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特許7273287シートフレームおよびその製造方法ならびにシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】シートフレームおよびその製造方法ならびにシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20230508BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20230508BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B60N2/68
A47C7/40
A47C7/02 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019005688
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020111298
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 将一
(72)【発明者】
【氏名】窪田 恒行
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-051155(JP,A)
【文献】特開2014-088133(JP,A)
【文献】特表2004-520539(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029131(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/125492(WO,A1)
【文献】特開2015-160457(JP,A)
【文献】特開2007-008272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションフレームと、
シートバックフレームと、
前記シートクッションフレームまたは前記シートバックフレームに設けられた着座者からの荷重を受ける第2受圧部材と、を備えるシートフレームであって、
前記シートクッションフレームおよび前記シートバックフレームの少なくとも一部に、網状の環形状を有する環状網構造部を有し、
前記第2受圧部材は、網状の板形状を有し、
前記シートクッションフレームまたは前記シートバックフレームは、左右方向に延びるクロスメンバを有し、
前記第2受圧部材は、前記クロスメンバに接続される本体部と、前記本体部から乗員とは反対側に向けて枝分かれして延び、前記クロスメンバに接続する補強接続部を有することを特徴とするシートフレーム。
【請求項2】
前記環状網構造部は、アイソトラス構造からなることを特徴とする請求項1に記載のシートフレーム。
【請求項3】
前記環状網構造部は、複数設けられ、それぞれ、前記環形状の軸線が直線状であり、
複数の前記環状網構造部を接続する、網状ではない接続部をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシートフレーム。
【請求項4】
前記接続部は、複数の前記環状網構造部を互いに異なる向きで接続することを特徴とする請求項3に記載のシートフレーム。
【請求項5】
前記環状網構造部および前記接続部とは別の、他の部材または他の部分が、前記接続部に繋がり、前記環状網構造部には繋がっていないことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシートフレーム。
【請求項6】
前記環状網構造部と前記接続部とは一体に成形されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項7】
前記環状網構造部と前記接続部とは異なる材料からなることを特徴とする請求項6に記載のシートフレーム。
【請求項8】
前記接続部は、中空のパイプ形状を有することを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項9】
前記環状網構造部と前記接続部は、交互に配置されていることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項10】
前記シートクッションフレームまたは前記シートバックフレームに設けられた着座者からの荷重を受ける第1受圧部材をさらに備え、
前記第1受圧部材は、
リング部と、
前記リング部から延び、前記シートバックフレームまたは前記シートクッションフレームに繋がった複数の連結部材とを有することを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項11】
前記連結部材は、前記接続部に繋がっていることを特徴とする請求項10に記載のシートフレーム。
【請求項12】
少なくとも前記環状網構造部が成形後に熱処理されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項13】
第1部材と、前記第1部材に対し離脱不能に係合して前記第1部材に対して相対移動可能な第2部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のシートフレーム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のシートフレームの製造方法であって、
少なくとも前記環状網構造部を金属3次元プリンタにより成形することを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載のシートフレームの製造方法であって、前記第1部材および前記第2部材を、金属3次元プリンタにより同時に成形することを特徴とする製造方法。
