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特許7273205折り畳みフック構造、折り畳みフック構造を有するチャイルドカーフレーム及びチャイルドカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】折り畳みフック構造、折り畳みフック構造を有するチャイルドカーフレーム及びチャイルドカー
(51)【国際特許分類】
   B62B 7/08 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
B62B7/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022004782
(22)【出願日】2022-01-17
(65)【公開番号】P2022113133
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】202110087652.3
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオジャン チェン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0156490(US,A1)
【文献】特開2016-133203(JP,A)
【文献】特開2018-008697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対回転可能な第1部品及び第2部品を展開状態又は折り畳み状態にするための折り畳みフック構造であって、
前記第1部品に固定され、前記折り畳みフック構造(100)の他の部材を少なくとも部分的に収容するケース(110)と、
前記第2部品に固定され、前記ケース(110)に対して回転中心の回りに回転可能に前記ケース(110)に設置され、盤面に折り畳みフック用溝(161)が設けられる回転盤(160)と、
前記ケース(110)内に設けられ、前記回転盤(160)の径方向に沿ってロック位置と解放位置との間で移動可能に設けられ、前記折り畳みフック用溝(161)に挿入される折り畳みフック(150)と、を含み、
前記折り畳みフック用溝(161)は、
前記回転中心を円の中心として前記回転盤(160)の周方向に伸びる周方向区間(162)と、
前記周方向区間(162)から前記回転盤(160)の径方向に伸びる径方向区間(163)と、を含み、
前記ロック位置において、前記折り畳みフック(150)は、前記折り畳みフック用溝(161)の径方向区間(163)に係合することにより、前記ケース(110)と前記回転盤(160)との間の相対回転を阻止し、
前記解放位置において、前記折り畳みフック(150)は、前記ケース(110)と前記回転盤(160)との間の相対回転を許容するように、前記折り畳みフック用溝(161)の周方向区間(162)に沿ってスライド可能であり、
前記折り畳みフック用溝(161)の径方向区間(163)は、前記回転盤(160)の回転中心から離れる方向に向かって前記周方向区間(162)の一端から伸び、
前記径方向区間(163)は、前記周方向区間(162)に向かう側壁に傾斜溝(164)が斜めに形成され、
前記径方向区間(163)は、前記周方向区間(162)に近づくほど大きくなり、前記周方向区間(162)から離れるほど小さくなる幅を有する、
折り畳みフック構造(100)。
【請求項2】
前記ケース(110)には、前記回転盤(160)の径方向に伸びる折り畳みフック用収容空間(112a)が設けられ、
前記折り畳みフック(150)は、スライダー部(151)と、前記スライダー部(151)に位置する凸部(152)と、を含み、
前記スライダー部(151)は、前記折り畳みフック用収容空間(112a)に収容されるとともに、前記折り畳みフック用収容空間(112a)に沿ってスライド可能であり、
前記凸部(152)は、前記回転盤(160)の折り畳みフック用溝(161)内まで突出する、
請求項1に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項3】
前記折り畳みフック(150)と前記ケース(110)との間には、折り畳みフック用弾性部材(153)が設けられ、
前記折り畳みフック用弾性部材(153)は、一端が前記ケース(110)に当接し、他端が前記折り畳みフック(150)を前記ロック位置へ付勢する、
請求項1に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項4】
前記ケース(110)内に少なくとも部分的に設けられ、前記回転盤(160)に近づく伸出位置と前記回転盤(160)から離れる退避位置との間で前記回転盤(160)の径方向に沿って移動可能なスライド部材(140)をさらに含み、
前記回転盤(160)の外周には、切り欠き(165)が設けられ、
