(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】半導体装置、信号処理システムおよび信号処理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/04 20060101AFI20230508BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230508BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230508BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G06F1/04 570
H01L27/04 B
G01R31/28 V
G06F1/04 571
(21)【出願番号】P 2019027270
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 成平
(72)【発明者】
【氏名】久保 輝訓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲郎
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088394(JP,A)
【文献】特開2010-287860(JP,A)
【文献】特開2008-256491(JP,A)
【文献】国際公開第2006/018943(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/098460(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/04-1/14
H01L21/822
H01L27/04
G01R31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数制御信号を受けて、前記周波数制御信号に応じた周波数を有するクロック信号を生成する発振回路と、
前記クロック信号に基づいて動作する保護対象回路と、
前記保護対象回路内の所定の回路素子群の構成が反映された検査用回路素子群を含み、前記検査用回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出することで前記遅延時間を反映した遅延量検出信号を出力する遅延時間検出回路と、
前記保護対象回路の外部に設けられ、前記遅延量検出信号を受けて、前記遅延時間の増加に応じて前記クロック信号の周波数を低くする前記周波数制御信号を生成するクロック制御回路と、
を有し、
前記遅延時間検出回路は、前記クロック信号と、前記クロック信号を前記検査用回路素子群で遅延させた遅延クロック信号とを入力として論理演算を行うことで、前記クロック信号と同じ周波数で、前記クロック信号と前記遅延クロック信号との時間差に基づくパルス幅を有する信号を前記遅延量検出信号として出力し、
前記クロック制御回路は、前記遅延量検出信号を平均化するフィルタ回路を有し、前記フィルタ回路の出力電圧に基づいて前記周波数制御信号を生成する、
信号処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
前記クロック制御回路は、前記遅延時間に応じて前記クロック信号の周波数を連続的に変化させる前記周波数制御信号を生成する、
信号処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
前記クロック制御回路は、さらに、
前記フィルタ回路の出力電圧を所定のゲインで増幅するゲイン調整回路と、
前記ゲイン調整回路の出力電圧に対してバイアスレベルを調整することで前記周波数制御信号を生成するレベルシフト回路と、
を有する信号処理システム。
【請求項4】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
前記クロック制御回路は、前記遅延時間の減少に応じて前記クロック信号の周波数を高くする前記周波数制御信号を生成する、
信号処理システム。
【請求項5】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
さらに、前記遅延量検出信号に基づく前記遅延時間が予め定めた基準値よりも大きい場合に、システムの劣化を示す劣化検出信号を生成する劣化判定回路を有する、
信号処理システム。
【請求項6】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
前記保護対象回路および前記遅延時間検出回路は、同一の半導体チップに搭載され、
前記発振回路および前記クロック制御回路は、前記半導体チップの外部に搭載される、
信号処理システム。
【請求項7】
請求項1記載の信号処理システムにおいて、
前記保護対象回路、前記遅延時間検出回路、前記発振回路および前記クロック制御回路は、同一の半導体チップに搭載される、
信号処理システム。
【請求項8】
保護対象回路および遅延時間検出回路が搭載された半導体チップに対してクロック信号を供給する半導体装置であって、
前記保護対象回路は、前記クロック信号に基づいて動作し、
前記遅延時間検出回路は、前記保護対象回路内の所定の回路素子群の構成が反映された検査用回路素子群を含み、前記検査用回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出することで前記遅延時間を反映した遅延量検出信号を出力し、
前記半導体装置は、
前記遅延量検出信号を受けて、前記遅延時間の増加に応じて前記クロック信号の周波数を低くする周波数制御信号を生成するクロック制御回路と、
前記周波数制御信号を受けて、前記周波数制御信号に応じた周波数を有する前記クロック信号を生成する発振回路と、
を有し、
前記遅延量検出信号は、前記クロック信号と、前記クロック信号を前記検査用回路素子群で遅延させた遅延クロック信号との時間差を反映して、前記クロック信号と同じ周波数で前記時間差に基づくパルス幅を有する信号であり、
前記クロック制御回路は、前記遅延量検出信号を平均化するフィルタ回路を有し、前記フィルタ回路の出力電圧に基づいて前記周波数制御信号を生成する、
半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記クロック制御回路は、前記遅延時間に応じて前記クロック信号の周波数を連続的に変化させる前記周波数制御信号を生成する、
半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、
前記クロック制御回路は、前記遅延時間の減少に応じて前記クロック信号の周波数を高くする前記周波数制御信号を生成する、
半導体装置。
【請求項11】
クロック信号に基づいて動作する保護対象回路と、
前記保護対象回路内の所定の回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出し、前記遅延時間を反映したパルス幅を有する遅延量検出信号を出力する遅延時間検出回路と、
遅延量電圧変換回路、クロック制御回路および発振回路と、
を有する信号処理システムの制御方法であって、
