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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】触媒暖機装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20230508BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20230508BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20230508BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
F01N3/24 F ZAB
F01N3/36 M
F01N3/36 K
F02D43/00 301K
F02D43/00 301G
F02D43/00 301J
B01D53/94 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019051899
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153282
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩野谷 哲史
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-029216(JP,A)
【文献】特開2005-337133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/36
F02D 43/00
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに連通された排気管における、前記エンジンと浄化触媒との間に設けられ、前記浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、
前記エンジンを構成する燃料噴射部を制御して、ポスト噴射を行わせて、前記浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、
前記エンジンの始動前における所定の開始タイミングで前記送風部の駆動を開始する送風制御部と、
を備える触媒暖機装置。
【請求項2】
前記燃料供給部は、前記エンジンを停止する際にポスト噴射を行わせる請求項に記載の触媒暖機装置。
【請求項3】
エンジンに連通された排気管における、前記エンジンと浄化触媒との間に設けられ、前記浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、
前記排気管における前記送風部と前記浄化触媒との間に燃料を供給して、前記浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、
前記エンジンの始動前における所定の開始タイミングで前記送風部の駆動を開始する送風制御部と、
を備える触媒暖機装置。
【請求項4】
エンジンに連通された排気管における、前記エンジンと浄化触媒との間に設けられるファンで構成され、前記浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、
前記浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、
前記エンジンの始動前における所定の開始タイミングで前記送風部の駆動を開始する送風制御部と、
を備え、
前記送風制御部は、前記エンジンを停止する際に、スロットル弁、吸気ポート、および、排気ポートを開弁させ、
前記燃料供給部は、前記開始タイミングにおいて、前記エンジンを構成する燃料噴射部からの燃料の噴射を行う触媒暖機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒暖機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排気された排気ガスには、炭化水素(hydrocarbon:HC)、一酸化炭素(CO)、および、窒素酸化物(NOx)といった規制物質が含まれる。このため、車両の排気管には、HC、CO、および、NOxを浄化する浄化触媒が設けられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-194103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記浄化触媒の活性温度は、常温より高温(例えば、200℃以上)である。このため、エンジンの始動直後は、浄化触媒が活性温度に到達せず、規制物質が車両外に排気されてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、エンジンの始動前に浄化触媒を暖機することが可能な触媒暖機装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の触媒暖機装置は、エンジンに連通された排気管における、エンジンと浄化触媒との間に設けられ、浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、エンジンを構成する燃料噴射部を制御して、ポスト噴射を行わせて、浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、エンジンの始動前における所定の開始タイミングで送風部の駆動を開始する送風制御部と、を備える。
【0008】
また、燃料供給部はエンジンを停止する際にポスト噴射を行わせてもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の他の触媒暖機装置は、エンジンに連通された排気管における、エンジンと浄化触媒との間に設けられ、浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、排気管における送風部と浄化触媒との間に燃料を供給して、浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、エンジンの始動前における所定の開始タイミングで送風部の駆動を開始する送風制御部と、を備える。