前記解放位置において、前記切り欠き(165)は、前記回転盤(160)の回転に伴って前記スライド部材(140)に整列可能であり、
前記スライド部材(140)は、前記切り欠き(165)に整列されていない場合、前記回転盤(160)の外周に当接され前記伸出位置まで移動できなくなり、
前記スライド部材(140)は、前記切り欠き(165)に整列される場合、前記伸出位置まで移動し前記切り欠き(165)に係合することにより、前記ケース(110)に対する前記回転盤(160)の回転角度をロックすることができる、
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項5】
前記回転盤(160)の外周には、前記折り畳みフック用溝(161)の周方向区間(162)の中間位置に略対向する位置に位置する凹み(166)がさらに設けられ、
前記ロック位置において、前記凹み(166)は、前記スライド部材(140)に整列することによって前記スライド部材(140)を前記凹み(166)に当接させ、
前記凹み(166)の深さは、外力によって前記第1部品及び前記第2部品が相対的に回転可能に設計される、
請求項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項6】
前記ケース(110)の外部に露出する操作区間(131)と、前記ケース(110)の内部において前記スライド部材(140)に当接するトリガー区間(132)と、を備え、前記回転盤(160)の軸方向に沿って前記ケース(110)を通過するトリガー部材(130)をさらに含み、
前記トリガー部材は、前記回転盤(160)に垂直する方向に沿って移動するように操作されることにより、前記スライド部材(140)を前記伸出位置から前記退避位置に移動可能にさせる、
請求項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項7】
前記トリガー区間(132)の末端には、トリガー部材用操作面(133)が設けられ、
前記スライド部材(140)には、スライド部材用操作面(143)が設けられ、
前記トリガー部材用操作面(133)及び前記スライド部材用操作面(143)は、それぞれ対応して設けられる傾斜面であり、互いに接触可能であることにより、前記回転盤(160)に垂直する方向に沿う前記トリガー部材の移動を前記回転盤(160)の径方向に沿うおける前記スライド部材(140)の移動に変換させることができる、
請求項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項8】
前記トリガー部材用操作面(133)の傾斜面は、前記ケースの外ケース(110a)の底壁の近傍から前記ケースの内ケース(110b)に向かって伸び、且つ前記外ケース(110a)の底壁において前記回転盤(160)にさらに近接するように設けられることにより、回転盤(160)の回転軸線に対して傾斜角を形成し、
前記スライド部材用操作面(143)の傾斜面及び前記トリガー部材用操作面(133)は、同じ角度の傾斜角を有する、
請求項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項9】
前記スライド部材(140)と前記ケース(110)との間には、前記スライド部材(140)を前記伸出位置へ付勢するように設けられるスライド部材用弾性部材(145)が設置される、
請求項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項10】
前記ケース(110)は、外ケース(110a)と、内ケース(110b)と、を含み、
前記外ケース(110a)及び前記内ケース(110b)のうちの1つは、底壁と、前記底壁の外周に沿って起立する側壁と、を含み、
前記外ケース(110a)及び前記内ケース(110b)のうちの他の1つは、前記側壁に嵌合されることにより、前記外ケース(110a)及び前記内ケース(110b)のうちの1つとともに閉鎖構造を形成し、
前記外ケース(110a)及び前記内ケース(110b)のうちの1つは、前記第1部品に固定され、
前記第2部品は、前記側壁のスロットを通過して前記回転盤(160)に接合される、
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項11】
前記第1部品及び前記第2部品は、いずれも管状部材であり、
前記第1部品及び前記第2部品は、前記折り畳みフック(150)が前記ロック位置に位置する場合、展開状態になり、前記折り畳みフック(150)が前記解放位置に位置する場合、折り畳み状態になる、
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の折り畳みフック構造(100)。
【請求項12】
チャイルドカーフレームであって、
上関節(300)を有する上フレームと、
下関節(200)を有する下フレームと、