前記発振回路が、周波数制御信号に応じた周波数を有する前記クロック信号を生成する第1の工程と、
前記遅延時間検出回路が、前記遅延時間を検出し前記遅延量検出信号を出力する第2の工程と、
前記遅延量電圧変換回路が、前記遅延量検出信号を遅延量検出電圧に変換する第3の工程と、
前記クロック制御回路が、前記遅延量検出電圧に基づき、前記遅延時間の増加に応じて前記クロック信号の周波数を低くする前記周波数制御信号を生成する第4の工程と、
を有し、
前記第2の工程は、
前記クロック信号を前記保護対象回路内の所定の回路素子群で遅延させた信号となる遅延クロック信号を生成する工程と、
前記遅延時間検出回路が、前記クロック信号と前記遅延クロック信号との時間
差を検出し、
検出した時間差に基づくパルス幅Dを用いて、前記遅延量検出信号として、“D/T”(Tは前記クロック信号の周期)のデューティ比を有する信号を出力する工程と、
を有し、
前記第3の工程では、
前記遅延量電圧変換回路が、前記遅延量検出信号を、フィルタを用いて平均化することで、前記遅延量検出信号の前記パルス幅Dと前記クロック信号の周期Tとに応じた電圧値を有する遅延量検出電圧に変換する、
信号処理システムの制御方法。
【請求項12】
請求項11記載の信号処理システムの制御方法において、
前記第4の工程では、前記クロック制御回路は、前記遅延時間に応じて前記クロック信号の周波数を連続的に変化させる前記周波数制御信号を生成する、
信号処理システムの制御方法。
【請求項13】
請求項11記載の信号処理システムの制御方法において、
さらに、前記遅延量検出電圧が予め定めた基準電圧に達した場合に、システムの劣化を示す劣化検出信号を生成する工程を有する、
信号処理システムの制御方法。
【請求項14】
請求項13記載の信号処理システムの制御方法において、
さらに、前記劣化検出信号に応じて、外部へ警告信号を出力する工程を有する、
信号処理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、信号処理システムおよび信号処理システムの制御方法に関し、例えば、装置およびシステムのクロック制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、遅延故障検出回路を備える半導体集積回路装置が示される。当該遅延故障検出回路は、複数の信号遅延パスを有し、複数の信号遅延パスの間の遅延量の大小関係を計測してメモリに格納する。そして、当該遅延故障検出回路は、複数の信号遅延パスで遅延量を計測する毎に、計測結果に基づく遅延量の大小関係とメモリに格納された大小関係とを比較することで、複数の信号遅延パスにおける経年劣化を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、自動車等の分野で用いられる信号処理システムには、高い信頼性が要求される。そこで、特許文献1に示されるような遅延故障検出回路を設けると、経年劣化によってシステム上の重大な不具合が生じる前に、その予兆を検出することが可能になる。しかし、特許文献1の技術では、経年劣化を検出することはできるが、それによってシステムの誤動作を防止し、安全性を確保できるとは限らない。
【0005】
すなわち、誤動作を防止するためには、例えば、経年劣化の検出に応じてシステムを切り替えられるようにシステムを二重化したり、あるいは、経年劣化の検出に応じて早期の部品交換をユーザに要求する等の別の対策が必要となる。システムの二重化は、コストの増大を招き、また、システムの切り替えの際の制御の複雑化等も招く。一方、早期の部品交換をユーザに要求する場合には、部品を交換するまでの安全性を維持できるように、実用上まだ十分に製品寿命が残っている段階で部品の交換を要求する必要がある。これは、結果的にコストの増大を招く。
【0006】
後述する実施の形態は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態による信号処理システムは、発振回路と、保護対象回路と、遅延時間検出回路と、クロック制御回路とを有する。発振回路は、周波数制御信号を受けて、周波数制御信号に応じた周波数を有するクロック信号を生成する。保護対象回路は、当該クロック信号に基づいて動作する。遅延時間検出回路は、保護対象回路内の所定の回路素子群の構成が反映された検査用回路素子群を含み、検査用回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出することで遅延時間を反映した遅延量検出信号を出力する。クロック制御回路は、保護対象回路の外部に設けられ、遅延量検出信号を受けて、遅延時間の増加に応じてクロック信号の周波数を低くする周波数制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、信号処理システムにおいて、経年劣化による遅延故障が発生した場合であっても、誤動作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の信号処理システムにおける遅延時間検出回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図2の遅延時間検出回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図4】
図1の信号処理システムにおける遅延量電圧変換回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】
図4の遅延量電圧変換回路における積分回路の動作例を示す波形図である。
【
図6】
図1において、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間と遅延量検出電圧との関係の一例を示す図である。
【
図7】
図1の信号処理システムにおける遅延量電圧変換回路の別の構成例を示す回路図である。
【
図8】
図1の信号処理システムにおける周波数制御回路の構成例を示す回路図である。
【
図9】
図8の周波数制御回路における遅延量検出電圧と周波数制御信号との関係の一例を示す図である。
【
図10】
図1の信号処理システムにおける発振回路の構成例を示す回路図である。
【
図11】
図1の信号処理システムにおける発振回路の別の構成例を示す回路図である。
【
図12】
図1において、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間に対するクロック信号の周波数特性の一例を示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態1による信号処理システムの制御方法において、制御手順の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図1の信号処理システムと
図21の信号処理システムとの製品寿命を比較する概念図である。
【
図15】本発明の実施の形態2による信号処理システムにおいて、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間に対するクロック信号の周波数特性の一例を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態3による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図17】
