(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】エアロゾル化可能材料用容器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20230502BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20230502BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/30
(21)【出願番号】P 2021545884
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2019086688
(87)【国際公開番号】W WO2020164785
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベル, サリー
(72)【発明者】
【氏名】ベトソン, タチアナ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-201514(JP,A)
【文献】特表2019-501034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251727(US,A1)
【文献】特表2019-501772(JP,A)
【文献】特開2001-233334(JP,A)
【文献】特表2016-500740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能媒体生成デバイスであって、
第1のエアロゾル化可能材料を保持する容器と、
前記容器内に保持された、前記第1のエアロゾル化可能材料を揮発させるヒータと、
第2のエアロゾル化可能材料を保持するチャンバであり、チャンバの内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備えるチャンバと、
出口とを具備し、
使用時に、前記第1及び第2のエアロゾル化可能材料の成分を蒸気及び/又はエアロゾルの形態で含む吸入可能媒体が生成されて、前記出口を通過するように構成されたデバイス。
【請求項2】
前記チャンバの前記内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックから形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
使用時に、前記第1のエアロゾル化可能材料が前記ヒータによって揮発されて蒸気及び/又はエアロゾルを形成し、前記蒸気及び/又はエアロゾルが、前記第2のエアロゾル化可能材料を収容する前記チャンバを通過し、前記第2のエアロゾル化可能材料の1つ又は複数の成分を取り込むことによって、前記出口を通過する吸入可能媒体を形成するように構成された、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コポリエステルプラスチックが以下のモノマー、すなわち
(i)ジ-メチルテレフタレート(DMT)、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、及び
(iii)2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)
から形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記容器内の第1のエアロゾル化可能材料と、前記チャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料とを含み、
前記第1のエアロゾル化可能材料が液体又はゲルを含み、及び/又は
前記第1のエアロゾル化可能材料がニコチンを含まず、及び/又は
前記第2のエアロゾル化可能材料がニコチンを含み、及び/又は
前記第2のエアロゾル化可能材料がpHが7を超えるタバコを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
タバコ容器のタバコ接触面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備える、タバコ容器。
【請求項7】
前記
タバコ容器の内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックから形成される、請求項6に記載のタバコ容器。
【請求項8】
前記コポリエステルプラスチックが以下のモノマー、すなわち、
(i)ジ-メチルテレフタレート(DMT)、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、及び
(iii)2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)
から形成される、請求項6又は請求項7に記載のタバコ容器。
【請求項9】
前記
タバコ容器が前記BPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックから実質的に形成される、請求項6~8のいずれか一項に記載のタバコ容器。
【請求項10】
タバコ
組成物が前記
タバコ容器に含まれる、請求項6~9のいずれか一項に記載のタバコ容器。
【請求項11】
前記タバコ
組成物におけるタバコのpHが7を超える、請求項10に記載のタバコ容器。
【請求項12】
吸入可能媒体生成デバイスにおいて使用されるカートリッジであって、容器内の第1のエアロゾル化可能材料とチャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料とを具備し、前記チャンバの内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備える、カートリッジ。
【請求項13】
使用時に、前記第1のエアロゾル化可能材料の揮発によって形成される蒸気及び/又はエアロゾルが前記チャンバを通過することによって、1つ又は複数の成分を前記第2のエアロゾル化可能材料から取り込んで吸入可能媒体を生成するように構成された、請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
(i)エアロゾル化可能な液体を収容する液体ポッドと、
(ii)請求項10又は請求項11に記載のタバコ容器とを備えるキットであって、
前記液体ポッド及びタバコ容器が、吸入可能媒体の生成に使用するデバイスにおいて使用されるように構成されており、前記デバイスが、使用時に(i)前記液体ポッドから蒸気及び/又はエアロゾルの形態で揮発した液体と(ii)前記タバコ組成物の1つ又は複数の成分とを含む吸入可能媒体が生成されるように構成された、キット。
【請求項15】
タバコのニコチンロスを低減するための、タバコ容器におけ
るタバコ接触面としてのBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックの使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、それだけには限らないが吸入可能媒体生成デバイス、吸入可能媒体生成デバイスにおいて使用されるカートリッジ、タバコ容器、及びキットに関する。
【0002】
[背景]
紙巻タバコ及び葉巻タバコなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。これらの種類の物品の代替品は、燃焼をせずに化合物を放出して吸入可能媒体を形成する。
【0003】
当該製品の例は、電子タバコハイブリッドデバイスとしても知られている、eシガレット/非燃焼加熱式ハイブリッドデバイスを含む加熱式デバイスである。これらのハイブリッドデバイスは、加熱によって気化して、吸入可能な蒸気又はエアロゾルを生成する液体を収容する。該液体は、加香剤及び/又はエアロゾル生成物質、例えばグリセロール、及び場合によってはニコチンを含んでいてもよい。蒸気又はエアロゾルは、デバイス内の材料を通過し、基質材料の1つ又は複数の成分を取り込んで吸入媒体を生成する。基質材料は、例えば、ニコチンを含んでいてもいなくてもよいタバコ、他の非タバコ製品又は組み合わせ、例えば配合混合物であってもよい。
【0004】
[概要]
本発明の第1の態様は、吸入可能媒体生成デバイスであって、
第1のエアロゾル化可能材料を保持する容器と、
容器内に保持された第1のエアロゾル化可能材料を揮発させるヒータと、
第2のエアロゾル化可能材料を保持するチャンバであり、チャンバの内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備えるチャンバと、
出口とを具備し、
