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特許7273551輻輳予測装置、輻輳予測プログラム及び輻輳予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】輻輳予測装置、輻輳予測プログラム及び輻輳予測方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/02 20090101AFI20230508BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20230508BHJP
   H04W 16/24 20090101ALI20230508BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W88/18
H04W16/24
H04M3/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019046465
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020150419
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501158538
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古江 智将
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-007442(JP,A)
【文献】特開2010-200283(JP,A)
【文献】特開平10-066138(JP,A)
【文献】特開2005-117357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 3/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出するアクセスポイント監視部と、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出する建屋抽出部と、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する輻輳予測部と
を備える輻輳予測装置。
【請求項2】
前記輻輳予測部は、
前記隣接建屋に対応付いた前記イベントであって前記スケジュールの示す開始日時が判定時間帯に含まれる前記イベントである開始イベントが前記イベント情報に存在するかどうかを判定し、判定結果によって、前記隣接建屋で輻輳が発生するかどうかを予測する請求項1に記載の輻輳予測装置。
【請求項3】
前記輻輳予測部は、
前記隣接建屋で前記輻輳が発生すると予測した場合、前記アクセスポイントログと前記アクセスポイント情報とを参照することにより、前記隣接建屋の前記位置と異なる位置を有し、かつ、前記帰属数が前記警戒数に達していない前記アクセスポイントを特定し、特定した前記アクセスポイントに接続している移動可能な移動アンテナを、前記輻輳が発生すると予測した前記隣接建屋へ移動することを決定する請求項1または請求項2に記載の輻輳予測装置。
【請求項4】
前記輻輳予測装置は、さらに、
前記隣接建屋に配置することが決定された前記移動アンテナの接続している前記アクセスポイントに対して、特定の端末装置のみの帰属を認める端末振り分け部を備える請求項3に記載の輻輳予測装置。
【請求項5】
コンピュータに、
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出するアクセスポイント監視処理と、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出する建屋抽出処理と、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する輻輳予測処理と
を実行させる輻輳予測プログラム。
【請求項6】
コンピュータが、
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出し、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出し、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する輻輳予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アクセスポイントにおける輻輳を予測する、輻輳予測装置、輻輳予測プログラム及び輻輳予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において通信端末装置は動的に移動する。イベントまたは災害のような事象が発生したときに、通信端末装置が特定の基地局に集中すると、基地局のキャパシティが通常の能力を超えて輻輳が発生し、通信障害が発生する恐れがある。
【0003】
特許文献1では、端末位置から輻輳発生個所を予測し、輻輳を未然に防ぐとしている。しかし、端末位置の情報だけでは情報不足であり、輻輳発生の予測は困難であると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-066138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、輻輳が発生する無線アクセスポイントを高い精度で予測する輻輳予測装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の輻輳予測装置は、
