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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】処理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 15/00 20060101AFI20230502BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20230502BHJP
   C22B 3/18 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C22B15/00 105
C22B15/00 107
C22B3/06
C22B3/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022539376
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 US2021043869
(87)【国際公開番号】W WO2022026810
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】16/944,379
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522254479
【氏名又は名称】リオ ティント テクノロジカル リソーシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーリー、アダム ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】アルカヤガ ズーニガ、ハヴィエラ デル ピラール
(72)【発明者】
【氏名】ムラディニク ムニョス、ユーレ アントン
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-009942(JP,A)
【文献】国際公開第2011/059380(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0150729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0225809(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027901(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0138128(US,A1)
【文献】米国特許第05316751(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法であって、前記低グレード銅含有材料は重量で1.5%以下の平均銅濃度を有する材料を意味し、
(a)鉱石処理プラントの尾鉱ダムまたは尾鉱流から黄鉄鉱含有スラリーを得るステップと、
(b)黄鉄鉱含有粒子を浮遊させ、(i)不活性流および(ii)前記黄鉄鉱含有粒子を含む黄鉄鉱含有材料を形成することによって、前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップと、
(c)硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料と前記黄鉄鉱含有材料とを混合して、凝集体を形成するステップと、
(d)浸出液および微生物を用いて、ステップ(c)からの前記凝集体中の前記銅含有材料から銅を浸出させるステップと、
を含み、
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱は、前記銅含有材料からの銅の浸出を容易にする酸および熱を生成し、
前記微生物は、第1鉄を第2鉄に酸化する、
方法。
【請求項2】
前記黄鉄鉱除去ステップ(b)は、サイズ分離ステップを含み、前記サイズ分離ステップが、前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去する前に前記黄鉄鉱含有スラリーからより大きな粒子を分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記黄鉄鉱除去ステップ(b)は、サイズ縮小回路内で前記より大きな粒子のサイズを縮小するステップと、前記縮小されたサイズの粒子を前記サイズ分離ステップに戻すステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記黄鉄鉱除去ステップ(b)は、前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が前記浸出ステップ(d)に必要な粒径分布を有するように、操作条件を選択するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が、1mm以下の値のP80の粒径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱粒子が、250μm以下の値のP80の粒径値を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記黄鉄鉱除去ステップ(b)は、前記黄鉄鉱含有材料を増粘および/または濾過するステップと、黄鉄鉱含有精鉱を形成するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記銅含有材料から金属を回収するための処理プラントにおける水の供給源として前記不活性流を使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
黄鉄鉱が、銅含有材料および黄鉄鉱含有材料の総質量の1~10重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記浸出ステップ(d)は、
i.凝集体の堆積から銅を堆積浸出させ、溶液中に銅を含む浸出貴液を生成するステップと、
ii.浸出貴液から銅を回収するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記低グレード銅含有材料が岩を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記微生物が細菌または古細菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記不活性流が金属を回収するための処理プラントにおける水の供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法であって、前記低グレード銅含有材料は重量で1.5%以下の平均銅濃度を有する材料を意味し、
(a)尾鉱ダムから、または鉱石処理プラントの尾鉱流から直接、黄鉄鉱含有スラリーを得るステップと、
(b)黄鉄鉱含有粒子を浮遊させ、(i)不活性流および(ii)黄鉄鉱含有粒子を含む黄鉄鉱含有材料を形成することによって、前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップであって、前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が浸出ステップ(d)に必要な粒径分布を有するように、操作条件を選択することを含む、除去ステップと
(c)硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料と前記黄鉄鉱含有材料とを混合して、凝集体を形成するステップと、
(d)浸出液および微生物を用いて、ステップ(c)からの前記凝集体中の前記銅含有材料から銅を浸出させるステップと、
を含み、
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱は、前記銅含有材料からの銅の浸出を容易にする酸および熱を生成し、
前記微生物は、第1鉄を第2鉄に酸化する、
方法。
【請求項15】
硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法であって、前記低グレード銅含有材料は重量で1.5%以下の平均銅濃度を有する材料を意味し、
(a)尾鉱ダムから、または鉱石処理プラントの尾鉱流から直接、黄鉄鉱含有スラリーを得るステップと、
(b)残りの黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去する前に前記黄鉄鉱含有スラリーからより大きな粒子を分離するステップであって、サイズ縮小回路内で前記より大きな粒子のサイズを縮小し、前記縮小されたサイズの粒子を前記サイズ分離ステップに戻すステップ、および前記残りの黄鉄鉱含有スラリー中で黄鉄鉱含有粒子を浮遊させ、(i)不活性流および(ii)黄鉄鉱含有粒子を含む黄鉄鉱含有材料を形成することによって、前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップであって、前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が浸出ステップ(d)に必要な粒径分布を有するように、操作条件を選択することを含む、除去ステップと