使用時に、第1及び第2のエアロゾル化可能材料の成分を蒸気及び/又はエアロゾルの形態で含む吸入可能媒体が生成されて、出口を通過するように構成されたデバイスを提供する。
【0005】
本明細書に記載のデバイスは、電子タバコハイブリッドデバイスと称してもよい。いくつかの例において、第1のエアロゾル化可能材料は、液体又はゲル、好適には液体であってもよい。いくつかの例において、第2のエアロゾル化可能材料は、固体又はゲル、好適にはニコチン含有固体、例えばタバコであってもよい。
【0006】
本発明の第2の態様は、タバコ接触面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備えるタバコ容器を提供する。好適には、容器が、本明細書に記載の吸入可能媒体生成デバイスにおいて使用されるように構成されていてもよい。
【0007】
本発明の第3の態様は、吸入可能媒体生成デバイスにおいて使用されるカートリッジであって、容器内の第1のエアロゾル化可能材料とチャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料とを具備し、チャンバの内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備えるカートリッジを提供する。好適には、カートリッジは、本明細書に記載の吸入可能媒体生成デバイスにおいて使用されるように構成されていてもよい。
【0008】
本発明のさらなる態様は、
(i)エアロゾル化可能な液体を収容する液体ポッドと、
(ii)本発明の第2の態様による、タバコを収容するタバコ容器と、
を備えるキットであって、
前記液体ポッド及びタバコ容器が、吸入可能媒体の生成に使用するデバイスにおいて使用されるように構成されており、前記デバイスが、使用時に(i)前記液体ポッドから蒸気及び/又はエアロゾルの形態で揮発した液体と(ii)前記タバコ組成物の1つ又は複数の成分とを含む吸入可能媒体が生成されるように構成されたキットを提供する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、タバコのニコチンロスを低減するための、タバコ容器におけるタバコ接触面としてのBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックの使用を提供する。
【0010】
いくつかの例において、デバイス、カートリッジ又はタバコ容器は、使用時に、第1のエアロゾル化可能材料が、ヒータによって揮発され、蒸気及びエアロゾルのうちの少なくとも1つの形で第2のエアロゾル化可能材料を通過することによって、1つ又は複数の成分を第2のエアロゾル化可能材料から取り込み、出口から排出される吸入可能媒体を生成するように構成される。
【0011】
本発明の一態様に関連して記載される特徴は、両立する範囲で、あらゆる他の態様と組み合わせて明示的に開示される。例えば、デバイス、カートリッジ、タバコ容器及びキットに関連して記載される特徴は、デバイス、カートリッジ、タバコ容器及びキットのうちの他の特徴の各々と組み合わせて明示的に開示される。詳細には、本明細書に記載のエアロゾル化可能材料及びBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチック材料の特徴は、本発明の実施形態におけるデバイス、カートリッジ、容器及びキットと組み合わせて明示的に開示される。同様に、装置に関連して記載される特徴は、本発明の方法及び使用の態様と組み合わせて明示的に開示され、その逆も同じである。
【0012】
本発明の特徴及びさらなる利点は、添付の図面を参照しながら例示のみを目的として示される本発明の好適な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0013】
本発明による吸入可能媒体生成デバイス、カートリッジ及びタバコ容器の例を、添付の図面を参照しながら以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】吸入可能媒体生成デバイスの一例の概略的な縦断面図を示す。
【
図2】吸入可能媒体生成デバイスの別の例の概略的な縦断面図を示す。
【
図3】吸入可能媒体生成デバイスの別の例の概略的な縦断面図を示す。
【
図4】液体容器及び一体型固形材料容器を有するカートリッジの一例の概略的な縦断面図を示す。
【
図5】液体容器及び着脱式固形材料容器を有するカートリッジの一例の概略的な縦断面図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による容器及び比較容器に保存されたタバコ材料からのニコチンロスを示す。
【
図7】本発明の一実施形態による容器及び比較容器に保存されたタバコ材料からのニコチン送達を示す。
【0015】
[詳細な説明]
タバコは、タバコからのニコチンの放出を容易にするために、塩基及び水で処理することができる。ニコチンは、塩基との反応によってタバコ内のニコチン塩から放出される。次いで、ニコチンは、使用時により低温で揮発される。
【0016】
本発明は、ハイブリッドデバイスからのニコチン送達の改善に関する。発明者等は、公知のデバイスにおいて、使用前のタバコのニコチンロスが顕著であることを確認した。理論に縛られることを望まないが、揮発性ニコチンは、タバコを保持する容器の壁に吸収されると考えられる。特に、公知のデバイスには塩基処理されたニコチンが含まれていると考えられる(pH処理により、ニコチンが塩形態から放出される)。遊離ニコチンはより揮発性が高いため、使用時により容易にエアロゾルに取り込まれるが、この揮発性の増大により、使用前のニコチンロスが増加すると考えられた。
【0017】
発明者らは、また、公知のタバコ容器に使用されるプラスチック成分が、成分をタバコに浸出させることがあることを確認した。
【0018】
本発明は、タバコ接触面におけるBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックの使用に関する。これにより、タバコへのプラスチック成分の浸出が最小限に抑えられることが判明した。当該プラスチックは、タバコ、特に塩基処理されたタバコのニコチンロスを最小限に抑えることも判明した。
【0019】
上述の通り、本発明の第1の態様は、吸入可能媒体生成デバイスであって、
第1のエアロゾル化可能材料を保持する容器と、
容器内に保持された第1のエアロゾル化可能材料を揮発させるヒータと、
第2のエアロゾル化可能材料を保持するチャンバであり、チャンバの内面がBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックを備えるチャンバと、
出口とを具備し、
使用時に、第1及び第2のエアロゾル化可能材料の成分を蒸気及び/又はエアロゾルの形で含む吸入可能媒体が生成されて、出口を通過するように構成されたデバイスを提供する。
【0020】
本明細書に記載のデバイスは、電子タバコハイブリッドデバイスと称してもよい。いくつかの例において、第1のエアロゾル化可能材料は、液体又はゲル、好適には液体であってもよい。いくつかの例において、第2のエアロゾル化可能材料は、固体又はゲル、好適にはニコチン含有固体、例えばタバコであってもよい。
【0021】
いくつかの例において、チャンバの内面は、BPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックから形成される(すなわち当該プラスチックから実質的になるか又は当該プラスチックからなる)。いくつかの例において、チャンバは、BPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックからなる壁から形成される。
【0022】
いくつかの例において、コポリエステルプラスチックは、
(i)ジ-メチルテレフタレート(DMT)、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、及び
(iii)2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)
から選択されるモノマーを含む。
【0023】
いくつかの例において、コポリエステルプラスチックは、以下のモノマー
(i)ジ-メチルテレフタレート(DMT)、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、及び
(iii)2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)
の各々を含む。
【0024】
いくつかの例において、コポリエステルプラスチックは、以下のモノマー
(i)ジ-メチルテレフタレート(DMT)、
(ii)1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、及び
