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特許7273493道路情報提供装置および道路情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】道路情報提供装置および道路情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230508BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230508BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230508BHJP
【FI】
G07B15/00 510
G08G1/00 A
G06Q50/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018232849
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020095477
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 元
(72)【発明者】
【氏名】弓倉 陽介
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-134476(JP,A)
【文献】特開2003-151079(JP,A)
【文献】特開2003-337966(JP,A)
【文献】特開2018-116474(JP,A)
【文献】特開2013-196441(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0156670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36、
23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
迂回経路のある有料道路において、当該迂回経路の実際の交通状況の情報である交通実際情報を取得する交通実際情報取得部と、
前記迂回経路予測される今後の交通状況の情報である交通予測情報を取得する交通予測情報取得部と、
前記交通実際情報取得部が取得した前記交通実際情報より前記迂回経路において現在通行止めまたは渋滞が発生していないと判定した場合に、前記交通予測情報取得部が取得した前記交通予測情報に基づいて、前記迂回経路の料金割引情報を提供するか否かを判定する情報提供判定部と、
前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供すると判定した場合には、前記有料道路におけるある経路と前記迂回経路との分岐点よりも上流に設置された第1装置を介して、前記料金割引情報を車両に対して提供し、前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供しないと判定した場合には、前記料金割引情報を提供しない提供情報管理部と、
前記第1装置を通過した前記車両が、前記迂回経路に設置され前記迂回経路を走行する前記車両と通信可能な第2装置を介して、前記第1装置と前記第2装置との間の距離に基づく時間帯内に通信した場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行い、前記時間帯内に前記第2装置と通信しない場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行わない課金管理部と、
を備えた道路情報提供装置。
【請求項2】
前記交通予測情報は、前記迂回経路の今後の渋滞発生の予測情報を含み、
前記情報提供判定部は、前記交通予測情報より、前記迂回経路において今後の渋滞が予測されない場合に、前記迂回経路の前記料金割引情報を提供すると判定する、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項3】
前記交通予測情報は、前記迂回経路の今後の通行止めまたは事故発生の予測情報を含み、
情報提供判定部は、前記交通予測情報より、前記迂回経路において今後の渋滞が予測されない場合に、前記迂回経路の前記料金割引情報を提供すると判定する、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項4】
前記第1装置は、前記分岐点よりも上流に設置され、走行する車両の車載器に前記料金割引情報を送信することにより提供する路車間通信装置である、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項5】
前記第1装置は、前記分岐点よりも上流に設置され、前記料金割引情報を表示することにより提供する表示装置である、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項6】
前記第2装置は、前記迂回経路に設置され、走行する前記車両の車載器と通信を行う路車間通信装置である、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項7】
前記第2装置は、前記迂回経路に設置され、走行する前記車両に搭載された車載器と通信を行うETCの路側装置である、
請求項1に記載の道路情報提供装置。
【請求項8】
交通実際情報取得部が、迂回経路のある有料道路において、当該迂回経路の実際の交通状況の情報である交通実際情報を取得し、
交通予測情報取得部が、前記迂回経路予測される今後の交通状況の情報である交通予測情報を取得し、
情報提供判定部が、前記交通実際情報取得部が取得した前記交通実際情報より前記迂回経路において現在通行止め又は渋滞が発生していないと判定した場合に、前記交通予測情報取得部が取得した前記交通予測情報に基づいて、前記迂回経路の料金割引情報を提供するか否かを判定し、
