(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】部品搬送処理装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20230508BHJP
B65G 47/84 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G01R31/26 H
B65G47/84 B
G01R31/26 J
G01R31/26 Z
(21)【出願番号】P 2019071755
(22)【出願日】2019-04-04
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501410137
【氏名又は名称】アキム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】今井 ▲しょう▼二郎
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-008652(JP,A)
【文献】特開2012-211800(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163229(WO,A1)
【文献】特開平05-302948(JP,A)
【文献】特開2013-032940(JP,A)
【文献】特開2003-161750(JP,A)
【文献】特開2010-133716(JP,A)
【文献】特開2011-190114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
B65G 47/84
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品保持機構によって複数の部品を保持して、環状の搬送経路の一部に沿って、複数の前記部品を搬送するターレット型回転搬送装置と、
前記搬送経路に配置されて、前記部品を前記部品保持機構に供給する部品供給領域と、
前記搬送経路における前記部品供給領域の下流側に位置する処理領域に配置されて、前記部品に対して所定の処理を施す処理装置と、
前記処理装置に設けられて前記部品を移動させる移動機構と、
前記搬送経路における前記処理領域の下流側に配置されて、前記部品を搬出する部品搬出領域と、を備え、
前記移動機構は、
前記部品が載置される載置部を有する載置プレートと、
前記載置プレートに熱を移送する熱移送部材と、
前記熱移送部材と前記載置プレートを一体として、プレート回転軸を中心として回転させる回転駆動部と、を有
し、
前記載置部は複数設けられ、該載置部の一部に前記処理の基準部品を配置し、
前記処理装置は、前記移動機構による前記部品の移動経路上の測定領域に配置され、前記部品の対比情報と相関関係を有する出力を測定する測定部を備え、
前記測定部は、
前記基準部品の出力の測定値から逆算される前記対比情報を、該基準部品に接近して前記移動機構によって移動される前記部品の前記対比情報として参照する
ことを特徴とする部品搬送処理装置。
【請求項2】
前記載置プレートは、全体が単一温度となるように前記熱移送部材によって温度制御されることを特徴とする、
請求項1に記載の部品搬送
処理装置。
【請求項3】
複数の前記基準部品が、周方向に等間隔で載置される、
ことを特徴とする請求項1又は
請求項2に記載の部品搬送処理装置。
【請求項4】
前記処理の対象となる前記部品の近接位置に前記基準部品
を配置する、
ことを特徴とする
請求項1乃至請求項3
のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項5】
前記基準部品
は、専用部品である、
ことを特徴とする
請求項1乃至請求項4
のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項6】
前記基準部品は、
前記部品と同種の部品である、
ことを特徴とする請求項
1乃至請求項
4のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項7】
前記載置プレートには、前記処理装置の測定プローブと当接して該測定プローブを校正するための校正専用部品が配置される、
ことを特徴とする請求項
1乃至請求項
6のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項8】
前記処理装置は、
一つの前記載置プレート上の複数の前記載置部に対応する位置においてそれぞれ前記部品の出力特性を測定可能な測定手段を有する、
ことを特徴とする請求項
1乃至請求項7のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項9】
前記測定手段は、一つの前記載置プレートに
ついて複数設けられ、複数の前記載置部において同時に複数の前記部品
の特性を測定する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の部品搬送処理装置。
【請求項10】
前記処理装置
を一体的に覆うカバー部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項11】
前記カバー部材の一部は、前記部品保持機構と前記移動機構を隔てるように設けられ、
前記部品保持機構の一部が通過可能な開口を有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の部品搬送処理装置。
【請求項12】
前記カバー部材
の一部は、前記処理装置
の一部が露出するように開放可能に構成される、
ことを特徴とする請求項
10または請求項11
に記載の部品搬送処理装置。
【請求項13】
前記カバー部材の
内部に乾燥ガスが注入される、
ことを特徴とする
請求項10乃至請求項12
のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【請求項14】
前記ターレット型回転搬送装置は、前記複数の部品保持機構を互いに同期して移動させる、
ことを特徴とする請求項
1乃至請求項13のいずれかに記載の部品搬送処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な部品を処理する工程、例えば電子部品の温度特性を検査する検査工程に好適な部品搬送処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子やサーミスタ素子は、温度に対してその物性を大きく変化させるため、部品として出荷する前に、温度特性の評価、検査をすることが必要である。これらの部品は、大量に使用され、且つ、極めて小さなパッケージに実装されているため、検査装置と呼ばれる自動で特性を測定、評価する装置で検査される。
【0003】
従来、電気的性質の温度特性評価のための検査装置は、ターレット型の回転搬送装置により部品を搬送して、その経路上に測定装置を配置して順次検査をおこなっていくものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この際、ターレット側の回転搬送装置によって電子部品が回転している最中に、各電子部品は所定の温度に温度制御される。例えば、
図14に従来の部品の特性検査装置301を示す。部品315は、特に図示しない部品搬送キャリアに搭載さる。キャリアが載置されるターレットテーブル310は、ターレットテーブル回転軸312を中心として、回転駆動される。部品315は、部品供給装置325からキャリアに供給される。ターレットテーブル310が回転して、部品315を保持する部品搬送キャリアが例えば第一温度制御領域340を通過する間に、部品315の温度は所定の第一温度に安定する。そして第一温度における部品の特性、例えば電気抵抗の値が、第一測定領域335の第一測定装置によって測定される。更にターレットテーブル310が回転し、部品315を保持する部品搬送キャリアが第二温度制御領域350を通過する間に、部品315の温度は所定の第二温度に安定する。そして第二温度における部品の特性、例えば電気抵抗の値が、第二測定領域345の第二測定装置によって測定される。最後に部品315は収納ボックス330に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の特性検査装置は、搬送キャリアが、各温度制御領域を通過する間に、搬送キャリアと部品の双方の温度を安定化させる必要がある。即ち、部品の熱容量だけではなく、搬送キャリアの熱容量も加わるので、温度到達に時間がかかるという問題がある。また、特に複数の測定ポイント(温度制御領域)、すなわち例えば0℃以下の測定ポイントと、80℃測定ポイントという2点で出力特性を測る場合、それぞれの温度に安定させるまでの時間がそれぞれ異なるため、搬送装置の搬送速度は、できる限り遅い方に合わせなければならない。このため処理能力の向上には限界があった。
【0007】
また、測定温度(測定ポイント)を増やそうとすると、ターレットテーブルを大きくする必要があり、装置全体が大型化するという問題もある。
【0008】
また、例えば、処理装置において処理される部品について温度特性の評価を行う場合、各温度制御領域では、通過中に部品が設定された所定の温度に安定するものと仮定して(例えば、第一温度制御領域340を通過する間に、部品315の温度は所定の第一温度に安定すると過程して)、部品315の実測した電気抵抗の値を、当該設定温度(第一温度)における抵抗値として取得している。
【0009】
しかしながら、ターレットテーブルと部品315(部品搬送キャリア)の間の熱交換の状態によっては、部品315の温度が安定させたい所定の温度からずれてしまう場合もある。
【0010】
また、部品の小型化が進むほど、測定時に部品が周辺環境の影響(例えば、外気温、湿気、塵や埃の影響)を受け易くなるなど、処理(測定)精度が低下する恐れもある。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、単位時間あたりの処理能力が高く、処理(測定)の精度の向上が可能な部品搬送処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の部品保持機構によって複数の部品を保持して、環状の搬送経路の一部に沿って、複数の前記部品を搬送するターレット型回転搬送装置と、前記搬送経路に配置されて、前記部品を前記部品保持機構に供給する部品供給領域と、前記搬送経路における前記部品供給領域の下流側に位置する処理領域に配置されて、前記部品に対して所定の処理を施す処理装置と、前記処理装置に設けられて前記部品を移動させる移動機構と、前記搬送経路における前記処理領域の下流側に配置されて、前記部品を搬出する部品搬出領域と、を備え、前記移動機構は、前記部品が載置される載置部を有する載置プレートと、前記載置プレートに熱を移送する熱移送部材と、前記熱移送部材と前記載置プレートを一体として、プレート回転軸を中心として回転させる回転駆動部と、を有し、前記載置部は複数設けられ、該載置部の一部に前記処理の基準部品を配置し、前記処理装置は、前記移動機構による前記部品の移動経路上の測定領域に配置され、前記部品の対比情報と相関関係を有する出力を測定する測定部を備え、前記測定部は、前記基準部品の出力の測定値から逆算される前記対比情報を、該基準部品に接近して前記移動機構によって移動される前記部品の前記対比情報として参照する、ことを特徴とする部品搬送処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の部品搬送処理装置によれば、単位時間あたりの処理能力が高く、処理(例えば、測定)の精度の向上が可能な部品搬送処理装置を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品搬送処理装置の平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る部品搬送処理装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る(A)処理装置の側面図、(B)処理装置の概要図である。