図16の信号処理システムにおける劣化判定回路の構成例を示す回路図である。
【
図18】本発明の実施の形態3による信号処理システムの制御方法において、制御手順の一例を示すフロー図である。
【
図19】
図16の信号処理システムを適用した車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図20】本発明の実施の形態4による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図21】本発明の第1の比較例となる信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図22】本発明の第2の比較例となる信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0011】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
(実施の形態1)
《信号処理システムの概略》
図1は、本発明の実施の形態1による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
図1に示す信号処理システムSYSaは、発振回路VCOと、被検査回路DUTと、クロック制御回路CKCTLとを有する。発振回路VCOは、周波数制御信号Vcsを受けて、周波数制御信号Vcsに応じた周波数を有するクロック信号CLKを生成する。被検査回路DUTは、保護対象回路PRCと、遅延時間検出回路DLYDETとを有する。
【0015】
保護対象回路PRCは、クロック信号CLKに基づいて動作し、例えば、クロック信号CLKに同期してラッチ動作を行うラッチ回路LTや、各種組み合わせ回路(図示せず)等を含む。具体的には、保護対象回路PRCは、ロジック回路およびアナログ回路を備えたマイクロコンピュータ(MCU(Micro Controller Unit))、またはCPU(Central Processing unit)、あるいは各種制御ロジック回路等である。
【0016】
遅延時間検出回路DLYDETは、保護対象回路PRC内の所定の回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出する。具体的には、遅延時間検出回路DLYDETは、保護対象回路PRC内の所定の回路素子群の構成が反映された検査用回路素子群を含み、検査用回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出することで当該遅延時間を反映した遅延量検出信号Qを出力する。遅延量検出信号Qは、例えば、遅延時間を反映したパルス幅を有するアナログ信号である。ここで、少なくとも保護対象回路PRCと遅延時間検出回路DLYDETは、同一の半導体チップに搭載される。遅延時間検出回路DLYDETは、例えば、保護対象回路PRCの内部、または、保護対象回路PRCの近傍に設けられる。
【0017】
クロック制御回路CKCTLは、保護対象回路PRCの外部に設けられ、遅延量検出信号Qを受けて、遅延時間の増加に応じてクロック信号CLKの周波数を低くする周波数制御信号Vcsを生成する。クロック制御回路CKCTLは、この例では、遅延量電圧変換回路DVCと、周波数制御回路FCTLとを有する。遅延量電圧変換回路DVCは、遅延量検出信号Qを、遅延量検出信号Qのパルス幅に応じた電圧値を有する遅延量検出電圧Vcntに変換する。周波数制御回路FCTLは、遅延量検出電圧Vcntに基づき、遅延時間の増加に応じてクロック信号CLKの周波数を低くする周波数制御信号Vcsを生成する。例えば、周波数制御信号Vcsは、アナログ電圧であり、発振回路VCOは、電圧制御発振器である。
【0018】
このように、
図1の信号処理システムSYSaは、保護対象回路RPC(実際には遅延時間検出回路DLYDET)で生じる信号の遅延時間に基づき、保護対象回路RPCに供給するクロック信号CLKの周波数を制御する帰還制御システムを構成している。具体的には、当該システムは、遅延時間の増加に応じてクロック信号CLKの周波数を低下させている。このため、保護対象回路PRCは、経年劣化によって遅延時間が増加した場合(言い換えれば遅延故障が生じた場合)であっても、誤動作することなく、正常動作時とほぼ同等の動作を継続することができる。
【0019】
なお、
図1に示す発振回路VCO、被検査回路DUTおよびクロック制御回路CKCTLは、信号処理システムSYSaの小型化および大量生産を可能にするため、例えば、一つの半導体チップ(半導体装置)で構成される。ただし、これに限定されず、複数の半導体チップで信号処理システムを構成してもよい。
【0020】
《遅延時間検出回路の詳細》
図2は、
図1の信号処理システムにおける遅延時間検出回路の構成例を示す回路図である。
図3は、
図2の遅延時間検出回路の動作例を示すタイミングチャートである。
図2の遅延時間検出回路DLYDETは、論理演算回路(この例では排他的論理和回路)EORと、遅延生成回路DLYGと、2個のバッファBF1,BF2とを備える。遅延生成回路DLYGは、バッファBF1を介して入力されたクロック信号CLKを遅延させることで遅延クロック信号CKdを生成する。
【0021】
論理演算回路EORは、バッファBF2を介して入力されたクロック信号CKrと、遅延クロック信号CKdとを入力として論理演算(EXOR演算)を行うことで、クロック信号CKrと遅延クロック信号CKdとの時間差を検出する。そして、論理演算回路EORは、
図3に示されるように、クロック信号CLKと同じ周波数(周期T)で、検出した時間差に基づくパルス幅Dを有する信号を遅延量検出信号Qとして出力する。言い換えれば、論理演算回路EORは、遅延量検出信号Qとして、クロック信号の周期Tに対する時間差(パルス幅D)の比率を表す信号であり、“D/T”のデューティ比を有する信号を出力する。
【0022】
ここで、遅延生成回路DLYGは、保護対象回路PRC内の所定の回路素子群の構成が反映された検査用回路素子群で構成される。当該検査用回路素子群(保護対象回路PRC内の所定の回路素子群)は、経年劣化に伴う遅延時間の増加が予測される回路群であり、予め設計者等によって観測対象として定められるものである。当該検査用回路素子群は、保護対象回路PRC内の所定の回路素子群の劣化度合いを忠実に再現できるように、保護対象回路PRC内、または保護対象回路PRCの近傍に配置される。ここでは、一例として、検査用回路素子群は、複数段のインバータ回路IVで構成される。ただし、検査用回路素子群は、これに限らず、インバータ回路、NAND演算回路、NOR演算回路等の各種論理演算回路を適宜組み合わせて直列に接続したような構成であってもよい。
【0023】
図3には、経年劣化が生じていない場合の遅延クロック信号CKd1と、経年劣化に伴い遅延時間の増加が生じた場合の遅延クロック信号CKd2とが示される。遅延クロック信号CKd2によって得られる遅延量検出信号Q2のパルス幅D2は、遅延クロック信号CKd1によって得られる遅延量検出信号Q1のパルス幅D1よりも大きくなる。このように、経年劣化が進むほど、遅延量検出信号Qのデューティ比は大きくなる。