(c)硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料と前記黄鉄鉱含有材料とを混合して、凝集体を形成するステップと、
(d)浸出液および微生物を用いて、ステップ(c)からの前記凝集体中の前記銅含有材料から銅を浸出させるステップと、
を含み、
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱は、前記銅含有材料からの銅の浸出を容易にする酸および熱を生成し、
前記微生物は、第1鉄を第2鉄に酸化する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、黄鉄鉱含有スラリーを選鉱することによって処理する方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、排他的ではないが、例えば、黄鉄鉱含有スラリーを選鉱することによって、スラリーから黄鉄鉱を除去し、除去された黄鉄鉱を下流の方法ステップで使用することによって処理する方法に関する。
【0003】
本発明は特に、決して排他的ではないが、例えば、金属硫化物鉱物などの金属硫化物含有材料から金属を回収するための処理プラントからの尾鉱の形態の黄鉄鉱含有スラリーを選鉱することによって、尾鉱から黄鉄鉱を除去し、除去された黄鉄鉱を下流の方法ステップで使用することによって処理する方法に関する。
【0004】
本発明の特定の用途は、硫化銅鉱物などの硫化銅含有材料から銅を回収するための尾鉱ダムまたは処理プラントからの黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去することである。
【0005】
本発明の特定の用途は、除去された黄鉄鉱を下流の方法ステップで使用して、硫化銅鉱物などの金属硫化物鉱物などの金属硫化物含有材料から銅などの有価金属を回収することである。
【0006】
本発明はまた、硫化銅鉱物などの金属含有硫化物鉱物などの金属硫化物含有材料を含有する凝集体の堆積を浸出することを特徴とする堆積浸出方法に関し、凝集体は、硫化物含有材料から有価金属を回収するために、少なくとも部分的に黄鉄鉱含有材料から生成される。
【0007】
本発明はまた、黄鉄鉱含有材料から少なくとも部分的に生成される、硫化銅鉱物などの金属硫化物鉱物などの金属硫化物含有材料を含む凝集体を含む堆積を特徴とする堆積に関する。
【0008】
本発明はまた、金属硫化物含有材料のための鉱石処理プラント用の浮選回路に関する。
【0009】
本発明はまた、金属硫化物含有材料のための鉱石処理プラントに関する。
【背景技術】
【0010】
上述の本発明の技術分野は、採掘された材料中の金属硫化物鉱物などの金属硫化物含有材料からの銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属の製造に関する。
【0011】
「採掘された材料」という用語は、本明細書では、採掘され、鉱山から、(a)直接材料から金属を回収するための下流の処理作業に、または(b)備蓄に移送される材料を含むと理解されたい。
【0012】
本発明の以下の説明は、金属の一例として銅に焦点を当てており、銅は硫化銅鉱物などの硫化銅含有材料中にある。
【0013】
銅は、低炭素ベースの世界経済への移行のためのますます重要な金属である。
【0014】
銅含有硫化鉱石および精鉱などの硫化銅含有材料から銅を回収するための現在の湿式処理プラント、例えば浮選回路を含む湿式処理プラントは、典型的には微粉である粒子の水性スラリーの形態で大量の尾鉱を生成するが、硫化銅鉱物などの硫化銅含有材料中に低濃度の銅を含有する粗粒子を含む可能性がある。
【0015】
以下の尾鉱の説明は、(a)鉱石処理プラントからの尾鉱を貯蔵する尾鉱ダムにおける尾鉱、または(b)硫化銅鉱物を含有する硫化銅含有鉱石など、硫化銅含有材料のための鉱石処理プラントの尾鉱流から直接の尾鉱に関する。
【0016】
尾鉱は、典型的にはダムに貯蔵される。典型的には、ダムのサイズはかなり大きく、ダムの容量は採掘が継続するにつれて増加する。
【0017】
尾鉱および尾鉱ダムは、鉱山の耐用期間中に重大な環境および安全上のリスクを呈することが多い。
【0018】
鉱山の寿命の間、尾鉱ダムを維持し、鉱山の寿命の終わりに尾鉱ダムを修復することには、かなりの問題がある。懸濁物質は、物質の安全な処分を容易にするために沈降するのに時間がかかり、多くの場合かなりの時間がかかる。加えて、尾鉱ダムの構造的完全性には潜在的な問題がある。尾鉱の量を減らすための公知の脱水技術があるが、これらの技術は、採掘作業にコストおよび複雑さを加える。
【0019】
時々、尾鉱ダムの壊滅的な崩壊があり、それによりダムの下流の地域に生命の喪失および相当な損傷を引き起こしてきた。
【0020】
また、崩壊の危険性を最小限に抑えるためにダム壁の構造的完全性を保証するために必要なステップを講じる鉱山に関する懸念がある。
【0021】
また、尾鉱は、多くの場合、直接または反応を介して汚染物質を含有し、これは、鉱山の修復のための課題を提示する。
【0022】
例えば、尾鉱は、多くの場合、かなりの濃度の黄鉄鉱を含有し、これは、尾鉱が排出され得る前に、尾鉱が酸化して、例えば酸度を中和することによる処理を必要とする酸性流出物を生成し得るため、潜在的な環境上の危険をもたらす。
【0023】
汚染物質の除去は、コストが法外である場合、および/または汚染物質が、一旦尾鉱から除去されると、何らかの方法で貯蔵/含有されなければならない別の媒体であっても、汚染物質として残る場合には、解決策ではないことに留意することが重要である。
【0024】
したがって、黄鉄鉱などの汚染物質は、尾鉱処理に複雑さを加えることになる。
【0025】
本発明は、黄鉄鉱含有尾鉱を有益に処理することを可能にする方法を提供する。
【0026】
上記および以下の説明は、銅含有鉱石の湿式処理プラントからの尾鉱に注目する。本発明はまた、コバルト、ニッケルおよび亜鉛などの他の金属を含有する鉱石の処理に由来する尾鉱にも及ぶ。
【0027】
上記の説明は、オーストラリアまたは他の場所における共通の一般知識の承認ではない。
【発明の概要】
【0028】
本発明は、金属硫化物鉱物を含有する金属硫化物含有鉱石などの金属硫化物含有材料のための尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有尾鉱などの黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去すること、および黄鉄鉱を使用して、黄鉄鉱の酸および発熱能力を利用する方法で金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を除去するのに寄与することが可能であり、そのため、黄鉄鉱の環境への影響も低減するという認識に基づいている。
【0029】
本出願人が認識した本出願人にとって関心のある本発明の1つの特定の用途は、黄鉄鉱含有尾鉱から除去される黄鉄鉱の使用によく適しており、銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を含有する採掘された材料のための堆積浸出の応用である。本出願人は、本出願において、黄鉄鉱が、例として、採掘された材料と黄鉄鉱との凝集体に有益に使用されることができ、その後、堆積に形成され、浸出液および微生物によって浸出され得ることを見出した。
他の記載と重複するが、本発明及びその態様を以下に示す。但し、本発明は以下に限定されない。
[1]
硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法であって、
(a)鉱石処理プラントの尾鉱ダムまたは尾鉱流から黄鉄鉱含有スラリーを得るステップと、
(b)黄鉄鉱含有材料を浮遊させ、(i)不活性流および(ii)前記黄鉄鉱含有材料を含有する流を形成することによって、前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップと、
(c)硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料と前記黄鉄鉱含有材料とを混合するステップと、
(d)浸出液および微生物を用いて前記銅含有材料から銅を浸出させるステップと、
を含み、
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱は、前記銅含有材料からの銅の浸出を容易にする酸および熱を生成し、
前記微生物は、第1鉄を第2鉄に酸化する、
