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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】分布図を通じた機器の予知保全方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
G05B23/02 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022523045
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2020014026
(87)【国際公開番号】W WO2021075855
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0128096
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519132458
【氏名又は名称】アイティーエス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ITS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】3,Daesong-gil,Seosaeng-myeon,Ulju-gun,Ulsan,45015,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨン ギュ
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036003(JP,A)
【文献】特開2015-030240(JP,A)
【文献】特開2003-259468(JP,A)
【文献】特開2001-052221(JP,A)
【文献】特開2002-304207(JP,A)
【文献】特表2020-520016(JP,A)
【文献】特開2017-162252(JP,A)
【文献】特開2016-040072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の予知保全方法において、
機器が正常な駆動状態にて一つの作業工程を行うのに要する電力量の大きさが時間の経過にしたがって変化する情報を測定し、そのように測定される電力量の大きさの変化の情報から、電力量の大きさが最大の値をピーク(peak)値として収集する第1情報収集段階(S10)と、
前記第1情報収集段階(S10)において収集される情報を基盤として、機器にて繰り返して行われる作業工程のそれぞれについてのピーク値を全て収集し、そのように収集されたピーク値を基盤として第1分布図を構築するのであって、設定されたピーク単位時間の間隔で機器にて繰り返して行われた動作に対する、第1分布図を繰り返して構築する第1分布図構築段階(S20)と、
前記第1分布図においてピーク値の分布確率の高い区間をピーク平均区間として任意に設定し、そのように設定されたピーク平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間を、ピーク検出区間として設定する第1区間設定段階(S30)と、
前記第1情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)にて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を互いに直線で連結した後、その直線の傾きを通じてピーク傾き情報を収集する第2情報収集段階(S40)と、
前記ピーク検出区間に対するピーク傾きの閾値を設定する閾値設定段階(S50)と、
機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結してピーク傾き値を測定し、そのように測定されたピーク傾き値が、前記ピーク傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する検出段階(S60)とからなり、
前記ピーク単位時間は、少なくとも二つ以上の作業工程を含む時間として設定されることを特徴とする分布図を通じた機器の予知保全方法。
【請求項2】
前記第1情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)を通じて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率を全て収集し、そのように収集されたピーク検出区間の分布確率値に対する第2分布図を構築するのであって、設定された分布単位時間の間隔で繰り返して構築された第1分布図のピーク検出区間に対する、第2分布図を繰り返して構築する第2分布図構築段階(S70)と、
前記第2分布図において、ピーク検出区間の分布確率値の分布確率が高い区間を、分布平均区間として任意に設定し、そのように設定された分布平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間を、分布検出区間として設定する第2区間設定段階(S80)とをさらに含み、
前記閾値設定段階(S50)においては、分布検出区間に対する分布傾きの閾値を設定し、
前記検出段階(S60)においては、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される、第2分布図の分布検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置された分布検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結して分布傾き値を測定し、そのように測定された分布傾き値が、前記分布傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導し、
