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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ハンガー用掛止部品
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/10 20060101AFI20230508BHJP
   B65D 85/18 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B65D25/10
B65D85/18 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019111928
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020203694
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594164690
【氏名又は名称】アーキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠治
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-034409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0389649(US,A1)
【文献】実開平02-016737(JP,U)
【文献】米国特許第05647492(US,A)
【文献】実開昭61-134962(JP,U)
【文献】仏国特許発明第01542849(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/10
B65D 85/18
A47G 29/00
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱の内側面に取り付け可能な平板状のハンガー用掛止部品であって、
ハンガー挿通孔を有し観音開きに立ち上げ可能な一対のフラップを少なくとも1つ形成するとともに、裏面に粘着部を形成したことを特徴とするハンガー用掛止部品。
【請求項2】
前記一対のフラップは一方のフラップが他方のフラップより長く形成されていることを特徴とする請求項1記載のハンガー用掛止部品。
【請求項3】
前記一対のフラップの先端同士が所定の余白を設けて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のハンガー用掛止部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーに掛けた状態の衣類を梱包箱に収容する際に用いるハンガー用掛止部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料品メーカーから衣料品店への衣類の輸送においては、ハンガーに掛けた状態の衣類をそのまま収容可能なハンガーボックスが広く用いられており、輸送中も中の衣類が乱れて皴などを作ることなく到着することが強く望まれている。
【0003】
ハンガーボックスは、例えば特開平10-17048号公報(特許文献1)や実登第3123715号公報(特許文献2)に示すように、段ボールなどのケース本体の内部上方にハンガーパイプなどのハンガーを掛止する部材が固定されており、この部材にハンガーを掛けることでハンガーに掛けた状態の衣類をそのまま収容して容易かつ安全に輸送可能としたものである。
【0004】
しかしながら、前述のハンガーボックスは多くの衣類をハンガーにかけて縦に収容することを前提に構成されており、梱包箱として大型であって輸送しづらく輸送費が嵩む上に、輸送中衣類の肩部に常時荷重がかかるため型崩れの心配もあり、非常に不向きである。
【0005】
そこで、例えば特開平10-230984号公報(特許文献3)や特開2007-45465号公報(特許文献4)に示すように、段ボールなどのケース本体に切込みを設け、そこから立ち上がるフラップによってハンガーを掛止する部材を組み立て、この部材にハンガーを掛けることでハンガーに掛けた状態の衣類をそのまま収容して容易かつ安全に輸送可能とした梱包箱にかかる発明が知られている。
【0006】
また、例えば特開平6-156557号公報(特許文献5)や特開平10-218265号公報(特許文献6)に示すように、段ボールなどのケース本体にハンガーを嵌装可能なスリットを設け、前記スリットにハンガーを挿入して固定することでハンガーに掛けた状態の衣類をそのまま収容して容易かつ安全に輸送可能とした梱包箱にかかる発明が知られている。
【0007】
特許文献3乃至6に記載された発明は、いずれも段ボールなどのケース本体自体をあらかじめ専用の形状に形成して組み立ててなるものであって、収容する衣類の種類やサイズ違いに応じた適切な容量の梱包箱を取り揃えることは困難であった。
