(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 16/55 20190101AFI20230508BHJP
G06F 16/54 20190101ALI20230508BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G06F16/55
G06F16/54
H01L21/66 A
(21)【出願番号】P 2019048395
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】平尾 駿
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-97871(JP,A)
【文献】特開2006-98155(JP,A)
【文献】米国特許第7283659(US,B1)
【文献】特開2011-145275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0050979(US,A1)
【文献】特表2003-515942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
H01L 21/64-21/66
G01N 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークに関
する複数のワークデータであって、複数のクラスの1つである第1クラスに分類され、且つ第1カテゴリ及び第2カテゴリを含む複数のカテゴリに
さらに分類される
前記複数のワークデータ
を取得し、
前記複数のワークデータ
を平均化することで、前記第1クラスを代表する第1包括画像
を生成し、
前記第1クラス且つ前記第1カテゴリに分類される前記複数のワークデータの一部
を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第1個別画像
を生成し、
前記第1クラス且つ前記第2カテゴリに分類される前記複数のワークデータの別の一部を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第2カテゴリを代表する第2個別画像を生成し、
前記第1包括画像と、前記第1個別画像と、前記第2個別画像と、を同時に表示させる制御を実行する、
表示制御部を備えた分析システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、
複数のクラスの別の1つである第2クラスに分類され、且つ前記複数のカテゴリに
さらに分類され
る別の複数のワークデータ
を取得し、
前記別の複数のワークデータ
を平均化することで、前記第2クラスを代表する第2包括画像
を生成し、
前記第2クラス且つ前記第1カテゴリに分類される前記別の複数のワークデータの一部
を平均化することで、前記第2クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第3個別画像
を生成し、
前記第1包括画像、前記第1個別画像、及び前記第2個別画像に加えて、前記第2包括画像及び前記第3個別画像をさらに同時に表示させる制御を実行する、
請求項
1記載の分析システム。
【請求項3】
ワークを表すワークIDと、前記ワークの各点における値と、を含むワークデータを複数記憶し、複数の前記ワークデータのそれぞれが複数のカテゴリのいずれかに分類された、データベースを参照し、
複数の前記ワークデータのそれぞれを、複数の前記値を用いて、複数のクラスのいずれかに分類し、
前記複数のクラスの1つ
である第1クラスに分類される前記ワークデータ
を平均化することで、前記第1クラスを代表する第1包括画像
を生成し、
前記
第1クラスに分類され、且つ前記複数のカテゴリの1つ
である第1カテゴリに分類される前記ワークデータ
を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第1個別画像
を生成し、
前記第1クラスに分類され、且つ前記複数のカテゴリの別の1つである第2カテゴリに分類される前記ワークデータを平均化することで、前記第1クラス且つ前記第2カテゴリを代表する第2個別画像を生成し、
前記第1包括画像と、前記第1個別画像と、前記第2個別画像と、を同時に表示させる制御を実行する、
表示制御部を備えた分析システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第1包括画像
、前記第1個別画像
、及び前記第2個別画像を含む表を表示可能であり、
前記表の複数の行の1つ又は複数の列の1つに、前記第1包括画像
、前記第1個別画像
、及び前記第2個別画像が表示される請求項
3記載の分析システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記複数のクラスの別の1つ
