(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】物干し補助具
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
D06F57/00 310E
(21)【出願番号】P 2022129907
(22)【出願日】2022-08-17
【審査請求日】2023-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2021135531
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517320761
【氏名又は名称】吉川 理理子
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 理理子
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-127987(JP,A)
【文献】特開平03-193096(JP,A)
【文献】登録実用新案第3083998(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A47K 29/00
A47K 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部が上方に凸となるように屈曲又は湾曲した形状を有する網状体と、
網状体の中央部の長手方向において互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、それぞれが物干し竿に掛止可能であるとともに、それぞれが網状体の中央部を跨ぐように網状体の下面に配置されるスペーサ部材とを備え、
網状体の中央部とスペーサ部材との間に、所定の空隙部が形成される
物干し補助具。
【請求項2】
網状体は、中央部と、中央部から傘状に広がる傾斜部とを備え、
スペーサ部材は、網状体の傾斜部の下面に内接する側面部と、網状体の中央部との間で空隙部を形成する上面部と、物干し竿に掛止可能な形状を有する下面部とを備える
請求項1に記載の物干し補助具。
【請求項3】
互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、
それぞれが線材からなり、それぞれが
上方に凸となる中央部と、中央部の一端及び他端に接続されて傘状に広がる左右の傾斜部とを有するとともに、それぞれが
傾斜部上の箇所に中央部から下端部側に離間し
て設けられる物干し竿の掛止部を有する縦材と、
縦材を連結する少なくとも1本以上の横材とを備え、
縦材の中央部と
、縦材の左右の傾斜部のうち、縦材の中央部の一端及び他端から縦材の掛止部に掛止された物干し竿との接点までの部分と、物干し竿とに囲まれて、下方に向かって幅広となる領域が、風を通すための空隙部となる
物干し補助具。
【請求項4】
掛止部は、縦材の左右の
傾斜部に凹状に形成されてこの左右の凹部で物干し竿を挟持する挟持部である
請求項3に記載の物干し補助具。
【請求項5】
縦材は、1本の線状又は帯状の部材を適宜の箇所で屈曲又は湾曲したものである
請求項3又は請求項4に記載の物干し補助具。
【請求項6】
横材は、縦材の中央部及び縦材の左右の部分の所定の箇所の少なくとも3箇所で縦材を連結する
請求項3に記載の物干し補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を干すときに使用する物干し補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
シーツ、毛布、大きなタオル、マット等、面の広がりを有する洗濯物を干す場合、洗濯物を物干し竿に掛け、風で飛ばされないよう、物干し竿から垂れ下がる折返し部分を洗濯バサミで挟んで、洗濯物を干すという方法が一般的である。しかし、物干し竿に掛かっている部分や、洗濯バサミで挟まれて接触している内面の部分は、風が当たらない部分となり、乾きにくい。このため、洗濯物の位置をずらす、洗濯物を裏返す、といった作業が物干し途中で必要となり、手間が掛かるという問題がある。
【0003】
そこで、洗濯物において風が当たらない部分を減らす対策を施した物干し補助具が提案されている(特許文献1)。これは、断面逆U字状の網状体を物干し竿に掛け、この上に洗濯物を掛けて、洗濯物を干すというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような物干し補助具を用いても、洗濯物において物干し補助具の中央部に掛けられる部分は、物干し竿と近接しているため、風が当たらないか、当たりにくい部分となり、乾きにくい。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、洗濯物において風が当たらない部分を減らすことができ、洗濯物をより早く確実にかつ楽に乾かすことができる物干し補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明に係る物干し補助具は、