提供情報管理部が、前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供すると判定した場合には、前記有料道路におけるある経路と前記迂回経路との分岐点よりも上流に設置された第1装置を介して、前記料金割引情報を車両に対して提供し、前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供しないと判定した場合には、前記料金割引情報を提供せず、
課金管理部が、前記第1装置を通過した前記車両が、前記迂回経路に設置され前記迂回経路を走行する前記車両と通信可能な第2装置を介して、前記第1装置と前記第2装置の間の距離に基づく時間帯内に前記第2装置と通信した場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行い、前記時間帯内に前記車両が前記第2装置と通信しない場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行わない、
道路情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、道路情報提供装置、道路システム、および道路情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等の有料道路を走行する車両に対して、車両が通過した入口と出口とに基づいて通行料金を決定する技術が知られている。また、入口と出口とだけではなく、さらに、車両が走行した経路に応じて異なる金額を課金する料金収受システム等の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-352615号公報
【文献】特開2015-210713号公報
【文献】特開2002-319098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術においては、例えば、ある経路に渋滞が発生した場合には、当該経路に対する迂回経路へ車両を誘導するのが望ましいが、迂回経路へ向かう車両が増えると迂回経路が渋滞してしまう虞がある。そこで、ある経路に対する迂回経路への車両の誘導を制御することができる道路情報提供装置、道路システム、および道路情報提供方法が得られれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の道路情報提供装置は、交通実際情報取得部と、交通予測情報取得部と、情報提供判定部と、提供情報管理部と、課金管理部と、を備える。前記交通実際情報取得部は、迂回経路のある有料道路において、当該迂回経路の実際の交通状況の情報である交通実際情報を取得する。前記交通予測情報取得部は、前記迂回経路予測される今後の交通状況の情報である交通予測情報を取得する。前記情報提供判定部は、前記交通実際情報取得部が取得した前記交通実際情報より前記迂回経路において現在通行止めまたは渋滞が発生していないと判定した場合に、前記交通予測情報取得部が取得した前記交通予測情報に基づいて、前記迂回経路の料金割引情報を提供するか否かを判定する。前記提供情報管理部は、前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供すると判定した場合には、前記有料道路におけるある経路と前記迂回経路との分岐点よりも上流に設置された第1装置を介して、前記料金割引情報を車両に対して提供し、前記情報提供判定部が前記料金割引情報を提供しないと判定した場合には、前記料金割引情報を提供しない。前記課金管理部は、前記第1装置を通過した前記車両が、前記迂回経路に設置され前記迂回経路を走行する前記車両と通信可能な第2装置を介して、前記第1装置と前記第2装置との間の距離に基づく時間帯内に通信した場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行い、前記時間帯内に前記第2装置と通信しない場合には、当該車両に対して前記有料道路の通行料金の割引を行わない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態の道路システムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の道路システムの機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の情報提供判定部が実行する情報提供可否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の道路システムの全体構成の一例を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の道路システムの機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、第2実施形態の情報提供判定部が実行する情報提供可否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書において、序数は、物等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の道路システム1の全体構成の一例を示す図である。図1に示す道路システム1は、有料道路Rにおける迂回経路に関する情報を含む誘導情報を、有料道路Rを走行する車両5に対して提供可能である。誘導情報は、迂回経路の通行料金の割引情報を含む。道路システム1は、ETC(Electronic Toll Collection、登録商標)システム2と、交通管制システム3と、を備える。道路システム1は、交通システムとも称される。
【0009】
ETCシステム2は、有料道路Rを走行する車両5に通行料金を課金するためのものである。ETCシステム2は、ETC中央装置10と、入口装置11と、出口装置12と、を備えている。ETC中央装置10は、料金算出装置の一例である。
【0010】
