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  • 特許-穀物乾燥装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】穀物乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
F26B17/14 L
F26B17/14 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018194098
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063850
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】奥山 量徳
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-190589(JP,A)
【文献】特開2005-049027(JP,A)
【文献】特開平10-185431(JP,A)
【文献】特開2003-090682(JP,A)
【文献】特開2005-241222(JP,A)
【文献】特開平04-086476(JP,A)
【文献】特開2001-299073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物が乾燥される装置本体と、
前記装置本体に設けられると共に、外周円状にされ、かつ、外周外側に開放される開放室が設けられ、回転されることで穀物が一側から他側に前記開放室を介して排出される排出体と、
剛性を有すると共に前記排出体の外周に対向される対向部が設けられ、前記排出体の一側から他側への前記排出体の外周外側を介する穀物の漏出を制限する制限体と、
を備え、前記対向部が前記排出体の外周に接近配置されて接触されない穀物乾燥装置。
【請求項2】
前記対向部が一側から他側へ向かう方向に延伸される請求項1記載の穀物乾燥装置。
【請求項3】
前記対向部が前記排出体の中心軸線より一側に配置される請求項1又は請求項2記載の穀物乾燥装置。
【請求項4】
前記制限体内に設けられ、前記制限体を補強する補強部を備える請求項1~請求項3の何れか1項記載の穀物乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物が乾燥される穀物乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の穀粒乾燥装置では、シャッタドラムの外周に支持部材のシール部材が対向しており、シャッタドラムの上側から下側へのシャッタドラムの外周外側を介する穀粒の漏出を支持部材(シール部材を含む)が制限する。
【0003】
ここで、この穀粒乾燥装置では、シール部材が柔軟な材料により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-185431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、制限体の対向部の損傷を抑制できる穀物乾燥装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の穀物乾燥装置は、穀物が乾燥される装置本体と、前記装置本体に設けられると共に、外周円状にされ、かつ、外周外側に開放される開放室が設けられ、回転されることで穀物が一側から他側に前記開放室を介して排出される排出体と、剛性を有すると共に前記排出体の外周に対向される対向部が設けられ、前記排出体の一側から他側への前記排出体の外周外側を介する穀物の漏出を制限する制限体と、を備え、前記対向部が前記排出体の外周に接近配置されて接触されない
【0008】
請求項2に記載の穀物乾燥装置は、請求項1に記載の穀物乾燥装置において、前記対向部が一側から他側へ向かう方向に延伸される。
【0009】
請求項3に記載の穀物乾燥装置は、請求項1又は請求項2に記載の穀物乾燥装置において、前記対向部が前記排出体の中心軸線より一側に配置される。
【0010】
請求項4に記載の穀物乾燥装置は、請求項1~請求項3の何れか1項記載の穀物乾燥装置において、前記制限体内に設けられ、前記制限体を補強する補強部を備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の穀物乾燥装置では、装置本体において穀物が乾燥される。また、装置本体に排出体が設けられており、排出体が外周円状にされる。さらに、排出体の開放室が排出体の外周外側に開放されており、排出体が回転されることで、穀物が排出体の一側から他側に開放室を介して排出される。