中央部が上方に凸となるように屈曲又は湾曲した形状を有する網状体と、
網状体の中央部の長手方向において互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、それぞれが物干し竿に掛止可能であるとともに、それぞれが網状体の中央部を跨ぐように網状体の下面に配置されるスペーサ部材とを備え、
網状体の中央部とスペーサ部材との間に、所定の空隙部が形成される
物干し補助具である。
【0008】
ここで、第1の本発明に係る物干し補助具の一態様として、
網状体は、中央部と、中央部から傘状に広がる傾斜部とを備え、
スペーサ部材は、網状体の傾斜部の下面に内接する側面部と、網状体の中央部との間で空隙部を形成する上面部と、物干し竿に掛止可能な形状を有する下面部とを備える
との構成を採用することができる。
【0009】
また、第1の本発明に係る物干し補助具の他態様として、
スペーサ部材の下面部は、別の物干し補助具の網状体の中央部を跨ぐように別の物干し補助具の上に載置可能な形状を有する
との構成を採用することができる。
【0010】
また、第1の本発明に係る物干し補助具の別の態様として、
網状体は、両端縁間の距離を拡張可能である
との構成を採用することができる。
【0011】
また、この場合、
網状体は、本体と、本体の両端縁から進出することにより網状体の両端縁間の距離を拡張するフラップとを備える
との構成を採用することができる。
【0012】
また、第2の本発明に係る物干し補助具は、
互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、それぞれが線材からなり、それぞれが上方に凸となる中央部と、中央部の一端及び他端に接続されて傘状に広がる左右の傾斜部とを有するとともに、それぞれが傾斜部上の箇所に中央部から下端部側に離間して設けられる物干し竿の掛止部を有する縦材と、
縦材を連結する少なくとも1本以上の横材とを備え、
縦材の中央部と、縦材の左右の傾斜部のうち、縦材の中央部の一端及び他端から縦材の掛止部に掛止された物干し竿との接点までの部分と、物干し竿とに囲まれて、下方に向かって幅広となる領域が、風を通すための空隙部となる
物干し補助具である。
【0013】
ここで、第2の本発明に係る物干し補助具の一態様として、
掛止部は、縦材の左右の傾斜部に凹状に形成されてこの左右の凹部で物干し竿を挟持する挟持部である
との構成を採用することができる。
【0014】
また、第2の本発明に係る物干し補助具の他態様として、
縦材は、1本の線状又は帯状の部材を適宜の箇所で屈曲又は湾曲したものである
との構成を採用することができる。
【0015】
また、第2の本発明に係る物干し補助具の別の態様として、
横材は、縦材の中央部及び縦材の左右の部分の所定の箇所の少なくとも3箇所で縦材を連結する
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物は、スペーサ部材を介して物干し竿から離間する網状体の上に掛けられる。網状体であるため、洗濯物のほとんどの部分に風が当たる。そして、風が網状体の中央部とスペーサ部材との間の空隙部を通ることにより、洗濯物において網状体の中央部に掛けられる部分にも風が十分に当たる。このため、第1の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物において風が当たらない部分を減らすことができ、洗濯物をより早く確実に乾かすことができる。また、このため、第1の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物の位置をずらす、洗濯物を裏返す、といった作業が物干し途中で不要となり、洗濯物を楽に乾かすことができる。
【0017】
第2の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物は、物干し竿から離間する縦材及び横材の上に掛けられる。縦材及び横材は、網状体又はこれに近い形態を構成するため、洗濯物のほとんどの部分に風が当たる。そして、風が縦材の中央部と掛止部との間の空隙部を通ることにより、洗濯物において縦材の中央部に掛けられる部分にも風が十分に当たる。このため、第2の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物において風が当たらない部分を減らすことができ、洗濯物をより早く確実に乾かすことができる。また、このため、第2の本発明に係る物干し補助具によれば、洗濯物の位置をずらす、洗濯物を裏返す、といった作業が物干し途中で不要となり、洗濯物を楽に乾かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る物干し補助具の分解斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、物干し補助具の斜視図である。
図2(b)は、物干し補助具の正面図である。
【
図3】