上記課題を解決するために、本発明の他の触媒暖機装置は、エンジンに連通された排気管における、エンジンと浄化触媒との間に設けられるファンで構成され、浄化触媒に向けて送風可能な送風部と、浄化触媒に燃料を保持させる燃料供給部と、エンジンの始動前における所定の開始タイミングで送風部の駆動を開始する送風制御部と、を備え、送風制御部は、エンジンを停止する際に、スロットル弁、吸気ポート、および、排気ポートを開弁させ、燃料供給部は、開始タイミングにおいて、エンジンを構成する燃料噴射部からの燃料の噴射を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エンジンの始動前に浄化触媒を暖機することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態にかかるエンジンシステムを説明する図である。
図2】実施形態の触媒暖機方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1の変形例にかかる触媒暖機装置を説明する図である。
図4】第2の変形例にかかる触媒暖機装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
[エンジンシステム100]
図1は、本実施形態にかかるエンジンシステム100を説明する図である。なお、図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0014】
図1に示すように、車両に搭載されるエンジンシステム100には、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータでなるECU(Engine Control Unit)10が設けられる。ECU10によりエンジンE全体が統括制御される。ただし、以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。
【0015】
エンジンシステム100を構成するエンジンEは、シリンダブロック102と、クランクケース104と、シリンダヘッド106と、オイルパン110とを含む。クランクケース104は、シリンダブロック102と一体形成されている。シリンダヘッド106は、シリンダブロック102におけるクランクケース104とは反対側に接合される。オイルパン110は、クランクケース104におけるシリンダブロック102とは反対側に接合される。
【0016】
シリンダブロック102には、複数のシリンダボア112が形成されている。複数のシリンダボア112において、それぞれピストン114が摺動可能にコネクティングロッド116に支持されている。そして、エンジンEでは、シリンダボア112と、シリンダヘッド106と、ピストン114の冠面とによって囲まれた空間が燃焼室118として形成される。
【0017】
また、エンジンEでは、クランクケース104およびオイルパン110に囲まれた空間がクランク室120として形成される。クランク室120内には、クランクシャフト122が回転可能に支持されており、ピストン114がコネクティングロッド116を介してクランクシャフト122に連結される。
【0018】
シリンダヘッド106には、吸気ポート124および排気ポート126が燃焼室118に連通するように設けられる。吸気ポート124と燃焼室118との間には、吸気弁128の先端(傘部)が位置し、排気ポート126と燃焼室118との間には、排気弁130の先端(傘部)が位置している。
【0019】
また、シリンダヘッド106および不図示のヘッドカバーに囲まれた空間には、吸気用カム134a、ロッカーアーム134b、排気用カム136a、および、ロッカーアーム136bが設けられる。吸気弁128には、ロッカーアーム134bを介して、吸気用カムシャフトに固定された吸気用カム134aが当接されている。吸気弁128は、吸気用カムシャフトの回転に伴って、軸方向に移動し、吸気ポート124と燃焼室118との間を開閉する。排気弁130には、ロッカーアーム136bを介して、排気用カムシャフトに固定された排気用カム136aが当接されている。排気弁130は、排気用カムシャフトの回転に伴って、軸方向に移動し、排気ポート126と燃焼室118との間を開閉する。
【0020】
吸気ポート124の上流側には、吸気マニホールドを含む吸気管140が連通される。吸気管140内には、スロットル弁142、および、スロットル弁142より上流側にエアクリーナ144が設けられる。スロットル弁142は、アクセル(図示せず)の開度に応じてアクチュエータにより開閉駆動される。エアクリーナ144にて浄化された空気は、吸気管140、吸気ポート124を通じて燃焼室118に吸入される。
【0021】
シリンダヘッド106には、燃料噴射口が燃焼室118に開口するようにインジェクタ150(燃料噴射部)が設けられるとともに、先端が燃焼室118内に位置するように点火プラグ152が設けられる。インジェクタ150から燃焼室118に噴射された燃料は、吸気ポート124から燃焼室118に供給された空気と混ざり混合気となる。そして、所定のタイミングで点火プラグ152が点火され、燃焼室118内で生成された混合気が燃焼される。かかる燃焼により、ピストン114が往復運動を行い、その往復運動が、コネクティングロッド116を通じてクランクシャフト122の回転運動に変換される。
【0022】
排気ポート126の下流側には、排気マニホールドを含む排気管160が連通される。排気管160内には、浄化触媒162が設けられる。浄化触媒162は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst)である。三元触媒は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒成分を含む。浄化触媒162は、排気ポート126から排出された排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)(以下、炭化水素、一酸化炭素、および、窒素酸化物を纏めて規制物質という場合がある)を浄化(除去)する。浄化触媒162によって浄化された排気ガスは、マフラ164を通じて外部に排気される。
