IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッドの特許一覧 ▶ エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッドの特許一覧

特許7273236マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品
<>
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図1
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図2
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図3
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図4
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図5
  • 特許-マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】マイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5712 20120101AFI20230502BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G01C19/5712
B81B3/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022197422
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202210159812.5
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522235504
【氏名又は名称】エーエーシー カイタイ テクノロジーズ (ウーハン) カンパニーリミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】馬昭
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】楊珊
(72)【発明者】
【氏名】カアン シィアォ
(72)【発明者】
【氏名】厳世濤
(72)【発明者】
【氏名】彭宏韜
(72)【発明者】
【氏名】李楊
(72)【発明者】
【氏名】リィー ヂィア ヂィェン
(72)【発明者】
【氏名】陳秋玉
(72)【発明者】
【氏名】洪燕
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524607(JP,A)
【文献】特開2013-145231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/5747
G01C 19/5712
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1運動部材(1)、第2運動部材(2)、複数の駆動部材(3)及び検出部材(4)を備え、
前記第1運動部材(1)は第1中心(11)を有し、かつ、前記第1運動部材(1)の第2方向(Y)に沿った両端は第1方向(X)と第3方向(Z)に沿って前記第1中心(11)まわりに揺動可能であり、
前記第2運動部材(2)は第2中心(21)を有し、かつ、前記第2運動部材(2)の前記第1方向(X)に沿った両端は前記第2方向(Y)と第3方向(Z)に沿って前記第2中心(21)まわりに揺動可能であり、
複数の前記駆動部材(3)は、前記第1運動部材(1)が前記第1方向(X)に沿って揺動しかつ前記第2運動部材(2)が前記第2方向(Y)に沿って揺動するように駆動することができ、
前記検出部材(4)は前記第3方向(Z)に沿って前記第1運動部材(1)と前記第2運動部材(2)の上方または下方に位置し、前記検出部材(4)は、前記第1運動部材(1)と前記第2運動部材(2)が前記第3方向(Z)に沿って移動する距離を検出するために使用され、
ここで、前記第1方向(X)は前記第2方向(Y)と垂直かつ共平面であり、前記第3方向(Z)は前記第1方向(X)と前記第2方向(Y)と垂直である、
ことを特徴とするマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項2】
前記第1方向(X)に沿って、前記第1運動部材(1)は複数設けられており、前記第2方向(Y)に沿って、前記第2運動部材(2)は複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項3】
前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第1アンカー(51)、第1結合部材(61)、第1接続部材(71)及び第2接続部材(72)をさらに備え、