である第2クラスに分類される前記ワークデータ
を平均化することで、前記第2クラスを代表する第2包括画像を
生成し、
前記第1包括画像、前記第1個別画像、及び前記第2個別画像に加えて、前記第2包括画像をさらに同時に表示させる制御を実行する、
請求項
3記載の分析システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記複数のワークデータの間で、それぞれの前記ワークデータに含まれる前記複数の値の数が揃うように、前記複数のワークデータを整形し、
整形された前記複数の値を用いて、前記複数のワークデータを前記複数のクラスのいずれかに分類する、
請求項
3~
5のいずれか1つに記載の分析システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、整形された前記複数の値を用いて前記第1包括画像を生成し、整形する前の前記複数の値を用いて前記第1個別画像
及び前記第2個別画像を生成する請求項
6記載の分析システム。
【請求項8】
前記複数のワークデータのそれぞれにおいて、前記複数の値の一部は、前記ワークの第1領域に対応し、前記複数の値の別の一部は、前記ワークの第2領域に対応し、
前記複数の値の前記一部が第1値及び第2値を含み、前記複数の値の前記別の一部が第3値のみを含むとき、前記表示制御部は、前記複数のワークデータのそれぞれにおいて、前記第3値を前記第1値又は前記第2値に置換する請求項
3~
7のいずれか1つに記載の分析システム。
【請求項9】
複数の画像データを記憶し、前記複数の画像データのそれぞれが複数のカテゴリのいずれかに分類された、データベースを参照し、
複数の前記画像データのそれぞれが含む複数の画素座標及び複数の画素値を用いて、前記複数の画像データのそれぞれを複数のクラスのいずれかに分類し、
前記複数のクラスの1つ
である第1クラスに分類される前記画像データ
を平均化することで、前記第1クラスを代表する第1包括画像
を生成し、
前記
第1クラスに分類され、且つ前記複数のカテゴリの1つ
である第1カテゴリに分類される前記画像データ
を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第1個別画像
を生成し、
前記第1クラスに分類され、且つ前記複数のカテゴリの別の1つである第2カテゴリに分類される前記画像データを平均化することで、前記第1クラス且つ前記第2カテゴリを代表する第2個別画像を生成し、
前記第1包括画像と、前記第1個別画像と、前記第2個別画像と、を同時に表示させる制御を実行する、
表示制御部を備えた分析システム。
【請求項10】
分析システムが、
複数のワークに関
する複数のワークデータであって、複数のクラスの1つである第1クラスに分類され、且つ第1カテゴリ及び第2カテゴリを含む複数のカテゴリに
さらに分類される
前記複数のワークデータ
を取得し、
前記複数のワークデータ
を平均化することで、前記第1クラスを代表する第1包括画像
を生成し、
前記第1クラス且つ前記第1カテゴリに分類される前記複数のワークデータの一部
を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第1個別画像
を生成し、
前記第1クラス且つ前記第2カテゴリに分類される前記複数のワークデータの別の一部を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第2カテゴリを代表する第2個別画像を生成し、
前記第1包括画像と、前記第1個別画像と、前記第2個別画像と、を同時に表示する制御を実行する、
分析方法。
【請求項11】
処理装置に対して、
複数のワークに関
する複数のワークデータであって、複数のクラスの1つである第1クラスに分類され、且つ第1カテゴリ及び第2カテゴリを含む複数のカテゴリに
さらに分類される
前記複数のワークデータ
を取得させ、
前記複数のワークデータ
を平均化することで、前記第1クラスを代表する第1包括画像
を生成させ、
前記第1クラス且つ前記第1カテゴリに分類される前記複数のワークデータの一部
を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第1カテゴリを代表する第1個別画像
を生成させ、
前記第1クラス且つ前記第2カテゴリに分類される前記複数のワークデータの別の一部を平均化することで、前記第1クラス且つ前記第2カテゴリを代表する第2個別画像を生成させ、
前記第1包括画像と、前記第1個別画像と、前記第2個別画像と、を同時に表示する制御を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
請求項
