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特許7273255酸ドーププロトン交換膜の製造装置および方法
<図1>
  • 特許-酸ドーププロトン交換膜の製造装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】酸ドーププロトン交換膜の製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1069 20160101AFI20230502BHJP
   C08J 7/02 20060101ALI20230502BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/1088 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/103 20160101ALI20230502BHJP
   H01M 8/1048 20160101ALI20230502BHJP
【FI】
H01M8/1069
C08J7/02 B CFG
H01M8/10 101
H01M8/1088
H01M8/103
H01M8/1048
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022544115
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 DK2021050008
(87)【国際公開番号】W WO2021148090
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】PA202000062
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522052277
【氏名又は名称】ブルー ワールド テクノロジーズ ホールディング エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バン,マッズ
(72)【発明者】
【氏名】グロマスキー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ボーク,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ロマドスカ,ラリーサ
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-124161(JP,A)
【文献】特開2007-115426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/1069
C08J 7/02
H01M 8/10
H01M 8/1088
H01M 8/103
H01M 8/1048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に使用するための酸ドープポリベンゾイミダゾール、PBIポリマーフィルム膜シートを製造する連続自動化法であって、次の順序で自動化して含む方法:
-処理のためのPBIフィルム膜シートをロールからエンドレスストリップとして提供し、連続的に前記エンドレスストリップをローラー上を以下の種々の段階を通って移動させること;
-洗浄段階で、溶媒、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を前記膜シートから水により除去するために、前記膜シートを前記水に曝露すること;
-乾燥手順で、前記膜シートを周囲温度を越える温度で乾燥すること;
-ドーピング段階で、前記膜シートにオルトリン酸をドープするために、乾燥手順の後に、前記PBI膜シートを、85重量%より高い濃度で90~100℃の範囲の温度の前記オルトリン酸に、10秒~5分の範囲で曝露すること、をさらに含むことを特徴とする、連続自動化法。
【請求項2】
前記乾燥手順が、第1の乾燥ステップ及び第2の乾燥ステップを含み、泡形成なしに水を蒸発させるために、前記第1の乾燥ステップが水の沸点より1~10℃低い範囲の温度、例えば、大気圧の場合には90~99℃の範囲で行われ、泡形成なしにDMAcを蒸発させるために、前記第2の乾燥ステップがDMAcの沸点より1~10℃低い範囲の温度、または酢酸とDMAcの共沸混合物の沸点より1~10℃低い範囲の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記DMAcと希釈オルトリン酸との反応で酢酸を形成することにより、前記PBI膜からのさらなるDMAcの除去のために、前記洗浄段階と前記乾燥手順との間の化学反応段階において、前記膜シートを、0.01重量%~1重量%の範囲の濃度を有する水希釈オルトリン酸に曝露することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、プレドープ段階において、前記乾燥手順と前記ドーピング段階との間で、前記膜シートを、65重量%より高いが、前記ドーピング段階の濃度より低い濃度でオルトリン酸に曝露し、前記膜のPBIポリマーの低分子量分子を前記オルトリン酸により溶解することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記種々の段階を液浴として対応する容器中に提供し、前記膜シートを前記液中に浸漬することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の連続自動化法のための自動化生産ラインであって、