前記第1アンカー(51)は前記第1方向(X)に沿って前記第1運動部材(1)の両側に設置され、かつ、前記第1アンカー(51)は前記第2方向(Y)に沿って前記第2運動部材(2)の両側に設置され、
前記第1結合部材(61)は前記第1アンカー(51)に外嵌され、前記第1結合部材(61)は前記第1アンカー(51)まわりに回転可能であり、
前記第1接続部材(71)は前記第1結合部材(61)と前記駆動部材(3)を接続し、
前記第2接続部材(72)は前記第1結合部材(61)と前記第1運動部材(1)を接続し、さらに前記第1結合部材(61)と前記第2運動部材(2)を接続し、
前記駆動部材(3)は、前記第1接続部材(71)によって、前記第1結合部材(61)が前記第1アンカー(51)まわりに回転するように駆動し、前記第1結合部材(61)は、前記第2接続部材(72)によって、前記第1運動部材(1)と前記第2運動部材(2)が揺動するように駆動する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項4】
前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2アンカー(52)、第3アンカー(53)、第3接続部材(73)及び第4接続部材(74)をさらに含み、
前記第2アンカー(52)は前記第1方向(X)に沿って前記第1中心(11)の両側または前記第1中心(11)に設置され、
前記第3アンカー(53)は前記第2方向(Y)に沿って前記第2中心(21)の両側または前記第2中心(21)に設置され、
前記第3接続部材(73)は前記第2アンカー(52)と前記第1運動部材(1)を接続し、
前記第4接続部材(74)は前記第3アンカー(53)と前記第2運動部材(2)を接続する、
ことを特徴とする請求項3に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項5】
前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2結合部材(62)及び第5接続部材(75)をさらに備え、
前記第2結合部材(62)は前記マイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、
前記第5接続部材(75)は前記駆動部材(3)と前記第2結合部材(62)を接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項6】
前記第2結合部材(62)は円形または長手形状である、
ことを特徴とする請求項5に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項7】
前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第4アンカー(54)及び第6接続部材(76)をさらに備え、
前記第4アンカー(54)は前記マイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、
前記第6接続部材(76)は前記駆動部材(3)と前記第4アンカー(54)とを接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項8】
前記駆動部材(3)は2つが平行して設けられており、2つの前記駆動部材(3)の前記第1方向(X)または前記第2方向(Y)に沿う運動方向は逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項9】
複数の前記駆動部材(3)は前記マイクロメカニカルジャイロスコープの周方向に沿って配列され、複数の前記駆動部材(3)は、いずれも円周の接線方向に沿って往復運動するか、またはいずれも円周の径方向に沿って往復運動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープ。
【請求項10】
本体と、
前記本体に取り付けられた請求項1~9のいずれか1項に記載のマイクロメカニカルジャイロスコープと、を備える、
ことを特徴とする電子製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロスコープの技術分野に関し、特にマイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロメカニカルジャイロスコープは、典型的な角速度センサーであり、一般的に、駆動部材、運動部材及び検出部材を含み、その動作原理は、駆動部材は、運動部材が特定された平面内で特定された方向に沿って高周波で往復運動するように駆動することができ、マイクロメカニカルジャイロスコープが上記平面に対して垂直な角速度方向に回転すると、運動部材が上記特定された方向に垂直なコリオリ力を受けて変位を生じさせ、検出部材はこの変位の大きさを測定することで、上記の回転する角速度を求め、角速度の測定を実現することができる。