【0024】
《遅延量電圧変換回路の詳細》
図4は、
図1の信号処理システムにおける遅延量電圧変換回路の構成例を示す回路図である。
図4に示す遅延量電圧変換回路DVCは、遅延時間検出回路DLYDETからの遅延量検出信号Qを平均化するアクティブ・ロウパスフィルタ回路である。具体的には、遅延量電圧変換回路DVCは、演算増幅器AMP1、入力抵抗R0、帰還容量C0および可変電圧源VGmを含む負帰還構成の積分回路と、帰還抵抗Rf1とを備える。可変電圧源VGmは、接地電源電圧GNDを基準に電圧Vmを生成する。演算増幅器AMP1には、電源電圧AVDDが供給される。
【0025】
入力抵抗R0には、遅延量検出信号Qの電圧と電圧Vmとの差分に応じた入力電流が流れる。当該入力電流は、帰還抵抗Rf1に流れると共に帰還容量C0に蓄積される。定常状態に達した場合、概略的には、入力電流の平均電流が帰還抵抗Rf1に流れ、入力電流と平均電流との差分電流が帰還容量C0によって充放電されることになる。このため、遅延量検出信号Qのデューティ比が大きくなるほど、平均電流は増加し、遅延量検出電圧Vcntは、帰還抵抗Rf1を介して低下する。また、平均電流、ひいては遅延量検出電圧Vcntのレベルは、電圧Vmによっても制御される。
【0026】
図5は、
図4の遅延量電圧変換回路における積分回路の動作例を示す波形図である。
図5に示すように、遅延量検出信号Qが入力されない場合は、演算増幅器AMP1からは、オフセット電圧Voffsetが遅延量検出電圧Vcntとして出力される。オフセット電圧Voffsetは、例えば、電圧Vmによって設定することができる。遅延量検出信号Qが入力されると、パルス幅D1の“H”レベル期間(時刻t1~t2の期間)と、パルス幅D2の“H”レベル期間(時刻t4~t5の期間)では、積分回路の機能により遅延量検出電圧Vcntは低下する。一方、“L”レベル期間(時刻t2~t3の期間と時刻t5~t6の期間)では、積分回路の機能により遅延量検出電圧Vcntはオフセット電圧Voffsetに向けて上昇する。
【0027】
これにより、遅延量検出電圧Vcntの平均電圧値は、パルス幅D1を含むクロック信号CLKの周期T(時刻t1~t3の期間)では“Vcnt1”となり、パルス幅D2を含むクロック信号CLKの周期T(時刻t4~t6の期間)では“Vcnt2”となる。ここで、パルス幅D2は、パルス幅D1よりも大きい。このため、“Vcnt2”は“Vcnt1”よりも低くなる。
【0028】
図6は、
図1において、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間と遅延量検出電圧との関係の一例を示す図である。
図6において、劣化遅延時間“td0”は、
図2における遅延生成回路DLYGに経年劣化に伴う遅延が生じていないとみなされる場合の遅延時間(例えば、
図3のパルス幅D1に対応)である。また、劣化遅延時間“td1”は、遅延生成回路DLYGに経年劣化に伴う遅延が生じている場合の遅延時間(例えば、
図3のパルス幅D2に対応)である。劣化遅延時間が“td0”から“td1”に向けて増加すると、その増加分に応じて遅延量検出電圧Vcntは、“V1”から“V0”に向けて低下する。
【0029】
ここで、クロック信号CLKの周波数は、当該遅延量検出電圧Vcntの大きさに比例するように制御される。
図6の例では、劣化遅延時間“td0”を超えた領域は、遅延量検出電圧Vcntに応じてクロック信号CLKの周波数を低下させることで救済を行う劣化救済領域となっている。一方、劣化遅延時間“td0”に達しない領域は、一定周波数で動作させる通常領域となっている。
【0030】
また、
図6には、このクロック信号CLKの周波数に基づいて定められる限界遅延量電圧Vlmtが示される。限界遅延量電圧Vlmtは、各劣化遅延時間に対して、保護対象回路PRCが動作可能な最大クロック周波数に対応する電圧である。遅延量検出電圧Vcntの特性は、
図6に示されるように、この限界遅延量電圧Vlmtに対して救済マージン電圧ΔVだけ低くなるように定められる。言い換えれば、実際に生成するクロック信号CLKの周波数は、最大クロック周波数よりも救済マージン電圧ΔVに応じた周波数だけ低くなるように定められる。
【0031】
具体的には、救済マージン電圧ΔVは、保護対象回路PRCにデバイス温度の変動、電源電圧の変動および製造バラツキ等が生じた場合でも、信号処理システムが安定して動作できるように、必要最小限の大きさに設定される。救済マージン電圧ΔVは、例えば、
図4における可変電圧源VGmからの電圧Vmによって調整することができる。ただし、
図4の可変電圧源VGmは、場合によっては、予め最適な出力電圧が設定された固定電圧源であってもよい。なお、救済マージン電圧ΔVは、後述する周波数制御回路FCTL内のレベルシフト回路LS(
図8参照)で設定することも可能である。
【0032】
また、遅延量電圧変換回路DVCは、遅延量検出信号Qのパルス幅の大きさを直流電圧値に変換できる機能を有するものであればよく、特に
図4の構成例に限定されず、例えば、
図7に示すような回路を含めて様々な回路で実現できる。
図7は、
図1の信号処理システムにおける遅延量電圧変換回路の別の構成例を示す回路図である。
図7に示す遅延量電圧変換回路DVCbは、抵抗Rsおよび容量C1によって、遅延時間検出回路DLYDETからの遅延量検出信号Qを平均化するパッシブ・ロウパスフィルタ回路である。
【0033】
《周波数制御回路の詳細》
図8は、
図1の信号処理システムにおける周波数制御回路の構成例を示す回路図である。
図8に示す周波数制御回路FCTLは、ゲイン調整回路VGAと、レベルシフト回路LSとを備える。ゲイン調整回路VGAは、例えば、抵抗R1、帰還抵抗R2および演算増幅器AMP2を備える反転増幅器である。演算増幅器AMP2には、電源電圧AVDDが供給される。ゲイン調整回路VGAは、抵抗R1,R2の抵抗値をr1,r2として、遅延量電圧変換回路DVCからの遅延量検出電圧Vcntを、ゲインG(=-r2/r1)で反転増幅する。この例では、ゲインGは、帰還抵抗R2を可変抵抗とすることで可変制御される。ただし、予め最適なゲインとなるように定めた固定抵抗を用いてもよい。
【0034】
レベルシフト回路LSは、例えば、抵抗R3~R5と、帰還抵抗R6と、演算増幅器AMP3と、可変電圧源VGrとを有する差動増幅器である。演算増幅器AMP3には、電源電圧AVDDが供給される。可変電圧源VGrは、接地電源電圧GNDを基準に電圧Vcorefを生成する。当該レベルシフト回路LSは、ゲイン調整回路VGAの出力電圧(G×Vcnt)に対してバイアスレベルを調整することで周波数制御信号Vcsを生成する。具体的には、差動増幅器は、例えば、抵抗R3~R6を同一の抵抗値に設定した場合、“Vcoref-(G×Vcnt)”を出力する。すなわち、差動増幅器は、ゲイン調整回路VGAの出力電圧(G×Vcnt)を反転した上で電圧Vcorefだけレベルシフトすることで周波数制御信号Vcsを生成する。なお、可変電圧源VGrは、予め最適な出力電圧が設定された固定電圧源であってもよい。
【0035】
図9は、
図8の周波数制御回路における遅延量検出電圧と周波数制御信号との関係の一例を示す図である。