11記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを、カテゴリごとに、複数のクラスのいずれかへ分類する分析システムがある。ユーザは、分類された結果を参照することで、ワークの調査に要する時間を短縮できる。この分析システムについて、ユーザの調査に要する時間をさらに短縮するために、ユーザにより有益な情報を提供できる技術の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Nakata, Kouta, et al. "A Comprehensive Big-Data-Based Monitoring System for Yield Enhancement in Semiconductor Manufacturing." IEEE Transactions on Semiconductor Manufacturing 30.4 (2017): 339-344.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、ユーザにより有益な情報を提供できる、分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る分析システムは、表示制御部を含む。前記表示制御部は、複数のワークに関し、複数のカテゴリに分類され、且つ複数のクラスの1つに分類される複数のワークデータから、前記複数のワークデータに基づく第1包括画像と、前記複数のカテゴリの1つに分類される前記複数のワークデータの一部に基づく第1個別画像と、を表示可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る分析システムを例示する模式図である。
【
図2】実施形態に係る分析システムの処理を例示するフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る分析システムの処理を例示する模式図である。
【
図4】実施形態に係る分析システムの処理を例示する模式図である。
【
図5】実施形態に係る分析システムの処理を例示する模式図である。
【
図6】実施形態に係る分析システムの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る分析システムを例示する模式図である。
図2は、実施形態に係る分析システムの処理を例示するフローチャートである。
図1に示すように、実施形態に係る分析システム1は、表示制御部10を含む。
図1に示す例では、分析システム1は、記憶装置20、入力装置30、及び表示装置40をさらに含む。
【0009】
記憶装置20は、データベースを記憶している。データベースは、複数のワークデータを記憶している。各ワークデータは、ワークの番号、ワークのカテゴリ、ワークに関する情報などを含む。
【0010】
表示制御部10は、記憶装置20のデータベースを参照し、複数のワークデータを取得する(ステップS1)。例えば、ユーザは、入力装置30を用いて、取得するワークデータを指定する。表示制御部10は、各ワークデータを、同等に分類できるように整形する(ステップS2)。表示制御部10は、各ワークデータに含まれる情報に基づいて、整形された各ワークデータを複数のクラスのいずれかに分類する(ステップS3)。
【0011】
表示制御部10は、各クラスに分類されたワークデータに基づいて、各クラスを代表する包括画像を生成する(ステップS4)。また、表示制御部10は、各クラスに分類されたワークデータを、カテゴリごとに仕分ける(ステップS5)。表示制御部10は、仕分けられたワークデータを用いて、クラス及びカテゴリの組ごとに、個別画像を生成する(ステップS6)。
【0012】
表示制御部10は、生成した包括画像及び個別画像を、表示装置40に表示させる(ステップS7)。ユーザは、例えば、複数の包括画像及び複数の個別画像を参照しながら、ワークについて分析できる。
【0013】
例えば、1つのクラスに分類されるワークデータに基づく包括画像と、その1つのクラスに分類されるカテゴリごとの個別画像と、を比較することで、カテゴリに拘わらず発生している特定の傾向を容易に見つけ出すことができる。
【0014】
表示制御部10は、処理回路を含む中央演算処理装置を有する。例えば、コンピュータが表示制御部10として機能する。記憶装置20は、例えば、HDD及びフラッシュメモリの少なくともいずれかを含む。記憶装置20は、ネットワーク接続ハードディスク(NAS)を含んでも良い。記憶装置20は、表示制御部10として機能するコンピュータとネットワークを介して接続されても良いし、当該コンピュータ内に設けられても良い。
【0015】
入力装置30は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、及びマイクロフォン(音声入力)の少なくともいずれかを含む。表示装置40は、例えば、モニタ、プロジェクタ、及びプリンタの少なくともいずれかを含む。タッチパネルのように、1つの装置が入力装置30及び表示装置40として機能しても良い。