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が
登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出するアクセスポイント監視部と、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出する建屋抽出部と、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する輻輳予測部と
を備える。
【0007】
前記輻輳予測部は、
前記隣接建屋に対応付いた前記イベントであって前記スケジュールの示す開始日時が判定時間帯に含まれる前記イベントである開始イベントが前記イベント情報に存在するかどうかを判定し、判定結果によって、前記隣接建屋で輻輳が発生するかどうかを予測する。
【0008】
前記輻輳予測部は、
前記隣接建屋で前記輻輳が発生すると予測した場合、前記アクセスポイントログと前記アクセスポイント情報とを参照することにより、前記隣接建屋の前記位置と異なる位置を有し、かつ、前記帰属数が前記警戒数に達していない前記アクセスポイントを特定し、特定した前記アクセスポイントに接続している移動可能な移動アンテナを、前記輻輳が発生すると予測した前記隣接建屋へ移動することを決定する。
【0009】
前記輻輳予測装置は、さらに、
前記隣接建屋に配置することが決定された前記移動アンテナの接続している前記アクセスポイントに対して、特定の端末装置のみの帰属を認める端末振り分け部を備える。
【0010】
この発明の輻輳予測プログラムは、
コンピュータに、
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出するアクセスポイント監視処理と、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出する建屋抽出処理と、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する輻輳予測処理と
を実行させる。
【0011】
この発明の輻輳予測方法は、
コンピュータが、
アクセスポイントごとに端末装置の帰属数が登録されるアクセスポイントログを監視し、前記アクセスポイントログから、前記帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出し、
建屋ごとに前記建屋の位置が対応付いた建屋情報と、前記アクセスポイントごとに前記アクセスポイントの位置が対応づいたアクセスポイント情報とを参照することにより、前記警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、前記アクセスポイント情報のいずれかの前記アクセスポイントと共通する位置を有する隣接建屋を、前記建屋情報から抽出し、
イベントごとに前記イベントの開催される建屋と前記イベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、前記建屋情報から抽出された前記隣接建屋とに基づいて、前記隣接建屋の位置と共通する位置を有する前記アクセスポイントで、輻輳が発生するかどうかを予測する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の無線アクセスポイントの負荷状況及びアクセスポイントの配置された建屋で開催されるイベントのスケジュール情報、建屋とアクセスポイントとの位置関係のような情報を基に輻輳発生のアクセスポイントを予測するため、輻輳の発生を精度高く予測できる。また、輻輳発生の予測地点に移動可能なアンテナを移動させるので、輻輳を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1の図で、輻輳予測装置100の使用されるシステムを示す図。
図2】実施の形態1の図で、輻輳予測装置100の実行する処理の概要を示す図。
図3】実施の形態1の図で、輻輳予測装置100のハードウェア構成を示す図。
図4】実施の形態1の図で、輻輳予測装置100の動作を示すフローチャート。
図5】実施の形態1の図で、アクセスポイント情報61aを示す図。
図6】実施の形態1の図で、状況がすべて平常のアクセスポイントログ62aを示す図。
図7】実施の形態1の図で、状況に警戒のあるアクセスポイントログ62aを示す図。
図8】実施の形態1の図で、建屋情報63aを示す図。
図9】実施の形態1の図で、スケジュール情報200aを示す図。
図10】実施の形態1の図で、予測情報64aを示す図。
図11】実施の形態1の図で、移動アンテナ5が移動される状態のアンテナ情報65aを示す図。
図12】実施の形態1の図で、移動アンテナ5及び移動アンテナ6が移動される状のアンテナ情報65aを示す図。
図13】実施の形態1の図で、移動アンテナ5がもとの位置に移動される状態のアンテナ情報65aを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0015】
(1)以下では、アクセスポイントはAPと表記する場合がある。以下の説明のアクセスポイントは、すべて無線アクセスポイントである。
