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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】流入部ユニットおよび沈殿槽
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/24 20060101AFI20230508BHJP
   B01D 21/06 20060101ALI20230508BHJP
   B01D 21/08 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B01D21/24 D
B01D21/06 A
B01D21/08 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019088173
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020182906
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小城 和高
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀昭
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-158972(JP,U)
【文献】実公昭48-038947(JP,Y1)
【文献】特開2002-336603(JP,A)
【文献】特開昭55-097212(JP,A)
【文献】米国特許第04270676(US,A)
【文献】米国特許第06276537(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0278578(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0020847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0187191(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00 - 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽の掻寄板を回転させる回転シャフトの周囲に配置される流入管と、
前記流入管の上方に配置され、前記流入管の内側に流入する被処理水を収容可能な収容部と、
前記収容部への被処理水の供給口を形成する被処理水供給部と、を有し、
前記収容部は、前記流入管の径方向における前記収容部の内側に、前記流入管の周方向に沿って配置される内周壁を有し、
前記内周壁は、前記内周壁の上端から前記収容部の底壁まで形成される内周壁開口を有
前記内周壁は、前記供給口と前記流入管との間に、前記供給口に対向して配置される供給口内周壁を含む、
流入部ユニット。
【請求項2】
前記内周壁開口は、前記流入管の周方向において複数の位置に形成される、
請求項1に記載の流入部ユニット。
【請求項3】
記供給口内周壁は、前記周方向における幅が、他の前記内周壁より大きい、
請求項1又は2に記載の流入部ユニット。
【請求項4】
前記内周壁開口は、前記供給口内周壁の前記周方向の両側に配置される供給口内周壁開口を含み、
前記供給口内周壁開口は、前記周方向における幅が、他の前記内周壁開口より小さい、
請求項に記載の流入部ユニット。
【請求項5】
前記内周壁は、前記内周壁開口の位置および形状のうち少なくとも一つを、前記流入管の周方向に変更可能である、
請求項1からのいずれか1項に記載の流入部ユニット。
【請求項6】
前記内周壁は、前記径方向に並んで配置され、相互に独立して前記流入管の周方向に移動可能な第1内周壁および第2内周壁を有し、
前記内周壁開口は、前記第1内周壁に形成される第1内周壁開口および前記第2内周壁に形成される第2内周壁開口により形成される、
請求項に記載の流入部ユニット。
【請求項7】
前記収容部は、前記径方向の外側に外周壁を有し、
前記収容部は、前記径方向において前記外周壁と前記内周壁との間に中間壁を有し、
前記中間壁は、少なくとも一部が前記沈殿槽の溢流堰の上端より下方に配置される中間壁開口を有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の流入部ユニット。
【請求項8】
前記中間壁は、前記中間壁開口の位置および形状のうち少なくとも一つを、前記流入管の周方向に変更可能である、
請求項に記載の流入部ユニット。
【請求項9】
前記内周壁は、前記径方向において前記流入管より内側に配置される、
請求項1からのいずれか1項に記載の流入部ユニット。
【請求項10】
前記収容部の底壁は、前記流入管の内側に開口する底壁開口を有する、
請求項に記載の流入部ユニット。
【請求項11】