【0016】
図3~
図5は、実施形態に係る分析システムの処理を例示する模式図である。
図6は、実施形態に係る分析システムの表示例を示す図である。
ここでは、実施形態に係る分析システムを用いて、ウェハのデータを分析する具体例を説明する。
【0017】
例えば、表示制御部10は、取得部11、整形部12、分類処理部13、品種仕分部14、画像生成部15、及び画像表示部16を含む。
【0018】
ウェハは、ワークの一例である。データベースは、複数のウェハデータを記憶している。ウェハデータは、例えば、ウェハID、品種、ロットID、チップ座標、及び検査結果を含む。ウェハIDは、各ウェハを識別するための情報である。品種は、カテゴリの一例である。ロットIDは、ウェハが属するロットを識別するための情報である。検査結果は、ワーク(ウェハ)に関する情報の一例である。
【0019】
ウェハが加工されると、1つのウェハから複数のチップが作製される。チップ座標は、1つのウェハにおいてチップが作製される位置を示している。品種は、チップが適用される製品の種類に応じて設定される。例えば、品種は、チップ又は製品を納める顧客ごと、且つチップに対して要求される仕様ごとに、設定される。
【0020】
例えば、1つの顧客に、互いに異なる仕様の2つのチップが納品されるときには、2つのチップがそれぞれ製造される2つのウェハに、互いに異なる品種が設定される。同じ仕様の2つのチップが、互いに異なる2つの顧客にそれぞれ納品されるときには、2つのチップがそれぞれ製造される2つのウェハに、互いに異なる品種が設定される。
【0021】
例えば、複数の装置を用いてウェハを処理した後、ウェハの複数の点における特性又は外観が検査される。検査される複数の点の1つは、例えば、そのウェハにおいて複数のチップの1つが作製される位置に対応する。各点における検査結果は、値として記憶される。例えば、良い結果のときには、「0」が記憶され、良く無い(不良な)結果のときには、「1」が記憶される。検査結果は、ウェハの各点の位置情報(チップ座標)と対応付けられる。
【0022】
図3(a)及び
図3(b)は、複数の品種の1つに分類されるウェハW1及びW2の検査結果を例示している。
図3(c)は、複数の品種の別の1つに分類されるウェハW3の検査結果を例示している。
図3(a)~
図3(c)において、それぞれのウェハ内の各点には、位置を示す番号が付されている。各点の色は、検査結果を示している。暗く色付けされた点は、その点を検査した結果が不良でことを示している。
【0023】
例えば
図3(d)~
図3(f)に表したように、データベースは、ウェハの検査結果を、ベクトルとして記憶する。
図3(d)~
図3(f)に表したベクトルは、それぞれ
図3(a)~
図3(c)に表した検査結果に基づく。
【0024】
取得部11は、記憶装置20にアクセスし、分析の対象となるデータを取得する。例えば、ユーザは、入力装置30を操作し、表示制御部10へ、分析の対象となるデータを指定する。取得部11は、その指定を受け付けると、データを取得する。又は、取得部11は、特定のタイミングで自動的にデータを取得するようにプログラムされていても良い。取得部11は、データを取得すると、整形部12へ送信する。
【0025】
整形部12は、各ウェハデータのチップ座標及び検査結果の形式を整える。例えば
図3(a)に示すウェハW1において検査された点の数は、
図3(c)に示すウェハW3において検査された点の数と異なる。このため、
図3(d)及び
図3(f)に示すように、ウェハW1の検査結果を示すベクトルの次元数は、ウェハW3の検査結果を示すベクトルの次元数と異なる。例えば、整形部12は、ベクトルの次元数が同じになるように、各ウェハのチップ座標及び検査結果を整形する。これにより、品種に拘わらず、チップ座標及び検査結果に基づいて、各ウェハを複数のクラスのいずれかに分類できるようになる。
【0026】
図4(a)は、
図3(a)に示したウェハW1のチップ座標及び検査結果を示す。
図4(b)は、整形後のウェハW1のチップ座標及び検査結果を示す。
図4(c)は、整形後のウェハW1の検査結果に対応するベクトルを示す。
図4(d)は、
図3(c)に示したウェハW3のチップ座標及び検査結果を示す。
図4(e)は、整形後のウェハW3のチップ座標及び検査結果を示す。
図4(f)は、整形後のウェハW3の検査結果に対応するベクトルを示す。
【0027】
図4(a)~
図4(f)に示すように、整形部12による処理によって、各ウェハのチップ座標及び検査結果が、共通の形式に整えられる。例えば、複数のウェハデータの間で、チップ座標の数及び検査結果の数が整えられる。これにより、各ウェハの検査結果を示すベクトルの次元数が、互いに同じになる。
【0028】
