対物レンズにおける口径の最も大きなレンズとリソグラフィ投影対物レンズにおける口径の最も大きなレンズと隣接するレンズとの間に設け、絞りASと口径の最も大きなレンズとの距離を最も近くする(絞りASと第13のレンズ13との間に他のレンズがない)ことにより、リソグラフィ投影対物レンズの開口数の調整の利便性が向上する。絞りASによってリソグラフィ投影対物レンズの開口数を調整でき、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの開口数(Numerical Aperture,NA)は0.5≦NA≦0.82を満たすことを理解できる。
【0045】
図2は、本発明の実施例に係る平行平板の光路模式図であり、図1及び図2を参照し、第5のレンズ群LG5のいずれか1枚のレンズの入光面及び出光面はいずれも平面である。つまり、第5のレンズ群LG5におけるレンズはいずれも平行平板であり、例えば、平板ガラスを使用してもよく、第5のレンズ群LG5のいずれか1枚のレンズの屈折力は0である。このような設計の利点は、収差を最小に確保しながら、リソグラフィ投影対物レンズの最後端のビーム口径を最大限に縮小することにより、リソグラフィ投影対物レンズの像面に近い最後端の部品のサイズをより小さく、よりコンパクトにすることである。
【0046】
例示的に、図2を参照し、第1の光線L1及び第2の光線L2は、平板ガラスPが配置されていないときに、図2の点線に沿って伝播し、点Aで交差し、第1の光線L1及び第2の光線L2は、平板ガラスPが配置されたときに平板ガラスPの一側表面を照射し、平板ガラスPの一側表面で屈折してから、平板ガラスPに伝播し続け、その後、平板ガラスPの他側表面で屈折してから空気に伝播し、点Bで交差する。平板ガラスPの屈折作用のため、点Aと平板ガラスPとの間の距離D1と、点Bと平板ガラスPとの間の第2の距離D2とは、D>Dである。第1の光線L1と第2の光線L2とをビームの縁部と見なしたときに、平板ガラスPの存在によりビーム口径が縮小されることを容易に視認できる。
【0047】
好ましくは、図1を参照し、第1のレンズ群LG1は変形レンズ用補償器を含み、変形レンズ用補償器は第1のレンズ群LG1の1枚のレンズであり、変形レンズ用補償器のアスペクト比は9~10であり、すなわち、変形レンズ用補償器のアスペクト比は、9:1から10:1までのいずれか1つの数値であってもよく、且つ両端の値の9:1及び10:1を含む。変形レンズ用補償器の第1の表面の有効光通過口径はφであり、変形レンズ用補償器の第2の表面の有効光通過口径はφであり、変形レンズ用補償器の第2の表面は変形レンズ用補償器の第1の表面と第2のレンズ群LG2との間に位置し、φ-φ>20mmである。変形レンズ用補償器の第1の表面は変形レンズ用補償器の前表面と称してもよく、変形レンズ用補償器の第2の表面は変形レンズ用補償器の後表面と称してもよい。本発明の実施例に係る変形レンズ用補償器は、その第1の表面及び第2の表面の有効光通過口径が大きく異なり、且つアスペクト比の範囲は9~10であり、リソグラフィ投影対物レンズにおける他のレンズが使用過程に発生した変形を補償でき、これによりリソグラフィ投影対物レンズの通常の使用を確保する。ここで、アスペクト比はレンズの最大口径と厚みとの比率である。例示的に、レンズの前表面の口径は該レンズの後表面の口径よりも小さいと、該レンズのアスペクト比は該レンズの後表面の口径と厚みとの比率である。
【0048】
例示的に、図1を参照し、第1のレンズ群LGにおける第1のレンズ1は変形レンズ用補償器である。
【0049】
例示的に、図1を参照し、本発明の実施例はリソグラフィ投影対物レンズを提供しており、第1のレンズ群LG1は3枚のレンズを含み、第1のレンズ群LG1は、光軸に沿って順に配列された第1のレンズ1と第2のレンズ2と第3のレンズ3とを含む。第1のレンズ1及び第3のレンズ3は負の屈折力を有する負レンズであり、第2のレンズ2は正の屈折力を有する正レンズである。第1のレンズ群LG1における3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、第1のレンズ群LG1における第1のレンズ1と第2のレンズ2とは非球面レンズである。第2のレンズ群LG2は4枚のレンズを含む。