【請求項16】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のシートフレームと、
前記シートフレームに被せられたパッドと、
前記パッドを覆う表皮部材とを備えることを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量かつ高剛性なシートフレームおよびその製造方法ならびにシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両のシートは、金属製のパイプを溶接等により接続してシートフレームが構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-199241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両等の乗物に用いられるシートは、軽量であるとともに、高い剛性を有することが求められる。また、乗物以外のシートにおいても、軽量かつ高剛性のシートであれば、動かしやすく、使い勝手が良い。
【0005】
そこで、本発明は、軽量かつ高剛性なシートフレームおよびその製造方法ならびにシートを提供することを目的とする。
【0006】
また、軽量かつ高剛性なシートフレームの設計または製造を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決する本発明は、シートクッションフレームと、シートバックフレームとを有するシートフレームであって、シートクッションフレームおよびシートバックフレームの少なくとも一部に、網状の環形状を有する環状網構造部を有する。
【0008】
このような構成のシートフレームによれば、網状の環形状からなる環状網構造部を少なくとも一部に有することにより、軽量でありながら高剛性にすることができる。
【0009】
前記したシートフレームにおいて、環状網構造部は、アイソトラス構造からなっていることが望ましい。
【0010】
環状網構造部にアイソトラス構造を採用することで、軽量でありながら高剛性のシートフレームにすることができる。
【0011】
前記したシートフレームにおいて、環状網構造部は、複数設けられ、それぞれ、環形状の軸線が直線状であってもよい。この場合に、複数の環状網構造部を接続する、網状ではない接続部をさらに備えることが望ましい。
【0012】
環状網構造部を、環形状の軸線が直線状、つまり、直線状のパイプ形状とすることで、環状網構造部の設計を容易にすることができる。そして、網状ではない接続部によって複数の環状網構造部を接続することで、網を構成する線状部分を容易に接続部に接続することができるので、環状網構造部同士を容易に接続することができる。
【0013】
接続部は、複数の環状網構造部を互いに異なる向きで接続してもよい。
【0014】
このような構造によれば、環状網構造部は直線状のパイプ形状とし、接続部の部分で曲がった形状を作ることができ、シートフレームの設計と製造を容易にすることができる。
【0015】
前記した接続部を有するシートフレームにおいて、環状網構造部および接続部とは別の、他の部材または他の部分が、接続部に繋がり、環状網構造部には繋がっていないのが望ましい。
【0016】
このようなシートフレームによれば、他の部材または他の部分を、環状網構造部と接続部により構成された基本構造部分に容易に繋ぐことができる。
【0017】
環状網構造部と接続部とは一体に成形されていてもよい。
【0018】
このような構成によれば環状網構造部と接続部を有してなる基本構造部分を一体的な高剛性の部材とすることができる。
【0019】
環状網構造部と接続部とは異なる材料からなっていてもよい。
【0020】
接続部は、中空のパイプ形状であってもよい。
【0021】
接続部が中空のパイプ形状であることで接続部を軽量で高剛性としながら、環状網構造部同士を容易に接続することができる。
【0022】
環状網構造部と接続部は、交互に配置されていてもよい。
【0023】
前記したシートフレームは、シートクッションフレームまたはシートバックフレームに設けられた着座者からの荷重を受ける第1受圧部材をさらに備えていてもよい。この場合、第1受圧部材は、リング部と、リング部から延び、シートバックフレームまたはシートクッションフレームに繋がった複数の連結部材とを有することができる。
【0024】
連結部材は、接続部に繋がっていてもよい。
【0025】
この構成によれば、連結部材を、環状網構造部と接続部により構成された基本構造部分に容易に繋ぐことができる。
【0026】
前記したシートフレームは、シートクッションフレームまたはシートバックフレームに設けられた着座者からの荷重を受ける第2受圧部材をさらに備えていてもよい。この場合、第2受圧部材は、網状の板形状を有していてもよい。
【0027】
第2受圧部材が網状の板形状であることで、シートクッションフレームまたはシートバックフレームを軽量な構造で補強し、高剛性にすることができる。
【0028】
前記したシートフレームにおいて、シートクッションフレームまたはシートバックフレームは、左右方向に延びるクロスメンバを有していてもよい。この場合、第2受圧部材は、クロスメンバに接続される本体部と、前記本体部から乗員とは反対側に向けて枝分かれして延び、クロスメンバに接続する補強接続部を有していてもよい。
【0029】
このように、第2受圧部材が、クロスメンバの乗員側に接続されるとともに、クロスメンバの乗員とは反対側に向けて枝分かれして延び、クロスメンバに接続する補強接続部を有することで、第2受圧部材とクロスメンバの接続を強固にすることができる。
【0030】
前記したシートフレームは、少なくとも環状網構造部が成形後に熱処理されていてもよい。
【0031】
このような構成によれば、環状網構造部をより高剛性にすることができる。
【0032】
前記したシートフレームは、第1部材と、第1部材に対し離脱不能に係合して第1部材に対して相対移動可能な第2部材と、をさらに備えることができる。