前記底壁は、前記底壁開口の位置および形状のうち少なくとも一つを、前記流入管の周方向に変更可能である、
請求項1に記載の流入部ユニット。
【請求項12】
槽体と、
請求項1から1のいずれか1項に記載の流入部ユニットと、を有する、
沈殿槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、流入部ユニットおよび沈殿槽に関する。
【背景技術】
【0002】
工業廃水などに含まれる浮遊物質等を沈降分離させる沈殿槽が知られている。沈殿槽には、沈降分離性能の低下を抑制することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-94221号公報
【文献】特開平9-234465号公報
【文献】特開2017-87196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、沈降分離性能の低下を抑制することができる流入部ユニットおよび沈殿槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の流入部ユニットは、流入管と、収容部と、被処理水供給部と、を持つ。流入管は、沈殿槽の掻寄板を回転させる回転シャフトの周囲に配置される。収容部は、前記流入管の上方に配置され、前記流入管の内側に流入する被処理水を収容可能である。被処理水供給部は、前記収容部への被処理水の供給口を形成する。前記収容部は、前記流入管の径方向における前記収容部の内側に、前記流入管の周方向に沿って配置される内周壁を有する。前記内周壁は、前記内周壁の上端から前記収容部の底壁まで形成される内周壁開口を有する。前記内周壁は、前記供給口と前記流入管との間に、前記供給口に対向して配置される供給口内周壁を含む。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の沈殿槽の側面断面図。
図2】第1の実施形態の流入部ユニットの平面断面図。
図3図2のIII矢視図。
図4図2のIV矢視図。
図5図2のV矢視図。
図6図2のVI-VI線における側面断面図。
図7図6のVII矢視図。
図8】第1の実施形態の第1変形例の流入部ユニットの説明図。
図9】第1の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの説明図。
図10】第2の実施形態の流入部ユニットの平面断面図。
図11図10のXI-XI線における側面断面図。
図12】第3の実施形態の沈殿槽の側面断面図。
図13図12のXIII部の拡大図。
図14】第3の実施形態の流入部ユニットの平面断面図。
図15】第3の実施形態の第1変形例の沈殿槽の側面断面図。
図16】第3の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの平面断面図。
図17】第3の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの動作説明図。
図18】第3の実施形態の第3変形例の流入部ユニットの平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の流入部ユニットおよび沈殿槽を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
図1は、本実施形態の沈殿槽1の全体構成を示す側面断面図である。
本願において、極座標系のZ方向、R方向およびθ方向が以下のように定義される。Z方向は、流入管19および分配部18の軸方向である。例えば、Z方向は鉛直方向であり、+Z方向(第1方向)は上方向である。R方向は流入管19および分配部18の径方向であり、+R方向は中心軸から離れる方向(外側の方向)である。θ方向は流入管19および分配部18の周方向であり、+θ方向は回転シャフト41の回転方向である。例えば、R方向およびθ方向は水平方向である。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。
本実施形態の沈殿槽1は、例えば、工業廃水などの被処理水に含まれる微小のSS(懸濁物質または浮遊物質)を被処理水から分離させる沈殿槽であり、例えば沈降分離法が用いられる沈殿槽である。
【0010】
まず、沈殿槽1の全体構成について、図1を用いて説明する。
図1に示されるように、沈殿槽1は、槽体11、流入部ユニット12、溢流堰13、被処理水排出部14、掻寄ユニット15、および汚泥引抜管16を有する。なお各図では、被処理水の流れを矢印で模式的に示す。
【0011】
槽体11は、円筒状または多角筒状などの有底の筒状に形成された容器である。槽体11は、例えば、底壁31と、底壁31の周縁部から上方に向けて起立した周壁32と、を含む。槽体11は、筒状の周壁32の上端部に上部開口部33を有する。槽体11は、内部に被処理水を貯留するとともに、フロックを沈殿させる。なお「フロック」とは、凝集作用などによって生成された塊状物を意味し、例えば浮遊物質を含む被処理水中に凝集剤などが添加されることで生じる綿くず状の塊状物を意味する。槽体11は、例えば槽体11の中心軸11cを鉛直方向と略一致させて設置されている。また、槽体11の底壁31の中央部には、沈殿物を槽体11の外部に排出する排出口31aが設けられている。排出口31aには、汚泥引抜管16が接続されている。
