(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/36 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
B41F15/36
(21)【出願番号】P 2022536061
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027619
(87)【国際公開番号】W WO2022013999
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隼人
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-095097(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086137(WO,A1)
【文献】特開2019-034415(JP,A)
【文献】特開2005-305793(JP,A)
【文献】特開平09-109364(JP,A)
【文献】特開2008-173890(JP,A)
【文献】実開昭56-133452(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0015714(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0006525(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/36
B41F 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
印刷方向と直交する幅方向に配置され、かつ、平面視でワークの幅方向にある側部の外側でスクリーンの幅方向にある枠の内側に配置され、印刷中にスクリーンを押し上げる1対の押上部
と、
前記押上部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記ワークのへこみ部を印刷中に、前記押上部により前記スクリーンを押し上げるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
印刷方向の側部に配置され、印刷中にスクリーンを押し上げる押上部
と、
前記押上部を制御する制御部と
を備え、
前記押上部は、前記ワークの凸曲部に対応して配置されて
おり、
前記制御部は、前記ワークのへこみ部を印刷中に、前記押上部により前記スクリーンを押し上げるスクリーン印刷装置。
【請求項3】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
印刷方向の側部に配置され、印刷中にスクリーンを押し上げる押上部
と、
前記押上部を制御する制御部と
を備え、
前記押上部は、前記スクリーンを押し上げた状態で、前記ワークの凸曲部と前記スクリーンとの間にクリアランスを形成
し、
前記制御部は、前記ワークのへこみ部を印刷中に、前記押上部により前記スクリーンを押し上げるスクリーン印刷装置。
【請求項4】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
印刷方向の側部に配置され、印刷中にスクリーンを押し上げる押上部
と、
前記押上部を制御する制御部と
を備え、
前記押上部は、印刷方向と直交する方向に配置された1対の離着部を有
し、
前記制御部は、前記ワークのへこみ部を印刷中に、前記押上部により前記スクリーンを押し上げるスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記1対の離着部は、先頭が丸みを呈している請求項4に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記ワークを載せる印刷テーブルを備え、
前記押上部は、前記印刷テーブルに固定されている請求項1から5のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
印刷方向の側部に配置され、印刷中にスクリーンを押し上げる押上部と、
前記押上部を制御する制御部
と
を備え、
前記制御部は、前記ワークのへこみ部を印刷中に、前記押上部により前記スクリーンを押し上げ
るスクリーン印刷装置。
【請求項8】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法において、
前記ワークの
へこみ部を印刷中に、前記ワークの印刷方向と直交する幅方向にある側部において、印刷方向と直交する幅方向に配置され、かつ、平面視でワークの幅方向にある側部の外側でスクリーンの幅方向にある枠の内側に配置された1対の押上部により前記スクリーンを押し上げるスクリーン印刷方法。
【請求項9】
ワークに対してスキージによりスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法において、
前記ワークの
へこみ部を印刷中に、前記ワークの側部で押上部によ
りスクリーンを押し上げ、
前記押上部により前記スクリーンを押し上げることにより前記ワークの凸曲部と前記スクリーンとの間にクリアランスを形成するスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スクリーンを押し上げる押上手段を有するスクリーン印刷装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、へこみを有するワークのスクリーン印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスクリーン印刷装置は、印刷方向の側部に配置され印刷中にスクリーンを押し上げる押上部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、押上部が印刷方向の側部においてスクリーンを押し上げるので、へこみを有するワークに対して印刷をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の正面図。
【
図2】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の右側面図。
【
図3】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の平面図。
【
図4】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の動作フローチャート。
【
図5】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の前半へこみ印刷の動作説明図。
【
図6】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の曲面印刷の動作説明図。
【
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の平坦印刷の動作説明図。
【
図8】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の後半へこみ印刷の動作説明図。
【
図9】実施の形態1における押上部の配置詳細図。(a)は押上部が凸曲部の中心からずれて配置されている図、(b)は押上部が凸曲部の中心に配置されている図。
【
図10】実施の形態1におけるワークの変形例の説明図。(a)、(b)、(c)、(d)はへこみ部が中央にある図。(e)、(f)はへこみ部が前後にある図。
【
図11】実施の形態1における押上部80の移動固定の説明図。
【
図12】実施の形態1における押上部80の先端のキャップの説明図。(a)は右下がりのキャップ83の図、(b)は左下がりのキャップ83の図。
【
図13】実施の形態1における押上部80の配置例の説明図。
【
図14】実施の形態2におけるスクリーン印刷装置100の動作説明図。
【
図15】実施の形態2におけるスクリーン印刷装置100の動作説明図。
【
図16】実施の形態3におけるスクリーン印刷装置100の正面図。
【
図17】実施の形態3におけるスクリーン印刷装置100の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以上、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
なお、各実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」、「奥」、「高さ」、「幅」、「手前」、「縦」、「横」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置又は向き等を限定するものではない。
【0009】
実施の形態1.
