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  • 特許-教示装置及び教示方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】教示装置及び教示方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20230508BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20230508BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B25J9/22 A
B25J13/08 Z
G05B19/42 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019011136
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116703
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】田邉 志功
(72)【発明者】
【氏名】野村 琢磨
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-231925(JP,A)
【文献】特開2016-028842(JP,A)
【文献】特開2018-187754(JP,A)
【文献】特開2017-001122(JP,A)
【文献】特開2017-177293(JP,A)
【文献】特開2016-168651(JP,A)
【文献】特開2012-040637(JP,A)
【文献】特開2014-128843(JP,A)
【文献】特開2015-003378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0236050(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10-19/06
G05B 19/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに取付けられ、当該ロボットアームに加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサと、
前記トルクセンサにより検出されたトルクから、前記ロボットアームに加えられた押付力を算出する力算出部と、
ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部と、
前記ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットアームをサーボロックするアーム制御部と、
ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部と、
前記ロボットアームが有するツールが物体から離れた状態において、前記アーム制御部により前記ロボットアームがサーボロックされた後に前記力算出部により算出された押付力のうち、前記決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、前記ロボットアームに対して教示された力の値及び方向として登録する力登録部と
を備えた教示装置。
【請求項2】
前記力算出部により算出された押付力をリアルタイムに通知する通知部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の教示装置。
【請求項3】
前記力算出部は、前記トルクセンサ毎に検出値から初期値を差し引いた差分値及び取付け位置までのアーム長さに基づいて力を算出し、当該トルクセンサ毎に算出した力を合成することで前記ロボットアームに加えられた押付力を算出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の教示装置。
【請求項4】
前記ロボットアームに押付力が加えられる際の当該ロボットアームの位置又は姿勢は、任意の位置又は姿勢である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか1項記載の教示装置。
【請求項5】
ロボットアームに取付けられ、当該ロボットアームに加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサと、前記トルクセンサにより検出されたトルクから、前記ロボットアームに加えられた押付力を算出する力算出部とを備えた教示装置による教示方法であって、
ロック指示受付部が、ユーザからサーボロック指示を受付け、
アーム制御部が、前記ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、前記ロボットアームをサーボロックし、
決定指示受付部が、ユーザから決定指示を受付け、
力登録部が、前記ロボットアームが有するツールが物体から離れた状態において、前記アーム制御部により前記ロボットアームがサーボロックされた後に前記力算出部により算出された押付力のうち、前記決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、前記ロボットアームに対して教示された力の値及び方向として登録する
ことを特徴とする教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットアームに対して力をダイレクト教示するための教示装置及び教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、教示装置は、ユーザによるロボットアームに対する位置及び姿勢のダイレクト教示を可能としている(例えば特許文献1,2参照)。一方、従来の教示装置では、ロボットアームに対する力の教示については、ユーザによるティーチングペンダントを用いた数値入力に応じ、力の値及び方向を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-204441号公報
