(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/617 20140101AFI20230508BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/6566 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20230508BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20230508BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20230508BHJP
【FI】
H01M10/617
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/6566
H01M10/6557
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/653
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2018238040
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】小竹 広和
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴文
(72)【発明者】
【氏名】真里谷 毅
(72)【発明者】
【氏名】寺島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷 祐介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265466(JP,A)
【文献】特開2006-128124(JP,A)
【文献】特開2006-156090(JP,A)
【文献】特開2013-118153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールを冷却するための冷却機構と、を備える蓄電装置であって、
前記冷却機構は、
前記蓄電モジュールの積層方向に交差する第1方向に沿って延びると共に、前記第1方向及び前記積層方向に交差する第2方向に沿って配列された複数の冷媒流路が形成された流路部材と、
前記流路部材の前記第1方向の一端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路に対して冷媒を導入するように前記冷媒を流通させる導入ダクトと、
前記流路部材の前記第1方向の他端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路から導出された前記冷媒を流通させる導出ダクトと、を有し、
前記導入ダクトには、当該導入ダクトに前記冷媒を導入するための導入口が設けられており、
前記導出ダクトには、当該導出ダクトから前記冷媒を導出するための導出口が設けられており、
前記導入口及び前記導出口は、前記流路部材の前記第2方向の一端部側に位置しており、
前記流路部材は、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記冷媒が前記冷媒流路を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されて
おり、
前記流路部材は、前記冷媒流路の前記第1方向に交差する断面の面積の変化に応じて、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記圧力損失が段階的に小さくなるように構成されており、
前記面積の変化は、前記冷媒流路を形成する壁部の間隔によって規定されている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記冷却機構は、前記導出口に接続され、前記冷媒を前記導出ダクトから排出するように前記冷媒を吸引するブロワを有する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記流路部材は、前記複数の冷媒流路のうちの一部の前記冷媒流路がそれぞれ形成され、前記第2方向に沿って配列された複数の冷却板を有しており、
前記冷媒流路における前記面積は、前記冷却板ごとに互いに異なっている、
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記壁部の間隔は、当該壁部の前記第2方向に沿った幅によって規定されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
積層された複数の蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールを冷却するための冷却機構と、を備える蓄電装置であって、
前記冷却機構は、
前記蓄電モジュールの積層方向に交差する第1方向に沿って延びると共に、前記第1方向及び前記積層方向に交差する第2方向に沿って配列された複数の冷媒流路が形成された流路部材と、
前記流路部材の前記第1方向の一端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路に対して冷媒を導入するように前記冷媒を流通させる導入ダクトと、
前記流路部材の前記第1方向の他端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路から導出された前記冷媒を流通させる導出ダクトと、を有し、