方法。
[2]
黄鉄鉱含有スラリーを処理する方法であって、
(a)前記黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去し、(i)不活性流および(ii)黄鉄鉱含有材料を形成するステップであって、前記黄鉄鉱含有スラリーは尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの尾鉱を含む、ステップと、
(b)金属硫化物含有材料および前記黄鉄鉱含有材料を浸出液および微生物で浸出させ、前記金属硫化物含有材料から金属を除去し、金属を含有する浸出貴液を形成するステップであって、前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱が、前記金属硫化物含有材料からの金属の浸出を促進する酸および熱を生成し、前記微生物が第1鉄を第2鉄に酸化する、ステップと、
を含む方法。
[3]
前記黄鉄鉱除去ステップ(a)は、前記黄鉄鉱含有スラリー中の黄鉄鉱含有材料を浮遊させるステップと、(i)前記不活性流を1つの浮選生産物として生成し、(ii)前記黄鉄鉱含有材料を別の浮選生産物として生成するステップと、を含む、[2]に記載の方法。
[4]
前記浮選ステップの前に、前記黄鉄鉱除去ステップ(a)は、サイクロンまたは他の適切な分類装置などを介してサイズ分離ステップを含み、前記サイズ分離ステップが、前記残りの黄鉄鉱含有スラリーから前記黄鉄鉱含有材料中のより大きな粒子を分離し、前記残りの黄鉄鉱含有スラリーが前記浮選ステップに移送される、[3]に記載の方法。
[5]
前記黄鉄鉱除去ステップ(a)は、サイズ縮小回路内で前記黄鉄鉱含有材料中の前記より大きな粒子のサイズを縮小するステップと、前記縮小されたサイズの粒子を前記サイズ分離ステップに戻すステップと、を含む、[4]に記載の方法。
[6]
前記黄鉄鉱除去ステップ(a)は、前記残りの黄鉄鉱含有スラリー中の前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が前記下流の浸出ステップ(b)に必要な粒径分布を有するように、前記操作条件を選択するステップを含む、[4]または[5]に記載の方法。
[7]
前記黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が、1mmまたは1mm未満の値のP 80 の粒径を有する、[1]から[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
前記黄鉄鉱含有材料中の前記黄鉄鉱粒子が、250μmまたは250μm未満の値のP 80 の粒径値を有する、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[9]
前記黄鉄鉱除去ステップ(a)は、前記黄鉄鉱含有材料を増粘および/または濾過するステップと、黄鉄鉱含有精鉱を形成するステップと、を含む、[1]から[8]のいずれかに記載の方法。
[10]
前記金属硫化物含有材料から金属を回収するための処理プラントにおける水の供給源として前記不活性流を使用するステップを含む、[1]から[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
前記金属が銅であり、前記金属硫化物含有材料が硫化銅鉱物である、[1]から[10]のいずれかに記載の方法。
[12]
黄鉄鉱が、硫化銅含有材料および黄鉄鉱含有材料の総質量の1~10重量%である、[11]に記載の方法。
[13]
前記浸出ステップ(b)の前に、前記金属硫化物含有材料と前記黄鉄鉱含有材料とを混合するステップを含む、[1]から[12]のいずれかに記載の方法。
[14]
前記浸出ステップ(b)は、
i.黄鉄鉱含有材料および硫化銅含有材料などの金属硫化物含有材料を凝集させ、凝集体を形成するステップと、
ii.凝集体の堆積から銅などの金属を堆積浸出させ、溶液中に銅などの金属を含む浸出貴液を生成するステップと、
iii.浸出貴液から銅などの金属を回収するステップと、
を含む、[13]に記載の方法。
[15]
金属硫化物含有材料中に銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を含有する採掘された材料のための堆積浸出方法であって、
(a)(i)尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有尾鉱から生産された尾鉱含有材料、および(ii)廃岩などの採掘された材料から、生産された凝集体の堆積を浸出液および微生物を用いて浸出させるステップであって、前記尾鉱含有材料中の前記尾鉱が酸および熱を発生させて、前記採掘された材料からの金属の浸出を容易にし、前記微生物が第1鉄を第2鉄に酸化するステップと、
(b)前記堆積から溶液中に前記金属を含有する浸出貴液を収集するステップと、
を特徴とする方法。
[16]
採掘された材料中の金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を浸出させる堆積であって、
(a)(i)尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有尾鉱から生成された黄鉄鉱含有材料、および(ii)廃岩などの採掘された材料から生成された凝集体の堆積と、
(b)(i)浸出液が前記堆積を通って下方へ流れ、前記採掘された材料から前記金属を浸出するように、前記堆積に浸出液および微生物を供給し、(ii)前記堆積から溶液中の前記金属を含む浸出貴液を収集し、前記黄鉄鉱が前記堆積中で酸および熱を発生させて、前記採掘された材料からの金属の浸出を容易にし、前記微生物が第1鉄を第2鉄に酸化するシステムと、
を含む、堆積。
[17]
黄鉄鉱が、凝集体の総質量の1~10重量%である、[16]に記載の堆積。
[18]
金属硫化物含有材料のための鉱石処理プラント用の浮選回路であって、
(a)尾鉱流および精鉱流を粉砕機供給から生成するための粉砕機供給浮選回路であって、前記尾鉱流は、金属硫化物含有材料スラリーを含む、粉砕機供給浮選回路と、
(b)黄鉄鉱精鉱流および尾鉱流を生成するための黄鉄鉱浮選回路と、を含む、
浮選回路。
[19]
前記黄鉄鉱浮選回路は、請求項1から14のいずれか一項に記載の黄鉄鉱含有スラリーを処理する方法に従って、前記黄鉄鉱精鉱流を処理するように構成される、[18]に記載の浮選回路。
[20]
前記粉砕機供給浮選回路は、粗選機/捕捉剤セルおよびバルククリーナーセルを含み、前記粗選機/捕捉剤セルおよび前記バルククリーナーセルは、(i)前記粗選機/捕捉剤セルが前記粉砕機供給を処理し、第1の尾鉱流および精鉱流を生成し、(ii)前記バルククリーナーセルが前記精鉱流を処理し、第2の尾鉱流および別の精鉱流を生成し、かつ金属回収などのさらなる処理のために前記他の精鉱流および前記第2の尾鉱流を前記回路での処理のために前記黄鉄鉱浮選回路に移送するように構成される、[18]または[19]に記載の浮選回路
【0030】
上述したように、「採掘された材料」という用語は、本明細書では、採掘され、鉱山から(a)直接材料から金属を回収するための下流の処理作業に、または(b)備蓄に移送され、後で処理される材料を含むと理解されたい。
【0031】
したがって、本発明は、1つの廃棄物流、すなわち、黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去すること以上のものである。本発明はこれを行い、したがって、環境の観点から黄鉄鉱含有スラリーを改善する。しかしながら、本発明はまた、下流のプロセスで黄鉄鉱を有益に使用することを可能にし、黄鉄鉱の正味の環境への影響を低減する方法で、スラリーから除去された黄鉄鉱を処理する。
【0032】
広義には、本発明は、硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法であって、
(a)鉱石処理プラントの尾鉱ダムまたは尾鉱流から黄鉄鉱含有スラリーを得るステップと、
(b)黄鉄鉱含有材料を浮遊させ、(i)不活性流および(ii)黄鉄鉱含有材料を含有する流を形成することによって、黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップと、
(c)硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料と黄鉄鉱含有材料とを混合するステップと、
(d)浸出液および微生物を用いて銅含有材料から銅を浸出させるステップと、
を含み、
黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱は、銅含有材料からの銅の浸出を容易にする酸および熱を生成し、
微生物は、第1鉄を第2鉄に酸化する、方法を提供する。
【0033】
黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップは、黄鉄鉱粒子が浸出ステップ(d)に必要な粒径分布を有するように、操作条件を選択するステップを含むことができる。