従来のマイクロメカニカルジャイロスコープは、正確に検出を行うために、一般的に位相が180°異なる運動部材を2つ設置することで差分検出を実現し、マイクロメカニカルジャイロスコープの体積には制限があるため、すべての測定方向に対して差分検出を行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、両方向の角速度を同時に測定できるマイクロメカニカルジャイロスコープ及び電子製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明には、マイクロメカニカルジャイロスコープが提供され、前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第1運動部材、第2運動部材、複数の駆動部材及び検出部材を備え、前記第1運動部材は第1中心を有し、かつ、前記第1運動部材の第2方向に沿った両端は第1方向と第3方向に沿って前記第1中心まわりに揺動可能であり、前記第2運動部材は第2中心を有し、かつ、前記第2運動部材の前記第1方向に沿った両端は前記第2方向と第3方向に沿って前記第2中心まわりに揺動可能であり、複数の前記駆動部材は、前記第1運動部材が前記第1方向に沿って揺動しかつ前記第2運動部材が前記第2方向に沿って揺動するように駆動することができ、前記検出部材は前記第3方向に沿って前記第1運動部材と前記第2運動部材の上方または下方に位置し、前記検出部材は、前記第1運動部材と前記第2運動部材が前記第3方向に沿って移動する距離を検出するために使用され、ここで、前記第1方向は前記第2方向と垂直かつ共平面であり、前記第3方向は前記第1方向と前記第2方向と垂直である。
【0005】
1つの可能な設計では、前記第1方向に沿って、前記第1運動部材は複数設けられており、前記第2方向に沿って、前記第2運動部材は複数設けられている。
【0006】
1つの可能な設計では、前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第1アンカー、第1結合部材、第1接続部材及び第2接続部材をさらに備え、前記第1アンカーは前記第1方向に沿って前記第1運動部材の両側に設置され、かつ、前記第1アンカーは前記第2方向に沿って前記第2運動部材の両側に設置され、前記第1結合部材は前記第1アンカーに外嵌され、前記第1結合部材は前記第1アンカーまわりに回転可能であり、前記第1接続部材は前記第1結合部材と前記駆動部材を接続し、前記第2接続部材は前記第1結合部材と前記第1運動部材を接続し、さらに前記第1結合部材と前記第2運動部材を接続し、前記駆動部材は、前記第1接続部材によって、前記第1結合部材が前記第1アンカーまわりに回転するように駆動し、前記第1結合部材は、前記第2接続部材によって、前記第1運動部材と前記第2運動部材が揺動するように駆動する。
【0007】
1つの可能な設計では、前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2アンカー、第3アンカー、第3接続部材及び第4接続部材をさらに含み、前記第2アンカーは前記第1方向に沿って前記第1中心の両側または前記第1中心に設置され、前記第3アンカーは前記第2方向に沿って前記第2中心の両側または前記第2中心に設置され、前記第3接続部材は前記第2アンカーと前記第1運動部材を接続し、前記第4接続部材は前記第3アンカーと前記第2運動部材を接続する。
【0008】
1つの可能な設計では、前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2結合部材及び第5接続部材をさらに備え、前記第2結合部材は前記マイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、前記第5接続部材は前記駆動部材と前記第2結合部材を接続する。
【0009】
1つの可能な設計では、前記第2結合部材は円形または長手形状である。
【0010】
1つの可能な設計では、前記マイクロメカニカルジャイロスコープは、第4アンカー及び第6接続部材をさらに備え、前記第4アンカーは前記マイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、前記第6接続部材は前記駆動部材と前記第4アンカーとを接続する。
【0011】
1つの可能な設計では、前記駆動部材は2つが平行して設けられており、2つの前記駆動部材の前記第1方向または前記第2方向に沿う運動方向は逆である。
【0012】
1つの可能な設計では、複数の前記駆動部材は前記マイクロメカニカルジャイロスコープの周方向に沿って配列され、複数の前記駆動部材は、いずれも円周の接線方向に沿って往復運動するか、またはいずれも円周の径方向に沿って往復運動する。
【0013】
本発明には、電子製品がさらに提供され、前記電子製品は、本体と、前記本体に取り付けられた上記マイクロメカニカルジャイロスコープと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、以下のことにある。
