(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】逆止弁、吐出装置および塗布装置
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20230508BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230508BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
F16K15/14 A
B05C5/00 A
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2017159847
(22)【出願日】2017-08-23
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】井部 豪士
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-056129(JP,U)
【文献】特開2008-717(JP,A)
【文献】実公平1-13581(JP,Y2)
【文献】実開平05-068858(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0028978(US,A1)
【文献】特開平02-082981(JP,A)
【文献】実開平04-119672(JP,U)
【文献】特開平07-299402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0112294(US,A1)
【文献】特開2002-028553(JP,A)
【文献】特開平04-029768(JP,A)
【文献】特開平05-246452(JP,A)
【文献】特開平08-206568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
B05C 5/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体を一方向に流す逆止弁であって、
前記粘性流体を流す流路が形成された本体と、
前記流路を一次側流路と二次側流路に分割するように前記流路に配置され、前記一次側流路と前記二次側流路を連通する複数の穴が形成された支持部材と、
前記支持部材の前記二次側流路の側に配置され、弾性変形可能な封止部材と、
前記一方向に略垂直な平面内で前記封止部材の中心またはその近傍で前記封止部材を前記支持部材に接合する接合部材と、
を備え、
前記封止部材は、前記一次側流路の前記粘性流体の圧力が前記二次側流路の前記粘性流体の圧力より所定の圧力以上である場合、前記一次側流路の前記粘性流体の前記圧力により変形して、前記一次側流路から前記複数の穴を通して前記二次側流路へ前記粘性流体を流し、前記一次側流路の前記粘性流体の圧力が前記二次側流路の前記粘性流体の前記圧力より前記所定の圧力以上でない場合、前記二次側流路の前記粘性流体の前記圧力により前記支持部材に密着して前記粘性流体が前記二次側流路から前記複数の穴を通して前記一次側流路へ流れることを防止し、
前記一次側流路は、粘性流体供給装置から前記粘性流体を受け入れるように構成されており、
前記二次側流路は、前記粘性流体を吐出装置へ送るように構成されており、
前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されたときに、前記吐出装置内の圧力が低下し、
前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されていないとき、前記吐出装置内の圧力が上昇し、
前記封止部材は、前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されることに応答して
前記吐出装置内の圧力が低下したときに、前記一次側流路から前記複数の穴を通して前記二次側流路へ前記粘性流体を流すように変形するように構成されて
おり、
前記逆止弁は、前記粘性流体が前記粘性流体供給装置へ逆流することを防止するように構成されていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記支持部材を前記本体に固定する固定手段を備え、前記固定手段は
、前記本体に配置された段差部を備え
、前記段差部は、前記流路内に前記支持部材を支持するように構成されており、