ここで、本実施形態の有料道路Rは、入口Raと出口Rbとの間の途中に分岐を有する。一例として、有料道路Rは、入口Raから出口Rbに向かう途中で二つの分岐道路Rc,Rdに分岐し、出口Rbの上流側で二つの分岐道路Rc,Rdが合流する。よって、二つの分岐道路Rc,Rdの分岐点Reと二つの分岐道路Rc,Rdの合流点Rfとの間には、分岐道路Rcを通る第1経路K1と、分岐道路Rdを通る第2経路K2と、がある。以後、第1経路K1と第2経路K2との総称として経路Kを用いる場合がある。
なお、図1では、有料道路Rの入口Raと出口Rbとの間の分岐道路Rc,R2の数が二つであるが、分岐道路Rc,R2の数はこれに限定されるものではない。また、図1では、有料道路Rには入口装置11および出口装置12が1台ずつ設置されているが、入口装置11および出口装置12の設置台数および設置個所はこれに限定されるものではない。入口Raは、出発点の一例であり、出口Rbは、目的地の一例である。分岐点Reおよび合流点Rfは、ジャンクションとも称される。
【0011】
また、有料道路Rには、複数の路車間通信装置21が設けられている。複数の路車間通信装置21は、入口Raと分岐点Reとの間に設置された路車間通信装置21Aと、分岐道路Rc(第1経路K1)に設置された路車間通信装置21Bと、分岐道路Rd(第2経路K2)に設置された路車間通信装置21Cと、を含む。
路車間通信装置21Aの通信エリアは、入口Raと分岐点Reとの間に設定されている。路車間通信装置21Bの通信エリアは、分岐道路Rc(第1経路K1)上に設置されている。路車間通信装置21Cは、分岐道路Rd(第2経路K2)上に設定されている。
【0012】
本実施形態において、有料道路Rを走行する車両5には、入口装置11および出口装置12と相互に通信可能な車載器が搭載される。また、車載器は、DSRC(Dedicated Short Range Communication:“専用狭域通信”)を用いて路車間通信装置21とも通信可能である。本実施形態では1台の車載器がETCおよびDSRCに対応するが、ETC用車載器とDSRC用車載器とは別個の車載器であっても良い。車載器は、車両5の識別情報である車両識情報を、入口装置11、出口装置12、および路車間通信装置21に送信する。
【0013】
入口装置11は、有料道路Rの入口Raに設けられて、当該入口Raを通過する車両5の車載器と相互に通信可能な装置である。本実施形態においては、入口装置11は、ETCゲートである。
【0014】
入口装置11は、ETC中央装置10から送信された情報を、入口装置11が設置された入口Raから有料道路Rに進入(流入)する車両5の車載器に送信する。また、入口装置11は、入口装置11が設置された入口Raから有料道路Rに進入する車両5の車両識別情報を車両5の車載器から受信して、ETC中央装置10に送信する。
【0015】
出口装置12は、有料道路Rの出口Rbに設けられて、当該出口Rbを通過する車両5の車載器と相互に通信可能な装置である。本実施形態においては、出口装置12は、ETCゲートである。出口装置12は、ETC中央装置10から、車両5の車両識別情報に対応付けられた通行料金の情報を受信する。通行料金の金額は、車両5が、入口Raから有料道路Rに進入(流入)し出口Rbから有料道路Rを退出(流出)した場合に課金される金額である。
【0016】
出口装置12は、車両5が出口装置12を通過する際に、車両5に課金される通行料金の金額の情報を、車両5の車載器に送信する。また、出口装置12は、不図示の表示部等に通行料金の金額を表示しても良い。
【0017】
また、出口装置12は、出口装置12が設置された出口Rbから有料道路Rを退出した車両5の車両識別情報を、ETC中央装置10に送信する。
【0018】
ETC中央装置10は、車両5に課金する通行料金を算出する。本実施形態のETC中央装置10は、基本的には、車両5が通過した入口Raと出口Rbとに基づいて車両5に課金する通行料金を算出するが、ある経路Kの混雑等を回避するため、当該ある経路Kに対する迂回経路を走行する車両5の通行料金を割引することができる。
【0019】
また、図1に示すように、交通管制システム3は、交通管制装置20と、複数の路車間通信装置21と、を備える。交通管制装置20は、道路情報提供装置の一例である。
【0020】
交通管制装置20は、路車間通信装置21およびETC中央装置10と相互に通信する。
【0021】
路車間通信装置21は、有料道路Rを走行する車両5と通信することが可能な装置であり、有料道路Rの路側に設けられる。路車間通信装置21は、DSRCを用いて、車両5との間で通信することが可能なITS(Intelligent Transport Systems)スポットである。なお、車載器および路車間通信装置21の通信手段は、DSRCに限定されるものではない。
また、路車間通信装置21は、ITSスポットに限定されず、例えば、専用機器であってもよい。路車間通信装置21は、路側無線通信装置とも称される。
【0022】
具体的には、路車間通信装置21は、交通管制装置20から送信された情報を、路車間通信装置21が設置された区間を走行する車両5の車載器に送信する。
また、本実施形態においては、ETC中央装置10から、交通管制装置20を介して路車間通信装置21に通行料金が割引される迂回経路を示す情報が送信される。
【0023】
また、路車間通信装置21は、路車間通信装置21が設置された区間を走行する車両5の車両識別情報を車両5の車載器から受信して、ETC中央装置10に送信する。また、路車間通信装置21B,21Cは、路車間通信装置21が設置された区間である経路Kを走行する車両5の車両識別情報を車両5の車載器から受信して、当該車両識別情報と、当該車両識別情報を受信した日時と、当該経路Kの識別情報と、が関連付けされた経路選択情報を、ネットワークN(図2)を介してETC中央装置10に送信する。
本実施形態においては、車両5の車両識別情報として、車両5に搭載された車載器のIDと、車載器に挿入されたETCカードのIDとを用いる。
