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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】携帯型空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/16 20060101AFI20230508BHJP
   A62B 7/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61L9/16 F
A62B7/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021156962
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2016080032の分割
【原出願日】2016-04-13
(65)【公開番号】P2022000213
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
(72)【発明者】
【氏名】張 崇峙
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉弘
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-301317(JP,A)
【文献】実開平05-041535(JP,U)
【文献】特開2006-326475(JP,A)
【文献】特開2015-074852(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009511(WO,A1)
【文献】特開2007-275190(JP,A)
【文献】国際公開第2007/061088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00-33/00
A61L 9/00-9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に着用される着用体と、
外気に含まれる物質の量を調整する調整手段と、
外気を、前記調整手段を介して前記着用体の内側に取り込み、取り込んだ外気を着用体の内部に送出させるファン本体と、
前記ファン本体に駆動電力を供給する電源と、
を備え、
前記着用体は、
前記ファン本体から送出された外気の流れを顔と略平行となるように生じさせ、当該外気を顔に向かって放出させる空気放出部と、
前記ファン本体から放出された外気の流れを顔と略平行に生じさせる空気誘導部と、を有し、
前記空気誘導部は、鼻周辺を除く内縁に、使用者の顔及び後頭部と前記空気誘導部との間の隙間を無くす空気漏れ防止手段を有し、
前記ファン本体から送出された外気の流れを前記空気誘導部を介して前記着用体を着用する使用者の鼻周辺に放出することを特徴とする携帯型空気清浄装置。
【請求項2】
前記空気放出部は、放出する外気の流れを顔の上方から下方に、或いは、下方から上方に生じさせることを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項3】
前記調整手段は、外気に含まれる有害物質を除去するための有害物質除去手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項4】
前記有害物質除去手段は、外気に含まれる微粒子を除去するためのフィルタであることを特徴とする請求項3に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項5】
前記調整手段は、有用な物質を外気に含ませる有用物質発生手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項6】
前記調整手段、前記ファン本体及び前記電源が一体化されたユニット部が前記着用体に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項7】
前記着用体は、服状体であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項8】
前記服状体は、使用者の鼻と口の部分を含む顔の下半分までを覆うように形成されことを特徴とする請求項7に記載の携帯型空気清浄装置。
【請求項9】
前記着用体は、顔側に前記空気放出部を有し、頭にかぶることが可能な形状であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を清浄化して呼吸可能に人体に供給する携帯型空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、居室内における大気汚染に起因する粒子状物質(例えば、PM(particulate matter)2.5等)や、花粉やインフルエンザウィルス等の人体に影響を及ぼす有害物質を除去して清浄化された空気を提供する空気清浄装置がある。
【0003】
但し、このような従来の空気清浄装置は、据置き型や車載型のものが主であり、使用者等が携帯して、自らが呼吸する外気を清浄化することはできず、外出時において有害物質を除去するためには、マスク等を着用するしか方法が存在しなかった。
【0004】