図9に示すように、遅延時間の増加に応じて遅延量検出電圧Vcntが“V1”から“V0”に向けて低下すると、この低下に応じて、周波数制御信号Vcs(ここでは直流電圧)も、“V11”から“V10”に向けて低下する。遅延量検出電圧Vcntは、
図8に示されるように、2個の演算増幅器AMP2,AMP3の負極入力端子(-)を介して伝送させる。このため、遅延量検出電圧Vcntと周波数制御信号Vcsは、正比例の関係となる。
図9において、遅延量検出電圧Vcntに対する周波数制御信号Vcsの感度は、ゲイン調整回路VGAで調整される。また、周波数制御信号Vcsの電圧レンジは、レベルシフト回路LSによって調整される。
【0036】
周波数制御回路FCTLは、
図8の構成例に限定されるものでなく、遅延量検出電圧Vcntを増幅できるものであればゲイン調整回路VGAに適用でき、周波数制御信号Vcsのバイアスレベルを調整できるものであればレベルシフト回路LSに適用できる。例えば、ゲイン調整回路VGAとして、反転増幅器の代わりに非反転増幅器等を用いてもよい。また、レベルシフト回路LSとして、ソースフォロワのトランジスタ回路等を用いてもよい。
【0037】
《発振回路の詳細》
図10は、
図1の信号処理システムにおける発振回路の構成例を示す回路図である。
図11は、
図1の信号処理システムにおける発振回路の別の構成例を示す回路図である。
図10および
図11に示す発振回路VCOa,VCObは、電圧制御発振器である。
図10の発振回路VCOaは、縦続接続された複数段のインバータ回路IV1~IV3と、最終段のインバータ回路IV3から出力されるクロック信号CLKを遅延させて初段のインバータ回路IV1へ帰還する抵抗R10および可変容量Cvとを備える。複数段のインバータ回路IV1~IV3には、電圧源VSからの電源電圧VDDが供給される。
【0038】
可変容量Cvの容量値は、周波数制御信号Vcsよって制御される。これにより、最終段のインバータ回路IV3から初段のインバータ回路IV1に入力される信号の遅延時間が変化し、クロック信号CLKの周波数を変えることができる。具体的には、例えば、遅延時間検出回路DLYDETによって検出される遅延時間が増加した場合、周波数制御信号Vcsの電圧レベルが低下する。これに応じて、可変容量Cvの容量が増加し、インバータ回路IV3からインバータ回路IV1に伝送される信号の遅延時間が増加するため、クロック信号CLKの周波数は低くなる。
【0039】
一方、
図11に示す発振回路VCObは、
図10における可変容量Cvの代わりに固定容量C10を備え、電圧源VSの代わりに可変電圧源VVSを備える。可変電圧源VVSからの電源電圧VDDは、周波数制御信号Vcsよって制御される。インバータ回路IV1~IV3における信号の遅延時間は、電源電圧VDDに依存するため、電源電圧VDDを制御することで、クロック信号CLKの周波数を変えることができる。具体的には、例えば、遅延時間検出回路DLYDETによって検出される遅延時間が増加した場合、周波数制御信号Vcsの電圧レベルが低下する。これに応じて、可変電圧源VVSが電源電圧VDDを低下させると、各インバータ回路IV1~IV3における信号の遅延時間が増加するため、クロック信号CLKの周波数は低くなる。
【0040】
図12は、
図1において、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間に対するクロック信号の周波数特性の一例を示す図である。
図6に示したように、保護対象回路PRC(実際には遅延時間検出回路DLYDET)で検出される劣化遅延時間が“td0”から“td1”に向けて増加すると、遅延量検出電圧Vcntは“V1”から“V0”に向けて低下する。遅延量検出電圧Vcntが“V1”から“V0”に向けて低下すると、
図9に示したように、周波数制御信号Vcsの電圧レベルは、“V11”から“V10”に向けて低下する。
【0041】
すなわち、保護対象回路PRCで検出される劣化遅延時間が“td0”から“td1”に向けて増加すると、周波数制御信号Vcsの電圧レベルは、“V11”から“V10”に向けて低下する。その結果、
図12に示されるように、クロック信号CLKの周波数fclkは、周波数制御信号Vcsの電圧レベルの“V11”から“V10”に向けた低下に応じて、“f1”から“f0”に向けて低下する。
【0042】
このように、実施の形態1の信号処理システムを用いると、保護対象回路PRCで検出される遅延時間の増加に応じて、自動的にクロック信号CLKの周波数fclkを下げることができる。その結果、保護対象回路PRCにおいて、経年劣化に伴い遅延時間が増加した場合(言い換えれば遅延故障が生じた場合)であっても、誤動作を防止することが可能になる。
【0043】
図12の例では、
図6でも述べたように、劣化遅延時間が“td0”よりも小さい領域では、クロック信号CLKは、例えば、製品の通常仕様に基づく規定の周波数f1(fspec)に設定される。一方、劣化遅延時間が“td0”を超えて増加すると、クロック信号CLKの周波数fclkは、劣化遅延時間の増加に応じて連続的に低下する。また、劣化遅延時間が更に増加し、“td1”に到達すると、信号処理システムは、保護対象回路PRCの製品寿命に到達したと判定し、クロック信号CLKの生成を停止する。このように、劣化遅延時間が“td0”~“td1”の領域は、処理能力を低下させる代わりに、誤動作を防止し、例えば、システムの安全性等を確保するための劣化救済領域となる。
【0044】
《信号処理システムの変形例》
以上に説明したように、ここでは、
図1の信号処理システムSYSaをアナログ回路で構成したが、一部または全てをディジタル回路に置き換えることも可能である。一例として、発振回路VCOとして、電圧制御発振器の代わりにDCO(Digitally Controlled Oscillator)を用い、周波数制御回路FCTLをディジタル回路で構成してもよい。この場合、周波数制御回路FCTLは、例えば、遅延量電圧変換回路DVCの出力電圧をアナログディジタル変換器でディジタル信号に変換し、各種演算処理を行うことで周波数制御信号Vcsをディジタル信号で出力する。DCOは、このディジタル信号に応じた周波数を有するクロック信号CLKを生成する。また、場合によっては、遅延量電圧変換回路DVCをディジタルフィルタ等で構成し、遅延量検出信号Qを、デューティ比の値を表すディジタル信号とすることも可能である。
【0045】
このようなディジタル回路を用いた場合、例えば、
図12に示した劣化遅延時間とクロック信号CLKの周波数fclkとの関係は、アナログディジタル変換器の分解能や、DCOの分解能等に応じて離散的(階段状)となる。したがって、ディジタル回路を用いることも可能であるが、クロック信号CLKの周波数fclkを高分解能かつシームレスに制御する観点では、信号処理システムSYSaをアナログ回路で構成する方がより望ましい。また、アナログ回路を用いることで、ディジタル回路を用いる場合と比べて、制御遅延が減少し、応答速度を速めることも可能となる。
【0046】
《信号処理システムの制御フロー》
図13は、本発明の実施の形態1による信号処理システムの制御方法において、制御手順の一例を示すフロー図である。