前記導入ダクトには、当該導入ダクトに前記冷媒を導入するための導入口が設けられており、
前記導出ダクトには、当該導出ダクトから前記冷媒を導出するための導出口が設けられており、
前記導入口及び前記導出口は、前記流路部材の前記第2方向の一端部側に位置しており、
前記流路部材は、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記冷媒が前記冷媒流路を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されており、
前記冷媒流路は、前記流路部材の前記第1方向の一端部から他端部に向かうにつれて縮小するテーパー状に形成されており、
前記流路部材は、前記冷媒流路の縮小率に応じて、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記圧力損失が段階的に小さくなるように構成されて
いる、
蓄電装置。
【請求項6】
蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールを冷却するための冷却機構と、を備える蓄電装置であって、
前記冷却機構は、
第1方向に沿って延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列された複数の冷媒流路が形成された流路部材と、
前記流路部材の前記第1方向の一端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路に対して冷媒を導入するように前記冷媒を流通させる導入ダクトと、
前記流路部材の前記第1方向の他端部に対して前記第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの前記冷媒流路から導出された前記冷媒を流通させる導出ダクトと、を有し、
前記導入ダクトには、当該導入ダクトに前記冷媒を導入するための導入口が設けられており、
前記導出ダクトには、当該導出ダクトから前記冷媒を導出するための導出口が設けられており、
前記導入口及び前記導出口は、前記流路部材の前記第2方向の一端部側に位置しており、
前記流路部材は、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記冷媒が前記冷媒流路を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されており、
前記流路部材は、前記冷媒流路の前記第1方向に交差する断面の面積の変化に応じて、当該流路部材の前記第2方向の他端部に向かうにつれて、前記圧力損失が段階的に小さくなるように構成されており、
前記流路部材は、前記複数の冷媒流路のうちの一部の前記冷媒流路がそれぞれ形成され、前記第2方向に沿って配列された複数の冷却板を有しており、
前記冷媒流路における前記面積は、前記冷却板ごとに互いに異なっている、
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極板の一方面上に正極が設けられ、他方面上に負極が設けられたバイポーラ電極を備えた、いわゆるバイポーラ型の蓄電モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した蓄電モジュールを複数積層することにより、蓄電装置を構成することが考えられる。このような蓄電装置においては、蓄電モジュールを冷却するために、空気等の冷媒を流すための複数の流路が設けられた流路部材を、例えば隣り合う蓄電モジュール間に介在させることがある。しかしながら、冷媒は流路部材における複数の流路のうち一部の領域に設けられた流路に偏って流通しやすい場合があり、そのような場合、蓄電モジュールに対する流路部材の冷却性能が位置ごとに大きくばらつくことが考えられる。
【0005】
本発明は、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓄電装置は、蓄電モジュールと、蓄電モジュールを冷却するための冷却機構と、を備える蓄電装置であって、冷却機構は、第1方向に沿って延びると共に第1方向に交差する第2方向に沿って配列された複数の冷媒流路が形成された流路部材と、流路部材の第1方向の一端部に対して第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの冷媒流路に対して冷媒を導入するように冷媒を流通させる導入ダクトと、流路部材の第1方向の他端部に対して第2方向に沿って延びるように設けられ、それぞれの冷媒流路から導出された冷媒を流通させる導出ダクトと、を有し、導入ダクトには、当該導入ダクトに冷媒を導入するための導入口が設けられており、導出ダクトには、当該導出ダクトから冷媒を導出するための導出口が設けられており、導入口及び導出口は、流路部材の第2方向の一端部側に位置しており、流路部材は、当該流路部材の第2方向の他端部に向かうにつれて、冷媒が冷媒流路を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。
【0007】
