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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】軸受装置用潤滑流体槽および軸受装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 37/00 20060101AFI20230508BHJP
   F16N 19/00 20060101ALI20230508BHJP
   F16N 39/02 20060101ALI20230508BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
F16C37/00 Z
F16N19/00
F16N39/02
H02K7/08 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019047358
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020148285
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】金崎 麻美
(72)【発明者】
【氏名】安 信行
(72)【発明者】
【氏名】石井 元康
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-82961(JP,U)
【文献】特開昭54-35306(JP,A)
【文献】特開2010-288445(JP,A)
【文献】特開2003-264975(JP,A)
【文献】特開2012-65493(JP,A)
【文献】特開平9-322466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 37/00
F16N 19/00,39/02
H02K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の回転子の軸部分の周囲に配置され、潤滑流体を貯留するとともに、前記回転子の重を受ける軸受の少なくとも一部を収容する槽本体と、前記槽本体の底面及び側面に周方向に間隔を空けて設けられる複数の板状の冷却フィンと、を備える軸受装置用潤滑流体槽であって、
前記槽本体に、前記底面から前記側面へ貫通する通風路が設けられるとともに、前記冷却フィンの表面に凹部及び/又は凸部が設けられる形状を有するか、又は前記冷却フィンに貫通孔が設けられる形状を有するか、又は前記冷却フィンが千鳥格子状に配列される配列を有しており、
前記通風路は、前記底面における隣り合う前記冷却フィンの間の部分で一端を開放するとともに、前記側面における隣り合う前記冷却フィンの間の部分で他端を開放する、軸受装置用潤滑流体槽。
【請求項2】
請求項に記載の軸受装置用潤滑流体槽と、
回転電機の回転子の荷重を受ける軸受と、を備え、
前記軸受の少なくとも一部が、前記軸受装置用潤滑流体槽の前記槽本体の内部に収容されている、軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、軸受装置用潤滑流体槽および軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立軸水車発電機等の回転電機の回転子は、流体潤滑式の軸受装置によって支持される場合がある。このような軸受装置は、例えば、潤滑油を貯留する油槽と、油槽の内部の潤滑油に少なくとも一部が浸漬されるように配置される軸受とを備え、回転子の回転時に軸受と回転子との間に油膜を形成する。軸受は、この油膜を介して回転子からの荷重を受けることで、回転子を非接触の状態で支持することができる。
【0003】
軸受装置が回転子を支持した際には、軸受と回転子との間における軸受と油膜との摩擦および回転子と油膜との摩擦等によって生じる損失が熱となり、潤滑油の温度が上昇し得る。潤滑油の温度上昇は、例えば潤滑油の粘度を低下させて、油膜の厚みを減少させ得たり、回転子の支持剛性を低下させ得るため、軸受と回転子との間の接触リスクを増加させる。そのため、このタイプの軸受装置では、通常、潤滑油を冷却するための手段が設けられている。
【0004】
潤滑油の冷却のための手段としては、例えば、油槽に冷却フィンを設けたり、油槽の周囲に、回転電機の回転によって生じる空気流(以下、冷却空気)を供給したりすることが挙げられる。以下においては、上記のような冷却構造を備える軸受装置のことを、空冷式の軸受装置と呼ぶ。
【0005】
空冷式の軸受装置には、冷却フィンを熱伝導率の高い材料で形成し、油槽に冷却フィンを貫通させた状態で設けるものもある。この構成では、冷却フィンの熱伝導率が高いことで、冷却フィン自体の熱伝達率が向上する。しかし、油槽の内部に突出した冷却フィンによって油槽内部の潤滑油の対流が阻害され得るため、潤滑油の熱が効果的に放熱されない虞がある。
【0006】