【0033】
このような構成によれば、第1部材と第2部材とを、一体の部品として管理することができ、製造時の部品管理が容易である。
【0034】
前記した各シートフレームの製造方法は、少なくとも環状網構造部を金属3次元プリンタにより成形することを特徴とする。
【0035】
このような製造方法によれば、環状網構造部を容易に製造することができる。
【0036】
前記した第1部材および第2部材を備えるシートフレームの製造方法は、第1部材および第2部材を、金属3次元プリンタにより同時に成形することが望ましい。
【0037】
このような製造方法によれば、第1部材および第2部材を一度に成形でき、組み立てる工程が不要である。
【0038】
また、前記したシートフレームと、シートフレームに被せられたパッドと、パッドを覆う表皮部材とを備えてシートを構成することもできる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、シートフレームまたはシートを軽量かつ高剛性にすることができる。また、軽量かつ高剛性なシートフレームまたはシートの設計、製造を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】シートフレームの斜視図である。
図2】シートバックを立てた状態のシートフレームの側面図(a)と、シートバックを寝かせた状態のシートフレームの側面図(b)である。
図3】シートバックフレームの分解斜視図である。
図4】ロアクロスメンバの拡大図(a)と、アイソトラス構造の拡大図(b)である。
図5】ヘッドレストガイドの縦断面図である。
図6】スライド機構の拡大断面図である。
図7】シートバックを立てた状態におけるスライド機構を後から見た斜視図(a)と、シートバックを寝かせた状態におけるスライド機構を後から見た斜視図(b)である。
図8】シートクッションフレームの分解斜視図である。
図9】シートクッションフレームを上から見た図(a)と、シートクッションフレームの中央断面図(b)である。
図10】受圧部材の固定構造の第1変形例を説明する斜視図である。
図11】受圧部材の固定構造の第1変形例の構造と組立手順を説明する図(a)~(f)である。
図12】受圧部材の固定構造の第2変形例を説明する斜視図(a)と、その拡大図(b)と、第2変形例を二連構造にした形態の図(c)である。
図13】受圧部材の固定構造の第3変形例を説明する斜視図(a)と、その組付前の拡大図(b)と、組付後の拡大図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシートSTは、シートフレームSと、シートフレームSに被せられた、ウレタンクッションなどからなるパッド2(図2参照)と、パッド2を覆う表皮部材3(図2参照)とを備えて構成されている。シートSTは、一例として、自動車の後部座席に適用される車両用シートである。
【0042】
シートフレームSは、シートクッションフレームS1と、シートクッションフレームS1の後端部に回動可能に結合されたシートバックフレームS2とを有してなる。シートクッションフレームS1およびシートバックフレームS2は、少なくとも一部に網状の環形状を有する環状網構造部を有する。本明細書でいう環状網構造部は、少なくとも1の断面において、網状の部分が環形状(網による閉断面構造)を有している構造をいうものとする。環状網構造部は、例えば、パイプ状であってもよいし、袋状であってもよい。
【0043】
シートバックフレームS2は、左右に互いに離れて配置された一対のサイドフレーム110と、一対のサイドフレーム110の上端をつなぐアッパークロスメンバ120と、一対のサイドフレーム110の下端をつなぐロアクロスメンバ130とを有して、枠状の基本構造部分が構成されている。
【0044】
シートバックフレームS2は、下半分を構成するロアフレーム10と、上半分を構成するアッパーフレーム20とから構成されている。アッパーフレーム20は、ロアフレーム10の上端部に回動可能に連結されている。具体的に、アッパーフレーム20は、ロアフレーム10に対し、図1における回動軸X10を中心に回動可能となっている。
【0045】
ロアフレーム10およびアッパーフレーム20は、それぞれ、着座者からの荷重を受ける第1受圧部材60,70が設けられている。アッパーフレーム20の第1受圧部材70には、固定レール90に対して上下にスライド移動可能に係合したスライダ80が一体に固定されている。
【0046】
シートクッションフレームS1は、後半分を構成するリアフレーム30と、前半分を構成するフロントフレーム40とから構成されている。リアフレーム30とフロントフレーム40は、左右一対のシートスライドレール50により支持されている。具体的に、シートスライドレール50は、前後に延びるロアレール51と、ロアレール51に対してスライド移動可能に係合したアッパーレール52とを有してなる。アッパーレール52は、公知のように、図示しないロック機構によってロアレール51に対して、位置をロックし、またはそのロックを解除できるようになっている。リアフレーム30およびフロントフレーム40は、ともにアッパーレール52に固定されることで、アッパーレール52とともに移動するようになっている。
【0047】
図2(a)に示すように、ロアレール51は、ブラケット53によって自動車のフロアFに固定されている。また、固定レール90は、自動車のバックパネルBに固定されている。そして、アッパーレール52をロアレール51に対して前方にスライド移動させることで、図2(a)に示したシートバックフレームS2を立てた状態から、図2(b)に示したシートバックフレームS2を寝かせた状態に変えることができるようになっている。このとき、ロアフレーム10の下端が前方に移動することでロアフレーム10が図2(a)の状態よりも水平面に対する角度が小さくなる。そして、ロアフレーム10の上端は、下に移動し、アッパーフレーム20は、ロアフレーム10に引っ張られて下に移動する。アッパーフレーム20は、スライダ80とともに下に移動し、スライダ80は、固定レール90に対して下にスライド移動する。