本発明に係る蓄電装置においては、流路部材に形成された複数の冷媒流路が第2方向に沿って配列され、導入ダクトの導入口及び導出ダクトの導出口が、流路部材の第2方向の一端部側に位置している。このような構成において、第2方向に沿って流路部材が一律に構成されている場合、冷媒は、流路部材における複数の冷媒流路のうち一端部側の領域に形成された冷媒流路に偏って流通しやすい。これに対し、本発明に係る蓄電装置においては、流路部材が当該流路部材の第2方向の他端部に向かうにつれて、冷媒が冷媒流路を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。このため、冷媒は、圧力損失に応じて、流路部材の他端部側に位置する冷媒流路においても流通しやすくなる。したがって、流路部材における複数の冷媒流路間の冷媒の流通の偏りが抑制され、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る蓄電装置において、冷却機構は、導出口に接続され、冷媒を導出ダクトから排出するように冷媒を吸引するブロワを有していてもよい。この場合、ブロワによって冷媒を導出口から吸引する構成(所謂、プル方式)によって、導入ダクト、複数の冷媒流路、導出ダクトに亘る流通経路に冷媒を流通させることができる。これにより、例えば、ブロワを有していない構成や、ブロワによって冷媒を導入口に供給する構成(所謂、プッシュ方式)と比較して、冷媒を効率よく流通させることができる。
【0009】
また、本発明に係る蓄電装置において、流路部材は、冷媒流路の第1方向に交差する断面の面積の変化に応じて、当該流路部材の第2方向の他端部に向かうにつれて、圧力損失が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。この場合、面積を変化させることで簡易に圧力損失の差を構成しやすい。
【0010】
また、本発明に係る蓄電装置において、流路部材は、複数の冷媒流路のうちの一部の冷媒流路がそれぞれ形成され、第2方向に沿って配列された複数の冷却板を有しており、冷媒流路における面積は、冷却板ごとに互いに異なっていてもよい。この場合、単一の冷却板においては複数の冷媒流路の構成を共通させることができるので、それぞれの構成が単純な複数種類の冷却板を用いて流路部材を形成することができる。
【0011】
また、本発明に係る蓄電装置において、面積の変化は、冷媒流路を形成する壁部の間隔によって規定されていてもよい。この場合、単純な構成で流路の面積を変化させることができる。
【0012】
また、本発明に係る蓄電装置において、壁部の間隔は、当該壁部の第2方向に沿った幅によって規定されていてもよい。この場合、単純な構成で壁部の間隔を変化させることができる。
【0013】
また、本発明に係る蓄電装置において、冷媒流路の内部には凸部が形成されており、流路部材は、凸部の形成密度に応じて、当該流路部材の第2方向の他端部に向かうにつれて、圧力損失が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。この場合、凸部の形成密度を変化させることで圧力損失の細かい調整を行いやすい。
【0014】
また、本発明に係る蓄電装置において、冷媒流路は、流路部材の第1方向の一端部から他端部に向かうにつれて縮小するテーパー状に形成されており、流路部材は、冷媒流路の縮小率に応じて、当該流路部材の第2方向の他端部に向かうにつれて、圧力損失が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。この場合、流路部材の第2方向に沿った位置ごとの冷却性能のばらつきの抑制と併せて、流路部材の第1方向に沿った位置ごとの冷却性能のばらつきも抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1におけるIIIA-IIIA線断面図である。
図3(b)は、
図3(a)におけるIIIB-IIIB線断面図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る冷却機構を示す断面図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る冷却部材を示す断面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る冷却部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、以下の図面には、X軸、Y軸、及び、Z軸により規定される直交座標系Sを示す。
【0018】
まず、一実施形態に係る蓄電装置の構成について説明する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。
図1に示される蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、互いに積層された複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12と、複数(本実施形態では4つ)の冷却部材14(流路部材)を含む冷却機構13と、拘束部材15と、を備える。なお、蓄電装置10は、少なくとも1つの蓄電モジュール12と、少なくとも1つの冷却部材14を含む冷却機構13と、を備えていればよい。
【0019】
蓄電モジュール12は、例えば、矩形板状を呈しており、複数のバイポーラ電極(後述するバイポーラ電極32)を含むバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0020】