前記生産ラインは、
-エンドレスストリップとしてロール(1)から、ポリベンゾイミダゾール、PBI、フィルム膜シート(18)を受けるシート受ローラー;
-前記エンドレスストリップをローラー(2、5)上および種々の段階を通って移動させるためのローラー(2、5)、を含み、
前記段階は、
-前記膜シートを前記水に曝露し、溶媒、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を前記膜シートから水により除去するための洗浄段階;
-前記膜シートを周囲温度を越える温度で乾燥するための乾燥装置;
-前記膜シートに前記酸をドープするために、前記乾燥手順の後に、前記PBI膜シートを、85重量%より高い濃度のオルトリン酸に曝露するためのドーピング段階、を含むことを特徴とし、
前記連続自動化法の自動化生産ラインが、前記ドーピング段階で、90~100℃の範囲の温度でオルトリン酸を供給し、前記ドーピング段階で10秒~5分の範囲でドーピングを実施するように構成される、
生産ライン。
【請求項7】
PBI膜シートの疑似エンドレスストリップを受けるための第1のロール(1)および前記ストリップを前記第1のロール(1)から展開し、同時に前記ストリップを追加のローラー(2、5)上に、前記種々の製造段階を通って下記に記載の順序でガイドするための複数のそれに対応して配置された前記追加のローラー(2、5)を含む、請求項6に記載の生産ライン:
-前記ストリップを1つまたは複数の水容器(3、6)中の前記水を通して前記ストリップを洗浄するための前記洗浄段階の一部として、水を含む1つまたは複数の水容器(3、6);
-希釈酸容器(7)中の希釈酸を通して前記ストリップをガイドすることにより、DMAcと希釈オルトリン酸との化学反応で酢酸を形成することにより、PBI膜シートからさらなるDMAcを除去するために、0.01重量%~1重量%の範囲の濃度を有する前記水希釈オルトリン酸を含む前記希釈酸容器(7)を含む化学反応段階;
-前記ストリップを乾燥し、同時に第1のゾーンを通りその後第2のゾーンを通ってガイドする2つの対応する乾燥ステップを有する乾燥装置の第1のゾーン(8)および第2のゾーン(9)を含み、前記第1のゾーンが、前記第1の乾燥ステップで泡形成なしに水を蒸発させるために、水の沸点より1~10℃低い範囲の乾燥温度、例えば、大気圧の場合には90~99℃の範囲の温度を与えるようにプログラムされ、前記第2のゾーンが、前記第2の乾燥ステップで泡形成なしにDMAcを蒸発させるために、DMAcの沸点より1~10℃低い範囲の温度、または酢酸とDMAcの共沸混合物の沸点より1~10℃低い範囲の温度を与えるようにプログラムされる;
-プレドープ容器(10)中の酸を通して前記ストリップをガイドすることにより、オルトリン酸により前記膜のPBIポリマーの低分子量分子を溶解するために、65重量%より高い濃度の前記オルトリン酸を用いた前記プレドープ段階の一部としてのプレドープ容器(10);
-ドーピング容器(11)中の酸を通して前記ストリップをガイドすることにより前記膜シートに前記酸をドーピングするために、85重量%より高い濃度のオルトリン酸を用いたドーピング段階の一部としてのドーピング容器(11);
-ドーピング後に、前記エンドレスストリップ(18)を回収するための回収ローラー(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、燃料電池用の酸ドーププロトン交換膜の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PEMと省略され、一般にプロトン交換膜とも呼ばれるポリマー電解質膜は、白金系電極などの電極と組み合わせて、膜電極接合体(MEA)を形成し、これは、対応する名前が付されたPEM燃料電池のキーコンポーネントの1つである。高温PEM燃料電池は、入力ガスの不純物、特に一酸化炭素に対する耐性がより高く、これは、低温燃料電池に比べて、主要な利点の1つである。しかし、最大200℃にもなる高い動作温度は、特殊な材料の使用を必要とする。
【0003】
高温の燃料電池で使用される膜のための材料として、良好な候補は、ポリベンゾイミダゾール、PBIであり、これは、芳香族の芳香族複素環を有し、優れた化学的および熱安定性を有する合成ポリマーである。Seland F,Berning T,Boressen B,Tunold R、らによる論文、Improving the performance of high-temperature PEM fuel cells based on PBI electrolyte,Journal of Power Sources,160(2006)27-36、も参照されたい。この論文は、下記文献リストの文献[1]である。
【0004】