【0048】
次にシートバックフレームS2とシートクッションフレームS1の詳細な構造について説明する。
【0049】
図3に示すように、ロアフレーム10は、一対のサイドフレーム110の一部を構成する一対の環状網構造部12と、ロアクロスメンバ130の一部を構成する環状網構造部11とを有している。すなわち、環状網構造部11,12は、複数設けられている。環状網構造部11,12は、それぞれ、環形状の軸線X2,X3が直線状である。
【0050】
ロアフレーム10は、複数の環状網構造部11,12を接続する、網状ではない接続部の一例である屈曲パイプ13を備える。屈曲パイプ13は、一端と他端の軸線が、互いに90度をなすように屈曲した中空のパイプである。屈曲パイプ13の一端には、環状網構造部11が接続され、他端には、環状網構造部12が接続され、これにより、屈曲パイプ13は、複数の環状網構造部11,12を異なる向きで接続している。そして、複数の環状網構造部11,12を屈曲パイプ13が接続することで、環状網構造部11,12と屈曲パイプ13はこれらの長手方向に沿って交互に配置されている。環状網構造部11,12と屈曲パイプ13とは、一体に成形されている。
【0051】
環状網構造部12の上には、接続端部14と、軸支部15と、接続端部14と軸支部15を連結するトラスバー16とが設けられている。
接続端部14は、網状ではない、一端が閉じたパイプからなり、環状網構造部12の上端に接続されている。
軸支部15は、左右方向に向いた板形状の金属からなり、左右に貫通する軸支穴15Aを有している。
トラスバー16は、細い金属線で三角形を形成したトラス構造を立体的に接合することにより構成された棒である。
【0052】
ロアフレーム10は、サイドフレーム110とロアクロスメンバ130により囲まれる基本構造部分の内側に、着座者からの荷重を受ける第1受圧部材60が設けられている。
第1受圧部材60は、リング部61と、リング61部から延び、シートバックフレームS2のロアフレーム10に繋がった複数の連結部材62とを有してなる。複数の連結部材62は、接続端部14と、接続部である屈曲パイプ13に繋がり、環状網構造部11,12には繋がっていない。すなわち、環状網構造部11,12および接続部である屈曲パイプ13とは別の、他の部材または他の部分である連結部材62は、環状網構造部11,12を避けて屈曲パイプ13と接続端部14に繋がっている。これにより、連結部材62を、環状網構造部11,12と屈曲パイプ13により構成された基本構造部分に容易に繋ぐことができる。
【0053】
環状網構造部11は、中央部11Aと、中央部11Aの右側に配置された右側部11Bと、中央部11Aの左側に配置された左側部11Cとを含んでなる。中央部11Aと右側部11Bとは、下方に延びる接続バー17により接続されている。中央部11Aと左側部11Cとは、下方に延びる他の接続バー17により接続されている。
【0054】
接続バー17は、下端部に、左右に貫通する軸支穴17Aを有している(図4(a)も参照)。
【0055】
ロアフレーム10を構成する各部分は、第1受圧部材60を含めて、すべて同じ金属材料により形成されている。そして、全体が、金属3次元プリンタにより一体に成形されている。このため、複雑な形状であっても、容易に製造することができる。特に、少なくとも環状網構造部11,12を金属3次元プリンタにより成形することで環状網構造部11,12を容易に製造することができる。例えば、環状網構造部11,12を、金属3次元プリンタにより成形し、他の部分は、それぞれ別に成形し、環状網構造部11,12と他の部分とを溶接等により接合してもよい。
【0056】
環状網構造部11,12は、ともに、アイソトラス構造からなる。ここで、アイソトラス構造について、図4(b)に拡大して示した環状網構造部11を代表させて説明する。
図4(b)に示すように、アイソトラス構造は、細い金属線で三角形を形成したトラス構造を立体的に接合することにより構成されている。詳しくは、アイソトラス構造は、軸方向線111と、クロス線112と、ピラミッドトラス113とを有してなる。
軸方向線111は、環形状の軸線X2が延びる軸方向に延びる金属線である。軸方向線111は、環状網構造部11の周方向に複数本、等間隔で並んで配置されている。軸方向線111の本数は任意であるが、ここでは、一例として8本配置されている。
【0057】
クロス線112は、X字状にクロスした金属線からなり、隣接する軸方向線111を接続している。クロス線112の金属線の各端部は、隣接する軸方向線111にそれぞれ接続されている。X字状のクロス線112は、軸方向に所定間隔離間して複数配列している。
【0058】
ピラミッドトラス113は、ピラミッド(四角錘)の頂点に集まる4本の稜線の位置に細い線が配置されたトラス構造である。ピラミッドトラス113は、隣接する軸方向線111を接続している。また、ピラミッドトラス113は、軸方向において、隣接するクロス線112の間に配置されている。ピラミッドトラス113は、環状網構造部11,12の径方向外側に突出するように配置され、各脚が、軸方向線111とクロス線112の接続点に接続されている。
【0059】
このようなアイソトラス構造を採用することで、軽量でありながら、軸方向にも曲げ方向にも高い剛性のロアフレーム10とすることができる。
【0060】
図3に戻り、アッパーフレーム20は、一対のサイドフレーム110の一部を構成する一対の環状網構造部21と、一対のヘッドレストガイド22と、屈曲パイプ23と、接続バー24と、接続端部25と、軸支部26と、トラスバー27とを有して構成されている。アッパーフレーム20も、ロアフレーム10と同様に、全体が金属3次元プリンタにより成形されている。
【0061】