前記吐出装置は、ノズルを開閉して前記粘性流体を吐出する弁を備えることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記支持部材は、前記本体と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記複数の穴の軸線は、前記一方向に平行であり、前記吐出装置は、前記粘性流体を基材へ塗布するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記封止部材が密着する前記支持部材の面は、平面であり、前記逆止弁は、前記粘性流体が前記粘性流体供給装置へ逆流することを防止するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記支持部材の前記平面は、前記一方向に略垂直に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記封止部材は、円盤形状であり、前記吐出装置は、室を備え、前記逆止弁は、前記室に連通していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記封止部材は、前記接合部材により一つの接合部で前記支持部材に接合されており、前記粘性流体は、ホットメルト接着剤又は食品であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記封止部材は、前記一次側流路の前記粘性流体の前記圧力が前記二次側流路の前記粘性流体の前記圧力より前記所定の圧力以上である場合、前記一次側流路の前記粘性流体の前記圧力により、前記封止部材の外周端部が前記支持部材から離れるようにほぼ半球状に湾曲することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の逆止弁。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の逆止弁を備え、
前記逆止弁を通して供給される粘性流体を基材へ吐出することを特徴とする吐出装置。
【請求項11】
粘性流体を供給する粘性流体供給装置と、
前記粘性流体を
前記粘性流体供給装置から受け取り前記粘性流体を基材へ吐出する
吐出装置であって、ノズルを開閉して前記粘性流体を吐出する弁を備える吐出装置と、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の逆止弁と、
を備え,
前記粘性流体供給装置は、材料収容部で構成されるホッパーと、前記ホッパー内の材料を溶融して前記粘性流体にする加熱器と、前記粘性流体を前記逆止弁に通して前記吐出装置へ圧送するポンプと、を備え
、
前記逆止弁は、前記吐出装置又は前記ポンプのいずれかに取り付けられていることを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
前記粘性流体供給装置と前記吐出装置は、前記粘性流体供給装置から前記吐出装置へ前記粘性流体を移送するホースまたはブロックにより接続されて
おり、
前記弁は、弁棒からなることを特徴とする請求項11に記載の塗布装置。
【請求項13】
ホースを更に備え、
前記逆止弁は、前記吐出装置に取り付けられて
おり、
前記粘性流体供給装置と前記吐出装置は、前記粘性流体供給装置から前記吐出装置へ前記粘性流体を移送する前記ホースにより接続されていることを特徴とする請求項
11に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記粘性流体供給装置は、
前記粘性流体を
前記吐出装置へ圧送するポンプを備え、
前記逆止弁は、前記ポンプに取り付けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性流体を一方向に流す逆止弁、逆止弁を有する吐出装置および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘性流体を基材へ塗布する塗布装置は、粘性流体供給装置と、粘性流体供給装置から供給される粘性流体を基材へ吐出する吐出装置と、吐出装置から粘性流体供給装置へ粘性流体が逆流することを防止する逆止弁90を有する(特許文献1)。
図6は、従来の逆止弁90の断面図である。逆止弁90は、本体91、ばね92、受け部材93、ボール弁94、押さえ部材95、およびOリング96、97を有する。本体91は、粘性流体を通す流路91aと、流路91aに連通する室91bが形成されている。ばね92は、本体91の室91bに収納されている。受け部材93は、室91bに収納され、ばね92を受けるばね受け部93aと、ボール弁94を受けるボール弁受け部93bが形成されている。ボール弁受け部93bには、複数の流路93cが設けられている。押さえ部材95は、粘性流体を通す流路95aと、ボール弁94を受ける弁座95bが形成されている。押さえ部材95の外周には、雄ねじ95cが形成されている。本体91の室91bには、雌ねじ91cが形成されている。雄ねじ95cが雌ねじ91cに螺合されて、押さえ部材95は、本体91に固定される。本体91の室91bと押さえ部材95の間には、Oリング96および97が設けられている。Oリング96および97は、本体91の室91bと押さえ部材95の間から粘性流体が漏れ出ることを防止する。