(2)以下では、データベースはDBと表記する。
(3)以下では、アクセスポイントデータベース61は、APDB61と表記する。
APDB61の格納するアクセスポイント情報61aは、AP情報61aと表記する。アクセスポイントログデータベース62は、APログDB62と表記する。APログDB62の格納するアクセスポイントログは、APログ62aと表記する。
【0016】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1から図13を参照して、実施の形態1の輻輳予測装置100を説明する。図1は、輻輳予測装置100の使用されるシステムを示す。ネットワーク500には、輻輳予測装置100、AP210、AP220及びスケジュールシステムが接続している。スケジュールシステムは、後述するスケジュール情報200aを格納している、スケジュールDB200を備えている。APはAP210、AP220の2つを記載しているが例示でありAPは3つ以上でもよい。AP210には移動が可能な移動アンテナ210aが接続しており、AP220には移動が可能な移動アンテナ220a、220bが接続している。移動が可能な移動アンテナ210a,220a,220bは、ドローンのような移動体によって移動させてもよいし、人が運搬してもよい。AP210,220には、移動アンテナを介して複数の端末装置310が帰属する。輻輳予測装置100は、各APから後述するAPログ62aを収集する。
【0017】
輻輳予測装置100は、アクセスポイント監視部10、建屋抽出部20、輻輳予測部30及び端末振り分け部40を備えている。また、輻輳予測装置100は、APDB61、APログDB62、建屋DB63、予測DB64及びアンテナDB65を備えている。
【0018】
APDB61は、AP情報61aを格納している。APログDB62は、APログ62aを格納している。建屋DB63は、建屋情報63aを格納している。予測DB64は、予測情報64aを格納している。アンテナDB65は、アンテナ情報65aを格納している。APDB61からアンテナDB65と、スケジュールDB200は図5から図13の説明で後述する。
【0019】
図2は、輻輳予測装置100の実行する処理の概要を示す図である。建屋1から建屋4がある。各建屋にはAPが配置されている。各APは移動アンテナを備えている。図2には、AP1からAP6を記載している。図2において、(a,b)のように記載しているのは位置を示している。各APに帰属する端末装置の台数に関して、輻輳が発生する警戒端末数は200台とし、帰属する端末装置の台数が400台以上で輻輳が発生するとする。現在において、AP1の帰属端末数は300台、AP2の帰属端末数は200台である。輻輳予測装置100は、APログDB62に基づき、この状況を知る。また、輻輳予測装置100は、現在の時刻から判定時間である一定時間の前に、建屋2でイベントが開始しており、または現在の時刻から判定時間である一定時間の後に、建屋2でイベントが開始することを、スケジュールDB200に基づき知る。その場合、輻輳予測装置100は、AP1の300台と、AP2の200台が建屋2のAP3に帰属すると予測する。その場合、輻輳予測装置100は、合計500台の端末装置がAP3に帰属することになりAP3で輻輳が発生すると予測し、AP3の近隣であり端末装置の帰属端末数の少ないAP5に接続している、移動可能な移動アンテナ5を建屋2に移動させる指示をだす。建屋2に移動した移動アンテナ5は、建屋2に位置する端末装置をAP5に帰属させる。以上の動作により建屋2のAP3の輻輳を事前に防止できる。
【0020】
図3は、輻輳予測装置100のハードウェア構成を示す。輻輳予測装置100は、コンピュータである。輻輳予測装置100は、プロセッサ110を備えるとともに、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力IF140、出力IF150及び通信IF160といった他のハードウェアを備える。なおIFはインタフェースを示す。プロセッサ110は、信号線170を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0021】
輻輳予測装置100は、機能要素として、アクセスポイント監視部10、建屋抽出部20、輻輳予測部30及び端末振り分け部40を備える。アクセスポイント監視部10、建屋抽出部20、輻輳予測部30及び端末振り分け部40は、輻輳予測プログラム101により実現される。
【0022】
プロセッサ110は、輻輳予測プログラム101を実行する装置である。輻輳予測プログラム101は、アクセスポイント監視部10、建屋抽出部20、輻輳予測部30及び端末振り分け部40の機能を実現するプログラムである。プロセッサ110は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ110の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0023】
主記憶装置120は記憶装置である。主記憶装置120の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。主記憶装置120は、プロセッサ110の演算結果を保持する。
【0024】