【0008】
これに対し、例えば実開平2-16737号公報(特許文献7)に示すように、既存の梱包箱に後付けで貼り付けて使用するハンガー掛用具にかかる発明が知られている。
【0009】
このハンガー掛用具によれば、収容する衣類のサイズに応じた既存の梱包箱を利用して、その内側面に前記ハンガー掛用具を接着剤で貼り付けるだけの簡便な構成でハンガーに掛けた状態の衣類をそのまま収容して容易かつ安全に輸送可能とすることができる利点がある。
【0010】
しかしながら、前記ハンガー掛用具は厚紙を二重に折り畳んで穴をあけた懸掛穴にハンガーを懸掛しただけの構造であるため、ハンガーのフック部の回転方向への動き易さは棒状の物に懸掛した場合と変わらず、特に平置きの場合は顕著で、前記懸掛穴の内部でハンガーが容易に移動してしまい、輸送中の振動や姿勢の変更などによって、ハンガーが動いて衣類の状態を乱したり、またハンガーが前記懸掛穴から脱落して、衣類に皺や折り目を生じてしまったり損傷するおそれさえある。
【0011】
そこで、ハンガーに掛けた状態の衣類を収容する梱包箱として既存の梱包箱を利用しつつ、脱落せず安定してハンガーを保持できる工夫が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平10-17048号公報
【文献】実登第3123715号公報
【文献】特開平10-230984号公報
【文献】特開2007-45465号公報
【文献】特開平6-156557号公報
【文献】特開平10-218265号公報
【文献】実開平2-16737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、既存の梱包箱に取り付けて用いることが可能であり、衣類を掛けたハンガーを脱落せず位置も安定して保持でき、平置きにも適したハンガー用掛止部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明であるハンガー用掛止部品は、梱包箱の内側面に取り付け可能な平板状のハンガー用掛止部品であって、ハンガー挿通孔を有し観音開きに立ち上げ可能な一対のフラップを少なくとも1つ形成するとともに、裏面に粘着部を形成したことを特徴とする。
【0015】
このように、梱包箱と別体のハンガー用掛止部品としたことで既存のあらゆる梱包箱に貼り付けて使用することができ、且つ、ハンガー掛止孔を有する一対のフラップを少なくとも1つ形成したことにより、一対のフラップの各ハンガー掛止孔にハンガーのフック部を順次挿通することで、2点で2方向にハンガーを保持することができるため、輸送時に揺れなどがあっても衣類を掛けたハンガーを脱落せず安定して保持できる。
【0016】
また、前記一対のフラップは掛止するハンガーのフック部を先に挿通する方のフラップが他方のフラップより長く形成されている場合、長い方のフラップにハンガーのフック部を先に挿通することで続けて他方のフラップにハンガーのフック部を挿通する際に、比較的広い可動域を確保でき、作業性を向上することができる。尚、一般にハンガーの向きはフック部の先端が衣類の正面に対して左方向に向くように使用されるため、ハンガー用掛止部品の右側に形成したフラップの方が長く形成されることとなる。
【0017】
更に、前記一対のフラップの先端同士が所定の余白を設けて形成され、掛止したハンガーのフック部が前記余白に当接可能する場合、ハンガーのフック部が一対のフラップの各ハンガー掛止孔で保持されるとともにハンガー用掛止部品の余白への当接により3点で動きが規制されるため、ほぼ位置が固定されたきわめて安定した状態で衣類を掛けたハンガーを掛止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のハンガー用掛止部品によれば、梱包箱と別体のハンガー用掛止部品としたことで既存のあらゆる梱包箱に取り付けて使用することができ、ハンガー挿通孔を有し観音開きに立ち上げ可能な一対のフラップを少なくとも1つ形成したことにより、一対のフラップの各ハンガー掛止孔にハンガーのフック部を順次挿通することで、2点で2方向にハンガーを保持することができ、梱包箱を縦置き・平置きのどちらの姿勢としても衣類を掛けたハンガーを脱落することなく位置も安定して保持可能であり、特に梱包箱を平置きする場合に適したものである。
【0019】
更に、ハンガー用掛止部品が段ボールやボール紙などの紙製である場合、コスト・強度・入手性・加工性等において優れたものとすることができるほか、梱包箱に取り付けたまま古紙として再利用することも容易となるため特に望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のハンガー用掛止部品を示す(a)正面図および(b)背面図。
図2図1に示したハンガー用掛止部品のフラップを立ち上げた状態を示す斜視図。