図3(a)は、フラップを開いた状態の物干し補助具の斜視図である。
図3(b)は、フラップを開いた状態の物干し補助具の正面図である。
【
図4】
図4(a)は、物干し補助具の上に洗濯物が掛けられた状態の正面図である。
図4(b)は、その上にさらに物干し補助具が置かれ、その上に洗濯物の折返し部分が掛けられた状態の正面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の実施形態2に係る物干し補助具の正面図である。
図5(b)は、物干し補助具の側面図である。
【
図6】
図6は、物干し補助具の上に洗濯物が掛けられた状態の正面図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は、それぞれ、網状体の両端縁間の距離を拡張可能とする別の実施形態に係る網状体の正面図である。
【
図8】
図8(a)ないし(c)は、それぞれ、別の実施形態に係る物干し補助具の正面図である。
【
図9】
図9(a)ないし(c)は、それぞれ、さらに別の実施形態に係る物干し補助具の正面図である。
【
図10】
図10(a)及び(b)は、それぞれ、さらに別の実施形態に係る物干し補助具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
以下、本発明に係る物干し補助具の一実施形態について、
図1ないし
図4を参酌して説明する。なお、以下において、物干し竿の長手方向に沿う水平方向を第1の方向といい、第1方向と直交する水平方向を第2の方向という。
【0020】
図1ないし
図3に示すように、物干し補助具1は、網状体2と、スペーサ部材3とを備える。網状体2は、第1の方向Xにおいて所定の長さを有するとともに、第2の方向Yにおいて中央部20が上方に凸となるように屈曲又は湾曲した形状を有する。スペーサ部材3は、第1の方向Xにおいて互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、それぞれが物干し竿に掛止可能であるとともに、それぞれが網状体2の中央部20を跨ぐように網状体2の下面に配置される。
【0021】
網状体2は、中央部20と、傾斜部21とを備える。傾斜部21は、第1の方向Xと直交する面において、中央部20から傘状に広がる。より詳しくは、傾斜部21は、中央部20の一方の端縁に接続される傾斜部21と、中央部20の他方の端縁に接続される傾斜部21との2つの傾斜部21,21からなり、下方に向かって互いの間隔が広がるように傘状に広がる。本実施形態においては、網状体2は、金属製や樹脂製(たとえばポリカーボネートやポリプロピレン等の硬質樹脂製)の網状体であり、平面状の網状体を中央部にて屈曲又は円弧状に湾曲することにより形成される。
【0022】
網状体2は、本体22と、フラップ23とを備える。本体22は、網状体2の主たる部分である。フラップ23は、本体22の両端縁から進出することにより網状体2の両端縁間の距離を第1の距離A(
図2参照)から第2の距離B(
図3参照)に拡張する。フラップ23は、本体22と同様、網状部材である。フラップ23の第1の方向Xにおける長さは、本体22の第1の方向Xにおける長さと同程度である。フラップ23の第2の方向Yにおける幅は、本体22の傾斜部21の第2の方向Yにおける幅より短い。本実施形態においては、フラップ23の第2の方向Yにおける幅は、本体22の傾斜部21の第2の方向Yにおける幅の半分と同程度かこれよりも若干短い。
【0023】
フラップ23は、フック24を備える。フック24は、フラップ23の端縁の2箇所に取り付けられる(3箇所以上も可)。フック24は、本体22の端縁を構成する部分(線材)に回転可能に連結される。これにより、フラップ23は、本体22の端縁を中心として回転可能であり、本体22の傾斜部21に沿った状態から回転して開くと、左右のフラップ23,23が本体22の両端縁から進出する。
【0024】
フラップ23は、ストッパ25に当接することにより、開き角度が設定される。ストッパ25は、フラップ23の端縁又は本体22の端縁に設けられる。ストッパ25は、たとえばブロック片である。フラップ23の開き角度は、フラップ23が本体22の傾斜部21の延長線よりも若干上方の角度位置に位置する角度である。すなわち、フラップ23の開き角度は、本体22の傾斜部21の傾斜角度よりも緩い角度である。このため、網状体2において、フラップ23は、本体22の傾斜部21に対して鈍角で屈曲する展開形態となる。ただし、フラップ23の開き角度は、たとえば、フラップ23が本体22の傾斜部21の延長線上に位置する角度であってもよい。
【0025】
スペーサ部材3は、第1の方向Xにおける幅が小さい幅狭の部材である。スペーサ部材3の幅は、1cm以上であって、5cm以下、より好ましくは、3cm以下、さらに好ましくは、2cm以下である。スペーサ部材3は、たとえば樹脂製又はゴム製であり、物干し竿に対して滑りにくい摩擦性を有する部材である。
【0026】