【0023】
また、エンジンシステム100には、吸入空気量センサ180、スロットル開度センサ182、クランク角センサ184、アクセル開度センサ186が設けられる。
【0024】
吸入空気量センサ180は、エンジンEに流入する吸入空気量を検出する。スロットル開度センサ182は、スロットル弁142の開度を検出する。クランク角センサ184は、クランクシャフト122のクランク角を検出する。アクセル開度センサ186は、アクセル(図示せず)の開度を検出する。
【0025】
吸入空気量センサ180、スロットル開度センサ182、クランク角センサ184、および、アクセル開度センサ186は、ECU10に接続されており、検出値を示す信号をECU10に出力する。
【0026】
ECU10は、吸入空気量センサ180、スロットル開度センサ182、クランク角センサ184、および、アクセル開度センサ186から出力された信号を取得してエンジンEを制御する。ECU10は、エンジンEを制御する際、信号取得部12、駆動制御部14として機能する。
【0027】
信号取得部12は、吸入空気量センサ180、スロットル開度センサ182、クランク角センサ184、および、アクセル開度センサ186が検出した値を示す信号を取得する。また、信号取得部12は、クランク角センサ184から取得したクランク角を示す信号に基づいてエンジンEの回転数(クランクシャフトの回転数)を導出する。また、信号取得部12は、吸入空気量センサ180から取得した吸入空気量を示す信号に基づいてエンジンEの負荷(エンジン負荷)を導出する。かかる吸入空気量からエンジン負荷を求める技術は、既存の様々な技術を利用可能なので、ここではその説明を省略する。
【0028】
駆動制御部14は、信号取得部12が取得した信号に基づいて、スロットル弁用アクチュエータ(図示せず)、インジェクタ150、点火プラグ152を制御する。
【0029】
このように、エンジンEが駆動されており、排気ガスの温度が浄化触媒162の活性温度以上である場合、浄化触媒162によって排気ガス中の規制物質が除去される。しかし、エンジンEの始動直後において、排気ガスの温度は活性温度未満である。このため、浄化触媒162が活性温度に到達しない期間が生じ、この期間において、浄化触媒162による規制物質の除去効率が低下してしまう。
【0030】
そこで、本実施形態のエンジンシステム100は、エンジンEの始動前に浄化触媒162を暖機する触媒暖機装置200を備える。以下、触媒暖機装置200について説明する。
【0031】
[触媒暖機装置200]
図1に示すように、触媒暖機装置200は、送風部210と、燃料供給部220と、送風制御部230とを含む。
【0032】
送風部210は、排気管160におけるエンジンE(排気ポート126)と、浄化触媒162との間に設けられ、浄化触媒162に向けて送風可能である。送風部210は、例えば、ファンで構成される。
【0033】
本実施形態において、ECU10は、触媒暖機装置200の燃料供給部220、および、送風制御部230として機能する。
【0034】
燃料供給部220は、エンジンEを停止する際(エンジンEを停止する直前)の1回の燃焼サイクル中において、インジェクタ150を制御して、メイン噴射およびポスト噴射を実行させる。メイン噴射は、ピストン114が上死点に位置する直前に実行される燃料の噴射であり、エンジンEの出力に主に寄与する。ポスト噴射は、メイン噴射の実行後、例えば、排気弁130の開弁時またはその直前に実行される燃料の噴射である。ポスト噴射によって噴射された燃料は、未燃(または不完全燃焼)のままエンジンEから排気ガスとともに排気管160へと排出され、浄化触媒162に保持される。
【0035】
送風制御部230は、エンジンEを停止する際に、吸気用カムシャフトおよび排気用カムシャフトを回転させ、吸気弁128および排気弁130を移動させて、吸気ポート124および排気ポート126を開弁させる。また、送風制御部230は、エンジンEを停止する際に、アクチュエータを駆動して、スロットル弁142を開弁させる。
【0036】
そして、送風制御部230は、エンジンEの始動前における所定の開始タイミングで送風部210の駆動を開始する。開始タイミングは、例えば、車両の運転席のドアの開錠を検知したタイミング、車両の運転席の重量センサが所定の重量(人が運転席に乗ったことを示す重量)を検知したタイミング、車両に設置されたカメラが運転席で人を検知したタイミング、車両から所定の範囲内においてスマートキーを検知したタイミング等である。また、ECU10が、エンジンEの始動時間を毎日学習して、エンジンEの始動時間の推定時間を導出しておき、推定時間の所定時間(例えば、10分)前を開始タイミングとしてもよい。
【0037】
また、送風制御部230は、送風部210の駆動を開始してから、所定の終了タイミングで送風部210を停止する。終了タイミングは、例えば、エンジンEが始動したタイミング(例えば、不図示のスタータが通電されたタイミング)、車両の運転席のドアの施錠を検知したタイミング、送風部210の駆動を開始してから所定時間が経過したタイミング等である。
【0038】
[触媒暖機方法]
続いて、触媒暖機装置200を用いた触媒暖機方法について説明する。図2は、本実施形態の触媒暖機方法の処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すように、触媒暖機方法は、燃料保持処理S110、開始判定処理S120、送風開始処理S130、計時開始処理S140、時間経過判定処理S150、終了判定処理S160、送風停止処理S170を含む。以下、各処理について説明する。
【0039】
[燃料保持処理S110]
燃料供給部220は、エンジンEを停止する際の1回の燃焼サイクル中において、インジェクタ150を制御して、少なくともポスト噴射を実行させる。ポスト噴射によって噴射された燃料は、未燃のままエンジンEから排気ガスとともに排気管160へと排出され、浄化触媒162に保持される。
【0040】
また、送風制御部230は、エンジンEを停止する際に、スロットル弁142、吸気ポート124、および、排気ポート126を開弁させる。
【0041】
[開始判定処理S120]
