(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】蓄電池用シール部材及びそれを用いた蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20230508BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20230508BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/204 401F
H01M10/613
H01M10/6554
H01M10/6555
(21)【出願番号】P 2021134331
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2022-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】弁理士法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江角 乙音
(72)【発明者】
【氏名】大森 千尋
(72)【発明者】
【氏名】安福 勇志
(72)【発明者】
【氏名】川端 貴美
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-049990(JP,A)
【文献】特許第7024148(JP,B1)
【文献】特開2021-061201(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108795302(CN,A)
【文献】中国実用新案第207368170(CN,U)
【文献】高機能シリコーンゴム製品ガイド,日本,信越化学工業株式会社,2016年11月,第1-8頁(特に第4頁)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/00-10/04
H01M 10/52-10/667
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物を加硫してなる蓄電池用シール部材であって、
前記ゴム組成物がシリコーンゴム及び加硫剤を含有し、
前記シール部材を構成する厚さ2mmの加硫ゴムシートを3枚重ね、23℃、相対湿度50%において測定される硬さHa(デュロメータータイプA)が90ポイント以下であり、
JIS K6262に準拠し、25%圧縮した後、150℃にて70時間保持してから測定される前記シール部材の圧縮永久歪が80%以下であり、
硬さHa(デュロメータータイプA)
よりも、400℃にて10分間加熱された後の
前記加硫ゴムシートを3枚重ね、23℃、相対湿度50%において測定される硬さHb(デュロメータータイプA)
が1~15ポイント小さく、
前記シール部材を800℃にて5分間加熱した後の残存物の質量が、加熱前の該シール部材に対して、70~100質量%であ
り、かつ
UL94(垂直燃焼試験)に基づく難燃性の評価がV-0を満たす、シール部材。
【請求項2】
前記ゴム組成物が非反応性の変性シリコーンオイルを0.1~15質量%含有する、請求項1に記載のシール部材。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のシール部材を用いた蓄電池であって、複数のセルが容器に収容され、該セル同士が断熱板で隔てられ、前記容器と前記断熱板の間隙が延焼防止のために前記シール部材で封止されてなる、蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延焼防止等のために用いられる蓄電池用シール部材及びそれを用いた蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池に代表される各種蓄電池は、内部短絡などが原因で熱暴走し、発火することがある。
【0003】
セル等から発火した際に他のセル等への延焼を抑制する手段として、容器に収容されたセル同士を耐火シート等で離間する方法が知られている(特許文献1及び2)。しかしながら、これらの方法は延焼防止効果が不十分であり、いったんセル等から発火すると蓄電池全体に火が広がることが多かった。このようなことから、発火した場合でも、蓄電池全体への延焼を防ぎ、被害を最小限に抑える方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-131654号公報
【文献】特表2020-532078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、延焼防止等のために好適に用いられる蓄電池用シール部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、ゴム組成物を加硫してなる蓄電池用シール部材であって、前記ゴム組成物がシリコーンゴム及び加硫剤を含有し、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)が90ポイント以下であり、JIS K6262に準拠し、25%圧縮した後、150℃にて70時間保持してから測定される前記シール部材の圧縮永久歪が80%以下であり、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)と、400℃にて10分間加熱された後の、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHb(デュロメータータイプA)の差が15ポイント以内であり、かつ前記シール部材を800℃にて5分間加熱した後の残存物の質量が、加熱前の該シール部材に対して、70~100質量%である、シール部材を提供することによって解決される。