冷却部材14は、冷媒の流通により蓄電モジュール12を冷却する。冷却部材14は、例えば金属等の導電材料により形成され、導電性を有している。冷却部材14は、蓄電モジュール12と共に積層され、その積層方向(ここではZ方向)に沿って互いに隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向において直列に接続される。冷却部材14は、積層方向に隣り合う蓄電モジュール12間と、積層端に位置する蓄電モジュール12の外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール12の外側に配置された一方の冷却部材14には、正極端子24が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール12の外側に配置された他方の冷却部材14には、負極端子26が接続されている。正極端子24及び負極端子26は、例えば冷却部材14の縁部から積層方向に交差する方向(ここではX方向)に引き出されている。正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電が実施される。
【0021】
なお、
図1の例では、積層方向から見た冷却部材14の面積は、蓄電モジュール12の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、冷却部材14の面積は、蓄電モジュール12の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール12の面積よりも大きくてもよい。
【0022】
拘束部材15は、複数の蓄電モジュール12に対して拘束荷重を付加する。拘束部材15は、一対のエンドプレート16,17(拘束板)と、複数の拘束ボルト18及び複数のナット20を含む締結部材と、を有する。一対のエンドプレート16,17は、積層方向に沿って複数の蓄電モジュール12及び複数の冷却部材14を挟んで配置されている。エンドプレート16,17は、積層方向から見た蓄電モジュール12及び冷却部材14の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート16,17の縁部には、蓄電モジュール12よりも外側となる位置に挿通孔16a,17aが設けられている。エンドプレート16,17の内側面(冷却部材14側の面)には、電気絶縁性を有するフィルム22が設けられている。フィルム22により、エンドプレート16,17と冷却部材14との間が絶縁されている。
【0023】
各拘束ボルト18は、一方のエンドプレート16の挿通孔16aから他方のエンドプレート17の挿通孔17aに向かって通され、他方のエンドプレート17の挿通孔17aから突出した各拘束ボルト18の先端部分には、ナット20が螺合されている。これにより、複数の蓄電モジュール12及び複数の冷却部材14がエンドプレート16,17によって挟持されてユニット化されると共に、複数の蓄電モジュール12に対して積層方向に拘束荷重が付加される。
【0024】
次に、蓄電モジュール12の構成について更に詳細に説明する。
図2は、
図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。
図2に示されるように、蓄電モジュール12は、電極積層体30と、電極積層体30を封止(シール)する樹脂製のシール部材50とを備えている。
【0025】
電極積層体30は、セパレータ40を介して複数のバイポーラ電極32が積層されてなる。この例では、電極積層体30の積層方向DはZ方向である。すなわち、積層方向Dは、蓄電モジュール12の積層方向と一致している。バイポーラ電極32は、電極板34、電極板34の一方面34sに設けられた正極36、電極板34の他方面34rに設けられた負極38を含んでいる。正極36は、正極活物質が塗工されてなる正極活物質層である。負極38は、負極活物質が塗工されてなる負極活物質層である。電極積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向Dに沿って隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向している。電極積層体30において、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向Dに沿って隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。
【0026】
電極積層体30において、積層方向Dの一端には負極終端電極42が配置され、積層方向Dの他端には正極終端電極44が配置されている。負極終端電極42は、電極板34、及び電極板34の他方面34rに設けられた負極38を含んでいる。負極終端電極42の負極38は、セパレータ40を介して積層方向Dの一端のバイポーラ電極32の正極36と対向している。負極終端電極42の電極板34の一方面34sには、蓄電モジュール12に隣接する一方の冷却部材14が接触している。正極終端電極44は、電極板34、及び電極板34の一方面34sに設けられた正極36を含んでいる。正極終端電極44の電極板34の他方面34rには、蓄電モジュール12に隣接する他方の冷却部材14が接触している。正極終端電極44の正極36は、セパレータ40を介して積層方向Dの他端のバイポーラ電極32の負極38と対向している。
【0027】