【
図4】(A)処理領域に配置された温度安定化装置の平面図であり、(B)温度安定化装置の測定部の側面部分断面図であり、(C)は載置部の断面図である。
【
図5】ターレット型回転搬送装置の側面概要図である。
【
図6】ターレット型回転搬送装置の全体動作を説明する平面概要図である。
【
図7】ターレット型回転搬送装置による部品の搬送動作を説明する側面概要図である。
【
図8】本発明の実施形態を説明する載置プレートの平面図である。
【
図9】本発明の実施形態を説明する載置プレートの変形例の平面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態を説明する図であり(A)載置プレートの平面図、(B)移動中の部品の温度変化を示すグラフである。
【
図11】本発明の他の実施形態を説明する図であり、(A)処理領域の側面概要図、(B)処理領域の平面概要図、(C)同図(B)の一部拡大断面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態を説明する処理領域の平面概要図である。
【
図13】本発明の他の実施形態を説明する処理領域の平面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】
図面は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。なお、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、部の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0017】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る部品搬送処理装置1を説明する平面概要図である。本部品搬送処理装置1は、部品を搬送しつつその特性等を評価するものであり、具体的には、電子部品(例えばサーミスタ素子など)について、出力の温度依存性等を評価するために用いられる。
【0018】
本実施形態の部品搬送処理装置1は、円盤状のターレット型回転搬送装置10と、部品供給領域51と、処理装置70と、移動機構125と、部品搬出領域53を有する。
【0019】
ターレット型回転搬送装置10は、複数の部品保持機構45によって複数の部品を保持して、環状の搬送経路T(同図に破線で示す)の一部に沿って、複数の部品を搬送する。
【0020】
部品供給領域51は、搬送経路Tに配置されて部品を部品保持機構45に供給する領域であり、処理領域52は、搬送経路Tにおける部品供給領域51の下流側に位置して部品に対して所定の処理を施す処理装置70が配置される領域であり、部品搬出領域53は、搬送経路Tにおける処理領域52の下流側に配置されて、部品を搬出する領域である。
【0021】
図2は、部品搬送処理装置1の側面概要図である。ターレット型回転搬送装置10は、ターレットテーブル回転軸15を中心にして、ターレットテーブル駆動装置20によって回転駆動される。ターレット型回転搬送装置10は、自身のターレットテーブル12の周縁において、等間隔に固定配置される複数の部品保持機構45を有する。ターレット型回転搬送装置10とは独立して設けられる架台35には、昇降付勢機構40が複数設けられる。部品保持機構45は、部品供給領域51、処理領域52、部品搬出領域53(
図1参照)において、昇降付勢機構40と協働して、部品の回収(保持)、及び/又は、解放をおこなう。
【0022】
処理装置70は、部品に対して所定の処理(例えば、温度特性の測定等)を行なうものであり、移動機構125と測定部95を有する。移動機構125は、部品がそれぞれ個別に載置される載置部100を複数有する載置プレート50と、当該載置プレート50に熱を移送する熱移送部材130と、熱移送部材130と載置プレート50を一体として、回転軸(載置プレート回転軸)55を中心として回転させる回転駆動部(載置プレート回転駆動部)60と、を有する。
【0023】
制御装置25は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置などから構成され、ターレット型回転搬送装置10による部品の搬送制御、部品保持機構45による部品の解放・回収制御、部品の処理(出力測定)制御など各種制御を実行する。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。
【0024】
再び
図1を参照して、部品搬送処理装置1は、ターレット型回転搬送装置10の周方向に配置される複数(一例として12個)の部品保持機構45によって部品を保持する。ターレット型回転搬送装置10は、これら部品保持機構45を互いに同期させて周方向(例えば、
図1において反時計回りの方向)に移動させ、環状の搬送経路Tに沿って複数の部品を同時搬送する。
【0025】
これにより搬送経路T上には、部品を部品保持機構45に供給する部品供給領域51と、部品供給領域51の下流側に配置されて、部品に対して所定の処理を施す処理領域52と、処理領域52のさらに下流側に配置されて、部品を搬出する部品搬出領域53が構成される。
【0026】
部品供給領域51では、自動部品供給装置65(例えばパーツフィーダ)によって部品が供給される。ターレット型回転搬送装置10は、矢印R向きに回転駆動され、部品供給領域51で部品保持機構45に保持された部品は、反時計回りに処理領域52を経て、部品搬出領域53で搬出される。処理領域52では、例えば部品の電気抵抗値の温度特性を測定する処理などが行われる。なお、本実施形態では、複数の処理領域52が存在していることから、部品は、これらの複数の処理領域52を通過していく。
【0027】
処理領域52には、ターレット型回転搬送装置10の周方向に沿って複数の処理装置70が配置される。この例では処理装置70はそれぞれ独立して異なる処理を行うことができる。具体的には例えば、それぞれの処理装置70は、部品を処理装置70毎に異なる設定温度(付近)になるように制御(昇温または冷却)するとともに、当該設定温度における部品の温度特性を測定する。
【0028】
ここでは一例として、処理領域52に7台の処理装置70が配置される場合を示している。具体的には、第1処理領域52A~第7処理領域52Gにそれぞれ、第1処理装置70A~第7処理装置70Gが配置されている。
【0029】
例えば、処理装置70のうち、搬送経路Tの上流側に位置する第1処理領域52Aに配置された第1処理装置70Aでは、例えば、部品を25℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が25℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第1処理装置70Aによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第2処理領域52Bに搬送される。また、例えば、第1処理装置70A(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第2処理領域52Bに搬送することなく、第1処理装置70A近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
【0030】
第2処理領域52Bに配置された第2処理装置70Bでは、例えば、部品を40℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が40℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第2処理装置70Bによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第3処理領域52Cに搬送される。また、例えば、第2処理装置70B(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第3処理領域52Cに搬送することなく、第2処理装置70B近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
【0031】
第3処理領域52Cに配置された第3処理装置70Cでは、例えば、部品を65℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が65℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第3処理装置70Cによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する第4処理領域52Dに搬送される。また、例えば、第3処理装置70C(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、第4処理領域52Dに搬送することなく、第3処理装置70C近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
【0032】
第4処理領域52Dに配置された第4処理装置70Dでは、例えば、部品を80℃の設定温度(付近)まで昇温(又は冷却)するとともに、部品が80℃(付近)となる場合の電気抵抗値の出力特性が測定される。第4処理装置70Dによって出力特性が測定された部品は、部品保持機構45によって回収されて、搬送経路Tの下流に位置する部品搬出領域53に搬送される。また、例えば、第4処理装置70D(または別途設けられた不図示の判定装置)によって部品の良/不良も判定され、不良と判定された部品は、部品搬出領域53に搬送することなく、第4処理装置70D近傍に配置された回収ボックス(不図示)に排出される。
【0033】
以下、第5処理領域52E~第7処理領域52Gにおいても同様に所定の温度に設定し、同様の処理を行うことができる。なお、未使用の処理領域52(処理装置70)が存在してもよく、上述のように連続して(隣接した処理領域52)で処理を行なわなくてもよい。
【0034】
