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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20230508BHJP
   B65D 33/06 20060101ALI20230508BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/06
B65D33/25 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018128198
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2019043674
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017168399
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
(72)【発明者】
【氏名】中神 裕之
(72)【発明者】
【氏名】上西 正之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄太
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047278(JP,A)
【文献】特開昭57-008658(JP,A)
【文献】特開2004-359258(JP,A)
【文献】特開2010-083583(JP,A)
【文献】実開昭49-009623(JP,U)
【文献】登録実用新案第3098513(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 33/06
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと裏面シートとを備えるパウチ容器であって、
前記表面シートと前記裏面シートとに囲まれた空間が内容物としての経腸栄養剤の充填部を形成し、
前記充填部に繋がる開口部が、前記パウチ容器上部の前記表面シートと前記裏面シートとの間に形成されており、
前記パウチ容器は、さらに、
前記表面シートの内側に設けられた第1シートと、
前記裏面シートの内側に設けられた第2シートと、
前記表面シートと前記第1シートとの間に形成された第1内部空間と、
前記裏面シートと前記第2シートとの間に形成された第2内部空間と、
前記第1内部空間に指を挿入可能に形成された第1挿入口と、
前記第2内部空間に指を挿入可能に形成された第2挿入口と、
を備え、
前記第1シートは、上端縁が前記表面シートに繋がり、且つ下端縁の少なくとも一部が前記表面シートに繋がっておらず、
前記第2シートは、上端縁が前記裏面シートに繋がり、且つ下端縁の少なくとも一部が前記裏面シートに繋がっておらず、
前記第1内部空間および前記第2内部空間は、前記充填部の端縁に繋がる開口部が拡開された状態において、前記充填部に繋がる、パウチ容器。
【請求項2】
前記表面シートと前記第1シートとは、第1折り返し部を介して互いの上端縁が繋がっており、
前記裏面シートと前記第2シートとは、第2折り返し部を介して互いの上端縁が繋がっている、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記表面シートと前記第1シートとの間に設けられ、且つ下端縁が前記第1シートに繋がった第3シートと、
前記裏面シートと前記第2シートとの間に設けられ、且つ下端縁が前記第2シートに繋がった第4シートと、を備える、請求項1又は2に記載のパウチ容器。
【請求項4】
前記第1シートと前記第3シートとは、第3折り返し部を介して互いの下端縁が繋がっており、
前記第2シートと前記第4シートとは、第4折り返し部を介して互いの下端縁が繋がっている、請求項3に記載のパウチ容器。
【請求項5】
前記第1挿入口及び前記第2挿入口の双方が、容器幅方向から指を挿入可能に形成されている、請求項1ないし4のいずれかに記載のパウチ容器。
【請求項6】
前記第1挿入口は、前記表面シートに第1切り欠き又は第1切り込みにより形成されており、
前記第2挿入口は、前記裏面シートに第2切り欠き又は第2切り込みにより形成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のパウチ容器。
【請求項7】
前記第1切り欠き又は前記第1切り込みは、容器幅方向に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されており、
前記第2切り欠き又は前記第2切り込みは、容器幅方向に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されている、請求項6に記載のパウチ容器。
【請求項8】
前記開口部を閉じるチャックをさらに備えており、
前記第1シート及び前記第2シートは、前記チャックよりも上方に設けられている、請求項1ないし7のいずれかに記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ容器は、密封性や取り扱い性に優れることから、食料品やトイレタリー製品はもとより、経腸栄養剤や静脈栄養剤、輸液等の容器としても広く用いられている。栄養剤を患者に投与する際に使用される医療用パウチ容器には、栄養剤やその希釈液を注入するための開口部が設けられている。
【0003】
上記開口部から栄養剤等を注入する場合には、たとえば、容器の開口部周辺を片手で把持しながら開口部を押し広げる。このような作業は不安定であり、作業性の改善が求められている。このような状況に鑑みて、表面シートと裏面シートの外面に固定された軟質プラスチックシートとの間に側方から指を挿入するための貫通路を形成する1対の開閉操作部を備えた医療用パウチ容器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-78737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたパウチ容器においては、軟質プラスチックシートの上端縁及び下端縁それぞれが全長に渡って表面シート及び裏面シートに接合されている。このため、一対の開閉操作部を用いて開口部を拡開しようとすると、軟質プラスチックシートと表面シート及び裏面シートとの接合部によって、開口部を拡開するための変形が妨げられることが懸念される。あるいは、開口部を大きく拡開するために指に力を込めると、軟質プラスチックシートと表面シート及び裏面シートとの接合部に過大な力が作用し、接合部が損傷することが懸念される。このような破損は、内容物の漏れや外部からの汚染の原因となるため好ましくない。
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、よりスムーズに開口部を拡開することが可能なパウチ容器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるパウチ容器は、表面シートと裏面シートとを備えるパウチ容器であって、前記表面シートと前記裏面シートとに囲まれた空間が内容物の充填部を形成し、前記充填部に繋がる開口部が、前記パウチ容器上部の前記表面シートと前記裏面シートとの間に形成されており、前記パウチ容器は、さらに、前記表面シートの内側に設けられた第1シートと、前記裏面シートの内側に設けられた第2シートと、前記表面シートと前記第1シートとの間に形成された第1内部空間と、前記裏面シートと前記第2シートとの間に形成された第2内部空間と、前記第1内部空間に指を挿入可能に形成された第1挿入口と、前記第2内部空間に指を挿入可能に形成された第2挿入口と、を備え、前記第1シートは、上端縁が前記表面シートに繋がり、且つ下端縁の少なくとも一部が前記表面シートに繋がっておらず、前記第2シートは、上端縁が前記裏面シートに繋がり、且つ下端縁の少なくとも一部が前記裏面シートに繋がっていない。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記表面シートと前記第1シートとは、第1
折り返し部を介して互いの上端縁が繋がっており、前記裏面シートと前記第2シートとは、第2折り返し部を介して互いの上端縁が繋がっている。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記表面シートと前記第1シートとの間に設けられ、且つ下端縁が前記第1シートに繋がった第3シートと、前記裏面シートと前記第2シートとの間に設けられ、且つ下端縁が前記第2シートに繋がった第4シートと、を備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1シートと前記第3シートとは、第3折り返し部を介して互いの下端縁が繋がっており、前記第2シートと前記第4シートとは、第4折り返し部を介して互いの下端縁が繋がっている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1挿入口及び前記第2挿入口の双方が、容器幅方向から指を挿入可能に形成されている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1挿入口は、前記表面シートに第1切り欠き又は第1切り込みにより形成されており、前記第2挿入口は、前記裏面シートに第2切り欠き又は第2切り込みにより形成されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1切り欠き又は前記第1切り込みは、容器幅方向に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されており、前記第2切り欠き又は前記第2切り込みは、容器幅方向に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記開口部を閉じるチャックをさらに備えており、前記第1シート及び前記第2シートは、前記チャックよりも上方に設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記第1シート及び前記第2シートの下端縁に、前記表面シート及び前記裏面シートに繋がっていない部分が設けられている。指によって前記開口部を拡開する際には、前記表面シート及び前記裏面シートと前記第1シート及び前記第2シートとが、大きく変形する。前記第1シート及び前記第2シートの下端縁は、前記開口部に比較的近い位置に設けられている。仮に、前記第1シート及び前記第2シートの下端縁が全長に渡って前記表面シート及び前記裏面シートに接合されていると、これらの接合部分が、前記開口部を拡開させるための変形を妨げることが懸念される。本発明によれば、前記表面シート及び前記裏面シートと前記第1シート及び前記第2シートとの剛性が不当に高められることを抑制し、より大きな変形を生じやすい。したがって、よりスムーズに前記開口部を拡開することができる。
