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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】二重殻タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20230508BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20230508BHJP
   B65D 90/08 20060101ALI20230508BHJP
   B65D 90/12 20060101ALI20230508BHJP
   E04H 7/06 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
F17C13/08 302E
B65D90/02 N
B65D90/08 B
B65D90/12 A
E04H7/06 303
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018240497
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020101241
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素利用等先導研究開発事業/大規模水素利用技術の研究開発/水素液化貯蔵システムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 勝矢
(72)【発明者】
【氏名】堀野 聡
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴行
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴裕
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237888(JP,A)
【文献】特開2014-074452(JP,A)
【文献】特開平06-034098(JP,A)
【文献】特開2002-128191(JP,A)
【文献】実開昭61-140300(JP,U)
【文献】特開2012-192967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
B65D 90/02
B65D 90/08
B65D 90/12
E04H 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリートと、
前記基礎コンクリートに埋め込まれたベース部及び前記基礎コンクリートの上面に露出したプレート部を有するアンカープレートと、
前記基礎コンクリート上に設けられ、前記アンカープレートの前記プレート部と結合された平らな外槽底板、及び、前記外槽底板から上方へ延びる円筒状の外槽側板を有する外槽と、
前記外槽底板の上方に設けられた平らな内槽底板、及び、前記内槽底板から上方へ延びる円筒状の内槽側板を有し、前記外槽に真空断熱層を介して包囲された内槽とを、備え、
前記外槽底板は複数の底板部材からなり、前記アンカープレートの前記プレート部は第1水平方向に延びるライン状を呈し、複数の前記プレート部が前記第1水平方向と直交する第2水平方向に並び、前記第2水平方向に隣接する前記プレート部に前記底板部材が架け渡され、前記プレート部と前記底板部材の前記第2水平方向の端辺とが溶接されている、
二重殻タンク。
【請求項2】
前記外槽底板は前記第1水平方向及びそれと直交する前記第2水平方向に並ぶ複数の前記底板部材からなり、
前記プレート部は前記底板部材の周縁部と上下方向に重複するように平面視格子状に設けられ、
前記底板部材の前記第1水平方向及び前記第2水平方向の端辺と前記プレート部とが溶接されている、
請求項1に記載の二重殻タンク。
【請求項3】
前記第2水平方向に隣接する前記アンカープレートの間に複数の前記底板部材が前記第1水平方向に並び、前記第1水平方向に並ぶ前記底板部材の前記第1水平方向の端面同士が突き合わせ溶接されている、
請求項1又2に記載の二重殻タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内槽が真空断熱層を介して外槽に包囲された二重殻タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、低温の液化ガスを貯蔵するために二重殻タンクが使用されている。二重殻タンクは、液体を貯蔵する内槽と、内槽を包囲する外槽と、内槽と外槽との間の空間に充填された断熱材とを備える。更に断熱性を高めるために、内槽と外槽との間の空間が真空減圧されたものがある。特許文献1は、この種の二重殻タンクを開示する。
【0003】