前記分布単位時間は、少なくとも二つ以上の第1分布図を含む時間として設定されることを特徴とする請求項1に記載の分布図を通じた機器の予知保全方法。
【請求項3】
前記閾値設定段階(S50)においては、ピーク検出区間に対するピーク平均傾きの閾値と、分布検出区間に対する分布平均傾きの閾値とを、それぞれさらに設定し、
前記検出段階(S60)においては、
機器のリアルタイムの駆動状態における、ピーク検出区間に対するピーク傾き値が2回以上含まれるピーク平均検出区間を設定し、そのように設定されたピーク平均検出区間に含まれる、それぞれのピーク傾き値を収集して平均したピーク平均傾き値が、前記ピーク平均傾きの閾値を超える場合、または、
機器のリアルタイムの駆動状態における、分布検出区間に対する分布傾き値が2回以上含まれる分布平均検出区間を設定し、そのように設定された分布平均検出区間に含まれる、それぞれの分布傾き値を収集して平均した分布平均傾き値が、前記分布平均傾きの閾値を超える場合に、
警報を行うことで機器の点検管理を誘導することを特徴とする請求項2に記載の分布図を通じた機器の予知保全方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分布図を通じた機器の予知保全方法に関するものであり、さらに詳しくは、正常状態の機器が作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさの変化を基盤としてピーク値を抽出し、そのように抽出されたピーク値についての分布図を構築するとともに、そのように構築された分布図における、分布確率が低く多少高い危険性を有する検出区間についての分布確率の変化を基盤として、機器の異常の兆候を前もって予知検出し、適当な時期に機器の整備及び交替を行うように誘導することで、機器の故障による莫大な金銭的損失を予め予防することができる、分布図を通じた機器の予知保全方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、設備の自動化工程のために使用される各種の機器は、安定した作動が非常に重要である。
【0003】
一例として、大規模の生産工場の設備には、数十、数百個の機器が設置され、互いに連動動作しながら製品を連続生産するのであるが、もしも多数の機器のうちの、いずれか一つの機器に故障が発生すると、設備の動作が全体的に中断されるという重大な状況が発生するおそれがある。
【0004】
こうなると、機器の故障によるダウンタイムの発生により、機器の修理費用だけでなく、設備が中断される間に浪費される運営費とビジネス効果により莫大な損失が発生するしかない。
【0005】
最近、雇用労動部と産業安全保健公団の資料によると、年間の産業安全事故による死傷者は総10万人の水準で集計されており、これを費用に換算すると、年間18兆ウォンの損失が発生していると集計されている。
【0006】
かかる予期せぬダウンタイム費用を避けるための方法として、事前予知保全システムの導入が至急であるのが実情である。既に予知保全という名目下で問題点を改善するために努力しているが、より効率的な予知保全のために、さらに高次元の予知保全方法の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような諸般の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、正常状態の機器が作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさの変化を基盤としてピーク値を抽出し、そのように抽出されたピーク値についての分布図を構築するとともに、そのように構築された分布図における、分布確率が低く多少高い危険性を有する検出区間についての分布確率の変化を基盤として、機器の異常の兆候を前もって予知検出し、適当な時期に機器の整備及び交替を行うように誘導することで、機器の故障による莫大な金銭的損失を予め予防することができる、分布図を通じた機器の予知保全方法を提供することにある。
【0008】
また、機器にて発生する異常の兆候を効率的に検索するための多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に機器を異常状態として検出することで、機器にて発生する異常の兆候を非常に精緻かつ効果的に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度を確保することができる、分布図を通じた機器の予知保全方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するための本発明による分布図を通じた機器の予知保全方法は、機器が正常な駆動状態にて一つの作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさが、時間の経過に伴い変化することについての情報を測定し、そのように測定されるエネルギーの大きさの変化の情報から、エネルギーの大きさが最大の値をピーク(peak)値として収集する第1情報収集段階(S10)と、前記第1情報収集段階(S10)にて収集される情報を基盤として、機器にて繰り返して行われる作業工程のそれぞれについてのピーク値を全て収集し、そのように収集されたピーク値を基盤として第1分布図を構築するのであって、設定されたピーク単位