なお、車両5の車両識別情報はこれに限定されるものではない。
【0024】
ETC中央装置10および交通管制装置20は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。また、ETC中央装置10および交通管制装置20は、有料道路Rの管理センター等に設置される。あるいは、ETC中央装置10と交通管制装置20は、それぞれ異なる場所に設置されても良い。
また、道路システム1は、HDDなどによって構成された記憶部30(図2)を備える。
【0025】
次に、ETC中央装置10および交通管制装置20の機能の詳細を、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の道路システム200の機能構成の一例を示す図である。
【0026】
図2に示すように、ETC中央装置10と交通管制装置20と記憶部30とは、経路別課金システム100を構成している。
【0027】
経路別課金システム100は、機能的構成として、割引情報管理部101と、割引情報作成部102と、交通情報収集部103と、イベント入力部104と、交通状況判定部105と、所要時間作成部106と、所要時間比較情報作成部107と、交通情報蓄積部108と、交通需要予測部109と、イベント情報蓄積部110と、交通状況予測部111と、経路選択情報蓄積部112と、行動変動予測部113と、情報提供判定部114と、提供情報管理部115と、課金管理部116と、を備える。
これらの機能的構成は、ETC中央装置10および交通管制装置20のそれぞれのCPUがROMや記憶装置等に記憶されたプログラムを実行した結果として実現される。
なお、実施形態では、これらの機能的構成の一部または全部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
【0028】
一例として、ETC中央装置10が、割引情報管理部101と課金管理部116と、を備え、交通管制装置20が、割引情報作成部102と、交通情報収集部103と、イベント入力部104と、交通状況判定部105と、所要時間作成部106と、所要時間比較情報作成部107と、交通情報蓄積部108と、交通需要予測部109と、イベント情報蓄積部110と、交通状況予測部111と、経路選択情報蓄積部112と、行動変動予測部113と、情報提供判定部114と、提供情報管理部115と、を備える。
なお、各機能的構成の分担は、上記に限られない。
【0029】
[割引情報の作成]
割引情報管理部101は、ある時刻を含むある時間帯(以後、対象時間帯とも称する)において各経路Kを走行する車両5のそれぞれの通交料金の割引金額を、記憶部30に記憶された料金割引テーブルに基づいて決定する。すなわち、割引情報管理部101は、対象時間帯に応じた各経路Kの割引金額を取得する。
割引情報管理部101は、取得した割引金額を表す割引情報を割引情報作成部102に送信する。料金割引テーブルは、各経路Kにおける時間帯ごとの割引金額を記憶している。時間帯は、例えば5分間隔や10分間隔、1時間間隔等で設定されている。
また、経路Kにおける複数の時間帯において少なくとも一部の時間帯の割引金額は、他の時間帯と異なる割引金額である。すなわち、本実施形態では、時間帯に応じて通行料金の割引金額が変動する。なお、経路Kにおける複数の時間帯の全部が同一の割引金額であってもよい。
【0030】
割引情報作成部102は、割引情報管理部101からの割引情報を受信し、当該割引情報に基づいて、分岐点Reの上流側を走行する車両5のドライバー向けの割引情報(以後提供用割引情報とも称する)を作成する。提供用割引情報は、上記割引情報を含む。割引情報作成部102は、作成した提供用割引情報を提供情報管理部115に送信する。
【0031】
[所要時間比較情報の作成]
交通情報収集部103は、各経路Kの実際(現在)の交通情報を収集する。交通情報収集部103が収集する交通情報には、各経路Kの交通量と、各経路Kを走行する車両5の速度と、各経路Kのオキュパンシとが含まれる。オキュパンシは、例えば、ある時刻において、経路Kの全長のうち車両5によって占有されている距離の割合である。交通情報には、収集した日時を示す情報も含まれる。
交通情報収集部103は、経路Kに設置されたトラフィックカウンタ等の装置から上記交通情報を受信、すなわち収集する。交通情報収集部103は、収集した交通情報を、交通状況判定部105と所要時間作成部106と交通情報蓄積部108とに送信する。
交通情報収集部103は、交通実際情報取得部の一例である。交通情報収集部103が収集する交通情報は、交通実際情報の一例である。
【0032】
所要時間作成部106は、交通情報収集部103からの交通情報を受信する。所要時間作成部106は、受信した交通情報に基づいて、各経路Kの所要時間情報を作成する。ここで、所要時間情報は、各経路Kを車両5が通過(走行)するのに要する時間である所要時間を示す情報である。所要時間作成部106は、作成した所要時間情報を所要時間比較情報作成部107に送信する。
【0033】
所要時間比較情報作成部107は、所要時間作成部106からの所要時間情報を受信する。所要時間比較情報作成部107は、受信した所要時間情報に基づいて、第1経路K1の所要時間と第2経路K2の所要時間とを比較した所要時間比較情報を作成する。所要時間比較情報作成部107は、作成した所要時間比較情報を提供情報管理部115に送信する。
【0034】
[渋滞・通交止め情報の作成]
イベント入力部104は、各経路Kで生じている渋滞以外の実際の事象であるイベントを示すイベント情報の入力を受け付ける。イベントは、例えば、通交止めや事故等である。
イベント入力部104は、例えば、操作者によって操作されるキーボードやタッチパネル等の入力装置からのイベント情報の入力を受け付ける。そして、イベント入力部104は、入力を受付けたイベント情報を、交通状況判定部105とイベント情報蓄積部110とに送信する。