スペーサ部材3は、側面部30と、上面部31と、下面部32とを備える。側面部30は、左右に設けられ、網状体2の傾斜部21の下面に内接する。本実施形態においては、側面部30は、網状体2の傾斜部21の傾斜角度に対応した傾斜面を有する。上面部31は、網状体2の中央部20から離間することにより、網状体2の中央部20との間で空隙部Gを形成する。本実施形態においては、上面部31は、水平面に沿った平面を有する。下面部32は、物干し竿に掛止可能な形状を有する。より詳しくは、下面部32は、中央部が上方に凹となる凹部33を備える。スペーサ部材3は、凹部33の頂部にて物干し竿に掛止される。
【0027】
本実施形態に係る物干し補助具1は以上の構成からなる。次に、この物干し補助具1の使用方法について説明する。なお、物干し補助具1が対象とする洗濯物は特に限定されるものではない。ただ、シーツ、毛布、大きなタオル、マット等、面の広がりを有する洗濯物にとって特に有効である。そこで、以下の説明では、シーツの洗濯物を干す場合について説明する。
【0028】
物干し補助具1は、面の広がりを有する洗濯物を干す場合は、少なくとも2つ使用される。2つの物干し補助具1,1は、シーツの幅をカバーできる間隔となるようにして物干し竿Pに掛けられる。そして、
図4(a)に示すように、2つの物干し補助具1,1の上に跨って洗濯物Lが掛けられる。
【0029】
追加的な使用方法として、さらに少なくとも2つの物干し補助具1が使用される。
図4(b)に示すように、追加の物干し補助具1は、洗濯物Lが掛けられた物干し補助具1の上に置かれる。そして、追加の物干し補助具1の上に、洗濯物Lを縦半分に折った折返し部分Tや別の洗濯物Lが掛けられる。追加の物干し補助具1は、左右のフラップ23,23が展開された状態にしておく。これにより、上段の物干し補助具1の網状体2の両端縁間の距離は、下段の物干し補助具1の網状体2の両端縁間の距離よりも長くなる。この場合、洗濯物Lにおいて下段の物干し補助具1の網状体2の両端縁から垂れ下がる部分と、洗濯物Lにおいて上段の物干し補助具1の網状体2の両端縁から垂れ下がる部分とが重なることはなく、これらの部分に風が十分に当たる。
【0030】
以上のとおり、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、洗濯物Lは、スペーサ部材3を介して物干し竿Pから離間する網状体2の上に掛けられる。網状体2であるため、洗濯物Lのほとんどの部分に風が当たる。そして、風が網状体2の中央部20とスペーサ部材3との間の空隙部Gを通ることにより、洗濯物Lにおいて網状体2の中央部20に掛けられる部分にも風が十分に当たる。このため、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、洗濯物Lにおいて風が当たらない部分を減らすことができ、洗濯物Lをより早く確実に乾かすことができる。また、このため、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、洗濯物Lの位置をずらす、洗濯物Lを裏返す、といった作業が物干し途中で不要となり、洗濯物Lを楽に乾かすことができる。
【0031】
また、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、2段に重ねて使用することにより、洗濯物Lを縦半分に折って干すことができる。もちろん、この場合であっても、洗濯物Lの全体に風が当たる。このため、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、集合住宅のベランダ等の洗濯物を干すスペースに限りがあるような場所において、洗濯物Lを場所を取らずに狭いスペースで効果的に干すことができる。
【0032】
<実施形態2>
以下、本発明に係る物干し補助具の別の実施形態について、
図5及び
図6を参酌して説明する。なお、以下において、物干し竿の長手方向に沿う水平方向を第1の方向といい、第1方向と直交する水平方向を第2の方向という。
【0033】
図5に示すように、物干し補助具1は、縦材5と、横材6とを備える。縦材5は、第1の方向Xにおいて互いに間隔を有して少なくとも2つ設けられ、それぞれが中央部50が上方に凸となるように屈曲又は湾曲した形状を有する。本実施形態においては、縦材5は、第1の方向Xにおいて両端及び中央に3つ設けられる。横材6は、第1の方向Xにおいて縦材5を連結する。
【0034】
縦材5は、中央部50と、傾斜部51とを備える。傾斜部51は、第1の方向Xと直交する面において、中央部50から傘状に広がる。より詳しくは、傾斜部51は、中央部50の一端に接続される傾斜部51と、中央部20の他端に接続される傾斜部51との2つの傾斜部51,51(縦材5の左右の部分)からなり、下方に向かって互いの間隔が広がるように傘状に広がる。本実施形態においては、縦材5は、金属製や樹脂製(たとえばポリカーボネートやポリプロピレン等の硬質樹脂製)の1本の線状の部材(線材)であり(1本の帯状の部材でも可)、適宜の箇所で屈曲することにより形成される。
【0035】