前記上関節(300)と前記下関節(200)との間に接続される請求項1から請求項11のうちいずれか1項に記載の折り畳みフック構造(100)と、を含み、
前記第1部品は、前記上フレームであり、
前記第2部品は、前記下フレームである、
チャイルドカーフレーム。
【請求項13】
チャイルドカーであって、
シートと、
車輪と、
請求項12に記載のチャイルドカーフレームと、を含み、
前記シートは、前記チャイルドカーフレームに固定され、
前記車輪は、地面に隣接する前記チャイルドカーフレームの下フレームの一端に取り付けられる、
チャイルドカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、折り畳みフック構造、当該折り畳みフック構造を含むチャイルドカーフレーム及びチャイルドカーに関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドカーは、生活中において広く用いられている乗り物である。通常、チャイルドカーは、フレームと、車輪と、シートと、アームレストと、を含む。ここで、フレームは、チャイルドカーの主な枠体として形成され、車輪は、歩行機能を提供するようにフレームの下方に取り付けられ、シートは、子供が着座できるようにフレームに掛け渡され、アームレストは、使用者がチャイルドカーを押すようにフレームの上方に位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の環境では、チャイルドカーの携帯性を向上させるために、チャイルドカーのフレームが折り畳まれる必要がある。このような場合、チャイルドカー全体の体積を減らすために、フレームは、折り畳み可能な形として設計される必要がある。このため、フレームを展開したり折り畳んだりするために、フレームに旋回関節及び当該旋回関節をロックしたり解放したりするための折り畳みフック構造を設置する必要がある。チャイルドカーが乳幼児用製品であることを考慮すると、その旋回関節及び折り畳みフック構造は、安全で信頼性が高く、操作が容易となるという特点を有する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様によれば、相対回転可能な第1部品及び第2部品を展開状態又は折り畳み状態にするための折り畳みフック構造を提供する。前記折り畳みフック構造は、前記第1部品に固定され、且つ前記折り畳みフック構造の他の部材を少なくとも部分的に収容するケースと、前記第2部品に固定され、且つ前記ケースに対して回転中心の回りに回転可能に前記ケースに設置され、盤面に折り畳みフック用溝が設けられる回転盤と、前記ケース内に設けられ、前記回転盤の径方向に沿ってロック位置と解放位置との間で移動可能に設けられ、且つ前記折り畳みフック用溝に挿入される折り畳みフックと、を含み、前記折り畳みフック用溝は、前記回転中心を円の中心として前記回転盤の周方向に伸びる周方向区間と、前記周方向区間から前記回転盤の径方向に伸びる径方向区間と、を含む。ここで、前記ロック位置において、前記折り畳みフックは、前記折り畳みフック用溝の径方向区間に係合しすることにより、前記ケースと前記回転盤との間の相対回転を阻止し、前記解放位置において、前記折り畳みフックは、前記ケースと前記回転盤との間の相対回転を許容するように、前記折り畳みフック用溝の周方向区間に沿ってスライド可能である。
【0005】
一実施例において、前記ケースには、前記回転盤の径方向に伸びる折り畳みフック用収容空間が設けられる。前記折り畳みフックは、スライダー部と、スライダーに位置する凸部と、を含む。前記スライダー部は、前記折り畳みフック用収容空間に収容されるとともに、前記折り畳みフック用収容空間に沿ってスライド可能であり、前記凸部は、前記回転盤の折り畳みフック用溝内まで突出する。
【0006】
一実施例において、前記折り畳みフック用溝の径方向区間は、前記回転盤の回転中心から離れる方向に向かって前記周方向区間の一端から伸び、且つ、前記周方向区間に向かう前記径方向区間の側壁には、傾斜溝が斜めに形成されることにより、前記径方向区間は、前記周方向区間に近づくほど幅が大きくなるが、前記周方向区間から離れるほど幅が小さくなる。
【0007】
一実施例において、前記折り畳みフックと前記ケースとの間には、折り畳みフック用弾性部材が設けられ、前記折り畳みフック用弾性部材は、一端が前記ケースに当接し、他端が前記折り畳みフックを前記ロック位置へ付勢する。
【0008】
一実施例において、前記折り畳みフック構造は、前記ケース内に少なくとも部分的に設けられ、且つ、前記回転盤の径方向に沿って前記回転盤に近づく伸出位置と前記回転盤から離れる退避位置との間で移動可能なスライド部材をさらに含む。ここで、前記回転盤の外周には、切り欠きが設けられる。前記解放位置において、前記切り欠きは、前記回転盤の回転に伴って前記スライド部材に整列することができる。前記切り欠きが前記スライド部材に整列されていない場合、前記スライド部材は、前記回転盤の外周に当接し前記伸出位置まで移動できなくなる。前記切り欠きが前記スライド部材に整列する場合、前記スライド部材は、前記伸出位置まで移動して前記切り欠きに係合することにより、前記ケースに対する前記回転盤の回転角度をロックすることができる。