イベント入力部104は、交通実際情報取得部の一例であり、イベント情報は、実交通情報の一例である。
【0035】
交通状況判定部105は、交通情報収集部103からの交通情報と、イベント入力部104からのイベント情報と、を受信する。
【0036】
交通状況判定部105は、受信した交通情報に基づいて、各経路Kの渋滞の発生の有無を判定する。渋滞の発生の有無の判定は、公知の手法を用いて行なうことができる。
交通状況判定部105は、渋滞が発生している経路Kがあると判定した場合には、当該経路Kに渋滞が発生している旨を表す渋滞情報を作成する。すなわち、交通状況判定部105は、渋滞情報を取得する、交通状況判定部105は、作成した渋滞情報を情報提供判定部114に送信する。交通状況判定部105は、交通実際情報取得部の一例であり、渋滞情報は、交通実際情報の一例である。
【0037】
また、交通状況判定部105は、受信したイベント情報に基づいて、各経路Kに通行止めが発生しているか否かを判定する。交通状況判定部105は、通行止めが発生している経路Kがあると判定した場合には、当該経路Kに通交止めが発生している旨を表す通行止め情報を、情報提供判定部114に送信する。通行止め情報は、交通実際情報の一例である。
【0038】
[交通量予測情報の取得]
交通情報蓄積部108は、交通情報収集部103からの交通情報を受信し、受信した交通情報を記憶部30に記憶させる。すなわち、交通情報蓄積部108は、交通情報を記憶部30に蓄積する。交通情報蓄積部108は、記憶部30に蓄積した交通情報を交通需要予測部109に送信する。
【0039】
交通需要予測部109は、交通情報蓄積部108からの交通情報を受信する。交通需要予測部109は、各経路Kにおける対象時間帯の予測の交通量を表す交通量予測情報を取得する。各経路Kにおける対象時間帯の交通量の予測は、交通情報蓄積部108からの過去の交通情報に基づいて行なわれる。例えば、各経路Kにおける対象時間帯の交通量の予測は、交通情報蓄積部108からの過去の交通情報に統計的な処理を施して行なわれうる。
なお、各経路Kにおける対象時間帯の交通量の予測は、上記以外の手法で行なわれてもよい。また、各経路Kにおける対象時間帯の交通量の予測は、交通需要予測部109や他の装置が行なってもよいし、さらには人が行なってもよい。人が各経路Kにおける対象時間帯の交通量を予測する場合には、交通需要予測部109は、例えば、交通情報蓄積部108からの過去の交通情報を出力装置によって出力して人に提供する。
出力装置は、例えばプリンタや表示装置等である。人は、提供された過去の交通情報に基づいて各経路Kにおける対象時間帯の交通量を予測し、交通量予測情報をキーボード等の入力装置によって交通需要予測部109に入力する。
交通需要予測部109は、取得した交通量予測情報を情報提供判定部114に送信する。交通需要予測部109は、交通予測情報取得部の一例であり、交通量予測情報は、交通予測情報の一例である。
【0040】
[イベント予測情報の作成]
イベント情報蓄積部110は、イベント入力部104からのイベント情報を受信し、受信したイベント情報を記憶部30に記憶させる。すなわち、イベント情報蓄積部110は、イベント情報を記憶部30に蓄積する。イベント情報蓄積部110は、記憶部30に蓄積したイベント情報を交通状況予測部111に送信する。
【0041】
交通状況予測部111は、イベント情報蓄積部110からのイベント情報を受信する。交通状況予測部111は、各経路Kにおける対象時間帯に予測されるイベントを表すイベント予測情報を取得する。
各経路Kにおける対象時間帯のイベントの予測は、イベント入力部104からの過去のイベント情報に基づいて行なわれる。例えば、各経路Kにおける対象時間帯のイベントの予測は、イベント入力部104からの過去のイベント情報に統計的な処理を施して行なわれうる。
なお、各経路Kにおける対象時間帯のイベントの予測は、上記以外の手法で行なわれてもよい。また、各経路Kにおける対象時間帯のイベントの予測は、交通需要予測部109や他の装置が行なってもよいし、さらには人が行なってもよい。人が各経路Kにおける対象時間帯のイベントを予測する場合には、イベント情報蓄積部110は、例えば、イベント入力部104からの過去のイベント情報を出力装置によって出力して人に提供する。人は、提供された過去のイベント情報に基づいて各経路Kにおける対象時間帯のイベントを予測し、予測したイベントを示すイベント情報を入力装置によってイベント情報蓄積部110に入力する。
イベント情報蓄積部110は、取得したイベント予測情報を情報提供判定部114に送信する。交通状況予測部111は、交通予測情報取得部の一例であり、イベント予測情報は、交通予測情報の一例である。
【0042】
[行動変動比率予測情報の作成]
経路選択情報蓄積部112は、路車間通信装置21からの経路選択情報を受信し、受信した経路選択情報を記憶部30に記憶させる。すなわち、経路選択情報蓄積部112は、経路選択情報を記憶部30に蓄積する。経路選択情報蓄積部112は、記憶部30に蓄積した経路選択情報を行動変動予測部113に送信する。
【0043】
行動変動予測部113は、経路選択情報蓄積部112からの過去の経路選択情報に基づいて、対象時間帯における各経路Kの選択の比率の予測を示す経路選択比率予測情報を取得する。対象時間帯における各経路Kの選択の比率の予測は、経路選択情報蓄積部112からの過去の経路選択情報に基づいて行なわれる。
例えば、対象時間帯における各経路Kの選択の比率の予測は、経路選択情報蓄積部112から送信された過去の経路選択情報に統計的な処理を施して行なわれうる。
なお、対象時間帯における各経路Kの選択の比率の予測は、上記以外の手法で行なわれてもよい。また、対象時間帯における各経路Kの選択の比率の予測は、行動変動予測部113や他の装置が行なってもよいし、さらには人が行なってもよい。人が対象時間帯における各経路Kの選択の比率を予測する場合には、行動変動予測部113は、例えば、経路選択情報蓄積部112から送信された過去の経路選択情報を出力装置によって出力して人に提供する。人は、提供された過去の経路選択情報に基づいて対象時間帯における各経路Kの選択の比率を予測し、経路選択予測情報を入力装置によって行動変動予測部113に入力する。