図3図1に示したハンガー用掛止部品を梱包箱の1つの内側面に取り付けた状態を示す斜視図。
図4図3に示した梱包箱において衣類を掛けたハンガーをハンガー用掛止部品に掛止した使用状態を示す図。
図5図4の要部を拡大した説明図。
図6図1に示したハンガー用掛止部品を梱包箱の2つの内側面に取り付けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1および図2は本発明のハンガー用掛止部品100を示す図であり、この図に示すように、ハンガー用掛止部品100は、平板の板状部材10と、それぞれハンガー掛止孔21a,21b,21c,21dを有する二対のフラップ20a,20b,20c,20dと、板状部材10の裏面12における両端に形成された粘着部30,30と、からなる。
【0023】
板状部材10は、本実施の形態において段ボールを用いており、抜き型を用いて外枠13の切り抜きと、各フラップ、各ハンガー掛止孔、および表裏判別のためのパンチ孔14の形成を一度に行うものである(図示せず)。段ボールはコスト・強度・入手性・加工性等において優れているため特に望ましいが、例えばボール紙や樹脂シートを素材としてもよい。
【0024】
フラップ20a,20b,20c,20dはそれぞれ、角丸長方形にくり抜かれたハンガー掛止孔21a,21b,21c,21dと、基端に位置する直線状のミシン目22a,22b,22c,22dと、その両端に連続して形成された平行な2本の直線および前記直線を結ぶ円弧を組み合わせた形状の切込み23a,23b,23c,23dと、からなり、各ミシン目22a,22b,22c,22dを軸に一対のフラップ(20aと20b、20cと20d)が観音開きに向かい合うように板状部材10の表面11側に立ち上げ可能となっている。
【0025】
このように一対のフラップ(20aと20b、20cと20d)が観音開きに向かい合うように形成したことで、立ち上げた際の軸となるミシン目22a,22b,22c,22dの距離が開き、そして2方向に引っ張るようにハンガー70のフック部71を掛止することができる。
【0026】
尚、一対のフラップの個数については上記示した二対のものに限定されるものではなく、縦方向あるいは横方向に複数個設けてもよく、一対のみであってもよい。
【0027】
粘着部30は、本実施の形態において両面テープを用いており、粘着剤を含侵した基材の表面に剥離紙を取り付けた従来周知の両面テープが使用可能である。
【0028】
図3はハンガー用掛止部品100を梱包箱50の1つの内側面51に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0029】
この図に示すように、ハンガー用掛止部品100はその裏面12に備えた粘着部30を貼り付けることで、梱包箱50の内側面51における略中央に取り付けて用いられる。
【0030】
フラップ20a,20b,20c,20dを立ち上げる際は、梱包箱50に取り付ける前に予め指で板状部材10の裏面12方向から押し上げることができるほか、梱包箱50に取り付けた後であってもハンガー掛止孔21a,21b,21c,21dに指を差し込んで持ち上げることもできる。
【0031】
図4はハンガー用掛止部品100を梱包箱50の1つの内側面51に取り付けた梱包箱50において、衣類Cを掛けたハンガー70をハンガー用掛止部品100に掛止した使用状態を示す図であり、図5はその要部を拡大した説明図である。
【0032】
梱包箱50にハンガー用掛止部品100を取り付け、フラップ20a,20b,20c,20dを立ち上げた状態としたら、梱包したいハンガー70を掛けた状態の衣類Cを梱包箱50に畳み入れ、まず右側のフラップ20b(20d)に設けたハンガー掛止孔21b(21d)から先にハンガー70のフック部71を差し込み、続いて左側のフラップ20a(20c)に設けたハンガー掛止孔21a(21c)にハンガー70のフック部71を差し込むことで、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)によってハンガー70のフック部71を2方向に引っ張るように掛止するものである。
【0033】
このとき、右側のフラップ20b(20d)におけるミシン目22b(22d)からハンガー掛止孔21b(21d)の先端までの長さL1が、左側のフラップ20a(20c)におけるミシン目22a(22c)からハンガー掛止孔21a(21c)の先端までの長さL2よりも長く形成されていることにより、右側のフラップ20b(20d)のハンガー掛止孔21b(21d)に差し込んだ状態のハンガー70のフック部71は、比較的自由度が高く動かすことができるため、フック部71を左側のフラップ20a(20c)に設けたハンガー掛止孔21a(21c)に差し込む際に作業が容易となるように工夫されたものである。
【0034】