PBI膜は、比較的低いプロトン導電率を示すが、しかし,これは、膜ポリマーの強力な電解質によるドーピングにより顕著に高めることができる。種々の鉱酸類,例えば、HBr、HCl、HClO、HNO、HSO、HPOは、この目的のための候補である。オルトリン酸HPOは、高温で、ユニークなプロトン導電率、低い蒸気圧、および良好な化学的安定性を有する点で有利である。オルトリン酸をドープしたPBI膜は、200℃で最大0.26S/cmの膜厚方向電気伝導度値を示す。それにもかかわらず、オルトリン酸(HPO-PBI)をドープしたPBI膜は、その中の酸含量の増大と共にそれらの機械的性質を失うことに留意することが重要であり、これが、このパラメーターを正確に制御する必要がある理由である。これに関しては、Li Q,Jensen JO,Savinell RF,Bjerrum NJらの論文、High temperature proton exchange membranes based on polybenzimidazole for fuel cells,Progress in Polymer Science,34(2009)449-477、も参照されたい。この論文は、下記文献リストの文献[2]である。
【0005】
通常、キャスティング法がPBI膜に対し使用され、例えば、米国特許出願公開第2012/0115050号、同第2012/003564号、同第2008/268321号または国際公開第2000/44816号で開示されている。しかし、キャスティング法は、高速生産に有用ではない。
【0006】
PBI膜は、先行技術で詳細に論じられてきた。例えば、米国特許出願公開第2016/0190625号(米国特許第9705146号として広告)は、多孔質層および緻密層を有するPBI膜を開示している。米国特許第5945233号は、電極の上に堆積される燃料電池用のPBIゲルを開示している。米国特許第6042968号は、燃料電池用のPBI織物を開示している。織物は酸中に浸漬された後、加熱されて、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などの残留溶媒が除去される。しかし、例示乾燥処理は遅く、ほぼ数時間程度であり、これは、大量生産に適しない。米国特許出願公開第2012/0115050号は、酸ドープPBI膜を洗浄して酸を除去する方法を開示している。しかし、膜の引き伸ばしの必要性は、ロールツーロール法では特に、連続的高速生産を可能にしない。
【0007】
米国特許出願公開第2008/280182号は、高濃度リン酸の場合で、ドーピング時間が5分から96時間の範囲である酸ドーピング段階を開示している。ドーピングについては、20~100℃の温度範囲が開示されている。例示されているのは、85%の酸濃度で95時間のリン酸によるドーピングである。しかし、このような長いドーピング時間は、高速生産に有用でなく、連続的な製造に有用でない。高速法は開示されていない。
【0008】
米国特許第4927909号は、非溶媒浴中、例えば、水中での残留DMAcの洗浄除去およびその後のオーブン中での乾燥工程を有する一般的なPBIフィルムの連続製造について開示している。洗浄段階の水浴の代わりとして、最大で15%であるが好ましくは2~5%のリン酸を加えた浴が開示されている。しかし、燃料電池用の使用は開示されておらず、また、最終的な酸ドーピングについても何ら開示されていない。
【0009】
膜を取り付ける連続法は、米国特許出願公開第2008/268321号で開示されている。しかし、膜の生産のための連続法は開示されていない。
【0010】
EP1566251号は、膜生産法を開示しており、そこでは、膜は2つの支持バンド(supporting band)の間にキャストされ、その後、そこから剥離される。
【0011】
米国特許出願公開第2012/031992号は、複合膜を与えるために第2の膜が第1の膜上にキャストされる方法を開示している。この方法は、酸の転化のために、膜が少なくとも1日間貯蔵されるという点で、遅い。
【0012】
米国特許出願公開第2014/0284269号は、PBI膜をキャスティングする方法を開示している。これは、連続法に対しては有用でない。
従って、高速での大量生産のための改善法および代替法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
当該技術分野における改善を提供することは、本発明の1つの目的である。特に、大量生産のための改善された装置および方法を提供することは1つの目的である。酸ドープポリベンゾイミダゾール、PBI膜の連続的な高速生産のための方法を提供することも1つの目的である。
【0014】
これらのおよびさらなる目的は、以下で詳細に記載されるこのような方法のための連続自動化方法および自動化生産ラインを用いて達成される。
【0015】
燃料電池に使用するための酸ドープポリベンゾイミダゾール、PBIポリマーフィルム膜を製造する連続自動化法が記載される。下記で明らかになるように、本方法は、複数の逐次処理段階を有する完全自動化の利点を有する。
【0016】