【0015】
マイクロメカニカルジャイロスコープは、3つの作動モードを含み、すなわち駆動モード、第1検出モード及び第2検出モードである。駆動モードでは、駆動部材は、第1運動部材が第1方向に沿って揺動するように駆動し、かつ第2運動部材が第2方向に沿って揺動するように駆動する。第1運動部材の揺動が第1中心を回った揺動であり、第2運動部材の揺動が第2中心を回った揺動であるため、従来技術では駆動部材が運動部材が単一の方向に往復運動するように駆動するだけのことに比べて、本願の駆動部材は第1運動部材と第2運動部材が運動するように駆動する駆動効果はより良好かつより安定になる。マイクロメカニカルジャイロスコープが外部環境に応じて角速度方向が第1方向である回転を生じさせる場合、第1運動部材が第1方向に沿って揺動するため、第1運動部材は第3方向に沿ったコリオリ力を受けて第3方向に沿った揺動を生じさせ、この場合、マイクロメカニカルジャイロスコープは第1検出モードにあり、検出部材は、第1運動部材が第3方向に沿って移動する距離を検出することができ、第1方向を回って回転したマイクロメカニカルジャイロスコープの角速度を得ることができる。マイクロメカニカルジャイロスコープが外部環境に応じて角速度方向が第2方向Yである回転を生じさせる場合、第2運動部材が第2方向に沿って揺動するため、第2運動部材は第3方向に沿ったコリオリ力を受けて第3方向に沿った揺動を生じさせ、この場合、マイクロメカニカルジャイロスコープは第2検出モードにあり、検出部材は、第2運動部材が第3方向に沿って移動する距離を検出することができ、第2方向を回って回転したマイクロメカニカルジャイロスコープの角速度を得ることができる。第1検出モードと第2検出モードが同時に存在しかつ互いに干渉しないため、マイクロメカニカルジャイロスコープは2つの方向の角速度を同時に測定することができ、そしてマイクロメカニカルジャイロスコープの適用シナリオを広げることができる。また、第1運動部材は第1中心に基づいて対称的な第1部分と第2部分に分割され、第2運動部材は第2中心に基づいて対称的な第3部分と第4部分に分割される。駆動部材が第3方向に沿って駆動することにより生じた第1部分の運動と第2部分の運動は同じ周波数でかつ逆方向である往復運動であり、外部衝撃により駆動される第1部分の運動と第2部分の運動は同じ方向の運動であるため、検出部材により検出された第1部分と第2部分の変位信号量を共通モードで出力して、差分検出の操作を利用して外部衝撃に起因する測定の誤差を抑制することができ、加速度衝撃と直交誤差を効果的に避け、かつ信号量の増幅を実現し、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出感度を向上させることができる。第3部分及び第4部分の作動原理は、第1部分及び第2部分と同じである。検出部材は、第3方向に沿って第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分の上方または下方に位置し、検出部材の検出面積が比較的に大きいため、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出の電気機械結合係数を効果的に向上させ、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出感度と信号対雑音比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで図面は明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本願に適合する実施形態を示し、明細書とともに本願の原理を説明するために使用される。
図1図1は、本発明に係るマイクロメカニカルジャイロスコープの第1の具体的な実施例における構成を示す図である。
図2図2は、図1における領域Aの部分拡大図である。
図3図3は、本発明に係るマイクロメカニカルジャイロスコープの第2種の具体的な実施例における構成を示す図である。
図4図4は、本発明に係るマイクロメカニカルジャイロスコープの第3種の具体的な実施例における構成を示す図である。
図5図5は、図4における領域Bの部分拡大図である。
図6図6は、本発明に係るマイクロメカニカルジャイロスコープの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願の技術的態様をよりよく理解するために、以下に添付図面に関連して本願の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
説明された実施形態は、本願の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではないことを明確にすべきである。本願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他のすべての実施形態は、本願の保護の範囲に属する。