また、油槽の周囲にエアガイドを取りつけ、エアガイドによって冷却空気を冷却フィンに沿うようにガイドする構造も知られている。この構造では、エアガイド内を通る冷却空気の流速が上がるため、冷却フィンの熱伝達率が向上する。しかし、エアガイドにより通風経路が制限されるため、回転電機の風損を増加させる虞がある。
【0007】
以上のような空冷式の軸受装置は、小型の回転電機において適用されることが多い。また、空冷式の軸受装置を用いる場合には、一般に、回転電機の回転によって冷却空気を発生させる。この場合の冷却空気の通風路の代表的な形式としては、出口管通風管型や、開放型が挙げられる。
【0008】
また、流体潤滑式の軸受装置には、潤滑流体として、水やその他流体を用いるものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-183771号公報
【文献】特開2000-92788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような冷却フィンによる冷却効果を高めるためには、冷却フィンの熱伝達率を上げることが重要であり、これを実現するための手段として、冷却フィンの冷却面積を拡大することや、冷却空気の風量を増やすこと、風速を上げること等が挙げられる。
【0011】
冷却面積を拡大する手段としては、例えば油槽や冷却フィンを大きくすることや、冷却フィンの枚数を増やすことが考えられる。しかしながら、空冷式の軸受装置を採用する一般に小型となる回転電機を設置する場合には、軸受装置の設置スペースが比較的狭い範囲に制限されていたり、また保守点検用スペースの確保が必要であったりするため、油槽や冷却フィンのサイズは無制限に大型化できない。また、油槽と冷却フィンは通常、溶接により接合され、溶接作業を適正に且つ効率的に実施するために、冷却フィンは一定以上の間隔を空けて順次溶接される。そのため、取り付けできる冷却フィンの枚数にも製造上の制限がある。
【0012】
また、冷却空気は、通常、回転電機の回転数や構造により決定される自己通風によるものであるため、冷却空気の風量を増やしたり、風速を上げたりすることは、回転電機全体の構造変更を伴い、容易に実施できない。また、冷却フィン周囲をカバーなどで閉塞し局所的に冷却空気の風速を上げる手法では、前述した通り、回転電機の風損増加につながる。
【0013】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、空冷式の軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、潤滑流体に対する冷却効果を向上できる軸受装置用潤滑流体槽および軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施の形態にかかる軸受装置用潤滑流体槽は、回転電機の回転子の軸部分の周囲に配置され、潤滑流体を貯留するとともに、前記回転子の荷重を受ける軸受の少なくとも一部を収容する槽本体と、前記槽本体の底面及び/又は側面に周方向に間隔を空けて設けられる複数の放熱部材と、を備える。当該軸受装置用潤滑流体槽は、前記槽本体及び前記放熱部材の表面積を増加させるための前記放熱部材の所定配列、前記放熱部材の所定形状、及び前記槽本体の所定形状のうちの少なくともいずれかを有している。そして、当該軸受装置用潤滑流体槽は、前記軸部分の軸方向及び径方向の両方を含む面上で板状をなし且つ表面が平坦な冷却フィンが前記所定形状のない前記槽本体に周方向に間隔を空けて配列されるのみの構成よりも、前記槽本体及び前記放熱部材の合計の表面積を増加させる。
【0015】
実施の形態にかかる軸受装置は、前記軸受装置用潤滑流体槽と、回転電機の回転子の荷重を受ける軸受と、を備える。そして、前記軸受の少なくとも一部が、前記軸受装置用潤滑流体槽の前記槽本体の内部に収容されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空冷式の軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態にかかる回転電機の軸受装置の一部の子午断面図である。
図2】第2の実施の形態にかかる回転電機の軸受装置の一部の子午断面図である。
図3】(A)は、図2に示す軸受装置が備える潤滑流体槽の側面図であり、(B)は、底面図である。
図4】第3の実施の形態にかかる回転電機の軸受装置の一部の子午断面図である。
図5】(A)は、図4のV-V線に沿う断面図であり、(B)~(D)は、第3の実施の形態の変形例を示す図である。
図6】第4の実施の形態にかかる回転電機の軸受装置が備える潤滑流体槽の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面を参照して各実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる回転電機の軸受装置1の一部の子午断面図を示している。本実施の形態にかかる軸受装置1は、立軸水車発電機を構成する回転電機100の回転子101を回転自在に支持するように構成されている。
