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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ウオーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019048255
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020147348
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】515163472
【氏名又は名称】有限会社nendo
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-053229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの水を給水栓から供給するウオーターサーバーにおいて、
上部に給水栓を備えた給水部空間の前方に、この給水部空間を開閉する扉を備え、
この扉は、
ウオーターサーバーの筐体に水平軸で、給水部空間を閉鎖する縦位置から水平位置に回動可能に取り付けられ、
扉の縦位置における内面下部に凹陥部が設けられ、この凹陥部に受け皿が着脱自在に固定され
前記受け皿は中空であり、上壁に水抜き穴が設けられた
ウオーターサーバー。
【請求項2】
受け皿は、下皿と、これに嵌合する上皿とで構成し、下皿又は上皿の周縁に立ち上がり部が設けられ、上皿又は下皿に前記立ち上がり部に嵌合する嵌合部が形成された、請求項1に記載のウオーターサーバー。
【請求項3】
受け皿の水抜き穴の位置は、扉の水平位置における給水栓の直下よりも手前側とした、請求項1又は2に記載のウオーターサーバー。
【請求項4】
扉の開閉は、筐体に設けられた給水栓の操作スイッチの表示ランプに連動し、扉の閉鎖時には表示ランプが消灯し、扉の開放時には表示ランプが点灯するようにした、請求項1ないし3の何れかに記載のウオーターサーバー。
【請求項5】
扉の開閉は、給水部空間の上部に設置された、受け皿を照射するランプに連動し、扉の閉鎖時にはランプが消灯し、扉の開放時にはランプが点灯するようにした、
請求項1ないし4の何れかに記載のウオーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウオーターサーバーに関するものであり、具体的にはウオーターサーバーの給水部の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在市場に流通しているウオーターサーバーは、給水栓の直下に器を載置する台(受け皿)が固定されたものであり、この台は面積が小さく、大きな器を置くことが難しい。
ビールサーバーにおいては、冷蔵庫本体のテーブル扉を開け冷蔵庫本体の外側から操作手段によってビールを注げるように構成するとともにテーブル扉をビールコップの載置用テーブルとして利用可能としたものが提案されている(特開2004-53229号)。この発明は、受け皿上の水の処理については配慮されていない。
また、受け皿の下方に水を貯められるようにしたものとして、特開2009-154920号の発明があるが、これは固定された受け皿に対応するものである。
【文献】特開2004-53229号公報
【文献】特開2009-154920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、上部に給水栓を備えた給水部空間の前方に、この給水部空間を開閉する扉を備えることによって、ウオーターサーバーの筐体前面の凹凸を減らしつつ、水平状態で器に給水した際に残る水が、扉を縦位置に回動したときに漏れないようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、タンクの水を給水栓から供給するウオーターサーバーにおいて、上部に給水栓を備えた給水部空間の前方に、この給水部空間を開閉する扉を備えている。
この扉は、ウオーターサーバーの筐体に水平軸で給水部空間を閉鎖する縦位置から水平位置に回動可能に取り付け、この扉に受け皿を着脱自在に固定する。この受け皿は中空であり、上壁に水抜き穴が設けてある。
【0005】
前記扉は、縦位置における内面下部に凹陥部を設け、この凹陥部に受け皿を着脱自在に固定する。
この発明で受け皿の扉への「固定」とは、扉の回動操作によって受け皿が扉から離脱しない状態にあることをいう。すなわち、受け皿を凹陥部に容易に離脱しないように密接させるほか、扉に受け皿の離脱を阻止する係止部を設けたり、両者を面ファスナーで固定する等の手法も考えられる。
【0006】
前記受け皿は、下皿又は上皿の周縁に立ち上がり部を設け、上皿又は下皿に前記立ち上がり部に嵌合する嵌合部が形成する構成することが好ましい(請求項2)。この構成により、水が貯まる中空部の清掃が容易になる。
【0007】
受け皿は、注水時に器を置く台になり、中空部に水が貯められ、扉の開閉操作において水が漏れないものであれば良い。したがって、受け皿は上下に分割せずに一体成形ものとし、水平位置における受け皿の手前側上部に排水穴を設けてもよい。
受け皿の水抜き穴の位置は、水平位置における扉の給水栓の直下よりも手前側とすることが好ましい(請求項3)。なお、水抜き穴の数は1つに限定されるものではない。
【0008】
扉の開閉は、筐体に設けられた操作スイッチの表示ランプに連動させ、扉が閉鎖時には表示ランプが消灯し、扉が開放時には表示ランプが点灯するようにすることもできる(請求項4)。また、扉の開閉は、給水部空間の上部に設置された、受け皿を照射するランプに連動させ、扉の閉鎖時にはランプが消灯し、扉の開放時にはランプが点灯するようにすることもできる(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
この発明において、上部に給水栓を備えた給水部空間の前方に、この給水部空間を開閉する扉を設けたので、給水時以外は扉を閉じておくことにより、給水栓を扉で覆うことができ、筐体外に露出しないので衛生的である。加えて、筐体の凹凸を可及的に減らすことができる。
前記扉は、ウオーターサーバーの筐体に水平軸で垂直位置から水平位置に回動可能に取り付けてあるので、受け皿を装着した扉は給水時の器の載置台として機能することができ、また扉の上下の長さを大きく取ることにより、広い面積の載置台を得ることができる。