縦材5は、掛止部52を備える。掛止部52は、縦材5の中央部50から下端部53側に離間した箇所に形成される。掛止部52は、上記線状又は帯状の部材を屈曲することにより凹状に形成され、左右の凹部で物干し竿を挟持する挟持部である。縦材5は、物干し竿に掛止された状態において高さ方向の移動が規制される。物干し竿から縦材5を外すときは、縦材5の下端部53,53間の間隔が大きくなるように縦材5を広げ、掛止部52の間隔を物干し竿の直径よりも大きくする。縦材5は、弾性復元力により元の形状に復帰する。
【0036】
横材6は、縦材5の中央部50及び縦材5の各傾斜部51の所定の箇所の少なくとも3箇所で縦材5を連結する。本実施形態においては、横材6は、縦材5と同じ材質であり、縦材5に溶接等の接合手段に接合され、縦材5の中央部50と、各傾斜部51のうち、掛止部52よりも下方の2箇所の、合計5本設けられる。
【0037】
一例として、物干し補助具1の第1の方向Xの長さは、300mm程度であり、第2の方向Yの幅は、60mm程度であり、高さは、150mm程度である。
【0038】
本実施形態に係る物干し補助具1は以上の構成からなる。使用方法は、実施形態1と同様であり、実施形態1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0039】
以上のとおり、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、
図6に示すように、洗濯物Lは、物干し竿Pから離間する縦材5及び横材6の上に掛けられる。縦材5及び横材6は、網状体又はこれに近い形態を構成するため、洗濯物Lのほとんどの部分に風が当たる。そして、風が縦材5の中央部50と掛止部52との間の空隙部Gを通ることにより、洗濯物Lにおいて縦材5の中央部50に掛けられる部分にも風が十分に当たる。このため、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、洗濯物Lにおいて風が当たらない部分を減らすことができ、洗濯物Lをより早く確実に乾かすことができる。また、このため、本実施形態に係る物干し補助具1によれば、洗濯物Lの位置をずらす、洗濯物Lを裏返す、といった作業が物干し途中で不要となり、洗濯物Lを楽に乾かすことができる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
たとえば、
図7ないし
図10に示す各種の形態であってもよい。
【0042】
図7(a)に示す物干し補助具1は、フラップ23,23が回転式ではなく、スライドして本体22の両端縁から進出する構造である。
【0043】
図7(b)に示す物干し補助具1は、網状体2の中央部20が塑性変形して角度が変わることにより、網状体2の両端縁間の距離が拡張する構造である。
【0044】
図8(a)に示す物干し補助具1は、スペーサ部材3の凹部33が物干し竿Pに嵌る構造である。これにより、物干し竿Pに対する物干し補助具1の位置安定性が向上する。
【0045】
図8(b)に示す物干し補助具1は、スペーサ部材3が帯状の薄板を適宜曲げ加工して形成した構造である。
【0046】
図8(c)に示す物干し補助具1は、スペーサ部材3の下面がギザギザ状又は波状になっている構造である。
【0047】
図9(a)に示す物干し補助具1は、網状体2の開き角度が小さくなった構造である。また、
図9(a)に示す物干し補助具1は、フラップ23を備えない構造である。
【0048】
図9(b)に示す物干し補助具1は、網状体2の中央部20が円形に膨出した構造である。
【0049】
図9(c)に示す物干し補助具1は、スペーサ部材3が半円形状を有する構造である。
【0050】
図10(a)に示す物干し補助具1は、掛止部52が挟持部でなく、物干し竿Pの上側の周面に係止する係止部である構造である。これにより、縦材5は、物干し竿に掛止された状態において下方への移動が規制される。
【0051】
図10(b)に物干し補助具1は、一方の掛止部52が挟持部であり、他方の掛止部52が係止部である構造である。
【0052】
なお、物理的に干渉するものでない限り、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に適用すること、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に係る技術要素と置換すること、以上に記載した技術要素同士を組み合わせること等は、当然に可能であり、これは、本発明が当然に意図するところである。
【符号の説明】
【0053】
1…物干し補助具、2…網状体、20…中央部、21…傾斜部、22…本体、23…フラップ、24…フック、25…ストッパ、3…スペーサ部材、30…側面部、31…上面部、32…下面部、33…凹部、5…縦材、50…中央部、51…傾斜部、52…挟持部(掛止部)、53…下端部、6…横材、A…第1の距離、B…第2の距離、G…空隙部、L…洗濯物、P…物干し竿、T…折返し部分、X…第1の方向、Y…第2の方向