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特許7273423超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置
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  • 特許-超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A61N7/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021145984
(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公開番号】P2022045919
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0115236
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュン・テ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ホワン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05331861(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1487497(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0040909(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174224(US,A1)
【文献】特開2003-156120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0020398(US,A1)
【文献】特開2009-127751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/02
F16H 25/20-25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースと、前記ハンドピースに分離可能に結合されるカートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに収容される超音波発生部と、前記超音波発生部に結合する移動ナットと、前記移動ナットに螺合するスクリューと、前記ハンドピースに収容される前記スクリューを回動させる駆動装置と、前記駆動装置の駆動軸および前記スクリューを連結するカプラと、を含み、前記スクリューの回動時に前記移動ナットが前記スクリューに沿って移動する移動部と、前記移動ナット及び前記スクリューが互いに密着するように前記移動ナットに圧力を加える加圧手段と、を含み、
前記加圧手段は、前記スクリューに隣接する前記移動ナットの一端に位置する第1磁性部材と、前記第1磁性部材から前記移動ナットの軸方向に離間するように配置される第2磁性部材と、を含み、
前記第1磁性部材に対向する前記カプラの対向面には前記第2磁性部材が結合することを特徴とする超音波医療装置。
【請求項2】
前記第1磁性部材および前記第2磁性部材の互いの斥力により前記移動ナットに圧力を加えることを特徴とする請求項に記載の超音波医療装置。
【請求項3】
移動ナットと、前記移動ナットに螺合するスクリューと、前記スクリューを回動させる駆動装置と、前記駆動装置の駆動軸および前記スクリューを連結するカプラと、を含み、前記スクリューの回動時に前記移動ナットが前記スクリューに沿って移動する移動部と、前記移動ナット及び前記スクリューが互いに密着するように前記移動ナットに圧力を加える加圧手段と、を含み、
前記加圧手段は、前記スクリューに隣接する前記移動ナットの一端に位置する第1磁性部材と、前記第1磁性部材から前記移動ナットの軸方向に離間するように配置される第2磁性部材と、を含み、
前記第1磁性部材に対向する前記カプラの対向面には前記第2磁性部材が結合することを特徴とするバックラッシュ防止装置。
【請求項4】
前記第1磁性部材および前記第2磁性部材の互いの斥力により前記移動ナットに圧力を加えることを特徴とする請求項に記載のバックラッシュ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリードスクリュー方式で超音波発生部を移動させる移動ナット及びスクリュー間のバックラッシュを除去することによって、超音波発生部を精密に移動させることができる超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容医療分野では、脂肪の除去といった皮膚改善のために、高強度集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)を用いた皮膚改善目的の施術を行える超音波医療装置が開発されている。
【0003】
超音波医療装置は、超音波発生部で発生する高強度集束超音波の焦点を皮膚深部の目標部位をターゲットにして脂肪細胞の凝固壊死を誘導する。凝固壊死が起きた脂肪細胞は、人体の損傷復旧メカニズムにより自然に除去される。
【0004】
一方、皮膚深部の目標部位が変更される場合には、超音波発生部を移動させなければならない。
【0005】