時間の間隔で機器にて繰り返して行われた動作に対する、第1分布図を繰り返して構築する第1分布図構築段階(S20)と、前記第1分布図におけるピーク値の分布確率が高い区間をピーク平均区間として任意に設定し、そのように設定されたピーク平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間をピーク検出区間として設定する第1区間設定段階(S30)と、前記第1情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)にて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を互いに直線で連結した後、その直線の傾きを通じてピーク傾き情報を収集する第2情報収集段階(S40)と、前記ピーク検出区間に対するピーク傾きの閾(しきい)値を設定する閾値設定段階(S50)と、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を互いに直線で連結してピーク傾き値を測定し、そのように測定されたピーク傾き値が前記ピーク傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する検出段階(S60)とからなり、前記ピーク単位時間は、少なくとも二つ以上の作業工程を含む時間として設定されることを特徴とする。
【0010】
また、前記情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)を通じて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率を全て収集し、そのように収集されたピーク検出区間の分布確率値に対する第2分布図を構築するのであって、設定された分布単位時間の間隔で繰り返して構築された第1分布図のピーク検出区間に対する、第2分布図を繰り返して構築する第2分布図構築段階(S70)と、前記第2分布図において、ピーク検出区間の分布確率値の分布確率が高い区間を分布平均区間として任意に設定し、そのように設定された分布平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間を分布検出区間として設定する第2区間設定段階(S80)とをさらに含み、前記閾値設定段階(S50)においては、分布検出区間に対する分布傾きの閾値を設定し、前記検出段階(S60)においては、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される第2分布図の分布検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置された分布検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結して分布傾き値を測定し、そのように測定された分布傾き値が、前記分布傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導するのであり、前記分布単位時間は、少なくとも二つ以上の第1分布図を含む時間として設定されることを特徴とする。
【0011】
また、前記閾値設定段階(S50)においては、ピーク検出区間に対するピーク平均傾きの閾値と、分布検出区間に対する分布平均傾きの閾値とを、それぞれさらに設定し、前記検出段階(S60)においては、機器のリアルタイムの駆動状態にてピーク検出区間に対するピーク傾き値が2回以上含まれるピーク平均検出区間を設定し、そのように設定されたピーク平均検出区間に含まれる、それぞれのピーク傾き値を収集して平均したピーク平均傾き値が、前記ピーク平均傾きの閾値を超える場合に、または、機器のリアルタイムの駆動状態における分布検出区間に対する分布傾き値が2回以上含まれる分布平均検出区間を設定し、そのように設定された分布平均検出区間に含まれるそれぞれの分布傾き値を収集して平均した分布平均傾き値が、前記分布平均傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による、分布図を通じた機器の予知保全方法によると、正常状態の機器が作業工程を行うのに要するエネルギー大きさの変化を基盤としてピーク値を抽出し、そのように抽出されたピーク値についての分布図を構築し、そのように構築された分布図における、分布確率が低く、多少高い危険性を有する検出区間についての分布確率の変化を基盤として、機器の異常兆候を予め予知検出し、適当な時期に機器の整備及び交替を行うように誘導して、機器の故障による莫大な金銭的損失を予め予防することができるという効果がある。
【0013】
また、機器にて発生する異常の兆候を効率的に検索するために、多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に機器を異常状態として検出することで、機器にて発生する異常の兆候を非常に精緻かつ効果的に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例による分布図を通じた機器の予知保全方法のブロック図である。
図2図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(1)である。
図3図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(2)である。
図4図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(3)である。