環状網構造部21は、ロアフレーム10の環状網構造部11,12と同様のアイソトラス構造からなる。環状網構造部21は、環形状の軸線X4が直線状である。
【0062】
ヘッドレストガイド22は、矩形のパイプからなる。図5の断面図に示すように、ヘッドレストガイド22は、前面壁22Fに3つの矩形の孔22Aが形成され、後面壁22Rの、孔22Aとずれた位置に孔22Bおよび切欠き22Cが形成されている。
図3に戻り、一対のヘッドレストガイド22は、X字状の金属線22Xにより接続されている。
【0063】
屈曲パイプ23は、一端と他端の軸線が、互いに90度をなすように屈曲した中空のパイプである。屈曲パイプ23の一端には、環状網構造部21が接続されている。屈曲パイプ23の他端は、左右方向内側を向き、閉じている。
【0064】
接続バー24は、複数の金属線、例えば3本の金属線からなり、各金属線の一端が屈曲パイプ23の他端(左右内側の端部)に接続され、各金属線の他端がヘッドレストガイド22に接続されている。
【0065】
接続端部25は、網状ではない、一端が閉じたパイプからなり、環状網構造部21の下端に接続されている。
軸支部26は、左右方向に向いた板形状の金属からなり、左右に貫通する軸支穴26Aを有している。軸支部26は、接続端部25の下方に配置されている。
トラスバー27は、細い金属線で三角形を形成したトラス構造を立体的に接合することにより構成された棒である。トラスバー27は、接続端部25と軸支部26を連結している。
【0066】
アッパーフレーム20は、サイドフレーム110とアッパークロスメンバ120により囲まれる基本構造部分の内側に、着座者からの荷重を受ける第1受圧部材70が設けられている。
【0067】
第1受圧部材70は、リング部71と、リング71部から延び、シートバックフレームS2のアッパーフレーム20に繋がった複数の連結部材72とを有してなる。リング部71と各屈曲パイプ23とは、それぞれ2本の連結部材72により連結されている。接続端部25とリング部71とは、それぞれ1本の連結部材72により連結されている。軸支部26とリング部71とは、それぞれ1本の連結部材72により連結されている。X字状の金属線22Xとリング部71とは、1本の連結部材72により連結されている。
連結部材72は、環状網構造部21を避けた、網状でない部分に接続されることにより、連結部材72を、環状網構造部21と屈曲パイプ23等により構成された基本構造部分に容易に繋ぐことができる。
【0068】
図6に示すように、スライダ80は、本体部81と、本体部81から後に突出した、上下に延びる係合部82を有している。係合部82は、左右の各側面82Aが山形に突出している。
【0069】
固定レール90は、左右の端部に、上下に延びる一対のレールバー91を有している。固定レール90は、第1部材の一例である。一対のレールバー91は、左右に離間して配置され、互いに対抗する面にV字状の溝92が形成されている。溝92の形状は、係合部82の各側面82Aの形状に対応し、一対の溝92の間に係合部82が係合している。これにより、スライダ80は、係合部82がレールバー91と摺動して、図7(a)に示す、固定レール90の上部に位置する状態と、図7(b)に示す、固定レール90の下部に位置する状態との間で、固定レール90に対して上下にスライド移動できるようになっている。なお、スライダ80は、第2部材の一例である。
一対のレールバー91の上端および下端には、スライダ80の係合部82が外れるのを防止する壁93(図6参照)が設けられている。このため、スライダ80は、固定レール90に対し離脱不能に係合して固定レール90に対して相対移動可能である。固定レール90とスライダ80とは、互いに離脱不能なので、一体の部品として管理することができ、製造時の部品管理が容易である。
【0070】
アッパーフレーム20を構成する各部分は、第1受圧部材70、スライダ80および固定レール90を含めて、すべて同じ金属材料により形成されている。そして、全体が、金属3次元プリンタにより一体に成形されている。つまり、スライダ80と固定レール90とは、金属3次元プリンタにより同時に成形されている。このため、複雑な形状であっても、容易に製造することができる。また、固定レール90およびスライダ80を一度に成形でき、これらを互いに組み立てる工程が不要である。
特に、少なくとも環状網構造部21を金属3次元プリンタにより成形することで環状網構造部21を容易に製造することができる。例えば、環状網構造部21を、金属3次元プリンタにより成形し、他の部分は、それぞれ別に成形し、環状網構造部21と他の部分とを溶接等により接合してもよい。
【0071】
また、ヘッドレストガイド22の前面壁22Fと後面壁22Rとに、互い違いに孔22A,22Bが配置されていることにより、例えば、アッパーフレーム20を金属3次元プリンタにより後側の部分から前側の部分へ向けて順に積層して成形する場合、孔22Bや切欠き22Cを通す形で前面壁22Fを支持するサポート材22Sを成形して、このサポート材22Sにより前面壁22Fを支えることができる。
【0072】
図8に示すように、シートクッションフレームS1のリアフレーム30は、一対のサイドフレーム31と、リアクロスメンバ32と、フロントクロスメンバ33と、第2受圧部材35と、一対の接続バー37とを備えて構成されている。
【0073】
一対のサイドフレーム31は、互いに左右に離間して配置されている。各サイドフレーム31には、左右内側に突出する固定部31Aが設けられている。固定部31Aには、上下に貫通する孔31Bが形成されている。固定部31Aは、図9(a)に示すように、各サイドフレーム31に、前後に離れて2つずつ配置されている。サイドフレーム31は、各固定部31Aにおいて、孔31Bにボルトを通すなどしてアッパーレール52に固定されている。
【0074】