【0003】
図6(a)は、逆止弁90が閉じている状態を示す断面図である。押さえ部材95の流路95aは、粘性流体供給装置から供給される粘性流体を受け入れる。本体91の流路91aは、吐出装置に連通している。吐出装置の内部の粘性流体の圧力が高くなると、流路91a内の粘性流体の圧力およびばね92の圧縮力によりボール弁94が弁座95bに当接して流路95aをふさぐ。よって、吐出装置から粘性流体供給装置への粘性流体の逆流が防止される。
【0004】
図6(b)は、逆止弁90が開いている状態を示す断面図である。粘性流体供給装置から流路95aへ供給される粘性流体の圧力により、ボール弁94は、ばね92の付勢力に抗して下方へ移動して弁座95bから離れ、流路95aが開かれる。粘性流体は、流路95aからボール弁受け部93bの複数の流路93cを通り、ばね92を通り、流路91aを通って吐出装置へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の逆止弁90は、多数の部品からなるので粘性流体を通すための流路の形状が複雑であるとともに、多数の部品を配置するための空間が必要であるため、小型化が困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、簡単な構造で小型化が容易な逆止弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決する為に、本発明の一実施例による粘性流体を一方向に流す逆止弁は、
前記粘性流体を流す流路が形成された本体と、
前記流路を一次側流路と二次側流路に分割するように前記流路に配置され、前記一次側流路と前記二次側流路を連通する複数の穴が形成された支持部材と、
前記支持部材の前記二次側流路の側に配置され、弾性変形可能な封止部材と、
前記一方向に略垂直な平面内で前記封止部材の中心またはその近傍で前記封止部材を前記支持部材に接合する接合部材と、
を備え、
前記封止部材は、前記一次側流路の前記粘性流体の圧力が前記二次側流路の前記粘性流体の圧力より所定の圧力以上である場合、前記一次側流路の前記粘性流体の前記圧力により変形して、前記一次側流路から前記複数の穴を通して前記二次側流路へ前記粘性流体を流し、前記一次側流路の前記粘性流体の圧力が前記二次側流路の前記粘性流体の前記圧力より前記所定の圧力以上でない場合、前記二次側流路の前記粘性流体の前記圧力により前記支持部材に密着して前記粘性流体が前記二次側流路から前記複数の穴を通して前記一次側流路へ流れることを防止し、
前記一次側流路は、粘性流体供給装置から前記粘性流体を受け入れるように構成されており、
前記二次側流路は、前記粘性流体を吐出装置へ送るように構成されており、
前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されたときに、前記吐出装置内の圧力が低下し、
前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されていないとき、前記吐出装置内の圧力が上昇し、
前記封止部材は、前記吐出装置が前記粘性流体を吐出するように操作されることに応答して前記吐出装置内の圧力が低下したときに、前記一次側流路から前記複数の穴を通して前記二次側流路へ前記粘性流体を流すように変形するように構成されており、
前記逆止弁は、前記粘性流体が前記粘性流体供給装置へ逆流することを防止するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造で小型化が容易な逆止弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
(逆止弁)
以下、
図1、
図2および
図3を参照して、本実施例の逆止弁1を説明する。逆止弁1は、粘性流体を一方向(以下、流れ方向という)Xに流し、粘性流体が一方向と反対の逆方向に流れることを阻止する。
図1は、一例として、粘性流体の流れ方向Xが重力に逆らって下から上へ向かう方向である場合を示しているが、流れ方向Xは、重力方向に上から下へ向かう方向であってもよいし、又は、横方向に左から右へあるいは右から左へ向かう方向であってもよい。
図1は、本実施例の逆止弁1の断面図である。
図2は、本実施例の逆止弁1の底面図である。