また、この例では、処理領域52内に連続して、異なる設定温度における出力特性(複数の異なる温度特性)の測定を行う処理装置70A~70Gを配置する場合を示しているが、処理の内容に応じて、温度特性の測定以外の処理を行う処理装置70が配置されてもよいし、処理装置70を周方向に沿って連続(隣接)して配置せず、同図において例えば第三処理装置70Cを配置しないなど、処理装置70を配置しない領域が存在してもよい。
【0035】
また、搬送経路T上には、適宜、例えば、部品供給領域51の下流側、処理装置70間、あるいは部品搬出領域53の上流側などに、部品保持機構45で保持した部品の姿勢を検出して調整する手段や、部品保持機構45の保持手段のクリーニング手段等が配置されてもよい。例えば、部品供給領域51から処理領域52の間を前処理領域、処理領域52から部品搬出領域53の間を後処理領域と定義できるが、前処理領域や後処理領域は、広義には、処理領域の範疇となる。
【0036】
一例を挙げると、
図1では部品供給領域51の下流側直近には、前処理領域52Sa、52Sbが配置される。前処理領域52Saには、部品保持機構45で保持した部品の姿勢を静止画又は動画等で撮影する(赤外線や照射等による検出も含む)撮像装置70Saが設けられる。また、撮像装置70Saの下流側直近の前処理領域52Sbには、姿勢調整装置70Sbが設けられる。姿勢調整装置70Sbでは、部品保持機構45によって保持される部品の向き(保持軸に対する周方向の角度)が高精度に調整されると同時に、部品の中心位置が所定の位置(保持軸と一致する位置)となるように位置決めされる。姿勢調整装置70Sbは、例えば、撮像装置70Saの撮影した画像等に基づき、部品保持機構45が保持する部品の姿勢(状態)を解析する。そして姿勢(状態)に異常がある場合には、姿勢調整装置70Sbによって一旦部品を解放して保持し直したり、部品保持機構45の保持手段を制御したりして正しい姿勢(状態)になるよう調整する。このように、部品の姿勢を移御することで、それより下流の処理装置70A~70Gにおいて、載置プレート50からの部品の取り出し(保持)や部品の収容(解放)を高精度に行なうことができる。後処理領域は特に図示しないが、例えば、部品の外観検査を行う外観検査装置等を後処理領域として配置してもよい。
【0037】
また、部品搬出領域53と部品供給領域51の間には、準備領域51Pが配置されてもよい。本実施形態では、準備領域51Pにおいて、例えば、部品保持機構45の保持手段(例えば、吸着手段)などを清掃して、次の吸着準備を行うクリーニング装置65Pが設けられる。
【0038】
なお、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sbおよびクリーニング装置65Pの配置箇所は搬送経路T上で任意であるし、これらのうち少なくともいずれかが配置されなくてもよい。
【0039】
また、図示は省略するが、搬送経路T上には、適宜、部品搬出領域53に達する以前に異常な部品を排出する排出領域および排出手段が設けられてもよい。
【0040】
また、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sbは広義としての本実施形態の処理装置70の概念に含まれる。前処理領域52Sa,52Sbも広義としての処理領域52の概念に含まれる。
【0041】
このようにして全ての出力測定を終え、且つ不良でない部品は、部品搬出領域53を通過して、適宜姿勢(周方向の向きと水平方向位置)が調整された後、供給リール5に巻かれている梱包用の樹脂テープに搬出され、部品がパッケージングされる。
【0042】
<処理装置>
次に
図3及び
図4を参照して、処理領域52に配置される処理装置70について説明する。
図3は、処理装置70の主要構成を抜き出して示す概要図であり、同図(A)は側面図であり、同図(B)は測定部95の主要構成の概要図である。また、
図4は、温度安定化装置125の概要図である。
【0043】
図3(A)に示すように、処理装置70は、部品の温度を制御するとともに、部品を環状に搬送する温度安定化装置125と、部品の出力特性を測定する測定部95を有する。
【0044】
温度安定化装置125は、部品を移動させる移動機構と、移動機構で移動させながら部品の温度を制御する温度安定化機構を兼ねている。つまり、温度安定化装置125は、部品搬送を行う移動機構と、部品に対して加熱・冷却を行う熱移送機構とを兼ねる。温度安定化装置125は、部品を収容可能な載置プレート50を備える。
【0045】
測定部95は、部品に所定の行為(ここでは出力測定行為)を行う行為部であり、測定部95は、部品170の電極120(
図3(B)参照)に電気的な接触を行う測定プローブ110と、測定プローブ110を昇降させるプローブ昇降部111と、測定プローブ110の平面方向の位置を高精度に位置調整するプローブ位置決め機構200を有する。測定プローブ110はプローブ昇降部111によって保持されており、このプローブ昇降部111を介して、プローブ位置決め機構200によって平面方向に位置調整される。結果、測定プローブ110は、プローブ昇降部111によって載置プレート50の平面に対して垂直方向(鉛直方向)昇降したり、プローブ位置決め機構200によって載置プレート50の平面方向に移動したりする。
【0046】
被測定対象の部品170が、測定領域54において、測定部95における測定プローブ110の直下まで来ると、載置プレート50の回転が止まる。その後、
図3(B)に示すように一対の測定プローブ110が降下して一対の電極120と接触する。この測定プローブ110を介して測定装置105で特性を測定した後、測定プローブ110が上昇し、載置プレート50が再び回転して、次の部品170が測定プローブ110の直下に移動する。
【0047】
図3(A)に示すように、プローブ位置決め機構200は、載置プレート50(又は載置プレート50の基準位置となる部材)と係合して、載置プレート50を基準とした相対位置と調整するプローブ位置決め用係合部210と、プローブ位置決め用係合部210を昇降させる係合部昇降機構211と、プローブ位置決め用係合部210をX-Y平面方向に微小に移動させる係合部平面移動機構201を有する。なお、係合部昇降機構211や係合部平面移動機構201による移動は、測定プローブ110(プローブ昇降部111)が部品と接触する前に、先行して行われる。具体的には、プローブ位置決め用係合部210によるプローブ位置決め孔103との係合が完了してから、測定プローブ110(プローブ昇降部111)が部品と接触する。
【0048】
係合部平面移動機構201は、床面に固定載置される測定部支持台99に対して、水平直線方向(X方向およびY方向)に移動可能となる。例えば、係合部平面移動機構201は、測定部支持台99に配置されるスライド部品202(例えば転動自在のボール状部材)と、このスライド部品202を介して測定部支持台99上に配置されて測定部支持台99に対して水平方向に移動自在な平面移動体203を有する。
【0049】
係合部昇降機構211は、平面移動体203に対して、鉛直方向に移動自在に搭載される。プローブ昇降部111は、係合部昇降機構211に対して、鉛直方向に移動自在に搭載される。測定時は、まず係合部昇降機構211によって、プローブ位置決め用係合部210を所定位置(後述するプローブ位置決め孔103)に降下させて位置決めを行なった後に、プローブ昇降部111が測定プローブ110のみを降下させる。
【0050】
図4を参照して、温度安定化装置125について説明する。同図(A)は、温度安定化装置125に備えられる載置プレート50の上面図であり、同図(B)は温度安定化装置125の断面概要図である。
【0051】
図4(A)に示すように、温度安定化装置125は、複数の部品を同時に回転移動させる移動機構であり、部品がそれぞれ個別に載置される凹部である載置部100を複数有する略円盤状の載置プレート50を備える。この載置プレート50は、後述する熱移送部材130と一体となって、載置プレート回転軸55を中心として、部品を載置した状態で回転移動する。
【0052】
載置部100は、載置プレート50の周方向に沿って、均等間隔で配置される。載置プレート50が回転することによって、載置部100が移動する環状の軌跡が、部品の移動経路となる。
【0053】
なお、載置部100(凹部)の内寸は、部品の外寸と略一致することが好ましい。このようにすると、載置部100内での部品の位置ずれが抑制される。また、載置部100に対して部品を搭載する時に、部品に高い位置精度が要求される。従って、部品の保持精度を高めるために、例えば、姿勢調整装置70Sb(
図1参照)などにより姿勢調整を行うことが望ましい。
【0054】
載置プレート50の上面に形成される部品の移動経路上には、処理装置70の測定部95が配置される測定領域54と、部品保持機構45による部品の保持または解放が行われる入出領域57が設けられる。測定領域54は、測定部95(測定プローブ110)の直下に配置される載置部1001を含む領域であり、入出領域57は例えば、部品保持機構45(部品を保持または解放する際に機能する部品保持機構45)によって部品の保持または開放を行う領域であり、保持または解放の対象となる部品が停止する載置部1017を含む。具体的に、
図4(A)に示すように、保持/解放動作を行なう部品保持機構45と最も近接する位置(その直下)に存在する載置部1017を含む領域が、入出領域58となる。また、この例では、入出領域57は測定領域54に対して載置プレート50上で180度の位置に配置される領域である。
【0055】
つまり本実施形態では、例えば時計回りに、入出領域57から測定領域54までの半周分の載置部100に配置されている部品は測定前の部品であり、これらは測定領域54に位置すると測定部95によって出力特性が測定される。一方、時計回りに、測定領域54から入出領域57までの半周分の載置部100に配置されている部品は測定済みの部品であり、これらは入出領域57に位置すると、部品保持機構45によって載置部100から取り出される。
【0056】
なお、入出領域57と測定領域54の位置は、回転移動する載置プレート50に対して固定された領域であるが、例えば部品の受け入れから測定までの時間(距離)を変更する場合などにおいて、入出領域57と測定領域54の固定位置(周方向の固定位相差)を変更可能である。例えば、位相差を180未満にすると、部品の受け入れから測定までの時間(距離)が短くなり、位相差を180より大きくすると、部品の受け入れから測定までの時間(距離)が長くなる。
【0057】
入出領域57において、載置プレート50の載置部100(1017)に載置された部品は、温度安定化装置125で回転移動している間に、所定の温度(例えば、25℃)まで制御され、測定部95において、その所定の温度における出力を測定した後、再び入出領域57に移動され、部品保持機構45(ここでは不図示)の部品保持具により回収される。載置プレート50は載置プレート回転軸55を中心として、同図(A)の例えば、時計回りに回転する。
【0058】
また、載置部100の外周には、周方向に複数のプローブ位置決め孔103が配置される。プローブ位置決め孔103は、この例では各載置部100に個々に(1対1で)対応して載置部100と同数設けられる。
【0059】
それぞれの処理装置70において、測定プローブ110を用いて部品の測定を行う場合、特に部品の小型化が進むと、測定プローブ110で接触する際に高い位置決め精度が要求される。このため、本実施形態では、