【0034】
黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去するステップは、残った黄鉄鉱含有スラリーから、黄鉄鉱含有材料のより大きな粒子を分離するステップと、より大きな粒子のサイズをサイズ縮小回路で縮小するステップと、縮小したサイズの粒子をサイズ分離ステップに戻すステップと、を含むことができる。
【0035】
広義には、本発明は、
(a)黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去し、本明細書に記載の不活性流および黄鉄鉱含有材料を形成するステップと、
(b)黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱が、鉱石などの採掘された材料などの金属硫化物含有材料から、銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属の浸出を容易にする酸および熱を発生させる下流の浸出ステップにおいて、黄鉄鉱含有材料を使用するステップと、を含む、黄鉄鉱含有スラリーを処理する方法を提供する。
【0036】
より詳細には、本発明は、黄鉄鉱含有スラリーを処理する方法であって、
(a)黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去し、本明細書に記載の不活性流および黄鉄鉱含有材料を形成するステップであって、黄鉄鉱含有スラリーは尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの尾鉱を含む、ステップと、
(b)金属硫化物含有材料および黄鉄鉱含有材料を浸出液および微生物で浸出させ、金属硫化物含有材料から金属を除去し、金属を含有する浸出貴液を形成するステップであって、黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱が、金属硫化物含有材料からの金属の浸出を促進する酸および熱を生成し、微生物が第1鉄を第2鉄に酸化する、ステップと、を含む方法を提供する。
【0037】
不活性流に関して本明細書で使用される「不活性」という用語は、流れ中の黄鉄鉱の量に関して、流れが方法への投入スラリーよりも反応性が低いことを意味すると理解されたい。
【0038】
本明細書で使用される「黄鉄鉱含有スラリー」という用語は、未処理/管理されていない場合に、環境上の危険性を示す量の黄鉄鉱を含有する任意のスラリーを意味すると理解されたい。
【0039】
「鉱石処理プラント」という用語は、本明細書では、鉱石から金属を回収するための任意の適切なプラントを意味すると理解されたい。
【0040】
「鉱石」という用語は、本明細書では、利益を得て採掘、処理、および販売することができる、典型的には有価金属を含む1つまたは複数の有価鉱物を含む天然の岩石または沈殿物を意味すると理解されたい。
【0041】
金属硫化物含有材料は、任意の適切な採掘された材料に由来し得る。
【0042】
上述の方法は、以下の利点を有する。
・この方法は、黄鉄鉱を含有する尾鉱を処理することを可能にし、それにより、既存の尾鉱ダムの容積を減少させる。これは、典型的には資源の最小限の使用を含む重要な環境的成果である。
・本発明による尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有スラリーからの黄鉄鉱の除去は、本発明の結果として有用な2つの「生成物」を生成する。
・1つの生成物は不活性流である。上記で定義したように、「不活性」は、不活性流中の黄鉄鉱の量に関して、流れが方法への投入スラリーよりも反応性が低いことを意味する。これは、黄鉄鉱が尾鉱を「酸生成」させ、これが尾鉱の処分の問題であるため、尾鉱中の黄鉄鉱が環境問題であるので有益である。この方法は、銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルト鉱石処理プラント(不活性流の水性部分の場合)および土地被覆/充填材料(不活性流の固体部分の場合)などの下流の用途で使用するために環境的に安全な出力を生成する機会を提供する。土地被覆/充填材料の機会に関して、これは、酸性排水を生成する固体部分の能力の低減または実質的な排除を考慮して可能である。
・第2の生成物は、本発明の下流の方法ステップにおいて黄鉄鉱の供給源として有益に使用され、結果として、黄鉄鉱の有害な環境影響を最小限に抑える、黄鉄鉱含有材料である。例えば、第2の生成物の黄鉄鉱含有材料は、低グレード硫化銅含有材料など、低グレード金属硫化物含有材料などの、例えば、廃岩など、金属硫化物含有材料の堆積浸出などを介して、金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を回収するための方法ステップにおいて有益に使用することができる。これに関して、黄鉄鉱の酸および発熱能力は、堆積浸出における利点である。例えば、黄鉄鉱は、浸出液に必要な酸の添加量を減少させることができる。加えて、黄鉄鉱の酸化は非常に高い発熱反応であり、発生した熱は高温浸出を可能にし、その結果、堆積浸出中に金属のより迅速かつ完全な抽出がもたらされる。黄鉄鉱含有材料中の銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの任意の金属は追加利益であり、それは黄鉄鉱と共に堆積内に取り込まれ、堆積浸出ステップで回収され得ることに留意されたい。
・この方法は、容易に入手可能であり、試験および試験された装置を用いて操作され得る。
・この方法は、尾鉱および廃岩などの金属硫化物含有廃棄物として以前に分類されたものを処理することを可能にし、これらの材料の環境への影響を低減するとともに、元々採掘された材料からの価値の回収を最適化することを可能にする。
【0043】
上記の「低グレード硫化銅含有材料」という語句で使用される「低グレード」という用語は、本明細書では、現在利用可能な技術および銅の現在の価格に依存する用語であると理解され、現在「低グレード」と考えられている材料は、技術開発および銅の将来の価格に応じて、将来価値のある材料と見なされ得ることに留意されたい。
【0044】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、スラリーから黄鉄鉱を回収する任意の方法により、黄鉄鉱含有スラリーを処理するステップを含むことができる。
【0045】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、スラリーから黄鉄鉱を回収して濃縮する任意の方法により、黄鉄鉱含有スラリーを処理するステップを含むことができる。
【0046】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、黄鉄鉱含有スラリー中の黄鉄鉱含有材料を浮遊させるステップと、(i)不活性流を1つの浮選生産物として生成し、(ii)黄鉄鉱含有精鉱流などの黄鉄鉱含有材料を別の浮選生産物として生成するステップと、を含むことができる。
【0047】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、上記の浮選ステップの前に、サイクロンまたは他の適切な分類装置などを介して、例えば、黄鉄鉱含有材料中のより大きな粒子を黄鉄鉱含有スラリーから分離する、黄鉄鉱含有スラリーでサイズ分離ステップを含むことができ、残りの黄鉄鉱含有スラリーは浮選ステップに移送される。
【0048】
「サイクロン」という用語は、本明細書では、流体抵抗に対するそれらの求心力の比率に基づいて液体懸濁液中の粒子を分類、分離または選別することができる装置を説明すると理解されたい。この比率は、高密度(密度による分離が必要な場合)および粗い(サイズによる分離が必要な場合)粒子では高く、軽量および微粒子では低い。
【0049】
黄鉄鉱除去ステップ(a)が、サイズ縮小回路内で黄鉄鉱含有材料中のより大きな粒子のサイズを縮小するステップと、縮小されたサイズの粒子をサイズ分離ステップに戻すステップと、を含むことができる。
【0050】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、残りの黄鉄鉱含有スラリー中の黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子が、例えば、堆積浸出操作における尾鉱の下流の処理に必要な粒径分布を有するように、サイズ分離ステップのための操作条件を選択することを含むことができる。
【0051】
黄鉄鉱除去ステップ(a)は、黄鉄鉱含有材料流を増粘および/または濾過するステップと、流を脱水し、黄鉄鉱含有精鉱を形成するステップと、を含むことができる。
【0052】
この方法は、黄鉄鉱除去ステップ(a)で生成された不活性流のための任意の適切な下流の処理ステップを含むことができる。