【0020】
図1に示すように、回転子101は、軸部分102と、軸部分102の外周に設けられる回転子リム112と、磁極113とを有し、回転子101は、固定子103内、詳しくは円筒状をなす固定子鉄心内に配置される。軸部分102は、水車のランナ200に水車主軸201を介して接続されており、これにより、回転子101は、ランナ200の回転に伴い、その回転軸線Aを中心に回転するようになっている。
【0021】
実施の形態の説明では、単に軸方向と言う場合、その方向は、回転子101の回転軸線A上の方向又は回転軸線Aに平行な方向のことを意味する。また、単に径方向と言う場合、その方向は、回転軸線Aに対して直交する方向を意味する。また、単に周方向と言う場合、その方向は、回転軸線Aを中心とする回転方向に沿う方向を意味する。
【0022】
軸受装置1は、潤滑流体槽2と、軸受3とを備えており、潤滑流体槽2は、回転子101の軸部分102の周囲に配置されて例えば潤滑油や水等の潤滑流体を貯留する槽本体4と、槽本体4に設けられた複数の冷却フィン5と、を有している。
【0023】
槽本体4は、軸受用ブラケット8により支持されることで、所定位置に位置決めされている。槽本体4は、中空円板状の底面4Aと、底面4Aの径方向外側端部から軸方向で上方に立ち上がる側面4Bと、を有し、冷却フィン5は、槽本体4の底面4A及び側面4Bに跨がる状態で周方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0024】
冷却フィン5は、槽本体4に例えば溶接により接合され、槽本体4内の潤滑流体の熱を槽本体4を介して伝達されて、外部に放熱する放熱部材として機能する。本実施の形態における冷却フィン5は、槽本体4の底面4A及び側面4Bに跨がる状態で設けられるが、冷却フィン5は、底面4A上の部分と、側面4B上の部分とに分断されてもよい。また、冷却フィン5は、底面4A及び側面4Bのいずれかのみに設けられてもよい。
【0025】
軸受3は、本実施の形態において、案内軸受(ガイド軸受)として構成されており、回転子101のラジアル方向荷重を受けることで、回転子101を支持するようになっている。図示しないが、軸受3は、周方向に間隔を空けて複数設けられる。なお、軸受3は、スラスト軸受として構成されてもよく、回転子101のスラスト方向荷重を受けるようになっていてもよい。また、槽本体4内に案内軸受とスラスト軸受の両方が設けられてもよい。
【0026】
槽本体4の径方向外側には基礎6が位置し、基礎6から径方向内側に延びる軸受用ブラケット8の先端に軸受3が固定されている。軸受用ブラケット8は、槽本体4の上部に接している。軸受3は、軸方向で見た場合に、円弧状となる荷重支持面3Sを有する。本実施の形態においては、荷重支持面3Sが、回転子101の軸部分102の外周面から垂下するスカート部102Sに径方向で対向している。
【0027】
軸受3は、その少なくとも一部が槽本体4の内部に収容されるように配置されており、回転子101が回転した際に、槽本体4内の潤滑流体をスカート部102Sとの間の隙間に引き込む。軸受3とスカート部102Sとの間に引き込こまれた潤滑流体は、軸部分102と軸受3との間に流体膜を形成し、軸受3は、この流体膜を介して回転子101からの荷重を支持することで、回転子101を非接触の状態で支持するようになっている。
【0028】
回転子101が回転した際、軸受3とスカート部102Sとの間における軸受3と油膜との摩擦およびスカート部102Sと油膜との摩擦等による損失によって、槽本体4内の潤滑流体の温度が上昇する。ここで、冷却フィン5が、槽本体4内の潤滑流体の熱を槽本体4を介して伝達されて、外部に放熱することで、潤滑流体が冷却される。本実施の形態においては、回転子101の回転によって生じる空気流(以下、冷却空気)が、矢印αに示すように槽本体4及び冷却フィン5に向けて流れることで、冷却効果の向上が図られている。
【0029】
そして、本実施の形態においては、表面積を増加させて潤滑流体に対する冷却効果をさらに向上させるべく、槽本体4が所定形状を有しており、具体的には、槽本体4に、底面4Aから側面4Bへ貫通する通風路7が設けられている。
【0030】
通風路7は、槽本体4の底面4Aにおける隣り合う冷却フィン5の間の部分で一端を開放するとともに、槽本体4の側面4Bにおける隣り合う冷却フィン5の間の部分で他端を開放する。本実施の形態における通風路7は真っ直ぐに延在する管体であり、子午断面において、軸方向に対して傾斜する。ただし、通風路7の形状は特に限られるものではなく、湾曲形状でもよいし、L字型のような折れ曲がり形状であってもよい。また、通風路7は、軸方向で見た場合に、径方向に対して傾斜していてもよい。また、通風路7の数は特に限られるものではない。