特許文献1の二重殻タンク(低温用真空断熱容器)は、内槽と、内槽を覆う外槽と、内槽と外槽との間に充填された断熱材を含む真空断熱層とを備える。断熱材はグラスウールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-74452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるように、内槽と外槽との間に真空断熱層を設ける場合には、内槽及び外槽が圧力容器とされる。圧力容器は、一般的に、胴体をなす円筒部と、円筒部の両端にトロイド部を介して設けられた半球殻部とからなるカプセル形状の密閉容器である。このような圧力容器は壁に平面部分を有しないことから、壁を薄肉とすることができる。しかし、圧力容器の半球殻部は、その周囲の空間を有効に利用することが難しく、実質的には半球殻部とその周囲を含めた円柱状の空間を占有する。そのため、圧力容器は占有空間の大きさに対して容積が小さいという課題がある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内槽が真空断熱層を介して外槽に包囲された二重殻タンクであって、カプセル形状の二重殻タンクと比較して容積の拡張の可能な構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る二重殻タンクは、
基礎コンクリートと、
前記基礎コンクリートに埋め込まれたベース部及び前記基礎コンクリートの上面に露出したプレート部を有するアンカープレートと、
前記基礎コンクリート上に設けられ、前記アンカープレートの前記プレート部と結合された平らな外槽底板、及び、前記外槽底板から上方へ延びる円筒状の外槽側板を有する外槽と、
前記外槽底板の上方に設けられた平らな内槽底板、及び、前記内槽底板から上方へ延びる円筒状の内槽側板を有し、前記外槽に真空断熱層を介して包囲された内槽とを、備え
前記外槽底板は複数の底板部材からなり、前記アンカープレートの前記プレート部は第1水平方向に延びるライン状を呈し、複数の前記プレート部が前記第1水平方向と直交する第2水平方向に並び、前記第2水平方向に隣接する前記プレート部に前記底板部材が架け渡され、前記プレート部と前記底板部材の前記第2水平方向の端辺とが溶接されているものである。
【0008】
上記構成の二重殻タンクによれば、内槽側板は内槽の底レベルまで円筒状に形成されているので、下部が半球殻で形成されたカプセル形状の内槽と比較して、内槽の容積を拡張することができる。また、下部が半球殻で形成された内槽ではデッドスペースとなっていた内槽の下部の周囲を、上記構成の二重殻タンクでは内槽の一部として利用することができる。つまり、内槽の占有空間を液体の収容空間として有効に利用することができる。
【0009】
また、内槽と外槽との間が減圧されると、大気圧を受けて外槽のうち特に平面で形成された外槽底板が上方へ浮き上がろうとする。これに対し、上記構成の二重殻タンクでは、外槽底板はアンカープレートにより基礎コンクリートに固定されているので、外槽底板の浮き上がりや撓みが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内槽が真空断熱層を介して外槽に包囲された二重殻タンクであって、カプセル形状の二重殻タンクと比較して容積の拡張の可能なものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る二重殻タンクの全体的な構成を示す断面図である。
図2図2は、基礎コンクリートと外槽底板との取り合いを示す側面断面図である。
図3図3は、基礎コンクリートとアンカープレートの平面図である。
図4図4は、アンカープレートとそれに接合された複数の底板部材を示す平面図である。
図5図5は、複数の底板部材のレイアウトの変形例を示す平面図である。
図6図6は、基礎コンクリートと変形例1に係るアンカープレートの平面図である。
図7図7は、変形例1に係るアンカープレートとそれに接合された複数の底板部材の平面図である。
図8図8は、変形例1に係るアンカープレートによる基礎コンクリートと外槽底板との取り合いを示す側面断面図である。
図9図9は、基礎コンクリートと変形例2に係るアンカープレートの平面図である。
図10図10は、変形例2に係るアンカープレートとそれに接合された複数の底板部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る二重殻タンク1の内部構造を示す断面図である。図1に示す二重殻タンク1は、基礎コンクリート2と、基礎コンクリート2の上に設けられた外槽3と、外槽3に内包された内槽4とを備える。この二重殻タンク1は、例えば、液体ヘリウム、液体水素、液体窒素、LNG、LPGなどの低温液化ガスを貯蔵するためのものである。
【0013】
外槽3は、常温用材料で構成された圧力容器である。外槽3は、胴体をなす鉛直方向に延びる円筒状の外槽側板31と、外槽側板31の上部に設けられた半球殻状(ドーム状)の外槽屋根32と、外槽側板31の下部に設けられた概ね平らな外槽底板33とを有する。外槽底板33は複数の底板部材331が接合されて成る。外槽側板31と外槽屋根32との間は、トロイド部によって滑らかな曲面で接続されている。
【0014】
内槽4は、脆化遷移温度が低い低温用材料で構成された圧力容器である。内槽4は、胴体をなす鉛直方向に延びる円筒状の内槽側板41と、内槽側板41の上部に設けられた半球殻状(ドーム状)の内槽屋根42と、内槽側板41の下部に設けられた平らな内槽底板43とを有する。内槽底板43は、底部保冷層10を介して外槽底板33の上に配置されている。内槽側板41と内槽屋根42との間は、トロイド部によって滑らかな曲面で接続されている。内槽4には、低温液化ガスが貯蔵される。
【0015】