電極板34は、金属製であり、例えばニッケル又はニッケルメッキ鋼板からなる。電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の周縁部34aは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板34の他方面34rにおける負極38の形成領域は、電極板34の一方面34sにおける正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0028】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0029】
シール部材50は、例えば絶縁性の樹脂によって矩形の枠状に形成されている。シール部材50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。シール部材50は、電極積層体30を取り囲み、複数の電極板34の周縁部34aを保持するように構成されている。
【0030】
シール部材50は、周縁部34aに設けられた一次シール52と、一次シール52の周囲に設けられた二次シール54とを有している。一次シール52は所定の厚さ(積層方向Dに沿った長さ)を有するフィルムである。一次シール52は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、例えば超音波又は熱により、周縁部34aの全周にわたって連続的に溶着されている。一次シール52は、周縁部34aを埋設した状態で、周縁部34aに設けられ、電極板34の端面を覆っている。一次シール52は、積層方向Dから見て、正極36及び負極38から離間して設けられている。積層方向Dに沿って隣り合う一次シール52同士は、互いに当接していてもよいし、互いに離間していてもよい。
【0031】
二次シール54は、電極積層体30及び一次シール52の外側に設けられ、蓄電モジュール12の外壁(筐体)を構成している。二次シール54は、例えば、樹脂の射出成形によって形成され、積層方向Dにおいて電極積層体30の全長に亘って延在している。二次シール54は、積層方向Dに沿って延在する筒状(枠状)である。二次シール54は、積層方向Dに沿った一次シール52の外側面を覆っている。二次シール54は、一次シール52の外側面に接合され、一次シール52の外側面をシールしている。二次シール54は、例えば、射出成形時の熱によって一次シール52の外側面に溶着されている。二次シール54は、熱板溶着によって一次シール52の外側面に溶着されてもよい。
【0032】
積層方向Dに沿って隣り合う電極板34の間には、当該電極板34とシール部材50とにより気密及び水密に仕切られた内部空間Vが形成されている。換言すれば、積層方向Dに沿って互いに隣り合う一対の電極板34によって1つの内部空間Vが規定される。以下では、積層方向Dに沿って互いに隣り合う一対の電極板34と、当該一対の電極板34によって規定される1つの内部空間Vと、を含む部分を蓄電セル39と称する場合がある。
【0033】
内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、蓄電モジュール12は、互いに積層された複数の蓄電セル39と、蓄電セル39のそれぞれの内部空間Vに配置された電解液と、を備える。電解液は、セパレータ40、正極36及び負極38内に含浸されている。電解液は強アルカリ性なので、シール部材50は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料により構成されている。
【0034】
続けて、蓄電モジュール12を冷却するための冷却機構13の詳細な構成について説明する。
図3(a)は、
図1におけるIIIA-IIIA線断面図である。
図3(b)は、
図3(a)におけるIIIB-IIIB線断面図である。なお、
図3(a)においては、蓄電モジュール12及び拘束部材15の図示を省略している。
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、冷却機構13は、上述した冷却部材14と、導入ダクト61と、導出ダクト62と、ブロワ63と、を有する。
【0035】
冷却部材14は、当該冷却部材14の内部に冷媒を流通させることにより蓄電モジュール12(
図1参照)で発生した熱を外部に放出し、蓄電モジュール12を冷却する。すなわち、冷却部材14は、蓄電モジュール12同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、蓄電モジュール12で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。冷媒は、例えば絶縁性を有し、空気、アンモニア等の気体又はLLC等の液体である。
【0036】
冷却部材14は、矩形板状を呈し、厚さ方向が蓄電モジュール12の積層方向(すなわち、Z方向)に沿うように配置されている。冷却部材14は、当該積層方向に交差(直交)する一対の主面14sを有している。各主面14sは、一方向(ここではX方向)を長手方向とする長尺状を呈している。各主面14sは、積層方向に沿って蓄電モジュール12に対向し、蓄電モジュール12と熱的に接続される(例えば、蓄電モジュール12と接触する)冷却面を構成する。本実施形態では、主面14sの全面が冷却面を構成している。
【0037】
冷却部材14には、主面14sに沿って冷媒を流通させる複数の冷媒流路64が形成されている。複数の冷媒流路64は、第1方向(ここではY方向)に沿って直線状にそれぞれ延び、第1方向と交差する第2方向(ここではX方向)に沿って配列されている。本実施形態において、複数の冷媒流路64の配列方向と、冷却部材14の主面14sの長手方向とは一致している。複数の冷媒流路64は、互いに平行である。冷媒流路64の第1方向に交差(直交)する断面(以下、「流路断面」という。)は、図示の例では矩形であるが、例えば円形等の他の形状であってもよい。各冷媒流路64の流路断面の面積(以下、「流路面積」という。)は、例えば第1方向に沿って一定である。