通常、本方法は、生産速度を含めて、種々の段階の温度を測定する計測器を含む種々のパラメーターを測定し、種々の処理段階で用いられる薬剤の、温度および酸濃度、ならびに、その処理に使用される薬剤の純度を示す他のパラメーターを含む選択物理学的性質を制御するためのコンピューターに機能的に連結された対応する測定ユニットを有するコンピューターにより制御される。任意選択で、処理で使用される液剤の補充および廃棄または再利用も同様に、その処理のための所定の条件に自動的に維持するためにコンピューター制御される。
【0017】
本方法の場合、PBI膜シートが処理のために、特に、オルトリン酸のドーピングのために供給される。燃料電池用の非ドープPBIフィルム膜シートの典型的な厚さパラメーターは、20~60μmの膜厚方向寸法であり、長さは、燃料電池スタックの設計の要求に応じて任意の範囲であり得る。
【0018】
原理的には、最終的に燃料電池で使用されるドープPBIフィルム膜は、好都合にも、膜シートが疑似エンドレスフィルムストリップとして、第1のローラーなどのロールから供給される場合、生産がよりスムーズに見える処理段階を通してガイドされる別々のシートとして供給できる。この場合、フィルムストリップはその後、ロールから徐々に展開され、複数のそれに対応して配置されたさらなる複数のローラーにより種々の処理段階を通ってガイドされる。
【0019】
膜シートの最初の製造段階の1つは、膜シートが水に曝露される洗浄段階である。通常、PBI膜材料は、溶液でコートされている場合、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)[2]などの有機溶媒の残留物を含み、これは、膜材料から除去される必要がある。清浄水、例えば、脱イオン水がこの処理には有効である。例えば、洗浄段階を通ってその輸送中、例えば、疑似エンドレスストリップとして輸送中、水は膜上に噴霧される。しかし、シートのガイドでの充分に効率的な方法、例えば、疑似エンドレスとして、シートが浸漬される水浴を通してガイドする方法が明らかになった。洗浄の効率を高めるために、連続的洗浄のために、対応する水容器中の清浄度を次第に高めた複数の水浴の設置が可能であるが、膜シートからの溶媒の除去には、2つの連続的に配置された水浴で十分であることが明らかになった。DMAcが、良好な溶解力と併せて、比較的低い沸点を有するために、他の溶媒に比べて、PBIの溶媒としてDMAcの使用が有利であることに留意されたい。下記文献リスト中の[3、4]も参照されたい。
【0020】
DMAcの除去を増やすために、さらに任意の特定の洗浄段階が効率的であることが明らかになった。膜シートが乾燥される前の化学反応段階である、この任意の段階では、膜シートは、0.01重量%~1重量%の範囲の濃度を有する水希釈オルトリン酸に曝露される。低濃度の酸は、何らの顕著な膜のドーピングに繋がらず、DMAcと希釈オルトリン酸との酢酸を形成する化学反応によるPBI膜シートからのさらなるDMAcの除去を支援する。酢酸の揮発性に起因して、それは、膜を加熱する場合は特に、容易に膜を乾燥させる。
【0021】
液剤中のDMAcおよび他の不純物の除去後、膜シートは、乾燥手順に供される。この処理を加速するために、膜は好都合にも、乾燥装置中で周囲温度を越える高い温度で乾燥される。一例は、温度を制御および調節できるオーブンまたは他のタイプの加熱ゾーンである。
任意選択で、乾燥手順は2つの乾燥ステップを、例えば、乾燥装置の第1および第2のゾーン中にそれぞれ含む。
【0022】
任意の2ステップ乾燥の第1のステップは、水の沸点より1~10℃低い範囲の温度、例えば、乾燥が、水の沸点が100℃である標準気圧で実施される場合、90~99℃の範囲の第1のゾーン中で作られる。乾燥が異なる圧力、例えば、より低い圧力条件下で行われる場合、水の沸点はそれに対応してより低い。水泡形成なしで水を蒸発させるために、水の沸点未満で乾燥が行われる。膜中の水蒸気由来の気泡は、膜材料中に空隙を作る場合があるので望ましくない。
【0023】
任意の2ステップ乾燥の第2のステップは、100kPaの標準気圧で166℃で沸騰するDMAcの沸点より1~10℃低い範囲の温度で行われる。
【0024】
しかし、化学反応段階が水で洗浄後に使われる場合、酢酸が生成され、DMAcと共沸混合物を形成し、この場合では、第2ステップは、好都合にも、泡形成なしにDMAcを蒸発させるために、酢酸とDMAcの共沸混合物の沸点の1~10℃低い温度である。このような酢酸とDMAcの共沸混合物の沸点は、標準気圧下で171℃である。
【0025】
酢酸それ自体では、標準沸点は116℃であり、温度は場合により、追加の工程として、水の蒸発と、DMAcまたは共沸混合物の蒸発との間で選択される。
【0026】
乾燥段階は、膜ストリップの形態である膜シートの温度が、乾燥トンネルを通ってガイドされる間に上昇するようにゾーン中で温度が徐々にスムーズに、段階的に増大する乾燥トンネルとして提供される場合もある。あるいは、乾燥段階は、乾燥ステップを提供するために、複数のその後に続く、オーブンなどの異なる温度を有する複数のヒーターを備える。
【0027】