【0012】
沈殿槽1の上流側には、被処理水を前処理するための凝集槽(図示略)が配置されている。凝集槽において、凝集剤が被処理水に投入される。これにより、被処理水中の特定の成分が凝集して、フロックが生成される。すなわち、被処理水はフロックを含んだ状態で沈殿槽1内に流入する。
【0013】
流入部ユニット12は、例えば被処理水供給部17と、分配部(収容部)18と、流入管19と、を有する。流入部ユニット12は、槽体11の内側(すなわち、沈殿槽1の内側)に配置される。流入部ユニット12は、凝集槽から被処理水供給部17を通じて供給された被処理水を、分配部18および流入管19を介して槽体11内に流入させる。
【0014】
被処理水供給部17は、例えば槽体11の外側から槽体11の内側に延びた供給配管または流入トラフなどである。本願で言う「トラフ」とは、溝を形成する構造体を意味する。被処理水供給部17は、被処理水を連続的に槽体11の内側に供給する。被処理水供給部17は、後述の分配部18に接続されて、分配部18への被処理水の供給口17aを形成している。供給口17aは、分配部18の外周壁18aの内側面上に、分配部18の中心軸18cを向いて形成される。被処理水は、供給口17aから分配部18の中心軸18cに向かって流入する。
【0015】
分配部18は、「分散トラフ」または「流入プール」とも称される。分配部18は、径方向の内側に円筒形の内周壁20を有する。分配部18は、径方向の外側に円筒形の外周壁18aを有する。分配部18は、軸方向の下側に円環状の底壁18bを有する。分配部18は、内周壁20、外周壁18aおよび底壁18bによって円筒形に形成された所定の容積を有するトラフである。なお、分配部18は、円筒形とは異なった形状、例えば多角筒形とすることも可能である。分配部18は、槽体11の内側に配置される。分配部18の中心軸18cは、槽体11の中心軸11cと略一致している。分配部18の大きさは、被処理水の必要処理量や槽体11の大きさに応じて、適宜設定可能である。
【0016】
流入管19は、「センターウェル」または「フィードウェル」とも称され、例えば円筒状または多角筒状などの筒状に形成されている。流入管19は、分配部18の下方に配置される。すなわち分配部18は、流入管19の上方に配置される。流入管19は、径方向において分配部18の内周壁20と略同じ位置に配置される。すなわち、分配部18の大部分は、流入管19の径方向の外側に配置される。分配部18は、流入管19に流入する被処理水を収容可能である。図1に示されるように、流入管19の中心軸19cは、分配部18の中心軸18cおよび槽体11の中心軸11cと略一致している。流入管19の大きさは、被処理水の必要処理量や槽体11の大きさに応じて、適宜設定可能である。
【0017】
流入管19の下端19aは、槽体11の底壁31から離れている。すなわち、流入管19の下端19aと槽体11の底壁31との間には、被処理水が水平方向に分散して流れる流路が形成されている。また、流入管19の下端19aは、流入管19の内部を槽体11内に連通させる開口部(流入口)19bを有する。被処理水供給部17から分配部18を介して流入管19内に供給された被処理水は、流入管19内を下方に向けて流れ、流入管19の下端19aの開口部19bから槽体11内に供給される。流入管19から槽体11内に供給された被処理水は、槽体11の周壁32の内壁面と流入管19の外周面との間をゆっくりと上昇する。例えばこの過程で、フロックの一部が被処理水から分離して沈殿する。
【0018】
溢流堰13は、槽体11の上部に設けられている。溢流堰13は、この溢流堰13の上端13tから溢れた被処理水を収容できるように、槽体11内に溝状に設けられている。例えば、溢流堰13は、槽体11の周壁32の内壁面32aに沿って設けられている。溢流堰13は、フロックの分離除去が行われて清浄化された被処理水を被処理水排出部14に流出させる。
沈殿槽1の内部における被処理水の水位WLは、溢流堰13の上端13tに一致する。分配部18の内周壁20および外周壁18aの上端は、溢流堰13の上端13tより上方に配置される。分配部18の底壁18bは、溢流堰13の上端13tより下方に配置される。
【0019】
被処理水排出部14は、例えば溢流堰13の内部に連通するとともに槽体11の外側に伸びた流出トラフ(または排出配管など)である。被処理水排出部14は、溢流堰13の上端13tから溢れた被処理水を槽体11の外部に流出させる。槽体11の外部に流出した被処理水は、例えばさらに別の処理が行われて、ユースポイントに送出される。
【0020】