外槽3と内槽4との間の空間には、断熱材6が充填されている。断熱材6は、例えば、パーライトやグラスウールなどの、従来二重殻タンクの断熱材として使用されてきたものであってよい。また、外槽3と内槽4との間は、ほぼ真空となるように減圧されている。このようにして、外槽3と内槽4との間には、真空断熱層60が形成されている。
【0016】
基礎コンクリート2は、地面に打設されている。基礎コンクリート2にはアンカープレート5が埋め込まれている。図2に詳細に示されるように、アンカープレート5は、基礎コンクリート2に埋まったベース部51と、基礎コンクリート2の上面に現れたプレート部52とを一体的に有する。プレート部52は、接合面521である平らな上面を有する。この接合面521は、外槽底板33と接合される。ベース部51の形状は、特に限定されないが、プレート部52が上向きに引っ張られてもアンカープレート5が基礎コンクリート2から抜け出ることの無いように、例えば、横断面上下逆T字形を有する。
【0017】
図3は、基礎コンクリート2及びアンカープレート5の平面図である。図3に示すように、アンカープレート5のプレート部52は、第1水平方向Xに延びるライン状(又は、帯状)を呈する。ベース部51は、プレート部52と同様に第1水平方向Xに連続的に延在していてもよいし、第1水平方向Xに断続的に延在していてもよい。
【0018】
複数のアンカープレート5は、第1水平方向Xと略直交する第2水平方向Yに並んでいる。隣接するアンカープレート5の間隔は、底板部材331の寸法と対応している。即ち、図4に示すように、隣接するアンカープレート5に底板部材331が架け渡されるように、隣接するアンカープレート5の間隔が定められている。なお、図4は、アンカープレート5とそれに接合された複数の底板部材331を示す平面図である。
【0019】
アンカープレート5と外槽底板33の底板部材331とを接合する際には、図2及び図4に示すように、底板部材331の第2水平方向Yの端辺の下面とアンカープレート5のプレート部52の接合面521とが接触するように、底板部材331とプレート部52とが上下に重ね合わされ、底板部材331の第2水平方向Yの端面とプレート部52の接合面521とが隅肉溶接によって接合される。つまり、プレート部52を当て金として、底板部材331の第2水平方向Yの端辺同士が接合される。これにより、底板部材331の第2水平方向Yの端辺とプレート部52とが結合されると共に、それらの間が封止される。
【0020】
隣接する底板部材331の第1水平方向Xの端面同士は、突き合わせ溶接される。これにより、第1水平方向Xに隣接する底板部材331の間が封止される。このようにして、隙間なく敷き詰められた複数の底板部材331によって気密な外槽底板33が形成される。
【0021】
本実施形態では平面視矩形の底板部材331が採用されている。図4に示すように、複数の底板部材331は縦目と横目の揃った格子状に配置されてよい。或いは、図5に示すように、複数の底板部材331は縦目(第1水平方向Xの並び)が揃い、横目(第2水平方向Yの並び)が千鳥状に配置されてよい。
【0022】
以上に説明したように、本実施形態の二重殻タンク1は、基礎コンクリート2と、基礎コンクリート2に埋め込まれたベース部51及び基礎コンクリート2の上面に露出したプレート部52を有するアンカープレート5と、基礎コンクリート2上に設けられ、アンカープレート5のプレート部52と結合された平らな外槽底板33、及び、外槽底板33から上方へ延びる円筒状の外槽側板31を有する外槽3と、外槽底板33の上方に設けられた平らな内槽底板43、及び、内槽底板43から上方へ延びる円筒状の内槽側板41を有し、外槽3に真空断熱層60を介して包囲された内槽4とを、備えるものである。
【0023】
上記構成の二重殻タンク1によれば、内槽側板41は内槽4の底レベルまで円筒状に形成されているので、下部が半球殻で形成されたカプセル形状の内槽と比較して、内槽4の容積を拡張することができる。また、下部が半球殻で形成された内槽ではデッドスペースとなっていた内槽の下部の周囲を、上記構成の二重殻タンク1では内槽4の一部として利用することができる。つまり、内槽4の占有空間を液体の収容空間として有効に利用することができる。
【0024】
上記構成の二重殻タンク1では、内槽4と外槽3との間が減圧されているので、大気圧を受けて外槽3のうち特に平面で形成された外槽底板33が上方へ浮き上がろうとする。これに対し、外槽底板33はアンカープレート5により基礎コンクリート2に固定されているので、外槽底板33の浮き上がりや撓みが抑制される。
【0025】
また、本実施形態に示されるように、上記二重殻タンク1において、外槽底板33は複数の底板部材331からなり、アンカープレート5のプレート部52は第1水平方向Xに延びるライン状を呈し、複数のプレート部52が第1水平方向Xと直交する第2水平方向Yに並び、第2水平方向Yに隣接するプレート部52に底板部材331が架け渡され、プレート部52と底板部材331の第2水平方向Yの端辺とが溶接されていてよい。
【0026】