第2のレンズ群LG2は、光軸に沿って順に配列された第4のレンズ4と、第5のレンズ5と、第6のレンズ6と、第7のレンズ7とを含み、第2のレンズ群LG2におけるレンズはいずれも正の屈折力を有する正レンズである。第2のレンズ群LG2に非球面レンズがない。第3のレンズ群LG3は3枚のレンズを含み、第3のレンズ群LG3は、光軸に沿って順に配列された第8のレンズ8と、第9のレンズ9と、第10のレンズ10とを含む。第3のレンズ群LG3におけるレンズはいずれも負の屈折力を有する負レンズである。第3のレンズ群LG3の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、第8のレンズ8及び第10のレンズ10は非球面レンズである。第4のレンズ群は7枚のレンズを含み、第4のレンズ群LG4は、光軸に沿って順に配列された第11のレンズ11と、第12のレンズ12と、第13のレンズ13と、第14のレンズ14と、第15のレンズ15と、第16のレンズ16と、第17のレンズ17とを含む。第14のレンズ14は負の屈折力を有する負レンズであり、第4のレンズ群LG4には、第14のレンズ14以外のレンズは正の屈折力を有する正レンズである。第4のレンズ群LG4の7枚のレンズに3枚の非球面レンズがある。第11のレンズ11、第14のレンズ14及び第16のレンズ16は非球面レンズである。第5のレンズ群LG5は2枚のレンズを含む。第5のレンズ群LG5は、光軸に沿って順に配列された第18のレンズ18と第19のレンズ19とを含み、第18のレンズ18及び第19のレンズ19の屈折力はいずれも0であり、第18のレンズ18及び第19のレンズ19は平板ガラスであってもよい。本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの開口数は0.82に達することができ、画像形成ビームの波長は248.3271nmであってもよく、波長帯域は0.35pmであり、倍率は-1/4であり、像側半視野高さは54.6mmであり、レンズの最大口径は274mmであり、最大非球面レンズの口径は255mmであり、非球面レンズの数は7枚であり、レンズの数は19枚である。非球面平均乖離度は0.21mmであり、非球面最大乖離度は0.46mmであり、像側テレセントリックは1.1μradであり、非球面平均勾配は0.019であり、非球面最大勾配は0.034であり、最大光線角度は50度であり、波面収差二乗平均平方根(Root Mean Square,RMS)(視野内の平均値)は0.0073個の波長であり、歪み(視野内の平均値)は1.5nmであり、変形レンズ用補償器のアスペクト比は9:1であり、リソグラフィ投影対物レンズの像面から66mmの距離での最大(本発明の実施例は像面から66mmの距離を例にとって説明し、他の実施形態では、他の位置を選択して異なるリソグラフィ投影対物レンズの有効光通過口径を比較してもよい)の有効光通過口径は127.5mmである。関連技術において、リソグラフィ投影対物レンズの像面から66mmの距離での有効光通過口径は通常、170mmの程度であり、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズはより小さい底部サイズを有することにより、他の部品のレイアウトのためにより多くの空間を残す。本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの実際の使用シナリオでは、より小さい底部サイズが焦点調節装置及びレベリング装置などの部品のためにより多くの空間を残すことができ、これにより本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズは2つの作業台を含むリソグラフィ装置に適用可能であり、2つの作業台を含むリソグラフィ装置は、1つの作業台のみを含むリソグラフィ装置と比較して、2つの作業台上のワークピースに対するリソグラフィを実現可能であるため、リソグラフィ装置の作業効率が向上する。好ましくは、リソグラフィ投影対物レンズの物像共役距離は1100mm以下である。物像共役距離は光刻投影の物平面と像平面との間の距離である。関連技術において、リソグラフィ投影対物レンズの物像共役距離は通常、1250mmの程度であり、本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズはより小さい物像共役距離を有することにより、リソグラフィ投影対物レンズの長さを短縮できる。