掻寄ユニット15は、回転シャフト41と、駆動モータ42と、支持部材43と、複数の掻寄板44と、を有する。回転シャフト41は、槽体11の中心部(流入管19の中心部)に配置されている。回転シャフト41は、流入管19の中心軸19cの軸方向において、流入管19を貫通している。すなわち流入管19は、回転シャフト41の周囲に配置される。なお「流入管の中心軸の軸方向」とは、流入管19の中心軸19cと略平行な方向である。駆動モータ42は、直接または伝達機構などを介して回転シャフト41に接続され、回転シャフト41を回転させる。支持部材43は、回転シャフト41の下端に連結されて径方向に伸びている。複数の掻寄板44は、支持部材43に取り付けられている。
すなわち、回転シャフト41は沈殿槽1の掻寄板44を回転させる。複数の掻寄板44は、支持部材43から槽体11の底壁31に向けて設けられている。このような構成の掻寄ユニット15によれば、駆動モータ42によって回転シャフト41が回転されることで、支持部材43および複数の掻寄板44が回転する。これにより、槽体11の底壁31に沈殿した沈殿物が底壁31の中央部に向けて掻寄せられる。掻寄せられた沈殿物は、底壁31の中央部に設けられた排出口31aおよび汚泥引抜管16を通じて槽体11の外部に排出される。
【0021】
分配部18の内周壁20について詳しく説明する。
図2は、第1の実施形態の流入部ユニットの平面断面図である。図2は、図1のII-II線における断面図である。図2に示されるように、分配部18の内周壁20は、スリット(内周壁開口)60を有する。スリット60は、内周壁20をR方向に貫通する。
【0022】
図5は、図2のV矢視図である。スリット60のθ方向の幅(角度)は、Z方向に沿って一定に形成される。スリット60のθ方向の幅(角度)は、Z方向に沿って変化してもよい。スリット60の少なくとも一部(下端部)は、溢流堰13の上端13tより下方に配置される。前述されたように、沈殿槽1における被処理水の水位WLは、溢流堰13の上端13tに一致する。スリット60の下端部は、沈殿槽1における被処理水の水位WLより下方に配置される。分配部18に流入した被処理水は、スリット60を通って沈殿槽1に流出する。分配部18における被処理水の水位WLは、沈殿槽1における被処理水の水位WLと同等になる。スリット60は、Z方向において内周壁20の上端から分配部18の底壁18bまで形成される。後述されるように、スリット60は、Z方向において内周壁20の一部のみに形成されてもよい。
【0023】
前述されたように、沈殿槽1の上流側の凝集槽でフロックが生成される。被処理水は、フロックを含んだ状態で沈殿槽1に流入する。本実施形態とは異なる沈殿槽では、被処理水が内周壁20の上端部を乗り越えて流入管19に流入する。この場合、一部の重いフロックは、流入管19の上端部を乗り越えることができずに、分配部18に滞留する。滞留するフロックは、分配部18の底壁18bに堆積する。フロックが不均一に堆積すると、分配部18における被処理水の流れが不均一になる。そのため、θ方向において被処理水を均等に流入管19に流入させることが困難になる。被処理水の流入管19への流入が不均一になると、沈殿槽1の内部において局所的な被処理水の高速流が発生する。これにより、沈殿槽1の内部における被処理水の実質的滞留時間が減少する。その結果、沈殿槽1の沈降分離性能が低下する可能性がある。
【0024】
本実施形態では、分配部18の内周壁20がスリット60を有する。分配部18に流入した被処理水は、スリット60を通って少しずつ沈殿槽1に流出する。スリット60は、内周壁20の上端から分配部18の底壁18bまで形成される。被処理水に含まれる重いフロックは、被処理水の流れに押されてスリット60から排出される。フロックの堆積が抑制されるので、分配部18における被処理水の流れが均一になる。これに伴って、沈殿槽1の内部における被処理水の流れも均一になる。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0025】
図2に示されるように、スリット60は、θ方向において複数の位置に形成される。スリット60は、通常スリット62と、供給口スリット61と、合流部スリット63と、を含む。
内周壁20は、スリット60によりθ方向に分断される。内周壁20は、通常内周壁22と、供給口内周壁21と、合流部内周壁23と、を含む。
【0026】
供給口内周壁21は、被処理水の供給口17aに対向して、供給口17aの-R方向に配置される。供給口内周壁21のθ方向の幅は、通常内周壁22より大きい。
供給口17aから分配部18に流入した被処理水は、-R方向に流れて供給口内周壁21に衝突する。供給口内周壁21は、被処理水が供給口17aから流入管19へ直接流入するのを抑制する。供給口内周壁21は、被処理水をθ方向の両側に分流させる。+θ方向および-θ方向の二手に分かれて分配部18を流通した被処理水は、θ方向において供給口17aの反対側の合流部51cで合流する。