***ワーク99の説明***
図1において、ワーク99の右側を前半ともいう。
図1において、ワーク99の左側を後半ともいう。
●ワーク99(
図1)
図1に示すように、ワーク99は、以下を有する。
●平坦部991(1か所)
●凸曲部992(2か所)
●へこみ部993(2か所)
【0010】
平坦部991は、平面を呈している部分である。
凸曲部992は、円弧を呈している曲面部分である。
へこみ部993は、平坦部991より窪んでいる部分である。
図1では、前半のへこみ部993と後半のへこみ部993がある。
前半のへこみ部993は、凹曲部994を有し、凹曲部994の右側に平坦面があり、左側に傾斜面がある。
後半のへこみ部993は、傾斜面のみを有する。
【0011】
***スクリーン91の説明***
●スクリーン91(
図3)
スクリーン91は、印刷方向と平行な複数の縦糸93を有する。
スクリーン91は、印刷方向と直交する複数の横糸94を有する。
縦糸93と横糸94は、メッシュ状に編まれている。
縦糸93のテンションは、横糸94のテンションよりも小さい。
具体的には、縦糸93のテンションは、横糸94のテンションの半分にする。
したがって、スクリーン91は、印刷方向のほうが、印刷方向と直交する方向よりも、伸縮性に富んでいる。
スクリーン91には、印刷パターンが形成されている。
印刷パターンは、スクリーン91が印刷圧力とワーク99の形状とにより伸縮することを考慮して形成されている。
ワーク99の平坦部991とスクリーン91との間には、クリアランスXがある。
【0012】
***スクリーン印刷装置100の構成の説明***
●スクリーン印刷装置100(
図1、
図2、
図3)
図1と
図2と
図3に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
図1において、紙面に向かって左右方向を横方向ともいう。
図1において、紙面に向かって上下方向を縦方向ともいう。
図1において、紙面に向かって奥行方向を幅方向ともいう。
図1において、スクリーン印刷装置100の印刷方向は、左方向である。
【0013】
スクリーン印刷装置100は、印刷テーブル70に載置されたワーク99に対してスクリーン印刷をする。
スクリーン印刷装置100は、スクリーン91を用いてスキージ92によりスクリーン印刷をする。
スクリーン印刷装置100は、以下を有する。
●筐体51
●テーブル台52
●支柱53
●制御部60
●印刷テーブル70
【0014】
●筐体51
筐体51は、スクリーン印刷装置100の基台となるものである。
筐体51は、左右方向に長尺の矩形の金属板である。
筐体51は、水平に配置されている。
【0015】
●テーブル台52
テーブル台52は、印刷テーブル70の搬出入に用いる移動台である。
テーブル台52は、左右方向に長尺の矩形の金属板である。
テーブル台52は、以下を固定している。
(1)支柱53
(2)制御部60
【0016】
●支柱53
支柱53は、テーブル台52に1個設けられている。
支柱53は、テーブル台52に固定されている柱である。
支柱53は、ベークライト、又は、金属で製作する。
支柱53は、上部に印刷テーブル70を取り付けている。
【0017】
●制御部60
制御部60は、スクリーン印刷装置100を制御し、スクリーン印刷動作を制御する。
制御部60は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、記憶装置により実現できる。
制御部60からの制御信号は、電気信号として信号線61により各部に伝達される。
【0018】
●印刷テーブル70(
図1と
図2と
図3)
図1と
図2と
図3を用いて、印刷テーブル70について説明する。
印刷テーブル70は、ワーク99を載置する。
【0019】
印刷テーブル70は、以下を有する。
(1)基部71
(2)治具72
【0020】
●(1)基部71
基部71は、印刷テーブル70の形を決定する基礎材である。
基部71は、ステンレス、その他の金属で製作される。
基部71は、1枚の矩形の金属板である。
【0021】
●(2)治具72
治具72は、基部71に対して交換可能に固定されている。
治具72は、ワーク99を載せるものである。
治具72は、上面がワーク99の形状と同じ形状をしている。
治具72は、上面がワーク99を嵌め込む凹部を有する。
凹部の形状はワーク99の外形と同じである。
凹部の深さは、ワーク99の厚さと同じか又はやや小さい。