【0016】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器を示す背面図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図1のV-V線に沿う断面図である。
図6図1のVI-VI線に沿う断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器に指を挿入した状態を示す正面図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿う要部断面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器に指を挿入し開口部を拡開した状態を示す上面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の製造方法の一例を示す要部正面である。
図11】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第1変形例を示す要部正面図である。
図12図11のXII-XII線に沿う要部断面図である。
図13】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第2変形例を示す正面図である。
図14】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第3変形例を示す断面図である。
図15】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第4変形例を示す要部正面図である。
図16図15のXVI-XVI線に沿う要部断面図である。
図17】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第5変形例を示す要部正面図である。
図18】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第6変形例を示す要部正面図である。
図19】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第7変形例を示す要部正面図である。
図20】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第8変形例を示す要部正面図である。
図21図20のXXI-XXI線に沿う要部断面図である。
図22】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第9変形例を示す要部正面図である。
図23図22のXXIII-XXIII線に沿う要部断面図である。
図24】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第10変形例を示す要部正面図である。
図25図24のXXV-XXV線に沿う要部断面図である。
図26】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第11変形例を示す要部正面図である。
図27】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第12変形例を示す要部正面図である。
図28】本発明の第1実施形態に係るパウチ容器の第13変形例を示す要部正面図である。
図29】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器を示す要部正面図である。
図30図29のXXX-XXX線に沿う要部断面図である。
図31】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第1変形例を示す要部正面図である。
図32図31のXXXII-XXXII線に沿う要部断面図である。
図33】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第2変形例を示す要部正面図である。
図34図33のXXXIV-XXXIV線に沿う要部断面図である。
図35】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第3変形例を示す要部正面図である。
図36】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第4変形例を示す要部正面図である。
図37】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第5変形例を示す要部正面図である。
図38】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第6変形例を示す要部正面図である。
図39】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第7変形例を示す要部正面図である。
図40】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第8変形例を示す要部正面図である。
図41】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第9変形例を示す要部正面図である。
図42】本発明の第2実施形態に係るパウチ容器の第10変形例を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1図28は、第1実施形態及びその変形例を、図29図42は、第2実施形態をそれぞれ示す。
【0020】
以下では、パウチ容器に注入される充填物として液状の栄養剤(図示せず)を例示する。但し、充填物は、これに限定されず、例えば、栄養剤を希釈するための水等であってもよく、ゼリー状やペースト状の物であってもよい。本発明のパウチ容器は、内部に栄養液や輸液等の液状物が収容されて栄養剤補給用バッグや輸液バッグ等の医療用バッグとして好適に用いられるが、本発明の構成は医療用途に限定されず、各種食料品等の容器に適用されてもよい。
【0021】
以下では、あるシートの端縁が他のシートに繋がる構造が記載される。本明細書において「あるシートの端縁が他のシートに繋がる」とは、2つの別体のシート材料が互いに固定された構造と、1つのシート材料が折り返されることにより、2つのシートの間に折り返し部が介在する構造と、を含む概念である。また、シート同士の「固定」は、ヒートシールや接着剤等による接合を含む概念である。
【0022】
以下では、開口部よりも下方の部分が後述の表面シート1A及び裏面シート1Bのみから構成される平パウチを例示するが、スタンディングパウチやサイドガゼットパウチなど、他のパウチ形態に本発明の構成を適用してもよい。なお、これらのガゼットを有するパウチ容器において、当該ガゼット部のシール部に後述の係止部72を設ける場合は、表面シート1A及び裏面シート1Bのいずれかに当該ガゼット部を含む。即ち、表面シート1A及び裏面シート1Bの側端部同士を接合して形成される後述の側方シール部62は、例えば、表面シート1Aとガゼット部(裏面シート1Bの一部)の側端部同士を接合して形成される側方シール部62をも含むものである。
【0023】
以下では、便宜上「容器縦方向」を「容器上下方向」とし、後述の開口部52が形成される「縦方向一端側」を「上」、後述の注出部54が設けられる「容器縦方向他端側」を「下」として説明する。また、各シートが積層される方向を「容器表裏方向」とし、容器上下方向及び容器表裏方向に直交する方向(容器幅方向)を「容器横方向、又は容器幅方向」として説明する。以下では、単に、上下方向、表裏方向、横方向又は幅方向という場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
図1図9を参照しつつ、第1実施形態に係るパウチ容器A1について説明する。図1は、パウチ容器A1を示す正面図である。図2は、パウチ容器A1を示す背面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図1のV-V線に沿う断面図である。図6は、図1のVI-VI線に沿う断面図である。図7は、パウチ容器A1に指を挿入した状態を示す正面図である。図8は、図7のVII-VII線に沿う要部断面図である。図9は、パウチ容器A1に指を挿入し開口部52を拡開した状態を示す上面図である。なお、図3図6及び図8においては、パウチ容器A1の構造の理解の便宜上、各シートの厚さを誇張することにより模式的に示している。また、図4は、後述の第1舌片13A及び第2舌片13Bを内側に折返した状態を示している。
【0025】
パウチ容器A1は、表面シート1A、裏面シート1B、第1シート2A、第2シート2B、第3シート3A及び第4シート3Bを備えており、第1内部空間4A、第2内部空間4B、第1挿入口5A、第2挿入口5B、充填部51、開口部52、底シール部61、一対の側方シール部62、第1接合部65A及び第2接合部65Bが形成されている。図示されたパウチ容器A1の正面視形状は、全体として略矩形状であるが、パウチ容器A1の形状はこれに限定されない。例えば、パウチ容器A1の正面視形状は、例えば、円形状、楕円形状、オーバル(卵)形状、三角形(好適には逆三角形)、多角形等の各種形状が採用され得る。
【0026】
表面シート1A及び裏面シート1Bは、表裏方向に互いに重ね合わされており、パウチ容器A1の外面のほとんどを構成している。図1図3に示すように、底シール部61は、表面シート1Aと裏面シート1Bとの下端縁及び下端縁近傍部分を含む下端部同士が接合されることにより形成されている。図1図2及び図4に示すように、一対の側方シール部62は、表面シート1Aと裏面シート1Bとの一対の側端縁及び一対の側端縁近傍部分を含む一対の側端部同士が接合されることにより形成されている。なお、側方シール部62の上部においては、表面シート1Aと裏面シート1Bとの間に第1シート2A、第2シート2B、第3シート3A及び第4シート3Bが挟まれた状態で接合されている。底シール部61及び一対の側方シール部62における接合手法は、たとえばヒートシールが好適に用いられる。
【0027】
充填部51は、底シール部61及び一対の側方シール部62の内端によって正面視形状が規定された、表面シート1Aと裏面シート1Bとによって囲まれた空間である。充填部51は、栄養剤等の内容物を充填するための部位である。開口部52は、表面シート1A及び裏面シート1Bの非接合部分によって形成されている。開口部52は、上方に向けて開口しており、充填部51の上端縁に繋がっている。