【0012】
また、制限体の対向部が排出体の外周に対向されており、排出体の一側から他側への排出体の外周外側を介する穀物の漏出を制限体が制限する。
【0013】
ここで、制限体の対向部が剛性を有している。このため、対向部の損傷を抑制できる。
【0014】
請求項1に記載の穀物乾燥装置では、対向部が排出体の外周に接近配置される。このため、対向部の排出体による損傷を抑制できる。
【0015】
請求項2に記載の穀物乾燥装置では、対向部が一側から他側へ向かう方向に延伸される。このため、対向部と排出体の外周との最小距離を小さくでき、排出体の一側から他側への排出体の外周外側を介する穀物の漏出を適切に制限できる。
【0016】
請求項3に記載の穀物乾燥装置では、対向部が排出体の中心軸線より一側に配置される。このため、穀物の荷重により制限体が他側に変位された場合でも、排出体の外周からの対向部の離間を抑制でき、排出体の一側から他側への排出体の外周外側を介する穀物の漏出を制限できる。
【0017】
請求項4に記載の穀物乾燥装置では、制限体内に補強部が設けられており、補強部が制限体を補強する。このため、穀物の荷重による制限体の他側への変位を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る穀物乾燥装置を示す前方から見た断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る穀物乾燥装置を示す左方から見た断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る穀物乾燥装置のシャッタドラム等を示す前方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係る循環式の穀物乾燥装置10が前方から見た断面図にて示されており、図2には、穀物乾燥装置10が左方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、穀物乾燥装置10の前方を矢印FRで示し、穀物乾燥装置10の右方を矢印RHで示し、穀物乾燥装置10の上方を矢印UPで示す。
【0020】
図1及び図2に示す如く、本実施形態に係る穀物乾燥装置10は、装置本体としての機体12を備えており、機体12は、上下に高く前後に長い直方体箱状にされている。
【0021】
機体12内の上部は、収容室としての穀槽14にされており、穀槽14内には、穀物K(例えば籾、麦又は大豆)が貯留(収容)される。
【0022】
機体12内の下部には、一対の排風路隔壁16が設けられており、各排風路隔壁16は、通気性を有している。各排風路隔壁16は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、機体12の各側面板から左右方向中央へ向けて下方に傾斜しており、一対の排風路隔壁16は、漏斗状にされている。
【0023】
一対の排風路隔壁16の左右方向内側には、略菱形筒状の風胴板18が設けられており、風胴板18は、通気性を有している。風胴板18は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されると共に、風胴板18の下側部分は、対向する各排風路隔壁16に平行にされており、風胴板18内は、送風路20にされている。機体12の前面板には、矩形状の外気入口22が形成されており、外気入口22は、送風路20に連通している。
【0024】
風胴板18の上側部分と各排風路隔壁16の上部との間には、略菱形筒状の導風路隔壁24が設けられており、各導風路隔壁24は、通気性を有している。各導風路隔壁24は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されており、各導風路隔壁24内は、導風路26にされている。各導風路隔壁24の下側部分は、対向する各排風路隔壁16に平行とされると共に、対向する風胴板18に平行とされている。
【0025】
風胴板18の左方及び右方には、風胴板18と導風路隔壁24との間、導風路隔壁24と排風路隔壁16との間、及び、風胴板18と排風路隔壁16との間において、供給部(流路部、乾燥路)としての流下路28がそれぞれ形成されており、各流下路28には、穀槽14内に貯留された穀物Kが流下される。