図3に示すように、測定部95は、測定プローブ110に先行して降下可能なプローブ位置決め用係合部210を備える。
【0060】
図3(A)の点線に示すように、処理装置70は、測定プローブ110の部品への接触に先立ってプローブ位置決め用係合部210を降下させ、測定領域54の、被測定対象の部品が載置された載置部100(1001)に対応するプローブ位置決め孔103に係合させる。
【0061】
このとき、プローブ位置決め用係合部210及びプローブ位置決め孔103の少なくとも一方は、テーパ形状(具体的には円錐形状)となっている。本実施形態では、プローブ位置決め用係合部210が円錐形状突起となり、プローブ位置決め孔103が、この円錐形状突起の最大外径よりも小径の正円穴となる。結果、両者が係合すると、プローブ位置決め孔103を基準として、プローブ位置決め用係合部210が同軸状態となって、自律的にセンタリング(位置調整)される。このセンタリング効果によって、係合部平面移動機構201が、水平方向(図示のX方向およびY方向)に移動して、プローブ位置決め孔103を基準として水平方向に高精度に位置決めされる。その後、係合部平面移動機構201を基準として、プローブ昇降部111が測定プローブ110を下降させて部品に接触させる。このようにすることで、測定時の高精度の位置決めが可能となる。
【0062】
なお、ここではプローブ位置決め孔103とプローブ位置決め用係合部210との係合によって水平方向に機械的に位置調整する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プローブ位置決め機構200が、不図示の撮像手段やセンサなどにより、測定プローブ110の水平方向の位置を制御してもよい。
【0063】
なお、本実施形態では、プローブ位置決め孔103の数は、載置部100の数と等しいか、それよりも多い。各々の載置部100に対応してプローブ位置決め孔103を設けることで、すべての載置部100に対して、測定プローブ110を正しく位置調整できる。
【0064】
しかし、
図4(A)の点線に示すように、プローブ位置決め孔103Fを測定領域54に固定配置しておき、測定領域54に停止する全ての載置部100に対する測定プローブ110の位置調整(センタリング)を、共通のプローブ位置決め孔103Fによって行うようにしてもよい。
【0065】
図4(B)を参照して、温度安定化装置125は、載置プレート50と、載置プレート50に対して背面(裏面)側に隣接して配置され、載置プレート50に熱を移送する熱移送部材130を備える。熱移送部材130の形状は、載置プレート50と略同型(略円盤状)であることが望ましいが、複数に分散配置されていても良い。熱移送部材130と載置プレート50は一体となって、載置プレート回転軸55を中心として、載置プレート駆動装置60により回転駆動される。なお、熱伝達効率を向上させるため、載置プレート50と熱移送部材130は、平面同士で接触していることが好ましく、間に熱伝導性シートなどを介在させても良い。従って、載置プレート50は、全体が均一(単一)の温度となるように、熱移送部材130によって温度制御される。
【0066】
熱移送部材130において、載置プレート50が隣接する側と逆側平面には、熱交換部135が設けられる。熱移送部材130は、例えば、熱伝達プレート130Aとペルチェ素子130Bを備える。なお、この熱移送部材130における熱伝達プレート130Aを温度監視し、その監視結果を利用してペルチェ素子130Bの出力を制御する。この構造によって、載置プレート50の交換を容易にする。例えば載置プレート50の温度を降下させて、常温よりも低い温度に部品を制御したい場合には、熱移送部材130の載置プレート50側が低温となり、熱交換部135側が高温になる。その場合は、熱交換部135から熱が放熱されやすいように、熱交換部135をファンで空冷したり、外部に設けられた熱交換器であるチラーから冷水を供給して水冷したりすることが望ましい。逆に載置プレート50の温度を上昇させて、部品を常温よりも高い温度に制御したい場合には、熱移送部材130の載置プレート50側が高温に、熱交換部135側が低温になる。この場合には、熱交換部135に熱水を接触させて温めることも考えられる。これらの温度制御は、温度制御装置137によって行なわれる。
【0067】
温度制御装置137は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等の記憶装置などから構成され。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。温度制御装置137は温度安定化装置125ごとに設けられても良く、制御装置25(
図1参照)と一体であっても良い。温度制御装置137による温度制御は、例えばPID制御によっておこなわれるが、一般的な周知技術なので詳細説明は省略する。
【0068】
なお、載置プレート50および熱移送部材130は交換可能に構成される。従って例えば、載置プレート50は載置部100のサイズや配置数が異なるものなどを複数種類用意し、また、熱移送部材130もその特性(仕様)が異なるものなどを複数種類用意して置くことで、処理に応じて適宜交換することができる。
【0069】
温度安定化装置125は、部品が入出領域57に搬入されてから測定部95(測定領域54/行為部)に到達するまでに必要な移動時間よりも、部品の温度が所定の温度に安定するまでの時間である温度制御時間が短い。即ち、部品が測定領域54に到達する前に、部品の温度は目標値で安定している。
【0070】
本実施形態では、一例として、全ての処理装置70において、載置プレート50のサイズ(直径)は同等であり、入出領域57に対して測定領域54が180度の位置に設定されている。つまり、複数の異なる温度に設定される複数の処理装置70(処理領域52)であっても、入出領域57と測定領域54の距離は同一となっている。このような構成であって、上述のとおり全ての処理領域52において部品が測定領域54に到達する前に、部品の温度は目標値で安定するように構成されている。
【0071】
一例として、本実施形態では、複数の処理装置70間においてそれぞれの載置プレート50は、同サイズで載置部100の数も同数且つ等速で回転する。これにより、入出領域57から測定領域54までの部品の移動経路の距離は同一となり、複数の処理装置70間においてそれぞれの載置プレート50の入出領域57(載置部100)に受け入れられた部品は、同じタイミングで測定領域54に移動する。また測定に係る時間は設定温度に寄らず略一定であり、測定後は下流の処理装置70に搬送されるために同じタイミングで再び入出領域57に移動する。
【0072】
このため、各処理領域52A~52Gに配置される各処理装置70A~70Gは、ターレット型回転搬送装置10の各々の位相(30度毎の位相)の半径方向を基準線として、すべて同じ配置関係となる。具体的には、各処理装置70の入出領域57に存在する載置部100は、対応する部品保持機構45のノズルの真下に存在し、この載置部100を基準としたターレット型回転搬送装置10の半径方向の延長線上に、処理装置80の測定領域54側の載置部100が存在する。このようにしておくと、部品搬送処理装置1の組み立て作業や、事前のセッティング作業(位置調整作業)が、複数の処理領域52A~52Gの間で同一作業とすることができ、組み立て効率やメンテナンス効率が飛躍的に高められる。
【0073】
なお、載置プレート50および熱移送部材130はそれぞれ交換可能であるため、この例に限らず、処理の内容に応じて載置プレート50のサイズ(直径)を異ならせたり、入出領域57から測定領域54(測定部95)までの距離を異ならせたりしても良い。また、
図4(C)の載置部100の断面に示すように、この載置部100が、サイズの異なる複数の部品172-1,172-2の外形に合う複数形状のポケットを有することも好ましい。このようにすると、複数種類の部品172-1,172-2について、載置プレート50を交換することなく、測定することが可能となる。
【0074】
<ターレット型回転搬送装置>
図5の側面概要図を参照して、ターレット型回転搬送装置10について説明する。
【0075】
ターレット型回転搬送装置10から独立した架台35に昇降付勢機構40が固定される。つまり、昇降付勢機構40は搬送経路T上の各処理領域52に対応して固定配置される。部品保持機構45はターレットテーブル12に固定され、ターレットテーブル12の回転運動に伴って、その位置を変える。昇降付勢機構40は、各処理領域52で一時停止する部品保持機構45と係合するのに適切な位置に設置される。本実施形態では、
図6に示すように、架台35に、各処理装置70(70A~70G,70Sa,70Sb)、自動部品供給装置65、供給リール5、クリーニング装置65Pに対応させて、12個の昇降付勢機構40(40A~40L)が固定設置される。
【0076】
具体的には昇降付勢機構40は、鉛直方向(
図5に示すZ方向)上下に往復運動し、下降した場合には、その下方に配置される部品保持機構45を付勢する。詳細な図示は省略するが、昇降付勢機構40は例えば、回転運動を行うモーターと、モーターの回転軸に係合して回転運動を直線往復運動に変換する斜板カム構造と、斜板カム構造において直線往復運動を伝達する軸部151と、軸部151の下端に形成される係合部155などを備える。軸部151は、鉛直方向上向きに弾性体(図示省略)で支持されている。これにより、モーターの回転動力によって、軸部151および係合部155が鉛直方向に往復運動自在となっている。そして、下降した係合部155が、部品保持機構45と当接して、これを押し下げる。
【0077】
なお、昇降付勢機構40の構成はこれに限らず、エアシリンダや油圧シリンダ、電磁ソレノイド等の直動動力源によって、直接、軸部151および係合部155を上下方向に駆動しても良い。
【0078】
部品を搬送するターレット型回転搬送装置10の重量的負荷は少ないほうが処理速度も上げやすく、また消費電力も少なくすむ。本実施形態の部品搬送処理装置1は、固定配置される昇降付勢機構40と、ターレット型回転搬送装置10が分割されているので、ターレット型回転搬送装置10の回転重量に、昇降付勢機構40が含まれない。結果、全体として処理速度も上げやすく、また消費電力も少なくすむ。
【0079】
部品保持機構45は、部品保持具145と、部品保持具145を鉛直方向に昇降させる保持具昇降部147と、部品保持具145の平面方向の位置を高精度に調整する部品保持具位置決め機構180とを有する。部品保持具145は、部品を載置部100から吸着保持し、また、部品を載置部100へ解放(収容)する。
【0080】
部品保持具145は、例えば、部品を吸着して保持し、あるいは吸着を解除して部品を解放可能なノズルである。具体的には、部品保持具145は中空のチューブ状(円筒状)であり、それぞれがダイヤフラムポンプ(図示省略)に接続されている。ダイヤフラムポンプは制御装置25によって制御され、部品を吸着する場合には部品保持具145内部空間を減圧し、部品を解放する場合には部品保持具145の内部空間を大気圧に戻す。
【0081】