【0009】
一実施例において、前記回転盤の外周には、前記折り畳みフック用溝の周方向区間の中間位置に略対向する位置に位置する凹みがさらに設けられる。前記ロック位置において、前記凹みは、前記スライド部材がそれに当接されるように前記スライド部材に整列される。ここで、前記凹みの深さは、外力によって前記第1部品及び前記第2部品が相対的に回転できるように設計される。
【0010】
一実施例において、前記折り畳みフック構造は、前記回転盤の軸方向に沿って前記ケースを通過し、且つ前記ケースの外部に露出する操作区間及び前記ケースの内部で前記スライド部材に当接するトリガー区間を含むトリガー部材をさらに含む。前記トリガー部材は、前記回転盤に垂直する方向に沿って移動するように操作されることにより、前記スライド部材を前記伸出位置から前記退避位置に移動させることができる。
【0011】
一実施例において、前記トリガー区間の末端には、トリガー部材用操作面が設けられる。前記スライド部材には、前記トリガー部材用操作面に対応するスライド部材用操作面が設けられる。前記トリガー部材用操作面及び前記スライド部材用操作面は、それぞれ対応して設けられる傾斜面であり、且つ、互いに接触可能であることにより、前記回転盤に垂直する方向沿う前記トリガー部材の移動は、前記回転盤の径方向に沿う前記スライド部材の移動に変換されることができる。
【0012】
一実施例において、トリガー部材用操作面の傾斜面は、外ケースの底壁の近傍から内ケースに向かって伸び、且つ前記外ケースの底壁で前記回転盤にさらに近接するように設けられることにより、回転盤の回転軸線に対して傾斜角を形成し、前記スライド部材用操作面の傾斜面及び前記トリガー部材用操作面は、同じ角度の傾斜角を有する。
【0013】
一実施例において、前記スライド部材と前記ケースとの間には、スライド部材用弾性部材が設けられる。前記スライド部材用弾性部材は、前記スライド部材を前記伸出位置へ付勢するように設けられる。
【0014】
一実施例において、前記ケースは、外ケースと、内ケースと、を含む。前記外ケース及び前記内ケースのうちの1つは、底壁と、前記底壁の外周に沿って起立する側壁と、を含み、前記外ケース及び前記内ケースのうちの他の1つは、前記側壁に嵌合されることにより前記外ケース及び前記内ケースのうちの1つと閉鎖構造を形成する。ここで、前記外ケース及び前記内ケースのうちの1つは、前記第1部品に固定され、前記第2部品は、前記側壁におけるスロットを通過して前記回転盤に接合される。
【0015】
一実施例において、前記第1部品及び第2部品は、いずれも管状部材である。前記折り畳みフックが前記ロック位置に位置する場合、前記第1部品及び第2部品は、展開状態になる。前記折り畳みフックが前記解放位置に位置する場合、前記第1部品及び前記第2部品は、折り畳み状態になる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、上関節を有する上フレームと、下関節を有する下フレームと、前記上関節と前記下関節との間に接続される本発明に記載の上記の折り畳みフック構造と、を含み、ここで、前記第1部品は、前記上フレームであり、前記第2部品は、前記下フレームであるチャイルドカーフレームを提供する。
【0017】
本願の別の態様によれば、シートと、車輪と、本明細書に記載の上記のチャイルドカーフレームと、を含み、前記シートは、前記チャイルドカーフレームに固定され、前記車輪は、地面に隣接する前記チャイルドカーフレームの下フレームの一端に取り付けられるチャイルドカーを提供する。

【0018】
以下、図面を併せて本願の実施例を具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明に係るチャイルドカーフレームの斜視図である。
図1B図1Aの局部の拡大図であり、左側の折り畳みフック構造の具体的な構造を示す図である。
図1C図1Aの局部の拡大図であり、右側の折り畳みフック構造の具体的な構造を示す図である。
図2A】本発明に係るチャイルドカーのフレームを他の角度から見た斜視図である。
図2B図2Aの局部の拡大図であり、左側の折り畳みフック構造の具体的な構造を示す図である。
図2C図2Aの局部の拡大図であり、右側の折り畳みフック構造の具体的な構造を示す図である。
図3A】本発明に係るチャイルドカーのフレームの斜視図であり、外ケース及びトリガー部材の具体的な構造を示すために、左側の折り畳みフック構造における内ケース、回転盤、スライド部材及び折り畳みフックが除去されている。
図3B図3Aの局部の拡大図である。