【0038】
冷却部材14は、当該冷却部材14の第2方向の一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、冷媒が冷媒流路64を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。具体的には、
図3に示される冷却部材14は、冷媒流路64の流路面積の変化に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。ここでは、冷媒流路64の流路面積は、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に大きくなっている。
【0039】
より具体的には、冷却部材14は、互いに異なる冷媒流路64が形成された複数(一例として4枚)の冷却板65を有する。複数の冷却板65のそれぞれには、1つの冷却部材14における複数の冷媒流路64のうちの一部が形成されている。なお、図示においては、1つの冷却板65に複数の冷媒流路64が形成されているが、1つの冷却板65に1つの冷媒流路64のみが形成されていてもよい。1つの冷却板65に複数の冷媒流路64が形成されている場合、共通する冷却板65に形成された複数の冷媒流路64は、互いに同様の構成を有している。
【0040】
複数の冷却板65は、第2方向に沿って配列されている。これにより、複数の冷却板65は、全体として、冷却部材14を構成している。1つの主面14s(冷却面)は、複数の冷却板65によって構成されている。冷媒流路64における流路面積は、冷却板65ごとに互いに異なっている。複数の冷却板65は、流路面積の小さい順に、一端部14aから他端部14bに向かって配列されている。
【0041】
各冷却板65は、一対の平板部65aと、一対の平板部65a同士を互いに接続する複数の壁部65bとを含む。各平板部65aは、蓄電モジュール12の積層方向に交差する平板状(すなわち、第1方向及び第2方向に沿って延びる平板状)を呈し、主面14sの一部を構成している。複数の壁部65bは、第1方向に沿って延び、第2方向に沿って互いに離間しつつ配列されている。これにより、冷媒流路64は、平板部65aと壁部65bとによって囲まれるように形成される。また、冷媒流路64の流路面積の変化は、当該冷媒流路64を形成する壁部65bの間隔Cによって規定される。間隔Cは、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に大きくなっている。また、本実施形態において、第2方向に沿って互いに隣り合う壁部65bの中心間距離Lは、一定である。間隔Cは、各壁部65bの第2方向に沿った幅Bによって規定される。幅Bは、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に小さくなっている。
【0042】
なお、幅Bが一定であり、間隔Cが中心間距離Lによって規定されていてもよい。すなわち、中心間距離Lは、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に小さくなっていてもよい。あるいは、間隔Cが幅B及び中心間距離Lの両方によって規定されていてもよい。
【0043】
導入ダクト61は、それぞれの冷媒流路64に対して冷媒を導入するように、冷媒を流通させる。導入ダクト61は、冷却部材14の第1方向の一端部14cに対して第2方向に沿って延びるように設けられている。導入ダクト61の第2方向に沿った長さは、冷却部材14の第2方向に沿った全長よりも長い。一例として、導入ダクト61は、冷却部材14の一端部14aから他端部14bに向かうにつれて縮小するテーパー状に形成されている。導入ダクト61には、冷却部材14のすべての冷媒流路64が連通している。導入ダクト61は、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14の積層高さH(
図1参照)の全長に亘って形成されていてもよい。すなわち、導入ダクト61には、すべての冷却部材14の冷媒流路64が連通していてもよい。
【0044】
導入ダクト61には、当該導入ダクト61に冷媒を導入するための導入口61aが設けられている。導入口61aは、冷却部材14の一端部14a側に位置している。具体的には、導入口61aは、一端部14aよりも第2方向に沿って突出した位置に設けられている。
【0045】
導出ダクト62は、それぞれの冷媒流路64から導出された冷媒を流通させる。導出ダクト62は、冷却部材14の第1方向の他端部14dに対して第2方向に沿って延びるように設けられている。導出ダクト62の第2方向に沿った長さは、冷却部材14の第2方向に沿った全長よりも長い。一例として、導出ダクト62は、冷却部材14の一端部14aから他端部14bに向かうにつれて縮小するテーパー状に形成されている。導出ダクト62には、冷却部材14のすべての冷媒流路64が連通している。導出ダクト62は、互いに積層された蓄電モジュール12及び冷却部材14の積層高さH(
図1参照)の全長に亘って形成されていてもよい。すなわち、導出ダクト62には、すべての冷却部材14の冷媒流路64が連通していてもよい。