【0050】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0051】
表1はリソグラフィ投影対物レンズの具体的な設計値を示し、その具体的な数値は、製品の要求に応じて調整可能であり、本発明の実施例に対する限定するものではない。表1に示すリソグラフィ投影対物レンズは図1に示すものであってもよい。1枚のレンズは一般に2つの表面を含み、それぞれの表面は1つの屈折面である。表1における番号は複数枚のレンズの表面に従って番号が付かれた。ただし、番号「1」は物面を示し、番号「41」は像面を示し、番号「28」は絞りを示す。正の半径値は曲率中心が表面の像面に近い側にあることを示し、負の半径値は曲率中心が表面の物面に近い側にあることを示す。「厚み」の欄における数値は現在の表面から次の表面までの軸方向における距離を示す。屈折率は中心波長が248.3271nmであるときの屈折率である。レンズ材料は、‘silica’と表示される溶融シリカ材料であってもよく、「レンズ材料」の欄の空欄は空気を示す。「屈折率」の欄の空欄は空気の屈折率を示す。溶融シリカ材料の屈折率は空気に対する屈折率である。
【0052】
本発明の例示的な実施形態では、非球面はQタイプ(Q-type)の非球面多項式により表示されてもよい。Q-type非球面多項式は次のとおりである。
【数1】
ただし、zは、表面のZ方向の軸方向矢高であり、
【数2】
は最適近似球面の曲率であり、
【数3】
、x及びyの対角線上の径方向距離であり、x及びyはそれぞれX方向及びY方向における座標値であり、X方向、Y方向及びZ方向はデカルト座標系に準拠し、kは最適近似円錐の円錐係数であり、uは正規化径方向距離であり、aは多項式係数であり、
【数4】
は、aを係数としたmステージの直交ヤコビアン(jacobi)多項式である。
【0053】
【表2-1】
【表2-2】
【0054】
表2はリソグラフィ投影対物レンズにおける非球面の具体的な設計値であり、表2における「表面2」、「表面4」、「表面17」、「表面20」、「表面22」、「表面29」及び「表面34」と表1における番号「2」、「4」、「17」、「20」、「22」、「29」及び「34」とは一対一に対応する。表2に示されていないQ-type非球面多項式における対応するパラメータは、当技術分野で周知である。表2の「パラメータ」の欄の複数のパラメータはQ-type非球面多項式と一致する。
【0055】
図3は、図1に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図であり、図1及び図3を参照し、収差が除去済み、視野内の画像形成が良好である。
【0056】
図4は、図1に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図であり、図1及び図4を参照し、歪みが除去済み、視野内の画像形成が良好である。ただし、図3及び図4の横軸はX物側視野高さであり、X方向における物側視野高さを示し、横軸の単位はmmであり、図3及び図4の縦軸はY物側視野高さであり、Y方向における物側視野高さを示し、縦軸の単位はmmである。
【0057】
実施例2
図5は、本発明の実施例に係る他のリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図であり、実施例2と実施例1との共通点はここで省略し、図5における符号は図1における符号と一致し、共通点はここで省略し、図5を参照し、第1のレンズ群LG1は3枚のレンズを含み、第1のレンズ群LG1は、光軸に沿って順に配列された第1のレンズ1と第2のレンズ2と第3のレンズ3とを含む。第1のレンズ1、第2のレンズ2及び第3のレンズ3はいずれも負の屈折力を有する負レンズである。第1のレンズ群LG1の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがあり、第1のレンズ群LG1における第1のレンズ1及び第3のレンズ3は非球面レンズである。第2のレンズ群LG2は4枚のレンズを含む。第3のレンズ群LG3は3枚のレンズを含む。第3のレンズ群LG3の3枚のレンズに2枚の非球面レンズがある。