図8に戻り、リアクロスメンバ32は、左右方向に延びるクロスメンバの一例であり、一対のサイドフレーム31の後端部を連結している。リアクロスメンバ32は、環状網構造部11と同様のアイソトラス構造からなる中央部32Aと、右側部32Bと、左側部32Cとを有している。中央部32Aと右側部32Bとは、上方に延びる網状ではない接続バー37により接続されている。中央部32Aと左側部32Cとは、上方に延びる網状ではない他の接続バー37により接続されている。
【0075】
フロントクロスメンバ33は、左右方向に延びるクロスメンバの一例であり、一対のサイドフレーム31の前端部を連結している。フロントクロスメンバ33は、環状網構造部11と同様のアイソトラス構造からなる左右に長い本体部33Aと、右側部33Bとを有している。本体部33Aと右側部33Bとは、網状ではない接続ブロック33Xにより接続されている。
【0076】
第2受圧部材35は、着座者からの荷重を受ける部材である。第2受圧部材35は、前後および左右に並ぶ複数の貫通孔35Aを有していることで網状の板形状を有している。第2受圧部材35は、前後に長く延び、リアクロスメンバ32とフロントクロスメンバ33のそれぞれに接続され、リアクロスメンバ32とフロントクロスメンバ33に架け渡されている。
【0077】
図9(b)に示すように、第2受圧部材35は、本体部35Bと、フロント補強接続部35Dと、リア補強接続部35Fとを有して構成されている。本体部35Bは、第2受圧部材35の上面を構成し、フロントクロスメンバ33の乗員側に接続されるとともに、リアクロスメンバ32の乗員側に接続されている。フロント補強接続部35Dは、本体部35Bの前部から、乗員とは反対側に枝分かれして延び、フロントクロスメンバ33に接続している。リア補強接続部35Fは、本体部35Bの後部から、乗員とは反対側に枝分かれして延び、リアクロスメンバ32に接続している。フロント補強接続部35Dおよびリア補強接続部35Fは、補強接続部の一例である。
【0078】
図8に戻り、接続バー37は、上端部に、左右に貫通する軸支穴37Aを有している。一対の接続バー37は、2つのX字状の金属線37Xにより互いに接続されている。
【0079】
接続バー37の軸支穴37Aと、ロアフレーム10の接続バー17の軸支穴17Aには、図示しない軸が通されており、これにより、シートクッションフレームS1のリアフレーム30に対してシートバックフレームS2のロアフレーム10が回動可能となっている。
【0080】
リアフレーム30は、サイドフレーム31、リアクロスメンバ32、フロントクロスメンバ33、第2受圧部材35および接続バー37が、すべて、金属3次元プリンタにより同じ金属材料により一体に成形されている。
【0081】
シートクッションフレームS1のフロントフレーム40は、一対のサイドフレーム41と、リアクロスメンバ42と、フロントクロスメンバ43と、第2受圧部材45とを備えて構成されている。
【0082】
一対のサイドフレーム41は、互いに左右に離間して配置されている。各サイドフレーム41には、左右内側に突出する固定部41Aが設けられている。固定部41Aには、上下に貫通する孔41Bが形成されている。固定部41Aは、図9(a)に示すように、各サイドフレーム41に、前後に離れて2つずつ配置されている。サイドフレーム41は、各固定部41Aにおいて、孔41Bにボルトを通すなどしてアッパーレール52に固定されている。
【0083】
図8に戻り、リアクロスメンバ42は、左右方向に延びるクロスメンバの一例であり、一対のサイドフレーム41の後端部を連結している。リアクロスメンバ42は、環状網構造部11と同様のアイソトラス構造の環状網構造部からなる本体部42Aと、右上がりに傾斜した傾斜部42Bと、右側部42Cとを有している。本体部42A、傾斜部42B,右側部42Cは、環形状の軸線が直線状である。本体部42Aと傾斜部42Bとは、網状ではない接続部の一例としての接続パイプ42Xにより接続されている。傾斜部42Bと右側部42Cとは、網状ではない接続部の一例としての接続パイプ42Yにより接続されている。これにより、リアクロスメンバ42は、環状網構造部と網状ではない接続パイプ42X,42Yがこれらの長手方向に沿って交互に配置されている。リアクロスメンバ42の各環状網構造部と接続パイプ42X,42Yとは、一体に成形されている。
【0084】
フロントクロスメンバ43は、左右方向に延びるクロスメンバの一例であり、一対のサイドフレーム41の前端部を連結している。フロントクロスメンバ43は、環状網構造部11と同様のアイソトラス構造の環状網構造部からなる本体部43Aと、右上がりに傾斜した傾斜部43Bと、右側部43Cとを有している。本体部43A、傾斜部43B,右側部43Cは、環形状の軸線が直線状である。本体部43Aと傾斜部43Bとは、網状ではない接続部の一例としての接続パイプ43Xにより接続されている。傾斜部43Bと右側部43Cとは、網状ではない接続部の一例としての接続パイプ43Yにより接続されている。これにより、フロントクロスメンバ43は、環状網構造部と網状ではない接続パイプ43X,43Yがこれらの長手方向に沿って交互に配置されている。フロントクロスメンバ43の各環状網構造部と接続パイプ43X,43Yとは、一体に成形されている。
【0085】
第2受圧部材45は、着座者からの荷重を受ける部材である。第2受圧部材45は、三角形または四角形の複数の貫通孔45Aを有していることで網状の板形状を有している。第2受圧部材45は、左右に長く延び、リアクロスメンバ42とフロントクロスメンバ43のそれぞれに接続され、リアクロスメンバ42とフロントクロスメンバ43に架け渡されている。
【0086】
フロントフレーム40は、サイドフレーム41、リアクロスメンバ42、フロントクロスメンバ43および第2受圧部材45が、すべて、金属3次元プリンタにより同じ金属材料により一体に成形されている。
【0087】
以上のような構成のシートフレームSによれば、次のような効果を奏することができる。