治具72は、アルミニウム、その他の金属、合金、セラミック、又は樹脂で製作される。
治具72は、左右方向に基部71と同じ長さを有する。
治具72は、幅方向に基部71より小さい幅を有する。
治具72は、基部71の幅方向の中央に固定されている。
【0022】
●押上部80
押上部80は、印刷方向の側部に配置されている。
押上部80は、平面視で、ワーク99の外側で、スクリーン91の枠の内側に配置されている。
押上部80は、印刷テーブル70の基部71に固定されている。
押上部80は、スクリーン91を押し上げる。
押上部80は、ワーク99の凸曲部992に対応して配置されている。
図1では、押上部80は、左右2か所の配置されている。
右側の押上部80は、ワーク99の右側の凸曲部992に対応して配置されている。
左側の押上部80は、ワーク99の左側の凸曲部992に対応して配置されている。
【0023】
●1対の離着部81(
図2と
図3)
押上部80は、印刷方向と直交する方向に配置された1対の離着部81を有する。
図3では、2か所の押上部80があり、2対の離着部81が図示されている。
1対の離着部81の先端を結ぶ直線は、印刷方向と直交している。
離着部81の先端は、丸みを呈しており、スクリーン91を傷つけることがない。
図に示す離着部81の先頭の形状は、ハーフパイプ形状又は半円柱形状である。
ハーフパイプ又は半円柱の中心軸は、水平であり、印刷方向と直交している。
離着部81の先頭の形状は、半球状、ドーム形状でもよい。
離着部81の先頭に、ローラを設けてもよい。
離着部81の先頭の素材は、ゴム、ウレタン、樹脂、その他柔軟な素材が好ましい。
離着部81は、シリンダで構成する。
シリンダは、ロッドを上下に移動可能である。
【0024】
***動作の説明***
図4を用いて、スクリーン印刷装置100のスクリーン印刷方法について説明する。
ここでは、平坦部991と凸曲部992とへこみ部993とを有するワーク99を印刷する方法について説明する。
以下に述べるスクリーン印刷動作は、制御部60が信号線61により命令及び信号を送受信することにより実現できる。
印刷中、制御部60は、押上部80を制御する。
印刷中、制御部60は、スキージ92のアタック角度が一定に保たれるように制御する。
印刷中、制御部60は、ワーク99の凹凸形状とスクリーン91の伸縮状態に合わせて、印刷圧力が一定に保たれるように制御する。
【0025】
*準備工程S10*
スクリーン印刷装置100の電源がオンになると、制御部60は、以下の初期動作を開始する。
制御部60は、図示していない搬出入装置により、ワーク99を印刷テーブル70に載せ、テーブル台52を移動させ、ワーク99をスクリーン91の下に配置する。
制御部60は、図示していない吸引機構によりワーク99を治具72に吸引しワーク99を印刷テーブル70に固定する。
制御部60は、スキージ92を右側の印刷開始位置に移動させる。
初期状態で、ワーク99の平坦部991とスクリーン91との間には、クリアランスXがある。
【0026】
*前半へこみ印刷工程S20*
図5は、前半へこみ印刷を示す図である。
前半へこみ印刷工程S20は、右側の押上部80を押し上げて、右側のへこみ部993を印刷する工程である。
制御部60は、スキージ92の左方向への移動を開始して印刷を開始する。
制御部60は、ワーク99の右側のへこみ部993の印刷開始前に右側の押上部80の1対の離着部81のロッドを同時に上昇させる。
制御部60は、ワーク99の右側のへこみ部993を印刷中に、右側の押上部80によりスクリーン91を押し上げ続ける。
右側の押上部80は、スクリーン91を押し上げて、ワーク99の平坦部991とスクリーン91との間には、クリアランスXを維持する。
右側の押上部80は、スクリーン91を押し上げた状態で、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91との間にクリアランスを形成する。
へこみ部993の平坦面と凹曲部994と傾斜面との印刷中、右側の押上部80のスクリーンの押し上げが継続する。
前半へこみ印刷工程S20は、ワーク99のへこみ部993を印刷した時点で終了する。
【0027】
*平曲印刷工程S30*
図6は、凸曲印刷を示す図である。
凸曲印刷工程は、右側の押上部80を下降させて、前半の凸曲部992と平坦部991と後半の凸曲部992とを印刷する工程である。
【0028】