【0053】
処理ステップは、これらの金属の少なくとも1つを含む鉱石から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトを回収するための処理プラントにおける水の供給源として不活性流の水性部分を使用するステップを含むことができる。
【0054】
不活性流の固体部分は、尾鉱ダムを封鎖し、一般に空隙、例えば廃棄前に尾鉱を廃岩と混合することによって廃岩ダム内の空隙を充填するためのカバー/充填材料として使用され得る。
【0055】
固体部分はまた、コンクリートまたはレンガを製造するなどの建築材料に使用され得る。
【0056】
また、固体部分は、炭酸塩鉱物として大気からCOを隔離するために使用されることもできる。
【0057】
浸出ステップ(b)は、金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を浸出させる任意の適切な浸出ステップを含むことができる。
【0058】
典型的には、黄鉄鉱は、硫化銅含有材料および黄鉄鉱含有材料の総質量の1~10重量%である。
【0059】
この方法は、浸出ステップ(b)の前に、金属硫化物含有材料および黄鉄鉱含有材料を一緒に混合するステップを含むことができる。
【0060】
この方法は、浸出ステップ(b)の前に、金属硫化物含有材料および黄鉄鉱含有材料を一緒に混合し、これらの材料の凝集体を形成するステップを含むことができる。
【0061】
一例として、浸出ステップ(b)は、
i.黄鉄鉱含有材料および硫化銅含有材料などの金属硫化物含有材料を混合し、凝集体を形成するステップと、
ii.凝集体の堆積から銅などの金属を堆積浸出させ、溶液中に銅などの金属を含む浸出貴液を生成するステップと、
iii.浸出貴液から銅などの金属を回収するステップと、
を含むことができる。
【0062】
黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子は、1mmまたは1mm未満の値のP80の粒径を有し得る。
【0063】
黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱粒子は、250μmのP80の粒径または250μm未満の値の粒径を有し得る。
【0064】
凝集ステップ(i)は、黄鉄鉱含有材料および硫化銅含有材料を凝集させるための任意の適切なステップであることができる。
【0065】
凝集ステップ(i)は、黄鉄鉱含有材料と、硫化銅含有材料などの金属硫化物含有材料とを混合し、凝集させるステップを含むことができる。
【0066】
混合ステップは、凝集ステップの前に実行され得る。
【0067】
混合ステップと凝集ステップとは同時に実行され得る。
【0068】
金属硫化物含有材料は、任意の適切な採掘された材料に由来し得る。
【0069】
金属は銅であることができる。
【0070】
その場合、例として、金属硫化物含有材料は、硫化銅含有材料であることができる。
【0071】
硫化銅含有材料は、硫化銅鉱物などの任意の適切な硫化銅含有材料であることができる。
【0072】
硫化銅含有材料の一例は、低濃度の銅を含む岩石であり、例えば、廃岩と見なされ得る。
【0073】
硫化銅含有材料は、「低グレード硫化銅含有材料」という語句で使用される「低グレード」という用語の上記の説明に留意して、材料中に低グレード、すなわち低濃度の銅を有する硫化銅含有材料の採掘された材料と同様、または廃棄物備蓄品の形態であり得る。
【0074】
換言すれば、硫化銅含有材料は、銅含有鉱石および精鉱から銅を回収するための浮選および他の湿式処理システムで経済的に処理するにはグレードが低すぎると考えられる採掘された材料と同様、または備蓄からのものであってもよい。
【0075】
より具体的には、硫化銅含有材料は、採掘された材料と同様であってもよく、または、グレードが低すぎて、堆積浸出を含む任意の他の処理方法によって経済的に処理され得ない備蓄品からのものであってもよい。
【0076】
前の3つの段落の文脈において、「低濃度の銅」という用語は、重量で1.5%以下、典型的には1.2重量%以下、より典型的には1.0重量%以下、さらにより典型的には0.7重量%以下、さらにより典型的には0.5重量%以下、さらにより典型的には0.3重量%以下、さらにより典型的には0.1重量%以下の平均銅濃度を意味すると理解されたい。
【0077】
本発明はまた、金属硫化物含有材料中に銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を含有する採掘された材料のための堆積浸出方法であって、
(a)(i)尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有尾鉱などの黄鉄鉱含有スラリーから生産された黄鉄鉱含有材料、および(ii)金属硫化物含有材料中に銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を含む採掘された材料から、生産された凝集体の堆積を浸出液および微生物を用いて浸出させるステップであって、黄鉄鉱含有材料中の黄鉄鉱が採掘された材料からの金属の浸出を容易にする酸および熱を発生させ、微生物が第1鉄を第2鉄に酸化するステップと、
(b)堆積から溶液中に金属を含有する浸出貴液を収集するステップと、を特徴とする方法を提供する。
【0078】
堆積浸出方法はまた、浸出貴液から金属を回収することを含む。
【0079】
本発明はまた、採掘された材料中の金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を浸出させる堆積であって、
(a)(i)尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの黄鉄鉱含有尾鉱などの黄鉄鉱含有スラリーから生成された黄鉄鉱含有材料、および(ii)金属硫化物含有材料中に銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を含む採掘された材料から生成された凝集体の堆積と、
(b)(i)浸出液が前記堆積を通って下方へ流れ、採掘された材料から金属を浸出するように、堆積に浸出液および微生物を供給し、(ii)堆積から溶液中の金属を含む浸出貴液を収集し、黄鉄鉱が堆積中で採掘された材料からの金属の浸出を容易にする酸および熱を発生させ、微生物が第1鉄を第2鉄に酸化するシステムと、
を含む、堆積を提供する。
【0080】
黄鉄鉱は、凝集体の総質量の1~10重量%であり得る。
【0081】
広義には、本発明はまた、採掘する方法であって
(a)銅硫化物含有鉱石などの金属硫化物含有鉱石を採掘するステップと、
(b)金属硫化物含有鉱石を鉱石処理プラントで処理して、黄鉄鉱含有スラリーを製造するステップと、
(c)上記の黄鉄鉱含有スラリーの処理方法と、
を含む方法を提供する。
【0082】
本発明はまた、金属硫化物含有材料のための鉱石処理プラント用の浮選回路であって、
(a)尾鉱流および精鉱流を粉砕機供給から生成するための粉砕機供給浮選回路であって、尾鉱流は、金属硫化物含有材料を含む、粉砕機供給浮選回路と、
(b)黄鉄鉱精鉱流、すなわち、黄鉄鉱含有スラリーを生成するための黄鉄鉱浮選回路と、尾鉱流と、
を含む浮選回路を提供する。
【0083】
黄鉄鉱浮選回路は、上述の黄鉄鉱含有スラリーを処理する方法に従って、黄鉄鉱精鉱流、すなわち、黄鉄鉱含有スラリーを処理するように構成され得る。
【0084】
粉砕機供給浮選回路は、任意の適切な回路であってもよい。
【0085】
粉砕機供給浮選回路は、粗選機/捕捉剤セルおよびバルククリーナーセルを含むことができる。これらは、標準的な粗選機/捕捉剤セルおよびバルククリーナーセルであり得る。これらは、鉱石処理プラント内の既存のセルであり得る。それらは、グリーンフィールド植物中のセルであり得る。
【0086】
粗選機/捕捉剤セルおよびバルククリーナーセルは、(i)粗選機/捕捉剤セルが粉砕機供給を処理し、第1の尾鉱流および精鉱流を生成し、(ii)バルククリーナーセルが精鉱流を処理し、第2の尾鉱流および別の精鉱流を生成し、金属回収などのさらなる処理のために別の精鉱流および第2の尾鉱流をその回路での処理のために第2の尾鉱流を黄鉄鉱浮選回路に移送するように構成され得る。
【0087】
金属硫化物含有材料は、硫化銅含有鉱物などの硫化銅含有材料であることができる。
【0088】
粉砕機供給は、金属硫化物含有材料の任意の適切な粒径分布であることができる。
【0089】
鉱石処理プラントは、粉砕機供給を生成するための任意の適切な上流粉砕回路、ならびに下流の回収および尾鉱の貯蔵または他のオプションを含むことができる。
【0090】
本発明はまた、上記浮選回路を含む金属硫化物含有材料のための鉱石処理プラントを提供する。
【0091】
鉱石処理プラントはまた、任意の適切な上流粉砕回路ならびに下流の回収および尾鉱の貯蔵および/または処理オプションを含むことができる。