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する記憶装置である。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置130は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。補助記憶装置130は、輻輳予測プログラム101、APDB61、APログDB62、建屋DB63、予測DB64及びアンテナDB65を記憶している。なお、輻輳予測プログラム101、APDB61、APログDB62、建屋DB63、予測DB64及びアンテナDB65のようなデータは、クラウドサーバのような他の装置に格納されており、輻輳予測装置100が他の装置から取得してもよい。
【0025】
入力IF140は、各種機器が接続され、各種機器からデータが入力されるポートである。出力IF150は、各種機器が接続され、各種機器にプロセッサ110によりデータが出力されるポートである。通信IF160はプロセッサが他の装置と通信するための通信ポートである。輻輳予測装置100は通信IF160を介してAPログ62aを取得し、通信IF160を介してスケジュールDB200を参照する。
【0026】
プロセッサ110は補助記憶装置130から輻輳予測プログラム101を主記憶装置120にロードし、主記憶装置120から輻輳予測プログラム101を読み込み実行する。主記憶装置120には、輻輳予測プログラム101だけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ110は、OSを実行しながら、輻輳予測プログラム101を実行する。輻輳予測装置100は、プロセッサ110を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、輻輳予測プログラム101の実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ110と同じように、輻輳予測プログラム101を実行する装置である。輻輳予測プログラム101により利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値及び変数値は、主記憶装置120、補助記憶装置130、または、プロセッサ110内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0027】
輻輳予測プログラム101は、アクセスポイント監視部10、建屋抽出部20、輻輳予測部30及び端末振り分け部40の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0028】
また、輻輳予測方法は、コンピュータである輻輳予測装置100が、輻輳予測プログラム101を実行することにより行われる方法である。輻輳予測プログラム101は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0029】
***動作の説明***
図4は、輻輳予測装置100の動作を説明するフローチャートである。
図4を参照して、輻輳予測装置100の動作を説明する。図4の括弧内は動作の主体を示す。輻輳予測装置100の動作は、輻輳予測方法に相当する。輻輳予測装置100の動作は、輻輳予測プログラム101の処理に相当する。
【0030】
<ステップS11>
アクセスポイント監視部10は、APごとに端末装置の帰属数が登録されるAPログ62aを監視し、APログ62aから、帰属数が警戒数に到達している警戒アクセスポイントを抽出する。アクセスポイント監視部10の動作は、具体的には以下のようである。
ステップS11において、アクセスポイント監視部10は、APログDB62のAPログ62aを参照して、各アクセスポイントに帰属する端末装置310の帰属数を監視する。
図5は、APDB61の格納しているAP情報61aを示す。AP情報61aは、AP名、そのAPに接続しているアンテナ、APの位置、警戒端末数及び輻輳が生じる輻輳端末数の列を有する。
図6は、APログDB62の格納しているAPログ62aを示す。APログ62aは、ログID、AP名、時刻、その時刻における端末数及び状況の列を有数する。図6は、現在の時刻である「2019/1/16 9:00」におけるAPログ62aを示す。AP1からAP6は、いずれも属端末数が警戒端末数(図5)に達しておらず、AP1からAP6の「警戒」の状態は、いずれも平常である。
【0031】
<ステップS12>
ステップS12において、アクセスポイント監視部10は、APログDB62のAPログ62aを参照することにより、端末装置の帰属数が、警戒値を超えたAPがあるかを判定する。
図7は、図6のAPログ62aから1時間が経過したAPログ62aを示す。図7ではAP1及びAP2の帰属端末数が200以上であり、AP1及びAP2の「警戒」の状態が、いずれも「警戒」となっている。図7のAPログ62aを参照することにより、アクセスポイント監視部10は、警戒値以上の端末装置が帰属するAPとして、AP1とAP2をAPログ62aから抽出する。AP1の帰属端末数は300であり、AP2の帰属端末数は200であり、アクセスポイント監視部10は、AP1の帰属端末数とAP2の帰属端末数とを認識する。
【0032】
<ステップS13>