部品保持具145は、保持具昇降部147によって鉛直方向に案内されるが、昇降付勢機構40の付勢力が付与されていない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。保持具昇降部147が、下降した昇降付勢機構40と当接して下方に付勢されると、保持具昇降部147が、部品保持具145を鉛直方向下向きに案内する。昇降付勢機構40が上昇すると、保持具昇降部147は、自ら内蔵する付勢手段(例えばバネ)によって、部品保持具145を上昇するように案内する。
【0082】
部品保持具位置決め機構180は、鉛直方向(図示Z方向)に昇降可能な部品保持具位置決め用係合部182と、部品保持具位置決め用係合部182を昇降させる係合部昇降機構181と、部品保持具位置決め用係合部182をX-Y平面方向に微小に移動させる係合部平面移動機構184を有する。
【0083】
係合部平面移動機構184は、鉛直方向においては移動不可となるターレットテーブル12に対して、水平方向(X方向および/またはY方向)に移動可能となる。例えば、係合部平面移動機構184は、ターレットテーブル12の表面(上面)に設けられたスライド部品222(例えば転動自在のボール状部材)と、このスライド部品222を介してターレットテーブル12上に配置されてターレットテーブル12に対して水平方向に移動自在な平面移動体183などにより構成される。
【0084】
係合部昇降機構181は、平面移動体183に対して鉛直方向に移動自在に搭載される。係合部昇降機構181に外力が付勢されない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。保持具昇降部147は、係合部昇降機構181に対して鉛直方向に移動自在に搭載される。保持具昇降部147に外力が付与されていない状態では、不図示の付勢手段により鉛直方向上向きに付勢されている。係合部昇降機構181における上向きの付勢力は、保持具昇降部147における上向きの付勢力と比較して小さい。従って、昇降付勢機構40によって、保持具昇降部147を下方に付勢すると、まず、係合部昇降機構181が優先的に下降して下死点で停止し、その後、停止した係合部昇降機構181に対して、保持具昇降部147が単独で下降するようになっている。
【0085】
これにより、部品保持具145は、部品保持具位置決め用係合部とは別のタイミングで独立して昇降自在となっている。
【0086】
図3(A)に示すように、載置プレート50および熱移送部材130の支持台119は、その上面であって載置プレート50とは重ならない領域(載置プレート50から露出した領域)、より詳細には、入出領域57の近傍領域に、1または複数の部品保持具位置決め孔104が配置される。この例では、部品保持具位置決め孔104は、入出領域57の載置部100に対応しており、当該載置部100の外周に1個設けられる。
【0087】
既に述べているように、各処理装置70間では部品保持機構45による部品の保持および解放を繰り返して部品を搬送する。この場合、特に部品が小型であると、部品の保持または解放の際に高い位置決め精度が要求される。また、部品をパッケージングする際にも、同様に高い位置決め精度が要求される。本実施形態では、部品保持具位置決め機構180により、部品の保持/解放時に位置決め手段を用いて高精度の位置決めを行なうことができる。
【0088】
具体的に、部品保持具145による部品の保持または解放に先立って、部品保持具位置決め用係合部182を降下させて、部品保持具位置決め孔104に係合させる。
【0089】
このとき、部品保持具位置決め用係合部182及び部品保持具位置決め孔104の少なくとも一方は、テーパ形状(具体的には円錐形状)となっている。本実施形態では、部品保持具位置決め用係合部182が円錐形状突起となり、部品保持具位置決め孔104が、この円錐形状突起の最大外径よりも小径の正円穴となる。結果、両者が係合すると、部品保持具位置決め孔104を基準として、部品保持具位置決め用係合部182が同軸状態となって、自律的にセンタリング(位置調整)される。このセンタリング効果によって、係合部平面移動機構184が、水平方向(図示のX方向およびY方向)に移動して、部品保持具位置決め孔104を基準として水平方向に高精度に位置決めされる。その後、係合部平面移動機構184を基準として、保持具昇降部147が部品保持具145を下降させて載置部100に接近させる。このようにすることで、部品の保持又は開放において、載置部100に対する部品保持具145の高精度な位置決めが実現される。
【0090】
ここでは部品保持具位置決め用係合部182と部品保持具位置決め孔104の係合によって機械的に位置調整する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、部品保持具位置決め機構180が、不図示の撮像手段やセンサなどにより、部品保持部145の水平方向の位置を制御しても良い。
【0091】
また、昇降付勢機構40では、部品の厚みが変更された場合のように、その目的や役割に応じて、昇降付勢機構40の係合部の位置や押し込み量を適宜変更可能に構成されている。
【0092】
<全体動作>
図6を参照して、ターレット型回転搬送装置10の全体動作を説明する。
図6において、ターレット型回転搬送装置10は、一例として12個の部品保持機構45(45A~45L)を備える。また、ここでは全体動作を説明するため、撮像装置70Sa、姿勢調整装置70Sb、処理装置70A~70Gを、まとめて処理装置70と称する場合が有る。
【0093】
例えば、
図6(A)では、第1昇降付勢機構40Aは第1処理領域52A上に固定され、第2昇降付勢装置40Bは第2処理領域52B上に固定され、第3昇降付勢装置40Cは第3処理領域52C上に固定され、第4昇降付勢装置40Dは第4処理領域52D上に固定され、第5昇降付勢装置40Eは第5処理領域52E上に固定され、第6昇降付勢装置40Fは第6処理領域52F上に固定され、第7昇降付勢装置40Gは第7処理領域52Gに固定され、第8昇降付勢装置40Hは部品搬出領域53上に固定され、第9昇降付勢装置40Iは準備領域51P上に固定され、第10昇降付勢装置40Jは部品供給領域51上に固定され、第11昇降付勢装置40Kは第1前処理領域52Sa、第12昇降付勢装置40Lは第2前処理領域52Sb上に固定される。
【0094】
また
図6(A)は、ターレット型回転搬送装置10が一時停止した状態を示しており、第1部品保持機構45Aが第1処理領域52A上に停止され、第2部品保持機構45Bが第2処理領域52B上に停止され、第3部品保持機構45Cが第3処理領域52C上に停止され、第4部品保持機構45Dが第4処理領域52D上に停止され、第5部品保持機構45Eが第5処理領域52E上に停止され、第6部品保持機構45Fが第6処理領域52F上に停止され、第7部品保持機構45Gが第7処理領域52G上に停止され、第8部品保持機構45Hが部品搬出領域53上に停止され、第9部品保持機構45Iが準備領域51P上に停止され、第10部品保持機構45Jが部品供給領域51上に停止され、第11部品保持機構45Kが第1前処理領域52Sa上に停止され、第12部品保持機構45Lが第2前処理領域52Sb上に停止される。
【0095】
この状態で、昇降付勢機構40A~40Lが稼働し、部品保持機構45を付勢することで、部品を上下動させながら、その目的に応じた各種動作が同時並行で実行される。
【0096】
図6(A)の状態において、各領域での動作(処理)が完了すると、ターレット型回転搬送装置10が例えば反時計回りに30度回転しながら部品を搬送し、
図6(B)に示す状態で停止する。この回転角度は、部品保持機構45A~45Lの配置角度の周方向位相差(30度)と一致する。
【0097】
その結果、第1部品保持機構45Aが第2処理領域52B上に停止され、第2部品保持機構45Bが第3処理領域52C上に停止され、第3部品保持機構45Cが第4処理領域52D上に停止され、第4部品保持機構45Dが第5処理領域52E上に停止され、第5部品保持機構45Eが第6処理領域52F上に停止され、第6部品保持機構45Fが第7処理領域52G上に停止され、第7部品保持機構45Gが部品搬出領域53上に停止され、第8部品保持機構45Hが準備領域51P上に停止され、第9部品保持機構45Iが部品供給領域51上に停止され、第10部品保持機構45Jが第1前処理領域52Sa上に停止され、第11部品保持機構45Kが第2前処理領域52Sbに停止され、第12部品保持機構45Lが第1処理領域52A上に停止される。
【0098】
そして同様にこれらの各領域で、昇降付勢機構40A~40Iが稼働することで、部品を上下動させながら、その目的に応じた各種動作が同時並行で実行される。
【0099】
図6(B)の状態において、各領域での動作(処理)が完了したら、ターレット型回転搬送装置10が更に反時計回りに30度回転しながら部品を搬送し、
図6(C)に示す状態で停止する。
【0100】
上記
図6(A)~
図6(C)の動作が繰り返されることで、部品供給領域51から部品が順次供給され、全ての部品は、各処理領域52を順番に移動しながら所望の処理が施されて、部品搬出領域53から搬出される。
【0101】
次に
図7を参照して部品保持機構45による部品の回収動作及び部品の解放動作を説明する。同図は、第1処理領域52A~第3処理領域52Cのそれぞれにおける、第1載置プレート50A~第3載置プレート50Cと、それらに配置される部品172A~172C、173A~173Cおよび、第1部品保持具145A~第3部品保持具145Cの概要を示す側面図である。
【0102】
同図において、ハッチングを付した部品172A~172Cはそれぞれ、(例えば測定済みで)移動(搬送)対象の部品であり、白抜きで示す部品173A~173Cは(例えば、測定は完了しているが)移動(搬送)対象外の部品であり、部品171は図示の載置プレート50に新たに配置される部品である。また、同図に示す期間、第1載置プレート50A~第3載置プレート50Cは部品の入出のためにその回転を停止している。
【0103】
図7(A)は、第1部品保持機構45Aの第1部品保持具145Aが、第1載置プレート50A上の入出領域57において搬送対象の部品172Aに当接した状態と、第2部品保持機構45Bの第2部品保持具145Bが、第2載置プレート50B上の入出領域57において搬送対象の部品172Bに当接した状態と、第3部品保持機構45Cの第3部品保持具145Cが、第3載置プレート50C上の入出領域57において搬送対象の部品172Cに当接した状態を示す。これらは同じタイミングで行なわれる。
【0104】
その後同図(B)に示すように、第1部品保持具145Aが部品172Aを吸着保持して上昇すると、第1載置プレート50Aの入出領域57において載置部100Aが空孔となる。
【0105】
この第1部品保持具145Aの動作と同期して第2部品保持具145Bが部品172Bを吸着保持して上昇すると、第2載置プレート50Bの入出領域57において載置部100Bが空孔となり、第1部品保持具145Aの動作と同期して第3部品保持具145Cが部品172Cを吸着保持して上昇すると、第3載置プレート50Cの入出領域57において載置部100Cが空孔となる。
【0106】