第4のレンズ群は7枚のレンズを含み、第4のレンズ群LG4は、光軸に沿って順に配列された第11のレンズ11と、第12のレンズ12と、第13のレンズ13と、第14のレンズ14と、第15のレンズ15と、第16のレンズ16と、第17のレンズ17とを含む。第15のレンズ15は負の屈折力を有する負レンズであり、第4のレンズ群LG4には、第15のレンズ15以外のレンズは正の屈折力を有する正レンズである。第4のレンズ群LG4の7枚のレンズに4枚の非球面レンズがある。第11のレンズ11、第12のレンズ12、第15のレンズ15及び第17のレンズ17は非球面レンズである。第5のレンズ群LG5は2枚のレンズを含む。本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの開口数は0.82に達することができ、画像形成ビームの波長は248.3271nmであってもよく、波長帯域は0.35pmであり、倍率は-1/4であり、像側半視野高さは54.4mmであり、レンズの最大口径は281mmであり、最大非球面レンズの口径は237mmであり、非球面レンズの数は8枚であり、レンズの数は19枚である。非球面平均乖離度は0.29mmであり、非球面最大乖離度は0.44mmであり、像側テレセントリックは0.9μradであり、非球面平均勾配は0.03であり、非球面最大勾配は0.045であり、最大光線角度は51.2度であり、波面収差RMS(視野内の平均値)は0.0045個の波長であり、歪み(視野内の平均値)は1.6nmであり、変形レンズ用補償器のアスペクト比は9:1であり、リソグラフィ投影対物レンズの像面から66mmの距離での最大の有効光通過口径は128.9mmである。
【0058】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0059】
表3はリソグラフィ投影対物レンズの他の具体的な設計値を示し、その具体的な数値は、製品の要求に応じて調整可能であり、本発明の実施例に対する限定するものではない。表3に示すリソグラフィ投影対物レンズは図5に示すものであってもよい。1枚のレンズは一般に2つの表面を含み、それぞれの表面は1つの屈折面である。表3における番号は複数枚のレンズの表面に従って番号が付かれた。ただし、番号「1」は物面を示し、番号「41」は像面を示し、番号「27」は絞りを示す。正の半径値は曲率中心が表面の像面に近い側にあることを示し、負の半径値は曲率中心が表面の物面に近い側にあることを示す。「厚み」の欄における数値は現在の表面から次の表面までの軸方向における距離を示す。屈折率は中心波長が248.3271nmであるときの屈折率である。レンズ材料は、‘FS_22_N2’と表示される溶融シリカ材料であってもよく、「レンズ材料」の欄の空欄は窒素ガスを示す。「レンズ材料」の欄の‘A_22_N2’は空気を示す。「屈折率」の欄の空欄は窒素ガスの屈折率を示す。溶融シリカ材料の屈折率は窒素ガスに対する屈折率である。実施例2に係る溶融シリカ材料の屈折率は窒素ガスに対する屈折率であるが、実施例1に係る溶融シリカ材料の屈折率は空気に対する屈折率であるため、区別するために、実施例2で実施例1とは異なる符号で表示される。
【0060】
本発明の例示的な実施形態では、非球面は通常の非球面多項式により表示されてもよく、具体的には次のとおりである。
【数5】
ただし、zは、表面のZ方向の軸方向矢高であり、
【数6】
、x及びyの対角線上の径方向距離であり、x及びyはそれぞれX方向及びY方向における座標値であり、X方向、Y方向及びZ方向はデカルト座標系に準拠し、kは最適近似円錐の円錐係数であり、cは最適近似球面の曲率である。
【数7】
はいずれも非球面係数である。
【0061】
【表4-1】
【表4-2】
【0062】
表4はリソグラフィ投影対物レンズにおける非球面の他の具体的な設計値であり、表4における「表面2」、「表面5」、「表面16」、「表面19」、「表面21」、「表面23」、「表面31」及び「表面35」と表3における番号「2」、「5」、「16」、「19」、「21」、「23」、「31」及び「35」とは一対一に対応する。
【0063】
図6は、図5に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図であり、図5及び図6を参照し、収差が除去済み、視野内の画像形成が良好である。