【0007】
上記課題は、シール部材を用いた蓄電池であって、複数のセルが容器に収容され、該セル同士が断熱板で隔てられ、前記容器と前記断熱板の間隙が延焼防止のために前記シール部材で封止されてなる、蓄電池を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシール部材は、難燃性が高いうえに、高温で加熱されてもシール性が消失し難い。したがって、当該シール部材を用いて、容器と断熱板の間隙等を封止することにより、セル等が発火した場合でも、蓄電池全体への延焼を効果的に防止できる。したがって、当該シール部材を用いた蓄電池は安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の蓄電池断面の概略図の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の蓄電池用シール部材は、ゴム組成物を加硫してなるものであって、前記ゴム組成物がシリコーンゴム及び加硫剤を含有し、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)が90ポイント以下であり、JIS K6262に準拠し、25%圧縮した後、150℃にて70時間保持してから測定される前記シール部材の圧縮永久歪が80%以下であり、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)と、400℃にて10分間加熱された後の、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHb(デュロメータータイプA)の差が15ポイント以内であり、かつ前記シール部材を800℃にて5分間加熱した後の残存物の質量が、加熱前の該シール部材に対して、70~100質量%であるものである。
【0011】
当該シール部材は、難燃性が高いうえに、高温で加熱されてもシール性が消失し難い。したがって、当該シール部材を用いて、容器と断熱板の間隙等を封止することにより、セル等が発火した場合でも、蓄電池全体への延焼を効果的に防止できる。
【0012】
前記シリコーンゴムは特に限定されないが、難燃性や耐火性が高いものが好適に用いられる。前記シリコーンゴムとして、例えば、信越化学工業株式会社製シリコーンゴムである「KE-5620BL-U」、「KE-5612E-U」、「KE-5620W-U」、「KE-1734-U」、ダウ・東レ株式会社製シリコーンゴムである「SILASTIC SH502U」、「SILASTIC SH1447」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製シリコーンゴムである「TCM5406U」、「TSE2183UN」、「TSE2187U」等が用いられる。
【0013】
前記ゴム組成物中の前記シリコーンゴムの含有量は、通常、50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
【0014】
前記ゴム組成物に含有される加硫剤は特に限定されず、加硫方法に応じて適宜選択すればよい。過酸化物加硫を行う場合に用いられる加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、オルトメチルベンゾイルパーオキサイド、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシンなどの有機過酸化物を含むもの等が挙げられる。付加加硫を行う場合に用いられる加硫剤としては、白金触媒が挙げられる。
【0015】
前記ゴム組成物中の前記加硫剤の含有量は0.05~5質量%が好ましい。前記含有量が0.05質量%未満の場合には、得られるシール部材の硬度が低くなりすぎるおそれがある。前記含有量は、0.1質量%以上がより好ましい。一方、前記加硫剤の含有量が5質量%を超える場合には、得られるシール部材が硬くなりすぎて、相手材が変形しシール性が低下するおそれがある。前記含有量は、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
前記ゴム組成物の加工性の点から、前記ゴム組成物がオイルを含有することが好ましい。前記オイルとしては、シリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、変性シリコーンオイルが好ましく、変性シリコーンオイルの例としては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、フッ素変性、アラルキル変性等の変性シリコーンが挙げられる。そして、これらの変性シリコーンオイルとしては、非反応性と、反応性のものがあり、中でも、非反応性の変性シリコーンオイルが好ましい。前記ゴム組成物中の前記オイルの含有量は、0.1~15質量%が好ましい。前記含有量が0.1質量%未満の場合には、加工性が低下するおそれがある。前記含有量は、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。一方、前記オイルの含有量が15質量%を超える場合には、過剰に柔らかくなったり、ブリードが生じたりするおそれがある。前記含有量は、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0017】