ドーピング段階の前の任意の段階として、製造ラインは、乾燥段階とドーピング段階との間にプレドープ段階を含む。プレドープ段階では、膜シートは、膜のPBIポリマー低分子量分子をオルトリン酸により溶解するために、65重量%より高い濃度、例えば、65~85重量%の範囲のオルトリン酸に曝露される。例えば、プレドープ段階は、膜、例えば、ストリップをプレドープ容器中の酸を通してガイドするために、このようなオルトリン酸を含むプレドープ容器を含む。PBIポリマーの低分子量分子を溶解することにより、膜ポリマーは、主として高分子量分子を含み、最終ドーピング段階は、相当量のこのような溶解PBIにより汚染されない。プレドープ段階での酸の有用な温度は、40~80℃の範囲である。
【0028】
ドーピング段階では、PBI膜シート、例えば、ストリップは、膜シートを酸でドーピングするために、85重量%より高い濃度、例えば、86~99重量%の範囲のオルトリン酸に、任意選択で、10秒~5分の範囲の間、あるいは5分間未満の間、曝露される。例えば、ドーピング段階は、膜、例えば、ストリップをドーピング容器中の酸を通してガイドするために、このようなオルトリン酸を含むドーピング容器を含む。
【0029】
温度を高く保持することにより、ドーピングの時間は、膜シート、任意選択のストリップのドーピング段階中の移動が他の段階の輸送速度と適合するように、生産に好適な時間の長さに調節できる。例えば、ドーピング段階のオルトリン酸は、75℃を超える温度、例えば、90~100℃の範囲で保持される。
【0030】
ドーピング段階でのドーピングは、90重量%の酸濃度の場合、95~100℃の範囲などの90~100℃の範囲の温度に高めることにより、5分未満、あるいは1分未満で満足できるドーピングレベルを達成できることが明らかになった。90重量%のオルトリン酸を用いた100℃での実験では、必要なドーピング時間は、実際に1分未満、例えば、10~30秒の短さであった。
【0031】
しかし、高温および高いドーピングレベルでは、膜材料の分解およびそれに対応する引張強度の低下リスクがあり、不利である。特に、ドーピングレベルは、好都合にも、cmの膜シート当り30mg未満のオルトリン酸であり、さらに好都合にも、単分子から多分子吸着への遷移が約12mg/cmであるので、10~15mg/cmの範囲であることが明らかになった。
【0032】
この理由により、酸濃度および温度、ならびにドーピング時間などのパラメーターの組み合わせは、注意深く選択する必要がある。90重量%のオルトリン酸を用いた100℃での実験では、ドーピング時間は、1分未満、例えば、5~30秒の範囲であり、同時にストリップの十分な引張強度をまだ維持していることが明らかになった。
【0033】
疑似エンドレス膜ストリップが使用される製造ラインのために、好都合にも、ドーピング後にエンドレスストリップを回収するために、回収ローラーが採用される。このようなローラーは、膜ストリップが正確な寸法に切断され、燃料電池のセパレータープレート間に挿入される最終燃料電池構築物へのドープ膜の輸送に有用である。
【0034】
前述のように、製造された膜は、高温ポリマー電解質膜燃料電池(HT-PEM)のために有用であり、これは、約120度を超える温度で動作し、低温PEM燃料電池からHT-PEMを差別化し、後者は、100℃未満、例えば、70℃の温度で動作する。通常のHT-PEM燃料電池の通常の動作温度は、120~200℃の範囲、例えば、160~170℃の範囲である。HT-PEM燃料電池は、比較的高いCO濃度に耐える点で好都合であり、従って、リフォーマーと 燃料電池スタックとの間のPrOx反応器の必要性はなく、これが、例えば、自動車産業のためのコンパクトな燃料電池システム燃料電池システムを提供する目的に合致する単純で軽量、安価なリフォーマーが使用できる理由であり、このために、システムの全体サイズおよび重量を最小化する。
【0035】
本発明は、以下で図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】膜のドーピングのための連続法の略図である。
図2】種々の温度での85重量%のHPO中のPBI膜の吸着等温線のグラフである。
図3】HPOの濃度に対する、100℃で1分間にPBI膜により吸収されたHPOの含量のグラフである。
図4】100℃の90重量%のHPO中でのPBI膜の吸着等温線のグラフである。
図5】種々の処理パラメーターによるドーピング前後のPBI膜の引張強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、ポリベンゾイミダゾール、PBIシート材料をベースにし、オルトリン酸HPOをドープした燃料電池用の高品質膜を製造するために生産パラメーターが正確に制御される高速ロールツーロール法が記載される。有用な特性を有するHPOドープPBI膜の生産ラインが以下で提示される。
【0038】
図1は、PBI膜の洗浄および酸ドーピングを含むロールツーロール法による一般的生産ラインを示す。
【0039】
PBI膜シート材料の非ドープ疑似エンドレスストリップのロール1が提供される。任意選択で、PBI膜は、ポリマーフィルム、例えば、ポリエステルフィルム上へのPBI材料のキャスティングまたはコーティングにより提供される。疑似エンドレスポリマー膜シート18は、ローラー1から巻きが解かれ、ガイドローラー2により脱イオン水を加えた容器3中に入れられる。通常、ポリマーフィルム上にコーティング後、PBI膜は、最大20重量%の溶媒、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などの溶媒を含み、水容器3中で、この溶媒の主要部分は除去される。