このような超音波発生部を移動させる方式の1つとして、リードスクリュー方式がある。
【0006】
リードスクリュー方式とは、スクリューに螺合され、スクリューの回動によりスクリューの螺糸山に沿って移動する移動ナットを介して超音波発生部を移動させる方式である。
【0007】
しかし、既存のリードスクリュー方式で超音波発生部を移動させる場合、移動ナット及びスクリュー間のバックラッシュ(Backlash)によって移動ナットの移動距離に誤差が生じ、このような移動ナットを媒介に移動する超音波発生部の移動距離にも誤差が発生する。
【0008】
従って、既存のリードスクリュー方式は、超音波発生部の精密な移動が困難であるという問題があった。
【0009】
また、既存のリードスクリュー方式は、超音波発生部を設定区間に沿って連続的又は間欠的に移動させる場合、超音波発生部の移動開始点を設定区間の開始点と正確に整列できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-1643885号公報(2016.07.25)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超音波発生部の精密な移動が可能な超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限らず、言及されていない更に他の課題は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【0013】
上述した課題を解決するための本発明の一実施例に係る超音波医療用カートリッジは、カートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに収容される超音波発生部と、前記超音波発生部に結合する移動ナットと、前記移動ナットに螺合するスクリューとを含み、前記スクリューの回動時に前記移動ナットが前記スクリューに沿って移動する移動部と、前記移動ナット及び前記スクリューが互いに密着するように前記移動ナットに圧力を加える加圧手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記加圧手段は、前記スクリューに隣接する前記移動ナットの一端に位置する第1磁性部材と、前記第1磁性部材から前記移動ナットの移動方向に離間するように配置される第2磁性部材とを含むことができる。
【0015】
更に、前記第1磁性部材および前記第2磁性部材の互いの斥力により前記移動ナットに圧力を加えることができる。
【0016】
また、前記第1磁性部材および前記第2磁性部材を互いに対応する形に形成することができる。
【0017】
本発明の一実施例に係る超音波医療装置は、ハンドピースと、前記ハンドピースに分離可能に結合されるカートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに収容される超音波発生部と、前記超音波発生部に結合する移動ナットと、前記移動ナットに螺合するスクリューと、を含み、前記スクリューの回動時に前記移動ナットが前記スクリューに沿って移動する移動部と、前記移動ナット及び前記スクリューが互いに密着するように前記移動ナットに圧力を加える加圧手段と、を含む。
【0018】
また、前記加圧手段は、前記スクリューに隣接する前記移動ナットの一端に位置する第1磁性部材と、前記第1磁性部材から前記移動ナットの移動方向に離間するように配置される第2磁性部材と、を含むことができる。
【0019】
更に、前記第1磁性部材および前記第2磁性部材の互いの斥力により前記移動ナットに圧力を加えることができる。
【0020】
また、前記ハンドピースに収容され、前記スクリューを回動させる駆動装置と、前記駆動装置の駆動軸および前記スクリューを連結するカプラと、を更に含み、前記第1磁性部材に対向する前記カプラの対向面には前記第2磁性部材が結合することができる。
【0021】
本発明の一実施例に係るバックラッシュ防止装置は、移動ナットと、前記移動ナットに螺合するスクリューと、を含み、前記スクリューの回動時に前記移動ナットが前記スクリューに沿って移動する移動部と、前記移動ナット及び前記スクリューが互いに密着するように前記移動ナットに圧力を加える加圧手段と、を含む。
【0022】
また、前記加圧手段は、前記スクリューに隣接する前記移動ナットの一端に位置する第1磁性部材と、前記第1磁性部材から前記移動ナットの移動方向に離間するように配置される第2磁性部材と、を含むことができる。
【0023】
更に、前記第1磁性部材および前記第2磁性部材の互いの斥力により前記移動ナットに圧力を加えることができる。
【0024】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0025】
これにより、本発明の一実施例に係る超音波医療用カートリッジ及びこれを含む超音波医療装置は、リードスクリュー方式で超音波発生部を移動させる移動部の移動ナット及びスクリュー間のバックラッシュが加圧手段により除去されることによって、超音波発生部の精密な移動が可能であるという効果を奏する。
【0026】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限らず、言及されていない更に他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例に係る超音波医療装置のカートリッジハウジングとハンドピースが分離された状態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る超音波医療装置を垂直方向に切り欠いた切欠き図である。