制御部60は、ワーク99の前半の凸曲部992の印刷中に、右側の押上部80の1対の離着部81のロッドを同時に徐々に下降させ、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91との間のクリアランスを徐々に消滅させる。
押上部80の下降により、凸曲部992への印刷が可能になる。
【0029】
図7は、平坦印刷を示す図である。
制御部60は、ワーク99の平坦部991を印刷する場合、左右の押上部80の離着部81を下降させたままにする。平坦部991を印刷中、ワーク99の平坦部991とスクリーン91との間のクリアランスは初期状態のクリアランスXと同じである。
【0030】
制御部60は、ワーク99の後半の凸曲部992を印刷する場合、左側の押上部80の1対の離着部81のロッドを同時に徐々に上昇させ、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91との間にクリアランスを形成する。
左側の押上部80は、スクリーン91を押し上げた状態で、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91との間にクリアランスを形成する。
平曲印刷工程S30は、ワーク99の後半の凸曲部992を印刷した時点で終了する。
【0031】
*後半へこみ印刷工程S40*
図8は、屈曲印刷後の後半へこみ印刷工程を示す図である。
後半へこみ印刷工程S40は、左側の押上部80の離着部81を押し上げて、左側のへこみ部993を印刷する工程である。
制御部60は、ワーク99の左側のへこみ部993の印刷開始後に左側の押上部80の1対の離着部81のロッドを同時に上昇させる。
制御部60は、ワーク99の左側のへこみ部993を印刷中に、左側の押上部80によりスクリーン91を押し上げ続ける。
左側の押上部80は、スクリーン91を押し上げて、ワーク99の平坦部991とスクリーン91との間には、クリアランスXを維持する。
左側の押上部80は、スクリーン91を押し上げた状態で、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91との間にクリアランスを形成する。
へこみ部993の傾斜面の印刷中、左側の押上部80のスクリーンの押し上げが継続する。
後半へこみ印刷工程S40は、ワーク99の左側の傾斜面を印刷した時点で終了する。
【0032】
印刷が終了すると、制御部60は、図示していない搬出入装置により、印刷が終了したワーク99を搬出する。
制御部60は、ワーク99の搬出後、次の印刷があるか判断し、次の印刷がある場合、準備工程S10に戻る。
制御部60は、次の印刷がなければ、印刷を終了する。
【0033】
●押上部80の配置例(
図9)
図9の(a)のへこみ部993から凸曲部992の印刷では、押上部80は、ワーク99の凸曲部992の中心999より右側に配置されている。押上部80の頂点82は、凸曲部992の内角Kの中央線Jの線上に配置されている。
このため、クリアランスXとクリアランスYとが同じ又はほぼ同じになる。
【0034】
図示しないが凸曲部992からへこみ部993へ印刷では、
図9の(a)の構成と左右対称になり、押上部80は、ワーク99の凸曲部992の中心999より左側に配置される。
【0035】
図9の(b)のへこみ部993から凸曲部992の印刷では、押上部80の左右の中央は、ワーク99の凸曲部992の中心999と同じ位置に配置されている。押上部80の頂点82は、凸曲部992の真上にある。
このため、クリアランスXはクリアランスYよりも大きくなる。クリアランスYは、印刷直後にスクリーン91がワーク99から離れるための距離であればよい。
【0036】
図示しないが凸曲部992からへこみ部993へ印刷では、
図9の(b)の構成と左右対称になり、押上部80の左右の中央は、ワーク99の凸曲部992の中心999と同じ位置に配置される。
【0037】
***実施の形態1の効果の説明***
実施の形態1によれば、印刷前にワーク99とスクリーン91とが触れることが防止でき、くぼみを有するワークに対して印刷することができる。
【0038】
***実施の形態1の変形例1***
●ワーク99とへこみ部993の変形例(
図10)
図10の(a)、(b)、(c)のように、へこみ部993がワーク99の中央のみにあってもよい。
図10の(a)のように、へこみ部993は、複数の平面のみで構成されていてもよい。
図10の(b)のように、へこみ部993は、曲面のみで構成されていてもよい。
図10の(c)のように、へこみ部993は、平面と凹曲面で構成されていてもよい。