【0019】
本願の実施形態で使用される用語は、特定の実施形態を記述するためだけのものであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の実施形態及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1つ」、「前記」、及び「当該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、多数の形を含むことも意図される。
【0020】
本明細書で使用される用語「及び/または」は、関連オブジェクトを記述する関連関係にすぎず、3つの関係が存在し得ることを意味し、例えば、A及び/またはBは、Aが単独で存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独で存在することを意味することができることを理解されたい。また、本文中の文字「/」は、前後の関連オブジェクトが「または」の関係であることを一般的に表す。
【0021】
なお、本願の実施形態に記載された「上」、「下」、「左」、「右」などの方位語は、図面に示す角度で記述されており、本願の実施形態を限定するものと理解すべきではない。さらに、コンテキストでは、1つの構成部材が別の構成部材「上」または「下」に接続されていると言及すると、別の構成部材「上」または「下」に直接接続できるだけでなく、中間構成部材を介して別の構成部材「上」または「下」に間接的に接続することもできることを理解する必要がある。
【0022】
本願の実施例には、電子製品が提供され、当該電子製品は、本体と、本体に取り付けられたマイクロメカニカルジャイロスコープと、を備える。
【0023】
本実施形態では、マイクロメカニカルジャイロスコープは、電子製品の角速度を検出でき、電子製品の作業に協力することを容易にする。 同時に、このマイクロメカニカルジャイロスコープは、両方向の角速度を同時に測定し、電子製品の性能を向上させることができる。
【0024】
本願の実施例には、マイクロメカニカルジャイロスコープが提供され、図1図3図4に示すように、このマイクロメカニカルジャイロスコープは、第1運動部材1、第2運動部材2、複数の駆動部材3及び検出部材4を備え、第1運動部材1は第1中心11を有し、かつ、第1運動部材1の第2方向Yに沿った両端は第1方向Xと第3方向Zに沿って第1中心11まわりに揺動可能であり、第2運動部材2は第2中心21を有し、かつ、第2運動部材2の第1方向Xに沿った両端は第2方向Yと第3方向Zに沿って第2中心21まわりに揺動可能であり、複数の駆動部材3は、第1運動部材1が第1方向Xに沿って揺動しかつ第2運動部材2が第2方向Yに沿って揺動するように駆動することができ、検出部材4は第3方向Zに沿って第1運動部材1と第2運動部材2の上方または下方に位置し、検出部材4は、第1運動部材1と第2運動部材2が第3方向Zに沿って移動する距離を検出するために使用される。ここで、第1方向Xは第2方向Yと垂直かつ共平面であり、第3方向Zは第1方向Xと第2方向Yと垂直である。
【0025】
本実施形態では、図1図3図4に示すように、マイクロメカニカルジャイロスコープは、3つの作動モードを含み、すなわち駆動モード、第1検出モード及び第2検出モードである。駆動モードでは、駆動部材3は、第1運動部材1が第1方向Xに沿って揺動するように駆動し、かつ第2運動部材2が第2方向Yに沿って揺動するように駆動する。第1運動部材1の揺動が第1中心11を回った揺動であり、第2運動部材2の揺動が第2中心21を回った揺動であるため、従来技術では駆動部材が運動部材が単一の方向に往復運動するように駆動するだけのことに比べて、本願の駆動部材3は第1運動部材1と第2運動部材2が運動するように駆動する駆動効果はより良好かつより安定になる。
【0026】
マイクロメカニカルジャイロスコープが外部環境に応じて角速度方向が第1方向Xである回転を生じさせる場合、第1運動部材1が第1方向Xに沿って揺動するため、第1運動部材1は第3方向Zに沿ったコリオリ力を受けて第3方向Zに沿った揺動を生じさせ、この場合、マイクロメカニカルジャイロスコープは第1検出モードにあり、検出部材4は、第1運動部材1が第3方向Zに沿って移動する距離を検出することができ、第1方向Xを回って回転したマイクロメカニカルジャイロスコープの角速度を得ることができる。マイクロメカニカルジャイロスコープが外部環境に応じて角速度方向が第2方向Yである回転を生じさせる場合、第2運動部材2が第2方向Yに沿って揺動するため、第2運動部材2は第3方向Zに沿ったコリオリ力を受けて第3方向Zに沿った揺動を生じさせ、この場合、マイクロメカニカルジャイロスコープは第2検出モードにあり、検出部材4は、第2運動部材2が第3方向Zに沿って移動する距離を検出することができ、第2方向Yを回って回転したマイクロメカニカルジャイロスコープの角速度を得ることができる。第1検出モードと第2検出モードが同時に存在しかつ互いに干渉しないため、マイクロメカニカルジャイロスコープは2つの方向の角速度を同時に測定することができ、そしてマイクロメカニカルジャイロスコープの適用シナリオを広げることができる。ここで、検出部材4は検出電極であってもよく、駆動部材3の内部には、駆動電極を設置してもよい。第1運動部材1と第2運動部材2は長方形としてもよく、具体的には、第1運動部材1の長手方向は第2方向Yと平行して設定され、第2運動部材2の長手方向は第1方向Xと平行して設定される。