図3】本発明の一実施例に係る超音波医療装置を示す断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る超音波医療装置の第1磁性部材と第2磁性部材を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0029】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素はこれらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0030】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典上に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0031】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置かれることができる。従って、例示的な用語である「下」は下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置のカートリッジハウジングとハンドピースが分離された状態を示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置を垂直方向に切り欠いた切欠き図であり、図3は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置を示す断面図である。
【0034】
図1ないし図3に示すように、本発明の一実施例に係る超音波医療装置はハンドピース10、カートリッジハウジング20、超音波発生部30、移動部40及び加圧手段50を含む。
【0035】
ハンドピース10は基本本体であって、使用者の把持のための取っ手として活用でき、ハンドピース10の一側には超音波発生部30が収容されたカートリッジハウジング20が分離可能に結合される。
【0036】
従って、使用者はハンドピース10を把持し、カートリッジハウジング20が皮膚表面と密着するようにハンドピース10を移動させた状態で、超音波発生部30で発生する高強度集束超音波を皮膚深部の特定深さに照射させる方式で、超音波医療施術を行える。
【0037】
ハンドピース10の内部には、駆動装置60と超音波発生部30にRF電流を印加するためのRFボードを設けることができる。RFボードは、駆動装置60と超音波発生部30にRF電流を間欠的又は連続的に印加できる。
【0038】
カートリッジハウジング20は、超音波発生部30を収容する一種のケースであって、ハンドピース10の一側に分離可能に設置される。
【0039】
カートリッジハウジング20の内部には、超音波発生部30で発生する高強度集束超音波の媒質である脱気液が収容されることができる。例えば、脱気液は気体が除去された水分であり得るが、特に限定されない。
【0040】
カートリッジハウジング20の末端には、超音波発生部30で発生する高強度集束超音波が透過できる透過窓21を設けることができる。例えば透過窓21には、高強度集束超音波の透過が可能な超音波透過フィルムを用いることができるが、特に限定されない。
【0041】
超音波発生部30は、カートリッジハウジング20に収容され、高強度集束超音波を発生させるトランスデューサであり得る。このようなトランスデューサは、ハンドピース10のRFボードからRF電流の印加を受けて高強度集束超音波を発生させることができる。このとき、超音波発生部30で発生する高強度集束超音波は、カートリッジハウジング20の末端の透過窓21を透過して皮膚深部の特定深さに照射することができる。
【0042】
超音波発生部30はスクリュー42と螺合され、スクリュー42の回動によりスクリュー42に沿って移動する移動ナット41を介して移動する。このとき、移動ナット41と超音波発生部30とを一体に結合することによって、移動ナット41と超音波発生部30とを一体に移動させることができ、このように超音波発生部30を移動させる方式をリードスクリュー方式と定義できる。
【0043】
移動部40は超音波発生部30を移動させるものであって、超音波発生部30と一体に結合する移動ナット41と、移動ナット41に螺合し、駆動装置60により回動するスクリュー42とを含む。
【0044】
移動ナット41は内周面に螺糸山が形成され、スクリュー42は外周面に長手方向に沿って螺糸山が形成されることによって、移動ナット41およびスクリュー42が螺合することができる。
【0045】
従って、スクリュー42の回動時に移動ナット41がスクリュー42の螺糸山に沿ってスクリュー42の長手方向に移動できる。
【0046】
一例として、スクリュー42が一方向に回動すると、移動ナット41がスクリュー42の長手方向の一端から他端に移動することができ、スクリュー42が他方向に回動すると、移動ナット41がスクリュー42の長手方向の他端から一端に移動することができる。
【0047】
他の例として、スクリュー42が一方向に回動すると、移動ナット41がスクリュー42の長手方向の他端から一端に移動することができ、スクリュー42が他方向に回動すると、移動ナット41がスクリュー42の長手方向の一端から他端に移動することができる。