行動変動予測部113は、取得した経路選択予測情報を情報提供判定部114に送信する。行動変動予測部113は、交通予測情報取得部の一例であり、経路選択比率予測情報は、交通予測情報の一例である。
【0044】
[情報提供可否情報の作成]
情報提供判定部114は、交通状況判定部105からの渋滞情報および通交止め情報と、交通需要予測部109からの交通量予測情報と、イベント情報蓄積部110からのイベント予測情報と、行動変動予測部113からの経路選択予測情報と、を受信する。
情報提供判定部114は、受信した各情報に基づいて、分岐点Reの上流側を走行する車両5を二つの経路Kのうちの一方へ誘導するための誘導情報を、当該車両5の乗員であるドライバーへ提供してよいか否かを判定し、判定結果を表す情報提供可否情報を作成する。
ここでは、誘導情報が、車両を第2経路K2へ誘導するための情報である例を説明する。このような例は、例えば、第1経路K1の交通量が第2経路K2の交通量よりも多い場合に適用される。すなわち、この例では、第2経路K2は、第1経路K1の迂回経路である。
【0045】
図3は、本実施形態の情報提供判定部が実行する情報提供可否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図3に示すように、情報提供判定部114は、
(1)第2経路K2に渋滞または通行止めが発生しているか(S11)、
(2)第2経路K2において渋滞が予測されるか(S12)、
(3)第2経路K2においてイベントが予測されるか(S13)、
(4)第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量より多くなることが予測されるか(S14)、
の各判定項目(条件)について判定する。
【0046】
情報提供判定部114は、上記(1)の第2経路K2に渋滞または通行止めが発生しているかについては、交通状況判定部105からの渋滞情報および通交止め情報に基づいて判定する。
情報提供判定部114は、上記(2)の第2経路K2において渋滞が予測されるかについては、交通需要予測部109からの交通量予測情報に基づいて判定する。
情報提供判定部114は、上記(3)の第2経路K2においてイベントが予測されるかについては、イベント情報蓄積部110からのイベント予測情報に基づいて判定する。
情報提供判定部114は、上記(4)の第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量より多くなることが予測されるかについては、行動変動予測部113からの経路選択予測情報に基づいて判定する。
【0047】
情報提供判定部114は、第2経路K2に渋滞および通行止めが発生しておらず(S11:No)、第2経路K2において渋滞が予測されておらず(S12:No)、第2経路K2においてイベントが予測されておらず(S13:No)、第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量より多くなることが予測されていない(S14:No)、と判定した場合には、誘導情報の提供は可能、すなわち情報提供可であると判定する(S15)。
情報提供判定部114は、情報提供可と判定した場合には、情報提供可の旨の情報提供可否情報を提供情報管理部115に送信する。
【0048】
一方、情報提供判定部114は、第2経路K2に渋滞または通行止めが発生している場合(S11:Yes)、第2経路K2において渋滞が予測されている場合(S12:Yes)、第2経路K2においてイベントが予測されている場合(S13:Yes)、第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量より多くなることが予測されている場合(S14:Yes)、のいずれかの場合には、情報提供は不可であると判定する(S16)。
このように、情報提供判定部114は、複数の判定項目(条件)のうちいずれか一つ(一つ以上)が満たされる場合には、情報提供は不可であると判定する。なお、情報提供判定部114が判定する判定項目(条件)は、上記のうち一部であってもよいし、上記以外であってもよい。
【0049】
このように情報提供を不可とする理由は、以下の通りである。
すなわち、第2経路K2に渋滞が発生している場合には(S11:Yes)、ドライバーに誘導情報を提供してドライバーに第2経路K2への進入を促すと、第2経路K2の渋滞を助長させることになるためである。また、第2経路K2に通行止めが発生している場合には(S11:Yes)、第2経路K2を通行することはできないためである。
また、第2経路K2において渋滞が予測されている場合には(S12:Yes)、ドライバーに誘導情報を提供してドライバーに第2経路K2への進入を促すと、第2経路K2の渋滞を助長させることになるためである。
また、第2経路K2においてイベントが予測されている場合には(S13:Yes)、ドライバーに誘導情報を提供してドライバーに第2経路K2への進入を促すと、第2経路K2に渋滞を発生させる可能性があるためである。
また、第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量より多くなることが予測されている場合には(S14:Yes)、第2経路K2の交通量が第1経路K1の交通量よりも多くなるという逆転現象が生じる可能性があるためである。
【0050】
情報提供判定部114は、情報提供不可と判定した場合には、情報提供不可の旨の情報提供可否情報を提供情報管理部115に送信する。
【0051】
[誘導情報の提供]
図2に戻って、提供情報管理部115は、割引情報作成部102からの提供用割引情報と、所要時間比較情報作成部107から送信された所要時間比較情報と、情報提供判定部114から送信された情報提供可否情報と、を受信する。