前記ゴム組成物が難燃剤等を含有していてもよい。当該難燃剤としては、酸化鉄、トリアゾール系化合物、水酸化アルミニウム、白金、白金化合物等が挙げられ、中でも白金化合物が好ましい。なお、例えば前記ゴム組成物が前記白金化合物を含有する場合、その含有量は、通常1~5000ppmである。
【0018】
前記ゴム組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、前記シリコーンゴム、前記加硫剤、前記難燃剤、前記オイル以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
【0019】
本発明のシール部材の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法は、前記シリコーンゴム、前記加硫剤、必要に応じて前記オイル、前記難燃剤、その他の添加剤を混練して前記ゴム組成物を得る混練工程と、前記ゴム組成物を成形する成形工程と、得られる成形品を加硫する加硫工程とを備える方法である。
【0020】
前記混練工程において各成分を混合する方法は特に限定されず、オープンロール、ニーダ、バンバリーミキサ、インターミキサ、押出機などを用いて混練することができる。中でも、オープンロールを用いて混練することが好ましい。混練時の温度は20~100℃とすることが好ましい。
【0021】
前記ゴム組成物の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、ロール成形などが挙げられる。中でも射出成形及び圧縮成形が好適である。このとき、予め成形した後に加硫させてもよいし、成形と同時に加硫させてもよい。加硫温度は、通常100~200℃である。加硫時間は、通常0.1~60分である。加硫させるための加熱方法としては、圧縮加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのシリコーンゴムの加硫に用いられる一般的な方法が用いられる。さらに、二次加硫を行ってもよく、その場合の加硫温度は通常150~200℃であり、加硫時間は、通常1~4時間である。
【0022】
こうして本発明のシール部材が得られる。JIS K6262に準拠し、25%圧縮した後、150℃にて70時間保持してから測定される、前記シール部材の圧縮永久歪が80%以下である必要がある。当該圧縮永久歪が80%以下であることにより、前記シール部材のシール性が高まるため、延焼を効果的に防止できる。前記圧縮永久歪は65%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましく、30%以下が特に好ましい。一方、前記圧縮永久歪は、通常1%以上である。
【0023】
23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)は、90ポイント以下である必要がある。当該硬さHa(デュロメータータイプA)が90ポイント以下であることにより、相手面に対して面圧が保たれ、前記シール部材のシール性が高まるため、延焼を効果的に防止できる。前記硬さHa(デュロメータータイプA)は、85ポイント以下が好ましく、80ポイント以下がより好ましい。一方、シール性がさらに向上する点から、前記硬さHa(デュロメータータイプA)は、30ポイント以上が好ましく、35ポイント以上がより好ましく、40ポイント以上がさらに好ましい。前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)は実施例に記載された方法により測定される。
【0024】
本発明において、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)と、400℃にて10分間加熱された後の、23℃、相対湿度50%における前記シール部材の硬さHb(デュロメータータイプA)の差が15ポイント以内である必要がある。当該差が15ポイント以内であることにより、発火した際に、前記シール部材のシール性が低下し難くなるため、延焼を効果的に防止できる。一方、前記差は、±0の場合もあるが、通常1ポイント以上である。前記差が15ポイント以内であれば、加熱前のシール部材の硬さHa(デュロメータータイプA)と加熱後のシール部材の硬さHb(デュロメータータイプA)のいずれが高くても構わない。
【0025】
前記シール部材を800℃にて5分間加熱した後の残存物の質量が、加熱前の該シール部材に対して、70~100質量%である必要がある。これにより、発火した際に、前記シール部材が加熱されてシール性が低下した後も形状が保持されるため、一定の延焼防止効果が奏される。前記残存物の質量は、75質量%以上が好ましく、78質量%以上がより好ましい。前記残存物の質量は実施例に記載された方法により求められる。
【0026】
本発明のシール部材は、加熱されてもシール性が失われにくいうえに、シール性が失われた後も形状が保持されるため、優れた延焼防止効果を有する。したがって、当該シール部材は、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の種々の蓄電池(二次電池)のシール部材として好適に用いられる。中でも、より好ましくは、エネルギー密度が高く、発火すると大きな被害が生じるおそれのある、リチウムイオン電池のシール部材として本発明のシール部材が用いられる。
【0027】