【0026】
一対の流下路28の下端間には、排出体(繰出体)としての円柱形容器状のシャッタドラム30が設けられており、シャッタドラム30の外周は、軸方向視で円状にされている。シャッタドラム30には、円柱状の回転軸30Aが同軸上に設けられており、回転軸30Aは、シャッタドラム30の前壁と後壁とに固定されている。回転軸30Aは、シャッタドラム30の前壁と後壁とを貫通して、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されており、シャッタドラム30は、回転軸30Aを中心として回転可能にされている。
【0027】
シャッタドラム30内は、前後方向中央において均等に分割されており、シャッタドラム30内の前側部分及び後側部分は、それぞれ開放室としての流入室32Aにされている。
【0028】
シャッタドラム30の周壁には、前側部分及び後側部分において、それぞれ開口としての長尺矩形状のスリット32Bが貫通形成されており、各スリット32Bは、シャッタドラム30の軸方向に延伸されて、各流入室32Aをシャッタドラム30の径方向外側(外周外側)に開放させている。一対のスリット32Bは、互いにシャッタドラム30の周方向(回転方向)の反対側に配置されており、一対のスリット32Bは、シャッタドラム30の周方向において等間隔で配置されている。
【0029】
シャッタドラム30の周壁(スリット32B以外の部分)が流下路28の下面に対向された際には、シャッタドラム30の周壁が流下路28の下面を略閉塞する。また、スリット32Bが流下路28の下面に対向された際には、流下路28の下面(上側(一側))からスリット32Bを介して流入室32Aに穀物Kが流入(供給)される。さらに、流入室32Aに穀物Kが流入された状態でスリット32Bが下側に向けられた際には、流入室32Aからスリット32Bを介して下側(他側)に穀物Kが排出(流下)される。これにより、シャッタドラム30が回転されることで、流入室32Aに対しスリット32Bを介して穀物Kが流入かつ排出されて、シャッタドラム30から穀物Kが排出される(繰り出される)。
【0030】
各排風路隔壁16の下端とシャッタドラム30の周壁との間には、隙間34が形成されており、流下路28の下端から隙間34を介して穀物Kが流下可能にされている。
【0031】
シャッタドラム30の左側及び右側には、制限体としての金属製の漏止シャッタ70(図3参照)が設けられており、漏止シャッタ70は、排風路隔壁16の下端部の下側において、前後方向に延伸されている。
【0032】
漏止シャッタ70には、制限部材としての略矩形筒状のシャッタ枠72が設けられており、シャッタ枠72の前面及び後面には、それぞれ前壁及び後壁が固定されている。シャッタ枠72内には、円柱状の支軸74が略同軸上に設けられており、支軸74は、シャッタ枠72の前壁と後壁とに固定されている。支軸74は、シャッタ枠72の前壁と後壁とを貫通して、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されており、漏止シャッタ70は、支軸74を中心として排出方向(図3の矢印Aの方向)に回転操作可能にされている。
【0033】
シャッタ枠72には、第1部としての長尺板状の内枠板72A(鋼板)が設けられており、内枠板72Aの下部は、シャッタドラム30側へ向かうに従い下側へ向かう方向に延出されている。内枠板72Aの中間部は、シャッタドラム30側へ向かうに従い上側へ向かう方向に延出されており、内枠板72Aの上部は、シャッタドラム30側に延出されている。
【0034】
シャッタ枠72には、第2部としての長尺板状の外枠板72B(鋼板)が設けられており、外枠板72Bの内側には、内枠板72Aが配置されている。外枠板72Bの下側部分は、シャッタドラム30側へ向かうに従い下側へ向かう方向に延出されており、外枠板72Bの下端部は、内枠板72Aの下部に締結固定されている。外枠板72Bの上側かつシャッタドラム30とは反対側の部分は、傾斜部としての断面L字形板状の突出板70Aにされており、突出板70Aは、上側に突出されている。外枠板72Bの上側かつシャッタドラム30側の部分には、制限部としての平板状の制限板70Bが設けられており、制限板70Bは、突出板70Aからシャッタドラム30側に延出されると共に、内枠板72Aの上部に重合されている。