【0028】
パウチ容器A1には、チャック53が設けられている。チャック53は、開口部52を開閉するためのものである。チャック53が閉じられると、底シール部61、一対の側方シール部62及びチャック53によって充填部51が密閉される。チャック53の具体的構成は特に限定されず、図示された例においては、図3に示すように、凸条部付きのシートと、凸条部に嵌合する凹条部付きのシートとが、対向配置された構成である。同図においては、凸条部付きのシートが裏面シート1Bの内面に接合されており、凹条部付きのシートが表面シート1Aの内面に接合されている。
【0029】
図1及び図2に示すように、パウチ容器A1には、注出部54が設けられている。注出部54は、充填部51に充填された栄養剤を注出するためのものである。注出部54は、例えば、栓付きのプラスチック管であって、表面シート1A及び裏面シート1Bの斜めにカットされた下端縁と側端縁との角部に取り付けられている。注出部54は、後述の吊り下げ孔71と対角線方向で対向する角部に設けられている。具体的には、表面シート1Aと裏面シート1Bの間に注出部54を挟んだ状態で各部材を接合することにより注出シール部63が形成されており、これにより注出部54が取り付けられている。
【0030】
注出部54には、例えば、長尺状のチューブ(図示略)が取付けられる。このチューブは、充填部51に連通接続される注出部54の内側開口部と反対の外側開口部に対して接続される。当該チューブは、従来公知のものが使用可能であって詳しい説明を省略するが、可撓性のチューブであり、必要に応じてチャンバー(点滴筒)やクレンメ(流量調整器)、コネクター等(何れも図示せず)が設けられて、鼻腔等から挿入されて胃や十二指腸等の患者体内(図示せず)に至っている。そして、充填部51に収容される栄養剤等の内容物が当該チューブを通じて患者の体内に投与される。
【0031】
図1及び図2に示すように、パウチ容器10には、吊り下げ孔71が設けられている。図示された例においては、吊り下げ孔71は、注出部54の長手方向の延長線上に配置されている。吊り下げ孔71は、側方シール部62の一部を幅広に形成し、当該幅広シール部を表裏方向に打ち抜くことで形成される。パウチ容器A1に充填された栄養剤を患者に投与する際には、吊り下げ孔71をフック等(図示略)に引っ掛ける。これにより、注出部54の長手方向が鉛直方向に沿った状態となり、栄養剤を容易に注出することができる。なお、吊下フック等が挿通される吊り下げ孔71の形状は図示された形状に限定されない。例えば、三角形等にすることにより、パウチ容器A1をスタンド等に懸架した際の、パウチ容器の向きを調節することができる。
【0032】
また、パウチ容器A1には、一対の係止部72が設けられている。一対の係止部72は、側方シール部62の一部に切り込みが形成されることにより設けられており、吊り下げ孔71の下方に位置している。なお、係止部72の個数は、1つでもよいし3つ以上でもよい。係止部72は、注出部54に取付けられたチューブを係止することにより、チューブを使用しやすい状態に維持するためのものである。一対の係止部72は、操作性向上等の観点から、互いに近接して形成されることが好ましく、例えば互いの間隔をチューブの直径の2倍~5倍程度の長さに設定することが好ましい。また、係止部72の横方向長さは、チューブの保持性や充填部51の容量確保等の観点から、好ましくはチューブの直径の1.5倍~5倍程度、より好ましくはチューブの直径の1.8倍~3倍程度である。これにより、係止部72に対して、チューブを湾曲させて挿入するといった煩雑な操作が不要となり、チューブの中間部分を容易に挿入することが可能となる。
【0033】
図1図3及び図4に示すように、第1シート2Aは、表面シート1Aの上部に重なるように配置されており、表面シート1Aの内側に設けられている。第1シート2Aの上端縁は、表面シート1Aに繋がっている。第1シート2Aの上端縁が表面シート1Aに繋がる構造は特に限定されず、図示された例においては第1シート2Aの上端縁と表面シート1Aの上端縁とが、第1折り返し部15Aを介してそれぞれの全長にわたって繋がっている。すなわち、図示された例においては、表面シート1Aと第1シート2Aとは、連続した1枚のシート材料によって形成されている。第1シート2Aの下端縁は、少なくともその一部が表面シート1Aに繋がっていない。図示された例においては、第1シート2Aの下端縁のうち側方シール部62と後述の第1側方接合部652Aとに含まれる部分が表面シート1Aに接合によって固定されており、それ以外の部分が表面シート1Aに繋がっていない。また、第1シート2Aは、チャック53よりも上方に設けられている。図示された例においては、図1に示すように、第1シート2Aの正面視形状は、表面シート1Aのうちチャック53よりも上方に位置する部分と略一致している。
【0034】
図1及び図3に示すように、第3シート3Aは、表面シート1Aの上部および第1シート2Aの下部に重なるように配置されており、表面シート1Aと第1シート2Aとの間に設けられている。第3シート3Aの下端縁は、第1シート2Aに繋がっている。第3シート3Aの下端縁が第1シート2Aに繋がる構造は、特に限定されず、図示された例においては第3シート3Aの下端縁と第1シート2Aの下端縁とが、第3折り返し部25Aを介してそれぞれの全長にわたって繋がっている。すなわち、図示された例においては、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aは、連続した1枚のシート材料によって形成されている。第3シート3Aの上端縁は、側方シール部62と第1側方接合部652Aとに含まれる部分が表面シート1A及び第1シート2Aに接合によって固定されており、それ以外の部分が表面シート1A及び第1シート2Aに繋がっていない。また、第3シート3Aは、チャック53よりも上方に設けられている。
【0035】
図1図4及び図5に示すように、第1接合部65Aは、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aのうち少なくとも2つ同士が接合されることにより形成されており、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aのうち少なくとも2つ同士を互いに固定する部分である。第1接合部65Aにおける表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aの接合手法は特に限定されず、例えばヒートシールや接着剤による接合が挙げられ、本実施形態においては、ヒートシールが採用されている。図示された例においては、第1接合部65Aは、第1側方接合部652Aを有する。第1側方接合部652Aは、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aの側端部同士が接合されることにより形成されている。図示された例は、表面シート1Aの外面が後述のベースフィルム層からなり、内面が後述のシーラント層からなる場合であり、図5に示すように、表面シート1Aと第1シート2Aとのシーラント層同士が、ヒートシールによって接合されている。また、第1シート2Aと第3シート3Aとのシーラント層同士が、ヒートシールによって接合されている。一方、第3シート3Aのベースフィルム層が表面シート1Aと向かい合っており、この部分はヒートシールによって接合されない。図示された例においては、第3シート3Aに切り欠き310Aが形成されている。この切り欠き310Aを通じて、表面シート1Aのシーラント層と第1シート2Aのシーラント層とが接合されている。
【0036】
図1図3図4図6に示すように、第1内部空間4Aは、表面シート1Aと第1シート2Aとの間に形成された空間であり、開口部52を拡開して栄養剤を充填部51に注入する際に指を挿入する空間として使用される。本実施形態においては、表面シート1Aの内面と第1シート2Aとによって、第1内部空間4Aが規定されている。また、本実施形態においては、第1内部空間4A内に、第3シート3Aが存在する構成となっている。図示された例においては、第1内部空間4Aの正面視形状は、第1折り返し部15A、第1側方接合部652Aの内端縁、側方シール部62の内端縁及び第3折り返し部25Aによって規定されている。
【0037】
図1図4図7及び図8に示すように、第1挿入口5Aは、第1内部空間4Aに指を挿入可能に形成されたものである。本実施形態においては、第1挿入口5Aは、容器幅方向から指を挿入可能に形成されている。第1挿入口5Aを設ける手法は特に限定されず、好ましい手法として切り込み又は切り欠きを形成することが挙げられる。「切り込み」とは、シートを切除しないカット部を意味し、「切り欠き」とは、シートを切除するカット部を意味する。図示された例においては、第1挿入口5Aは、表面シート1Aに第1切り込み12Aが形成されることによって設けられている。また、図示された例においては、第1切り込み12Aは、容器幅方向外方に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されている。第1切り込み12Aがこのような形状であることにより、表面シート1Aには、第1舌片13Aが形成されている。第1舌片13Aは、表面シート1Aのうち第1切り込み12Aと第1切り込み12Aの両端を結ぶ仮想線(図1参照、以下第1舌片13Aの「付け根線」という)とによって囲まれた部分である。このような構成においては、第1挿入口5Aは、第1舌片13Aに塞がれた格好となっている。図示された例においては、第1切り込み12Aの両端を結ぶ仮想線が上下方向に対して若干傾いている。また、好ましくは、第1舌片13Aは、内側に折返した状態で表面シート1Aに接合等によって固定されていてもよい。
【0038】
図2図4に示すように、第2シート2Bは、裏面シート1Bの上部に重なるように配置されており、裏面シート1Bの内側に設けられている。第2シート2Bの上端縁は、裏面シート1Bに繋がっている。第2シート2Bの上端縁が裏面シート1Bに繋がる構造は特に限定されず、図示された例においては第2シート2Bの上端縁と裏面シート1Bの上端縁とが、第2折り返し部15Bを介してそれぞれの全長にわたって繋がっている。すなわち、図示された例においては、裏面シート1Bと第2シート2Bとは、連続した1枚のシート材料によって形成されている。第2シート2Bの下端縁は、少なくともその一部が裏面シート1Bに繋がっていない。図示された例においては、第2シート2Bの下端縁のうち側方シール部62と後述の第2側方接合部652Bとに含まれる部分が裏面シート1Bに接合によって固定されており、それ以外の部分が裏面シート1Bに繋がっていない。また、第2シート2Bは、チャック53よりも上方に設けられている。図示された例においては、図1に示すように、第2シート2Bの正面視形状は、裏面シート1Bのうちチャック53よりも上方に位置する部分と略一致している。