【0046】
導出ダクト62には、当該導出ダクト62から冷媒を導出するための導出口62aが設けられている。導出口62aは、冷却部材14の一端部14a側に位置している。具体的には、導出口62aは、一端部14aよりも第2方向に沿って突出した位置に設けられている。
【0047】
ブロワ63は、導出口62aに接続されている。ブロワ63は、導出口62aから導出ダクト62の内部の冷媒を吸引し、冷媒を導出ダクト62から外部に排出する。また、ブロワ63による導出口62aからの冷媒の吸引により、外部の冷媒が導入口61aから導入ダクト61の内部に吸引され、当該冷媒は、導入ダクト61、複数の冷媒流路64、及び導出ダクト62を流通する。
【0048】
以上説明した蓄電装置10の作用効果について説明する。
図4は、比較例に係る冷却機構を示す断面図である。
図4(a)は、
図3(a)に相当する断面を示し、
図4(b)は、
図3(b)に相当する断面(
図4(a)のIVB-IVB線断面)を示している。
図4に示される冷却機構13Xは、冷却部材14の第2方向に沿った圧力損失が一定である点で本実施形態に係る冷却機構13と相違し、その他の点において冷却機構13と同様に構成されている。具体的には、冷却機構13Xにおいて、冷却部材14に形成された複数の冷媒流路64の流路面積は、互いに同じである。
【0049】
図5は、比較例に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図6は、本実施形態に係る冷却機構の圧力分布状態を示す図である。
図5及び
図6においては、圧力が等高線で示されると共に、色の濃い部分ほど、圧力が大きいことが示されている。冷却機構13,13Xにおいては、圧力の等高線の間隔が狭い部分ほど冷媒が流れやすく、圧力の等高線の間隔が広い部分ほど冷媒が流れにくくなる。
【0050】
本実施形態に係る蓄電装置10においては、冷却部材14に形成された複数の冷媒流路64が第2方向(ここではX方向)に沿って配列され、導入ダクト61の導入口61a及び導出ダクト62の導出口62aが、冷却部材14の第2方向の一端部14a側に位置している。これにより、導入口61a及び導出口62aのどちらか一方が第2方向の他端部14b側に位置している構成と比較して、蓄電装置10のコンパクト化を図ることができる。一方で、このような構成において、冷却機構13Xのように、第2方向に沿って冷却部材14が一律に構成されている場合、
図5に示されるように、冷却部材14の一端部14a側の領域においては等高線の間隔が極端に狭く、冷却部材14の他端部14b側の領域においては等高線の間隔が広くなる。換言すると、冷媒は、冷却部材14における複数の冷媒流路64のうち一端部14a側の領域に形成された冷媒流路64に偏って流通しやすい。
【0051】
これに対し、本実施形態に係る蓄電装置10の冷却機構13において、冷却部材14は、当該冷却部材14の第2方向の他端部14bに向かうにつれて、冷媒が冷媒流路64を通過する際の圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。このため、
図6に示されるように、冷却部材14の全域に亘って等高線の間隔がほぼ均等となる。換言すると、冷媒は、圧力損失に応じて、冷却部材14の他端部14b側に位置する冷媒流路64においても流通しやすくなる。したがって、冷却部材14における複数の冷媒流路64間の冷媒の流通の偏りが抑制され、冷却性能の位置ごとのばらつきを抑制することが可能となる。
【0052】
また、蓄電装置10において、冷却機構13は、導出口62aに接続され、冷媒を導出ダクト62から排出するように冷媒を吸引するブロワ63を有している。これにより、ブロワ63によって冷媒を導出口62aから吸引する構成(所謂、プル方式)によって、導入ダクト61、複数の冷媒流路64、導出ダクト62に亘る流通経路に冷媒を流通させることができる。このため、例えば、ブロワ63を有していない構成や、ブロワ63によって冷媒を導入口61aに供給する構成(所謂、プッシュ方式)と比較して、冷媒を効率よく流通させることができる。
【0053】
また、蓄電装置10において、冷却部材14は、冷媒流路64の流路面積(すなわち、第1方向(ここではY方向)に交差する断面の面積)の変化に応じて、当該冷却部材14の第2方向の他端部14bに向かうにつれて、圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。これにより、流路面積を変化させることで簡易に圧力損失の差を構成しやすい。
【0054】
また、蓄電装置10において、冷却部材14は、複数の冷媒流路64のうちの一部の冷媒流路64がそれぞれ形成され、第2方向に沿って配列された複数の冷却板65を有しており、冷媒流路64における流路面積は、冷却板65ごとに互いに異なっている。これにより、単一の冷却板65においては複数の冷媒流路64の構成を共通させることができるので、それぞれの構成が単純な複数種類の冷却板65を用いて冷却部材14を形成することができる。
【0055】
また、蓄電装置10において、流路面積の変化は、冷媒流路64を形成する壁部65bの間隔Cによって規定されている。これにより、単純な構成で流路面積を変化させることができる。
【0056】
また、蓄電装置10において、壁部65bの間隔Cは、当該壁部65bの第2方向に沿った幅Bによって規定されている。これにより、単純な構成で間隔Cを変化させることができる。
【0057】