図4A】本発明に係るチャイルドカーフレームの部分拡大斜視図であり、内ケース、トリガー部材、スライド部材及び折り畳みフックを示すために、一方側の折り畳みフック構造の外ケース及び回転盤が除去されている。
図4B図4Aにおけるスライド部材を示す更なる拡大図である。
図4C図4Aにおける折り畳みフックを示す更なる拡大図である。
図5A】本発明に係るチャイルドカーフレームの側面図であり、一方側の折り畳みフック構造において折り畳みフック構造の内部の詳細が断面図として示されており、且つ折り畳みフックが解放位置に位置する。
図5B図5Aの局部の拡大図である。
図6A】本発明に係るチャイルドカーフレームの側面図であり、一方側の折り畳みフック構造において折り畳みフック構造の内部の詳細が断面図として示されており、且つ折り畳みフックがロック位置に位置する。
図6B図6Aの局部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では実施例を特定して本発明を記述及び説明するが、本発明は、示されている態様等に限定されるものではない。具体的には、本発明の技術的思想の範囲内において、本発明から逸脱することなく、これらの態様等に対して多くの修正を行うことができる。
【0021】
本明細書における「前」、「後」、「上」、「下」などの方向記述は、理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明は、これらの方向に限定されるものではなく、実際の状況に応じて調整することができる。
【0022】
まず、図1A図2Bを参照する。図1Aは、本発明に係るチャイルドカーフレームの斜視図である。図1B及び図1Cは、図1Aの局部の拡大図であり、それぞれ左側及び右側の折り畳みフック構造100の具体的な構造を示す。図面に示すように、本実施例において、チャイルドカーは、左右対称の2つのフレームを有し、各フレームは、下方の車輪から上方のアームレストまで伸びる。フレームは、長尺の直線状の管状構造をなし、且つ、上フレームと下フレームとに分けられる。上フレームと下フレームとの間に折り畳みフック構造100を有する。上フレームは、上関節300を介して折り畳みフック構造100に接合され、下フレームは、下関節200を介して折り畳みフック構造100に接合される。上関節300及び下関節200は、折り畳みフック構造100によって互いに相対的に回転することにより、上フレーム及び下フレームが展開されたり折り畳まれたりすることを許容することができる(図6A及び6Bには、上フレーム及び下フレームが折り畳み状態を示す)。
【0023】
本発明に係る折り畳みフック構造100によれば、上関節300と下関節200との間の旋回関節とする一方で、上関節300と下関節200との間の回転をロック及び解放するためにロック機能が提供される。詳しくは以下において後述する。
【0024】
図2Aは、本発明に係るチャイルドカーのフレームを他の角度から見た斜視図である。図2B及び図2Cは、図2Aの局部の拡大図であり、それぞれ左側及び右側の折り畳みフック構造100の具体的な構造を示す。
【0025】
図面には、チャイルドカーが左右対称のフレームと、関節と、折り畳みフック構造100とを有することが示されているが、本発明に係るチャイルドカーは、他の形式のフレーム、例えば非対称なフレームを有することができることを理解されるべきである。また、本発明に係る折り畳みフック構造100は、2つの部材の間の相対回転をロック及び解放する機能を提供するために、単一のフレームに単独で使用されることができ、その他のタイプの任意の装置に使用されることもできる。
【0026】
次に、図3A図3Bを参照する。図3Aは、本発明に係るチャイルドカーのフレームの斜視図であり、外ケース110a及びトリガー部材130の具体的な構造を示すために、左側の折り畳みフック構造100における内ケース110b、回転盤160、スライド部材140及び折り畳みフック150が除去されている。図3Bは、図3Aの局部の拡大図である。
【0027】
図面に示すように、本実施例におけるケース110は、外ケース110aと内ケース110bとを含む。ここで、外ケース110aは、チャイルドカーの外側に位置し、また、底壁と、底壁の外周を取り囲む側壁とを有する。内ケース110bは、チャイルドカーの内側に位置し、また、外ケース110aの側壁に嵌め込まれる。このように、外ケース110aは、内ケース110bとともに閉鎖構造を有するケース110を形成する。折り畳みフック構造100の他の部材の少なくとも一部は、ケース110の内部に収容されることにより、折り畳みフック構造100全体の清潔な外観を構成する。下関節200は、外ケース110aに固定して接続され、上関節300は、側壁に位置するスロットを通過してケース110の内部における回転盤160に接続される(詳しくは、後述する)。
【0028】