環形状からなる環状網構造部(環状網構造部11,12,21、リアクロスメンバ32,42、フロントクロスメンバ33,43)を一部に有することにより、軽量でありながら高剛性にすることができる。特に、環状網構造部にアイソトラス構造を採用することで、シートフレームSを軽量でありながら高剛性にすることができる。
【0088】
環状網構造部11,12を、環形状の軸線が直線状、つまり、直線状のパイプ形状とすることで、環状網構造部11,12の設計を容易にすることができる。そして、網状ではない屈曲パイプ13によって複数の環状網構造部11,12を接続することで、網を構成する線状部分を容易に屈曲パイプ13に接続することができるので、環状網構造部11,12同士を容易に接続することができる。
【0089】
そして、接続部を曲がった屈曲パイプ13とすることで、環状網構造部11,12は直線状のパイプ形状とし、屈曲パイプ13の部分で曲がった形状を作ることができるため、シートフレームSの設計と製造を容易にすることができる。
【0090】
さらに、環状網構造部11,12を避けて、連結部材62を屈曲パイプ13や接続端部14に接続することで、容易に連結部材62をシートバックフレームS2の基本構造部分に繋ぐことができる。
【0091】
また、環状網構造部11,12を屈曲パイプ13と一体に成形することで、環状網構造部11,12と屈曲パイプ13を有してなる基本構造部分を一体的な高剛性の部材とすることができる。同様に、リアクロスメンバ32の各部(中央部32A、右側部32B、左側部32C)および接続バー37を一体に成形し、フロントクロスメンバ33の各部(本体部33A、右側部33B、接続ブロック33X)を一体に成形することで、リアフレーム30を一体的な高剛性の部材とすることができる。フロントフレーム40についても同様、環状網構造部と接続部を一体に成形することで、一体的な高剛性の部材とすることができる。
【0092】
また、屈曲パイプ13、接続パイプ42X,42Y,43X,43Yが中空のパイプ形状であることで接続部を軽量で高剛性としながら、環状網構造部同士を容易に接続することができる。
【0093】
また、第2受圧部材35,45が網状の板形状であることで、シートクッションフレームSを軽量な構造で補強し、高剛性にすることができる。
【0094】
また、第2受圧部材35が、リアクロスメンバ32の乗員側に接続されるとともに、リアクロスメンバ32の乗員とは反対側に向けて枝分かれして延び、リアクロスメンバ32に接続するリア補強接続部35Fを有することで、第2受圧部材35とリアクロスメンバ32の接続を強固にすることができる。
同様に、第2受圧部材35が、フロントクロスメンバ33の乗員側に接続されるとともに、フロントクロスメンバ33の乗員とは反対側に向けて枝分かれして延び、フロントクロスメンバ33に接続するフロント補強接続部35Dを有することで、第2受圧部材35とフロントクロスメンバ33の接続を強固にすることができる。
すなわち、第2受圧部材35は、一部が上下に分かれた2層構造となっており、これにより、高い剛性を有している。
【0095】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。
【0096】
例えば、前記実施形態において、シートバックフレームS2のロアフレーム10、アッパーフレーム20、シートクッションフレームS1のリアフレーム30、フロントフレーム40は、それぞれ、同一材料により一体に成形されていたが、一部を異なる材料から構成してもよい。例えば、金属3次元プリンタにより一体に成形する場合においても、環状網構造部と接続部とは異なる材料からなっていてもよい。これにより、部分ごとに適切な材料を選択することができる。例えば、環状網構造部をアルミニウム合金とし、接続部を鋼材とすることで、剛性を確保しつつ、さらに軽量化することができる。
【0097】
また、シートフレームSは、少なくとも環状網構造部が成形後に熱処理されていてもよい。環状網構造部に熱処理をすることにより、例えば、組織を微細化して環状網構造部をより高剛性にすることができる。
【0098】
前記実施形態においては、リング部を有する第1受圧部材をシートバックフレームに設けていたが、シートクッションフレームに設けてもよい。また、網状の板形状の第2受圧部材をシートクッションフレームに設けていたが、シートバックフレームに設けてもよい。
【0099】
また、前記実施形態においては、連結部材62,72を、シートバックフレームSの基本構造部分に一体に成形することで連結していたが、組立により連結してもよい。図10から図13は、この連結方法の変形例を説明する図である。なお、この連結方法自体は、環状網構造部を有さないシートフレームにも適用可能であるので、図においては、環状網構造部を有さないシートフレームを示している。
【0100】
図10に示すように、受圧部材の固定構造の第1変形例では、シートバックフレームSBに連結部材72を連結するために、連結部材72の先端にヒンジ式の組付部材260を用いることができる。なお、シートバックフレームSBのパイプフレーム200は、左右のサイドフレーム220と、サイドフレーム220の上端同士を繋ぐアッパークロスメンバ210とを有してU字形状を有している。パイプフレーム200は、網状ではなく、一本のパイプをU字形に屈曲してなる。サイドフレーム220の下端には、接続端部部材250が接続されている。接続端部部材250は、一方のサイドフレーム220の端部を切断して示したように、パイプフレーム200の内径に対応した円形の突起251を有しており、突起251をサイドフレーム220の下端に圧入することでパイプフレーム200に組付けられている。
【0101】
図11(a)に示すように、組付部材260は、固定部261と可動部262とを有してなる。