【0027】
また、第1運動部材1は第1中心11に基づいて対称的な第1部分12と第2部分13に分割され、第2運動部材2は第2中心21に基づいて対称的な第3部分22と第4部分23に分割される。駆動部材3が第3方向Zに沿って駆動することにより生じた第1部分12の運動と第2部分13の運動は同じ周波数でかつ逆方向である往復運動であり、外部衝撃により駆動される第1部分12の運動と第2部分13の運動は同じ方向の運動であるため、検出部材4により検出された第1部分12と第2部分13の変位信号量を共通モードで出力して、差分検出の操作を利用して外部衝撃に起因する測定の誤差を抑制することができ、加速度衝撃と直交誤差を効果的に避け、かつ信号量の増幅を実現し、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出感度を向上させることができる。第3部分22及び第4部分23の作動原理は、第1部分12及び第2部分13と同じである。
【0028】
図6に示すように、検出部材4は、第3方向Zに沿って第1部分21、第2部分22、第3部分22及び第4部分23の上方または下方に位置し、検出部材4の検出面積が比較的に大きいため、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出の電気機械結合係数を効果的に向上させ、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出感度と信号対雑音比を向上させることができる。
【0029】
1つの具体的な実施形態では、図1図3図4に示すように、第1方向Xに沿って、第1運動部材1は複数設けられており、第2方向Yに沿って、第2運動部材2は複数設けられている。
【0030】
本実施形態では、第1運動部材1と第2運動部材2の両方が複数設けられているため、第1検出モードでは、マイクロメカニカルジャイロスコープは、複数の第1運動部材1によって複数の角速度を測定することができ、第2検出モードでは、マイクロメカニカルジャイロスコープは、複数の第2運動部材2によって複数の角速度を測定することができ、複数の角速度を解析処理することにより、測定誤差を低減し、マイクロメカニカルジャイロスコープによる測定値をより精確にすることができる。本実施例では、第1運動部材1は第1方向Xにおいて2つが設けられており、第2運動部材2は第2方向Yにおいて2つが設けられている。
【0031】
1つの具体的な実施形態では、図1図3図4に示すように、マイクロメカニカルジャイロスコープは、第1アンカー51、第1結合部材61、第1接続部材71及び第2接続部材72をさらに備え、第1アンカー51は第1方向Xに沿って第1運動部材1の両側に設置され、かつ、第1アンカー51は第2方向Yに沿って第2運動部材2の両側に設置され、第1結合部材61は第1アンカー51に外嵌され、第1結合部材61は第1アンカー51まわりに回転可能であり、第1接続部材71は第1結合部材61と駆動部材3を接続し、第2接続部材72は第1結合部材61と第1運動部材1を接続し、さらに第1結合部材61と第2運動部材2を接続する。ここで、駆動部材3は、第1接続部材71によって、第1結合部材61が第1アンカー51まわりに回転するように駆動し、第1結合部材61は、第2接続部材72によって、第1運動部材1と第2運動部材2が揺動するように駆動する。
【0032】
本実施形態では、図1図3図4に示すように、第1結合部材61は駆動部材3の周方向に沿って4つが設けられており、駆動部材3は第1接続部材71を介して第1結合部材61に接続され、駆動部材3の運動により4つの第1結合部材61が第1アンカー51の時計回りまたは反時計回りに回転するように駆動する。第1結合部材61が第2接続部材72を介して同時に第1運動部材1と第2運動部材2に接続されているため、第1結合部材61は第1運動部材1と第2運動部材2が揺動するように同期に駆動でき、駆動部材3により第1運動部材1と第2運動部材2を駆動することを協力的に実現するとともに、3つのモードにおけるマイクロメカニカルジャイロスコープの構造合計トルクを均衡させ、マイクロメカニカルジャイロスコープの駆動安定性を向上させる。同時に、第1結合部材61が第1方向Xの平面と第2方向Yの平面における第1運動部材1と第2運動部材2の運動を制限または駆動するだけで、第3方向Zに沿った第1運動部材1と第2運動部材2の運動を制限しないため、駆動モードと第1検出モード及び第2検出モードとの干渉を避け、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出誤差を低減することができる。