前記シール部材1を用いた蓄電池2であって、複数のセル3が容器4に収容され、該セル3同士が断熱板5で隔てられ、前記容器4と前記断熱板5の間隙が延焼防止のために前記シール部材1で封止されてなる、蓄電池2が本発明の好適な実施態様である。
図1は、本発明の蓄電池2断面の概略図の一例である。以下、
図1を用いて、本発明の蓄電池2について説明する。
【0028】
前記シール部材1を用いた蓄電池2の種類は特に限定されず、本発明のシール部材が用いられる蓄電池として上述したものが挙げられる。セル3の形状は特に限定されず、円筒型、角型、ラミネート型等が挙げられる。セル3は、通常、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子等が外装部材に収容されてなる。
【0029】
容器4には、複数のセル3が収容される。容器4の形状は特に限定されず、角型、円筒型等が挙げられる。容器4に収容されたセル3同士は断熱板5で隔てられる。
図1では、容器4に収容された複数のセル3は、断熱板5を1つ用いることにより、2つに分割されているが、断熱板5を2つ以上用いることにより、容器4に収容された複数のセル3が3つ以上に分割されていてもよい。容器4の種類は特に限定されず、金属製容器、樹脂製容器等が用いられる。断熱板5の種類も、断熱性や難燃性が高いものであれば特に限定されず、金属製の断熱板5、樹脂製等の断熱板5が用いられる。断熱板5が複数種の板を積層させたものであっても構わない。
【0030】
そして、前記容器4と前記断熱板5の間にシール部材1が配置される。前記容器4と前記断熱板5の間隙がシール部材1で封止されることにより、セル3等から発火した場合でも、前記断熱板5によって隔てられた他のセル3等への延焼が防止又は遅延される。シール部材1は前記容器4と前記断熱板5の間隙の少なくとも一部に配置されていればよい。シール部材1は、蓄電池2の設計等を考慮して、延焼防止のために必要なところに配置されていればよい。断熱板5で隔てられた一方の空間から他方の空間にガスが漏れないように、前記容器4と前記断熱板5の間隙にシール部材1が配置されることが好ましい。例えば、断熱板5の全周にシール部材1を設置し、当該シール部材1と前記容器4を接触させる方法等が挙げられる。なお、他のセル3等への延焼が防止又は遅延されるのであれば、断熱板5の周囲の一部にシール部材1を設置してもよい。シール部材1の形状は特に限定されず、断熱板5や容器4の形状、断熱板5と容器4の隙間の形状等を考慮して決定すればよい。シール部材1は、例えば、シール部材1が、容器4の内壁に弾性変形した状態で圧着するリップ部を一対備えていてもよい。所定のシール部材1を用いた本発明の蓄電池2は、セル3等から発火した場合でも、前記断熱板5によって隔てられた他のセル3等への延焼が防止又は遅延されるため、高い安全性を有する。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0032】
(常態物性)
得られた厚さ2mmの加硫ゴムシートを3枚重ね、タイプAデュロメータを用いて、23℃、相対湿度50%において測定を行い、ピーク値を加硫ゴムシートの硬さ(デュロメータータイプA)とした。
【0033】
(圧縮永久歪試験)
JIS K6262準拠(150℃、70時間)に準拠して、円柱状の試験片を25%圧縮し、150℃の空気中に70時間保持後、圧縮を開放し、圧縮永久歪を算出した。値が小さいほど、長時間圧縮したときに復元する力が高いといえる。
【0034】
(燃焼試験)
UL94(垂直燃焼試験)に基づく難燃性を評価した。20mm垂直燃焼試験(IEC60695-11-10 B法、ASTM D3801)に基づき、縦125±5mm、横13.0±0.5mm、厚み1mmの短冊試料をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動により難燃性を評価した。なお、前記短冊試料は加硫ゴムシートを切り抜いて得た。
【0035】
(高温試験)
電気炉を400℃に設定し、温度上昇後に加硫ゴムシートを切り抜いて得られた、一辺の長さが30mm、厚み2mmの正方形の試料をるつぼに入れて電気炉へ投入し、10分後に取り出した。そして、加硫ゴムシートを3枚重ねタイプAデュロメータを用いて23℃、相対湿度50%において測定を行い、ピーク値を加熱後の加硫ゴムシートの硬さ(デュロメータータイプA)とした。
【0036】
電気炉を800℃に設定し、温度上昇後に加硫ゴムシートを切り抜いて得られた、一辺の長さが20mm、厚み2mmの正方形試料の質量を測定した後、るつぼに入れて電気炉へ投入し、5分後に取り出した。当該試料(残存物)の質量を測定した。
【0037】
実施例1~3、5~7、比較例1~3、4
表1に示される組成の混合物を、オープンロールを用いて温度20~100℃で10~30分間混練してゴム組成物を得た。そして、このゴム組成物を用いて、未加硫ゴムシートを作製した。得られた未加硫ゴムシートを用い、165℃で10分間プレス加硫した後、200℃で4時間の二次加硫を実施して、厚さ2mm又は1mmの加硫ゴムシートを得た(以下、単に加硫ゴムシートと称すことがある)。また、前記未加硫ゴムシートを重ねたものをプレス成形用の型に入れて、165℃で30分間プレス加硫した後、200℃で4時間の二次加硫を実施することにより、直径29.0mm、厚さ12.5mmの円柱状の圧縮永久歪測定用の試験片を得た。前記加硫ゴムシート、圧縮永久歪測定用の試験片を用いて各測定を行った。結果を表1に示す。
【0038】
【符号の説明】
【0039】
1 シール部材
2 蓄電池
3 セル
4 容器
5 断熱板