(iii)2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)
から形成される(すなわち当該モノマーから実質的になるか又は当該モノマーからなる)。
【0025】
いくつかの例において、該デバイスは、容器内の第1のエアロゾル化可能材料及びチャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料を含む。
【0026】
いくつかの例において、第1のエアロゾル化可能材料は液体又はゲルである。いくつかの特定の例において、第1のエアロゾル化可能材料はニコチンを含まない。第1のエアロゾル化可能材料は、好適には、グリセロール又はプロピレングリコールなどのエアロゾル発生剤を含む液体であってもよい。第1のエアロゾル化可能材料は追加的に香味料及び/又は水を含んでいてもよい。一般的には、好適な液体としては、eシガレットデバイスに従来使用されているものが挙げられる。該液体は、典型的には150~250℃前後で揮発される。
【0027】
いくつかの例において、第2のエアロゾル化可能材料はニコチンを含む。いくつかの例において、第2のエアロゾル化可能材料はタバコ材料を含む。いくつかの特定の例において、第2のエアロゾル化可能材料は、pHが7を超え、好適には8を超え、好適には8~10の範囲であるタバコ材料を含む。タバコのpHは、任意の好適な塩基、例えば、ナトリウム、カリウム及びカルシウムの水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩、並びにそれらの混合物による処理によって高められてもよい。いくつかの例において、タバコ材料は、エアロゾル又は蒸気がタバコ材料を通過できるように多孔質であってもよい。したがって、タバコ材料の成分は、エアロゾル/蒸気がタバコ材料を通過する際にエアロゾル/蒸気に効率的に取り込まれる。
【0028】
本明細書に用いられている用語「タバコ材料」は、タバコ又はその誘導体を含む任意の材料を指す。用語「タバコ材料」は、タバコ、タバコ誘導体、膨化タバコ、再生タバコ又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含むことができる。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコの茎、再生タバコ、塊化タバコ、球形化タバコ及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0029】
タバコ材料の生産に使用されるタバコは、バージニア及び/又はバーリー及び/又はオリエンタルを含む単一グレード若しくはブレンド、刻みラグ又は全葉などの任意の好適なタバコであってもよい。タバコは、タバコ粒子の「微粉末」又は粉末、膨化タバコ、茎、膨化茎、及び刻み圧延茎などの他の加工茎材料であってもよい。タバコ材料は、挽きタバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含んでいてもよく、一体成型、タバコ抽出物の後方添加を伴うフォードリニア型抄紙型手法、又は押出によって形成されてもよい。
【0030】
第2のエアロゾル化可能材料は、追加的に、加香剤及び/又はエアロゾル生成剤及び/又はケーシングを含んでいてもよい。好適なケーシングとしては、転化糖、糖蜜、甘蔗糖、ハチミツ、ココア、甘草、グリセロール及びプロピレングリコールなどのポリオール、並びにリンゴ酸などの酸が挙げられる。
【0031】
本発明のいくつかの例によるデバイスは、使用時に、第1のエアロゾル化可能材料が、ヒータによって揮発され、蒸気及びエアロゾルのうちの少なくとも1つの形で第2のエアロゾル化可能材料を通過することによって、1つ又は複数の成分を第2のエアロゾル化可能材料から取り込み、出口から排出される吸入可能媒体を生成するように構成されていてもよい。
【0032】
他の例では、吸入可能媒体を形成するために、第1のエアロゾル化可能材料を保持する容器からの流路を、第2のエアロゾル化可能材料から流れる別の流路と組み合わせてもよい。換言すれば、いくつかの例のデバイスにおいて、第1のエアロゾル化可能材料の揮発によって形成されるエアロゾル/蒸気は、第2のエアロゾル化可能材料を保持するチャンバを通過しない。
【0033】
いくつかの例において、該デバイスは、第2のエアロゾル化可能材料を加熱してタバコの成分を揮発させ、第1のエアロゾル及び/又は蒸気を形成するための手段を備える。第1のエアロゾル化可能材料を揮発させて第2の蒸気及び/又はエアロゾルを形成してもよく、第2の蒸気及び/又はエアロゾルを第1の蒸気及び/又はエアロゾルと組み合わせて吸入可能媒体を形成してもよい。いくつかの例において、1つのヒータが両方のエアロゾル化可能材料を加熱してもよい。いくつかの例において、該デバイスは、ヒータが第1のエアロゾル化可能材料のみ直接加熱し、第2のエアロゾル化可能材料は揮発された第1の材料から形成される蒸気/エアロゾルに持ち越される温熱によって加熱される(それにより、後で蒸気/エアロゾルの流れに取り込まれる、第2の材料の成分を揮発させる)ように構成されていてもよい。
【0034】
一実施形態において、該デバイスは、ヒータの下流及びチャンバの上流に、気化した第1のエアロゾル化可能材料の成分を冷却して、使用時にチャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料を通過する液滴のエアロゾルを形成するように構成された冷却装置又は冷却ゾーンを備える。冷却装置は、実質的に、蒸気からの熱回収を可能にする熱交換器として作用するように構成されていてもよい。回収された熱を使用して、例えば、第2のエアロゾル化可能材料を予熱する、及び/又は第1の材料の加熱を補助することができる。
【0035】
一実施形態において、該デバイスは、チャンバ内の第2のエアロゾル化可能材料を加熱する第2のヒータを備える。これにより、ヒータで第2のエアロゾル化可能材料を加熱することが可能となり、材料からの化合物の放出を促進し、任意選択で、加熱された第1のエアロゾル化可能材料のためにより低い温度を使用することが可能になる。
【0036】
一実施形態において、該デバイスはバッテリーで動作する。
【0037】
一実施形態において、各ヒータは電気抵抗式ヒータである。
【0038】
一実施形態において、第1のエアロゾル化可能材料用の容器は取り外し可能である。容器は、ポットなど(いくつかの実施形態においては例えば環状であってもよい)及び/又は吸収性の詰め物などの形態であってもよい。第1のエアロゾル化可能材料を収容する容器全体は、事実上、使用後に全体が交換される使い捨て製品であってもよい。あるいは、使用者が容器を該デバイスから取り外し、使用済み材料を交換するか又は材料を容器に補充し、次いで容器を該デバイスに戻すように構成してもよい。
【0039】
いくつかの例において、第1のエアロゾル化可能材料用の容器は、該デバイスから取り外しできなくてもよい。当該実施形態において、使用者は、必要に応じて、使用後に使用済み材料を交換するか又は容器に材料を補充するだけでよい。
【0040】
いくつかの例において、第1のエアロゾル化可能材料用の容器及び第2のエアロゾル化可能材料用のチャンバは、一体型ユニットである。いくつかの例において、一体型ユニットは、該デバイスから取り外し可能なカートリッジである。上述の通り、本発明の一態様は当該カートリッジを提供する。
【0041】
いくつかの例において、チャンバは該デバイスから取り外し可能である。チャンバは、例えば、使用前に第2のエアロゾル化可能材料を収容する容器又はポッドなどの形態であってもよい。第2のエアロゾル化可能材料を収容するチャンバは、事実上、使用後に全体が交換される使い捨て製品であってもよい。あるいは、使用者がチャンバを該デバイスから取り外し、使用済み材料を交換し、次いでチャンバを該デバイスに戻すように構成してもよい。この種の取り外し可能なチャンバは、タバコ容器と称してもよく、本発明のさらなる態様である。
【0042】
次に、本発明のいくつかの実施形態による、吸入可能媒体を生成するためのカートリッジ、タバコ容器及びデバイスの例を、添付図面を参考に説明する。
【0043】
図1を参照すると、吸入可能媒体生成デバイス1の例が示されている。広義には、デバイス1は、材料に由来する1つ又は複数の成分を含む吸入可能媒体を生成するように、液体を揮発させて、材料を通過する蒸気又はエアロゾルを形成する。
【0044】
この点において、最初に、蒸気は、概して、その臨界温度より低い温度で気相の物質であり、例えば、温度を下げなくてもその圧力を上昇させることによって蒸気を液体に凝縮できることを意味することに留意されたい。他方、概して、エアロゾルは、空気中又は別の気体中に存在する微細な固体粒子又は液滴のコロイドである。「コロイド」は、微視的に分散した不溶性粒子が別の物質の全体にわたって懸濁している物質である。