【0040】
図1の容器は、等サイズを有するように示されているが、これは通常、事実と異なる。膜ストリップがローラーでガイドされ、それにより、ストリップの全ての部分が同じ速度で動くので、種々の容器3、6~11中の浴を通る経路の長さは、個別の容器のサイズを変えることにより変動させることができ、それに対応して、膜ストリップの部分が容器を通過するために要する時間の長さも変化させ得る。
【0041】
水容器3の後では、PBI膜は、少ない含量のみの、通常2重量%未満の溶媒を内部に含む。膜はその後、フィルム回収ローラー上に回収された基材、例えば、ポリエステル基材から容易に剥離させられる。
【0042】
疑似エンドレス膜ストリップは、張力制御ローラー5を介して、同様に脱イオン水を含む第2の水容器6にガイドされる。第2の容器6中の水は、第2の水容器6中の溶媒の濃度を低く保持するために、連続的にまたは定期的に補充される。第1の水容器3中の除去される溶媒の濃度は、第2の水容器6中の濃度より実質的に高く、これが、第2の水容器6からの低濃度の溶媒を有する水が、好都合にも、第1の水容器3のための水補充に使われる理由であり、この第1の水容器3からの水は、その後、水貯蔵所16中に廃棄され、これは、任意選択で、排出されるか、または対応する洗浄オプションと組み合わされる場合は、水の再利用に使用される。第1の水容器での使用のための第2の水容器6からの水の使用は、この方法での全体に必要な水の消費を低減する。例えば、補充工程は、この生産方法の間、連続的である。
【0043】
PBI膜の2工程洗浄にもかかわらず、それは、PBI中の極性基とDMAc分子との間の強力な相互作用に起因して、その時点でも、ある程度の溶媒残留物、例えば、DMAcを含む場合がある(文献[2]も参照)。
【0044】
溶媒、特に、DMAcの残留物をさらに除去するために、化学的反応工程が低酸性度容器7中で実施され、この容器は、水中1重量%未満の濃度の希釈したオルトリン酸を含む。
【0045】
容器7中のオルトリン酸の正確な濃度は、使用された容器7の体積および指定時間当たりの容器を通して巻き取られる膜の体積により決定される。この容器中では、溶媒、特にDMAcと、オルトリン酸との間で化学反応が起こる。溶媒としてDMAcの場合には、この方法は、酢酸を形成し、これは、以下の式により記載され、式中、DMAcは、CHCON(CHで示される。
【0046】
3CHCON(CH +3HO+HPO→3CHCOOH+[(CHNH PO 3-
【0047】
この容器7中での洗浄は、溶媒、特にDMAcを除去する。この処理は、DMAcの酸加水分解の生成物が燃料電池スタック中に入るのを防ぐので、重要である。
【0048】
最終ドーピングの前に、PBI膜は、オルトリン酸以外の全ての液剤、特に水、残っている可能性のある微量のDMAcおよび酢酸を乾燥させる必要がある。これらは標準圧力下で、それぞれ100、166および118℃の沸点を有する。文献[5]も参照されたい。また、他の反応生成物も除去する必要がある。EP1551522号では、米国特許出願公開第2004/000470号と同様に、酢酸がDMAcと、171℃で沸騰する共沸混合物形成することを指摘している。
【0049】
好都合にも、適切な乾燥結果を得るために、2ゾーンオーブン8および9が使用され、第1ゾーンでは、水を除去するために温度が約100℃で保持され、第2ゾーンでは、酢酸-DMAc混合物を除去するために約171℃で保持される。
【0050】
膜中に空隙を生成する可能性のあるこの液剤の沸騰による気泡を避けるために、第1の容器中の温度は100℃直下、例えば、90~98℃の範囲に維持され、第2ゾーンでは、171℃の直下、例えば、160~170℃の範囲に維持される。例えば、マルチゾーン乾燥トンネル中で、温度を徐々に昇温することにより、泡形成なしに種々の液剤の蒸発を実現できる。
【0051】
乾燥処理後、乾燥したPBI膜は、2つのその後に続く濃縮オルトリン酸を含む容器10、11を通って移動する。第1の酸容器10中の濃度は、65重量%超であるが、第2の容器が膜の最終ドーピングのために使用されるので、第2の酸容器ほど高濃度である必要はない。第1の酸容器10は、40~80℃の範囲の高温で保持される。
【0052】
第1の酸容器10の役割は、以下で説明される。通常、PBIは、ポリマーの分子量のある程度の分布を有し、そのために、低分子量および高分子量の両方のポリマーが存在する。低分子量のPBIポリマーは、熱濃縮オルトリン酸中に少なくとも部分的に溶解する。ドーピング処理を最適化するために、2つの容器10および11が用いられ、第1の容器10中で低分子量のPBIポリマーの溶解が主にまたは完全に起こり、これにより、溶解処理中に、第2の容器11で望ましい酸濃度よりも低い濃度の酸になる。主として低分子量のポリマーが第1の容器から除去されるので、第2の容器11に入る際に、膜は、主として、より高分子量のポリマーを含む。従って、第2の容器11では、酸は、ポリマー残留物の溶解により汚染程度がより低いために、より高い濃度で維持される。以下でさらに詳細に説明されるように、より高い濃度は、ドーピングのために有利である。