外枠板72Bのシャッタドラム30側の端部には、対向部としての平板状の対向板70Cが設けられており、対向板70Cは、制限板70Bから下方に延出されると共に、上下方向に配置されている。対向板70Cは、シャッタドラム30の外周面に対向されており、対向板70Cの上端及び下端は、それぞれシャッタドラム30の中心軸線O(回転軸30Aの中心軸線)に対し上側及び下側に配置されている。対向板70Cは、シャッタドラム30の周壁に接近されており、対向板70Cとシャッタドラム30の周壁との最小隙間は、穀物K(穀粒)が通過不能にされている。突出板70A、制限板70B及び対向板70Cは、排風路隔壁16の下端とシャッタドラム30の周壁との隙間34の下側を閉鎖しており、このため、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出されることが制限されている。
【0035】
シャッタ枠72内には、補強部としての長尺板状の補強板76(鋼板)が設けられており、補強板76の下部は、シャッタドラム30側へ向かうに従い下側へ向かう方向に延出されている。補強板76の下部は、内枠板72Aの下部と外枠板72Bの下端部との間に配置されており、内枠板72Aの下部及び外枠板72Bの下端部に締結固定されている。補強板76の下部以外の部分は、上側に延出されて、支軸74を貫通しており、補強板76の上端は、突出板70Aの上端に当接されている。このため、補強板76は、シャッタ枠72内に上下方向に架け渡されて、シャッタ枠72を上下方向において補強している。
【0036】
一対の排風路隔壁16の下方には、一対の漏止シャッタ70より下側において、一対の張込流し板38が設けられており、各張込流し板38は、機体12の前面板と後面板との間に架け渡されている。一対の張込流し板38は、それぞれ機体12の各側面板から左右方向中央へ向けて下方に傾斜されて、漏斗状にされている。また、各張込流し板38と各排風路隔壁16との間は、排風路40にされている。
【0037】
機体12の各側面板下部には、張込ホッパ42が開閉可能に設けられており、各張込ホッパ42が開放されることで、機体12内へ穀物Kを張り込み(供給)可能とされている。また、シャッタドラム30から排出された穀物K又は張込ホッパ42から張り込まれた穀物Kは、一対の張込流し板38の下端間に流下される。
【0038】
各張込流し板38の下端間には、搬送手段を構成する下スクリューコンベヤ44が設けられており、下スクリューコンベヤ44は、後端が機体12の後面板に固定されると共に、前端が機体12の前面から前方に突出されている。下スクリューコンベヤ44は、長尺樋状の下搬送樋44Aを有しており、機体12外における下搬送樋44Aの上面及び前面は閉塞されている。機体12内における下搬送樋44Aは、排風路40に連通されており、下搬送樋44A内には、一対の張込流し板38の下端間に到達した穀物Kが流下する。下搬送樋44A内には、下スクリュー44Bが設けられており、下搬送樋44A内に流下した穀物Kが下スクリュー44Bによって前方へ搬送される。
【0039】
機体12の前方には、右側において、搬送手段を構成する昇降機46が立設されており、昇降機46の上部は、機体12の上面板よりも上方へ突出している。昇降機46内には、無端ベルト46Aが配置されており、無端ベルト46Aには、バケット46Bが一定間隔で取り付けられている。昇降機46内の下端は、下搬送樋44A内の前端に連通されており、下スクリューコンベヤ44(下搬送樋44A内の前端)から排出されて昇降機46内の下端に堆積した穀物Kが、無端ベルト46Aの回転によりバケット46Bによって昇降機46内の上端まで持上搬送される。
【0040】
機体12の上端には、搬送手段を構成する上スクリューコンベヤ50が設けられており、上スクリューコンベヤ50は、後端が機体12の上面板中央直下に配置されると共に、前端が機体12の前面板から突出している。上スクリューコンベヤ50は、長尺樋状の上搬送樋50Aを有しており、上搬送樋50Aの後端下面は、開放されている。上搬送樋50A内の前端は、昇降機46内の上端に連通されており、昇降機46内の上端まで搬送された穀物Kが上搬送樋50A内の前端に流下する。上搬送樋50A内には、上スクリュー50Bが設けられており、上搬送樋50A内の前端に流下した穀物Kが上スクリュー50Bによって後方へ搬送される。
【0041】