建屋抽出部20は、建屋ごとに建屋の位置が対応付いた建屋情報63aと、APごとにAPの位置が対応づいたAP情報61aとを参照することにより、警戒アクセスポイントに隣接する位置を有し、AP情報61aのいずれかのAPと共通する位置を有する隣接建屋を、建屋情報63aから抽出する。具体的には以下のようである。ステップS13において、建屋抽出部20は、警戒値を超えたAPの組み合わせと、建屋DBにおける隣接APとを比較し、端末装置の移動先の建屋を抽出する。
図8は、建屋DB63の格納している建屋情報63aを示す。この例では、ステップS12で、アクセスポイント監視部10が、AP1とAP2を警戒値以上の帰属数を有するAPとして抽出している。建屋情報63aは、建屋ID、建屋名、建屋の位置及び建屋に隣接する隣接APの列を有する。建屋情報63aでは、建屋2及び建屋4が、隣接APとして、AP1とAP2を有する。建屋抽出部20は、建屋情報63aから、隣接APとして、AP1とAP2を有する建屋2と建屋4を抽出する。
【0033】
<ステップS14>
輻輳予測部30は、イベントごとにイベントの開催される建屋とイベントの開催されるスケジュールとが対応付いたイベント情報と、建屋情報63aから抽出された隣接建屋とに基づいて、隣接建屋の位置と共通する位置を有するAPで、輻輳が発生するかどうかを予測する。スケジュール情報200aは、イベント情報である。輻輳予測部30は、隣接建屋に対応付いたイベントであってスケジュールの示す開始日時が判定時間帯に含まれるイベントである開始イベントがイベント情報に存在するかどうかを判定する。輻輳予測部30は、判定結果によって、隣接建屋で輻輳が発生するかどうかを予測する。ここで判定時間帯とは、例えば、開始イベントがイベント情報に存在するかどうかを判定している現在の時刻に対して、+3時間、-3時間の範囲である。現在の時刻が午前10:00とすれば、午前7:00から午後1:00の範囲である。
具体的には以下のようである。
ステップS14において、輻輳予測部30は、建屋抽出部20が建屋情報63aから抽出した建屋のなかから、現在時刻の前または現在時刻の後に開催のスケジュールが予定されているイベントが開催される建屋を絞り込む。
図9は、スケジュールDB200の格納しているスケジュール情報200aを示す。スケジュール情報200aは、イベント情報である。スケジュール情報200aは、イベント名、開始時刻、終了時刻、建屋ID及び予定人数の列を有する。開始時刻及び終了時刻は日時を示す。予定人数は、帰属が見込まれる端末装置の数である。輻輳予測部30は、スケジュール情報200aを参照することにより、隣接APとして、AP1とAP2を有する建屋2と建屋4のうち、建屋2で輻輳が発生すると予測する。具体的には輻輳予測部30は以下のように輻輳を予測する。スケジュール情報200aから、現在時刻である「2019/1/16 10:00」に対して直近の「2019/1/16 12:00」の開催時刻を有するイベント「A氏講演」が建屋T2で開催されると判定する。イベント「A氏講演」の予定数は150である。建屋T2の位置は、建屋情報63aから(c、d)であり、AP情報61aから建屋T2にはAP3が配置されている。AP3の輻輳端末数は400である。一方、ステップS12で抽出されたAP1及びAP2の帰属端末数は、それぞれ300,200である。
よって、輻輳予測部30は、位置(c、d)の建屋2に帰属する最大予測端末数を、200と300との合計の500と予測する。輻輳予測部30は、この予測した端末装置の数を、予測DB64に予測情報64aとして登録する。
図10は、予測DB64の格納している予測情報64aを示す
スケジュール情報200aは、予測ID、輻輳発生が予測される位置及び輻輳発生が予測される位置で帰属が予想うれる最大の端末装置数の列を有する。図10は、輻輳予測部30が、位置(c、d)の建屋2に帰属する最大予測端末数を、500と予測して、予測DB64に登録した結果を示す。
【0034】
<ステップS15>
輻輳予測部30は、隣接建屋で輻輳が発生すると予測した場合、APログ62aとAP情報61aとを参照することにより、隣接建屋の位置と異なる位置を有し、かつ、帰属数が警戒数に達していないAPを特定する。輻輳予測部30は、特定したAPに接続している移動可能な移動アンテナを、輻輳が発生すると予測した隣接建屋へ移動することを決定する。
具体的には、以下のようである。
ステップS15において、輻輳予測部30は、予測DB64に登録した建屋に移動アンテナを移動させる、アンテナ移動処理を実行する。輻輳予測部30は、予測DB64に登録された予測情報64aを参照して、アンテナ移動処理を実行する。輻輳予測部30は、APDB61、APログDB62、予測DB64及びアンテナDB65を参照して、以下のように移動させるアンテナを抽出する。
図11は、アンテナDB65の格納しているアンテナ情報65aを示す。アンテナ情報65aは、すべての移動アンテナを対象として、移動アンテナのアンテナID、移動アンテナの現在位置及び移動アンテナが現在使用可能かどうかを示す使用可否の列を有する。使用可否の列では1が使用不可を示し0が使用可能示す。移動アンテナは、現在位置が移動された位置の場合は「使用可否=1」であり、現在位置が移動された位置ではない場合は「使用可否=0」である。アンテナ情報65aは輻輳予測部30が記録する。今回参照するアンテナ情報65aの内容は、輻輳予測部30が前回記録した内容である。輻輳予測部30は、予測情報64aに登録した位置(予測位置)に近いAPのうち帰属数が警戒になっていないAPに接続している、移動可能な移動アンテナであり、使用可否=0の移動アンテナを抽出する。この例では、図2に示すように、輻輳予測部30は、位置が(m,n)であるAP5に接続している移動アンテナ5を、建屋2へ移動することを決定する。輻輳予測部30は、移動アンテナの移動を決定した場合、移動させるべき移動アンテナの接続しているAPの基地局装置に対して、移動させる移動アンテナを特定する情報と移動先の位置とを含む移動指示信号を送信する。基地局側では移動指示信号にしたがって、手動あるいは自動で、移動アンテナを移動させる。