【0048】
即ち、移動ナット41の移動方向は、スクリュー42の長手方向であることができ、より詳細には、移動ナット41の移動方向は、スクリュー42の長手方向の一端から他端に向かう方向と、スクリュー42の長手方向の他端から一端に向かう方向とを含むことができる。
【0049】
更に、スクリュー42の配置方向が水平方向の場合は移動ナット41の移動方向は水平方向になり、スクリュー42の配置方向が垂直方向の場合は移動ナット41の移動方向は垂直方向になる。但し、垂直方向と水平方向はそれぞれ幾何学的な垂直と水平の意味に限定されず、垂直方向は図面を基準として上下方向として定義でき、水平方向は図面を基準として左右方向として定義できる。また、水平方向が垂直方向と互いに垂直な方向として定義されるが、厳密な意味の幾何学的な垂直方向としては定義されない。換言すれば、水平方向よりは垂直方向に、より近いものと見られる場合、垂直のものとして理解されるべきである。
【0050】
スクリュー42と移動ナット41をハンドピース10に収容でき、移動ナット41と超音波発生部30との間には、移動軸43と支持軸44とを設けることができる。
【0051】
移動軸43および支持軸44は、移動ナット41と超音波発生部30とを連結するものであって、移動軸43はハンドピース10に収容することができ、支持軸44はカートリッジハウジング20に収容することができる。
【0052】
移動軸43は、移動ナット41と支持軸44とを連結する役割を果たす。移動軸43の一端は、移動ナット41と一体に結合される。移動軸43の他端は、ハンドピース10から突出するように配置され、ハンドピース10とカートリッジハウジング20との締結時にカートリッジハウジング20に収容することができる。
【0053】
移動軸43は、移動ナット41と一体に結合される一端から長手方向に中空になっている中空部43aを形成することができる。このような中空部43aには、スクリュー42を挿入することができ、中空部43aは、スクリュー42の挿入時や回動時にスクリュー42との干渉を防止できるようにスクリュー42よりも大きな直径を有することができる。
【0054】
支持軸44は、移動軸43と超音波発生部30とを連結する役割を果たす。支持軸44の一端は、移動軸43の他端と分離可能に結合される。例えば支持軸44の一端は、移動軸43の他端が貫通することによって固定することができる。一方、支持軸44の他端は、超音波発生部30と結合する。
【0055】
更に、スクリュー42の回動により移動ナット41がスクリュー42に沿って移動する場合、移動ナット41、移動軸43、支持軸44及び超音波発生部30が一体に移動ナット41の移動方向に移動できる。
【0056】
カートリッジハウジング20には、移動軸43と平行に配置されるガイド軸22を収容することができ、支持軸44には、ガイド軸22に沿ってスライドするように装着してあるマウンタ44aを形成することができる。ガイド軸22の両端は、弾性部材により弾性支持することができる。ここで、弾性部材には、圧縮バネを用いることができるが、特に限定されない。
【0057】
加圧手段50は、移動ナット41及びスクリュー42が互いに密着するように移動ナット41に圧力を加え、移動ナット41及びスクリュー42間のバックラッシュを除去する。
【0058】
これにより、本発明の一実施例に係る超音波医療装置は、リードスクリュー方式で超音波発生部30を移動させる移動部40の移動ナット41及びスクリュー42間のバックラッシュが加圧手段50により除去されることによって、超音波発生部30の精密な移動が可能であるという長所がある。
【0059】
更に、本発明の一実施例に係る超音波医療装置は、超音波発生部30の精密な移動が可能であるので、超音波発生部30を設定区間に沿って連続的に移動させるか、間欠的に移動させる場合にも、超音波発生部30の移動開始点が設定区間での開始点と正確に整列される。その結果、超音波発生部30は、設定区間の開始点から設定区間の最終点に沿って正確に移動することができる。
【0060】
駆動装置60はハンドピース10に設けられ、スクリュー42を回動させる役割を果たす。このような駆動装置60は、ハンドピース10のRFボードからRF電流の印加を受けてスクリュー42を回動させることができる。一例として、駆動装置60には、正逆モータ、油圧モータ、空圧モータなどを用いることができるが、特に限定されない。
【0061】
駆動装置60の駆動軸61は、カプラ70を介してスクリュー42と連結することができる。即ち、カプラ70は、駆動装置60の駆動軸61とスクリュー42とを連結する役割を果たす。
【0062】
駆動装置60および移動部40は、調節部(図示せず)により移動ナット41の移動方向に垂直な方向の位置を調節することができる。ここで、駆動装置60および移動軸43は、ハンドピース10の内部に設けられる可動プレート90に移動可能に支持され、可動プレート90は、ハンドピース10の内部に移動ナット41の移動方向に垂直な方向に移動可能に設けられる。
【0063】
調節部(図示せず)は、可動プレート90を移動ナット41の移動方向に垂直な方向に移動させ、それにより、可動プレート90に固定された駆動装置60および移動部40が移動ナット41の移動方向に垂直な方向に移動することができる。
【0064】