【0010】
前記扉に、中空で上壁に水抜き穴が設けてある受け皿を装着してあるので、給水時には受け皿にカップなどの器を載置して給水し、受け皿に漏れた水は水抜き穴から中空部に落下して貯まる。そして、中空部にたまった水は、扉を垂直状態に回動しても漏れることがない。
前記受け皿は、扉の内面下部に凹陥部を設け、この凹陥部に装着すると安定する。
【0011】
請求項2の発明によれば、前記受け皿を下皿と上皿とを嵌合させて構成したので、受け皿を二分割することができ、中空部に貯まった水の排出が容易であり中空部を洗浄することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、受け皿の水抜き穴の位置を水平位置における扉の給水栓の直下よりも手前側としたので、扉の垂直位置における中空部の下部から水抜き穴までの容積を可及的に大きくすることができ、扉の移動時における不慮の水漏れを回避することができる。
【0013】
暗所での使用においては、給水栓の操作スイッチが点灯することが好ましい。しかし、常時点灯させることは無駄である。請求項4の発明によれば、扉の開閉と操作スイッチの点滅を連動させたので、操作スイッチの光源を点灯が必要な給水時(扉の開放時)のみ点灯させることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、扉の開閉は、給水部空間の上部に設置された、受け皿を照射するランプに連動させ、扉の閉鎖時にはランプが消灯し、扉の開放時にはランプが点灯するようにしたので、暗所での使用においても器を正しい位置にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明実施例の扉を開いた状態の斜視図。
図2】同じく扉を開いた状態の給水部空間の断面図。
図3】同じく扉と受け皿の分解斜視図。
図4】同じく受け皿の分解斜視図。
図5】同じく扉を開いた状態での水の状態を示す断面図。
図6】同じく扉を閉じた状態での水の状態を示す断面図。
図7】同じく二つの光源が点灯した状態の斜視図。
図8】同じく鍋に給水する状態の斜視図。
【実施例
【0016】
以下この発明の実施例を説明する。
【0017】
ウオーターサーバーAの上部に給水部空間1が設けてあり、下部に水容器の収納部2が設けてある。前記給水部空間1の上壁に給水栓3が設けてある。そして、前記給水部空間1には扉4が筐体5に水平な軸で取り付けられ、前記給水部空間1の前方を閉鎖する縦位置から水平位置まで回動できるようにしてある。
【0018】
前記扉4は、垂直位置における下側に凹陥部4aが設けてあり、この凹陥部4aに受け皿6が装着してある。受け皿6の周壁は凹陥部4aの内壁に密接し、前記扉4の回動において容易に離脱しないようにしてある。この受け皿6は、下皿7と上皿8とを嵌合して構成してある。すなわち、平面視長方形の下皿7の水平状態における上面四周に壁7aが設けてあり、同じく平面視長方形の上皿8の水平状態における下面四周に、前記下皿7の壁7aに嵌合する溝(図示していない)を備えた壁8aが設けてあり、前記下皿7の壁7aと上皿8の壁8aに設けられた溝が嵌合している。
【0019】
前記上皿8には水抜き穴8bが設けてあり、下皿7と上皿8との間には中空部9が形成されている。また、上皿8の上面は、前記水抜き穴8bに向けて傾斜している。なお、前記水抜き穴の前後方向の位置は、給水栓3の直下としてある。また、上皿8の先端部8cは下皿7から若干突出している。
図中符号10は筐体上面に置かれた皿であり、コーヒーなどの運搬用に使用することもできる。
【0020】
前記筐体5の正面壁において、前記給水部空間1の上方に給水栓3を操作するためのスイッチ11が二つ配設してあり、このスイッチ11に光源が装着してある。この光源は、扉4の閉鎖状態(垂直位置)では消灯し、開放状態(水平位置)で点灯するように回路が構成してある。
【0021】
また、前記給水部空間1の上面に下方を照らす光源12が配設してあり、この光源12は、扉4の閉鎖状態(垂直位置)では消灯し、開放状態(水平位置)で点灯するように回路が構成してある。
【0022】
このウオーターサーバーAは、不使用時には扉4を垂直状態にして給水部空間1を閉鎖する。この状態において、筐体5の正面はほぼ面一となり、給水部空間の窪みは見えない。
使用時には、扉4を水平位置まで回動させ、受け皿6にカップなどの器を載せて水(湯)を注ぐ。このときに受け皿6に落ちた水Wは、水抜き穴8bを経て落下し、中空部9に貯まる。そして、中空部9は下皿7及び上皿8の四周の壁で閉塞されているので、扉4を水平位置から垂直位置に回動させたときに、中空部9に貯まった水Wが漏れることはない(図5図6参照)。
【0023】
受け皿6の清掃手順は以下のとおりである。
上皿8の突出した先端部8cを持ち上げて受け皿6を傾け、ついで受け皿6を扉4から取り出す。その後、受け皿6を下皿7と上皿8とに分解し、中空部9に貯まった水を排出し、中空部の内壁を清掃する。
【0024】
このウオーターサーバーによれば、扉4の面積と同等の面積の器の載置台を得ることができる。給水部空間の高さは通常20センチ程度であるから、奥行き25センチ程度の載置台を得ることができる。したがって、載置台の奥行きが10センチ程度以下である従来のウオーターサーバーでは対応できなかった、鍋のような大きな器であっても、受け皿に載せて給水することができる(図8参照)。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、上部に給水栓を備えた給水部空間の前方に、この給水部空間を開閉する扉を備えることによって、ウオーターサーバーの筐体前面の凹凸を減らしつつ、水平状態で器に給水した際に残る水が、扉を垂直状態に回動したときに漏れないものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0026】
A ウオーターサーバー
1 給水部空間
2 水容器の収納部
3 給水栓
4 扉
4a 凹陥部
5 筐体
6 受け皿
7 下皿
7a 壁
8 上皿
8a 壁
8b 水抜き穴
8c 先端部
9 中空部
10 皿
11 スイッチ
12 光源
W 水


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8