【0045】
再び
図1を参照すると、この例のデバイス1は、全体的に中空円筒形の外側ハウジング2を有する。ハウジング2は開口端3を有する。この例では、管状マウスピース4が開口端3に設けられる。この例におけるマウスピース4は、使用者によってハウジング2から取り外し可能である。Oリング又は他のシール5は、ハウジング2におけるマウスピース4の封止を補助する。以下にさらに説明するように、ハウジング2の他端6に、又は端部6に向かって、デバイス1の様々な構成要素に給電するバッテリー7が存在する。バッテリー7は、充電式バッテリー又は使い捨てバッテリーであってもよい。以下にさらに説明するように、デバイス1の様々な構成要素の動作を制御するためのコントローラ8も、ハウジング2に設けられる。
【0046】
ハウジング2は、液体10を保持又は収容する容器9を有する。種々の異なる形態を容器9に使用することができる。
図1の例において、容器9は、開口端3と他端6との間でハウジング2内に設けられる環状チャンバ9の形態である。この特定の例において、ハウジング2は2つの部品に分かれ、第1の部品2aが開口端3に向かい、第2の部品2bが他端6に向かう。ハウジング2の第1及び第2の部品2a及び2bは、ねじ山又は差し込み式取付具などによって互いに連結してもよい。使用時に、使用者はハウジング2の第1及び第2の部品2a及び2bを分離して、必要に応じて液体10を補充又は交換できるようにすることができる。或いは、マウスピース4を取り外して、容器9に触れられるようにすることができる。ただし、他の構成も可能であることが理解されるであろう。例えば、液体10を、全体をハウジング2から取り外すことができる個別の環状ポット状容器に供給してもよい。当該個別の容器は、使用者が液体10を含む新しい容器をハウジング2に填め込むことによって液体10を交換できるように使い捨てできるものであってもよい。或いは、当該容器は再利用可能であってもよい。当該例において、使用者は、ハウジング2から取り外された容器の液体10を補充又は交換し、次いで再充填された容器をハウジング2に戻してもよい。ハウジング2は2つの部分に分かれていなくてもよく、例えばその場での再充填を可能にするために、使用者が接触することを可能にする他の構成を設けてもよいことが理解されるであろう。
【0047】
ヒータ11は、一般的にはハウジング2の中央、つまり、この例においてはハウジング2の長さ及び幅に沿って中央に設けられる。この例において、ヒータ11はバッテリー7によって給電されるため、バッテリー7に電気的に接続される。ヒータ11は、例えばニクロム抵抗ヒータ、セラミックヒータなどを含む電気抵抗式ヒータであってもよい。ヒータ11は、例えばコイルの形態であってもよいワイヤ、プレート(その1つ又は複数が導電性であってもよく、その1つ又は複数が非導電性であってもよい複数の異なる材料からなる多層プレートであってもよい)、メッシュ(例えば織物又は不織物であってもよく、同様に多層であってもよい)、薄膜ヒータなどであってもよい。非電気加熱構成体を含む他の構成を使用してもよい。
【0048】
このヒータ11は、液体10を揮発させるために設けられる。記載の例において、環状ウィック12はヒータ11を取り囲み、ヒータ11と(熱的に)接触する。環状ウィック12の最も外側の面は、液体容器9に収容された液体10と接触する。ウィック12は全体的に吸収性であり、液体10を毛管現象作用によって容器9から引き込む役割を果たす。ウィック12は、好ましくは不織であり、例えば木綿若しくはウールなどの材料、又は例えばポリエステル、ナイロン若しくはビスコースなどを含む合成材料であってもよい。ウィックは、或いは、セラミック又は金属材料であってもよい。これを以下にさらに詳細に説明するが、ここで、使用時に、ウィック12に引き込まれた液体10がヒータ11によって加熱されることに留意されたい。液体10は、揮発されて液滴のエアロゾルを生成するか、又は十分に加熱されて蒸気を生成してもよい。そのように生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース4を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック12から排出され、マウスピース4に向かって移動する。ヒータ11及びウィック12は、加熱及びウィック作用が単一ユニットによって効果的に行われるように、「アトマイザ」と称されることもある、単一の、効果的には一体型製品として設けられてもよい。
【0049】
ハウジング2は、デバイス1においてタバコ組成物14を保持又は収容するチャンバ13をさらに含む。チャンバ13のタバコ接触面は、本明細書に記載されているコポリエステルプラスチックから形成される。
【0050】
使用時に、使用者はチャンバ13に触れて、マウスピース4の取り外し及び/又はハウジング2の2つの部品2a及び2bの分離により、ハウジング2の開口端3を通してタバコ組成物14を交換又は補充することができる。種々の異なる形態をチャンバ13に使用することができる。例えば、チャンバ13はそれぞれ、両端が完全に開口した、タバコ組成物14を収容する管であってもよい。別の例として、チャンバ13はそれぞれ、蒸気又はエアロゾルが通過し得る貫通穴を有する1つ又は複数の端部壁を有する管であってもよい。チャンバ13は、使用者がタバコ組成物14を取り外し交換する間、ハウジング2内の原位置に残留してもよい。或いは、タバコ組成物14を収容するチャンバ13は、使用時に全体がハウジング2に挿入されたりハウジング2から取り外されたりする個別の製品であってもよい。この種の取り外し可能なチャンバ13は、未使用のタバコ組成物を収容する新しいチャンバ13をハウジング2に填め込むことよって使用者がタバコ組成物14を交換するように使い捨てできるものであってもよい。あるいは、チャンバ13は再利用可能であってもよい。当該例において、使用者は、ハウジング2から取り外されている間にチャンバ13内のタバコ組成物14を交換し、次いで再充填されたチャンバ13をハウジング2に戻してもよい。さらに別の例において、チャンバ13は、ハウジング2の内部に設けられ、タバコ組成物を所定の位置に保持するクリップなどを備えていてもよい。いくつかの例において、タバコ組成物は単にチャンバ13内にぴったり収まる。あるいは、液体10を収容する容器9は、それ自体が、タバコ組成物14a、14bを支持又は担持するように構成されていてもよい。例えば、容器9は、タバコ組成物14を受け入れ所定の位置に保持するための1つ又は複数のクリップ又は管などを有していてもよい。液体10の収容及びタバコ組成物14の受け入れの両方を目的とする当該二重機能の容器9/チャンバ又はレセプタクル13は、カートリッジなどの形態であってもよく、使い捨て製品であるか、又は液体10及びタバコ組成物14を使用者が必要に応じて交換若しくは補充する、再利用できるものであってもよい。いくつかの例において、複数回の使用分の十分な液体10が供給され、使用者はタバコ組成物14を時々補充又は交換するだけで済む。液体10を消費し終えたら、使用者は二重機能の容器9/レセプタクル13a、13bを処分し、新品を使用する。同様に、複数回の使用分の十分なタバコ組成物が供給され、使用者は液体10を時々補充又は交換するだけで済む。タバコ組成物を消費し終えたら、使用者は二重機能の容器9/レセプタクル13a、13bを処分し、新品を使用する。二重機能の容器/レセプタクルの具体例を、以下に詳細に論ずる。
【0051】
タバコ組成物14は、ハウジング2において、エアロゾル又は蒸気が液体10から生成される場所の下流且つハウジング2の開口端3及びマウスピース4の上流に配置される。この特定の例では、タバコ組成物14は、ハウジング2におけるウィック12と同じ部分又はチャンバに効果的に供給される。液体10から生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース4を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック12から排出され、タバコ組成物14に向かって移動する。特定の実施形態において、エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物を通過し、次いでハウジング2の開口端3及びマウスピース4を通過するように、タバコ組成物は、多孔質である。エアロゾル又は蒸気によって運ばれる熱は、通過する蒸気/エアロゾルに後で取り込まれるニコチン及び他の揮発性物質のタバコ組成物からの揮発を増進する。
【0052】