チップ座標及び検査結果の整形には、例えば、アフィン変換が用いられる。アフィン変換による拡大又は縮小によって、チップ座標及び検査結果が整形される。チップ座標の数及び検査結果の数が変化するときには、補完処理が行われる。補完処理としては、線形補間、スプライン補完などを用いることができる。整形部12は、整形したデータを、記憶装置20に記憶する。なお、品種に拘わらず、各ウェハのチップ座標及び検査結果が共通しているときは、整形部12は、チップ座標及び検査結果を整形しなくて良い。
【0029】
分類処理部13は、整形された検査結果に基づき、各ウェハデータを複数のクラスのいずれかに分類する。分類には、クラスタリング手法を用いることができる。分類処理部13は、分類結果を品種仕分部14及び画像生成部15へ送信する。
【0030】
画像生成部15は、分類処理部13による分類結果を受信すると、クラスごとに包括画像を生成する。具体的には、画像生成部15は、複数のクラスの1つに分類された複数の品種のウェハデータについて、各チップ座標における検査結果を平均化する。包括画像の生成では、整形部12により整形された検査結果を平均化する。画像生成部15は、平均化された検査結果に基づいて、複数のクラスの1つに分類された複数の品種のウェハデータを代表する包括画像を生成する。
【0031】
品種仕分部14は、分類処理部13による分類結果を受信すると、複数のウェハデータを品種ごとに仕分ける。品種仕分部14は、仕分けたウェハデータを画像生成部15へ送信する。なお、記憶装置20に記憶されたデータベースにおいて、複数のウェハデータが最初から品種ごとに仕分けられているときには、品種仕分部14による処理は無くても良い。
【0032】
画像生成部15は、分類処理部13による分類結果と品種仕分部14による仕分けの結果を用いて、各クラスに分類されたウェハデータから、品種ごとに個別画像を生成する。具体的には、画像生成部15は、複数のクラスの1つに分類され、且つ複数の品種の1つに分類される1つ以上のウェハデータについて、各チップ座標における検査結果を平均化する。個別画像の生成に、整形された検査結果が用いられても良い。望ましくは、個別画像の生成では、記憶装置20に記憶された、整形されていない検査結果を平均化する。これにより、実際の検査結果に基づく個別画像を生成できる。複数のクラスの1つに分類され、且つ複数の品種の1つに分類されるウェハデータの数が1のときは、平均化は不要である。画像生成部15は、平均化された検査結果に基づいて、複数のクラスの1つに分類され、且つ複数の品種の1つに分類されるウェハデータを代表する個別画像を生成する。
【0033】
画像生成部15は、同様の処理を繰り返し、各クラスについて、品種ごとに個別画像を生成する。すなわち、画像生成部15は、複数のクラスの1つに分類され、他の品種に分類されるウェハデータを代表する個別画像を生成する。画像生成部15は、複数のクラスの1つに分類される複数のウェハデータについて、包括画像及び1つ以上の個別画像を生成すると、複数のクラスの別の1つに分類される複数のウェハデータについて、別の包括画像及び別の1つ以上の個別画像を生成する。
【0034】
なお、ある品種に分類されるウェハデータの数が少ないとき、その品種について、あるクラスに分類されるウェハデータが無いこともある。この場合、そのクラスに分類され、且つその品種に分類されるウェハデータを示す個別画像は、生成されない。
【0035】
図5は、代表する画像の生成処理を例示している。画像IM1~IMnは、複数のウェハのチップ座標及び検査結果をそれぞれ表している。画像IMrは、複数のウェハの検査結果の平均を表している。画像IM1~IMnにおいて、暗い点は、その点における検査結果が不良であったことを示している。画像IMrでは、点の色が暗いほど、その点において、より多くの不良が発生していることを示している。
【0036】
例えば、画像IM1~IMnが、複数のクラスの1つに分類され、複数の品種の1つに分類されるウェハデータに基づくとき、生成された画像IMrは、個別画像である。画像IM1~IMnが、複数のクラスの1つに分類された複数の品種を含むウェハデータに基づくとき、生成された画像IMrは、包括画像である。
【0037】
画像生成部15は、生成した複数の包括画像及び複数の個別画像を、画像表示部16へ送信する。画像表示部16は、受信した各画像を、表示装置40へ表示させる。
【0038】
画像表示部16は、例えば
図6に示すように、表示領域ui1に個別画像を表示させ、表示領域ui2に
包括画像を表示させる。表示領域ui1と表示領域ui2は、互いに隣接している。
図6の例では、個別画像及び包括画像が表(テーブル)で表されている。
【0039】
図6に示す表において、1つの行には、1つのクラスに分類される包括画像及び個別画像が表示されている。表示領域ui
2の列には、クラスごとの包括画像が表示されている。表示領域ui1のそれぞれの列には、1つの品種に分類される個別画像がクラスごとに表示されている。画像が表示されていないセルは、そのクラス及びその品種に分類されるウェハデータが無いことを示している。例えば、