【0033】
以上を踏まえて、本願では、3つの実施例が提供される。
【0034】
第1の具体的な実施例では、図1図2に示すように、駆動部材3は第1方向Xに沿って2つが平行して設けられており、2つの駆動部材3の第2方向Yに沿う運動方向は逆である。マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2結合部材62と第5接続部材75をさらに含み、第2結合部材62はマイクロメカニカルジャイロスコープの中央に設置され、かつ2つの駆動部材3の間に位置し、2つの駆動部材3は第5接続部材75を介して第2結合部材62に接続されている。各駆動部材3は第1接続部材71を介して2つの第1結合部材61に接続されることで、第2方向Yに沿った2つの駆動部材3の運動により、4つの第1結合部材61が第1アンカー51の時計回りまたは反時計回りに回転するように駆動し、さらに第1結合部材61と第2接続部材72とが協働することで、第1運動部材1と第2運動部材2が揺動するように駆動する。また、第2結合部材62は長手形状とすることで、2つの駆動部材3の間のスペースを活用し、マイクロメカニカルジャイロスコープの体積を小さくすることができる。
【0035】
本実施例では、マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2アンカー52、第3アンカー53、第3接続部材73及び第4接続部材74をさらに含み、ここで、第2アンカー52は第1方向Xに沿って第1中心11の両側に設置され、第3アンカー53は第2方向Yに沿って第2中心21の両側に設置され、第3接続部材73は第2アンカー52と第1運動部材1を接続し、第4接続部材74は第3アンカー53と第2運動部材2を接続する。
【0036】
図1に示すように、第2アンカー52は第3接続部材73を介して第1運動部材1に接続され、これによって、第1運動部材1は第3方向Zに沿って第1中心11まわりに揺動可能であり(すなわち第1方向Xを回って回転する自由度を持つ)、かつ第1運動部材1が第2方向Yを回って回転する自由度を制限し、第1運動部材1は角速度の方向が第2方向Yである回転に鈍感になる。第3アンカー53は第4接続部材74を介して第2運動部材2に接続され、これによって、第2運動部材2は第3方向Zに沿って第2中心21まわりに揺動可能であり(すなわち第2方向Yを回って回転する自由度を持つ)、かつ第1運動部材1が第1方向Xを回って回転する自由度を制限し、第2運動部材2は角速度の方向が第1方向Xである回転に鈍感になる。これにより、第1検出モードと第2検出モードは、干渉することなく、互いに独立し、それと共に、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出誤差を低減させる。
【0037】
第2の具体的な実施例では、図3に示すように、駆動部材3はマイクロメカニカルジャイロスコープの周方向に沿って4つが設けられており、4つの駆動部材3はいずれも時計回りの円周の接線方向に沿って運動するか、または、いずれも反時計回りの円周の接線方向に沿って運動する。マイクロメカニカルジャイロスコープは、第4アンカー54及び第6接続部材76をさらに備え、第4アンカー54はマイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、4つの駆動部材3は第6接続部材76を介して第4アンカー54に接続される。各駆動部材3は第1接続部材71を介して1つの第1結合部材61に接続され、これによって、4つの駆動部材3が円周の接線方向に沿って運動することにより4つの第1結合部材61が第1アンカー51まわりに回転するように駆動することを実現し、第1結合部材61及び第6接続部材76によって、駆動部材3、第1運動部材1及び第2運動部材2の運動同期性を確保することができる。
【0038】
本実施例では、マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2アンカー52、第3アンカー53、第3接続部材73及び第4接続部材74をさらに含み、ここで、第2アンカー52は第1中心11に設置され、第3アンカー53は第2中心21に設置され、第3接続部材73は第2アンカー52と第1運動部材1を接続し、第4接続部材74は第3アンカー53と第2運動部材2を接続する。
【0039】
図3に示すように、第2アンカー52は第3接続部材73を介して第1運動部材1に接続され、第1運動部材1は第3方向Zに沿って第1中心11まわりに揺動可能であり(すなわち第1方向Xを回って回転する自由度を持つ)、かつ第1運動部材1が第2方向Yを回って回転する自由度を制限し、第1運動部材1は角速度の方向が第2方向Yである回転に鈍感になる。第3アンカー53は第4接続部材74を介して第2運動部材2に接続され、第2運動部材2は第3方向Zに沿って第2中心21まわりに揺動可能であり(すなわち第2方向Yを回って回転する自由度を持つ)、かつ第1運動部材1が第1方向Xを回って回転する自由度を制限し、第2運動部材2は角速度の方向が第1方向Xである回転に鈍感になる。これにより、第1検出モードと第2検出モードは、干渉することなく、互いに独立し、それと共に、マイクロメカニカルジャイロスコープの検出誤差を低減させる。