一例として、調節部(図示せず)は、アウターロータ(図示せず)と、一側は可動プレート90を支持し、他側はアウターロータ(図示せず)の内部に設置されるインナーロータ(図示せず)を含み、インナーロータ(図示せず)はアウターロータ(図示せず)の回転によりアウターロータ(図示せず)から可動プレート90に突出する長さを調節することができる。このように、インナーロータ(図示せず)がアウターロータ(図示せず)から突出する長さを調節して、可動プレート90を移動ナット41の移動方向に垂直な方向に移動させることができる。
【0065】
図4は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置の第1磁性部材および第2磁性部材を示す拡大図である。
【0066】
図1ないし図4に示すように、加圧手段50は、第1磁性部材51及び第2磁性部材52を含むことができる。
【0067】
第1磁性部材51は、スクリュー42に隣接する移動ナット41の一端に結合され、第2磁性部材52は第1磁性部材51から移動ナット41の移動方向に離間するように配置される。ここで、第2磁性部材52は、第1磁性部材51に対向するカプラ70の対向面に設けることができる。
【0068】
このような第1磁性部材51および第2磁性部材52は、互いに同一の極性を有することができる。
【0069】
従って、第1磁性部材51および第2磁性部材52間には互いに斥力が発生し、これにより、移動ナット41に結合された第2磁性部材52が移動ナット41の移動方向(即ち、第1磁性部材51から遠ざかる方向)に押されて移動ナット41に圧力が加えられる。その結果、移動ナット41及びスクリュー42が互いに密着することによって移動ナット41及びスクリュー42間のバックラッシュが除去される。
【0070】
このような第1磁性部材51および第2磁性部材52は、互いに対応する形に形成することができる。例えば、第1磁性部材51および第2磁性部材52は、互いに対応する内径および外径を有する環状に形成することができる。これは第1磁性部材51の回転時にも第1磁性部材51から第2磁性部材52に作用する磁力が安定的に維持されるようにするためである。更に、第1磁性部材51および第2磁性部材52は、多角形の形状に形成することができるが、特に限定されない。また、第1磁性部材51および第2磁性部材52のそれぞれは単数で構成されるか、又は円周方向に沿って複数配列することができる。
【0071】
このような第1磁性部材51および第2磁性部材52は、互いに同一の高さに配置することができる。具体的に、第1磁性部材51および第2磁性部材52は、各自の内径および各自の外径が何れも互いに同一の高さとなるように配置することができる。
【0072】
そして、第1磁性部材51の中心軸と、第2磁性部材52の中心軸と、駆動モータの駆動軸61の中心軸と、が何れも一列に整列されるように配置することができる。
【0073】
その結果、第1磁性部材51の回転時にも、第1磁性部材51及び第2磁性部材52の間に互いに斥力が作用する高さが維持されるので、第1磁性部材51と第2磁性部材52の互いの斥力により圧力が加えられる移動ナット41の偏向を防止できる。
【0074】
一例として、第1磁性部材51および第2磁性部材52には、永久磁石を用いることができる。この場合、第1磁性部材51および第2磁性部材52に特別な電力の供給が不要なため、電力の消費を低減できる。
【0075】
一例として、第1磁性部材51および第2磁性部材52には、電磁石を用いることができる。この場合、第1磁性部材51および第2磁性部材52は、ハンドピース10のRFボードからRF電流の印加を受けることができる。
【0076】
一方、本発明のハンドピース10は、センサ(図示せず)を含むことができる。前記センサ(図示せず)は、移動部40の移動を感知でき、一例として、ホールセンサ、フォトセンサであり得るが、これらに限定されない。
【0077】
一方、本発明のカートリッジハウジング20もセンサ(図示せず)を収容することができる。前記センサ(図示せず)は、超音波発生部30の移動を感知でき、一例として、ホールセンサ、フォトセンサであり得るが、これらに限定されない。
【0078】
一方、本発明の一実施例に係る超音波医療用カートリッジは、カートリッジハウジング20、超音波発生部30、移動部40及び加圧手段50を含むものであって、本発明の一実施例に係る超音波医療装置のカートリッジハウジング20、超音波発生部30、移動部40及び加圧手段50と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0079】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の技術者は本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できるということが理解できるだろう。従って、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、超音波医療用カートリッジ、これを含む超音波医療装置およびバックラッシュ防止装置に利用できる。
【符号の説明】
【0081】
10 ハンドピース
20 カートリッジハウジング
21 透過窓
22 ガイド軸
30 超音波発生部
40 移動部
41 移動ナット
42 スクリュー
43 移動軸
44 支持軸
44a マウンタ
50 加圧手段
51 第1磁性部材
52 第2磁性部材
60 駆動装置
61 駆動軸
70 カプラ
90 可動プレート
図1
図2
図3
図4