同図(C)は、ターレット型回転搬送装置10が回転(例えば、30度の回転)した状態を示す。 第1載置プレート50A上には、第12部品保持機構45Lが移動してくる。この場合、第12部品保持具145Lは、部品供給領域51(
図6参照)から新たな部品171を吸着保持して第1載置プレート50Aの入出領域57まで移動する。第1載置プレート50Aの載置部100Aは、予め、部品172Aが取り出されているので空孔となっている。
【0107】
第2載置プレート50B上には第1部品保持機構45Aが移動してくる。この場合、第1部品保持具145Aは、部品172Aを吸着保持して第2載置プレート50Bの入出領域57に移動する。第2載置プレート50Bの載置部100Bは、予め、部品172Bが取り出されているので、空孔となっている。
【0108】
第3載置プレート50Cの入出領域57には、部品172Bを吸着保持した第2部品保持具145Bが移動する。第3載置プレート50Cの載置部100Cは、予め、部品172Cが取り出されているので空孔となっている。
【0109】
その後、図(D)に示すように、各部品保持機構45は、空孔となっている載置部100に部品を解放する。具体的に、第12部品保持機構45Lの第12部品保持具145Lが、第1載置プレート50A上の入出領域57において新たな部品171を載置部100Aに解放し、第1部品保持機構45Aの第1部品保持具145Aが、第2載置プレート50B上の入出領域57において部品172Aを載置部100Bに解放し、第2部品保持機構45Bの第2部品保持具145Bが、第3載置プレート50C上の入出領域57において部品172Bを載置部100Cに解放する。
【0110】
なお、部品172(172A,172B等)を吸着保持(回収)する場合は、部品保持具145の下端と部品172を密着させる。一方、部品172(172A,172B等)を解放する場合は、部品保持具145の下端と部品172の間に静電気を発生させないことが重要であり、部品保持具145の下端によって部品172を載置部100に押し付けないことが、静電気の抑制に効果的である。
【0111】
つまり、昇降付勢機構40の下降ストロークを制御することで、載置部100の部品を吸着(回収)する場合と、載置部100に部品を解放する場合とで、部品保持具145の下端部(保持端)の下死点位置を異ならせるように制御している。
【0112】
図7(D)の後、第1載置プレート50A,第2載置プレート50Bおよび第3載置プレート50Cは回転を開始(再開)する。第1載置プレート50Aの載置部100Aに収容された新たな部品171は、第1載置プレート50Aの回転に伴い、その温度が第1載置プレート50Aの設定温度(例えば25℃)に制御される。
【0113】
同様に、第2載置プレート50Bの載置部100Bに収容された部品172Aは、第2載置プレート50Bの回転に伴い、その温度が第2載置プレート50Bの設定温度(例えば40℃)に制御される。
【0114】
同様に、第3載置プレート50Cの載置部100Cに収容された部品172Bは、第3載置プレート50Cの回転に伴い、その温度が第3載置プレート50Cの設定温度(例えば65℃)に制御される。
【0115】
このように、本実施形態の部品保持機構45は、載置プレート50上への部品の解放と、載置プレート50上からの部品の回収を略同時に行う。なお、特に図示しないが、
図7(D)の状態において、第1載置プレート50A,第2載置プレート50Bおよび第3載置プレート50Cの所定角度の回転を完了すると、測定(処理)完了済みの部品が、第12部品保持具145Lが、第1部品保持具145Aが、第2部品保持具145Bの直下に位置決めされ、
図7(A)と同様の状態となって、部品の搬出が繰り返される。
【0116】
従来の部品搬送処理装置では、ターレット型回転搬送装置によって搬送中の部品を一時停止させ、その姿勢状態まま、各部品に直接的に処理(所定行為)をおこなっていた。そのため、ターレット型回転搬送装置10による搬送速度が、各処理領域の処理速度(所定行為の速度)に律速されていた。一方、本部品搬送処理装置1によれば、ターレット型回転搬送装置10の部品保持機構45から受け取った部品を、処理装置70が更に独立して移送して、所定の行為(出力特性の測定)を行う。結果、処理装置70における処理時間と、ターレット型回転搬送装置10の搬送速度を独立して設定できる。具体的には、載置部100に置かれた部品について温度特性の評価を行う場合、部品の熱容量のために所定の温度で安定するまで時間がかかるが、処理装置70内の入出領域57から測定領域(行為部)54までの移動経路を十分に確保することで、十分な時間によって各部品の温度の安定を図ることができる。それにも拘わらず、部品搬送処理装置1全体の搬送速度の低下は招かないで済む。更に、従来の部品搬送処理装置では、部品を搬送する搬送キャリアを、複数の温度調整領域の間で移動させていたので、全体の熱容量が大きく、温度が安定するために時間を要していたが、本実施形態では、予め、目標温度に温度制御されている載置プレート50に対して、部品を直接載置するので、短い時間(短い経路)で目標温度に到達する。例えば、体積が8cm3以下小型部品の場合、特に、1cm3以下の小型部品や、27mm3以下の小型部品、更には4mm3以下の超小型部品の場合、従来の搬送キャリアタイプでは温度到達時間が40秒~60秒必要となるのに対し、本実施形態では、5秒以下(例えば2秒~5秒程度)で部品が目標温度に到達する。
【0117】
更に部品搬送処理装置1によれば、処理装置70において部品が入出領域57から測定領域(行為部)54まで移動する間に、部品の温度が所定の温度に達して安定するので、所定の温度における部品の特性評価が可能になり、結果として部品についての正確な温度特性評価が可能になる。また、本実施形態では、部品を搬送する搬送キャリアを用いないので、載置プレート50と部品の間の熱伝達のロスや誤差が小さい。結果、部品の安定化温度の誤差を小さくでき、測定の信頼度が高まる。従来の部品搬送処理装置の場合、温度調整プレートの上を搬送キャリアが滑りながら移動するので、両者の間に熱伝達ロスが生じたり、摩耗やゴミによって熱伝達トラブルが生じたりする。結果、搬送キャリア上の部品の温度の信頼性が低下しやすい。
【0118】
<マスタ部品>
図8を参照して、本実施形態の部品搬送処理装置1における部品の測定について更に説明する。
図8は、載置プレート50の平面図である。
【0119】
既に述べているように、処理装置70において処理される部品について温度特性の評価を行う場合、所定の温度に設定された熱移送部材130の熱(温熱・冷熱)が、載置プレート50を介して載置部100(1001~1032)に載置された部品に伝達される。これにより部品は、載置プレート50の回転移動中に当該所定の温度に制御(昇温、冷却)される。そして本実施形態ではいずれの載置プレート50においても(いずれの設定温度であっても)入出領域57から測定領域54までの間に当該設定温度付近に安定するように構成されている(載置プレート50のサイズや、回転速度(移動時間)などが制御されている)。
【0120】
しかしながら、載置プレート50自体も、肉厚等の要因で全体の温度が均一となる訳ではない。また、載置プレート50と熱移送部材130の間における熱接触も完全に均一とは限らない。更に、ペルチェ素子となる熱移送部材130自体の全体の温度が均一となる訳ではない。
【0121】
したがって、部品を所定の温度にするべく温度制御装置137(
図4参照)によって制御しようとしても、載置プレート50上の複数の載置部100の間で、実際に得られる温度は互いにばらつく。例えば、
図8(A)に示す第1載置部1001と、第7載置部1007と、第16載置部1016では、載置プレート50を仮に80℃に制御しようとしても、それぞれの載置部が測定領域54に移動した場合に、いずれの載置部も常に正確に80℃になっているとは限らない。
【0122】
一方、部品の出力特性は、必ずしも厳密に80℃の場合を測定する必要はなく、部品の実際の温度にばらつきがある場合には、そのばらついた状態の実際の温度を実測値とし、当該実測値における出力特性を把握すればよい。つまり、部品の実温度と部品の実出力を同時期に正確に測定できれば、実質的には、その部品の「温度(対比情報)」と「出力」の相関関係(温度特性)を検査できることになる。なお、ここでは「温度」を対比情報として例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、湿度、照度、圧力、音量等、様々な外部環境に連動する情報を対比情報に選定できる。
【0123】
そこで、本実施形態では、複数の載置部100の一部に、処理装置70における処理をリアルタイムに行なうための基準部品(以下、これを「マスタ部品250」という。)を配置する。
【0124】
マスタ部品250は、これに隣接する搭載部100に収容される実測対象の部品170の測定で必要となる対比情報(例えば「温度情報」)を、自身の電気的な出力を利用して、測定プローブ110から、測定装置105に提供する部材となる。例えばマスタ部品250は、実装対象の部品170と同一種類の部品であって、予め、その出力の温度依存特性(出力と対比情報の相関情報)が高精度に検査されて、その相関情報を把握済みとなる部品とすることが好ましい。このマスタ部品250を用いれば、把握済みの相関情報を利用して、測定装置105が、その出力値から温度情報(対比情報)を逆算出できる。具体的には例えば、測定装置105が、部品170の抵抗値や周波数を、その電気的な出力を利用して測定する場合、測定装置105は、マスタ部品250を利用して抵抗値や周波数を測定する。測定装置105は、マスタ部品250の抵抗値や周波数と、相関情報を利用して、実温度を逆算出する。この実温度によって、隣接する実測対象の部品170の実温度を高精度で予測する。この場合、マスタ部品250は、例えば実測対象の部品170と同種の部品(同じ構成の部品)であり、特に、同じロットで生産された部品であると望ましい。
【0125】
一方、マスタ部品250の出力態様は、実測対象の部品170の出力態様と異なる場合も含む。処理装置70の測定装置105が、載置プレート50におけるマスタ部品250の配置情報を予め保持することで、測定プローブ110は、マスタ部品250の専用出力を利用して、部品170の測定で必要となる対比情報を取得できる。例えば、対比情報が「温度情報」となる場合において、マスタ部品250を、自分自身の実温度をデジタル情報として端子から出力可能な温度測定用の専用部品であることが好ましい。このマスタ部品250の出力情報を、測定プローブ110を介して測定装置105で読み取ることで、マスタ部品250の温度情報(対比情報)を取得し、この温度情報から、部品170の実温度を推定可能となる。例えば、対比情報が温度情報となる場合には、サーミスタ素子などが利用できる。
【0126】
なお、ここでは、測定プローブ110によって、マスタ部品250と測定対象の部品170の双方を測定する場合を例示するが、マスタ部品250を測定する為の専用プローブを設けるようにし、マスタ部品250の計測と部品170計測を独立させることもできる。
【0127】