このため、携帯可能な空気清浄装置、或いは、着用可能な空気清浄装置から供給される清浄化された空気を導管によってマスクまで導き、使用者が当該マスクを鼻及び口を覆うように装着することにより、外出時における外気中の有害物質の除去ができる空気清浄装置がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-110112号公報
【文献】特開2007-160027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2では、使用者がマスク等を鼻及び口を覆うように装着する必要があるため、空気清浄装置の使用時には、マスクを使用者の顔に直接装着することになり圧迫感が生じてしまう。また、呼吸時に装着したマスクの内部が陰圧になり隙間から外気が流入してしまうおそれがあるといった問題点があった。
【0007】
本発明の課題は、使用時の圧迫感がなく外気の流入のない携帯型空気清浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、
身体に着用される着用体と、
外気に含まれる物質の量を調整する調整手段と、
外気を、前記調整手段を介して前記着用体の内側に取り込み、取り込んだ外気を着用体の内部に送出させるファン本体と、
前記ファン本体に駆動電力を供給する電源と、
を備え、
前記着用体は、
前記ファン本体から送出された外気の流れを顔と略平行となるように生じさせ、当該外気を顔に向かって放出させる空気放出部と、
前記ファン本体から放出された外気の流れを顔と略平行に生じさせる空気誘導部と、を有し、
前記空気誘導部は、鼻周辺を除く内縁に、使用者の顔及び後頭部と前記空気誘導部との間の隙間を無くす空気漏れ防止手段を有し、
前記ファン本体から送出された外気の流れを前記空気誘導部を介して前記着用体を着用する使用者の鼻周辺に放出することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記空気放出部は、放出する外気の流れを顔の上方から下方に、或いは、下方から上方に生じさせることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記調整手段は、外気に含まれる有害物質を除去するための有害物質除去手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記有害物質除去手段は、外気に含まれる微粒子を除去するためのフィルタであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記調整手段は、有用な物質を外気に含ませる有用物質発生手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記調整手段、前記ファン本体及び前記電源が一体化されたユニット部が前記着用体に固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記着用体は、服状体であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記服状体は、使用者の鼻と口の部分を含む顔の下半分までを覆うように形成されことを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯型空気清浄装置において、
前記着用体は、顔側に前記空気放出部を有し、頭にかぶることが可能な形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用時の圧迫感がなく鼻腔近辺において外気の流入のない携帯型空気清浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の携帯型空気清浄装置の一例を示す概略正面図及び概略平面図である。
図2】着用体の概略正面図である。
図3】ユニット部の概略平面図及び概略側面図である。
図4】本実施形態の携帯型空気清浄装置の使用時の一例を示す説明図である。
図5】変形例1の一例を示す概略正面図及び概略平面図である。
図6】変形例1の携帯型空気清浄装置の使用時の一例を示す説明図である。
図7】本実施形態の携帯型空気清浄装置の他の一例を示す概略正面図及び概略平面図である。
図8】本実施形態の携帯型空気清浄装置の他の一例を示す概略側面図及び概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態)
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について図1図3を用いて説明する。但し、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る携帯型空気清浄装置100は、図1に示すように、服状体である着用体1と、当該着用体1に取り付けられたユニット部2とを有する。
【0023】
着用体1は、図2に示すように、例えば、半袖で立ち襟のブルゾンタイプで、素材は透明なビニールシートで製造される。立ち襟の部分は、空気放出部11として機能し、非接触で使用者の首周りを覆うように形成されている。このため、立ち襟の部分は、放出する空気の流れを使用者の顔の下方から上方に生じさせることができる。
【0024】