【文献】特開平05-250029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の教示装置では、ロボットアームに対する力の教示については、ユーザによるティーチングペンダントを用いた数値入力を受付けている。しかしながら、この場合、ユーザは、事前に実験を行って、入力する数値を確認する必要がある。そのため、ロボットアームに対する力の教示は、作業工数という観点では煩わしく、改善が求められている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ロボットアームに対して力のダイレクト教示が可能な教示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る教示装置は、ロボットアームに取付けられ、当該ロボットアームに加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサと、トルクセンサにより検出されたトルクから、ロボットアームに加えられた押付力を算出する力算出部と、ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部と、ロック指示受付部によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットアームをサーボロックするアーム制御部と、ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部と、ロボットアームが有するツールが物体から離れた状態において、アーム制御部によりロボットアームがサーボロックされた後に力算出部により算出された押付力のうち、決定指示受付部により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットアームに対して教示された力の値及び方向として登録する力登録部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、ロボットアームに対して力のダイレクト教示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る教示装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る教示装置の別の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る教示装置の構成例及び動作例を示す図である。
教示装置は、ユーザがロボットアーム101に対して力のダイレクト教示を実施するための装置である。この教示装置は、力のダイレクト教示に関する機能の他に、位置及び姿勢のダイレクト教示に関する機能も有していてもよいが、位置及び姿勢のダイレクト教示に関する機能については従来と同様であるためその説明を省略する。なお、ユーザがロボットアーム101に対して教示する力としては、例えば、ツール102による物体201に対する押付け、ツール102が把持するワークの物体201上へのプレイス、ツール102による物体201に対する研磨又はネジ締め等の際に加える力が挙げられる。この教示装置は、図1に示すように、トルクセンサ11、力算出部12及び力教示部13を備えている。
【0010】
トルクセンサ11は、ロボットアーム101に取付けられ、ロボットアーム101に加えられた押付力によるトルクを検出可能な検出センサである。トルクセンサ11は、ロボットアーム101の各軸に取付けられている。
【0011】
力算出部12は、トルクセンサ11により検出されたトルクから、ロボットアーム101に加えられた押付力を算出する。この際、力算出部12は、トルクセンサ11毎に、検出値から初期値(ロボットアーム101に力が加えられていない状態での検出値)を差し引き、その差分値及び取付け位置までのアーム長さに基づいて力を算出する。そして、力算出部12は、算出した各力を合成することで、ロボットアーム101に加えられた押付力を算出する。
【0012】
力教示部13は、力算出部12により算出された押付力に基づいて、ロボットアーム101に対して教示された力を登録する。この力教示部13は、図2に示すように、ロック指示受付部14、アーム制御部15、通知部16、決定指示受付部17、力登録部18及び記録部19を有している。
【0013】
なお、力算出部12及び力教示部13は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0014】
ロック指示受付部14は、ユーザからサーボロック指示を受付ける。サーボロック指示は、ユーザがロボットアーム101をサーボロックする際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットアーム101が有する操作ボタン(不図示)又はティーチングペンダント(不図示)が有する操作ボタンを用いて、サーボロック指示の入力を行う。
【0015】
アーム制御部15は、ロック指示受付部14によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットアーム101をサーボロックする。
【0016】
通知部16は、力算出部12により算出された押付力をリアルタイムに通知する。この通知部16により通知された押付力を示す情報は、表示装置(不図示)に表示される。
なお、通知部16は、教示装置に必須の構成ではなく、教示装置に設けられていなくてもよい。例えば、ユーザが、力のダイレクト教示において、ロボットアーム101に加えられている押付力を確認しながら教示を行う必要が無い場合には、通知部16は不要である。
【0017】
決定指示受付部17は、ユーザから決定指示を受付ける。決定指示は、ユーザが、力のダイレクト教示を実施している最中に、ロボットアーム101に対して教示する力を決定する際に教示装置に対して入力する指示である。なお、ユーザは、例えばロボットアーム101が有する操作ボタン又はティーチングペンダントが有する操作ボタンを用いて、決定指示の入力を行う。