上搬送樋50A内の前端は、排出弁52Aの開動により排出管52に連通可能とされており、上搬送樋50A内の前端が排出管52に連通された際には、上搬送樋50A内の前端に流下した穀物Kが排出管52を介して穀物乾燥装置10から排出される。
【0042】
上スクリューコンベヤ50後端の下方には、搬送手段を構成する円盤状の均分機54が回転可能に設けられており、上スクリューコンベヤ50の後端(上搬送樋50A内の後端)に搬送された穀物Kが、回転される均分機54の上面に流下することで、遠心力によって穀槽14内へ均等に放散分配される。
【0043】
機体12の前面下部には、左側部位において、直方体箱状の火炉ケース56が設けられており、火炉ケース56の前面板には、スリット状の外気導入口56Aが複数形成されている。火炉ケース56の後面板は、部分的に開放されており、火炉ケース56内は、上記外気入口22に連通されている。また、火炉ケース56下面板の左側部位は、開放されている。
【0044】
機体12の前面下部には、火炉ケース56直下の左側部分において、直方体箱状のバーナケース58が設けられている。バーナケース58の上面板は、部分的に開放されており、バーナケース58内は、火炉ケース56内に連通されている。また、バーナケース58内には、熱風生成手段としてのバーナ60が設けられている。
【0045】
機体12の後面下部には、直方体箱状の送風機取付台62が設けられており、送風機取付台62内は、上記各排風路40に連通されている。送風機取付台62の後面には、送風機64の前端が取り付けられており、送風機64の後端には、可撓性を有する排風ダクト66の一端が取り付けられている。
【0046】
これにより、送風機64が駆動されることで、常温の外気(常温風)が、外気導入口56Aから火炉ケース56内及び外気入口22を経て送風路20内に吸引流入され、更に、風胴板18、各流下路28、各排風路隔壁16、各排風路40及び送風機取付台62内を経て送風機64内に吸引送風され、かつ、排風ダクト66を経て排風される。また、各流下路28の上部を送風される外気は、各導風路隔壁24及び各導風路26を通過する。
【0047】
さらに、外気導入口56Aから火炉ケース56内に導入された外気が、バーナ60によって高温に加熱された熱風(乾燥風)にされて、各流下路28へ送風されることで、各流下路28の穀物Kが乾燥される。
【0048】
機体12の前面下部には、火炉ケース56の直上において、制御手段としての操作盤68(制御装置)が設けられており、操作盤68は、穀物乾燥装置10の各駆動部に接続されている。操作盤68には、張込運転スイッチ、乾燥運転スイッチ及び排出運転スイッチ等の各種の操作スイッチ(図示省略)が設けられており、操作盤68の各種の操作スイッチが操作されることで、穀物乾燥装置10が操作盤68によって制御される。
【0049】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0050】
以上の構成の穀物乾燥装置10では、操作盤68の張込運転スイッチを操作すると、下スクリューコンベヤ44、昇降機46、上スクリューコンベヤ50及び均分機54が駆動されて、張込運転され、その後、張込ホッパ42を開放して、刈り取ってきた穀物Kを機体12内へ張り込む。機体12内へ張込まれた穀物Kは、張込流し板38によって下スクリューコンベヤ44に案内され、下スクリューコンベヤ44から昇降機46、上スクリューコンベヤ50及び均分機54を経て、穀槽14内及び各流下路28へ搬送される(貯留される)。
【0051】
操作盤68の乾燥運転スイッチを操作すると、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ44、昇降機46、上スクリューコンベヤ50、均分機54及び送風機64が駆動されると共に、バーナ60が点火されて、乾燥運転される。
【0052】
乾燥運転では、穀槽14内に貯留された穀物Kが、各流下路28、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ44、昇降機46、上スクリューコンベヤ50及び均分機54を経て穀槽14に戻され、穀物Kが穀物乾燥装置10内を循環される。さらに、送風機64の駆動により、外気導入口56Aから火炉ケース56内に吸引導入された外気からバーナ60によって熱風が生成され、この熱風が外気入口22、送風路20及び風胴板18を介して各流下路28へ吸引送風されて各流下路28の穀物Kの水分を吸収することで、穀物Kが乾燥される。穀物Kの水分を吸収した後の熱風は、各排風路隔壁16、各排風路40及び送風機取付台62内を経て送風機64内に吸引送風され、更に、排風ダクト66を経て排風される。