他の実施例において、内ケース110b及び外ケース110aの位置は、交換されることができる。例えば、内ケース110bは、チャイルドカーの外側に位置し、外ケース110aは、チャイルドカーの内側に位置することができる。下関節200は、内ケース110bに接続され、上関節300は、ケース110の内部の回転盤160に接続されることができる。
【0029】
本実施例において、外ケース110aの底壁は、ハートの形状を形成される。具体的に、外ケース110aの底壁の一方側には、回転盤160を収容する空間を形成するための円形部分を有する。円形部分に反対する底壁の他方側には、例えば、トリガー部材130やスライド部材140などの部材を収容するための隆起部分を有する。他の実施例において、底壁は、上記の部材を収容できれば、他の形状として形成されることができる。
【0030】
底壁の円形部分には、外回転軸孔111aが形成される。一つの回転軸(図示せず)が外回転軸孔111a、回転盤160及び内ケース110bに形成される内回転軸孔111bを通過することにより、回転盤160をケース110の内部に回転可能に設けられることができる。底壁の円形部分には、折り畳みフック150を収容するための折り畳みフック用収容空間112aがさらに形成される。一実施例において、折り畳みフック用収容空間112aは、回転盤160の径方向に伸びるシュート又はスライドレールを形成されることにより、折り畳みフック150を前記径方向に沿ってスライドさせることができる。
【0031】
図3Bには、スライド部材140及びトリガー部材130がさらに明確に示されている。スライド部材140は、底壁の隆起部分に設けられ、且つ、回転盤160の径方向に沿ってスライド可能に設けられる。即ち、スライド部材140は、回転盤160の外側において、回転盤160の径方向に沿って回転盤160に近づく伸出位置と回転盤160から離れる退避位置との間で移動することができる。スライド部材140の作用は、回転盤160とケース110との間の回転がロックされるように、回転盤160の切り欠き165に挿入されることである(図5B)。本実施例において、スライド部材140は、ストリップ状部及びスライド部材用操作面143(傾斜面部)を含む。ここで、ストリップ状部は、回転盤160の径方向に沿ってスライドするとともに、回転盤160の切り欠き165に挿入されることができる。スライド部材用操作面143は、外ケース110aの底壁の近傍から内ケース110bに向かって伸びるとともに、底壁に垂直する方向(即ち、回転盤160の回転軸線に平行する方向)に対して傾斜角を形成する。スライド部材用操作面143は、外ケース110aの底壁の近傍で回転盤160に近づき、内ケース110bの近傍で回転盤160から離れる。
【0032】
トリガー部材130は、回転盤160の回転軸線に平行する方向に沿ってケース110を通過し、また、ケース110の外部に露出する操作区間131と、ケース110の内部においてスライド部材140に当接するトリガー区間132と、を含む。トリガー部材130は、回転盤160に垂直する方向に沿って移動するように操作されることにより、スライド部材140を伸出位置から退避位置へ移動させることができる。具体的に、トリガー部材130は、操作区間131及びトリガー区間132を含む。ここで、操作区間131は、使用者がトリガー部材130を押圧することができるように、内ケース110bを通過してケース110の外側まで伸びる。トリガー区間132は、ケース110の内部に位置し、また、スライド部材140のスライド部材用操作面143に対向するトリガー部材用操作面133を有する。前記トリガー部材用操作面133は、スライド部材用操作面143とほぼ同じ傾斜角度を有する。このように、使用者がトリガー部材130を押圧すると、トリガー部材130は、ケース110の内部に向かってスライドする(具体的に、外ケース110aに向かってスライドする)。この時、トリガー部材用操作面133は、スライド部材140のスライド部材用操作面143に接触して押圧することにより、スライド部材140を回転盤160から離れる方向に沿ってスライドさせる。
【0033】
次に、図4A図4Cを参照する。図4Aは、本発明に係るチャイルドカーフレームの部分拡大斜視図であり、内ケース110b、トリガー部材130、スライド部材140及び折り畳みフック150を示すために、一方側の折り畳みフック構造100の外ケース110a及び回転盤160が除去されている。図4B及び図4Cは、それぞれ図4Aにおけるスライド部材140及び折り畳みフック150を示す更なる拡大図である。図面に示すように、内ケース110bには、内回転軸孔111b、折り畳みフック用スライドレール112b、スライド部材140及びスライド部材用スライドレール113bが設けられている。これらの構造は、それぞれ外ケース110aにおける対応する構造に対応して完全な収容空間を形成することができる。
【0034】