図6の表は、クラス1に分類され、品種A又はCに分類されるウェハデータが存在しないことを示している。
【0040】
例えば、複数のウェハの検査結果を、品種ごとに、複数のクラスに分類する技術がある。この技術によれば、ユーザは、検査結果について調査するときに、複数のウェハの検査結果を全て確認する必要がなくなる。例えば、ユーザは、1つの品種について、複数のクラスの1つに分類された複数のウェハデータの一部のみを確認する。これにより、ユーザは、そのクラスに分類された複数のウェハデータついて、検査結果の傾向を確認できる。複数のウェハの検査結果を全て確認する必要がないため、ユーザの検査結果の調査に要する時間を短縮できる。
【0041】
上述した技術は、品種の数が少ないときに有用である。品種の数が少ないと、品種ごとに複数のウェハデータが複数のクラスに分類されても、全ての分類結果を容易に確認できる。一方で、上述した技術は、品種が多いときには運用が難しい。品種の数が多いときに、品種ごとに複数のウェハデータが複数のクラスに分類されると、全ての分類結果の確認に要する時間が長くなる。
【0042】
また、ウェハの検査結果には、複数の品種において共通した傾向が現れることがある。傾向が共通している品種が分かれば、それらの品種に共通する要素から、検査結果の原因を調べることもできる。例えば、不良が発生する位置の傾向が共通する複数の品種のウェハが、ある特定の装置によって加工されているときには、その装置が原因である可能性が高い。
このような共通性の発見は、品種の数が少ないときには容易である。品種ごとに各クラスに分類されたウェハデータを対比させることで、検査結果の共通性を発見できる。しかし、品種の数が多くなるほど、対比しなければならないデータの数も増大する。このため、対比に要する時間が長くなる。検査結果の共通性を見落とす可能性も増大する。
【0043】
実施形態に係る分析システム1は、
図6に示すように、クラスごとに、包括画像及び個別画像を表示できる。クラスごとの包括画像が表示されることで、品種ごとの検査結果を確認しなくても、各クラスにおける検査結果の傾向を容易に把握できる。
【0044】
また、実施形態に係る分析システム1は、複数の品種のウェハデータを整形し、共通のクラスに分類する。これにより、実施形態に係る分析システム1は、
図6に示すように、複数の品種で共通するクラスごとに、複数の品種の個別画像を表示できる。クラスごとに、各品種の個別画像が表示されることで、複数の品種で共通している検査結果の傾向を容易に発見できる。また、共通性の発見から、ウェハデータの数が少ない品種についても、別の品種の検査結果に基づいて、検査結果に関する調査が可能となる。ウェハデータの数が少ない品種についても、別の品種の検査結果に基づいて、検査結果に関する調査が可能となる。
【0045】
画像表示部16は、例えば
図6に示したように、分析結果を表で表示させることが望ましい。複数の行は、複数のクラス及び複数の品種の一方にそれぞれ対応し、複数の列は、複数のクラス及び複数の品種の他方にそれぞれ対応する。包括画像及び個別画像を含む表が表示されることで、包括画像と個別画像の対比が容易となる。例えば、ユーザは、複数の品種において発生している検査結果の傾向を、容易に把握できる。
【0046】
例えば、表では、複数の行の1つ及び複数の列の1つの一方に、複数のクラスの1つに関する包括画像(第1包括画像)と、複数のクラスの別の1つに関する包括画像(第2包括画像)と、が表示される。複数の行の1つ及び複数の列の1つの他方に、第1包括画像と、複数のクラスの1つ及び複数の品種の1つに関する個別画像(第1個別画像)と、が表示される。
【0047】
ウェハデータについては、1つのウェハにおいて検査された位置には、検査結果を示す複数の値のいずれかが付与され、検査されていない位置には、その複数の値以外の別の値が付与されることがある。例えば、1つのウェハは、チップが作製される有効領域と、有効領域の周りに位置する無効領域と、を含む。有効領域の各位置(各チップ)には、検査結果を示す「0」又は「1」が付与される。無効領域の各位置には、「0」と「1」以外の値が付与される。
【0048】
各ウェハデータを、そのウェハデータのチップ座標及び値を用いて分類するとき、無効領域に付与された値が障害となる可能性がある。例えば、ウェハデータは、
図6に示すように、不良の発生箇所の傾向ごとに分類されることが望ましい。無効領域に特定の値が付与されていると、例えばクラスタリングを行った際、不良の発生箇所の傾向よりも、有効領域と無効領域との境界が特徴として認識される可能性がある。
【0049】
例えば、整形部12は、ウェハデータを整形する際に、無効領域の各位置における値を、検査結果を示す値に置換する。これにより、有効領域と無効領域との境界が特徴として認識され難くなる。クラスタリングを行った際、不良の発生箇所の傾向に応じて、各ウェハデータが、より適切に分類されるようになる。