【0053】
全体としては、容器10および11のカスケードシステムの使用は、最適化ドーピング溶液の再生を支援する。
【0054】
ドーピング容器11中でのPBI膜のオルトリン酸によるドーピング後、膜上のHPO-PBIの酸液滴は、スポンジで覆われたローラー12で除去され、ドープ膜は、ローラー13に巻き取られる。
【0055】
水容器3および化学的反応容器7中のDMAcおよび酢酸の濃度は、作業用溶液の過剰汚染を回避するために制御されなければならない。必要に応じ、液剤が廃棄物容器16、17中に除去される。
【0056】
膜の洗浄のために化学反応容器7中の、低分子量ポリマーの低減のためにプレドープ容器10中の、および全体複合体ドーピング処理の実施のためにドーピング容器11中の、オルトリン酸の濃度を制御することは、重要である。従って、脱イオン水を含む第1の補充容器14および99重量%のHPOを含む第2の容器15は、処理のための種々の対応する容器中の液剤を所定の濃度レベルに調節するために利用される。
【0057】
DMAcを不純物として含む水、およびDMAcの加水分解の生成物で汚染されたオルトリン酸は、それぞれ、さらなるそれらの再利用のために、廃棄物容器16および17中に集められる。
【0058】
ドーピング処理およびその機構に戻ると、ここで、PBIのオルトリン酸のドーピングは、2つの酸の分子を有する1つのポリマーの反復ユニットを介してクーロン力により起こることが言及されるべきである。PBI膜内でのさらなる酸の蓄積は、水素結合により起こる。参考文献[2]も参照されたい。最適化された、一貫したドーピングレベルに達するために、および膜がその引張強度を失わないために、オルトリン酸の時間、温度、および濃度などの処理パラメーターは、注意深く考慮されなければならない。これは、下記で、実験結果を参照しながらさらに詳細に考察される。
【0059】
図2は、85重量%のHPO中、50℃、75℃、および100℃の温度でのPBI膜の吸着等温線を示す。85重量%もオルトリン酸溶液中でドープされる場合、オルトリン酸含量のプラトー領域に達するために、50℃で少なくとも2時間のドーピング時間が必要である。プラトー領域に達するために、75℃では、30分の短縮されたドーピング時間が必要であり、一方、100℃では、5分未満を使用できる。高速生産法のために、短いドーピング時間は極めて有利である。
【0060】
ドーピング時間をさらに短縮するために、オルトリン酸の濃度は、85重量%より高いのが有利である。
【0061】
図3は、65~90重量%の範囲の種々の濃度のHPOを100℃でドーピングした場合に、PBI膜により吸着されたオルトリン酸の量を示す。処理時間は、ここでは1分に固定されていることに留意されたい。
【0062】
図3によると、ドーピングレベルは、指数関数的に増大し、図1の最大吸着量、約11.5mg/cmの値を超えている。大きな増大は、単分子吸着型から多分子吸着型への機構の変化に起因する。多分子吸着方式では、PBI膜フィルムは、ゲル状になる。顕著なゲル形成効果は、約30mg/cmのドーピングレベルで観察された。さらに高いレベルでは、膜は、オルトリン酸中に溶解する。
【0063】
実験的には、85重量%を越える濃度、特に90重量%の濃度のオルトリン酸の使用は、ドーピング時間の10秒までの短縮を可能にした。
【0064】
100℃での90重量%のHPO中のPBI膜の吸着等温線を示す図4を参照すると、単分子吸着機構から多分子機構への遷移は、10~15mg/cmの範囲で明確に観察された。12mg/cmの例示的遷移レベルが図4で示される。
【0065】
従って、このような加速されたドーピング手順を実施する場合、PBI膜がまだ、十分な引張強度を有することに注意しなければならない。これを確認するために、高ドープPBI膜を、穏やかな条件、すなわち、85重量%のHPO中、50℃で2時間ドープされたPBI膜と比較した。実験結果を図5に示す。
【0066】
図5からわかるように、100℃の高温および90重量%の高酸濃度でドープした実験的に作製した膜は、50℃の低温およびより緩やかな85重量%の酸濃度でゆっくりドープした膜と少なくとも同程度の強さの引張強度を有する。しかし、ドーピング時間が15秒以下の場合に限り、このケースに該当する。15秒後は、引張強度が低下するが、45秒までは緩やかな低下にすぎず、1分まで許容可能である。
【0067】
これは、12~18秒の間で単分子から多分子吸着方式への遷移が起こる図4と一致する。
【0068】
結論として、方法は、膜材料の多段洗浄および注意深いパラメーターの調節により、ゆっくりしたドーピング方法と類似の膜のドーピング含量および引張強度をもたらすが、この方法は、遙かに高い速度のために、大量生産に極めて好適することが実証された。特に、提案されたPBI膜のオルトリン酸による高速ドーピング方法は、自動化でき、燃料電池の連続生産の一部として使用できる。
【0069】
いくつかの先行技術と比較して要約するために、以下の特徴が指摘される:
1)DMAcに残留物を分解し、乾燥処理を急速で効率的にするために、オルトリン酸の希釈溶液中でのPBI膜の洗浄(この点が、参考文献[7、8]の開示とは異なり、この開示では、キャスティングされたPBI膜が水および/またはアルコールなどの非溶媒中で単に洗浄され、これが、これらの場合でPBIに結合したDMAcを除去するために長時間、例えば、80℃で12時間の乾燥(文献[6]を参照)を要する理由である);
2)異なる沸点を有する種々の液体成分をPBI膜から除去し、その中での泡形成も回避する、2ゾーンオーブンの使用;
3)ドーピング後にその機械的性質を維持するために、処理パラメーターを厳密に制御することにより、例えば、90重量%のHPO中、100℃で1分間未満、例えば、10~15秒の間、単分子状態で吸着を保持すること(この点が、文献[10~14]での開示とは異なり、この開示では、PBI膜はより希釈されたオルトリン酸溶液中、より低い温度でドープされ、これは数時間を要し、従って、高速大量生産には好適しない)。
【0070】
参考文献
[1]Seland F,Berning T,Boressen B,Tunold R.Improving the performance of high-temperature PEM fuel cells based on PBI electrolyte.Journal of Power Sources,160(2006)27-36
[2]Li Q,Jensen JO,Savinell RF,Bjerrum NJ.High temperature proton exchange membranes based on polybenzimidazole for fuel cells.Progress in Polymer Science,34(2009)449-477
[3]Li X,Qian G,Chen X,Benicewicz BC.Synthesis and characterization of a new fluorine-containing polybenzimidazole(PBI)for proton-conducting membranes in fuel cells.Fuel Cells,13(2013)832-842
[4]Pu H,Wang L,Pan H,Wan D.Synthesis and characterization of fluorine-containing polybenzimidazole for proton conducting membranes in fuel cells.Journal of Polymer Science,48(2010)2115-2122
[5]Solvent Boiling Points Chart:https://www.brandtech.com/solventboilingpointschart/
[6]Shen CH,Jheng LC,Hsu SLC,Wang JTW.Phosphoric acid-doped cross-linked porous polybenzimidazole membranes for proton exchange membrane fuel cells.Journal of Materials Chemistry,21(2011)156660-156665
[7]Oono Y,Sounai A,Hori M.Influence of the phosphoric acid-doping level in polybenzimidazole membrane on the cell performance of high-temperature proton exchange membrane fuel cells.Journal of Power Sources,189(2009)943-949
[8]Krishnan NN,Joseph D,Duong NMH,Konovalova A,Jang JH,Kim HJ,Nam SW,Henkensmeier D.Phosphoric acid doped crosslinked polybenzimidazole(PBI-OO)blend membranes for high temperatures polymer electrolyte fuel cells.Journal of Membrane Science,544(2017)416-424
[9]Kurungot S,Illathvarappil R,Bhange N,Unni SM.Process for the preparation PBI based electrode assembly(MEA)with improved fuel cell performance and stability.Patent US10,361,446B2,filed 09.12.2004
[10]Perry KA,More KL,Payzant EA,Meisner RA,Sumpter BG,Benicewicz BC.A comparative study of phosphoric acid-doped m-PBI membranes.Polymer Physics,52(2014)26-35

図1
図2
図3
図4
図5