図13において、まず、発振回路VCOは、周波数制御信号Vcsに応じた周波数fclkを有するクロック信号CLKを生成する(ステップS1)。次いで、遅延時間検出回路DLYDETは、保護対象回路RPC内の所定の回路素子群で生じる信号の遅延時間を検出し、遅延量検出信号Qを出力する(ステップS2)。
【0047】
続いて、遅延量電圧変換回路DVCは、遅延量検出信号Qを、遅延量検出信号Qのパルス幅Dに応じた電圧値を有する遅延量検出電圧Vcntに変換する(ステップS3)。その後、クロック制御回路CKCTLは、遅延量検出電圧Vcntに基づき、遅延時間の増加に応じてクロック信号CLKの周波数を低くする周波数制御信号Vcsを生成する(ステップS4)。
【0048】
《信号処理システム(比較例)の概略》
図21は、本発明の第1の比較例となる信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。第1の比較例の信号処理システムSYS’aは、故障検出ユニットERRDUを備える。故障検出ユニットERRDUは、発振器OSCと、複数の遅延生成回路DLYG’1~DLYG’3と、セレクタSELと、遅延故障検出回路DETとを有する。当該故障検出ユニットERRDUは、特許文献1の場合と同様に、複数の遅延生成回路(信号遅延パス)DLYG’1~DLYG’3の間の大小関係を、セレクタSELおよび遅延故障検出回路DETを用いて検出し、メモリに格納する。そして、当該故障検出ユニットERRDUは、検出を行う毎に、検出結果とメモリに格納された大小関係とを比較することで、複数の信号遅延パスにおける経年劣化を検出する。
【0049】
このように、信号処理システムSYS’a内に故障検出ユニットERRDUを設けると、経年劣化を検出することはできる。ただし、システム内に故障検出ユニットERRDUを設けただけでは、システムの誤動作を防止し、安全性を確保できるとは限らない。すなわち、前述したように、システムの二重化や、経年劣化の検出に応じて早期の部品交換をユーザに要求する等の別の対策が必要となる。その結果、コストの増大や、過度のマージン確保による製品寿命の短縮といった問題が生じる。また、部品交換を行う場合には、交換が行われるまでの期間で、システムの誤動作を防止できるとは限らず、安全性等を確保できるとは限らない。
【0050】
図22は、本発明の第2の比較例となる信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
図22に示す信号処理システムSYS’bは、CPUと、予めメモリに格納された設定テーブルTBLと、PLL(Phase Locked Loop)とを備える。PLLは、CPUにクロック信号CLKを供給する。CPUは、例えば、
図21に示したような故障検出ユニットERRDUを備える。設定テーブルTBLは、遅延時間tdと、クロック信号CLKの周波数fclkとの関係を定める。CPUは、プログラム処理を用いて、故障検出ユニットERRDUによって検出された遅延時間tdに基づいて設定テーブルTBLを参照することで、周波数fclkを取得する。そして、CPUは、この周波数fclkをPLLに指示し、これに応じて、PLLは、クロック信号CLKの周波数を変更する。
【0051】
例えば、このような信号処理システムを用いることでも、実施の形態1の信号処理システムSYSaと同様の制御を行うことが可能である。しかし、
図22のような方式では、CPUが、遅延時間の検出結果に基づいて自己の判断で自己のクロック信号CLKの周波数を変更することになる。この場合、CPUの処理負荷が大きくなる。一方、実施の形態1の方式では、
図1に示したように、保護対象回路PRC(
図22のCPUに対応)の外部に制御ループが設けられ、保護対象回路PRCの処理を介さずにクロック信号CLKの周波数を制御できる。その結果、保護対象回路PRCの処理負荷の増大を防止できる。
【0052】
さらに、
図22のような方式では、遅延時間の検出結果に応じて周波数が制御されるが、これに伴う変更後の周波数が何らかの形で検証される方式ではない。すなわち、
図22の方式は、制御によって状態が変化し、この状態の変化を検出して更なる制御を行うといった閉ループの制御システムとは異なり、実質的に、単に、周波数を変更して制御を終える開ループの制御システムとなる。この場合、周波数を制御する際の精度は、発振回路の回路構成やプロセス構造等に依存する。
【0053】
一方、実施の形態1の方式では、遅延時間検出回路DLYDETは、遅延量検出信号Qとして、
図3に示したように、クロック信号CLKの周期Tに対するパルス幅(時間差)Dの比率を表す信号を出力し、クロック制御回路CKCTLは、当該遅延検出信号Qに基づいてクロック信号CLKの周波数を制御する。すなわち、遅延時間検出回路DLYDETは、例えば、クロック信号CLKとは異なるパルス信号を受けて動作することも可能であるが、ここでは、保護対象回路RPCと同じクロック信号CLKを受けて動作する。その結果、実質的に、実際のクロック信号CLKの周波数(周期T)を検出した上で、それを反映した制御が行われるため、発振回路の回路構成やプロセス構造等に関わらず、クロック信号CLKの周波数(周期T)を高精度に制御することが可能になる。
【0054】
具体的な動作例として、例えば、
図3に示したように、パルス幅(時間差)Dが大きくなると、遅延量検出信号Qのデューティ比が大きくなり、
図4の遅延量電圧変換回路(ロウパスフィルタ回路)DVCのゲインに基づいて遅延量検出電圧Vcntが下がる。遅延量検出電圧Vcntが下がると、
図8の周波数制御回路FCTLのゲインGに基づいて、クロック信号CLKの周期Tが伸びるように制御される。周期Tが伸びると、遅延量検出信号Qのデューティ比が小さくなり、遅延量電圧変換回路DVCのゲインに基づいて遅延量検出電圧Vcntが上がる。遅延量検出電圧Vcntが上がると、周波数制御回路FCTLのゲインGに基づいて、周期Tが縮むように制御される。
【0055】
以降、周期Tの縮みに応じて、遅延量電圧変換回路DVCが遅延量検出電圧Vcntを下げ、これに応じて、周波数制御回路FCTLが周期Tを延ばし、これに応じて、遅延量電圧変換回路DVCが遅延量検出電圧Vcntを上げ、これに応じて、周波数制御回路FCTLが周期Tを縮める、といった動作が繰り返される。この際に、遅延量電圧変換回路DVCのゲインおよび周波数制御回路FCTLのゲインGを適切に定めると、繰り返しの過程で遅延量検出電圧Vcntおよび周期Tの変化量が順次小さくなっていき、クロック信号CLKの周期T(周波数)を所定値に収束させることができる。
【0056】
《実施の形態1の方式と第1の比較例の方式との製品寿命比較》
図14は、
図1の信号処理システムと
図21の信号処理システムとの製品寿命を比較する概念図である。
図14の上段枠には、遅延故障が発生し動作不能となるまでの本来の製品寿命が示される。
図14の中段枠には、
図21の信号処理システムSYS’a(比較例の方式)を用いた場合の製品寿命が示される。比較例の方式では、動作不能となる前に十分な故障検出マージンΔT1を確保した上で、遅延故障を検出する必要がある。この故障検出マージンΔT1は、特に、
図21で述べたように、早期の部品交換をユーザに要求する場合において大きくなる。その結果、製品寿命は、本来の製品寿命に比べて過度に短くなる。