【0031】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0032】
本実施の形態では、通風路7が設けられることで、槽本体4において外気と接触可能な部分の表面積が増加する。そして、通風路7に冷却空気を通すことが可能なため、槽本体4内の潤滑流体を効果的に冷却することができる。これにより、槽本体4及び冷却フィン5を含む軸受装置1のサイズを通風路7のない構成に対して大型化することなく、また、構造を過剰に複雑化することなく、潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。
【0033】
具体的には、一般的な空冷式の軸受装置においては、通常、軸方向及び径方向の両方を含む面上で板状をなし且つ表面が平坦な冷却フィンが、通風路7のない槽本体4に周方向に間隔を空けて配列されるのみの構成が採用される。この構成に対して、本実施の形態では、通風路7が設けられることで、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積が増加する。すなわち、一般的な空冷式の軸受装置の構成に対して、槽本体4の大型化や冷却フィン5の数の増加を行うことなく、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積を増加させることが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態では、通風路7と、槽本体4の側面4B側の壁面との間に空間が形成されるため、槽本体4の内部での潤滑流体の対流が過剰に阻害されないため、対流の阻害による放熱の阻害が抑制される。
【0035】
よって、本実施の形態によれば、軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、回転子101の支持のために貯留する潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。なお、本実施の形態は、回転子101が発生させる冷却空気の流れを阻害せずに、冷却効果を向上できる点で有用であるが、本実施の形態の構成は、エアガイドのような構造物と組み合わされてもよい。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図2及び図3を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明を省略する場合がある。
【0037】
図2に示すように、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した通風路7は設けられないが、冷却フィン5が所定配列を有することで、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積の増加が図られている。
【0038】
具体的には、冷却フィン5が、図3(A)に示すように槽本体4の側面4Bにおいて軸方向に対して傾斜するように配列されるとともに、図3(B)に示すように槽本体4の底面4Aにおいて径方向に対して傾斜するように配列されている。複数の冷却フィン5は、それぞれ同じ角度条件及び形状で、軸方向又は径方向に対して傾斜している。ここで、冷却フィン5が、槽本体4の底面4Aにおいて径方向に対して傾斜する状態とは、槽本体4の底面4Aに位置する冷却フィン5又は冷却フィン5の一部が、回転軸線Aから冷却フィン5又は冷却フィン5の一部の径方向内側端部を通って径方向に延びる直線に対して、傾斜している状態を意味する。
【0039】
なお、本実施の形態では、冷却フィン5が、槽本体4の底面4A及び側面4Bに跨がる状態で設けられるが、冷却フィン5は、底面4A上の部分と、側面4B上の部分とに分断されてもよい。また、冷却フィン5は、底面4A及び側面4Bのいずれかのみに設けられてもよい。
【0040】
第2の実施の形態においては、槽本体4の底面4Aに設けられる冷却フィン5(その一部)が径方向に対して傾斜するように配列されるとともに、槽本体4の側面4Bに設けられる冷却フィン5が軸方向に対して傾斜するように配列される。これにより、一般的な空冷式の軸受装置の構成に対して、槽本体4の大型化や冷却フィン5の数の増加を行うことなく、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積を増加させることが可能となる。
【0041】
よって、軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、回転子101の支持のために貯留する潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について図4及び図5を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明を省略する場合がある。
【0043】