【0064】
図7は、図5に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図であり、図5及び図7を参照し、歪みが除去済み、視野内の画像形成が良好である。ただし、図6及び図7の横軸はX物側視野高さであり、X方向における物側視野高さを示し、横軸の単位はmmであり、図6及び図7の縦軸はY物側視野高さであり、Y方向における物側視野高さを示し、縦軸の単位はmmである。
【0065】
実施例3
図8は、本発明の実施例に係る他のリソグラフィ投影対物レンズの構造模式図であり、実施例3と実施例1との共通点はここで省略し、図8における符号は図1における符号と一致し、共通点はここで省略する。
【0066】
本発明の実施例に係るリソグラフィ投影対物レンズの開口数は0.82に達することができ、画像形成ビームの波長は248.3271nmであってもよく、波長帯域は0.35pmであり、倍率は-1/4であり、像側半視野高さは54.6mmであり、レンズの最大口径は272mmであり、最大非球面レンズの口径は227mmであり、非球面レンズの数は4枚であり、レンズの数は19枚である。非球面平均乖離度は0.43mmであり、非球面最大乖離度は0.59mmであり、波面収差RMS(視野内の平均値)は0.0167個の波長であり、歪み(視野内の平均値)は0.3nmであり、リソグラフィ投影対物レンズの像面から66mmの距離での最大の有効光通過口径は126.9mmである。
【0067】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0068】
表5はリソグラフィ投影対物レンズの他の具体的な設計値を示し、その具体的な数値は、製品の要求に応じて調整可能であり、本発明の実施例に対する限定するものではない。表5に示すリソグラフィ投影対物レンズは図8に示すものであってもよい。1枚のレンズは一般に2つの表面を含み、それぞれの表面は1つの屈折面である。表5における番号は複数枚のレンズの表面に従って番号が付かれた。ただし、番号「1」は物面を示し、番号「40」は像面を示し、番号「28」は絞りを示す。正の半径値は曲率中心が表面の像面に近い側にあることを示し、負の半径値は曲率中心が表面の物面に近い側にあることを示す。「厚み」の欄における数値は現在の表面から次の表面までの軸方向における距離を示す。屈折率は中心波長が248.3271nmであるときの屈折率である。レンズ材料は、‘Silica’と表示される溶融シリカ材料であってもよく、「レンズ材料」の欄の空欄は空気を示す。「屈折率」の欄の空欄は空気の屈折率を示す。溶融シリカ材料の屈折率は空気に対する屈折率である。
【0069】
実施例3における非球面はQ-typeの非球面多項式により表示され、非球面多項式の表示及び定義と実施例1における表示及び定義との共通点はここで省略し、詳細については、実施例1における非球面のQ-type非球面多項式の表示及び定義を参照する。
【0070】
【表6】
【0071】
表6はリソグラフィ投影対物レンズにおける非球面の他の具体的な設計値を示し、表6における「表面2」、「表面5」、「表面20」及び「表面34」と表5における番号「2」、「5」、「20」及び「34」とは一対一に対応する。表6に示されていないQ-type非球面多項式における対応するパラメータは、当技術分野で周知である。表6の「パラメータ」の欄の複数のパラメータはQ-type非球面多項式と一致する。
【0072】
図9は、図8に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野内の波面収差分布図であり、図8及び図9を参照し、収差が除去済み、視野内の画像形成が良好である。
【0073】
図10は、図8に示すリソグラフィ投影対物レンズの視野の重心歪み分布図であり、図8及び図10を参照し、歪みが除去済み、視野内の画像形成が良好である。ただし、図9及び図10の横軸はX物側視野高さであり、X方向における物側視野高さを示し、横軸の単位はmmであり、図9及び図10の縦軸はY物側視野高さであり、Y方向における物側視野高さを示し、縦軸の単位はmmである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10