【0057】
図14の下段枠には、
図1の信号処理システムSYSa(実施の形態の方式)を用いた場合の製品寿命が示される。
図1の信号処理システムSYSaでは、保護対象回路PRCの遅延時間tdの増加に応じて最低限の救済マージンΔT2(
図6の救済マージン電圧ΔVに対応)を確保した状態で、クロック信号CLKの周波数fclkが自動調整される。当該救済マージンΔT2は、周波数fclkの自動調整によって救済を行うため、少なくとも比較例の方式における故障検出マージンΔT1よりも少なくてよい。
【0058】
また、
図14の下段枠には、遅延時間tdに応じて周波数fclkを連続的に自動調整する場合と、段階的に自動調整する場合とが示される。段階的に自動調整する場合とは、前述したように、信号処理システムの一部または全部をディジタル回路で構成した場合に対応する。ここでは、理解を容易にするため、段階的に自動調整する場合を想定して説明を行う。まず、製品の使用開始直後(すなわち、遅延故障が生じていない状態)では、信号処理システムSYSaは、周波数fclkを第1の周波数fclk[1]に設定する。その後、遅延時間tdが第1の基準量d1に達すると、信号処理システムSYSaは、周波数fclkを自動調整することで救済を開始する。基準量d1は、例えば、
図12における劣化遅延時間“td0”に対応する。
【0059】
信号処理システムSYSaは、遅延時間tdが第1の基準量D1に達すると、周波数fclkを、第1の周波数fclk[1]よりも低い第2の周波数fclk[2]に低下させる。その後、遅延時間tdが第1の基準量d1よりも大きい第2の基準量d2に達すると、信号処理システムSYSaは、周波数fclkを、第2の周波数fclk[2]よりも低い第3の周波数fclk[3]に低下させる。その後、同様にして、処理能力の低下が許容される下限周波数に向けて周波数の自動調整が行われ、この下限周波数に対して救済マージンΔT2を加えたところで周波数の自動調整は終了する。
【0060】
ここで、例えば、保護対象回路RPCが第2の周波数fclk[2]で動作する場合、基準量d1~d2の間の遅延時間tdが生じても、保護対象回路RPCの誤動作は生じない。すなわち、各基準量d1,d2は、第2の周波数fclk[2]で保護対象回路RPCを動作させた場合に誤動作を引き起こす遅延時間tdに対して最低限のマージンを持った値に予め設定される。
【0061】
例えば、保護対象回路RPCにおける使用開始直後の遅延時間を“td[0]”とし、第1の周波数fclk[1]に対応するクロック信号CLKの周期Tの1%の時間を“Δtc[1]”とすると、基準量d1は、例えば、“td[0]+Δtc[1]”等に定められる。同様に、第2の周波数fclk[2]に対応するクロック信号CLKの周期Tの1%の時間を“Δtc[2]”とすると、基準量d2は、例えば、“d1+Δtc[2]”等に定められる。この場合、
図14における救済マージンΔT2が十分に大きくなり、誤動作に対するマージンを十分に確保することができる。
【0062】
また、基準量d1,d2は、前述したクロック信号CLKの周期Tの1%の時間の代わりに10%の時間となるように定められてもよい。この場合、誤動作に対するマージンは小さくなるが、保護対象回路RPCをより高い周波数で動作させることができ、ひいては、処理能力の低下を抑制することができる。また、クロック信号CLKの周波数の切り替え頻度を少なくすることができ、信号処理システムの動作の安定性が得られる。
【0063】
《実施の形態1の効果》
以上のように、実施の形態1の信号処理システムを用いることで、代表的には、経年劣化による遅延故障が発生した場合であっても、誤動作を防止することが可能になる。また、当該信号処理システムを自動車等を代表とする安全性が要求されるシステムに適用した場合、正常動作時とほぼ同等の安全性を維持できる。すなわち、クロック信号CLKの周波数fclkを落とすことで処理能力は低下するが、処理能力の低下が許される範囲内で、演算ミスや論理暴走等の誤動作を防止し、安全性を維持することが可能になる。また、このような効果を、
図22で述べたように、保護対象回路PRCの処理負荷を増大させることなく得ることができる。
【0064】
さらに、別の観点では、
図14で述べたように、実効的に製品寿命を延ばすことが可能になる。その結果、コストを低減できる。このコストの低減効果は、システムの二重化等が不要になることからも得られる。
【0065】
なお、ここでは、経年変化に伴う遅延時間の増加を問題としたが、遅延時間の増加は、例えば、電源電圧、周囲温度等の様々な環境パラメータの変動によっても生じ得る。例えば、電源電圧のバラつきであれば、定格電圧の±10%、周囲温度Taのバラつきであれば、Taは-40℃から125℃といったような変動が生じる。システム設計や回路設計の段階では、通常、このような変動を加味して十分な安全マージンを確保する必要がある。
【0066】
一方、実施の形態1の信号処理システムを用いると、このような環境パラメータの変動によって遅延時間が増加した場合でも、クロック信号CLKの周波数fclkを落とすことで救済できる。その結果、システム設計や回路設計の段階で必要とされる安全マージンを緩和をすることができ、その分だけ、設計を容易化できる。さらに、設計段階に限らず、製造段階でも安全マージンを緩和をすることができるため、信号処理システムの生産歩留を向上できる。
【0067】
(実施の形態2)
《信号処理システム(実施の形態2)の動作》
図15は、本発明の実施の形態2による信号処理システムにおいて、遅延時間検出回路で検出された劣化遅延時間に対するクロック信号の周波数特性の一例を示す図である。実施の形態2による信号処理システムの構成は、実施の形態1の場合と同様である。
図15に示す特性は、
図12における通常領域がオーバークロック領域に置き換わっている。オーバークロック領域において、
図1のクロック制御回路CKCTLは、劣化遅延時間の減少に応じてクロック信号CLKの周波数fclkを高くする周波数制御信号Vcsを生成する。
【0068】
すなわち、クロック信号CLKの周波数fclkは、
図12の通常領域では、製品仕様に基づく規定の周波数f1(fspec)に定められたが、
図15のオーバークロック領域では、規定の周波数f1(fspec)を超える値に定められる。保護対象回路PRCの遅延時間は、一般的に、電源電圧が高くなった場合、または周囲温度が低下した場合等で減少する。保護対象回路PRCは、遅延時間が減少すると、より速い速度で動作することが可能になる。そこで、このような場合には、クロック信号CLKの周波数fclkを高くすることで、保護対象回路PRCの処理能力を向上させることが可能になる。
【0069】
(実施の形態3)
《信号処理システム(実施の形態3)の概略》
図16は、本発明の実施の形態3による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
図16に示す信号処理システムSYSbは、