【0039】
図2及び図3に示すように、第4シート3Bは、裏面シート1Bの上部および第2シート2Bの下部に重なるように配置されており、裏面シート1Bと第2シート2Bとの間に設けられている。第4シート3Bの下端縁は、第2シート2Bに繋がっている。第4シート3Bの下端縁が第2シート2Bに繋がる構造は、特に限定されず、図示された例においては第4シート3Bの下端縁と第2シート2Bの下端縁とが、第4折り返し部25Bを介してそれぞれの全長にわたって繋がっている。すなわち、図示された例においては、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bは、連続した1枚のシート材料によって形成されている。第4シート3Bの上端縁は、側方シール部62と第2側方接合部652Bとに含まれる部分が裏面シート1B及び第2シート2Bに固定されており、それ以外の部分が裏面シート1B及び第2シート2Bに繋がっていない。また、第4シート3Bは、チャック53よりも上方に設けられている。
【0040】
図2図4及び図5に示すように、第2接合部65Bは、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bのうち少なくとも2つ同士が接合されることにより形成されており、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bのうち少なくとも2つ同士を互いに固定する部分である。第2接合部65Bにおける裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bの接合手法は特に限定されず、例えばヒートシールや接着剤による接合が挙げられ、本実施形態においては、ヒートシールが採用されている。図示された例においては、第2接合部65Bは、第2側方接合部652Bを有する。第2側方接合部652Bは、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bの側端部同士が接合されることにより形成されている。図示された例は、裏面シート1Bの外面が後述のベースフィルム層からなり、内面が後述のシーラント層からなる場合であり、図5に示すように、裏面シート1Bと第2シート2Bとのシーラント層同士が、ヒートシールによって接合されている。また、第2シート2Bと第4シート3Bとのシーラント層同士が、ヒートシールによって接合されている。一方、第4シート3Bのベースフィルム層が裏面シート1Bと向かい合っており、この部分はヒートシールによって接合されない。図示された例においては、第4シート3Bに切り欠き310Bが形成されている。この切り欠き310Bを通じて、裏面シート1Bのシーラント層と第2シート2Bのシーラント層とが接合されている。
【0041】
図2図3図4図6に示すように、第2内部空間4Bは、裏面シート1Bと第2シート2Bとの間に形成された空間であり、開口部52を拡開して栄養剤を充填部51に注入する際に指を挿入する空間として使用される。本実施形態においては、裏面シート1Bの内面と第2シート2Bとによって、第2内部空間4Bが規定されている。また、本実施形態においては、第2内部空間4B内に、第4シート3Bが存在する構成となっている。図示された例においては、第2内部空間4Bの正面視形状は、第2折り返し部15B、第2側方接合部652Bの内端縁、側方シール部62の内端縁及び第4折り返し部25Bによって規定されている。
【0042】
図2図4図7及び図8に示すように、第2挿入口5Bは、第2内部空間4Bに指を挿入可能に形成されたものである。本実施形態においては、第2挿入口5Bは、容器幅方向から指を挿入可能に形成されている。第2挿入口5Bを設ける手法は特に限定されず、好ましい手法として切り込み又は切り欠きを形成することが挙げられる。図示された例においては、第2挿入口5Bは、裏面シート1Bに第2切り込み12Bが形成されることによって設けられている。また、図示された例においては、第2切り込み12Bは、容器幅方向外方に向かって凸状に膨らむ曲線で形成されている。第2切り込み12Bがこのような形状であることにより、裏面シート1Bには、第2舌片13Bが形成されている。第2舌片13Bは、裏面シート1Bのうち第2切り込み12Bと第2切り込み12Bの両端を結ぶ仮想線(図2参照、以下第2舌片13Bの「付け根線」という)とによって囲まれた部分である。このような構成においては、第2挿入口5Bは、第2舌片13Bに塞がれた格好となっている。図示された例においては、第2切り込み12Bの両端を結ぶ仮想線が上下方向に対して若干傾いている。また、好ましくは、第2舌片13Bは、内側に折返した状態で裏面シート1Bに接合等によって固定されていてもよい。
【0043】
図1及び図2に図示された例においては、第1切り込み12A及び第2切り込み12Bは、幅方向外方に向かって凸状に膨らむ曲線と、当該曲線の両端から幅方向内方を経由して上下方向両側に回り込む一対の曲線とを含んでいる。なお、図示された例においては、第1切り込み12Aと第2切り込み12Bとは、互いの形状、大きさ及び幅方向に対する角度等が同じであるが、このような構成に限定されず、互いの形状、大きさ及び幅方向に対する角度等の少なくともいずれかが異なっていてもよい。
【0044】
図示された例においては、表面シート1A及び裏面シート1Bの外面がベースフィルム層からなり、内面がシーラント層からなる場合であることから、図1図2図4及び図6に示すように、第1シート2Aのうち側方シール部62を構成する部分に2つの貫通孔210Aが形成されており、第2シート2Bのうち側方シール部62を構成する部分に2つの貫通孔210Bが形成されている。また、第3シート3Aのうち側方シール部62を構成する部分に2つの切り欠き310Aが形成されており、第4シート3Bのうち側方シール部62を構成する部分に2つの切り欠き310Bが形成されている。図4によく表れているように、貫通孔210A及び貫通孔210Bを通じて、表面シート1Aのシーラント層と裏面シート1Bのシーラント層とがヒートシールによって接合されている。また、図6に示すように、切り欠き310Aを通じて、表面シート1Aのシーラント層と第1シート2Aのシーラント層とがヒートシールによって接合されており、切り欠き310Bを通じて、裏面シート1Bのシーラント層と第2シート2Bのシーラント層とがヒートシールによって接合されている。
【0045】
図1及び図2に示す例においては、側方シール部62の下方部分が、幅方向外方に突出した形状である。側方シール部62の上方部分は、相対的に幅方向内方に位置しており、この部分に第1側方接合部652A及び第2側方接合部652Bが繋がっている。このため、第1側方接合部652A及び第2側方接合部652B(第1内部空間4A及び第2内部空間4B)は、側方シール部62の下方部分よりも幅方向内方に位置する部分を有している。
【0046】
パウチ容器A1を構成する各シートは、通常、樹脂フィルムから構成される。シートを構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記各シール部及び上記接合部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シートにはヒートシール性も要求される。シートとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層と
シーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。また、シートの両面にヒートシール性を付与する場合は、後述のシーラント層を形成する単層フィルムを用いてもよいし、複層シートの場合は、同種又は異種のシーラント層を二層有するか(このとき、シーラント層の一層を形式的にベースフィルム層として用いることになる)、或いはベースフィルム層の両面にシーラント層を有するシートを用いてもよい。本実施形態では、表面シート1A及び裏面シート1Bとして、外面がベースフィルム層からなり内面がシーラント層からなる複層シートが使用されている。図示された例においては、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aが1枚のシートからなるため、第1シート2A及び第3シート3Aのうち表面シート1Aの外面に繋がる面がベースフィルム層からなり、表面シート1Aの内面に繋がる面がシーラント層からなる。また、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bが1枚のシートからなるため、第2シート2B及び第4シート3Bのうち裏面シート1Bの外面に繋がる面がベースフィルム層からなり、内面に繋がる面がシーラント層からなる。
【0047】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0048】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0049】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。
【0050】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0051】
表面シート1A又は裏面シート1Bには、例えば、栄養剤の液量を計測するための目盛り(図示せず)を設けることが好適である。なお、目盛りの他にも、商品名や原材料、使用上の注意事項などを表示する印刷層を設けてもよい。
【0052】
次に、図10を参照しつつ、パウチ容器A1の製造方法の一例について説明する。図10は、パウチ容器A1の製造方法の一例の一工程を示しており、各シートの長尺体を積層し、各シール部を形成する工程を模式的に示す要部正面図である。
【0053】
図10に示すように、まず、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aとなる長尺体1Az、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bとなる長尺体1Bz、チャック53となる長尺体53zをそれぞれ準備する。同図右端から続く部分を参照して、長尺体1Bzの折り返し工程を説明する。なお、この工程は、長尺体1Azについても同様である。
【0054】