これにより、底板部材331の第2水平方向Yの端辺とプレート部52とが結合されると共に、底板部材331とプレート部52との間が封止される。更に、このような底板部材331が第2水平方向Yに並ぶことによって、プレート部52を当て金として、第2水平方向Yに並ぶ底板部材331の第2水平方向Yの端辺同士が接合される。このようなアンカープレート5によって、外槽3が気密性を備えるように複数の底板部材331を接合すること、及び、複数の底板部材331を段差なくフラットに接合することができる。加えて、外槽底板33の浮き上がりを抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態に示されるように、上記二重殻タンク1において、第2水平方向Yに隣接するアンカープレート5の間に複数の底板部材331が第1水平方向Xに並び、第1水平方向Xに並ぶ底板部材331の第1水平方向Xの端面同士が突き合わせ溶接されていてよい。
【0028】
前述の通り、アンカープレート5によって複数の底板部材331が段差なくフラットに接合されるので、底板部材331が第1水平方向Xの端面同士を突き合わせ接合することができる。そして、このように底板部材331が突き合わせ溶接されることによって、外槽3が気密性を備えるように複数の底板部材331が接合される。
【0029】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明の思想を逸脱しない範囲で、上記実施形態の具体的な構造及び/又は機能の詳細を変更したものも本発明に含まれ得る。上記の二重殻タンク1の構成は、例えば、以下のように変更することができる。
【0030】
〔変形例1〕
図6は、基礎コンクリート2と変形例1に係るアンカープレート5Aの平面図である。上記実施形態に係るアンカープレート5のプレート部52は、平面視において第1水平方向Xへ延びるライン状(又は帯状)を呈するが、図6に示す変形例1に係るアンカープレート5Aのプレート部52Aは平面視において短冊状を呈する。複数の短冊状のプレート部52Aが第1水平方向Xに並んで列を成し、この列が第2水平方向Yに並ぶ。
【0031】
変形例1に係るアンカープレート5Aと外槽底板33の底板部材331とを接合する際には、図7及び図8に示すように、先ず、第2水平方向Yに隣接するアンカープレート5Aのプレート部52Aに一段目底板部材331aが架け渡され、プレート部52Aの接合面521と一段目底板部材331aの第2水平方向Yの端面とが隅肉溶接により接合される。第1水平方向Xに隣接する一段目底板部材331aは、第1水平方向Xの端面同士が突き合わせ溶接されてよい。このようにして、第2水平方向Yに隣接するアンカープレート5Aの間が一つ置きに一段目底板部材331aで塞がれる。
【0032】
次に、第2水平方向Yに隣接する一段目底板部材331aに二段目底板部材331bが架け渡され、一段目底板部材331aの上面と二段目底板部材331bの第2水平方向Yの端面とが隅肉溶接により接合される。第1水平方向Xに隣接する二段目底板部材331bは、第1水平方向Xの端面同士が突き合わせ溶接されてよい。このようにして、第2水平方向Yに隣接する一段目底板部材331aの間が二段目底板部材331bで塞がれ、気密性を有し、且つ、アンカープレート5Aによって基礎コンクリート2と固定された外槽底板33が形成される。
【0033】
〔変形例2〕
図9は、基礎コンクリート2と変形例2に係るアンカープレート5Bの平面図である。本変形例に係るアンカープレート5Bは、平面視において格子状を呈するプレート部52Bを有する。プレート部52Bは、平面視において第1水平方向Xへライン状(又は帯状)に延びる部分と、平面視において第2水平方向Yへライン状(又は帯状)に延びる部分とを有する。
【0034】
変形例2に係るアンカープレート5Bと外槽底板33の底板部材331とを接合する際には、図10に示すように、プレート部52Bにより形成された格子の各マスに底板部材331が配置され、各マスにおいて底板部材331の下面の周縁部とプレート部52Bの接合面521とが接触するように、底板部材331とプレート部52Bとが上下に重ね合わされる。そして、前述の実施形態と同様に、底板部材331の第1水平方向Xの端面とプレート部52の接合面521とが隅肉溶接によって接合される。また、底板部材331の第2水平方向Yの端面とプレート部52の接合面521とが隅肉溶接によって接合される。つまり、プレート部52Bを当て金として、底板部材331の第1水平方向Xの端辺同士、及び、底板部材331の第2水平方向Yの端辺同士が接合される。このようにして、底板部材331の全周囲がプレート部52Bと接合される。
【0035】
以上に説明した通り、本変形例に係る二重殻タンク1では、外槽底板33は第1水平方向X及びそれと直交する第2水平方向Yに並ぶ複数の底板部材331からなり、プレート部52Bは底板部材331の周縁部と上下方向に重複するように平面視格子状に設けられ、底板部材331の第1水平方向X及び第2水平方向Yの端辺とプレート部52Bとが溶接されている。
【符号の説明】
【0036】
1 :二重殻タンク
2 :基礎コンクリート
3 :外槽
4 :内槽
5,5A,5B :アンカープレート
6 :断熱材
10 :底部保冷層
31 :外槽側板
32 :外槽屋根
33 :外槽底板
41 :内槽側板
42 :内槽屋根
43 :内槽底板
51 :ベース部
52,52A,52B:プレート部
60 :真空断熱層
331,331a,331b :底板部材
521 :接合面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10