また、着用体1であって、ユニット部2を取り付ける位置には、ユニット部2の外周部と略同形状で大きさが少し小さいユニット部取付孔12が設けられ、このユニット部取付孔12の内縁にはゴムひもが設けられており、当該ゴムひもの弾性力により、ユニット部2を着用体1に固定する。また、着用体1の半袖部13の端部及び裾部14にはゴムひもが設けられ、係るゴムひもの弾性力により、空気が漏れないように構成されている。
【0025】
ユニット部2は、図3に示すように、ファン本体21、ファン本体21に駆動電力を供給する電源22、フィルタ等により構成され外気に含まれる物質の量を調整する調整手段23、フィンガーガード等の保護部材と、外気を取り込む開口部を有する空気取込部24、取り込まれて清浄化された空気を着用体1の内部に送出する開口部を有する空気送出部25と、を備えて構成される。
【0026】
ユニット部2は、電源22から駆動電力を供給してファン本体21を回転させることにより、空気取込部24から外気を取り込み、調整手段23により清浄化された外気を空気送出部25から着用体1の内部に送出するように構成されている。
また、着用体1のユニット部取付孔12の縁に密着させるための外周部26には、必要応じて、外周部26の上側及び下側に2つのフランジ部27、28が形成される。なお、空気取込部24は、開閉可能、或いは、ユニット部2から着脱可能としてフィルタ等の調整手段を容易に交換できるようにしてもよい。
【0027】
次に、携帯型空気清浄装置100の着用方法について説明する。
ユニット部2を首から胸部にぶら下げ、着用体1を着用し、ユニット部2の外周部26をユニット部取付孔12に挿入して固定する。なお、ユニット部2を首から胸部にぶら下げることなく、着用体1のユニット部取付孔12に直接固定させておくものであってもよい。
【0028】
具体的には、外周部26の上側及び下側に2つのフランジ部27、28が形成されている場合、ゴムひもが設けられたユニット部取付孔12の縁をユニット部2の上側のフランジ部27から通し、上側のフランジ部27と下側のフランジ部28との間に縁を落とし込むことにより、ユニット部2を着用体1に確実に固定する。
【0029】
次に、携帯型空気清浄装置100の動作について説明する。
ユニット部2のスイッチ(不図示)を入れると、電源22から駆動電力が供給されてファン本体21が回転し、図4に示すように、空気取込部24から微粒子等を含む外気OA41が、ユニット部2に取り込まれ、調整手段23により微粒子が除去され清浄化された空気IA41、IA42、IA43が、空気送出部25から着用体1の内部に送出される。
【0030】
このように取り込まれた空気IA41、IA42、IA43は、着用体1の半袖部13の端部及び裾部14は、前述のように空気が漏れないように構成されているため、着用体1の上側に向かって流れ、空気放出部11として機能する立ち襟の上端部から着用体1の外部に放出される。
【0031】
特に、使用者の顔の部分から放出される清浄化された空気IA41、IA42、IA43は、鼻を覆うように勢い良く上方に向かい、空気の流れを顔と略平行に生じさせることができる。このため、使用者は、清浄化された空気IA41、IA42、IA43のみを呼吸することができる。また、使用者の顔の部分には、常に下方から上方に向かう空気の流れが生じており、所謂、エアカーテンを形成しているので、外気が流入してしまうことを防止できる。
【0032】
なお、ユニット部2には、気象条件に応じて、空気送出部25から送出される外気の風量を調整できる風量調整手段を設けてもよい。
例えば、風が強く吹いており、使用者の顔の部分に流れている、常に下方から上方に向かう空気の流れが乱れた場合には、風量を強くすることにより、下方から上方に向かう空気の流れを維持することができる。また、例えば、風がほとんど吹いていない場合には、必要以上に風量を強くすることなく、風量を弱くして対応することができる。
【0033】
なお、フィルタ等の調整手段23が、多量の外気を浄化したため調整機能が低下した場合、(特に、吸着した微粒子により圧力損出が増加し、送出する空気の量が低下した場合)には、空気取込部24を開けて新しい調整手段23に交換すればよい。
【0034】
また、第1実施形態では、ファン本体21、電源22及び調整手段23が一体化されたユニット部2として例示しているが、ファン本体21、電源22及び調整手段23を個々に有する構成であってもよい。
【0035】
以上のように、第1実施形態によれば、空気放出部11を有し身体に着用する着用体1と、外気に含まれる物質の量を調整する調整手段23と、着用体1に設けられ、外気を調整手段23を介して着用体1の内側に取り込み、取り込んだ空気を空気送出部25から着用体1の内部に送出させるファン本体21と、ファン本体21に駆動電力を供給する電源22とを備える。そして、空気放出部11が、放出する空気の流れを顔と略平行に生じさせることにより、使用時の圧迫感がなく外気の流入のない携帯型空気清浄装置を提供することができる。
また、外観、特に首周りの周辺は冬場によく見られる立ち襟で覆われているだけなので違和感がなく、さらに鼻や口に接するものがないためマスクのような圧迫感もない。
【0036】
(変形例1)
本発明の第1実施形態に係る携帯型空気清浄装置100の着用体1では、立ち襟の部分は、非接触で使用者の首周りを覆うように形成され、空気放出部11として機能しているが、強風や暴風雨等の気象条件によっては、放出する空気の流れを顔と略平行に生じさせることが難しい場合がある。