以上の実施形態は、本発明に係る蓄電装置の一実施形態について説明したものである。本発明に係る蓄電装置は、上述した蓄電装置10を任意に変更したものとすることができる。
【0058】
例えば、上記実施形態において、冷却部材14は、冷媒流路64の流路面積の変化に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成されていた。しかしながら、圧力損失を調整するための冷却部材14の構成はこれに限定されない。
図7及び
図8は、変形例に係る冷却部材を示す断面図である。
【0059】
図7に示されるように、冷却部材14の壁部65bの間隔Cは一定であってもよく、平板部65a及び壁部65bによって囲まれるように形成される冷媒流路64の流路面積は互いに同じであってもよい。
図7に示される冷却部材14において、冷媒流路64の内部には、複数の凸部66が形成されている。換言すると、冷媒流路64の流路面積は、凸部66が形成されている位置においては、凸部66の形成密度に応じて、平板部65a及び壁部65bによって囲まれる流路面積よりも狭くなっている。
【0060】
図7に示される冷却部材14は、凸部66の形成密度に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成されている。本変形例に係る冷却部材14において、冷媒流路64に形成された凸部66の形成密度は、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に小さくなっている。この構成により、凸部66の形成密度を変化させることで圧力損失の細かい調整を行いやすい。なお、冷却部材14の最も他端部14b側において、冷媒流路64に形成された凸部66の形成密度はゼロであってもよい。例えば、最も一端部14a側に配置される冷却板65に形成された複数の冷媒流路64には、凸部66が形成されていなくてもよい。凸部66の形成密度は、例えば、凸部66の数、大きさ又は細かさ等によって調整できる。
【0061】
また、凸部66に代えて凹部(不図示)が冷媒流路64の内部に形成されていてもよい。この場合、冷却部材14は、凹部の形成密度に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成される。具体的には、冷媒流路64に形成された凹部の形成密度は、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に大きくなる。あるいは、凸部66と凹部との両方が冷媒流路64の内部に形成されていてもよい。この場合、冷却部材14は、凸部66及び凹部の形成密度に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成される。
【0062】
また、
図8に示されるように、冷媒流路64は、冷却部材14の一端部14cから他端部14dに向かうにつれて縮小するテーパー状に形成されていてもよい。この場合、冷却部材14は、冷媒流路64の縮小率に応じて、他端部14bに向かうにつれて圧力損失が段階的に小さくなるように構成される。ここで、縮小率とは、縮小した面積(一端部14cにおける流路面積と他端部14dにおける流路面積との差)の元の面積(一端部14cにおける流路面積)に対する割合をいう。本変形例に係る冷却部材14において、冷媒流路64の縮小率は、一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、段階的に小さくなっている。この構成により、冷却部材14の第2方向に沿った位置ごとの冷却性能のばらつきの抑制と併せて、冷却部材14の第1方向に沿った位置ごとの冷却性能のばらつきも抑制できる。なお、冷却部材14の最も一端部14a側において、冷媒流路64の縮小率はゼロであってもよい。例えば、最も一端部14a側に配置される冷却板65に形成された複数の冷媒流路64は、テーパー形状でなくてもよい。
【0063】
また、圧力損失を調整するための冷却部材14の構成は、上記実施形態及び各変形例における各構成を任意に組み合わせたものであってもよい。例えば、冷却部材14は、流路面積(冷媒流路64の第1方向に交差する断面の面積)の変化、凸部66の形成密度、及び、冷媒流路64の縮小率(第1方向に沿って縮小するテーパー状の冷媒流路64の縮小率)のうちの少なくとも2つ以上の組み合わせに応じて、当該冷却部材14の一端部14aから他端部14bに向かうにつれて、圧力損失が段階的に小さくなるように構成されていてもよい。
【0064】
また、冷媒流路64の流路面積の変化は、凸部66の形成密度、又は冷媒流路64の縮小率によって規定されていてもよく、凸部66の形成密度、冷媒流路64の縮小率、及び、上述した壁部65bの間隔Cのうちの少なくとも2つ以上の組み合わせによって規定されていてもよい。
【0065】
また、壁部65bの間隔Cは、凸部66の形成密度、又は冷媒流路64の縮小率によって規定されていてもよく、凸部66の形成密度、冷媒流路64の縮小率、及び、上述した壁部65bの第2方向に沿った幅Bのうちの少なくとも2つ以上の組み合わせによって規定されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…蓄電装置、12…蓄電モジュール、13…冷却機構、14…冷却部材(流路部材)、14a,14c…一端部、14b,14d…他端部、61…導入ダクト、61a…導入口、62…導出ダクト、62a…導出口、63…ブロワ、64…冷媒流路、65…冷却板、65b…壁部、66…凸部、B…幅、C…間隔。