いくつかの実施形態において、タバコ組成物14及び/又はそのチャンバ13は、エアロゾル又は蒸気の全体がタバコ組成物を通って流れるようにタバコ組成物/チャンバとハウジング2の内部との間に空隙が全く存在しないように構成される。
【0053】
液体10は、好適には、デバイス1の電力消費の低減に役立つように、適度な温度、好ましくは100~300℃以上の範囲、特に約150~250℃の範囲で揮発可能な液体である。好適な材料としては、例えばプロピレングリコール及びグリセロール(グリセリンとしても知られる)を含む、eシガレットデバイスに従来使用されている材料が挙げられる。
【0054】
タバコ組成物14は、液体10から生成されたエアロゾル又は蒸気がタバコ組成物14の上方又は内部を通る際に、エアロゾル又は蒸気に香料を付与する。エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物14を通過及びタバコ組成物14の上方を通る際に、高温のエアロゾル又は蒸気は、有機化合物及び他の化合物又は成分を、タバコに官能特性を与える材料から取り込むことにより、マウスピース4に向かって移動する途中のエアロゾル又は蒸気に香料を付与する。
【0055】
デバイス1は使用者のためのニコチンを提供する。ニコチンは、液体に供給されるか、タバコ組成物から得られるか、タバコ組成物の被覆などとして供給されるか、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの例において、液体はニコチンを含まない。同様に、加香剤をタバコ組成物及び/又は液体に添加してもよい。
【0056】
図1に記載の例では、タバコ組成物から有機化合物及び他の化合物又は成分を生成するために必要な、デバイス1内のタバコ組成物14を加熱する唯一の熱源は、液体10を加熱することから生成される高温のエアロゾル又は蒸気である。
【0057】
次に、
図2を参照すると、吸入可能媒体生成デバイスの別の例が示されている。以下の説明及び
図2において、
図1を参照して記載される例の該当する構成要素及び特徴と同一又は類似の構成要素及び特徴は、同じ数字に200を加えた参照番号を有する。簡略化のため、ここではこれらの構成要素及び特徴の説明の全体を繰り返さない。
図1の例に関連して上記に記載されている構成及び代替などは、
図2の例にも適用可能であることが理解されるであろう。この場合もやはり、広義には、
図2のデバイス201は、タバコ組成物に由来する1つ又は複数の成分を含む吸入可能媒体を生成するように、液体を加熱して、タバコ組成物214を通過する蒸気又はエアロゾルを形成する。
【0058】
この例のデバイス201は、開口端203及び管状マウスピース204を含む、全体的に中空の円筒形の外側ハウジング202を有する。この例におけるマウスピース204は、使用者によってハウジング202から取り外し可能であり、Oリング又は他のシール205は、ハウジング202におけるマウスピース204の封止を補助する。デバイス201の様々な構成要素に給電するバッテリー207、及びコントローラ208が、ハウジング202の他端206に、又は他端206に向かって設けられる。この例のハウジング202は2つの部品に分かれ、第1の部品202aが開口端203に向かい、第2の部品202bが他端206に向かう。
【0059】
ハウジング202は、液体210を保持又は収容する容器209を有する。容器209は、
図1の例に関連して上記に記載のどの種類のものであってもよい。ヒータ211は、液体210を揮発させるために、一般的にはハウジング202の中央に(長さ及び幅に沿って)設けられる。この例では、ヒータ211はバッテリー207によって給電されるため、バッテリー207に電気接続される。ヒータ211は、電気抵抗式ヒータ、セラミックヒータなどであってもよい。例えばヒータ211は、例えばコイルの形態であってもよいワイヤ、プレート(その1つ又は複数が導電性であってもよく、その1つ又は複数が非導電性であってもよい複数の異なる材料からなる多層プレートであってもよい)、メッシュ(例えば織物又は不織物であってもよく、同様に多層であってもよい)、又は薄膜ヒータなどであってもよい。誘導加熱構成体又は非電気加熱構成体を含む他の加熱構成体を使用してもよい。環状ウィック212はヒータ211を取り囲み、ヒータ211と(熱的に)接触する。環状ウィック212の最も外側の面は、液体容器209に収容された液体210と接触する。液体210は、液滴のエアロゾルを生成するように加熱されるか、又は十分に加熱されて蒸気を生成してもよい。そのように生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース204を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック212から排出され、マウスピース204に向かって移動する。ヒータ211及びウィック212は、加熱及びウィック作用が単一ユニットによって効果的に行われるように、単一の、効果的には一体型製品として設けられてもよい。
【0060】
ハウジング202は、デバイス201においてタバコ組成物214を保持又は収容するチャンバ213をさらに収容する。チャンバ213のタバコ接触面は、本明細書に記載のコポリエステルプラスチックから形成される。
【0061】
チャンバ213は、
図1の例に関連して上記に記載されているどの種類のものであってもよい。タバコ組成物214は、ハウジング202において、エアロゾル又は蒸気が液体210から生成される場所の下流且つハウジング202の開口端203及びマウスピース204の上流に位置する。この特定の例では、タバコ組成物214は、ハウジング202におけるウィック212と同じ部分又はチャンバに効果的に供給される。液体210から生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース204を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック212から排出され、タバコ組成物に向かって移動する。特定の実施形態において、タバコ組成物214は、エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物を通過し、次いでハウジング202の開口端203及びマウスピース204を通過するように、多孔質である。エアロゾル又は蒸気によって運ばれる熱は、通過する蒸気/エアロゾルに後で取り込まれるニコチン及び他の揮発性物質をタバコ組成物から揮発させる。
【0062】
いくつかの実施形態において、タバコ組成物214及び/又はそのチャンバ213は、エアロゾル又は蒸気の全体がタバコ組成物を通って流れるようにタバコ組成物/チャンバとハウジング202の内部との間に空隙が全く存在しないように構成される。エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物214を通過及びタバコ組成物214の上方を通る際に、高温のエアロゾル又は蒸気は、有機化合物及び他の化合物又は成分を、タバコに官能特性を与えるタバコ組成物から取り込むことにより、マウスピース204に向かって移動する途中のエアロゾル又は蒸気に香料を付与する。
【0063】
図2の例のデバイス201において、第2のヒータ215、例えばオーブンヒータが、タバコ組成物214と熱的に接触する形で設けられて、タデバイス201の使用全体を通じてバコ組成物を予熱する、及び/又はタバコ組成物に追加的な熱を与える。これにより、使用時に蒸気又はエアロゾルがタバコ組成物の内部/上方を通る際に、タバコ組成物からの成分の放出が促進される。タバコ組成物の望ましい加熱を達成するために加熱される液体210の量を減らしてもよい。第2のヒータ215は、例えばバッテリー207によって給電される電気抵抗式ヒータ、セラミックヒータなどであってもよい。例えば第2のヒータ215は、例えばコイルの形態であってもよいワイヤ、プレート(その1つ又は複数が導電性であってもよく、その1つ又は複数が非導電性であってもよい複数の異なる材料からなる多層プレートであってもよい)、メッシュ(例えば織物又は不織物であってもよく、同様に多層であってもよい)、薄膜ヒータなどであってもよい。第2のヒータ215は、例えばバッテリー207によって給電される誘導ヒータであってもよい。タバコ組成物214は、誘導加熱の影響を受けやすい材料を含んでいてもよい。非電気加熱構成体を含む他の加熱構成体を第2のヒータ215に使用してもよい。
【0064】
ヒータ215は、ニコチン又は他の揮発性物質のタバコ組成物214からの揮発を有効化してもよい。
【0065】