【0040】
第3の具体的な実施例では、図4図5に示すように、駆動部材3はマイクロメカニカルジャイロスコープの周方向に沿って4つが設けられており、4つの駆動部材3はいずれも円周の径方向に沿って往復運動する。マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2結合部材62及び第5接続部材75をさらに備え、第2結合部材62はマイクロメカニカルジャイロスコープの中心に設置され、4つの駆動部材3は第5接続部材75を介して第2結合部材62に接続される。各駆動部材はさらに第1接続部材71を介して1つ第1結合部材61に接続され、これによって、4つの駆動部材3が円周の径方向に沿って運動することにより、4つの第1結合部材61が第1アンカー51まわりに回転するように駆動することを実現し、かつ、第1結合部材61と第2結合部材62によって、駆動部材3、第1運動部材1及び第2運動部材2の運動同期性を確保することができる。また、第2結合部材62は円形であり、かつ、円周の径方向に沿って対向して設置された駆動部材3の運動方向は逆であり、これによって、第2結合部材62は楕円形と円形の間に穏やかに変化することができ、駆動部材3の駆動安定性を向上させることができる。さらに、第2結合部材62は、他の対称的な形状であってもよく、例えば正方形、四角または八角の星形である。
【0041】
本実施例では、マイクロメカニカルジャイロスコープは、第2アンカー52、第3アンカー53、第3接続部材73及び第4接続部材74をさらに含み、ここで、第2アンカー52は第1方向Xに沿って第1中心11の両側に設置され、第3アンカー53は第2方向Yに沿って第2中心21の両側に設置され、第3接続部材73は第2アンカー52と第1運動部材1を接続し、第4接続部材74は第3アンカー53と第2運動部材2を接続する。この構造による効果は第1の具体的な実施例における対応する構造による効果と同じであるため、ここで再び説明しない。
【0042】
上記3つの具体的な実施例について、第1接続部材71、第2接続部材72、第3接続部材73、第4接続部材74と第5接続部材は、いずれも接続梁、フレキシブル梁または弾性梁とすることができる。第2接続部材72はT字型梁とすることも可能である。
【0043】
上記3つの具体的な実施例について、駆動部材3の運動方向に沿った両側には、いずれもガイド部材が設置されることができ、これによって、駆動部材3の運動をより穏やかにし、信頼性がより良好になる。
【0044】
上記3つの具体的な実施例について、マイクロメカニカルジャイロスコープには、より良好な駆動性能と検出性能を持たせるように、駆動トランスデューサと検出トランスデューサを設置することも可能である。
【0045】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【符号の説明】
【0046】
X … 第1方向X
Y … 第2方向Y
Z … 第3方向Z
1 … 第1運動部材1
11 … 第1中心11
12 … 第1部分12
13 … 第2部分13
2 … 第2運動部材2
21 … 第2中心21
22 … 第3部分22
23 … 第4部分23
3 … 駆動部材3
4 … 検出部材4
51 … 第1アンカー51
52 … 第2アンカー52
53 … 第3アンカー53
54 … 第4アンカー54
61 … 第1結合部材61
62 … 第2結合部材62
71 … 第1接続部材71
72 … 第2接続部材72
73 … 第3接続部材73
74 … 第4接続部材74
75 … 第5接続部材75
8 … ガイド部材8

【要約】      (修正有)
【課題】両方向の角速度を同時に測定できるとともに、誤差を排除でき、マイクロメカニカルジャイロスコープの適用シナリオを広げる。
【解決手段】当該マイクロメカニカルジャイロスコープは、第1運動部材、第2運動部材、複数の駆動部材及び検出部材を備え、第1運動部材は第1中心を有し、かつ、第1運動部材の第2方向に沿った両端は第1中心まわりに第1方向と第3方向に沿って揺動可能であり、第2運動部材は第2中心を有し、かつ、第2運動部材の第1方向に沿った両端は第2中心まわりに第2方向と第3方向に沿って揺動可能であり、複数の駆動部材は、第1運動部材が第1方向に沿って揺動しかつ第2運動部材が第2方向に沿って揺動するように駆動することができ、検出部材は第3方向に沿って第1運動部材と第2運動部材の上方または下方に位置し、検出部材は、第1運動部材と第2運動部材が第3方向に沿って移動する距離を検出するために使用される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6