図4及び図5(A)に示すように、本実施の形態では、冷却フィン5が所定形状を有することで、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積の増加が図られている。
【0044】
具体的には、冷却フィン5の表面に複数の凹部5Aが設けられている。図示の凹部5Aは、冷却フィン5の一部をプレスすることにより凹ませることで形成され、冷却フィン5の互いに対向する一対の面の一方側から他方側に凹んでいる。ただし、凹部5Aの形成方法は特に限られるものではない。
【0045】
第3の実施の形態においては、冷却フィン5の表面に設けられた凹部5Aにより、一般的な空冷式の軸受装置の構成に対して、槽本体4の大型化や冷却フィン5の数の増加を行うことなく、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積を増加させることが可能となる。
【0046】
よって、軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、回転子101の支持のために貯留する潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。
【0047】
なお、表面積を増加させるべく冷却フィン5の表面に形成される形状は特に限られるものではない。図5(B)~(D)は、第3の実施の形態の変形例を示す。図5(B)に示すように、冷却フィン5の互いに対向する一対の面のそれぞれに凹部5Aが設けられてもよい。また、図5(C)に示すように、冷却フィン5の互いに対向する一対の面のうちの一方に複数の凸部5Bが設けられてもよい。また、図5(D)に示すように、冷却フィン5が波状に形成され、凹部5Aと凸部5Bが交互に配列されるようになっていてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、冷却フィン5に凹部5Aが設けられるが、槽本体4に凹部5A及び/又は凸部5Bが設けられてもよい。また、冷却フィン5に複数の貫通孔が設けられてもよい。この際、貫通孔が円形である場合には、貫通孔の半径<冷却フィン5の厚みの関係とすることで、表面積を増加させることができる。
【0049】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について図6を参照して説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明を省略する場合がある。
【0050】
本実施の形態では、冷却フィン5が所定配列を有することで、槽本体4及び冷却フィン5の合計の表面積の増加が図られている。具体的には、図6に示すように、冷却フィン5が千鳥格子状に配列されている。
【0051】
一般的な空冷式の軸受装置においては、軸方向及び径方向の両方を含む面上で板状をなし且つ表面が平坦な冷却フィンが、槽本体に周方向に間隔を空けて配列される。ここで、隣り合う冷却フィンの間には、冷却フィンの溶接等による取り付けの際の作業スペース又はメンテナンス時の作業スペースを確保するために、ある程度の大きさの隙間が設けられる。
【0052】
これに対し、本実施の形態のように、冷却フィン5が千鳥格子状に配列される場合には、一般的な空冷式の軸受装置において設けることが必要的な隙間よりも小さい隙間で冷却フィン5を配列したとしても、冷却フィン5の取り付けの際の作業スペース等が確保され得る。これにより、一般的な空冷式の軸受装置の場合に対して、槽本体4の大型化を行うことなく、また、構造を過剰に複雑にすることなく、冷却フィン5を密集させることで冷却フィン5全体の表面積を増加させることができる。また、冷却フィン5の取り付けやメンテナンスの作業性が損なわれることも抑制できる。
【0053】
以上の実施の形態によっても、軸受装置全体の大型化及び構造の複雑化を抑制しつつ、回転子101の支持のために貯留する潤滑流体に対する冷却効果を向上できる。なお、本実施の形態では、板状の冷却フィン5が千鳥格子状に配列されるが、円柱状や角柱状等の放熱部材が千鳥格子状に配列されてもよい。
【0054】
以上、各実施の形態を説明したが、上記の各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0055】
例えば、第1乃至第4の実施の形態における各構成の複数組み合わせを有する軸受装置が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…軸受装置、2…潤滑流体槽、3…軸受3…槽本体、3S…荷重支持面、4A…底面、4B…側面、5…冷却フィン、5A…凹部、5B…凸部、6…基礎、7…通風路、8…軸受用ブラケット、100…回転電機、101…回転子、102…軸部分、102S…スカート部、103…固定子、112…回転子リム、113…磁極、A…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6