図2の例のデバイス201において、タバコ組成物を加熱するヒータ215は、タバコ組成物の外部に設けられ、タバコ組成物の外部からの熱伝導によってタバコ組成物を加熱する。この例におけるヒータ215は全体的に円筒形である。ヒータ215は、実際にはデバイス201の一体的要素であってもよく、ハウジング202の一部として設けられてもよい。別法として、ヒータ215は、タバコ組成物214を保持又は収容するチャンバ213と一体的に設けられてもよい。この別法において、チャンバ213が使い捨てできるものである場合には、ヒータ215は、未使用のタバコを含む新しいチャンバを使用者がデバイス201に装填する時点で交換されることになる。
【0066】
次に、
図3を参照すると、吸入可能媒体生成デバイスの別の例が示されている。以下の説明及び
図3において、
図1を参照して記載される例の該当する構成要素及び特徴と同一又は類似の構成要素及び特徴は、同じ数字に300を加えた参照番号を有する。簡略化のため、ここではこれらの構成要素及び特徴の説明の全体を繰り返さない。
図1及び
図2の例に関連して上記に記載の構成体及び別法などは、
図3の例にも適用可能であることが理解されるであろう。この場合もやはり、広義には、
図3のデバイス301は、タバコ組成物に由来する1つ又は複数の成分を含む吸入可能媒体を生成するように、液体を加熱して、タバコ組成物314を通過する蒸気又はエアロゾルを形成する。
【0067】
この例のデバイス301はやはり、開口端303及び管状マウスピース304を含み、使用者によってハウジング302から取り外し可能な、全体的に中空の円筒形外側ハウジング302を有する。Oリング又は他のシール305は、ハウジング302におけるマウスピース304の封止を補助する。デバイス301の様々な成分に給電するバッテリー307、及びコントローラ308が、ハウジング302の他端306に、又は他端306に向かって設けられる。この例のハウジング302はやはり2つの部品に分かれ、第1の部品302aが開口端303に向かい、第2の部品302bが他端306に向かう。
【0068】
ハウジング302は、液体310を保持又は収容する容器309を有する。容器309は、
図1及び2の例に関連して上記に記載のどの種類のものであってもよい。ヒータ311は、液体310を加熱するために、一般的はハウジング302の中央に設けられる。ヒータ311は、上記に記載のどの種類のものであってもよい。この例では、ヒータ311はバッテリー307によって給電されるため、バッテリー307に電気接続される。環状ウィック312はヒータ311を取り囲み、ヒータ311と(熱的に)接触する。環状ウィック312の最も外側の面は、液体容器309に収容された液体310と接触する。液体310は、液滴のエアロゾルを生成するように加熱されるか、又は十分に加熱されて蒸気を生成してもよい。そのように生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース304を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック312から排出され、マウスピース304に向かって移動する。ヒータ311及びウィック312は、加熱及びウィック作用が単一ユニットによって効果的に行われるように、単一の、効果的には一体型製品として設けられてもよい。
【0069】
ハウジング302は、デバイス301においてタバコ組成物314を保持又は収容するチャンバ313をさらに収容する。チャンバ13のタバコ接触面は、本明細書に記載の通り、コポリエステルプラスチックから形成される。
【0070】
チャンバ313は、
図1及び2の例に関連して上記に記載のどの種類のものであってもよい。タバコ組成物314は、ハウジング302において、エアロゾル又は蒸気が液体310から生成される場所の下流且つハウジング302の開口端303及びマウスピース304の上流に配置される。この特定の例においてもやはり、タバコ組成物は、ハウジング302におけるウィック312と同じ部分又はチャンバに効果的に供給される。液体310から生成されたエアロゾル又は蒸気は、マウスピース304を咥える使用者の動作により、矢印Aで示されるように、ウィック312から排出され、タバコ組成物に向かって移動する。特定の実施形態において、タバコ組成物314は、エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物を通過し、次いでハウジング302の開口端303及びマウスピース304を通過するように、多孔質である。エアロゾル又は蒸気によって運ばれる熱は、通過する蒸気/エアロゾルに後で取り込まれるニコチン及び他の揮発性物質をタバコ組成物から揮発させる。
【0071】
いくつかの実施形態において、タバコ組成物及び/又はそのチャンバは、エアロゾル又は蒸気の全体がタバコ組成物を通って流れるようにタバコ組成物/チャンバとハウジング302の内部との間に空隙が全く存在しないように構成される。エアロゾル又は蒸気がタバコ組成物を通過及びタバコ組成物の上方を通る際に、高温のエアロゾル又は蒸気は、有機化合物及び他の化合物又は成分をタバコ組成物から取り込むことにより、マウスピース304に向かって移動する途中のエアロゾル又は蒸気にタバコの香料を付与する。液体310を収容する容器309は、それ自体が、タバコ組成物を支持又は担持するように構成されていてもよい。
【0072】
図3の例のデバイス301においてもやはり、第2のヒータ318が、タバコ組成物314と熱的に接触する状態で設けられて、使用時に蒸気又はエアロゾルがタバコ組成物を通過する際に、タバコ組成物を加熱して、成分のタバコ組成物からの放出を促進する。第2のヒータ318は、例えばバッテリー307によって給電される電気抵抗式ヒータ、セラミックヒータなどであってもよい。非電気加熱構成体を含む他の加熱構成体を第2のヒータ318に使用してもよい。
【0073】
図3の例のデバイス301において、タバコ組成物314を加熱するヒータ318は、タバコ組成物の内部に設けられ、タバコ組成物の内部からの熱伝導によってタバコ組成物を加熱する。この例におけるヒータ318は全体的に、タバコ組成物の中心縦軸に沿って配置された円筒形ロッドの形態である。他の構成体において、ヒータ318は、例えばコイルの形態であってもよいワイヤ、プレート(その1つ又は複数が導電性であってもよく、その1つ又は複数が非導電性であってもよい複数の異なる材料からなる多層プレートであってもよい)、メッシュ(例えば織物又は不織物であってもよく、同様に多層であってもよい)、薄膜ヒータなどであってもよい。この例におけるタバコ組成物は全体的に管状であるか、又はそうでない場合はヒータ318を受け入れるための内部開口を有する。ヒータ318は、実際にはデバイス301の一体的要素であってもよく、ハウジング302の一部として設けられてもよい。この例において、タバコ組成物314がデバイス301に装填されると(例えば、タバコ組成物を収容するチャンバ313がデバイス301に装填されると)、タバコ組成物は第2のヒータ318を取り囲む。別法として、ヒータ318はチャンバ313と一体的に設けられてもよい。この別法において、チャンバが使い捨てできるものである場合には、ヒータ318は、未使用のタバコが入った新しいチャンバを使用者がデバイス301に装填する時点で交換されることになる。
【0074】
別の例では、より効率的なタバコ組成物の加熱を提供するように、複数の内部ヒータ318を設けてもよい。別の例では、タバコ組成物は、1つ又は複数の外部ヒータ(
図2の例における第2のヒータ215など)及び1つ又は複数の内部ヒータ(
図3の例における第2のヒータ318など)の両方によって加熱されてもよい。
【0075】
タバコ組成物を加熱するように構成された1つ又は複数のヒータ318は、ニコチン又は他の揮発性物質をタバコ組成物から揮発させてもよい。
【0076】
次に、
図4を参照すると、液体602を収容する液体容器601及びタバコ組成物604用の容器603を有するカートリッジ600の例の概略的な縦断面図が示されている。この例では、液体容器601及びタバコ組成物容器603は、最初から一体的に形成されるか、又は最初は、後で実質的に恒久的な形で組み立てられる2つの部品で形成されることにより、1つの一体的構成要素として設けられる。カートリッジ600は、液体602が揮発されて液滴のエアロゾルを生成するか、又は十分に加熱されて蒸気を生成し、エアロゾル又は蒸気の少なくとも一部及び好ましくはすべて又は実質的にすべてがタバコ組成物604を通過してタバコ組成物から香料を吸収するように構成される。
【0077】