図3は、本実施例の逆止弁1の斜視断面図である。逆止弁1は、本体2、支持部材3、封止部材4および接合部材5とからなる。本体(ブロック部材)2は、本体2を貫通する流路6が形成されている。粘性流体を通す流路6の断面形状は、円形である。しかし、流路6の断面形状は、任意の形状にしてもよい。流路6には、段差部9が形成されている。支持部材3は、段差部9に当接して配置されている。流路6は、支持部材3により一次側流路7と二次側流路8に分割されている。
【0013】
支持部材3は、円盤形状である。本実施例において、支持部材3の外周形状は、流路6の内周形状と互いに相補的である。しかし、流路6の断面形状と支持部材3の形状は、円形に限らず任意の形状にすることができる。支持部材3は、複数の穴3aが形成されている。複数の穴3aは、一次側流路7と二次側流路8とを連通する。支持部材3は、金属板にパンチングプレスの金型で複数の穴3aを開けたパンチングメタルである。支持部材3は、本体2に溶接されている。本実施例においては、段差部9と溶接により支持部材3は、本体2に固定されている。しかし、本体2と支持部材3との固定手段は、段差部9と溶接に限らず、溶接のみであってもよい。または、本体2の両側から切削により一次側流路7と二次側流路8を形成し、一次側流路7と二次側流路8の間に薄肉の支持部材3を本体2と一体に形成してもよい。封止部材4が接触する支持部材3の一面は、平面3bである。支持部材3の平面3bは、粘性流体の流れ方向Xに対して略垂直に設けられている。複数の穴3aの軸線は、流れ方向Xにほぼ平行である。支持部材3は、支持部材3の中心またはその近傍に接合部材5を通す穴3cが形成されている。
【0014】
封止部材4は、支持部材3の二次側流路8の側で支持部材3の平面3bに接触して配置されている。封止部材4は、弾性変形可能である。封止部材4は、二次側流路8の断面形状に合わせて円盤形状である。しかし、封止部材4の形状は、支持部材3の複数の穴3aを閉じることができれば、任意の形状にすることができる。封止部材4は、流れ方向Xに垂直な平面内で封止部材4の中心またはその近傍で、接合部材5により支持部材3に固定されている。本実施例において、接合部材5は、ピンである。しかし、接合部材5は、ブラインドリベット、又はボルト及びナットであってもよい。あるいは、封止部材4と支持部材3は、それらの中心またはその近傍で溶接により接合されていてもよい。本実施例において、封止部材4は、一つの接合部材5により一つの接合部で支持部材3に接合されている。しかし、複数の接合部材により複数の接合部で封止部材4を支持部材3に接合してもよい。その場合、複数の接合部を封止部材4の中心部に配置するとよい。封止部材4は、封止部材4の面4aの全体が支持部材3の平面3bに接触して支持部材3の複数の穴3aを閉じる閉状態(第一状態)と、封止部材4の中心を除き面4aが平面3bから離れ支持部材3の複数の穴3aを開く開状態(第二状態)とを取ることができるように変形可能な弾性部材からなる。封止部材4は、例えば、ゴムシート又は耐熱樹脂シートである。封止部材4は、耐熱性材料で形成されているとよいが、必ずしも耐熱性材料で形成されていなくてもよい。
【0015】
支持部材3に形成されている複数の穴3aは、多数の細孔である。封止部材4と支持部材3との間の密閉性をよくするために、穴3aの直径は、圧力損失が問題とならない限りできるだけ小さくしている。穴3aの直径が大きいと、封止部材4が撓むおそれがある。封止部材4が撓むと密閉性が低下するので、穴3aの直径はできるだけ小さくしている。
【0016】
図1(a)、
図2(a)及び
図3(a)は、封止部材4の面4aの全体が支持部材3の平面3bに接触して支持部材3の複数の穴3aを閉じる閉状態(第一状態)を示す図である。
図1(b)、
図2(b)及び
図3(b)は、封止部材4の中心を除き面4aが平面3bから離れ支持部材3の複数の穴3aを開く開状態(第二状態)を示す図である。一次側流路7の粘性流体の圧力が二次側流路8の粘性流体の圧力より所定の圧力以上である場合、一次側流路7の粘性流体の圧力により封止部材4が変形し、粘性流体は、
図1(b)及び
図3(b)に示す流れ方向Xに、一次側流路7から複数の穴3aを通って二次側流路8へ流れる。一方、一次側流路7の粘性流体の圧力が二次側流路8の粘性流体の圧力より所定の圧力以上でない場合、
図1(a)及び
図3(a)に示すように封止部材4が二次側流路8の粘性流体の圧力により支持部材3の平面3bに密着して支持部材3の複数の穴3aを閉じるので、粘性流体は、二次側流路8から一次側流路7へ流れることはない。所定の圧力は、流路6の断面積に対する複数の穴3aの断面積の総和の比率、封止部材4の曲げ剛性、粘性流体の粘度などにより変化する。
【0017】
(塗布装置)
以下、
図4および
図5を参照して、本実施例の逆止弁1が設けられた塗布装置10を説明する。
図4は、塗布装置10を示す図である。