固定部261は、パイプフレーム200(アッパークロスメンバ210)の外形に対応した半円形の溝261Gを有する本体部261Aと、本体部261Aの、溝261Gの一方側に設けられたヒンジ受け部261Bと、溝261Gの他方側に設けられたロック部261Dとを有している。ヒンジ受け部261Bは、穴261Cを有している。ロック部261Dは、半円柱形状の軸部261Eと、軸部261Eの先端に設けられた、軸部261Eよりも拡径した半楕円形状の係合部261Fを有している。
【0102】
可動部262は、パイプフレーム200(アッパークロスメンバ210)の外形に対応した半円形の溝262Gを有する本体部262Aと、本体部262Aの、溝262Gの一方側に設けられたヒンジ部262Bと、溝262Gの他方側に設けられたロック部262Dとを有している。ヒンジ部262Bは、穴261Cに対応した円柱形状の軸部262Cを有している。ロック部262Dは、半円柱形状の軸部262Eと、軸部262Eの先端に設けられた、軸部262Eよりも拡径した半楕円形状の係合部262Fを有している。
【0103】
組付部材260をパイプフレーム200(アッパークロスメンバ210)に組み付ける場合、まず、図11(a)のように、固定部261の溝261Gにパイプフレーム200の外周に合わせる。そして、図11(b)のように、軸部262Cを穴261Cに挿入する。さらに、図11(c)のように、可動部262を回動させて溝262Gをパイプフレーム200に合わせる。
【0104】
すると、図11(d)のように、軸部261Eと軸部262Eが合わさって円柱形状となり、係合部261Fと係合部262Fが合わさって楕円形状となる。この合わさって楕円形状となった係合部261F,262Fを、図11(e)のように、ロック板263に形成された楕円形状の貫通孔263Aに通す。そして、ロック板263を90度回転させることで、図11(f)のように楕円形状の貫通孔263Aの長軸と係合部261F,262Fの長軸が直交してロック板263が外れなくなり、可動部262も固定部261から動かなくなる。このようにして、組付部材260をパイプフレーム200に組み付けることができる。
【0105】
図12(a)に示すように、受圧部材の固定構造の第2変形例では、シートバックフレームSBに連結部材72を連結するために、連結部材72の先端にC字形の組付部材360を用いることができる。
【0106】
図12(b)に示すように、組付部材360は、一定のC字断面の形状を有し、スリット365を有している。組付部材360のスリット365側の各先端は、外側に行くにつれ互いに広がるテーパー面361を有している。組付部材360は、可撓性を有する材料から構成され、スリット365がパイプフレーム200の直径程度に弾性的に広がることができるようになっている。
このため、テーパー面361をパイプフレーム200に押し付けることで、組付部材360が弾性的に広がって、組付部材360をパイプフレーム200の外周に合わせることができるようになっている。
【0107】
第2変形例の組付部材は、図12(c)に示す組付部材360Bのように、2つのC字形状の本体部362Bを連結部363Cにより連結して、二連構造にすることもできる。このようにすれば、よりしっかりと組付部材360Bをパイプフレーム200に組み付けることができる。
【0108】
図13(a)に示すように、受圧部材の固定構造の第3変形例では、シートバックフレームSBに連結部材72を連結するために、連結部材72の先端にカシメ式の組付部材460を用いることができる。
【0109】
図13(b)に示すように、組付部材460は、組付前において、半円形の溝461Gを有する本体部461と、本体部461から延びる2つの変形壁462を有して構成されている。2つの変形壁462は、互いに平行である。また、変形壁462の先端には、突起462Aと、溝462Bが形成されている。一方の変形壁462の突起462Aは、溝461Gの軸方向において、他方の変形壁462の溝462Bと対応した位置に位置している。
【0110】
このような組付部材460をパイプフレーム200に組み付ける場合、まず、半円形の溝461Gにパイプフレーム200の外周を合わせる。そして、半円形状の溝465Gを有するカシメ冶具465を用意し、溝465Gを2つの変形壁462に対し、変形壁462の先端側から押し付ける。すると、図13(c)に示すように、変形壁462が半円筒形に変形し、パイプフレーム200に抱き付いて固定される。この時、変形壁462の先端の突起462Aと溝462Bが係合して、組付部材460が強固にパイプフレーム200に固定される。
【0111】
以上に説明した変形例に限らず、本発明は、本発明の趣旨に反しない限り、適宜な形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、後部座席の車両用シートに適用される場合について説明したが、本発明のシートフレームおよびシートは、車両の前部座席に適用してもよいし、車両以外の乗物用シートに適用してもよい。また、乗物以外のシート、例えば、一般家庭や福祉施設に設置されるシートであってもよい。
【0112】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
2 パッド
3 表皮部材
10 ロアフレーム
11,12 環状網構造部
13 屈曲パイプ
20 アッパーフレーム
21 環状網構造部
30 リアフレーム
31 サイドフレーム
32 リアクロスメンバ
33 フロントクロスメンバ
35 第2受圧部材
35D フロント補強接続部
35F リア補強接続部
40 フロントフレーム
41 サイドフレーム
42 リアクロスメンバ
43 フロントクロスメンバ
45 第2受圧部材
60 第1受圧部材
61 リング部
62 連結部材
70 第1受圧部材
71 リング部
72 連結部材
80 スライダ
90 固定レール
S シートフレーム
S1 シートクッションフレーム
S2 シートバックフレーム
ST シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13