図4の例において、液体容器601は、一般的にはカートリッジ600の中央に設けられる。記載の例における液体容器601は円錐台状であるが、円錐状、円筒状などの異なる形状を有していてもよい。液体容器601は、液体容器601の長さの外部を囲む環状流路606を画定し、液体容器601の片方の端部から他方の端部まで延びる、外側シェル605によって取り囲まれる。外側シェル605は、液体容器601の第1の端部壁607を越えて延びて、液体容器601の第1の端部壁607を越えるチャンバ608を画定する。環状流路606及びチャンバ608は、タバコ組成物604を収容する容器603を形成する。他の例では、タバコ組成物は、チャンバ608に限り供給されてもよく、環状流路606は空である。チャンバ608は、液体容器601の端部壁607から間隔を空けられる端部壁609によって遮断される。端部壁609は、外側シェル605の一部であるか、又は別のプラスチックキャップ若しくはゴムキャップなどであってもよい。さらに別の例では、タバコ組成物は流路606に供給され、チャンバ608に材料は全く存在せず、実際には、チャンバ608は省略されてもよく、流路606は効果的に端部壁609で終了する。流路606及び/又はチャンバ608は、全体がタバコ組成物で満たされるか、又は材料の一部分若しくは塊のみ収容してもよい。端部壁609は、エアロゾル又は蒸気がカートリッジ600から排出され、使用者が吸入することができるようにするために、多孔質であり、及び/又は1つ若しくは複数の貫通穴610を有する。液体容器601及び固体チャンバ603はそれぞれ、金属、好適なプラスチックなどの硬質、水密及び気密の材料で形成されてもよい。チャンバ603のタバコ接触面(適宜、流路606及び/又はチャンバ608内の表面を含む)の少なくとも一部分が、本明細書に記載のコポリエステルプラスチックを含んでいてもよい(又は当該プラスチックで構成されていてもよい)。いくつかの例において、すべてのタバコ接触面が、本明細書に記載のコポリエステルプラスチックを含むか又は当該プラスチックで構成されていてもよい。
【0078】
図4に記載の例のカートリッジ600は、ヒータ611及びヒータ611と(熱的に)接触するウィック612を設けられる。この例では、ヒータ611及びウィック612は、「アトマイザ」と称されることが多い単一ユニットとして設けられる。この例では、カートリッジ600がアトマイザを含む場合には、当該カートリッジは「カトマイザ」と称されることが多い。ヒータ611の配向が概略的に示されており、例えばヒータ611は、カートリッジ600の縦軸に対して、
図4に記載のように平行ではなくむしろ垂直の縦軸を有するコイルであってもよい。
【0079】
ウィック612は液体602と接触する。これは、例えば、液体容器601の第2の端部壁613内の貫通穴(図示せず)を通してウィック612を挿入することによって達成することができる。或いは、追加的に、第2の端部壁613は、液体が液体容器601から通過することを可能にする多孔質の部材(
図4において破線で概略的に記載)であってもよく、ウィック612は多孔質の第2の端部壁613と接触してもよい。第2の端部壁613は、例えば多孔質セラミックディスクの形態であってもよい。この種の多孔質の第2の端部壁613は、ウィック612への液体の流れの調節に役立つ。ウィック612は全体的に吸収性であり、液体602を毛管現象作用によって容器601から引き込む役割を果たす。ウィック612は、好ましくは不織であり、例えば木綿若しくはウールなどの材料、又は例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース又はポリプロピレンなどを含む合成材料であってもよい。
【0080】
使用時に、カートリッジ600は、使用者によってデバイスのバッテリーセクション(図示せず)に接続されて、ヒータ611に給電できるようになる。アトマイザのヒータ611が給電される(例えば、使用者がデバイス全体のボタンを操作することによって、又はそれ自体公知である通り、デバイス全体の吹かし検出器によって励起されてもよい)とき、ウィック612によって液体容器601から引き込まれる液体602は、液体を揮発又は気化させるヒータ611によって加熱される。使用者がデバイス全体のマウスピースを咥えると、矢印Aで示されるように、蒸気又はエアロゾルが、液体容器601の長さの外部を囲む環状流路606及びチャンバ608に移動する。蒸気又はエアロゾルは香料をタバコ組成物604から吸収する。
【0081】
エアロゾル又は蒸気によって運ばれる熱は、ニコチン及び他の揮発性物質をタバコ組成物から揮発させ、次いでニコチン及び他の揮発性物質は、通過する蒸気/エアロゾルに取り込まれる。次いで蒸気又はエアロゾルは、矢印Bで示されるように、端部壁609を通ってカートリッジ600から排出され得る。任意選択で、蒸気又はエアロゾルがカートリッジ600から排出されることのみ可能で、ヒータ611又はデバイス全体の電子部品に還流できないように、端部壁609の内側に一方向弁614を設けてもよい。
【0082】
次に、
図5を参照すると、液体702を収容する液体容器701及びチャンバ708内の容器703を有する、カートリッジ700の別の例の概略的な縦断面図が示されている。容器はタバコ組成物704を保持する。以下の説明及び
図5において、
図4を参照して記載されている例の該当する構成要素及び特徴と同一又は類似の構成要素及び特徴は、同じ数字に100を加えた参照番号を有する。簡略化のため、ここではこれらの構成要素及び特徴の説明の全体を繰り返さない。
【0083】
この例では、カートリッジ700の液体容器701及びタバコ組成物容器703は、使用時に着脱可能に互いに接続される別々の構成要素として設けられる。液体容器701及びタバコ組成物容器703は、例えばクリップ留め若しくは別の方法で互いに着脱可能に固定されてもよく、又は例えばタバコ組成物容器は単純に、液体容器701に乗るか若しくは摩擦で密着する状態であってもよい。カートリッジ700は、液体702が揮発されて液滴のエアロゾルを生成するか、又は十分に加熱されて蒸気を生成し、エアロゾル又は蒸気の少なくとも一部及び好ましくはすべて又は実質的にすべてがタバコ組成物704を通過してタバコ組成物から香料を吸収するように構成される。
【0084】
この例では、液体容器701は、液体容器701の長さの外部を囲む環状流路706を画定し、液体容器701の片方の端部から他方の端部まで延びる、外側シェル705によって取り囲まれる。外側シェル705は、液体容器701の第1の端部壁707を越えて延び、端部壁709内で終了する。端部壁709は、別のプラスチックキャップ又はゴムキャップなどであってもよい。端部壁709は、エアロゾル又は蒸気を環状流路706から排出させられるようにするために、多孔質であり、及び/又は1つ若しくは複数の貫通穴710を有する。蒸気又はエアロゾルが、ヒータ711及びウィック712から遠位の端部で環状流路706から排出されることのみ可能で、ヒータ711又はデバイス全体の電子部品に還流できないように、端部壁709の内側に一方向弁714を設けてもよい。タバコ組成物容器703は、使用時に、端部壁709を通って出て行く蒸気又はエアロゾルがタバコ組成物容器に移動するように、端部壁709の上方に配置される。タバコ組成物容器は、エアロゾル又は蒸気がカートリッジ700から排出され、使用者によって吸入されることを可能にするために、出口開口及び/又は多孔質端部壁715を有する。
【0085】
使用時に、カートリッジ700は、使用者によってデバイスのバッテリーセクション(図示せず)に接続されて、ヒータ711に給電できるようになる。アトマイザのヒータ711が給電される(例えば、使用者がデバイス全体のボタンを操作することによって、又はそれ自体公知である通り、デバイス全体の吹かし検出器によって励起されてもよい)とき、端部壁713を通ってウィック712によって液体容器701から引き込まれる液体702は、液体を揮発又は気化させるヒータ711によって加熱される。使用者がデバイス全体のマウスピースを咥えると、矢印Aで示されるように、蒸気又はエアロゾルが、液体容器701の長さの外部を囲む環状流路706に移動し、外側シェル705の端部壁709に向かう。次いで蒸気又はエアロゾルは(存在する場合には一方向弁714を介して)端部壁709を通過してタバコ組成物容器703に移動し、タバコ組成物704から香料を吸収する。エアロゾル又は蒸気によって運ばれる熱は、通過する蒸気/エアロゾルに後で取り込まれるニコチン又は他の揮発性物質をタバコ組成物から揮発させる。次いで蒸気又はエアロゾルは、矢印Bで示されるように、タバコ組成物容器の端部壁715を通ってカートリッジ700から排出され得る。
【0086】
図4及び5に記載の例は、典型的にはねじ山又は差し込み式取付具などによってカトマイザがバッテリーセクション(図示せず)に填め込まれる、いわゆるモジュール式製品又は「e-go」製品との併用に特に好適である。カトマイザは典型的には使用後に全体が廃棄され、新品の交換用カトマイザが使用される。別法として、使用者は必要に応じて時々、液体の補充及び/又は固体材料の交換によって、カートリッジを再利用することが可能であってもよい。