マスタ部品250は、実測対象の実際の部品170の近傍、好適には近接位置、より好適には実測対象の部品170が収容される載置部100に隣接した載置部100に配置すると望ましい。この結果、マスタ部品250から得られる対比情報(例えば温度情報)を、そのまま、実際の部品170の対比情報(実温度)として採用できる。つまり、各マスタ部品250には、推測対応エリア250Aが設定されており、この推測対応エリア250A内に、このマスタ部品250の対比情報を適用する実際の部品170を配置する。推測対応エリア250Aは、載置プレート50において、周方向に等間隔で配置されることになる。
【0128】
同図(A)では、1個の載置部100を開けてマスタ部品250を配置する場合を示す。結果、マスタ部品250と、その対比情報を適用する実際の部品170が常に隣り合うので、対比情報の予測精度が高い。つまり、マスタ部品250が載置される推測対応エリア250Aは、このマスタ部品250に対して周方向に隣り合うように、一つの実測対象となる部品170が配置される構造となる。
【0129】
この場合、例えば、第29載置部1029が測定領域54に位置した場合にマスタ部品250の温度を測定し、その次の第30載置部1030が測定領域54に位置した場合に測定対象の部品170の出力特性を測定する。そして直前のマスタ部品250から得られる対比情報(温度情報)を参照することで、この部品170の実温度と推測し、温度出力特性を取得する。この際、測定プローブ110の数を増やすことで、推測対応エリア250Aにおいて、隣接するマスタ部品250と実際の部品170の出力を同時測定することも好ましい。このようにすると、処理能力の低下も招かないで済む。
【0130】
また、同図(B)では、3個の載置部100を開けてマスタ部品250を配置する場合を示す。ここでは、マスタ部品250の上流側に隣接する1個の載置部と、下流側に連なる2個の載置部を、推測対応エリア250Aに含めている。
【0131】
この場合、例えば、第2載置部1002が測定領域54に位置した場合に部品170の出力を測定し、その後、第3載置部1003が測定領域54に位置した場合にマスタ部品250の温度を測定し、その後に続く第4載置部1004及び第5載置部1005の各々が測定領域54に位置した場合に部品170の出力を測定する。そして、マスタ部品250から逆算出される温度情報(対比情報)を、これらの3つの実測対象の部品170の実温度と推測して、温度出力特性を算出する。
【0132】
なお、マスタ部品250は、実測対象の部品170と同様に、処理装置70による処理の都度、載置プレート50の載置部100に配置(搬入・搬出)される(部品保持機構45により出し入れされる部品)であってもよいし、載置プレート50の載置部100に常に配置しておき、搬入・搬出しないことも好ましい。載置部100に常にマスタ部品250を配置しておく場合、誤って搬出しないように、マスタ部品250を機械的に載置部250に固定することも好ましい。
【0133】
さらに1つの載置プレート50に複数のマスタ部品250を配置する場合、異なる種類(異なる特性を測定する目的の)のマスタ部品であってもよい。例えば1つの載置プレート50に対して、マスタ部品250として抵抗素子とサーミスタ素子を配置してもよい。
【0134】
ちなみに、載置プレート50の周方向の温度ばらつきに基づく測定誤差を解消するために、データテーブル等を用いることも考えられる。具体的には例えば、各載置部について、目標温度と、載置プレート50の温度を全体的に安定させてから各載置部の温度を測定した値(実測値)との関係(温度差)を示すテーブルなどである。そしてこのデータテーブルを制御装置25等に保持させて演算により補正することができる。
【0135】
しかしながら、この場合、載置プレート50ごとにデータテーブルの取得が必要となり、また、載置プレート50を交換した場合には、対象のデータテーブルも変更するなど処理が複雑となる。さらに、経時変化・経年変化によって載置プレート50(または熱移送部材130)の特性が変化した場合などには、データテーブルを再取得する必要がある。
【0136】
そこで本実施形態によれば、実測対象の部品が配置される載置部100の近傍の載置部100(例えば、隣接する載置部100)を利用して、マスタ部品250によって、実測対象の部品170と殆ど同じ時間で、殆ど同じ場所の温度状況を取得できる。つまり、予め、載置プレート50上で周回させることで温度が安定しているマスタ部品250と比較して、実測対象の部品170は、入出領域57から測定領域54に移動するまでに、マスタ部品250の温度と略同等になって安定化することに鑑み、マスタ部品250の温度を測定してこれを実測対象の部品170の温度と推定することとした。
【0137】
つまり、本実施形態によれば、専用部品あるいは、実測対象の部品と同種の部品となるマスタ部品250を、載置部100に配置するだけでよいので、例えば温度補正あるいは温度予測のためのデータテーブルやそれを用いた演算を行なって、実測対象の部品の温度を予測する方法と比較して、簡素な構成でありながらリアルタイム且つ高精度に実測対象の部品処理で必要な対比情報を取得することができる。具体的には、出力の温度依存特性の測定において、実測対象の部品の温度をリアルタイムで高精度に予測することができる。
【0138】
なお、
図8では、推測対応エリア250Aにおいて、マスタ部品250と実測対象の部品170が周方向に並ぶ場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図9(A)に示すように、周方向に二列(内側列と外側列)となる載置部100を用意しておき、一方の列(ここでは外側列)にマスタ部品250を配置し、他方の列(ここでは内側列)に実測対象の部品170を配置してもよい。つまり、各推測対応エリア250Aにおいて、マスタ部品250と実測対象の部品170が半径方向に隣り合うこともできる。この場合は、マスタ部品250については、搬入・搬出を行わないことが好ましい。マスタ部品250を、載置プレート50に固定することもできる。
【0139】
また、本実施形態では、実測対象の部品が目標温度に到達した後、単一の測定領域54において、出力測定を行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば
図9(B)に示すように、目標温度に到達した後の範囲において、周方向に複数の測定領域54A、54B、54Cを設けるようにし、各測定領域54A、54B、54Cにおいて、同時タイミングで、異なる目的の出力測定を行うこともできる。部品170の測定項目が多い場合に有効である。なお、測定項目が多い場合に、単一の測定領域54で複数項目をまとめて測定しようとすると、測定時間が長くなって処理能力が低下する。
図9(B)の各測定領域54A、54B、54Cに、
図3で説明する測定部95を独立して配置することも可能である。一方で、単一の測定部95を、複数の測定領域54A、54B、54Cに跨るように配置して、各測定領域54A、54B、54Cに対応する測定プローブを、共通の昇降機構で上下動させることも好ましい。
【0140】
更に、この各測定領域54A、54B、54Cにおいて、同一目的(同一項目)の測定を行うことも可能である。即ち、これらを統合した測定領域54Xに示すように、周方向に複数に並ぶ部品170に対して、同一目的の測定を同時に行うようにすれば、処理能力を大幅に向上させることができる。ここでは、測定領域54Xにおいて3個の部品170の測定をまとめて行う場合を例示しているので、入出領域57における部品170の搬入・搬出は、3個連続で実行すればよい。
【0141】
<温度スロープ検査>
図10は、本発明の他の実施形態の一例を示す図であり、同図(A)は1つの載置プレート50の上面図であり、同図(B)は同図(A)の測定結果の一例を図示するグラフである。
【0142】
これまでの実施形態では、1つの処理装置70(載置プレート50)において、1つの測定部95を設ける例を説明したが、これに限らず、例えば、1つの載置プレート50上の複数の載置部100に対応する位置においてそれぞれ部品の出力特性を測定可能な測定部95(測定領域54)を複数設けてもよい。
【0143】
具体的には、同図(A)に示すように、1つの載置プレート50上に、例えば、第1測定部95A,第2測定部95B,第3測定部95Cおよび第4測定部95Dを配置する。各測定部95A~95Dの構成はいずれも上述の測定部95と同様であり、これ以外の構成も、上記の実施形態と同様である。また載置プレート50の設定温度は、例えば80℃であり、入出領域57から180度の位置にある測定領域(第4測定領域(第4測定部95Dの位置)までの間に、部品170が80℃に安定するものとする。
【0144】
そして、部品保持機構45によって入出領域57の載置部100に配置された或る部品170が載置プレート50上で移動する間に、同一の部品170について、第1測定部95A,第2測定部95B,第3測定部95Cおよび第4測定部95Dで出力特性を測定する。
【0145】
部品170は、入出領域57の載置部100に配置されて以降、周方向へ移動するに伴い、徐々にその温度が上昇し、この例では上記実施形態と同様に第4測定部95Dに達する以前に十分に設定温度(例えば80℃)に達している。
【0146】
つまり、例えば、部品170の移動経路途中の所定の位置、例えば、部品170の温度が25℃になると予測されるタイミングt1に第1測定部95Aを配置し、50℃になると予測されるタイミングt2に第2測定部95Bを配置し、65℃になると予測されるタイミングt3に第3測定部95Cを配置し、80℃で安定するタイミングt4に第4測定部95Dを配置する。結果、
図10(B)に示すような温度スロープにおいて、載置プレート50に部品170を載せてから4種類の経過時刻t1、t2、t3、t4の出力を測定ができる。この四か所の実温度と出力の相関関係から、この部品170の温度特性を算出できる。
【0147】
なお、第1~第3測定部95A~95Cでは、温度上昇中の部品の出力を測定するので、測定時の温度にばらつきが生じやすい。従って、
図8(A)等で述べたように、隣接してマスタ部品250を配置しておき、第1~第4測定部95A~95Dにおける測定対象の部品170の実温度(対比情報)を、隣接するマスタ部品250の温度でリアルタイムに推定することが好ましい。例えば、
図10(B)の鎖線のように、外気温等によって、部品170の温度上昇カーブが変化したとしても、マスタ部品250を配置しておくことで、第1測定部95Aでは18℃の出力特性、第2測定部95Bでは28℃の出力特性、第3測定部95Cでは53℃の出力特性、第4測定部95Dでは80℃の出力特性が得られる。即ち、マスタ部品250によって温度上昇中の部品170の温度を推定することで、どのような外部環境となっても、この部品170の温度特性を算出できる。
【0148】
図6等に示したような1つの処理領域52に1つの測定部95を備える構成の場合、例えば4種の温度帯域で出力を取得するには、部品保持機構45によって、4つの処理領域52を移動させる必要がある。その4か所のデータを統合して、出力の温度依存特性のデータが得られる。一方、
図10に示した構成によれば、複数の測定部95の配置領域を確保する必要はあるものの、1つの処理領域52で複数温度の出力検査が完了し、これらを統合すれば出力の温度依存特性のデータが得られるので、処理の高速化が図れる場合がある。また、温度上昇中又は温度下降中の部品170の出力特性(温度スロープ特性)を検査できるという利点もある。