図5は、塗布装置10のブロック図である。塗布装置10は、粘性流体としてのホットメルト接着剤を基材へ塗布してもよいし、粘性流体としてのチョコレートをアイスクリームコーンの内面へ塗布してもよい。塗布装置10は、粘性流体供給装置(メルター)11、吐出装置(ガン、吐出ヘッド、ノズル、ディスペンサ)12、粘性流体供給装置11から吐出装置12へ粘性流体を移送するホース13、及び吐出装置12から粘性流体供給装置11へ粘性流体が逆流することを防止する逆止弁1を備えている。
【0018】
粘性流体供給装置11は、材料を収容するホッパー(材料収容部)26と、ホッパー26内の材料を溶融して粘性流体にする加熱器27と、粘性流体を吐出装置12へ圧送するポンプ19と、ポンプ19を駆動するモータ20を備える。吐出装置12は、粘性流体を吐出するノズル31と、粘性流体を受け入れる室32と、ノズル31を開いたり閉じたりする弁棒33と、弁棒33をノズル31が閉じた閉位置へ付勢するばね34とを備える。弁棒33は、ノズル31から粘性流体を吐出するためにノズル31を開く開位置とノズル31からの粘性流体の吐出を止めるためにノズル31を閉じる閉位置とに移動可能である。弁棒33は、ばね34の付勢力により閉位置へ移動され、エアーの圧力によりばね34の付勢力に抗して開位置へ移動される。
【0019】
逆止弁1は、吐出装置12に取り付けられている。逆止弁1は、室32とホース13の間に配置されている。逆止弁1の一次側流路7は、ホース13へ連通している。逆止弁1の二次側流路8は、室32へ連通している。本実施例において、逆止弁1は、ホース13を介してポンプ19に接続されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、ホース13の代わりにブロックを介してポンプ19に接続されていてもよい。あるいは、逆止弁1は、ポンプ19の出口に直接接続されていてもよい。
【0020】
(逆止弁の動作)
弁棒33が開位置へ移動されると、室32内の粘性流体は、ノズル31から吐出される。室32内の粘性流体の圧力が低下すると、逆止弁1の封止部材4は、
図1(b)及び
図3(b)に示すように、室32の側へ向かってほぼ半球状に湾曲する。封止部材4の中心またはその近傍は、接合部材5により支持部材3に固定されているので、封止部材4の外周端部が支持部材3から離れ室32の側へ向かって移動するように封止部材4が変形する。封止部材4の外周端部が支持部材3から離れることにより、支持部材3の複数の穴3aが開き、複数の穴3aを通して粘性流体が一次側流路7から二次側流路8へ流れる。これによって、ポンプ19によりホース13を介して供給される粘性流体は、逆止弁1を通って室32へ供給される。なお、本実施例において、封止部材4は、ほぼ半球状に湾曲するが、封止部材4の湾曲形状は、半球状に限定されるものではない。封止部材4は、粘性流体の材料、粘度、流量、流速などに従って様々な形状に変形する。例えば、封止部材4は、皿形状、流線形状または波打った形状に湾曲してもよい。
【0021】
弁棒33が閉位置へ移動されると、ノズル31が閉じられ室32内の粘性流体の圧力が上昇する。逆止弁1の封止部材4は、室32内の粘性流体の圧力および弾性部材である封止部材4の復元力により、
図1(a)及び
図3(a)に示すように、支持部材3の平面3bを密閉する。支持部材3の複数の穴3aは、封止部材4により閉じられるので、室32からホース13へ粘性流体が逆流することが防止される。
【0022】
本実施例の逆止弁1は、支持部材3及び封止部材4が粘性流体の流れ方向Xに対して略垂直に配置されている。支持部材3に設けられた複数の穴3aは、一次側流路7と二次側流路8の圧力差に従って湾曲したり平らになったりする封止部材4により開かれたり閉じられたりする。逆止弁1は、ポンプ19から吐出装置12への一方向への粘性流体の流れを許容し、吐出装置12からポンプ19への反対方向への粘性流体の流れを阻止する。本実施例の逆止弁1は、既存の流路のわずかな空間に配置されることができる。逆止弁1を設けるために、既存の構造に新たな追加の空間を設ける必要性を抑制することができる。
【0023】
本実施例によれば、簡単な構造で小型化が容易な逆止弁1を提供することができる。
【0024】
本実施例の逆止弁1は、塗布装置10に限らず、溶融樹脂、ホットメルト、接着剤、食品などの様々な粘性流体を取り扱う様々な装置において粘性流体の逆流を防止するために使用される。
【0025】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0026】
1・・・逆止弁
2・・・本体
3・・・支持部材
3a・・・複数の穴
4・・・封止部材
5・・・接合部材
6・・・流路
7・・・一次側流路
8・・・二次側流路