図5図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(4)である。
図6図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(5)である。
図7図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(6)である。
図8図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(7)である。
図9図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(8)である。
図10図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(9)である。
図11図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面(10)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、機器の予知保全方法において、機器が正常な駆動状態にて一つの作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさが経時的に変化する情報を測定し、そのように測定されるエネルギーの大きさの変化の情報から、エネルギーの大きさが最大である値をピーク(peak)値として収集する第1情報収集段階(S10)と、前記第1情報収集段階(S10)にて収集される情報に基づいて、機器にて繰り返して行われる作業工程のそれぞれに対するピーク値を全て収集し、そのように収集されたピーク値に基づいて第1分布図を構築するのであって、設定されたピーク単位時間の間隔で機器にて繰り返して行われた動作に対する第1分布図を繰り返して構築する第1分布図構築段階(S20)と、前記第1分布図においてピーク値の分布確率の高い区間をピーク平均区間として任意に設定し、そのように設定されたピーク平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間をピーク検出区間として設定する第1区間設定段階(S30)と、前記第1情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)にて繰り返して収集される第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を互いに直線で連結した後、その直線の傾きを通じてピーク傾き情報を収集する第2情報収集段階(S40)と、前記ピーク検出区間に対するピーク傾きの閾値を設定する閾値設定段階(S50)と、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結してピーク傾き値を測定し、そのように測定されたピーク傾き値が、前記ピーク傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する検出段階(S60)とからなり、前記ピーク単位時間は、少なくとも二つ以上の作業工程を含む時間として設定されることを特徴とする。
【実施例
【0016】
本発明の好ましい実施例による、分布図を通じた機器の予知保全方法を、添付の図面に基づいて詳しく説明する。本発明の要旨を不必要に曖昧にしうると判断される公知機能及び構成に対する詳しい技術は省略する。
【0017】
図1図11は、本発明の実施例による分布図を通じた機器の予知保全方法を示したものであって、図1は、本発明の実施例による分布図を通じた機器の予知保全方法のブロック図を示したものであり、図2図11は、図1に示された分布図を通じた機器の予知保全方法を説明するための図面をそれぞれ示したものである。
【0018】
上記図面に示すように、本発明の実施例による分布図を通じた機器の予知保全方法100は、情報収集段階(S10)と、第1分布図構築段階(S20)と、第1区間設定段階(S30)と、第2情報収集段階(S40)と、閾値設定段階(S50)と、検出段階(S60)とを含んでいる。
【0019】
前記第1情報収集段階(S10)は、機器が正常な駆動状態にて一つの作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさが、時間の経過に伴い変化することについての情報を測定し、そのように測定されるエネルギー大きさの変化の情報から、エネルギーの大きさが最大である値をピーク(peak)値として収集する段階である。
【0020】
通常、大型設備に設置され有機的に動作する機器は、特定の作業工程を繰り返して行うのであるが、この際に機器に要するエネルギーとして、電流(電源)、供給電源の周波数、機器にて発生する振動、騷音などを選択的に使用することができる。
【0021】
一例として、素材に穴を穿孔する作業工程を行う穿孔機といった機器が作業工程を行うのに要するエネルギーとして機器に供給される電流を経時的に表すと、図2に示されたような波形で示される。
【0022】
この場合、ピーク値は、電流が最も大きく形成される値をピーク値とするのであり、そのピーク値を前記第1情報収集段階(S10)にて収集する。
【0023】
前記第1分布図構築段階(S20)は、前記第1情報収集段階(S10)にて収集される情報に基づいて、機器にて繰り返して行われる作業工程のそれぞれについてのピーク値を全て収集するとともに、そのように収集されたピーク値に基づいて第1分布図を構築するのであって、設定されたピーク単位時間の間隔で機器にて繰り返して行われた動作についての第1分布図を繰り返して構築する段階である。
【0024】