【0092】
金属硫化物含有材料は、硫化銅含有鉱物などの硫化銅含有材料であることができる。
【0093】
本発明はまた、採掘された材料中の金属硫化物含有材料から銅またはニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を浸出させるための堆積浸出操作であって、
(a)上記の黄鉄鉱含有スラリーの処理方法に由来する黄鉄鉱など、金属硫化物含有材料と黄鉄鉱との凝集体の堆積と、
(b)(i)浸出液が堆積を通って下方に流れ、金属硫化物含有材料から金属を浸出させるように、堆積に浸出液および微生物を供給し、(ii)堆積から溶液中の金属を含有する浸出貴液を収集し、黄鉄鉱が金属硫化物含有材料から金属を浸出させることを容易にする酸および熱を堆積中に発生させ、黄鉄鉱が尾鉱などの黄鉄鉱を含有するスラリー中にあるか、またはそれに由来し、微生物が、第1鉄を第2鉄に酸化するシステムと、
を含む堆積浸出操作を提供する。
【0094】
金属硫化物含有材料は、任意の適切な採掘された材料に由来し得る。
【0095】
上述したように、「採掘された材料」という用語は、本明細書では、採掘され、鉱山から(a)直接材料から金属を回収するための下流の処理作業に、または(b)備蓄に移送され、後で処理される材料を含むと理解されたい。
【0096】
本発明は、以下の図面を参照して、単なる例として以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】例えば、黄鉄鉱含有尾鉱、すなわち、黄鉄鉱含有スラリーを選鉱し、硫化銅含有材料の下流の堆積浸出において尾鉱から除去された黄鉄鉱を選鉱することによって処理する方法の一実施形態の流れ図である。
図2】(i)銅鉱山からの鉱石の試料、(ii)微粉化された博物館グレードの黄鉄鉱で増強された銅鉱石、および(iii)銅鉱山で生成された尾鉱の浮選によって生成された黄鉄鉱精鉱で増強された銅鉱石に対して行われた一連のカラム生物浸出試験についての銅抽出時間対浸出時間のグラフである。
図3】本発明による鉱石処理プラント用の浮選回路の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
例えば、選鉱によって処理する方法の一実施形態は、図1に示す本発明による鉱山の尾鉱ダムまたは鉱石処理プラントからの尾鉱の形態の黄鉄鉱含有スラリーを選鉱することによって、尾鉱から黄鉄鉱を除去し、下流の用途での使用に適した不活性流を生成し、硫化銅含有材料の下流の堆積浸出において、以下に説明するように、有益に使用される黄鉄鉱含有材料を生成し、その結果、黄鉄鉱の有害な環境影響を最小限に抑える。
【0099】
換言すれば、本実施形態は、2つの「生成物」を黄鉄鉱含有スラリーから生成する。
【0100】
本発明はこの実施形態に限定されず、一般に、例えば選鉱によって、スラリーから黄鉄鉱を除去するステップと、(a)不活性流および(b)黄鉄鉱含有材料、典型的には下流の硫化銅含有材料の堆積浸出以外の用途に使用され得る固体精鉱などの固体材料の形態の2つの「生成物」を形成するステップとを含む、鉱山で生産される黄鉄鉱含有尾鉱などの黄鉄鉱含有スラリーを加工する方法に及ぶことを理解されたい。
【0101】
黄鉄鉱含有スラリーは、鉱石処理プラントからの尾鉱などの任意の適切な黄鉄鉱含有スラリーであってもよいことに留意されたい。例2および図3は、適切な黄鉄鉱含有スラリーを製造するための本発明による浮選回路の実施形態を説明する。
【0102】
一般的に言えば、図1に示す実施形態は、硫化銅鉱物を有する低グレード銅含有材料から銅を除去する方法を含み、この方法は、低グレード銅含有材料および黄鉄鉱を浸出するステップと、浸出貴液を生成するステップと、浸出液から銅を回収するステップとを含み、黄鉄鉱は、黄鉄鉱含有スラリーから生成される。
【0103】
一般的に言えば、図1に示す実施形態は、採掘する方法であって、
(a)硫化銅含有鉱物などの硫化銅含有材料を採掘し、任意選択で備蓄するステップと、
(b)本明細書に記載の硫化銅含有鉱石を鉱石処理プラントで硫化銅含有材料中で処理するステップと、(i)銅を回収するステップと、(ii)黄鉄鉱含有スラリーを生成するステップと、
(c)黄鉄鉱含有スラリーを処理するステップ、および黄鉄鉱を生成するステップと、
(d)本明細書に記載の「非経済的」な低グレード硫化銅含有材料を、堆積浸出操作で黄鉄鉱で処理するステップと、
を含む方法である。
【0104】
図1を参照すると、黄鉄鉱含有スラリーの処理および黄鉄鉱の生成、ならびに下流の黄鉄鉱の使用に関して、より具体的には、方法は以下のステップ、
(a)鉱山の尾鉱ダムまたは鉱石処理プラント(図1には示されていないが、図3には例として一部示されている)からの黄鉄鉱含有尾鉱を処理し、(i)固体黄鉄鉱含有精鉱流20および(ii)尾鉱からの不活性流の形態の2つの「生成物」を生成する分離ステップ15、16、17、18、19、20と、
(b)(i)分離ステップからの黄鉄鉱含有精鉱流20と、(ii)ステップ1、2、3で処理された少なくとも1つの硫化銅含有固体材料とを混合し、凝集させる凝集ステップ4と、
(c)凝集ステップ4で生成された凝集体の堆積の中の硫化銅含有材料から銅を浸出させ、浸出貴液を生成する堆積浸出ステップ6と、
(d)堆積から浸出貴液から銅を回収する銅回収ステップ9、10と、
を含む。
【0105】
黄鉄鉱含有尾鉱の分離ステップ15、16、17、18、19、20
典型的には、尾鉱は、硫化銅鉱物などの硫化銅含有材料を含有する硫化銅含有鉱石から銅を回収するための鉱石処理プラントの出力である。
【0106】
鉱石処理プラントは、任意の適切なプラントであってもよい。
【0107】
鉱石処理プラントの一例は、一連の粉砕および研削段階と、粉砕された鉱石から硫化銅鉱物を浮遊させるための1つまたは複数の浮選回路(上記および「粉砕機供給」としての例2に記載)とを含む採掘された鉱石の粉砕と、価値のある精鉱出力および尾鉱出力(黄鉄鉱含有スラリー)の生成とを含むものである。
【0108】
典型的には、尾鉱中の固体は、典型的には0.4重量%未満、より典型的には0.3重量%未満の低濃度の銅を含む(a)微粉のスラリー、および(b)水中に懸濁した黄鉄鉱含有粒子の形態である。典型的には、これらの微粉および黄鉄鉱含有粒子は沈殿が遅い。また、黄鉄鉱含有粒子は、何らかの銅を含むことができる。
【0109】
尾鉱は、例えば、鉱石処理プラントから直接など、尾鉱ダムまたは他の適切な尾鉱供給源15から、一連のサイクロン16、または残りの微粉含有尾鉱からより大きな固形物を分離し、2つの別個の流れを形成する他の任意の適切なサイズ分離オプションにポンプで注入されることによって移送される。
【0110】
サイクロン16は、任意の適切なサイクロンであってもよい。
【0111】
サイクロン16からのより大きな固体は、より大きな固体の粒径を減少させるミリング/研削/研磨回路17などのサイズ縮小回路で処理される。
【0112】
この回路の出力は、サイクロン内でのさらなる処理のためにサイクロン16に戻される。
【0113】
サイクロン16の操作条件は、残りの尾鉱の黄鉄鉱含有粒子が、堆積浸出ステップ5に必要な粒径分布を有するように選択される。これに関して、典型的には、残りの尾鉱中の黄鉄鉱含有粒子は、1mmまたは1未満の値のP80の粒径を有する。より典型的には、残りの尾鉱中の黄鉄鉱粒子は、250μmまたは250μm未満のP80の粒径の値を有する。
【0114】
サイクロン16からの残りの尾鉱は、第1の浮選回路18(「黄鉄鉱浮選セル」として図3に関連して例2で説明されている)に移送され、回路内で処理される。適切な浮選剤が、必要に応じて回路に添加される。試剤を含む操作条件は、黄鉄鉱含有粒子を浮遊させるように選択される。典型的には、これらの操作条件はまた、銅粒子を浮遊させる。
【0115】
第1の浮選回路からのアンダーフローは、上述の不活性流を形成する。上記のように、「不活性」という用語は、流れの中の黄鉄鉱の量に関して、流れが方法への投入スラリーよりも反応性が低いことを意味する。図1の文脈において、これは、アンダーフロー流が、流れの中の黄鉄鉱の量に関して、方法に供給される黄鉄鉱含有尾鉱よりも反応性が低いことを意味する。上記のように、黄鉄鉱が尾鉱を「酸生成尾鉱」にし、これが尾鉱の処分の問題であるため、尾鉱中の黄鉄鉱が環境問題であるので有益である。この方法は、銅鉱石処理プラントなどの下流の用途での使用に環境的に安全な産出物を生成する機会を提供し、酸化剤(第2鉄)の要件を低減することができる。第2鉄(黄鉄鉱精鉱および廃岩中の鉄含有鉱物から溶解する第1鉄の微生物酸化によって生成される)は、黄鉄鉱および硫化銅鉱物を酸化する。図1の実施形態では、第1の浮選回路のためのアンダーフロー流は、後述する下流の中性化ステップ11に移送される。
【0116】
第1の浮選回路からのオーバーフロー、すなわち浮遊流は、第2の浮選回路19(「黄鉄鉱浮選セル」として図3に関連して例2に記載されている)に移送されて処理される。