提供情報管理部115は、情報提供判定部114から送信された情報提供可否情報が情報提供可を表す場合、すなわち情報提供判定部114が情報提供可と判定した場合には、提供用割引情報と所領時間比較情報とを誘導情報として、分岐点Reの上流側を走行する車両5に搭載されるカーナビゲーション端末41Aや携帯電話41Bに向けて送信する。
具体的には、提供情報管理部115は、分岐点Reの上流側に設置された路車間通信装置21Aに送信する。以上からわかるように、誘導情報は、提供用割引情報と所領時間比較情報とを含む。
なお、以後、カーナビゲーション端末41Aおよび携帯電話41Bの総称として端末41を用いる場合もある。提供情報管理部115は、送信部の一例である。なお、誘導情報は、所領時間比較情報を含まなくてもよい。
【0052】
路車間通信装置21Aは、提供情報管理部115からの誘導情報を受信し、当該誘導情報を分岐点Reの上流側を走行する車両5に搭載された端末41に配信(送信)する。これにより、分岐点Reの上流側を走行する車両5のドライバーに誘導情報が提供される。
端末41は、例えばカーナビゲーション端末41Aや携帯電話41B等である。誘導情報の配信は、車載器を介してもよいし車載器を介さなくてもよい。
【0053】
[割引の実施]
経路選択情報蓄積部112は、路車間通信装置21B,21Cから送信される経路選択情報を記憶部30に記憶させる。すなわち、経路選択情報蓄積部112は、経路選択情報を記憶部30に蓄積する。また、経路選択情報蓄積部112は、記憶部30に蓄積した経路選択情報を課金管理部116に送信する。
【0054】
課金管理部116は、経路選択情報蓄積部112からの経路選択情報を受信する。課金管理部116は、受信した経路選択情報に基づいて、車両5の通行料金を算出する。このとき、課金管理部116は、対象時間帯に第2経路K2を走行した車両に対しては、記憶部30に記憶された料金割引テーブルに基づいて、通常料金に対する割引を行なう。
一方、課金管理部116は、対象時間帯に第2経路K2を走行していない車両5、すなわち対象時間帯に第1経路K1を走行した車両5に対しては、料金の割引を行わず、通常料金を課金する。
ここで、通常料金の算出は、周知の手法によって行なわれる。例えば、通常料金の算出は、記憶部30に記憶された経路Kごとの料金を定めた通常料金テーブルに基づいて行なわれてよい。
【0055】
以上のように、本実施形態では、交通情報収集部103、イベント入力部104および交通状況判定部105は、有料道路Rにおけるある経路K(例えば第1経路K1)に対する迂回経路(例えば第2経路K2)の実際の交通状況の情報である交通実際情報を取得する。
交通需要予測部109および交通状況予測部111は、迂回経路の予測される今後の交通状況の情報である交通予測情報を取得する。
情報提供判定部114は、交通実際情報および交通予測情報に基づいて、迂回経路の料金割引情報を送信するか否かを判定する。
提供情報管理部115は、情報提供判定部114が料金割引情報を送信すると判定した場合には、料金割引情報を送信し、情報提供判定部114が料金割引情報を送信しないと判定した場合には、料金割引情報を送信しない。
よって、ある経路K(例えば第1経路K1)に対する迂回経路(例えば第2経路K2)への車両5の誘導を制御することができる。
【0056】
また、本実施形態では、交通予測情報は、迂回経路にて予測される今後の渋滞の情報、迂回経路にて予測される今後の渋滞以外の事象の情報、迂回経路の予測される今後の交通量の情報を含む。よって、情報提供判定部114は、これらの情報に基づいて料金割引情報を送信するか否かを判定することができる。
【0057】
また、本実施形態では、提供情報管理部115は、ある経路Kと迂回経路との分岐点Reよりも上流を走行する車両5に搭載され料金割引情報を出力可能な端末41に向けて料金割引情報を送信する。よって、分岐点Reよりも上流を走行する車両5のドライバーに料金割引情報を提供することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、誘導情報が、車両を第2経路K2へ誘導するための情報である例が説明されたが、これに限定されない。誘導情報は、車両を第1経路K1へ誘導するめの情報であってもよい。
【0059】
(第2実施形態)
図4は、本実施形態の道路システム1の全体構成の一例を示す図である。以下、本実施形態における第1実施形態に対する相違点を主に説明する。本実施形態は、道路システム1がETC路側機器22と情報板23とを備える点等が第1実施形態に対して異なる。本実施形態では、路車間通信装置21(図1)は設けられていない。
【0060】
ETC路側機器22は、有料道路Rの分岐道路Rd(第2経路K2)に設置され、当該分岐道路Rd(第2経路K2)を走行する車両5の車載器と通信することが可能である。
ETC路側機器22は、車両5の当該ETC路側機器22を通過する時刻と、当該車両5の車両識別情報と、が関連付けされたETC路側機器通過時刻情報を課金管理部116に送信する。車両5がETC路側機器22を通過する時刻は、ETC路側機器22と車両5の車載器とが通信を開始した時刻または終了した時刻であってよい。また、ETC路側機器22は、例えば、チェックバリアやフリーフローETC(FF-ETC)等であってよい。ETC路側機器22は、路側無線通信装置とも称される。
【0061】
情報板23は、有料道路Rの分岐道路Rdの上流側に設置され、分岐道路Rdの上流側を走行する車両5に対して各種の情報を表示(提供)する。情報板23は、電光情報板や液晶表示装置等によって構成されている。情報板23は、少なくとも誘導情報を表示する。情報板23は、誘導情報を表示する専用のものであってもよいし、他の情報も表示する従来から設置されているものであってもよい。情報板23は、表示装置の一例である。
【0062】