【0053】
操作盤68の排出運転スイッチを操作すると、シャッタドラム30、下スクリューコンベヤ44、昇降機46、上スクリューコンベヤ50及び均分機54が駆動されて、排出運転され、更に、排出弁52Aの開動により上搬送樋50A内の前端が排出管52に連通されることで、穀物Kが排出管52を介して穀物乾燥装置10から排出される。
【0054】
ところで、漏止シャッタ70のシャッタ枠72における突出板70A、制限板70B及び対向板70Cが排風路隔壁16の下端とシャッタドラム30の周壁との隙間34の下側を閉鎖しており、このため、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出することが制限されている。
【0055】
また、漏止シャッタ70が支軸74を中心として排出方向に回転操作されると、突出板70A、制限板70B及び対向板70Cが下側に回動されて、排風路隔壁16の下端とシャッタドラム30の周壁との隙間34の下側が開放されることで、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に排出されて、下スクリューコンベヤ44に流下される。このため、流下路28の下端部に穀物Kが残留することが抑制される。
【0056】
ここで、漏止シャッタ70の対向板70Cが、金属製にされて、剛性を有している。このため、対向板70Cが例えば鼠にかじられることを抑制でき、対向板70Cの損傷を抑制できる。
【0057】
さらに、漏止シャッタ70の対向板70Cがシャッタドラム30の周壁に接近されている(非接触にされている)。このため、対向板70Cがシャッタドラム30の周壁により磨耗することを抑制でき、対向板70Cのシャッタドラム30による損傷を抑制できる。
【0058】
また、漏止シャッタ70の対向板70Cが上下方向に配置されており、対向板70Cの上端及び下端がそれぞれシャッタドラム30の中心軸線Oに対し上側及び下側に配置されている。このため、対向板70Cとシャッタドラム30の周壁との最小隙間を小さくでき、漏止シャッタ70の突出板70A、制限板70B及び対向板70Cが排風路隔壁16の下端とシャッタドラム30の周壁との隙間34の下側を適切に閉鎖できて、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出することを適切に制限できる。
【0059】
さらに、上述の如く、漏止シャッタ70の対向板70Cの上端がシャッタドラム30の中心軸線Oに対し上側に配置されている。このため、流下路28からの穀物Kの荷重が漏止シャッタ70に作用することで、漏止シャッタ70が長手方向(前後方向)において下側に撓んで、対向板70Cが下側に変位した場合でも、対向板70Cのシャッタドラム30周壁への接近状態を維持できる。これにより、漏止シャッタ70の突出板70A、制限板70B及び対向板70Cによる隙間34の下側の閉鎖状態を維持でき、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出することを制限できる。
【0060】
また、漏止シャッタ70では、対向板70Cが制限板70Bに対し折り曲げられて、シャッタ枠72の上下方向における剛性が高くされている。このため、流下路28からの穀物Kの荷重により漏止シャッタ70が長手方向において下側に撓むことを抑制でき、対向板70Cのシャッタドラム30周壁への接近状態を適切に維持できて、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出することを適切に制限できる。
【0061】
さらに、漏止シャッタ70では、補強板76が、シャッタ枠72内に上下方向に架け渡されて、シャッタ枠72を上下方向において補強している。このため、流下路28からの穀物Kの荷重により漏止シャッタ70が長手方向において下側に撓むことを一層抑制でき、対向板70Cのシャッタドラム30周壁への接近状態を一層適切に維持できて、流下路28の穀物Kが隙間34から下側に漏出することを一層適切に制限できる。
【符号の説明】
【0062】
10 穀物乾燥装置
12 機体(装置本体)
30 シャッタドラム(排出体)
32A 流入室(開放室)
70 漏止シャッタ(制限体)
70C 対向板(対向部)
76 補強板(補強部)
K 穀物
図1
図2
図3