【0117】
適切な浮選剤は、必要に応じて第2の浮選回路19に添加される。試剤を含む操作条件は、黄鉄鉱含有粒子を浮遊させるように選択される。
【0118】
第2の浮選回路からのアンダーフローは、第1の浮選回路に戻される。
【0119】
第2の浮選回路からの黄鉄鉱含有オーバーフローは、増粘剤20に移送され、脱水され、黄鉄鉱含有精鉱を形成する。
【0120】
黄鉄鉱含有精鉱は、増粘剤20から後述する凝集ステップ4に移送される。
【0121】
記載された実施形態は、2つの浮選回路18、19を有するが、本発明はこの数の回路に限定されないことに留意されたい。
【0122】
記載された実施形態は、サイクロン16およびミリング/研削/研磨回路17を含み、材料をサイクロン16に戻すが、本発明はこの構成に限定されないことにも留意されたい。
【0123】
例えば、サイクロン16とミリング/研削/研磨回路17との組み合わせは、尾鉱ダムまたは他の適切な尾鉱供給源15から供給される尾鉱中の粒径分布が分離ステップ後の下流の処理に適している場合には必要ではない。
【0124】
さらなる例として、黄鉄鉱含有精鉱中の黄鉄鉱粒子の粒径分布を最適化するための下流のステップがある場合、サイクロン16とミリング/研削/研磨回路17との組み合わせは必要ではない。
【0125】
凝集ステップ4
凝集ステップ4は、
(a)上述の尾鉱由来の黄鉄鉱含有精鉱と、
(b)ステップ2および3で製造された硫化銅含有材料と、
を凝集する。
【0126】
本発明の方法のこの実施形態における硫化銅含有材料は、硫化銅含有廃岩を含み、以下のセクションで考察される。
【0127】
硫化銅含有材料は、尾鉱由来精鉱の粒径分布および凝集体の下流の処理の要件などの特性を考慮した任意の適切な硫化銅含有材料であり得ることに留意されたい。
【0128】
凝集ステップ4は、凝集ドラムなどの任意の適切な装置を使用した任意の適切な凝集ステップであることができる。
【0129】
例として、必要な比率の黄鉄鉱含有精鉱および硫化銅含有材料を混合装置に添加し、結合剤の有無にかかわらず、酸の有無にかかわらず、水の添加の有無にかかわらず、再利用浸出溶液の有無にかかわらず、一緒に混合する。
【0130】
必要な比率は、岩石中の黄鉄鉱の量などの要因に依存する。典型的には、混合生成物の広い黄鉄鉱濃度範囲は、1~10重量%の黄鉄鉱である。
【0131】
結合剤および酸の選択ならびに水および/または再利用された浸出溶液の添加は、黄鉄鉱含有精鉱および硫化銅含有供給材料の特性ならびに凝集体の必要な機械的特性を含むいくつかの要因の関数である。
【0132】
凝集ステップ4は、必要に応じて、黄鉄鉱含有精鉱、硫化銅含有固体供給材料、ならびに結合剤および水を添加および混合するための任意の適切なプロトコルを含み得る。
【0133】
凝集体は、スタック5に貯蔵され、後述する堆積浸出ステップに移送される。
【0134】
銅含有材料ステップ-1、2、3の処理
図1に示す流れ図では、硫化銅含有材料は、備蓄1から再採掘された低グレードの銅を有する廃岩の形態である。
【0135】
上記のように、現在、これらの備蓄は、硫化銅含有鉱石および精鉱から銅を回収するための浮選および他の鉱石処理システムで経済的に処理するにはグレードが低すぎると考えられている。
【0136】
上記のように、本発明は、この硫化銅含有材料の供給源に限定されない。
【0137】
例えば、硫化銅含有材料は、採掘前の鉱山の区域で(例えば、掘削およびブラスト加工によって)実施され、その後採掘後に、ステップ2および3の処理のために鉱山から直接(備蓄されることなく)移送される試験作業において既知の従来の方法によって銅を回収するために経済的に処理するにはグレードが低すぎると考えられる材料であり得る。
【0138】
備蓄された廃岩1は、運搬トラックまたはフロントエンドローダなどの適切な車両内で、またはコンベアベルト上で粉砕回路に搬送され、凝集ステップ4に適した粒径分布を生成するのに必要な程度まで、1次、2次および3次粉砕回路2、3で粉砕され、およびフライス加工される。
【0139】
粉砕回路2、3は、粉砕された銅含有材料を単一または複数のミリングおよびサイズによる分類ステップに送達する単一または複数の粉砕ステップを含み、凝集ステップ4のための所望の粒径分布を有する粉砕生成物流を生成することができる。
【0140】
粉砕ステップ2、3は、旋回粉砕機、円錐粉砕機、および高圧研削ロール(HPGR)粉砕機(図示せず)の組み合わせを使用して実行することができる。
【0141】
得られた粉砕された硫化銅含有材料は、凝集ステップ4に移送される。
【0142】
堆積浸出、下流の溶媒抽出、および電解採取ステップ5、6、9、10、11、12
スタック5から凝集し、浸出パッド上に凝集体の堆積6を形成する。
【0143】
堆積6は、任意の適切な堆積構造であってもよく、
(a)堆積の上面に浸出液体を供給する浸出液体貯蔵および送達システムと、
(b)堆積の凝集体中の硫化銅含有材料から抽出された溶液中の銅含有浸出液体を収集するための浸出貴液収集システムと、
(c)微生物(細菌または古細菌など)または第1鉄を第2鉄に酸化するための他の適切な酸化剤であって、第2鉄が浸出プロセスにおける酸化剤と、
を備え付ける。
【0144】
浸出貴液は、有機媒体中の溶液から銅を抽出し、次いで有機媒体から銅を取り除き、銅含有溶液を生成する溶媒抽出システム9で処理される。
【0145】
銅含有溶液は電解採取プラント10に移送され、溶液から銅が回収される。
【0146】
溶媒抽出システム9からの抽残液は再生され、浸出液として堆積に戻される。浸出液再生システムは、不純物の蓄積を制御するための抽残液排水石灰石/石灰中和ステップ11を含み、中和残渣貯蔵施設12内の別個の貯水のための中和された固形物を生成するか、場合によっては尾鉱との同時貯留を行う。
【0147】
凝集体中の黄鉄鉱含有精鉱は、黄鉄鉱を介して酸および熱の貴重な供給源を提供する。
【0148】
黄鉄鉱の酸発生特性は、所与の浸出酸要件を維持するために浸出液に添加しなければならない酸の量を減らすことができることを意味する。
【0149】
加えて、黄鉄鉱の微生物酸化は酸および熱を生成し、これらは全て硫化銅含有材料を堆積浸出するのに有益である。
【0150】
図1に示す実施形態の利点
図1に示す上述の実施形態および本発明の利点は、一般に、以下の利点を含む。
・実施形態は、黄鉄鉱含有尾鉱から2つの出力「生成物」を生成することを可能にする。
・1つの生成物は不活性流である。
・第2の生成物は、銅含有材料の下流の堆積浸出方法で有益に使用され得る黄鉄鉱精鉱である。本出願では、主な焦点は、堆積浸出のための追加の酸要件を低減し、銅含有材料からの銅抽出の速度および程度を増加させる高温を生成するために、堆積内の酸および熱を生成するための黄鉄鉱の有益な使用にある。
・実施形態は、黄鉄鉱含有尾鉱の環境への影響を低減し、少なくとも抽出された黄鉄鉱を有益に使用することを可能にする。
・実施形態は、環境への影響を最小限に抑え、資源の使用を最小限に抑えながら、採掘された材料からの銅の回収を低コストで最適化することを可能にする。
・実施形態は、容易に入手可能であり、試験および試験された装置を用いる。
【0151】
例1
出願人は、銅鉱石の生物浸出に対する黄鉄鉱の増強の影響を調査するためにカラム生物浸出試験を行った。
【0152】
カラム生物浸出試験は、(i)銅鉱山からの鉱石の試料、(ii)微粉化された博物館グレードの黄鉄鉱で増強された銅鉱石、および(iii)銅鉱山で生成された尾鉱の浮選によって生成された黄鉄鉱精鉱で増強された銅鉱石についての銅抽出時間対浸出時間を評価した。
【0153】
銅鉱山からの鉱石の試料を9mmのP80で12mm未満に粉砕し、約10kgのこの材料を水および濃硫酸を用いて凝集ドラムに添加した。
【0154】
黄鉄鉱を添加した試験では、ほぼ純粋な博物館グレードの黄鉄鉱、または銅鉱山で生成された尾鉱の浮選によって生成された微細な黄鉄鉱精鉱のいずれかを、凝集ドラム内の鉱石と混合して、凝集体材料の黄鉄鉱含有量を鉱石中に天然に存在する0.86重量%の黄鉄鉱から4.0%の黄鉄鉱に増加または増強した。使用した黄鉄鉱試料は両方とも非常に微細であり、150μmのP100であった。試料を元素分析および鉱物分析に供した。
【0155】
「博物館グレードの黄鉄鉱」という用語は、本明細書では、90重量%を超える、典型的には95重量%を超える、典型的には97重量%を超える、またはより典型的には99重量%を超える黄鉄鉱含有量を意味すると理解されることに留意されたい。博物館グレードの黄鉄鉱は、1mg/kg未満、典型的には0.5mg/kg未満、典型的には0.2mg/kg未満、またはより典型的には0.1mg/kg未満の銀含有量を有し得る。
【0156】
表1は、試験に使用した鉱石、博物館グレードの黄鉄鉱および黄鉄鉱精鉱の元素組成および鉱物組成を要約している。
【0157】
【表1】
【0158】