【0149】
なお、この場合、第1測定部95A~第4測定部95Dは同時に部品の測定が可能であるので、複数の部品170について連続的に温度スロープ検査を行なうことができる。
【0150】
<処理装置のカバー部材>
図11は、本発明の他の実施形態の一例を示す図であり、同図(A)は1つの処理装置70の側面図であり、同図(B)は処理装置70の上面図であり、同図(C)は同図(A)の一部拡大断面図である。
【0151】
同図(A)、同図(B)に示すように、部品搬送処理装置1は、1つ又は複数の処理装置70を一体的に覆うカバー部材500を備えてもよい。カバー部材500は例えば透明な樹脂材料により構成され、1つの処理領域52において温度安定化装置125と測定部95を、測定部支持台99も含めて一体的に覆うが、部品保持機構45の回転移動と干渉しないように、側面視において略L字状の箱体である。つまりカバー部材500は主に温度安定化装置125と測定部95の下方(測定部支持台99)側を覆う下部領域500Bと、主に測定部95上方を覆う上部領域500Aを有し、下部領域500Bの方が上部領域500Aよりも大きいサイズ(体積)となっている。また、カバー部材500の内部には不図示のガス注入部より、所望のガスを注入する。ガスの種類としては、結露を防止するための乾燥ガス(例えばドライエアーや窒素)、不要な反応を抑制する不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)、塵埃侵入を抑止するための静電対策を施したクリーンエアー、温度制御を高精度化するための温度制御済みガス等が注入される。また、上部領域500Aは、点線に示すように、ヒンジ構造501によって、下部領域500Bに対して上方側に開放可能となっている。上部領域500Aを開放すると、測定部95(特に、プローブ位置決め機構200や、測定プローブ110部分)が露出するので、測定部95を容易にメンテナンスできる。
【0152】
部品の測定に際しては、結露を防止したり、大気中の埃や塵などの汚染物質との接触をできる限り少なくしたり、また、周辺環境の温度(変化)の影響も避けたりする必要がある。このため、部品や載置プレート50および測定部95(特に測定プローブ110など)が、周辺環境に曝されないようにするために、1つ又は複数の処理単位である処理装置70全体をカバー部材500で一体的に覆うとともに、カバー部材500の内部を目的に沿ったガスで充填する。特に、低温測定の際には、結露防止が重要であることから、乾燥ガスを注入することが好ましい。
【0153】
一方で、測定部95の主要部位、具体的にはプローブ位置決め機構200や、測定プローブ110部分(温度安定化装置125と測定部支持台99以外の部分)は、(温度安定化装置125に比べて)駆動の機構が繊細且つ複雑であり、また、交換や清掃などの頻繁なメンテナンスが必要な部位である。このため、本実施形態では上部領域500Aを開放可能とした。これにより測定部95の主要部位について手作業などによる調整やメンテナンスを適宜、容易に行なうことができる。
【0154】
同図(A)では一例として、カバー部材500の背面側(部品搬送処理装置1の外周側)に設けられたヒンジ機構501を中心として上部領域500A全体を背面側方向(図示の矢印方向に)回動して開放される構成を示している。しかし、これに限らず、上部領域500Aの上面部分がスライドして開放するなど、様々な開放機構を採用できる。また、この例に限らず、下部領域500Bも開放可能に構成してもよい。
【0155】
また、下部領域500Bの上面500Uは、部品保持機構45と移動機構(温度安定化装置125)とを上下に隔てるように水平方向に延在する。この上面500Uの一部には、第1開口部503と第2開口部504が設けられる。第1開口部503は、部品保持具位置決め用係合部182の直下でこれが通過(挿通)可能に構成される。また、第2開口部504は、部品保持具145の直下でこれが通過(挿通)可能に構成される。
【0156】
このような構成により、カバー部材500で処理装置70を一体的に覆った状態を維持しつつ、入出領域57において、載置プレート50の載置部100への部品の供給、および載置部100からの部品の取り出しを行なうことができる。
【0157】
同図(C)は、上面500U部分の拡大断面図である。処理装置70は、部品搬送処理装置1の動作中においては、例えば結露防止のためにも、周辺環境(外気)との接触は必要最小限にすることが望ましく、その観点からすると、カバー部材500は密閉状態となることが好適である。そこで、第1開口部503および第2開口部504には、外気からの遮断手段507を設けるとよい。遮断手段507は、例えば水平方向に流れるエアカーテンなどである。この場合、同図(C)に示すように、少なくとも上面500Uの内側にエア(ガス)の流路508を形成し、この流路508にエア(好ましくは、結露防止用の乾燥ガス)を通過させる。これにより、常時、第1開口部503には部品保持具位置決め用係合部182を、第2開口部504には部品保持具145を挿通可能に開放しつつも、湿気の多い外気がカバー部材500内に進入することを阻止できる。
【0158】
なお、遮断手段507として、物理的なシャッター等を設けて、部品保持具位置決め用係合部182や部品保持具145の挿通時のみ開放するように構成してもよい。しかしながらこの場合構成や駆動機構が複雑になる。これに対しエアカーテンであれば、物理的な開閉の動作および構成が不要である。
【0159】
なお、この例では1台の処理装置70を一体的にカバー部材500で覆う例を示しているが、例えば、複数台の処理装置70を一体的にカバー部材500で覆うようにしてもよい。
【0160】
さらに、部品の安定化温度の精度を高めるためには、部品の安定化温度に合わせるように積極的に温度制御されたガス(温度制御済みガス)を、カバー部材500に充填することが好ましい。
【0161】
<測定プローブの校正装置>
【0162】
図12は、本発明の他の実施形態の一例を示す、処理装置70の上面図である。載置プレート50には、複数の載置部100の一部又は専用領域を利用して、測定プローブ110を構成する為のプローブ校正部品260が配置される。
【0163】
測定プローブ110は、先端に異物が付着したり、経時劣化したりすることよって、自身の抵抗値又は測定装置105までの配線抵抗値に変化が生じる場合が有る。また、測定プローブ110は、定期的に交換する必要があるが、交換作業によって、測定プローブ110自体の抵抗値も変動する。
【0164】
そこで本実施形態では、載置プレート50における移動軌跡上に、複数のプローブ校正部品260を配置しておき、任意にタイミングで、測定プローブ110をプローブ校正部品260に当接させて通電動作を行う。なお、このプローブ校正部品260は、抵抗回路となり、できる限り温度依存特性を有しない構造が好ましい。また、複数のプローブ校正部品260で抵抗値を異ならせることが好ましい。結果、測定プローブ110によって、プローブ校正部品260の複数の抵抗値を測定することで、測定プローブ110及びその内部配線の抵抗値の変化を高精度にチェックできる。ちなみに、測定プローブ110の抵抗値に変動が生じた場合であっても、測定装置105側においてデータを補正すれば部品170の出力測定に影響は無い。また、抵抗値の変動量が許容範囲を超えた場合、処理動作を停止させて、メンテナンス用のアラームを発生させることもできる。
【0165】
なお、ここでは載置プレート50の周方向の4か所にプローブ構成部品260を配置する場合を例示したが、その数は特に限定されない。
【0166】
また、ここでは、
図13(A)に示すように、プローブ位置決め用係合部210や部品保持具位置決め用係合部182が1つの場合(即ち、プローブ位置決め孔103や部品保持具位置決め孔104が1つの場合)を例示したが、これらを複数にすると、センタリング精度を一層高めることが出来る。特に、係合部平面移動機構201や係合部平面移動機構184のθ方向(図示のX-Y平面における回転方向)の位置決め精度を高めることができる。例えば、
図13(B)に示すように、プローブ位置決め用係合部210を2か所に設ける場合は、二つのプローブ位置決め孔103A,103Aを利用して1つの載置部100についてセンタリングを行うようにしても良い。この場合、例えばプローブ位置決め用係合部210は、測定対象の部品172が収容されている載置部100を中心とし、そこから(略)等距離で、且つ、最も近い2箇所のプローブ位置決め孔103A,103Aを利用する。これにより、プローブ位置決め用係合部210が1本の場合と比較して、更に位置決めの精度を高めることができる。また、プローブ位置決め孔103B,103Bのように、周方向に2列を設けるようにすると、各載置部100に対して、一対の専用のプローブ位置決め孔103B,103Bとすることができる。複数の部品保持具位置決め孔104A、104Aについても同様である。また、本実施形態では、部品保持具位置決め孔104が、載置プレート50又は載置部100から独立して固定配置される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
図13(B)に示すように、プローブ位置決め孔103と同様に、各載置部100に対応させて、部品保持具位置決め孔104B,104Bを設けるようにし、載置部100と一緒に回転させることもできる。勿論、プローブ位置決め孔103と部品保持具位置決め孔104を兼用しても良い。
【0167】
本発明の部品搬送処理装置1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0168】
1 部品搬送処理装置
10 ターレット型回転搬送装置
12 ターレットテーブル
15 ターレットテーブル回転軸
20 ターレットテーブル駆動装置
25 制御装置
35 架台
40 昇降付勢機構
45 部品保持機構
50 載置プレート
51 部品供給領域
52 処理領域
53 部品搬出領域
54 測定領域
55 載置プレート回転軸
57 入出領域
60 載置プレート駆動装置
65 自動部品供給装置
70 処理装置
95 測定部
99 測定部支持台
100 載置部
105 測定装置
110 測定プローブ
111 プローブ昇降部
119 支持台
120 電極
125 移動機構(温度安定化装置)
130 熱移送部材
135 熱交換部
137 温度制御装置
145 部品保持具
170、172、172A-172C、173、173A-173C、171 部品
180 部品保持具位置決め機構
182 部品保持具位置決め用係合部
184 係合部平面移動機構
188 凹部
189 昇降機構
200 プローブ位置決め機構
201 係合部平面移動機構
210 プローブ位置決め用係合部
211 係合部昇降機構
226 台座
250 マスタ部品
301 特性検査装置
310 ターレットテーブル
312 ターレットテーブル回転軸
315 部品
325 部品供給装置
330 収納ボックス
335 第一測定領域
340 第一温度制御領域
345 第二測定領域
350 第二温度制御領域
500 カバー部材
501 回動軸
507 遮断手段
508 流路
T 搬送経路