図5は、本実施形態の道路システム1の機能構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、本実施形態では、道路システム1は、機能構成としてETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117を備えている。ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117は、例えば、交通管制装置20に設けられている。なお、ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117は、ETC中央装置10に設けられてもよい。本実施形態では、経路選択情報蓄積部112と行動変動予測部113とは設けられていない。
【0063】
本実施形態では、交通情報収集部103は、収集した各経路Kの交通情報(各経路Kの交通量、各経路Kを走行する車両5の速度、各経路Kのオキュパンシ)をETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117に送信する。
【0064】
ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117は、交通情報収集部103からの交通情報を受信する。
ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117は、交通情報収集部103からの交通情報と、情報板23(情報板23の設置位置、経路選択位置)とETC路側機器22(ETC路側機器22の設置位置)との間の距離と、有料道路Rの制限速度と、に基づいて、ETC路側機器通過時間帯情報を作成する。ここで、ETC路側機器通過時間帯情報は、対象時間帯に情報板23を通過した車両5がETC路側機器22を通過すると予想される時刻の範囲を表す情報である。
ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117は、作成したETC路側機器通過時間帯情報を、課金管理部116に送信する
【0065】
本実施形態の提供情報管理部115は、情報提供判定部114から送信された情報提供可否情報が情報提供可を表す場合、すなわち情報提供判定部114が情報提供可と判定した場合には、提供用割引情報と所領時間比較情報とを誘導情報として、分岐点Reの上流側に設置された情報板23に送信する。
【0066】
情報板23は、提供情報管理部115からの誘導情報を表示する。これにより、分岐点Reの上流側を走行する車両5のドライバーに誘導情報が提供される。
【0067】
課金管理部116は、ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117からのETC路側機器通過時間帯情報と、ETC路側機器22からのETC路側機器通過時刻情報と、を受信する。
課金管理部116は、ETC路側機器通過時間帯情報提供判定部117からのETC路側機器通過時間帯情報と、ETC路側機器22からのETC路側機器通過時刻情報と、を照合して、車両5のETC路側機器22の通過時刻が、ETC路側機器通過時間帯内である場合には、当該車両5に対して、記憶部30に記憶された料金割引テーブルに基づいて、通常料金に対する割引を行なう。
一方、課金管理部116は、車両5のETC路側機器22の通過時刻が、ETC路側機器通過時間帯外である場合には、当該車両5に対しては、料金の割引を行わず、通常料金を課金する。
【0068】
図6は、本実施形態の情報提供判定部114が実行する情報提供可否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示すように、本実施形態の情報提供判定部114は、第1実施形態の図3で説明したS14の処理を行なわない以外は、第1実施形態と同じである。
【0069】
以上のような本実施形態でも、第1実施形態と同様に、ある経路K(例えば第1経路K1)に対する迂回経路(例えば第2経路K2)への車両5の誘導を制御することができる。
【0070】
また、本実施形態では、提供情報管理部115は、ある経路Kと迂回経路との分岐点Reよりも上流に設置され料金割引情報を表示可能な情報板23に向けて料金割引情報を送信する。よって、分岐点Reよりも上流を走行する車両5のドライバーに料金割引情報を提供することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、経路選択情報蓄積部112と行動変動予測部113とが設けられていない例を説明したが、これに限られない。
本実施形態でも、経路選択情報蓄積部112と行動変動予測部113とが設けられていてもよい。この場合、ETC路側機器22が経路選択情報を作成して、当該経路選択情報を経路選択情報蓄積部112に送信してよい。
【0072】
また、上記各実施形態では、情報提供判定部114の判定結果に関わらず、設定された料金割引が適用される例が示されたが、これに限定されない。
例えば、情報提供判定部114が情報提供可と判定した場合には、課金管理部116が情報提供の対象の経路Kの料金割引を実施し、情報提供判定部114が情報提供不可と判定した場合には、課金管理部116が情報提供の対象の経路Kの料金割引を実施しないようにしてもよい。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…道路システム、10…ETC中央装置(料金算装置)、20…交通管制装置(道路情報提供装置)、103…交通情報収集部(交通実際情報取得部)、104…イベント入力部(交通実際情報取得部)、105…交通状況判定部(交通実際情報取得部)、109…交通需要予測部(交通予測情報取得部)、111…交通状況予測部(交通予測情報取得部)、114…情報提供判定部、115…提供情報管理部(送信部)、41…端末、23…情報板(表示装置)、R…有料道路、K…経路、K1…第1経路、K2…第2経路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6