【0037】
このため、変形例1では、図5(a)に示す概略正面図のように、使用者の鼻と口の部分を含む顔の下半分までを非接触で覆うように形成された空気誘導部15を有し、確実に、取り込んだ空気の流れを顔と略平行に生じさせ、空気放出部11aから着用体1aの外部に放出させる。なお、着用体1aが、空気誘導部15を有する以外、着用体1a及びユニット部2に関する構成等は、第1実施形態と同じである。
【0038】
また、図5(b)に示す概略平面図のように、空気誘導部15の上端には顔や後頭部との間に、例えば、スポンジのような密度の非常に低い素材で作製され、使用者の鼻の近くの部位を除く部位からの空気の漏れを防ぐ空気漏れ防止手段3が設けられている。
【0039】
空気漏れ防止手段3は、使用者の顔や後頭部と、空気誘導部15との間の隙間をなくすようになっている。このため、変形例では空気漏れ防止手段3が設けられていない、使用者の鼻の上部の部位にのみ空気の流れが生じることになり、当該部分において、上方に清浄化された空気が勢い良く放出されることになり、清浄化された空気をより効率よく、使用者の鼻の近傍に流すことができる。
【0040】
次に、変形例1の動作について説明する。
ユニット部2のスイッチ(不図示)を入れると、電源22から駆動電力が供給されてファン本体21が回転し、図6に示すように、空気取込部24から微粒子等を含む外気OA61が、ユニット部2に取り込まれ、調整手段23により微粒子が除去され清浄化された空気IA61、IA62、IA63が、空気送出部25から着用体1aの内部に送出される。
【0041】
このように取り込まれた空気IA61、IA62、IA63は、着用体1aの半袖部13の端部及び裾部14に空気漏れ防止手段が形成されているため、着用体1aの上側に向かって流れ、空気誘導部15を通過して、空気放出部11aとして機能する立ち襟の上端部から着用体1aの外部に放出される。
【0042】
具体的には、取り込まれ清浄化される空気の量は、最低でも呼吸の3倍程度であり、空気放出部11以外に空気が漏れることはないので、呼吸中でも鼻付近の圧力は陽圧であり外気が空気放出部11から逆流することはない。
【0043】
特に、空気誘導部15を通過する際の清浄化された空気IA61、IA62、IA63の流れは、強風や暴風雨等の気象条件に関わりなく、確実に、使用者の顔と略平行に生じさせることできる。このため、使用者は、清浄化された空気IA61、IA62、IA63のみを呼吸することができる。また、使用者の顔の部分は、空気誘導部15で非接触に覆われているので、外気が流入してしまうことを防止できる。
【0044】
また、空気漏れ防止手段3により、清浄化された空気IA61、IA62、IA63の流れる領域が制限されるので、例えば、清浄化された空気IA61、IA62、IA63後頭部側等の使用者の呼吸に無関係な部分から外部に放出されることがなく、清浄化された空気をより効率よく、使用者の鼻の近傍に流し、使用者の呼吸に資することができる。
【0045】
また、着用体1の内部全体が陽圧なので服地が膨らみ、呼吸する時のバッファーの機能も有するので、瞬間的に呼吸量が取り込んだ空気の量を上回った場合でも、バッファーの効果で鼻付近の圧力は陽圧に保たれる。したがって、使用者は、清浄化された空気のみを呼吸することができる。
【0046】
以上のように、変形例1によれば、使用者の鼻と口の部分を含む顔の下半分までを非接触で覆うように形成された空気誘導部15を有することにより、強風や暴風雨等の気象条件に関わりなく、確実に、清浄化された空気の流れを、使用者の顔と略平行に生じさせることできる。また、外観、特に首周りの周辺は冬場によく見られる立ち襟で覆われているだけなので違和感がなく、さらに鼻や口に接するものがないためマスクのような圧迫感もない。
【0047】
(変形例2)
本発明の第1実施形態に係る携帯型空気清浄装置100の調整手段23は、フィルタ等の等の外気に含まれる物質の量を削減して調整する部材であったが、フィルタの代わりに、沢山の貫通孔を有する水を含んだスポンジであってもよい。
【0048】
すなわち、空気取込部24から取り込まれた乾燥した外気に対して、水を含ませたスポンジの孔を通過する時に、空気が加湿され、加湿した空気を呼吸として呼吸することができる。
【0049】
(変形例3)
本発明の第1実施形態に係る携帯型空気清浄装置100の調整手段23は、フィルタ等の外気に含まれる物質の量を削減して調整する部材であったが、フィルタの代わりに活性炭を主成分とする一酸化炭素吸着器であってもよい。
【0050】
すなわち、一酸化炭素吸着器により、空気取込部24から取り込まれた外気に含有される一酸化炭素が吸着されて除去され、一酸化炭素を除去された空気を呼吸として呼吸することができる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る携帯型空気清浄装置100aは、図7に示すように、筒状体である着用体1bと、当該着用体1bに取り付けられたユニット部2とを有する。なお、ユニット部2に関する構成等は、第1実施形態と同じである。また、動作に関しても、第1実施形態と同じである。
【0052】