図4A図4Cから、折り畳みフック150がケース110に径方向にスライド可能に設けられることを明確に確認することができる。より具体的に、折り畳みフック150は、スライダー部151及びスライダー部151に位置する凸部152を含む。ここで、スライダー部151は、折り畳みフック用収容空間112aに収容されるとともに、折り畳みフック用収容空間112aに沿ってスライドすることができる。凸部152は、回転盤160の折り畳みフック用溝161内まで延在する(図5B)。折り畳みフック150と前記ケース110との間には、折り畳みフック用弾性部材153がさらに設けられることができる。折り畳みフック用弾性部材153は、一端がケース110に当接し、他端が前記折り畳みフック150をロック位置へ付勢する。
【0035】
図4A図4Cには、他方側から見たスライド部材140がさらに示されている。一実施例において、スライド部材140は、側壁に対向する一端にスライド部材用弾性部材145がさらに設けられることができる。スライド部材用弾性部材145は、一端が側壁に当接し(図4A図4Cにおいて、側壁は図示せず)、他端がスライド部材140に当接することにより、スライド部材140が回転盤160に向かって移動するように付勢する。このように、使用者がトリガー部材130を押圧していない場合、スライド部材140は、回転盤160に挿入される傾向があるが、使用者がトリガー部材130を押圧する場合、トリガー部材用操作面133とスライド部材用操作面143との間の当接によって、トリガー部材130は、スライド部材用弾性部材145の付勢力に抗してスライド部材140を回転盤160から離れる方向へ押す。
【0036】
図4A図4Cには、上関節300及び下関節200が図示されていないので、折り畳みフック構造100全体が上フレーム及び下フレームに接続されていないことが示される。使用中において、上フレーム及び下フレームは、それぞれ上関節300及び下関節200によって回転盤160及び外ケース110aに接続される。他の実施例において、上フレーム及び下フレームは、回転盤160及び外ケース110aに直接接続されることもできる。他の応用において、折り畳みフック構造100は、異なるタイプの互いに対して回転する部材に接続されることにより、回転ピボットを提供するとともに、これらの部材の間の相互回転をロック及び解放することもできる。
【0037】
次に、図5A図5Bを参照する。図5Aは、本発明に係るチャイルドカーフレームの側面図であり、一方側の折り畳みフック構造100において折り畳みフック構造100の内部の詳細が断面図として示されており、且つ、折り畳みフック150が解放位置に位置する。図5Bは、図5Aの局部の拡大図である。図面に示すように、回転盤160は、ケース110に位置するとともに、回転軸線の回りに回転することができる。回転盤160の盤面には、周方向区間162及び径方向区間163を含む折り畳みフック用溝161が設けられる。ここで、周方向区間162は、回転中心を円の中心として回転盤160の周方向に沿って伸び、径方向区間163は、周方向区間162から回転盤160の径方向に沿って伸びる。
【0038】
図5Bに示すように、折り畳みフック150は、その解放位置に位置する場合、折り畳みフック用溝161の周方向区間162に位置する。このように、折り畳みフック150は、回転盤160とケース110との間の相互回転を妨げないことになる。折り畳みフック150は、そのロック位置に位置する場合(図6B)、折り畳みフック用溝161の径方向区間163に位置する。このように、折り畳みフック150は、回転盤160とケース110との間の相互回転を阻止することになる。
【0039】
一実施例において、折り畳みフック用溝161は、回転盤160を貫通する貫通溝である。他の実施例において、折り畳みフック用溝161は、回転盤160を貫通することなく、盤面から凹んで凹溝を形成することもできる。一実施例において、折り畳みフック用溝161の径方向区間163は、周方向区間162の一端に位置するとともに、回転軸線から離れる方向に向かって伸びる。他の実施例において、径方向区間163は、周方向区間162の中間部分に位置することもでき、そして、回転軸線に近づく方向に向かって伸びることもできる。
【0040】
一実施例において、周方向区間162に向かう折り畳みフック用溝161における径方向区間163の側壁には、傾斜溝164が斜めに形成されることにより、径方向区間163は、周方向区間162に近いほど幅が大きくなるが、周方向区間162から遠いほど幅が小さくなる。このように、折り畳みフック150がロック位置に位置する場合(即ち、折り畳みフック150が折り畳みフック用溝161の径方向区間163に位置する場合)、使用者が展開方向に向かって回転盤160を力強く回転させる限り、折り畳みフック150は、傾斜溝164に沿ってその解放位置までスライドすることができる(即ち、折り畳みフック150が折り畳みフック用溝161の周方向区間162までスライドする)。
【0041】