即ち、機器が繰り返して作業工程を行うと、図3に示すように、繰り返してピーク値を収集することができるが、そのように収集される多数のピーク値に基づいて第1分布図を構築するならば、図3の通りである。
【0025】
ここで、前記ピーク単位時間は、少なくとも二つ以上のピーク値が含まれるように設定する時間であり、機器の駆動条件、周辺環境などを考慮して、短くて数秒から、長くて日、月、年などの単位で設定することができる。
【0026】
前記第1区間設定段階(S30)は、前記第1分布図における、ピーク値の分布確率の高い区間をピーク平均区間として任意に設定し、そのように設定されたピーク平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間を、ピーク検出区間として設定する段階である。
【0027】
ここで、機器が正常状態にて分布確率の高いピーク値は、機器の状態が多少安定的である値であるとみることができるのであり、分布確率の低いピーク値、即ち、ピーク値が大きすぎるように形成されるか、逆に小さすぎるように形成された値は、機器の状態が多少不安定である値であるとみることができる。
【0028】
したがって、図4に示すように、第1分布図を、ピーク平均区間とピーク検出区間とに区画すると、ピーク平均区間は機器が安定した状態のピーク値が分布された領域であり、ピーク検出区間は、機器が多少不安定である状態のピーク値が分布された領域である。
【0029】
ここで、前記ピーク検出区間として、前記ピーク平均区間以外の全ての区間、すなわち、前記ピーク平均区間の両側の区間をピーク検出区間として選択したが、もちろん、このように選択された区間に限定して前記ピーク検出区間を選択するものではない。
【0030】
前記第2情報収集段階(S40)は、前記第1情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)にて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を互いに直線で連結した後、その直線の傾きを通じてピーク傾き情報を収集する段階である。
【0031】
即ち、繰り返して第1分布図が構築収集されると、図5に示すように、多数のピーク検出区間に対する分布確率値が収集されるのであり、そのように収集されたピーク検出区間の分布確率値を、時間の経過にしたがって配置した後に直線で連結すると、図5のように示すことができる。
【0032】
ここで、前記ピーク検出区間の分布確率値を連結する直線の傾き値は、傾きが上昇する上昇傾き値(正数)と、傾きが下降する下降傾き値(負数)とに区分することができるが、いずれも絶対値として傾き値を数値化して収集する。
【0033】
ここで、前記ピーク単位時間は、少なくとも二つ以上の第1分布図のピーク検出区間の分布確率値が含まれるように設定する時間であり、機器の駆動条件、周辺環境などを考慮して、短くて数秒から、長くて日、月、年などの単位で設定できることは勿論である。
【0034】
前記閾値設定段階(S50)は、前記ピーク検出区間に対するピーク傾きの閾値を設定する段階である。
【0035】
ここで、前記ピーク傾き閾値は、前記第1分布図における、区画されたピーク検出区間の分布確率値と、他のピーク検出区間の分布確率値とを互いに連結する直線の傾き値が、非正常的に増大する場合に、警報を行うための値であり、機器の種類、使用環境、寿命及びピーク検出区間の大きさ(分布確率)などを考慮して多様な大きさの値として設定できるだけでなく、前記ピーク傾き閾値は、二つ以上の閾値に、例えば警報閾値、危険閾値などに区分して設定することで、警報に対するレベルを多様に形成するようにして、機器の異常の兆候について警報が可能なことは言うまでもない。
【0036】
前記検出段階(S60)は、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結してピーク傾き値を測定し、そのように測定されたピーク傾き値が前記ピーク傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する段階である。
【0037】
すなわち、図6に示すように、機器のリアルタイムの駆動状態にてピーク単位時間内の作業工程についてのピーク値を基盤として、リアルタイム第1分布図を構築するとともに、繰り返したピーク単位時間の間隔でリアルタイムの第1分布図を繰り返して構築するのであって、この際に構築されるリアルタイムの第1分布図のピーク検出区間の分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置されたピーク検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結したピーク傾き値が、ピーク傾き閾値を超えない場合は機器を非常に安定した状態として検出するとともに、ピーク傾き閾値を超える場合は機器を多少不安定な状態として検出して警報を行う方式であって、機器の故障が発生する前に機器の異常の兆候を検出して機器の点検及び管理を誘導することで、突然の機器の故障により設備の全体的な稼動が中断されて発生し得る経済的な損失を、予め防止するように誘導する。
【0038】
一例として、図6は、ピーク傾き閾値が5゜と設定され、そのように設定されたピーク傾き閾値と、機器のリアルタイムの第1分布図におけるピーク検出区間の分布確率値を連結する直線の傾き値とを対比することで、機器の異常の兆候を比較検出したものである。
【0039】