図示された例においては、長尺体1Bzに第2切り込み12B、貫通孔210B、貫通孔320Bを予め形成しておく。横長の貫通孔320Bは、後の工程において吊り下げ孔71が形成されることにより、2つの切り欠き310Bとなる部分である。次いで、長尺体1Azに設定された折返し線18Bzに沿って、長尺体1Bzを折り返す。これにより、第2折り返し部15Bと長尺体2Bzとが形成される。次いで、折返し線18Bzよりも長尺体1Bzの上端縁寄りに設定された折返し線19Bzに沿って、長尺体1Bzを折り返す。これにより、第4折り返し部25Bと長尺体3Bzとが形成される。
【0055】
長尺体1Azについても同様の折り返し工程を行うことにより、長尺体2Az、長尺体3Az、第1折り返し部15A及び第3折り返し部25Aが形成される。長尺体53zは、上述した凸条部と凹条部とが嵌合した状態で積層されており、上下方向において長尺体2Az,3Az,2Bz,3Bzを避けた、長尺体1Azと長尺体1Bzとの間に積層される。
【0056】
次いで、折り返した長尺体1Az,1Bzを積層させる積層工程を経た上記各長尺体には、ヒートシール工程でシール部6z、65Az、65Bzが形成される。ヒートシール工程では、例えば、長尺体53zよりも下方の領域において、充填部51となるべき領域や注出部54を取り付けるための部分を残して、長尺体1Azと長尺体1Bzとをヒートシールする。また、長尺体53zを含む領域及び長尺体53zよりも上方の領域においては、長尺体1Az、1Bz,2Az,2Bz,3Az,3Bzを一体的に接合すべき部分(各パウチ容器A1の正面視左上部分)をヒートシールする。これにより、シール部6zが形成される。また、長尺体1Az,2Az,3Azの所定部分同士をヒートシールすることにより、シール部65Azが形成され、長尺体1Bz,2Bz,3Bzの所定部分同士をヒートシールすることにより、シール部65Bzが形成される。
【0057】
続いて、ダイカットロール等を用いて、例えば、切断線CLに沿って上記長尺体をカットし、個々の容器サイズに分割する。なお、上記ヒートシール及び当該カットは同時に行なわれてもよい。このとき又は別工程で、吊り下げ孔71及び係止部72が形成される。これにより、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bから第1内部空間4A及び第2内部空間4Bに指が挿入可能な構造が得られる。最後に、注出部54を挿入し注出シール部63を形成することにより、パウチ容器A1が得られる。
【0058】
次に、図7図9に示すパウチ容器A1の使用状態の一例を参照しつつ、パウチ容器A1の作用について説明する。
【0059】
パウチ容器A1の開口部52から充填部51に栄養剤を注入する際には、例えば、片手(以下、右手とする)でパウチ容器A1を保持しながらチャック53を開けて開口部52を広げる。まず初めに、図7及び図8に示すように、第1内部空間4Aに親指を挿入し、第2内部空間4Bには人差し指を挿入してパウチ容器A1を保持する。このとき、親指と人差し指は、容器幅方向から第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを通って第1内部空間4A及び第2内部空間4Bに挿入される。第1挿入口5A及び第2挿入口5Bは、第1切り込み12A及び第2切り込み12Bによって構成されており、第1舌片13A及び第2舌片13Bが形成されている。親指及び人差し指の挿入に際しては、予め或いは挿入に伴って、第1舌片13A及び第2舌片13Bを内側に折返し、第1内部空間4A及び第2内部空間4B内に位置させる。これにより、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bから指をスムーズに挿入することができる。なお、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bと第1内部空間4A及び第2内部空間4Bとの形状や大きさを適宜設定することにより、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bの少なくともいずれかから複数の指を挿入してもよい。たとえば、第1挿入口5Aから右手親指を挿入し、第2挿入口5Bから右手人差し指及び中指を挿入してもよい。
【0060】
続いて、図9に示すように、第1内部空間4A及び第2内部空間4B内に挿入された親指と人差し指との間隔を開けることによりチャック53を外して開口部52を広げる。即ち、親指を表側に動かし、人差し指を裏側に動かす。親指と人差し指の間隔をさらに広げることで、開口部52をより大きく広げることができる。なお、図9においては、理解の便宜上、第1シート2A又は第1シート2Aのみに隠れた部分を実線の細線で示しており、第1シート2A又は第2シート2Bと表面シート1A又は裏面シート1Bとに隠れた部分を陰線(点線の細線)で示している。
【0061】
続いて、親指と人差し指の間隔を開けて開口部52を大きく広げた状態で、栄養剤の注入を開始する。親指と人差し指との間隔を開けておくだけで開口状態が維持されるので、例えば、栄養剤を注入する器具をチャック53付近まで近づけて注入でき、且つ注入作業中に開口部52が閉じて栄養剤が零れることを防止できる。
【0062】
また、図9に示すように、親指と人差し指によって開口部52を拡開する際には、表面シート1A及び裏面シート1Bと第1シート2A及び第2シート2Bとが、大きく変形する。第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁は、開口部52に比較的近い位置に設けられている。第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が全長に渡って表面シート1A及び裏面シート1Bに接合されていると、これらの接合部分が、開口部52を拡開させるための変形を妨げることが懸念される。本実施形態においては、第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が、側方シール部62と第1側方接合部652A及び第2側方接合部652Bとの間において表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がっていない。このため、表面シート1A及び裏面シート1Bと第1シート2A及び第2シート2Bとの剛性が不当に高められることを抑制し、より大きな変形を生じやすい。したがって、よりスムーズに開口部52を拡開することができる。
【0063】
また、第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が、全長に渡って表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がっていると、開口部52を拡開する際に第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が大きく変形することに伴って、第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がる部分に過大な力が作用しうる。この力によって、当該部分が損傷するおそれがある。本実施形態においては、第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がっていない部分を有する。この繋がっていない部分が、過大な力が生じることを緩和する機能を果たすことにより、接合部分の損傷を回避することができる。
【0064】
本実施形態においては、図3に示すように、表面シート1A及び第1シート2Aの間に第3シート3Aが設けられており、裏面シート1B及び第2シート2Bの間に第4シート3Bが設けられている。第3シート3Aの下端縁は、第1シート2Aの下端縁に繋がっており、第4シート3Bの下端縁は、第1シート2Aの下端縁に繋がっている。このため、第1内部空間4A及び第2内部空間4B挿入された指に、栄養剤の飛沫等が向かってくると、第3シート3A及び第4シート3Bによってこの飛沫が指に付着することを抑制することができる。特に本実施形態においては、第3シート3A及び第4シート3Bの下端縁が、第3折り返し部25A及び第4折り返し部25Bを介して、全長に渡って第1シート2A及び第2シート2Bに繋がっている。これは、飛沫等の付着を防止するのに好ましい。
【0065】
また、第1内部空間4A及び第2内部空間4Bには、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを通じて幅方向から指が挿入される。このため、図8及び図9に示すように、親指や人差し指を、第1内部空間4A及び第2内部空間4Bの幅方向内方へと挿入することが可能である。これは、開口部52を拡開させる動作を行うのに便利である。
【0066】
栄養剤等の液状物を充填部51へ注入した後に、チャック53を閉状態とすることにより、充填部51を密封状態とすることができる。これにより、パウチ容器A1の上部からの液状物の漏出が防ぎ得ると共に、液状物が細菌等に汚染されるおそれを低減させることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bに右手の指を挿入する場合を例に説明したが、左手の指を挿入してもよい。また、表面シート1A及び裏面シート1B等の形状によっては、幅方向一方に右手用の第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを設け、幅方向他方に左手用の第1挿入口5A及び第2挿入口5Bをさらに設けてもよい。この点は、以降の実施形態においても同様である。
【0068】
以上のように、パウチ容器A1によれば、第1シート2A及び第2シート2Bの下端縁が表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がっていない部分を有する。このため、表面シート1A及び裏面シート1Bと第1シート2A及び第2シート2Bとの剛性が不当に高められることを抑制し、より大きな変形を生じやすい。したがって、よりスムーズに開口部52を拡開することができる。
【0069】
図11図42は、本発明の変形例及び他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一又は類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。なお、図11図13図15図17図20図22図24及び図26図28は、パウチ容器A1の変形例を正面からみた図であり、主に表面シート1A、第1シート2A、第3シート3A及びこれらの関連箇所を具体的に説明するが、同様の構成は、背面から見た場合の裏面シート1B、第2シート2B、第4シート3B及びこれらの関連箇所に適宜採用可能である。裏面シート1B、第2シート2B、第4シート3B及びこれらの関連箇所の構成は、表面シート1A、第1シート2A、第3シート3A及びこれらの関連箇所の構成と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