図10の(d)のように、へこみ部993は、1枚の平面と2枚の凸曲面で構成されていてもよい。
図10の(e)、(f)のように、へこみ部993がワーク99の前後両側にあってもよい。
図10の(e)のように、へこみ部993は、平面でも曲面でもよい。
図10の(f)のように、平坦部がなくてもよい。
図10のいずれの場合も、押上部80は、凸曲部992に対応して配置されている。
【0039】
***実施の形態1の変形例2***
●印刷テーブル70の変形例(
図11)
図11に示す印刷テーブル70は、基部71が1対の固定溝73を有する。
固定溝73は、印刷方向と平行に設けられた溝である。
固定溝73は、押上部80を印刷方向にスライドさせることができ、押上部80を任意の位置で固定する。
固定溝73は、凸曲部992の位置に対応させて、押上部80を固定する。
このため、ワーク99の形状が変更され、凸曲部992の位置が変わっても、基部71を変更することなく、治具72を変更するだけで対応することができる。
【0040】
***実施の形態1の変形例3***
●押上部80の変形例(
図12)
図12に示す押上部80は、先端に、キャップ83を有する。
図12の(a)のキャップ83は、右下がりの円弧を有する。
図12の(b)のキャップ83は、左下がりの円弧を有する。
キャップ83は、交換可能である。
キャップ83の形状は、凸曲部992と同じ形状を有している。
凸曲部992の円弧とキャップ83の円弧は、同一の中心999を有し内角が同じで半径が異なる円弧である。
このため、ワーク99の凸曲部992とスクリーン91の凸形状が同一又はほぼ同一になり、クリアランスXとクリアランスYとが同じになる。
【0041】
***実施の形態1の変形例4***
●スクリーン印刷装置100の変形例(
図13)
図13に示すスクリーン印刷装置100は、ワーク99の屈曲が印刷方向に対して斜めになっている。
ワーク99の凸曲部992と凹曲部994とはすべて平行であるが、印刷方向と直交していない。
スキージ92は、同様に凸曲部992と凹曲部994と平行に設置される。
1対の離着部81は、凸曲部992の両側に配置されている。
1対の離着部81の先端を結ぶ線は、凸曲部992と同じく斜めになっており、印刷方向と直交していない。
【0042】
***実施の形態1の変形例5***
●押上部80の配置変形例(図なし)
押上部80を、基部71ではなく、治具72、支柱53、テーブル台52、又は、筐体51に配置してもよい。
押上部80は、1対の離着部81ではなく、複数対の離着部81を有していてもよい。
【0043】
***実施の形態1の変形例6***
●押上部80の制御変形例(図なし)
押上部80の1対の離着部81を同様に上昇させなくてもよい。
スクリーン91の印刷パターンによってスクリーン91の場所より強度が異なる。
スクリーン91の場所よりテンションが異なる。
そこで、制御部60は、スクリーン91の場所より離着部81による押上圧力を変更する。
なお、スクリーン91の押上部80が押し上げる押圧箇所に、スクリーン91の破壊又は変形を防止するパッチを張ることが望ましい。具体的には、スクリーン保護用のアルミニウムテープを貼付する。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1と異なる点について説明する。
【0045】
***スクリーン印刷装置100の構成の説明***
●スクリーン印刷装置100(
図14と
図15)
図14と
図15に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
実施の形態2のスクリーン印刷装置100は、印刷テーブル70が回転し、テーブル台52がスライドする。
【0046】
***スクリーン印刷装置100の動作の説明***
図14に示すように、制御部60は、右側のへこみ部993を印刷中に、印刷テーブル70を反時計回りに回転させる。
印刷テーブル70の回転により、右側のへこみ部993が上昇するので、印刷テーブル70が回転しない場合よりもスクリーン91の伸びが減少する。
制御部60は、右側の凸曲部992の印刷中に、印刷テーブル70を時計回りに回転させながら、右側の押上部80を下降させる。
平坦部991の印刷は、実施の形態1の
図7と同じである。
【0047】
図15に示すように、制御部60は、左側の凸曲部992を印刷中に、印刷テーブル70を時計回りに回転させ、同時に、テーブル台52を左にスライドさせる。