着用体1bは、図7に示すように、筒状体であり、例えば、素材は透明なビニールシートで製造される。着用体1bの一端には、空気放出部11bして機能し、使用者の首の前方の位置するように着用されている。このため、空気放出部11bは、放出する空気の流れを使用者の顔の下方から上方に生じさせることができる。また、着用体1bの他端には空気漏れ防止手段が形成される。
【0053】
また、着用体1bの着用方法としては、空気放出部11bが使用者の首の前方の位置するように、着用体1bを首から胸部にぶら下げたり、使用者の耳にかけてもよいし、その他の着用手段により、使用者の胴体に巻き付けるようにしてもよい。
【0054】
なお、強風や暴風雨等の気象条件に関わりなく、確実に、清浄化された空気の流れを使用者の顔と略平行に生じさせるため、空気放出部11bが、使用者の顔の前面であって、鼻に接することなく鼻を覆う位置に着用してもよい。
【0055】
以上のように、第2実施形態によれば、着用体1bが、一端に空気放出部11bを有する筒状体であって、空気放出部11bが使用者の首の前方の位置するように着用することにより、使用時の圧迫感がなく外気の流入のない携帯型空気清浄装置を提供することができる。
【0056】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る携帯型空気清浄装置100bは、図8(a)に示すように、顔側に前記空気放出部を有し、使用者の頭にかぶることが可能な形状である着用体1cと、当該着用体1cに取り付けられたユニット部2とを有する。また、図8(b)に示すように、着用体1cの開口部の内縁部であって、顔側以外の部分には空気漏れ防止手段4が形成される。なお、ユニット部2に関する構成等は、第1実施形態と同じである。
【0057】
次に、携帯型空気清浄装置100bの動作について説明する。
ユニット部2のスイッチ(不図示)を入れると、電源22から駆動電力が供給されてファン本体21が回転し、図8に示すように、空気取込部24から微粒子等を含む外気OA81が、ユニット部2に取り込まれ、調整手段23により微粒子が除去され清浄化された空気IA81、空気送出部25から着用体1cの内部に送出される。
【0058】
このように取り込まれた空気IA81は、着用体1cの開口部の内周部であって、顔側以外の部分には空気漏れ防止手段4が形成されているので、着用体1cと使用者の頭頂部との間の隙間を流れて、空気放出部11cから着用体1cの外部に放出される。
このため、取り込まれた空気IA81は、空気漏れ防止手段4が形成されていない着用体1cの顔側から鼻を覆うように勢い良く下方に向かい、空気の流れを顔と略平行に生じさせることができる。したがって、使用者は、清浄化された空気IA81のみを呼吸することができる。また、使用者の顔の部分には、常に上方から下方に向かう空気の流れが生じているので、外気が流入してしまうことを防止できる。
【0059】
以上のように、第3実施形態によれば、着用体1cが、顔側に前記空気放出部を有し、使用者の頭にかぶることが可能な形状であることにより、使用時の圧迫感がなく外気の流入のない携帯型空気清浄装置を提供することができる。
【0060】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0061】
また、本実施形態等において、調整手段23は、外気に含まれる有害物質を除去するフィルタ等の有害物質除去手段を例示しているが、酸素、薬剤成分等の呼吸することにより健康に有用な物質を含有させる有用物質発生手段であってもよい。
【0062】
また、本実施形態等において、着用体1の一例として、例えば、服状体として例示しているが、服状体は、必ずしも上半身を覆う服状でなくてもよくエプロン等の形状であってもよい。
【0063】
また、本実施形態等において、調整手段23を、空気取込部24に配置したが、ユニット部2の空気送出部25を取り巻くように配置してもよい。特に、調整手段23が、フィルタの場合には、フィルタの周囲にゴム等を設けて、空気送出部25を含めユニット部2の底部を包み込むようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態等において、ユニット部2に電源22を設けているが、ユニット部2には電源22は設けず、電源22は別所に設け、電源ケーブルにより接続してもよい。また、ユニット部2が大型の場合には、使用者の背中に背負うようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態等において、着用体1の内部には、特段、空気の流路を設けていないが、着用体1の内側に空気を上方にのみ移動させるためのガイド手段を形成してもよい。
【0066】
また、本実施形態等において、ユニット部2を着用体1に固定しているが、ユニット部2を外部に備え、清浄化された空気を導管等の導入手段を用いて、着用体1の内部に導入するものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
100、100a、100b 携帯型空気清浄装置
1、1a、1b、1c 着用体
11、11a、11b、11c 空気放出部
12 ユニット部取付孔
13 半袖部
14 裾部
15 空気誘導部
2 ユニット部
21 ファン本体
22 電源
23 調整手段
24 空気取込部
25 空気送出部
26 外周部
27、28 フランジ部
3、4 空気漏れ防止手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8