<第1実施形態 第1変形例>
図11及び図12は、パウチ容器A1の第1変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1aにおいては、表面シート1Aと第1シート2Aとが互いに別体のシートによって構成されており、裏面シート1Bと第2シート2Bとが互いに別体のシートによって構成されている。そして、第1接合部65Aが、第1上方接合部651Aを有し、第2接合部65Bが第2上方接合部651Bを有する。第1上方接合部651Aは、表面シート1Aと第1シート2Aとの上端縁及び上端縁近傍部分を含む上端部同士が接合されることにより形成されている。第2上方接合部651Bは、裏面シート1B及び第2シート2Bの上端部同士が接合されることにより形成されている。また、同様に、第2接合部65Bが第2上方接合部651Bを有している。本変形例から理解されるように、本発明において第1シート2Aが表面シート1Aに繋がっているという構成や、第2シート2Bが裏面シート1Bに繋がっているという構成は、第1折り返し部15Aや第2折り返し部15Bを介して繋がっている構成や、第1上方接合部651Aや第2上方接合部651Bによって互いに接合されること等により互いに固定された構成を含む概念である。また、本実施形態においては、第1シート2A及び第3シート3Aを構成するシートの両面と、第2シート
2B及び第4シート3Bを構成するシートの両面とが、シーラント層によって形成されていてもよい。この場合、図1及び図2に示す貫通孔210A、貫通孔210B、切り欠き310A及び切り欠き310Bを適宜省略することができる。
【0071】
<第1実施形態 第2変形例>
図13は、パウチ容器A1の第2変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1bにおいては、注出部54及び注出シール部63が、幅方向略中央に設けられている。また、これに対応して、吊り下げ孔71は、注出部54の直上に設けられている。底シール部61は、注出部54が設けられている下方が最も下方に位置するように下方に凸状に湾曲した形状である。本変形例から理解されるように、パウチ容器A1に取付けられる注出部54の位置や、吊り下げられた場合のパウチ容器A1の姿勢は、任意に設定することができる。
【0072】
<第1実施形態 第3変形例>
図14は、パウチ容器A1の第3変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1cは、チャック53よりも上方において、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aと裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bとが、幅方向全長にわたって離れている。すなわち、本変形例の側方シール部62は、チャック53よりも下方にのみ形成されている。そして、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aの幅方向両端部は、一対の第1側方接合部652Aによって接合されている。また、裏面シート1B、第2シート2B及び第4シート3Bの両端部は、一対の第2側方接合部652Bによって接合されている。
【0073】
<第1実施形態 第4変形例>
図15及び図16は、パウチ容器A1の第4変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1dにおいては、第1内部空間4A及び第1挿入口5Aを挟んで、幅方向両側に一対の第1側方接合部652Aが設けられており、第2内部空間4B及び第2挿入口5Bを挟んで、幅方向両側に一対の第2側方接合部652Bが設けられて。図中左方の第1側方接合部652Aは、比較的大面積であり、第1シート2Aの幅方向左側略半分を占めている。第2側方接合部652Bについても、同様の構成である。このような変形例においては、第1内部空間4A及び第2内部空間4Bに挿入された指による拡開の動作を、大面積の第1側方接合部652A及び第2側方接合部652Bによって、表面シート1A、裏面シート1B、第1シート2A及び第2シート2Bの幅方向反対側の領域により確実に伝達することが可能である。なお、本変形例においても、第1シート2A及び第2シート2Bは、第1内部空間4A及び第2内部空間4Bの直下において、第1シート2Aの下端縁及び第2シート2Bの下端縁が表面シート1A及び裏面シート1Bに繋がっていない部分を有している。また、本変形例から理解されるように、第1接合部65A及び第2接合部65Bの形状等は、種々に変更可能である。
【0074】
<第1実施形態 第5変形例>
図17は、パウチ容器A1の第5変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1eにおいては、第1切り込み12Aが、上下方向に対して若干傾いた直線形状とされている。このため、表面シート1Aには、パウチ容器A1における第1舌片13Aが設けられていない。このような変形例においても、第1挿入口5Aを通じて幅方向から指を第1内部空間4Aに挿入することができる。
【0075】
<第1実施形態 第6変形例>
図18は、パウチ容器A1の第6変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1fは、第1挿入口5Aが第1切り欠き11Aによって構成されている。第1切り欠き11Aは、表面シート1Aが部分的に切除されたカット部であり、正面視において開口している。また、本変形例の第1切り欠き11Aは、上下方向を長手方向とする細長楕円形状である。このような変形例においても、第1挿入口5Aを通じて幅方向から指を第1内部空間4Aに挿入することができる。
【0076】
<第1実施形態 第7変形例>
図19は、パウチ容器A1の第7変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1gは、第1挿入口5Aを構成する第1切り込み12Aの両端を結ぶ仮想線が幅方向に沿っている。これにより、第1挿入口5Aは、下方から指を挿入可能な構成となっている。このような変形例によれば、下方から挿入された指は、第1内部空間4Aにおいて上下方向に沿う姿勢となる。これにより、パウチ容器A1gが幅方向にずれることを抑制することができる。
【0077】
<第1実施形態 第8変形例>
図20及び図21は、パウチ容器A1の第8変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1hにおいては、表面シート1A及び裏面シート1Bには、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを構成するための切り欠きや切り込みが形成されていない。本変形例においては、吊り下げ孔71が形成された側方シール部62とは幅方向で反対側に位置する表面シート1A及び第1シート2Aの側端部端同士が互いに固定されておらず、当該部分の隙間によって第1挿入口5Aが構成されている。また、吊り下げ孔71が形成された側方シール部62とは幅方向で反対側に位置する裏面シート1B及び第2シート2Bの側端部端同士が互いに固定されておらず、当該部分の隙間によって第2挿入口5Bが構成されている。
【0078】
このような変形例によれば、表面シート1A及び裏面シート1Bに切り欠きや切り込みを形成することなく、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを設けることが可能である。また、本変形例から理解されるように、第1内部空間4A及び第2内部空間4Bに通じる第1挿入口5A及び第2挿入口5Bを設ける手法は、表面シート1A及び裏面シート1Bに切り欠きや切り込みを設ける手法に限定されず、種々の手法を用いることができる。
【0079】
<第1実施形態 第9変形例>
図22及び図23は、パウチ容器A1の第9変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1iにおいては、第1接合部65Aが第1下方接合部654Aをさらに有している。第1下方接合部654Aは、第3シート3Aの一部と表面シート1Aとが接合された部分である。第1下方接合部654Aは、第1挿入口5Aよりも下方に位置している。図示された例においては、第1下方接合部654Aは、第3シート3Aの幅方向略中央に設けられている。また、第1下方接合部654Aは、点形状であり、図示された例においては、矩形状である。なお、第1下方接合部654Aの形状は、矩形状以外の多角形状や円形状等であってもよい。第1下方接合部654Aを形成する接合方法は特に限定されず、ヒートシールや接着剤等を適宜採用すればよい。図示された例においては、第1下方接合部654Aは、接着剤を用いることによって形成されている。また、同様に、第2接合部65Bが、第2下方接合部654Bを有している。
【0080】
このような変形例によれば、第1下方接合部654A及び第3シート3Aを介して第1シート2Aの下端部の一部が表面シート1Aに固定されている。これにより、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを回避することが可能であり、栄養剤の飛沫等が指に付着することを抑制することができる。また、第3シート3Aの幅方向における一部のみが第1下方接合部654Aによって表面シート1Aに接合されているため、開口部52を拡開する際に、表面シート1A、第1シート2A及び第3シート3Aの変形が不当に妨げられることを回避することができる。
【0081】
<第1実施形態 第10変形例>
図24及び図25は、パウチ容器A1の第10変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1jにおいては、第1接合部65Aが第1中間接合部653Aをさらに有している。第1中間接合部653Aは、第1シート2Aの一部と表面シート1Aとが接合された部分である。第1中間接合部653Aは、上下方向において第1挿入口5Aと略同じ位置に設けられている。図示された例においては、第1中間接合部653Aは、第1シート2Aの幅方向略中央に設けられている。また、第1中間接合部653Aは、点形状であり、図示された例においては、矩形状である。なお、第1中間接合部653Aの形状は、矩形状以外の多角形状や円形状等であってもよい。第1中間接合部653Aを形成する接合方法は特に限定されず、ヒートシールや接着剤等を適宜採用すればよい。図示された例においては、第1中間接合部653Aは、接着剤を用いることによって形成されている。また、同様に、第2接合部65Bが、第2中間接合部653Bを有している。