る。
凸曲部992の円弧の半径がRであり、内角がK度の場合、凸曲部992の円弧長Eは以下のようになる。
円弧長E=直径*円周率*円周に対する円弧の比
=(2*半径R)*3.14*(K度÷360度)
制御部60は、具体的には以下の制御をする。
(1)円弧の中心999を中心に印刷テーブル70をK度だけ時計周りに回転させる。
(2)筐体51に対してテーブル台52を左方向(印刷方向)に円弧長Eだけ移動させる。
(3)スキージ92を左方向(印刷方向)へ円弧長Eだけ移動させる。
(4)左側の押上部80を上昇させない。
【0048】
左側の凸曲部992を印刷のための印刷テーブル70の回転により、左側のへこみ部993が上昇し、左側のへこみ部993の傾斜面が水平になる。
左側のへこみ部993の傾斜面が水平なので、左側のへこみ部993の印刷中に、左側の押上部80を上昇させる必要がない。
左側のへこみ部993の印刷中は、左側のへこみ部993の傾斜面が水平なので、くぼみはなく、くぼみの存在によるスクリーン91の伸びは生じない。
【0049】
なお、制御部60は、右側の凸曲部992の印刷中に、左側の凸曲部992の印刷と同様に、印刷テーブル70を時計回りに回転させながら、テーブル台52を左にスライドさせてもよい。右側の凸曲部992の内角よりも、印刷テーブル70の回転角度が小さい場合、制御部60は、印刷テーブル70の回転角度に応じて、テーブル台52のスライド量を決定する。
【0050】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1と2と異なる点について説明する。
【0051】
***スクリーン印刷装置100の構成の説明***
●スクリーン印刷装置100(
図16)
図16に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
図16のスクリーン印刷装置100は、ワーク99が凸曲面のみを有している。
押上部80は、凸曲面の最も高い位置Tに対応して配置されている。
【0052】
***スクリーン印刷装置100の動作の説明***
ワーク99の右側と左側を印刷する場合、制御部60は、押上部80によりスクリーン91を押上げて、スクリーン91が、凸曲面の最も高い位置Tに触れることを防止する。
ワーク99の中央を印刷する場合、制御部60は、押上部80を下降させ、スクリーン91がワーク99の中央に接触して印刷することを可能にする。
【0053】
***スクリーン印刷装置100の構成の説明***
●スクリーン印刷装置100(
図17)
図17に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
図17のスクリーン印刷装置100は、ワーク99が平板であり、凹凸を有していない。
押上部80は、ワーク99の中央に配置されている。
【0054】
***スクリーン印刷装置100の動作の説明***
ワーク99の右側と左側を印刷する場合、制御部60は、押上部80によりスクリーン91を押上げる。
ワーク99の中央を印刷する場合、制御部60は、押上部80を下降させ、スクリーン91がワーク99の中央に接触して印刷することを可能にする。
ワーク99が長尺の場合、スクリーンの中央においてテンションが減少してスクリーンの中央が下降する傾向になる。
押上部80が印刷前方向に存在してスクリーン91を押上げる場合は、スクリーン91のテンションを高めることができる。
押上部80が印刷後方向に存在してスクリーン91を押上げる場合は、印刷後にスクリーン91がワーク99から離れるための距離を確保することができる。
【0055】
図示しないが、
図16と
図17において、印刷方向に対して、複数の押上部80を配置して、制御部60が複数の押上部80を順番に制御してもよい。
【0056】
以上、本発明の実施の形態と変形例について説明したが、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態と変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
51 筐体、52 テーブル台、53 支柱、60 制御部、61 信号線、70 印刷テーブル、71 基部、72 治具、73 固定溝、80 押上部、81 離着部、82 頂点、91 スクリーン、92 スキージ、93 縦糸、94 横糸、99 ワーク、991 平坦部、992 凸曲部、993 へこみ部、994 凹曲部、999 中心、100 印刷装置。