一方、図7に示すように、前記情報収集段階(S10)並びに第1分布図構築段階(S20)及び第1区間設定段階(S30)を通じて繰り返して収集される、第1分布図のピーク検出区間に対する分布確率を全て収集し、そのように収集されたピーク検出区間の分布確率値に対する第2分布図を構築するのであって、設定された分布単位時間の間隔で繰り返して構築された、第1分布図のピーク検出区間に対する第2分布図を繰り返して構築する第2分布図構築段階(S70)と、図8に示すように、前記第2分布図において、ピーク検出区間の分布確率値の分布確率が高い区間を分布平均区間として任意に設定し、そのように設定された分布平均区間以外の区間のうちの、選択されるいずれか一つの区間または二つ以上の区間を、分布検出区間として設定する第2区間設定段階(S80)とを、さらに含む。
【0040】
ここで、前記分布単位時間は、少なくとも二つ以上の、第1分布図のピーク検出区間の分布確率値が含まれるように設定する時間であり、機器の駆動条件、周辺環境などを考慮して、短くて数秒から、長くて日、月、年などの単位で設定できることは勿論であり、前記第2分布図は、前記第1分布図において、ピーク検出区間に該当する、機器の状態が多少不安定な値でもって構築されるのであるが、ここで、前記第2分布図の分布検出区間は、さ機器の状態が、より不安定である値が分布された区間であるとみることができる。
【0041】
その後、前記閾値設定段階(S50)では、分布検出区間に対する分布傾きの閾値を設定するのであるが、ここで、前記分布傾き閾値は、前記第2分布図における、区画された分布検出区間の分布確率値を連結する、直線の傾き値が増大する場合に、警報を行うための値であり、機器の種類、使用環境、寿命及び分布検出区間の大きさ(分布確率)などを考慮して、多様な大きさの値として設定することができる。
【0042】
その後、図9に示すように、前記検出段階(S60)においては、機器のリアルタイムの駆動状態にて繰り返して収集される第2分布図の分布検出区間に対する分布確率値を、時間の経過にしたがって配置し、そのように配置された分布検出区間の分布確率値を、互いに直線で連結して分布傾き値を測定し、そのように測定された分布傾き値が前記分布傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する。
【0043】
一例として、図9は、分布傾き閾値が3゜と設定され、そのように設定された分布傾き閾値と、機器のリアルタイムの第2分布図における分布検出区間の分布確率値を連結する直線の傾き値とを対比することで、機器の異常の兆候を比較検出したものである。
【0044】
また、前記閾値設定段階(S50)においては、ピーク検出区間に対するピーク平均傾きの閾値と、分布検出区間に対する分布平均傾きの閾値とを、それぞれさらに設定し、図10に示すように、前記検出段階(S60)においては、機器のリアルタイムの駆動状態におけるピーク検出区間に対するピーク傾き値が2回以上含まれるピーク平均検出区間を設定し、そのように設定されたピーク平均検出区間に含まれる、それぞれのピーク傾き値を収集して平均したピーク平均傾き値が、前記ピーク平均傾きの閾値を超える場合、または、図11に示すように、機器のリアルタイムの駆動状態における分布検出区間に対する分布傾き値が2回以上含まれる分布平均検出区間を設定し、そのように設定された分布平均検出区間に含まれる、それぞれの分布傾き値を収集して平均した分布平均傾き値が、前記分布平均傾きの閾値を超える場合に、警報を行うことで機器の点検管理を誘導する。
【0045】
即ち、本発明の、分布図を通じた機器の予知保全方法100は、ピーク検出区間の分布確率に対するピーク傾き閾値と、分布検出区間に対する分布傾き閾値と、ピーク平均傾きの閾値と、分布平均傾きの閾値とを通じて、機器の異常の兆候をより正確かつ精緻に検出予知することができる。
【0046】
上記のような過程でもって機器の異常の兆候を予知する、本発明の分布図を通じた機器の予知保全方法100は、正常状態の機器が作業工程を行うのに要するエネルギーの大きさの変化を基盤としてピーク値を抽出し、そのように抽出されたピーク値についての分布図を構築するのであって、そのように構築された分布図における、分布確率が低く、多少高い危険性を有する検出区間についての分布確率の変化を基盤として、機器の異常の兆候を前もって予知検出することで、適切な時期に機器の整備及び交替を行うように誘導するようにして、機器の故障による莫大な金銭的損失を、予め予防することができるという効果がある。
【0047】
また、機器にて発生する異常の兆候を効率的に検索するために、多様な検出条件を提示し、その検出条件を満たす場合に機器を異常状態として検出することで、機器にて発生する異常の兆候を非常に精緻かつ効果的に検出できるだけでなく、検出結果に対する優れた信頼度を確保することができるという効果がある。
【0048】
本発明は、添付の図面に示された実施例を参考として説明されたが、これは例示的なものであって、上述した実施例に限定されず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な実施例が可能であるという点を理解できるであろう。また、本発明の思想を損なわない範囲内で当業者による変形が可能なことは勿論である。従って、本発明にて権利を請求する範囲は、詳細な説明の範囲内に定められるものではなく、後述する請求の範囲とその技術的思想により限定される。
【符号の説明】
【0049】
S10:第1情報収集段階
S20:第1分布図構築段階
S30:第1区間設定段階
S40:第2情報収集段階
S50:閾値設定段階
S60:検出段階
S70:第2分布図構築段階
S80:第2区間設定段階
100:分布図を通じた機器の予知保全方法
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11