一旦混合すると、凝集体材料を高さ1m、直径0.1mのカラムに充填し、浸出を開始する前に室温で2~5日間硬化させた。浸出中、加熱ジャケットを使用してカラムの温度を50℃に制御し、カラムを0.102Nm/h/トン鉱石で曝気した。カラムに第1鉄酸化および硫黄酸化微生物を接種し、最初に硫酸第2鉄として5g/Lの第2鉄を含有していた洗浄溶液を、ドリッパを通して10L/h/mでカラムの頂部にポンプで注入し、カラムの底部に収集した。
【0159】
回収した浸出溶液のpHを、必要に応じて硫酸を用いて目標pH1.2に調整した後、カラムの上部に戻して再利用した。溶液試料を、それらの金属および硫酸塩濃度の分析のために定期的に採取した。
【0160】
洗浄溶液は、浸出の開始時に約20g/Lの硫酸塩濃度を有していた。溶液中の硫酸塩濃度が120g/Lを超える場合、硫酸の添加および硫化物鉱物の酸化のために、溶液を希釈して最大120g/Lの硫酸塩を維持した。
【0161】
溶液銅濃度が8g/Lを超える場合、銅浸出のために、溶液をイオン交換に供して銅を除去し、溶液銅濃度を低下させて8g/L未満に維持した。
【0162】
カラム試験は350日間浸出下で行った。浸出が完了すると、カラムを最初に希硫酸で、次いで水ですすぎ、同伴浸出溶液に含まれる溶解金属および硫酸塩を除去した。次いで、カラムを空にし、固体を乾燥させ、最終浸出溶液と共に分析した。物質収支を行い、計算された銅ヘッド分析に基づいて銅抽出を報告した。
【0163】
図2は、3つのカラム試験についての銅抽出対浸出時間を示すグラフであり、表2は、達成された銅および硫化物鉱物抽出を要約している。
【0164】
【表2】
【0165】
銅抽出に対する黄鉄鉱で鉱石を増強する有益な効果は、図2および表2から明らかである。
【0166】
銅抽出は、博物館グレードの黄鉄鉱および黄鉄鉱精鉱を添加することによってそれぞれ11.5%および14.4%増加した。銅抽出の向上は、添加された黄鉄鉱の酸化および浸出によってもたらされる第2鉄の利用可能性の増加に起因すると考えられ、黄鉄鉱はその微細な粒径(150μmのP100)のために迅速に反応した。これは、表2に示す黄鉄鉱抽出結果から明らかである。鉱石中の黄鉄鉱の抽出はわずか50.0%であったが、博物館グレードの黄鉄鉱および黄鉄鉱精鉱で増強された鉱石からの黄鉄鉱の抽出ははるかに高く、それぞれ90.2%および89.4%に達した。
【0167】
注目すべきことに、銅抽出は、3つ全ての試験においてマイナス150μmの微粉分率から非常に高く、鉱石に対する試験で87.1%、博物館グレードの黄鉄鉱で増強された鉱石に対する試験で90.2%、黄鉄鉱精鉱で増強された鉱石に対する試験で92.0%であった。結果は、鉱石の微粉に含まれる銅鉱物、ならびに両方ともマイナス150μmのP100粒径を有する2つの黄鉄鉱増強物中の銅鉱物から、非常に高い銅抽出が達成されたことを実証している。表2においてg Ag/kg CuFeSとして表されるカラム供給試料の天然銀含有量は、有益な触媒効果を有し、黄銅鉱(本出願人名義の国際出願PCT/AU2018/050316号明細書(国際公開第2018/184071号明細書)に教示されている)、特に微粉断片中の黄銅鉱からの銅の回収を向上させたと考えられる。
【0168】
したがって、本発明は、黄鉄鉱増強物に含まれる銅鉱物からの非常に高い銅抽出を達成する手段を提供し、鉱石に含まれる銅鉱物からの高い銅抽出も提供する。
【0169】
例2
例2の目的は、鉱石処理プラントの浮選回路で生成された黄鉄鉱含有スラリーから黄鉄鉱を除去する有効性を示すことであった。
【0170】
図3は、本発明による鉱石処理プラント用の浮選回路23の一実施形態の流れ図である。
【0171】
鉱石処理プラントは、任意の適切な上流粉砕回路ならびに下流の回収および尾鉱の貯蔵または他のオプション(図示せず)を含むことができる。
【0172】
図3に示す浮選回路22は、粗選機/捕捉剤セル25と、バルククリーナーセル27とを含む。これらは、標準的な粗選機/捕捉剤セルおよびバルククリーナーセルであり得る。これらは、鉱石処理プラント内の既存のセルであり得る。それらは、グリーンフィールド植物中のセルであり得る。
【0173】
図3に示す浮選回路22はまた、図1に関連して上述したタイプの黄鉄鉱浮選セル29を含み、図1は2つのセル18、19を含み、図2は単一のセル29を示すことに留意されたい。本発明は、必要に応じて、例えば図1に示すように、サイズ分離および再粉砕オプション16、17、ならびにセルへの供給材料を処理するための他のオプションを有する、任意の適切な数の黄鉄鉱浮選セルに及ぶことに留意されたい。
【0174】
使用時には、粉砕機供給31が粗選機/捕捉剤セル25に移送され、セルは精鉱流33および第1の尾鉱流35を生成する。粉砕機供給31は、例えば、鉱石処理プラントの既存の粉砕回路またはグリーンフィールドプラントの目的に合わせて設計された回路であり得る、粉砕および研削およびサイズ分離ステップの組み合わせによって生成される任意の適切な粉砕機供給であり得る。
【0175】
第1の尾鉱流35は、貯蔵場所37に移送される。これは、尾鉱ダムまたは他の尾鉱処理オプションであり得る。
【0176】
粗選機/捕捉剤セル25からの精鉱流33は、バルククリーナーセル27に移送され、セルは、植物精鉱流39および第2の尾鉱流41を生成する。
【0177】
バルククリーナーセル27からのプラント精鉱流39は、銅およびモリブデンなどの他の金属の回収のために移送される。回収オプションは、任意の適切なオプションであり得る。
【0178】
バルククリーナーセル27からの第2の尾鉱流41は、黄鉄鉱浮選セル29に移送され、セルは、黄鉄鉱含有精鉱流43および第3の尾鉱流45を生成する。
【0179】
第1および第3の尾鉱流35、45、ならびに任意選択で第2の尾鉱流41の一部は、尾鉱貯蔵または他の尾鉱処理オプションなどの貯蔵場所に移送される。
【0180】
黄鉄鉱含有精鉱流43は、凝集などのさらなる処理、および図1に示すような上述の堆積浸出回路での使用のために移送される。
【0181】
本出願人は、図3に示す黄鉄鉱浮選セル内の捕捉剤/クリーナー尾鉱、すなわち第2の尾鉱流の試料に対して大規模浮選試験作業を行った。結果を以下に示す。
【0182】
表3は、黄鉄鉱浮選セル内の捕捉剤/クリーナー尾鉱の供給物、すなわち第2の尾鉱流から得られた黄鉄鉱精鉱の組成を要約している。
【0183】
表は、浮選を使用して尾鉱からの黄鉄鉱精鉱流における黄鉄鉱(およびかなりの利点である銅鉱物)の回収の有効性を示す(行1~10を参照)。
【0184】
このプロセスは、83%黄鉄鉱、2.2%銅のグレードで黄鉄鉱精鉱、および0.8%未満の黄鉄鉱の黄鉄鉱グレードで粗選機/捕捉剤尾鉱を生成した。
【0185】
【表3】
【0186】
表4は、大規模黄鉄鉱浮選試験作業からの重要な結果の要約を提供し、尾鉱試料に最初に含まれた黄鉄鉱の78重量%が黄鉄鉱精鉱に回収されたことを示す。
【0187】
【表4】
【0188】
黄鉄鉱浮選供給、すなわち第2の尾鉱流41、および黄鉄鉱浮選セル尾鉱、すなわち第3の尾鉱流45のグラブサンプルを、酸/塩基会計(ABA)試験に供した。結果の要約を表5に示す。
【0189】
【表5】
【0190】
ABA結果は、尾鉱、すなわち第2および第3の尾鉱流41、45に対する黄鉄鉱の報告の減少(より低いAP)を示している。負のNNP(正味中和電位)は、黄鉄鉱浮選セル供給、すなわち第2の尾鉱流41が正味の酸発生剤であることを示し、黄鉄鉱浮選セル尾鉱、すなわち第3の尾鉱流45の1を超える比率(6.42)は、不活性流(すなわち、浮選尾鉱)が土地被覆/充填材料として使用され得ることを示す。
【0191】
上記から明らかなように、図3に示す浮選回路は、黄鉄鉱精鉱流、すなわち、例えば図1に関連して上述した堆積浸出操作で使用され得る黄鉄鉱含有スラリーを生成するための効果的な回路である。
【0192】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、図1の流れ図に多くの修正を加えることができる。
【0193】
例として、実施形態は「サイクロン」ステップ16を含むが、本発明は任意の適切なサイズ分離ステップの使用に及ぶ。
【0194】
加えて、実施形態は、廃岩を処理して凝集ステップ4のための1つの供給物である硫化銅含有材料を形成するステップ1~3を含むが、本発明はこのステップの組み合わせに限定されず、廃岩を任意の適切なステップで処理して、凝集ステップ4のための適切な供給材料を生成することができる。
【0195】
加えて、実施形態は銅を回収する文脈で説明されているが、本発明は銅に限定されず、金属硫化物含有材料中にこれらの金属の少なくとも1つを含有する廃岩からニッケルまたは亜鉛またはコバルトなどの金属を回収することに及ぶことに留意されたい。
【0196】
加えて、実施形態は硫化銅含有鉱石の湿式処理プラントからの尾鉱に焦点を当てているが、本発明はまた、コバルト、ニッケルおよび亜鉛などの他の金属を含有する鉱石の処理から誘導される尾鉱にも及ぶ。
図1
図2
図3