【0087】
図4及び5に記載の例は、容易に、それ自体が公知である他の種類の電子タバコハイブリッドデバイスと併用するように構成することができる。例えば、一般的には小型で、従来の紙巻タバコと似た形態及び外観を有する、いわゆる「類似eシガレット」又は「シガライク」デバイスがある。当該デバイスにおいて、液体容器は典型的には、例えば、液体を保持するための木綿などの何らかの詰め物材料を含む。当該公知のデバイスにおけるカートリッジ又はカトマイザは、典型的には全体を使い捨てできるものであるが、本発明の実施形態を使用する例における液体の補充及び/又は固体材料の交換が可能であってもよい。別の例として、一般的には比較的大量の液体を保持するための大型液体容器を有し、また、使用者がデバイスの多数の態様を制御することを可能にする先進的な機能を提供する、いわゆるタンクデバイス又は個人用ヴェポライザーがある。
【0088】
上記のカトマイザ構成体のいずれかに代わる別法として、液体用アトマイザ(すなわちヒータ及びウィック)が、液体及び材料容器とは別に提供されてもよい。アトマイザは、例えば、使用時に使用者によってカートリッジが着脱可能に取り付けられるデバイス全体のバッテリーセクションの一部として提供されてもよい。
【0089】
図4及び5に関連して上記に記載の例のいずれにおいても、タバコ組成物を「予熱」するためのタバコ組成物用ヒータが提供されてもよい。このヒータは、使用時にカートリッジが取り付けられるデバイスの、カートリッジの一部として、又はバッテリーセクションの一部として提供されてもよい。このタバコ組成物用ヒータは、通過する蒸気/エアロゾルに後で取り込まれるタバコ組成物に含まれるニコチン及び他の揮発性物質を揮発させる。
【実施例】
【0090】
一例において、pH9.5のタバコ配合物を、TX1501(Eastman Chemical Companyから入手可能なTritanポリマー)から形成されたタバコ容器に入れた。TX1501は、ジ-メチルテレフタレート(DMT)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)から形成されたBPAフリー、BPSフリーのコポリエステルプラスチックの一例である。
【0091】
該容器を、40℃及び相対湿度75%で12週間保存した(条件は、経時的な製品安定性を評価するための促進老化プロセスとして選定した)。
【0092】
当該技術分野において公知のポリプロピレン容器を使用して、比較試験を完了した(同一の配合物を使用し、同一条件下で保存した)。
【0093】
タバコ配合物からのニコチンロスを、老化プロセスの様々な時点で測定し、結果が
図6に図示されている。見て分かる通り、Tritan容器に保存されたタバコからの総ニコチンロスは、12週間の期間全体にわたり、ポリプロピレン容器に保存されたタバコからのロスより少なかった。
【0094】
エアロゾルにおけるニコチン送達も、老化プロセスの様々な時点で評価した。タバコ容器を
図1に記載のデバイスに挿入し、最初の20回の吹かしにおいて送達されたエアロゾルの総ニコチン含有量を測定した(デバイスが作動温度に達してから開始し、1.10L/分の気流(すなわち55mLの吹かし容積)条件下で、30秒おきに3秒間吹かすシミュレーション上の吹かしレジームの下で測定)。結果が
図7に記載されており、Tritan容器からのニコチン送達が、12週間の期間全体にわたり、ポリプロピレン容器より多かったことが分かる。
【0095】
定義
本明細書に用いられている「吸い込み抵抗」は、試験対象物の全長にわたり摂氏22度及び101キロパスカル(760Torr)で空気を17.5ミリメートル毎秒の速度で送り込むのに必要な圧力を指す。吸い込み抵抗は、ISO 6565:201 1に従って測定される。
【0096】
本明細書に用いられているタバコpHは、CORESTAプロトコール69番に従って測定される。
【0097】
本明細書に用いられている「エアロゾル生成剤」は、エアロゾルの生成を促進する化合物又は混合物を指す。エアロゾル生成剤は、吸入可能な固体及び/又は液体エアロゾルへの気体の初期の蒸発及び/又は凝結の促進によって、エアロゾルの生成を促進することができる。
【0098】
概して、任意の好適な1つ又は複数のエアロゾル生成剤が本発明のエアロゾル生成材料に含まれていてもよい。好適なエアロゾル生成剤としては、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールといったグリコールなどのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、又はミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸などのエステル、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
本明細書に用いられている「香料」及び「加香剤」という用語は、現地規制において許可される場合には成人消費者向けの製品において所望の風味又は香りを発生させるために使用することができる材料を指す。例としては、抽出物(例えば甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、桃、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激因子、砂糖及び/又は代替糖(例えばスクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フラクトース、ソルビトール又はマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質又は息清涼剤などの他の添加剤が挙げられる。香料及び加香剤は、模造品、合成成分若しくは天然成分又はそれらの配合物であってもよい。香料及び加香剤は、任意の好適な形態、例えば油、液体又は粉末などであってもよい。
【0100】
疑念を避けるため、本明細書において、本発明又は本発明の特徴を定義する際に「含む、備える、具備する(comprises)」という用語が用いられている場合、「含む、備える、具備する」の代わりに「本質的になる(consists essentially of)」又は「なる(consists of)」という用語を使用して本発明又は特徴を定義することができる実施形態も開示される。
【0101】
疑念を避けるため、本明細書において、材料/容器/チャンバを指すために「第1の」及び「第2の」という用語が用いられている場合、使用の如何なる順序も黙示的に開示されない。「第1の」及び「第2の」は単に、異なる組成物又はチャンバを参照するための手段として用いられている。1つのチャンバ又は組成物に関連して記載される特徴は、適宜、各チャンバ又は組成物に関連して明示的に開示される。
【0102】
上記の実施形態は、本発明の例示的な例として理解されるべきである。本発明のさらなる実施形態が想定される。任意の一実施形態に関連して記載されるどの特徴も、単独で使用するか又は記載される他の特徴と組み合わせて使用することができ、任意の他の実施形態若しくは任意の他の実施形態の任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用することもできることが理解されるべきである。さらに、上記に図示せずの均等物及び修正も、添付の請求項において定義される、本発明の適用範囲から逸脱せずに採用することができる。
【0103】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教授に役立てることのみを目的に提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的な見本としてのみ提示され、網羅的及び/又は排他的ではない。本明細書に記載の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造及び/又は他の態様は、請求項によって定義される本発明の適用範囲に対する限定又は請求項の均等物に対する限定と捉えられるべきではないこと、及び特許請求される発明の適用範囲から逸脱せずに他の実施形態を活用することができ、修正を加えることができることが理解されるべきである。本発明の様々な実施形態は、好適には、開示される要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組み合わせを含むか、当該組み合わせからなるか、又は当該組み合わせから本質的になると考えられる。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来において特許請求されると考えられる他の発明を含むと考えられる。