【0035】
<ステップS16>
端末振り分け部40は、隣接建屋に配置することが決定された移動アンテナの接続しているAPに対して、特定の端末装置のみの帰属を認める端末振り分け処理を実施する。つまり、端末振り分け部40は、隣接建屋に配置することが決定された移動アンテナの接続しているAPに対して、特定の端末装置のみを帰属させる。
具体的には以下の様である。
ステップS16において、端末振り分け部40は、端末装置を振り分ける振り分け処理を実施する。振り分け処理とは、移動アンテナの移動先として決定された建屋(隣接建屋)の位置のAPに帰属させる端末装置と、移動アンテナの接続しているAPに帰属させる端末装置と分ける処理をいう。具体例として、端末振り分け部40は、特定の学校の生徒の端末装置を、移動アンテナの接続しているAPに帰属させ、それ以外の端末装置を、移動アンテナの移動先として決定された建屋の位置のAPに帰属させるような場合である。
【0036】
<ステップS17>
ステップS17において、輻輳予測部30は、APログDB62を参照することにより、移動アンテナの接続しているAPへの移動端末の帰属数が、警戒値以上かどうかを判定する。 一定期間監視した後、警戒値をした回る場合(ステップS17でNO)、輻輳予測部30は、移動アンテナを初期位置に移動させる(ステップS20)。この例では、図1において、移動アンテナ5を建屋2からAP5の位置(m,n)に移動させる指示を生成して、移動中の移動アンテナ5が接続しているAP5の基地局装置へ送信する。この場合、輻輳予測部30は、アンテナDB65を更新する。
図12は、輻輳予測部30が、移動アンテナ5を初期位置であるAP5の位置(m,n)に移動させることを決定した際に、更新したアンテナDB65を示す。図12では、ANT5の位置が(c,d)から(m、n)になっている。
【0037】
<ステップS18>
ステップS17で移動アンテナの接続しているAPへの移動端末の帰属数が警戒値以上と判定した場合(ステップS17でYES)、さらに近隣のAPの移動アンテナを移動させる。これは、移動アンテナの接続しているAPの帰属数が警戒値以上の場合、現状のアンテナ数では足りないと想定されるため、さらに近隣のAPからアンテナを移動する。この例では、輻輳予測部30は、図1においてAP6の移動アンテナ6を、建屋2に移動させることを決定し、移動指示信号をAP6の基地局装置に送信する。このとき輻輳予測部30はアンテナDB65を更新する。
図13は、輻輳予測部30が、移動アンテナ6を建屋2の位置(c、d)に移動させることを決定した際に更新したアンテナDB65を示す。
<ステップS19>
ステップS19において、輻輳予測部30は、ステップS17と同じように、移動させた移動アンテナの接続するAPの状況が警戒値以上かどうかを判定する。警戒値以上の場合、処理はステップS18に進み、警戒値未満の場合は、処理は、ステップS20に進む。
【0038】
***実施の形態1の効果***
(1)実施の形態1の輻輳予測装置100によれば、APの輻輳の発生を予測することができ、かつ、輻輳の発生を防止することができる。
(2)また、輻輳予測装置100は輻輳が予測されるAPに、他のAPに接続している移動アンテナを移動させて、輻輳が予測されるAPに帰属しようとする端末装置を、輻輳が予測されるAPの位置で、他のAPに帰属させる。よって遊休APを有効活用することができる。
(3)輻輳予測装置100は、他の場所に設置されているAPを輻輳が予測されるAP位置の端末装置に割り当てるので、設置すべきAPの数を削減することができる。
【0039】
以上、実施の形態1について説明したが、実施の形態1のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、実施の形態1のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、実施の形態1に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
AP アクセスポイント、10 アクセスポイント監視部、20 建屋抽出部、30 輻輳予測部、40 端末振り分け部、61 APDB、61a AP情報、62 APログ、62a APログ、63 建屋DB、63a 建屋情報、64 予測DB、64a 予測情報、65 アンテナDB、65a アンテナ情報、90 電子回路、91 信号線、100 輻輳予測装置、101 、輻輳予測プログラム、110 プロセッサ、120 主記憶装置、130 補助記憶装置、140 入力IF、150 出力IF、160 通信IF、170 信号線、200 スケジュールDB、210,220 アクセスポイント、210a,220a,220b 移動アンテナ、310 端末装置、400 建屋、500 ネットワーク。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13