また、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)の先端24a,24b(24c,24d)同士を結んだ中心点は、板状部材10の中心線Xに対して、ハンガー70の長手方向(図1(a)における左右方向)のうち左方向にずれて形成されている。
【0035】
尚、板状部材10の中心線Xを示す目印が印刷または切り欠き等によって形成されている場合、梱包箱50の内側面51における中心線と板状部材10の中心線Xとを略一致させて貼り付ける際の利便性が高い(図示せず)。
【0036】
更に、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)は、互いの先端24a,24b(24c,24d)の間に余白15が設けられていることにより、ハンガー70のフック部71は、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)のハンガー掛止孔21a,21b(21c,21d)の2点に加えて、余白15にも接するため、この3点で支えられ、ほぼ位置が固定されたきわめて安定した状態で衣類Cを掛けたハンガー70を掛止することができる。
【0037】
本発明のハンガー用掛止部品100は、不使用時に一対のフラップ20a,20b(20c,20d)を折りたたむことで板状部材10は突起のない平板状となるため、ハンガー用掛止部品100を取り付けた状態で梱包箱50を折りたたむことが可能である。
【0038】
従って、ハンガー用掛止部品100を取り付けた梱包箱50は、ハンガー70に掛けた状態の衣類Cを輸送した使用後に、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)を折りたたんだ状態のハンガー用掛止部品100を取り付けたまま梱包箱を折りたたんでスペースを取ることなく梱包箱50を保管することができ、再度使用する際には梱包箱50を組み立て、一対のフラップ20a,20b(20c,20d)を立ち上げるだけで繰り返し使用することができるため、例えば店舗間または店舗とメーカー間などの通い箱として使用する際に非常に便利である。
【0039】
また、本実施の形態においてハンガー用掛止部品100は段ボールにより形成されているため、ハンガー用掛止部品100を取り付けた梱包箱50が不要となったら、そのまま古紙として再利用することが容易である。
【0040】
図6はハンガー用掛止部品100を梱包箱50の2つの内側面51,52に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0041】
このように、ハンガー用掛止部品100は梱包箱50の複数の内側面に取り付けることが可能であって、例えば多くの注文があって多種多様な衣類を梱包箱に梱包する必要が生じたとしても、容易に対応することができる利点を有する。或いは、1つの内側面に複数のハンガー用掛止部品100を取り付けてもよい(図示せず)。
【0042】
尚、本実施の形態において衣類を梱包箱に収容する際には、梱包箱のサイズに応じた台紙を挟み込んで衣類を折り畳むことによって輸送時の扱いにより生じやすい衣類の偏りを防ぎ、皺や折り目、または損傷を生じることなく衣類を輸送することができる(図示せず)。
【0043】
以上のように、本発明のハンガー用掛止部品によれば、梱包箱と別体のハンガー用掛止部品としたことで既存のあらゆる梱包箱に取り付けて使用することができ、ハンガー挿通孔を有し観音開きに立ち上げ可能な一対のフラップを少なくとも1つ形成したことにより、一対のフラップの各ハンガー掛止孔にハンガーのフック部を順次挿通することで、2点で2方向にハンガーを保持することができ、梱包箱を縦置き・平置きのどちらの姿勢としても衣類を掛けたハンガーを脱落することなく位置も安定して保持可能であり、特に梱包箱を平置きする場合に適したものである。
【0044】
更に、ハンガー用掛止部品が段ボールやボール紙などの紙製である場合、コスト・強度・入手性・加工性等において優れたものとすることができるほか、梱包箱に取り付けたまま古紙として再利用することも容易となるため特に望ましい。
【符号の説明】
【0045】
10 板状部材、11 表面、12 裏面、13 外枠、14 パンチ穴、15 余白、20a,20b,20c,20d フラップ、21a,21b,21c,21d ハンガー掛止孔、22a,22b,22c,22d ミシン目、23a,23b,23c,23d 切込み、24a,24b,24c,24d 先端、30 粘着部、50 梱包箱、51,52 内側面、70 ハンガー、71 フック部、100 ハンガー用掛止部品、C 衣類、X 板状部材の中心線、L1 右側のフラップのミシン目からハンガー掛止孔の先端までの長さ、L2 左側のフラップのミシン目からハンガー掛止孔の先端までの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6