図1の構成例に対して、さらに、劣化判定回路JDGと、警告発生回路ARMとを備える。劣化判定回路JDGは、遅延時間検出回路DLYDETの遅延量検出信号Qに基づく遅延時間が予め定めた基準値よりも大きい場合に、システムの劣化を示す劣化検出信号INTを生成する。この例では、劣化判定回路JDGは、当該遅延時間を遅延量電圧変換回路DVCからの遅延量検出電圧Vcntに基づいて認識する。警告発生回路ARMは、劣化検出信号INTに応じて、システムの外部へ警告信号を出力する。
【0070】
具体的には、劣化検出信号INTは、
図12の劣化救済領域(劣化遅延時間td0~td1の範囲)で生成される。これにより、劣化検出信号INTは、劣化に伴いクロック信号CLKの周波数fclkを低く抑えて延命している状態であることを意味する。
図15の信号処理システムSYSbは、例えば、システムの小型化、および大量生産を可能にするため、一つの半導体チップで構成される。ただし、信号処理システムSYSbは、これに限らず、複数の半導体チップで構成されてもよい。
【0071】
《劣化判定回路の詳細》
図17は、
図16の信号処理システムにおける劣化判定回路の構成例を示す回路図である。
図17の劣化判定回路JDGは、この例では、演算増幅器AMP4と、抵抗R11と、帰還抵抗R12と、可変電圧源VGcpとを備えた反転増幅器である。可変電圧源VGcpは、基準電圧Vcpを生成する。例えば、抵抗R11,R12の比率によってゲインを大きく設定することで、当該反転増幅器は、基準電圧Vcpと遅延量検出電圧Vcntとの大小関係を比較判定するコンパレータ回路として機能する。ここで、基準電圧Vcpは、適宜可変設定することが可能である。このため、劣化判定回路JDGは、例えば、
図12の劣化救済領域(劣化遅延時間td0~td1の範囲)において、劣化遅延時間の程度を複数段階に分けて検出することも可能である。
【0072】
なお、
図16の警告回路ARMは、図示は省略するが、例えば、外部のコンピュータや、または
図19で述べる車両制御システムVHC内の上位制御システムCSYS等と通信を行うインタフェース回路を有する。また、警告回路ARMは、例えば、劣化検出信号INTに応じて警告ランプを点灯する回路や、または警告音を発する回路等を含んでもよい。例えば、車両の運転手は、警告ランプの点灯や警告音を聞くことにより、信号処理システムに劣化が生じており、クロック信号CLKの周波数を下げて延命している状態であることを知ることができる。また、運転手は、場合によっては、この延命状態を知った段階で部品交換の依頼等を行ってもよい。
【0073】
《信号処理システム(実施の形態3)の制御フロー》
図18は、本発明の実施の形態3による信号処理システムの制御方法において、制御手順の一例を示すフロー図である。
図18に示すフローでは、
図13に示したステップS1~S3の制御ののち、ステップS6,S7の制御が行われる。ステップS6において、劣化判定回路JDGは、ステップS3で変換された遅延量検出電圧Vcntと、予め定めた基準電圧Vcpとを比較し、遅延量検出電圧Vcntが基準電圧Vcpに達した場合に、システムの劣化を示す劣化検出信号INTを生成する。その後、ステップS7において、警告回路ARMは、劣化検出信号INTに応じて、外部へ警告信号を出力する。
【0074】
《車両制御システムの構成》
図19は、
図16の信号処理システムを適用した車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図19に示す車両制御システムVHCは、上位制御システムCSYS、ボディシステムBD、シャシーシステムCHS、パワートレインシステムPWTR、先進自動運転システムADAS、およびヒュ-マンマシンインタフェースHMIを備える。
図16の信号処理システムSYSbは、例えば、上位制御システムCSYSを除くいずれかのシステムに適用される。この場合、上位制御システムCSYSは、当該いずれかのシステムが搭載した警告回路ARMからの警告信号を受けて、例えば、システム全体の速度調整等の制御を行う。
【0075】
なお、
図16の信号処理システムSYSbは、勿論、上位制御システムCSYSに適用されてもよく、車両制御システムVHC内の図示しない他のシステムに適用されてもよい。また、ここでは、車両制御システムVHCに、
図16の信号処理システムSYSbを適用したが、勿論、
図1の信号処理システムSYSaを適用してもよい。
【0076】
《実施の形態3の効果》
以上、実施の形態3の信号処理システムを用いると、実施の形態1,2で述べた各種効果が得られることに加えて、さらに、信号処理システムが正規の寿命を超えて延命中であることを、上位システムやユーザーに伝えることができる。その結果、上位システムは、例えば、他のシステムとの調整を行うこと等で、システム全体としての誤動作を防止し、安全性を高めることが可能になる。また、ユーザーは、前述した劣化救済によって保護対象回路PRCの安全性がある程度確保されているため、警告信号を受けた場合でも十分な猶予を持って部品交換等を依頼することができる。このような効果は、特に、
図19のような車両制御システムVHCにおいて有益となる。
【0077】
(実施の形態4)
《信号処理システム(実施の形態4)の概略》
図20は、本発明の実施の形態4による信号処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
図20に示す信号処理システムは、
図16の構成例に対して、実装形態を限定した構成例となっている。
図20において、保護対象回路PRCおよび遅延時間検出回路DLYDETを備える被検査回路DUTは、同一の半導体チップ(半導体装置DEVa)に搭載される。一方、その残りとなる発振回路VCO、クロック制御回路CKCTL、劣化判定回路JDGおよび警告回路ARMは、当該半導体チップ(半導体装置DEVa)の外部の半導体装置DEVbに搭載される。半導体装置DEVbは、例えば、一つの半導体チップで構成される。
【0078】
半導体装置DEVaは、クロック信号CLKが入力される外部端子PN1と遅延量検出信号Qを出力する外部端子PN2とを備える。半導体装置DEVbは、半導体装置DEVaの外部端子PN1へクロック信号CLKを出力する外部端子PN3と、半導体装置DEVaの外部端子PN2からの遅延量検出信号Qが入力される外部端子PN4とを備える。
【0079】
《実施の形態4の効果》
以上、実施の形態4の信号処理システムを用いると、実施の形態1~3で述べた各種効果が得られることに加えて、さらに、既存の装置を有効活用して、システムの汎用性を高めること等が可能になる。すなわち、半導体装置DEVaは、遅延時間検出回路DLYDETと同様の機能を搭載していれば、既存の様々な装置であってよい。そして、この既存の装置に対して、半導体装置DEVbを追加することで、実施の形態1~3で述べた各種方式が実現できるようになる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
ARM 警告回路
CKCTL クロック制御回路
DEV 半導体装置(半導体チップ)
DLYDET 遅延時間検出回路
DVC 遅延量電圧変換回路(フィルタ回路)
EOR 論理演算回路
INT 劣化検出信号
JDG 劣化判定回路
LS レベルシフト回路
PRC 保護対象回路
Q 遅延量検出信号
SYS 信号処理システム
VCO 発振回路
VGA ゲイン調整回路
Vcnt 遅延量検出電圧
Vcs 周波数制御信号