【0082】
このような変形例によれば、第1中間接合部653Aを介して第1シート2Aの一部が表面シート1Aに固定されている。これにより、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制することが可能であり、栄養剤の飛沫等が指に付着することを抑制することができる。また、第1シート2Aの幅方向における一部のみが第1中間接合部653Aによって表面シート1Aに接合されているため、開口部52を拡開する際に、表面シート1A及び第1シート2Aの変形が不当に妨げられることを回避することができる。
【0083】
<第1実施形態 第11変形例>
図26は、パウチ容器A1の第11変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1kは、上述のパウチ容器A1aと同様に第1接合部65Aが第1上方接合部651Aを有する。そして、第1上方接合部651Aに途絶部6511Aが形成されている。途絶部6511Aは、ヒートシールが施されていない部分である。このため、途絶部6511Aを挟んで幅方向両側に位置する第1上方接合部651Aよりも、途絶部6511Aは、剛性が低い部分となっている。また、第2上方接合部651Bにも、途絶部6511Aと同様の途絶部が形成されている。途絶部6511Aの位置は特に限定されず、図示された例においては、たとえば、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bから挿入された親指や人差し指の指先が届かない位置、たとえば、第1挿入口5A及び第2挿入口5Bと表面シート1A及び裏面シート1Bの幅方向他端縁との中間に形成されている。
【0084】
途絶部6511Aが設けられることにより、パウチ容器A1kは、図示された上下方向に延びる折り曲げ容易線FLに沿って折り曲げやすい構造となっている。これにより、開口部52を拡開する際に、折り曲げ容易線FLに沿うように表面シート1A、第1シート2A、第3シート3A、裏面シート1B、第2シート2B、第2シート2B及び第4シート3Bを折り曲げることが可能であり、これらのシートが意図しない位置で折れ曲がってしまうことを回避することができる。
【0085】
<第1実施形態 第12変形例>
図27は、パウチ容器A1の第12変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1mにおいては、第1上方接合部651Aに切り欠き部6512Aが形成されている。切り欠き部6512Aは、部分的にヒートシールされていない箇所である。第1上方接合部651Aは、切り欠き部6512Aにおける上下方向寸法が、切り欠き部6512Aに隣接する部分の上下方向寸法よりも小さく、剛性が低い部分となっている。切り欠き部6512Aが設けられることによっても、折り曲げ容易線FLが設定されるため、パウチ容器A1mを拡開する際に、折り曲げ容易線FLに沿うように表面シート1A及び裏面シート1Bを折り曲げることが可能である。
【0086】
<第1実施形態 第13変形例>
図28は、パウチ容器A1の第13変形例を示している。本変形例のパウチ容器A1nにおいては、第1上方接合部651Aに段差部6513Aが形成されている。段差部6513Aは、第1上方接合部651Aの上下方向寸法が急峻に変化している部分であり、図示された例においては、段差部6513Aよりも幅方向右方の部分が、幅方向左方の部分よりも上下方向寸法が大きい。このような段差部6513Aが形成されることによっても、図示された折り曲げ容易線FLが設定されるため、パウチ容器A1nを拡開する際に、折り曲げ容易線FLに沿うように表面シート1A及び裏面シート1Bを折り曲げることが可能である。
【0087】
第11~第13変形例から理解されるように、表面シート1A、裏面シート1B、第1シート2A、第2シート2B、第3シート3A及び第4シート3Bに折り曲げ容易線FLを設定しうる折り曲げ形成部を設けることにより、拡開をより適切に行うことができる。折り曲げ形成部としては、途絶部6511A、切り欠き部6512A及び段差部6513Aが例示されるほか、表面シート1A、第1シート2A、裏面シート1B、第2シート2B、第3シート3A及び第4シート3Bの少なくともいずれかに切り欠き部を設ける構成、表面シート1A、第1シート2A、裏面シート1B、第2シート2B、第3シート3A及び第4シート3Bの少なくともいずれかにミシン目線を設ける構成、上下方向に沿うシール部を設ける構成、等が挙げられる。折り曲げ形成部は、上述した構成によって、部分的に剛性を高めるまたは低下させることにより、折り曲げ容易線FLを設定可能なものであればよい。
【0088】
以上に述べた第1~第13変形例の各部の構成は、互いに組み合わせて適宜採用することが可能であり、また、以下に述べる実施形態にも適宜組み合わせることができる。
【0089】
<第2実施形態>
図29及び図30は、本発明の第2実施形態に係るパウチ容器を示している。図29は、本実施形態のパウチ容器A2を示す要部正面図である。図30は、図29のXXX-XXX線に沿う断面図である。パウチ容器A2においては、上述した実施形態における第3シート3A及び第4シート3Bを備えていない。
【0090】
第1シート2Aは、その全体が表面シート1Aと直接対向しており、第2シート2Bは、その全体が裏面シート1Bと直接対向している。第1シート2Aおよび第2シート2Bの下端縁は、折り返し部や接合部等に繋がっていない。第1シート2Aの下端縁は、少なくとも一部が、表面シート1Aに繋がっていない。また、第2シート2Bの下端縁は、少なくとも一部が、裏面シート1Bに繋がっていない。図示された例においては、第1シート2Aの下端縁が、側方シール部62と第1側方接合部652Aとの間において表面シート1Aに繋がっていない。また第2シート2Bの下端縁が、側方シール部62と第2側方接合部652Bとの間において裏面シート1Bに繋がっていない。
【0091】
このような実施形態によっても、よりスムーズに開口部52を拡開することができる。また、第3シート3A及び第4シート3Bを備えていないことにより、第1シート2A及び第2シート2Bがより変形しやすく、開口部52をよりスムーズに拡開するのに寄与する。
【0092】
<第2実施形態 第1変形例>
図31及び図32は、パウチ容器A2の第1変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2aにおいては、第1接合部65Aが第1下方接合部654Aを有している。本実施形態の第1下方接合部654Aは、第1シート2Aの下端部の一部と表面シート1Aとが接合されることにより形成されている。第1下方接合部654Aは、上下方向において第1挿入口5Aよりも下方に位置している。また、第1下方接合部654Aは、第1シート2Aの幅方向略中央に設けられている。また、第1下方接合部654Aは、点形状であり、図示された例においては、矩形状である。なお、第1下方接合部654Aの形状は、矩形状以外の多角形状や円形状等であってもよい。第1下方接合部654Aを形成する接合方法は特に限定されず、ヒートシールや接着剤等を適宜採用すればよい。図示された例においては、第1下方接合部654Aは、接着剤を用いることによって形成されている。また、同様に、第2接合部65Bが、第2下方接合部654Bを有している。
【0093】
このような変形例によれば、第1シート2Aの下端縁が表面シート1Aから極端に離れてしまうことを回避可能であり、栄養剤の飛沫等が指に付着することを抑制することができる。
【0094】
<第2実施形態 第2変形例>
図33及び図34は、パウチ容器A2の第2変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2bにおいては、第1接合部65Aが第1中間接合部653Aをさらに有している。第1中間接合部653Aは、上述のパウチ容器A1iにおける第1中間接合部653Aと略同様の構成である。また、同様に、第2接合部65Bが、第2中間接合部653Bを有している。
【0095】
このような変形例によれば、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制することが可能であり、栄養剤の飛沫等が指に付着することを抑制することができる。
【0096】
以降の説明において参照する図35図42は、パウチ容器A2の変形例を正面からみた図であり、主に表面シート1A、第1シート2A及びこれらの関連箇所を具体的に説明するが、同様の構成は、背面から見た場合の裏面シート1B、第2シート2B及びこれらの関連箇所に適宜採用可能である。ただし、裏面シート1B、第2シート2B及びこれらの関連箇所の構成は、表面シート1A、第1シート2A及びこれらの関連箇所の構成と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0097】
<第2実施形態 第3変形例>
図35は、パウチ容器A2の第3変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2cは、2つの第1中間接合部653Aを有している。また、パウチ容器A2cは、表面シート1Aと第1シート2Aとの上端部同士が、第1上方接合部651Aによって接合されている。また、図示された例は、第1シート2Aを構成するシートの両面と、第2シート2Bを構成するシートの両面とが、いずれもシーラント層によって形成されている。このため、上述の貫通孔210A,210Bおよび切り欠き310A,310Bは設けられていない。ただし、第1シート2A及び第2シート2Bの片面がベースフィルム層によって形成され、貫通孔210A,210Bおよび切り欠き310A,310Bを有する構成を適宜採用してもよい。また、第1折り返し部15A及び第2折り返し部15Bを有する構成でもよい。これらの点は、後述のパウチ容器A2d~A2jにおいても同様である。
【0098】
本変形例においては、2つの第1中間接合部653Aが、容器幅方向中央付近において互いに並んで配置されている。2つの第1中間接合部653Aの容器上下方向における位置は、略同じであり、第1挿入口5Aの容器上下方向中央に対して若干下方に位置している。また、本変形例の第1中間接合部653Aは、円形状である。
【0099】
このような変形例によれば、表面シート1Aと第1シート2Aとが、容器幅方向におけるより広い領域において、2つの第1中間接合部653Aによって固定される。このため、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制するのに好ましい。