【0018】
力登録部18は、アーム制御部15によりロボットアーム101がサーボロックされた後に力算出部12により算出された押付力のうち、決定指示受付部17により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットアーム101に対して教示された力の値及び方向として記録部19に登録する。
【0019】
なお、記録部19は、HDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disc)又はメモリ等によって構成される。
また図2では、記録部19が教示装置の内部に設けられた場合を示しているが、これに限らず、記録部19は教示装置の外部に設けられていてもよい。
【0020】
また、教示装置は、力のダイレクト教示を、位置及び姿勢のダイレクト教示とは別に実施するものとする。
【0021】
次に、図1,2に示す教示装置を用いた力のダイレクト教示の一例について説明する。以下では、図1に示すように、ロボットアーム101が物体201をz軸方向に押付ける際の力を教示する場合を示す。
ここで、ユーザがロボットアーム101に対して位置又は姿勢をダイレクト教示する場合、ロボットアーム101の関節部分の回転角等を教示することになるが、この回転角等はユーザにとって視覚的に捉え易く位置又は姿勢の再現が容易である。これに対し、ユーザがロボットアーム101に対して力をダイレクト教示しようとする場合には、この力はユーザにとって視覚的に捉え難く力の再現が難しい。そこで、実施の形態1に係る教示装置では、ロボットアーム101に加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサ11を用いることで、力のダイレクト教示を実現する。
一方、ロボットアーム101を自由に動かせる状態でユーザがロボットアーム101を物体201に押付けると、この押付力が物体201からの反発力で相殺されてしまうため、トルクセンサ11はトルクを検出できない。そのため、この状態ではロボットアーム101に対する力のダイレクト教示は実施できない。そこで、実施の形態1に係る教示装置では、ロボットアーム101が物体201から離れた状態でサーボロック状態(静止状態)とする。これにより、この状態でユーザがロボットアーム101に押付力を加えると、ロボットアーム101には押付力のみが加えられた状態となり、トルクセンサ11はこの押付力によるトルクを検出可能となる。
【0022】
力のダイレクト教示では、ユーザは、まず、ロボットアーム101が有するツール102を物体201から離した位置に移動させる。図1では、ロボットアーム101が物体201の上方に移動されている。
【0023】
次いで、ユーザは、サーボロック指示を教示装置に入力する。
次いで、アーム制御部15は、ロボットアーム101をサーボロックする。
【0024】
次いで、ユーザは、ロボットアーム101に対して手でz軸方向に力を加える。この際、トルクセンサ11はロボットアーム101に加えられたz軸方向の押付力によるトルクを算出し、力算出部12はこのトルクから当該押付力を算出する。図1において、符号501に示す矢印はユーザにより加えられた押付力を示している。
【0025】
また、通知部16は力算出部12により算出された押付力をリアルタイムに通知し、表示装置はその押付力を示す情報を表示する。これにより、ユーザは、ロボットアーム101に加えた押付力をモニタしながらロボットアーム101に加える押付力を調整できる。
【0026】
次いで、ユーザは、ロボットアーム101に加えた押付力が所望値となった場合に、決定指示を教示装置に入力する。
【0027】
次いで、力登録部18は、決定指示が入力されたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットアーム101に対して教示された力の値及び方向として登録する。
以上の動作により、ユーザは、ロボットアーム101に対して力を教示できる。
【0028】
なお、ロボットアーム101の位置又は姿勢によっては、ユーザがロボットアーム101に対して押付力を加え難い場合又はトルクセンサ11での感度が弱くなる場合がある。そこで、このような場合には、例えば図3に示すように、ユーザは、ロボットアーム101の位置又は姿勢を、力のダイレクト教示がし易い任意の位置又は姿勢に移動させてから、力のダイレクト教示を実施してもよい。これにより、ユーザは、ロボットアーム101に対して押付力を加え易くなり、また、トルクセンサ11での感度の低下を抑制できる。
【0029】
以上のように、この実施の形態1によれば、教示装置は、ロボットアーム101に取付けられ、当該ロボットアーム101に加えられた押付力によるトルクを検出可能なトルクセンサ11と、トルクセンサ11により検出されたトルクから、ロボットアーム101に加えられた押付力を算出する力算出部12と、ユーザからサーボロック指示を受付けるロック指示受付部14と、ロック指示受付部14によりサーボロック指示を受付けたタイミングで、ロボットアーム101をサーボロックするアーム制御部15と、ユーザから決定指示を受付ける決定指示受付部17と、アーム制御部15によりロボットアーム101がサーボロックされた後に力算出部12により算出された押付力のうち、決定指示受付部17により決定指示が受付けられたタイミングでの押付力の値及び方向を、ロボットアーム101に対して教示された力の値及び方向として登録する力登録部18とを備えた。これにより、実施の形態1に係る教示装置は、ロボットアーム101に対して力のダイレクト教示が可能となる。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
11 トルクセンサ
12 力算出部
13 力教示部
14 ロック指示受付部
15 アーム制御部
16 通知部
17 決定指示受付部
18 力登録部
19 記録部
101 ロボットアーム
102 ツール
201 物体
図1
図2
図3