送風制御部230は、エンジンEの始動前であって、上記開始タイミングであるか否かを判定する。その結果、送風制御部230は、開始タイミングであると判定した場合(S120におけるYES)、送風開始処理S130に移る。一方、送風制御部230は、開始タイミングではないと判定した場合(開始判定処理S120におけるNO)、当該触媒暖機方法を終了する。
【0042】
[送風開始処理S130]
送風制御部230は、送風部210の駆動を開始する。これにより、空気が吸気管140、吸気ポート124、燃焼室118、排気ポート126、排気管160を通じて浄化触媒162に導かれる。
【0043】
[計時開始処理S140]
送風制御部230は、計時を開始する。
【0044】
[時間経過判定処理S150]
送風制御部230は、計時開始処理S140において計時を開始してから、所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判定する。その結果、送風制御部230は、所定時間を経過したと判定した場合(S150におけるYES)、送風停止処理S170に移る。一方、送風制御部230は、所定時間を経過していないと判定した場合(時間経過判定処理S150におけるNO)、終了判定処理S160に移る。
【0045】
[終了判定処理S160]
送風制御部230は、終了タイミングであるか否かを判定する。その結果、送風制御部230は、終了タイミングであると判定した場合(S160におけるYES)、送風停止処理S170に移る。一方、送風制御部230は、終了タイミングではないと判定した場合(S160におけるNO)、時間経過判定処理S150に戻る。
【0046】
[送風停止処理S170]
送風制御部230は、送風部210を停止する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の触媒暖機装置200は、エンジンEを停止する際に浄化触媒162に燃料を保持させておき、エンジンEの始動前の所定の開始タイミングにおいて浄化触媒162に空気を送風する。これにより、触媒暖機装置200は、エンジンEの始動前において、浄化触媒162上で燃料と酸素(空気)との酸化反応(発熱反応)を進行させることが可能となる。したがって、触媒暖機装置200は、エンジンEの始動前に、酸化反応によって生じた熱によって、浄化触媒162を加熱(暖機)することができる。このため、触媒暖機装置200は、エンジンEの始動直後に、浄化触媒162を活性温度以上にする、もしくは、浄化触媒162が活性温度まで到達する時間を短縮することが可能となる。したがって、触媒暖機装置200は、エンジンEの始動後における、規制物質の車両外への排気を抑制することができる。
【0048】
[第1の変形例]
図3は、第1の変形例にかかる触媒暖機装置300を説明する図である。図3に示すように、触媒暖機装置300は、送風部210と、送風制御部230と、燃料供給部310とを含む。上記触媒暖機装置200と等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
燃料供給部310は、排気管160における送風部210と浄化触媒162との間に燃料を供給する。燃料供給部310は、例えば、エンジンEを停止する際、開始タイミング、送風部210の駆動後等に、燃料を供給する。これにより、燃料供給部310は、浄化触媒162に燃料を保持させることができる。
【0050】
以上説明したように、触媒暖機装置300は、エンジンEの始動前に、酸化反応によって生じた熱によって、浄化触媒162を暖機することが可能となる。
【0051】
[第2の変形例]
図4は、第2の変形例にかかる触媒暖機装置400を説明する図である。図4に示すように、触媒暖機装置400は、送風部210と、燃料供給部220と、分岐管410と、開閉弁412と、送風制御部430とを含む。上記触媒暖機装置200と等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
分岐管410は、排気管160における排気ポート126と送風部210との間から分岐された管であり、端部が大気開放されている。開閉弁412は、分岐管410に設けられる。
【0053】
第2の変形例において、送風制御部430は、エンジンEを停止する際、または、開始タイミングである際に、開閉弁412を開弁する。また、送風制御部430は、終了タイミングである際に、開閉弁412を閉弁する。
【0054】
なお、送風制御部430は、エンジンEを停止する際に、スロットル弁142、吸気ポート124、および、排気ポート126を開かずともよい。
【0055】
以上説明したように、触媒暖機装置400は、エンジンEの始動前に空気(酸素)を浄化触媒162に供給することができる。
【0056】
[第3の変形例]
上記実施形態において、燃料供給部220が、インジェクタ150を制御して、エンジンEを停止する際にポスト噴射を行わせる場合を例に挙げた。しかし、燃料供給部220は、開始タイミングにおいて、インジェクタ150を制御して燃料を噴射させてもよい。この場合、送風制御部230によって送風部210の駆動が開始された後に、燃料供給部220は、インジェクタ150に燃料を噴射させるとよい。これにより、インジェクタ150によって噴射された燃料を効率よく浄化触媒162に保持させることが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0058】
なお、上記実施形態および変形例において、浄化触媒162が三元触媒である場合を例に挙げた。しかし、浄化触媒162は、三元触媒よりも酸化触媒の含有量が多くてもよい。これにより、エンジンEの始動前において、浄化触媒162における酸化反応の進行を促進させることができ、浄化触媒162の暖機効率を向上させることが可能となる。
【0059】
また、上記実施形態および変形例において、エンジンEとしてガソリンエンジンを例に挙げて説明した。エンジンEは、ディーゼルエンジンであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、触媒暖機装置に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
200、300、400 触媒暖機装置
210 送風部
220、310 燃料供給部
230、430 送風制御部
図1
図2
図3
図4