【0100】
<第2実施形態 第4変形例>
図36は、パウチ容器A2の第4変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2dは、2つの第1中間接合部653Aと1つの第1下方接合部654Aとを有する。2つの第1中間接合部653Aの配置は、たとえば上述したパウチ容器A2cの2つの第1中間接合部653Aの配置と同様である。第1下方接合部654Aは、容器上下方向において第1挿入口5Aよりも下方に位置しており、言い換えると第1挿入口5Aの下端を通る下端線BLよりも下方に位置している。本変形例においては、第1下方接合部654Aが、容器幅方向において、第1挿入口5Aよりも左方に位置している。
【0101】
このような変形例によっても、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制可能である。また、指を挿入して指の大きさの分だけ表面シート1Aや第1シート2Aが撓んだとしても、第1挿入口5Aの付近において表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制することができ、第1挿入口5Aの左下方において表面シート1Aと第1シート2Aとが離間することを防止することができる。
【0102】
<第2実施形態 第5変形例>
図37は、パウチ容器A2の第5変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2eは、2つの第1中間接合部653Aを有する。図中左斜め上に位置する第1中間接合部653Aは、第1シート2Aの幅方向略中央に設けられている。また、第1中間接合部653Aは、第1挿入口5Aの容器上下方向中心に対して下方に配置されている。この第1中間接合部653Aは、例えば図36のパウチ容器A2dの第1中間接合部653Aと同様の円形状であり、パウチ容器A2dの第1中間接合部653Aよりも直径が大きい。図中右斜め下に位置する第1中間接合部653Aは、下端を通る下端線BLと交差している。この第1中間接合部653Aは、楕円形状とされており、長軸方向が図中左斜め上と右斜め下とに延びる形状である。また、この第1中間接合部653Aは、容器幅方向において、第1挿入口5Aよりも左方に位置している。
【0103】
このような変形例によっても、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制可能である。また、円形の第1中間接合部653Aが例えば図36のパウチ容器A2dの第1中間接合部653Aよりも大きいことにより、接合強度を高めることができる。同様に、楕円形状の第1中間接合部653Aを採用することにより、接合強度を高めることができる。第1中間接合部653Aのサイズを大きくすることによって、より容易に製造することができる。また、楕円形の第1中間接合部653Aが斜めに設けられていることにより、例えば、第1挿入口5Aに指を挿入する際に、楕円形の第1中間接合部653Aの長軸方向に沿って指を挿入しやすいという利点がある。
【0104】
<第2実施形態 第6変形例>
図38は、パウチ容器A2の第6変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2fは、1つの第1中間接合部653Aと1つの第1下方接合部654Aとを有する。第1中間接合部653Aは、上述のパウチ容器A2eの第1中間接合部653Aと略同様の構成である。本変形例の第1下方接合部654Aは、上述のパウチ容器A2eの楕円形状の第1中間接合部653Aと略同様の形状及び大きさであり、容器幅方向における位置も略同じである。この第1下方接合部654Aは、上述のパウチ容器A2eの楕円形状の第1中間接合部653Aとは異なり、第1挿入口5Aの下端を通る下端線BLよりも容器上下方向において下方に位置している。
【0105】
このような変形例によっても、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制可能である。また、第1下方接合部654Aを設けることにより、第1シート2Aの容器上下方向における下端が過度に開いてしまうことを抑制することができる。
【0106】
<第2実施形態 第7変形例>
図39は、パウチ容器A2の第7変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2gは、上述したパウチ容器A2dと同様に、2つの第1中間接合部653Aと1つの第1下方接合部654Aとを有する。本変形例においては、第1下方接合部654Aは、容器幅方向における位置が、第1挿入口5Aの一部と重なる配置となっている。すなわち、第1下方接合部654Aは、第1挿入口5Aの直下に位置している。また、本変形例の第1下方接合部654Aは、円形状である。
【0107】
このような変形例によっても、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制可能であり、特に第1挿入口5Aの下方において表面シート1Aと第1シート2Aとが離間することを防止することができる。
【0108】
<第2実施形態 第8変形例>
図40は、パウチ容器A2の第8変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2hは、3つの第1中間接合部653Aを有している。2つの第1中間接合部653Aは、パウチ容器A2cの2つの第1中間接合部653Aと略同様の配置である。もう一つの第1中間接合部653Aは、2つの第1中間接合部653Aよりも容器方向下方に位置しており、第1挿入口5Aの下端付近に位置している。この第1中間接合部653Aは、下端線BLと交差している。また、この第1中間接合部653Aは、左方の2つの第1中間接合部653Aよりも容器幅方向において右方に位置しており、左方の2つの第1中間接合部653Aとの距離よりも、第1挿入口5Aとの距離の方が短い。
【0109】
このような変形例によっても、開口部52を拡開する際に、第1挿入口5Aの付近において表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制することができる。
【0110】
<第2実施形態 第9変形例>
図41は、パウチ容器A2の第9変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2iは、4つの第1中間接合部653Aを有している。4つの第1中間接合部653Aは、容器上下方向において第1挿入口5Aの下端付近に位置しており、下端線BLと交差している。また、4つの第1中間接合部653Aは、容器幅方向に沿って一列に略等ピッチで配置されている。このような変形例によれば、開口部52を拡開する際に、パウチ容器A2の容器幅方向全域において表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0111】
<第2実施形態 第10変形例>
図42は、パウチ容器A2の第10変形例を示している。本変形例のパウチ容器A2jは、4つの第1中間接合部653Aを有している。4つの第1中間接合部653Aは、容器上下方向位置及び容器幅方向位置が互いに異なる。容器幅方向において最も左方に位置する第1中間接合部653Aは、第1挿入口5Aの容器上下方向中央に近い位置にあり、当該中央よりも若干下方に位置している。容器幅方向において左方から2番目に位置する第1中間接合部653Aは、容器方向上下方向において4つの第1中間接合部653Aの中で最も上方に位置しており、第1挿入口5Aの容器上下方向中央に近く、当該中央よりも若干上方に位置している。容器幅方向において左方から3番目に位置する第1中間接合部653Aは、容器上下方向において既述した2つの第1下方接合部654Aよりも下方に位置している。容器幅方向において左方から4番目に位置する第1中間接合部653Aは、容器上下方向において最も下方に位置しており、第1挿入口5Aの下端付近に位置し、下端線BLと交差している。
【0112】
このような変形例によれば、開口部52を拡開する際に、表面シート1Aと第1シート2Aとが、極端に離れすぎてしまうことを抑制可能であることに加えて、左方から2番目の第1中間接合部653Aによって、第1挿入口5Aから挿入した指が、それ以上容器幅方向左方に進入することを規制することができる。これにより、第1挿入口5Aから挿入される指を、所望の姿勢となるように導くことができる。
【0113】
なお、これらの変形例から理解されるように、第1中間接合部653A及び第1下方接合部654Aの個数や配置は、特に限定されず、また、互いに組合せて設けられてもよい。
【0114】
本発明に係るパウチ容器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るパウチ容器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0115】
A1,A1a,A1b,A1c,A1d,A1e,A1f,A1g,A1h,A1i,A1j,A1k,A1m,A1n,A2,A2a,A2b,A2c,A2d,A2e,A2f,A2g,A2h,A2i,A2j:パウチ容器
1A :表面シート
1B :裏面シート
2A :第1シート
2B :第2シート
3A :第3シート
3B :第4シート
1Az,1Bz,2Az,2Bz,3Az,3Bz:長尺体
4A :第1内部空間
4B :第2内部空間
5A :第1挿入口
5B :第2挿入口
6z :シール部
10 :パウチ容器
11A :第1切り欠き
12A :第1切り込み
12B :第2切り込み
13A :第1舌片
13B :第2舌片
15A :第1折り返し部
15B :第2折り返し部
18Bz,19Bz:折返し線
25A :第3シート折り返し部
25B :第4シート折り返し部
51 :充填部
52 :開口部
53 :チャック
53z :長尺体
54 :注出部
61 :底シール部
62 :側方シール部
63 :注出シール部
65A :第1接合部
65B :第2接合部
65Az,65Bz:シール部
71 :吊り下げ孔
72 :係止部
210A :貫通孔
210B :貫通孔
310A,310B:切り欠き
320B :貫通孔
651A :第1上方接合部
6511A:途絶部
6512A:切り欠き部
6513A:屈曲部
651B :第2上方接合部
652A :第1側方接合部
652B :第2側方接合部
653A :第1中間接合部
653B :第2中間接合部
654A :第1下方接合部
654B :第2下方接合部
CL :切断線
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