図5Bからわかるように、回転盤160の外周に切り欠き165が設けられる。折り畳みフック構造100の解放位置において、切り欠き165は、回転盤160の回転に伴ってスライド部材140に整列したり整列しなかったりすることができる。切り欠き165がスライド部材140に整列されていない場合、スライド部材140は、回転盤160の外周に当接されて伸出位置まで移動することができない。切り欠き165がスライド部材140に整列される場合、スライド部材140は、伸出位置まで移動して切り欠き165に係合することにより、ケース110に対する回転盤160の回転角度をロックすることができる。
【0042】
図面に示す実施例において、折り畳みフック用溝161の周方向区間162は、160°~200°の弧度の範囲内で伸び、切り欠き165は、折り畳みフック用溝161の周方向区間162に対応する位置に位置する。他の実施例において、折り畳みフック用溝161の周方向区間162は、異なる伸び範囲を有することができ、例えば、より大きな又はより小さな伸び範囲を有することができる。また、切り欠き165の位置を変更することができる。このように、折り畳み状態及び展開状態における上関節300と下関節200との間の相対位置関係を変更することができる。
【0043】
次に、図6A図6Bを参照する。図6Aは、本発明に係るチャイルドカーフレームの側面図であり、一方側の折り畳みフック構造100において折り畳みフック構造100の内部の詳細が断面図として示されており、且つ、折り畳みフック150がロック位置に位置する。図6Bは、図6Aの局部の拡大図である。図面に示すように、回転盤160の外周には、折り畳みフック用溝161の周方向区間162の中間位置に略対向する位置に位置する凹み166がさらに設けられる。ロック位置において、凹み166は、スライド部材140に整列される。この時、スライド部材140は凹み166に当接される。一実施例において、凹み166の深さは、回転盤160とケース110とが外力の作用により相対的に回転する場合、スライド部材140が凹み166から滑り出ることができるように設けられる。例えば、回転盤160の外周に接続される凹み166の両側は、スライド部材140が凹み166から滑り出るための傾斜エッジとして設けられることができる。このように、スライド部材140は、上関節300及び下関節200が折り畳み状態を保持することに寄与することができる。また、使用者が上関節300及び下関節200を展開する必要がある場合、スライド部材140による抵抗の変化により車体フレームが離れたことを感じることができる。
【0044】
以上のように、本発明に係る折り畳みフック構造100は、実際に2種類のロック構造を提供する。1つのロック構造は、折り畳みフック150と回転盤160における折り畳みフック用溝161との間の嵌合によって、折り畳みフック構造100をひとつの回転位置にロックし、例えば、上関節300及び下関節200が互いに接近する折り畳み位置にロックさせることができる。もう1つのロック構造は、スライド部材140と回転盤160の外周における切り欠き165との間の嵌合によって、折り畳みフック構造100を他の回転位置にロックし、例えば、上関節300及び下関節200が互いに対向する展開位置にロックすることができる。また、本発明に係る折り畳みフック構造100は、このような2つのロック位置の両方に、便利で安全であり且つ操作が容易なロック解除機能をさらに提供する。
【0045】
典型的な実施例を参照して本願を説明したが、使用される用語は説明及び例示的なものであり、限定的な用語ではない。本願の発明は、その技術的思想及び実質的内容を逸脱することなく様々な形態で具体的に実施することができるので、上記実施例は任意の上述の詳細な説明に限定されるものではなく、特許請求される範囲内で広く解釈されるべきである。したがって、特許請求される範囲およびその等価範囲内に属する全ての変更等はいずれも本発明の技術的範囲に含まれることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 折り畳みフック構造
110 ケース
110a 外ケース
111a 外回転軸孔
112a 折り畳みフック用収容空間
110b 内ケース
111b 内回転軸孔
112b 折り畳みフック用スライドレール
113b スライド部材用スライドレール
130 トリガー部材
131 操作区間
132 トリガー区間
133 トリガー部材用操作面
140 スライド部材
143 スライド部材用操作面
145 スライド部材用弾性部材
150 折り畳みフック
151 スライダー部
152 凸部
153 折り畳みフック用弾性部材
160 回転盤
161 折り畳みフック用溝
162 周方向区間
163 径方向区間
164 傾斜溝
165 切り欠き
166 凹み
200 下関節
300 上関節
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B