【0050】
以上では、ウェハの各点のチップ座標及び検査結果を用いてウェハデータを分類する例について説明した。実施形態に係る分析システム1は、その他のワークに関するデータを分類するときにも適用できる。
【0051】
例えば、記憶装置20は、複数の画像データを記憶している。各画像データは、複数のカテゴリのいずれかに分類されている。各画像データは、複数の画素座標及び複数の画素値を含む。複数の画素値は、それぞれ複数の画素座標における値(色)を示している。画像データは、例えば、特定の位置を通過する各ワークを、特定の場所から撮影して生成される。画像データには、ワークの全部又は一部が写っている。画像データには、ワーク以外のもの(背景)が写っていても良い。画像データに背景が含まれるときには、画像データ同士の間で背景の変化が実質的に無いことが望ましい。
【0052】
表示制御部10は、各画像データを、複数の画素座標及び複数の画素値を用いて、複数のクラスのいずれかに分類する。複数の画像データの間で、1つの画像データに含まれる画素座標の数及び画素値の数が異なるときは、それらを揃えるように、画像データを整形しても良い。各画像データをいずれかのクラスに分類した後、表示制御部10は、上述した例と同様に、クラスごとに包括画像及び個別画像を生成する。
【0053】
例えば、ワークの外観に不良があると、不良が発生した箇所の形、色、場所などに応じて、画像データが分類される。例えば、ユーザは、包括画像と個別画像の対比から、複数のカテゴリのワークで生じている外観の不良を容易に発見できる。
【0054】
以上で説明した実施形態によれば、ユーザにより有益な情報を提供できる、分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体を提供できる。
【0055】
上記の種々のデータの処理は、例えば、プログラム(ソフトウェア)に基づいて実行される。例えば、コンピュータが、このプログラムを記憶し、このプログラムを読み出すことにより、上記の種々の情報の処理が行われる。
【0056】
上記の種々の情報の処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、または、他の記録媒体に記録されても良い。
【0057】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0058】
記録媒体からコンピュータ(または組み込みシステム)にインストールされたプログラムに基づいてコンピュータ上で稼働している種々のソフトウェアにおいて、上記の情報の処理の少なくとも一部が実施されても良い。このソフトウェアは、例えば、OS(オペレーティングシステム)などを含む。このソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で動作するミドルウェアなどを含んでも良い。
【0059】
実施形態に係る記録媒体は、上記の種々の情報の処理をコンピュータに実行させることのできるプログラムを記憶している。実施形態に係る記録媒体には、プログラムをLANまたはインターネットなどによりダウンロードして記憶された記録媒体も含まれる。複数の記録媒体に基づいて、上記の処理が行われても良い。
【0060】
実施形態に係るコンピュータは、1つ又は複数の装置(例えばパーソナルコンピュータなど)を含む。1つ又は複数の装置が、表示制御部として機能する。実施形態に係るコンピュータは、ネットワークにより接続された複数の装置を含んでも良い。ネットワークを介して接続された複数の装置が、表示制御部として機能しても良い。
【0061】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示制御部、記憶部、入力装置、表示装置などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0062】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0063】
その他、本発明の実施の形態として上述した分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての分析システム、分析方法、プログラム、及び記憶媒体も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0064】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 分析システム、 10 表示制御部、 11 取得部、 12 整形部、 13 分類処理部、 14 品種仕分部、 15 画像生成部、 16 画像表示部、 20 記憶装置、 30 入力装置、 40 表示装置、 IM1~IMn,IMr 画像、 S1~S7 ステップ、 W1~W3 ウェハ