【0027】
合流部内周壁23は、合流部51cの-R方向に配置される。例えば、合流部内周壁23のθ方向の幅は、通常内周壁22と同等である。合流部内周壁23のθ方向の幅は、通常内周壁22より大きくてもよい。
通常内周壁22は、θ方向において供給口内周壁21と合流部内周壁23との間に配置される。複数の通常内周壁22が、θ方向に沿って等角度間隔で並んで配置される。
【0028】
図3は、図2のIII矢視図である。
供給口スリット61は、供給口内周壁21のθ方向の両側に形成される。供給口スリット61のθ方向の幅は、通常スリット62より小さい。
図4は、図2のIV矢視図である。
合流部スリット63は、合流部内周壁23のθ方向の両側に形成される。合流部スリット63のθ方向の幅は、通常スリット62より小さい。
図5は、図2のV矢視図である。
通常スリット62は、θ方向において供給口スリット61と合流部スリット63との間に形成される。複数の通常スリット62が、θ方向に沿って等角度間隔で並んで形成される。例えば、通常スリット62のθ方向の幅は、通常内周壁22と同等である。
【0029】
前述されたように、被処理水は、図2に示される供給口17aから分配部18に流入する。被処理水は、スリット60を通って分配部18から流出する。
供給口スリット61は供給口17aの近くに配置され、通常スリット62は供給口17aから離れて配置される。前述されたように、供給口スリット61のθ方向の幅は、通常スリット62より小さい。そのため、供給口スリット61からの被処理水の流出量は、通常スリット62からの流出量と同等になる。
【0030】
前述されたように、+θ方向および-θ方向の二手に分かれて分配部18を流通した被処理水は、合流部51cで合流する。
合流部スリット63は合流部51cの近くに配置され、通常スリット62は合流部51cから離れて配置される。前述されたように、合流部スリット63のθ方向の幅は、通常スリット62より小さい。そのため、合流部スリット63からの被処理水の流出量は、通常スリット62からの流出量と同等になる。
【0031】
このように、被処理水は、θ方向において均等に分配部18から流出し、流入管19に流入する。これにより、被処理水は、沈殿槽1の内部において、局所的に高速で流通することなく、均等に低速で流通する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0032】
前述されたように、供給口17aから流入した被処理水は、供給口内周壁21によりθ方向の両側に分流される。これに対して、供給口17aと内周壁20との間に、被処理水をθ方向の両側に分流する分流板(バッフル板)が配置されてもよい。分流板により、被処理水は、θ方向に略均等に分配される。この場合に、内周壁20は、θ方向に沿って等角度間隔で配置される複数の通常内周壁22のみを有してもよい。また、スリット60は、θ方向に沿って等角度間隔で配置される通常スリット62のみを有してもよい。
【0033】
内周壁20は、スリット60の位置および形状を変更可能である。
図6は、図2のVI-VI線における側面断面図である。内周壁20は、第1内周壁26と、第2内周壁27と、を有する。第1内周壁26および第2内周壁27は、塩化ビニル等の樹脂材料や、アルミニウム等の金属材料などにより形成される。第1内周壁26および第2内周壁27は、R方向に並んで配置される。第1内周壁26は+R方向に配置され、第2内周壁27は-R方向に配置される。
【0034】
分配部18の底壁18bの-R方向の端部に、溝部18gが形成される。溝部18gは、θ方向の全周にわたって形成される。溝部18gは、第1内周壁26および第2内周壁27の下端部を収容して、第1内周壁26および第2内周壁27を支持する。
【0035】
図7は、図6のVII矢視図である。第1内周壁26は、第1スリット(第1内周壁開口)66を有する。第2内周壁27は、第2スリット(第2内周壁開口)67を有する。第1スリット66および第2スリット67は、θ方向において同等の大きさ(角度)に形成される。スリット60は、第1スリット66および第2スリット67がR方向に重なって形成される。
【0036】
第1内周壁26は、第1スリット66によりθ方向に分断される。第2内周壁27は、第2スリット67によりθ方向に分断される。分断された複数の第1内周壁26および第2内周壁27は、相互に独立して、溝部18gに沿ってθ方向に移動可能である。第1内周壁26および第2内周壁27は、θ方向において同等の大きさ(角度)に形成される。内周壁20は、第1内周壁26および第2内周壁27の少なくとも一方により形成される。
【0037】
第1内周壁26および第2内周壁27のθ方向の全体がR方向に重なるとき、内周壁20のθ方向の幅M1は最小になる。このとき、隣り合う内周壁20の間に配置されるスリット60のθ方向の幅N1は最大になる。これに対して、第1内周壁26および第2内周壁27のθ方向の一部のみがR方向に重なるとき、内周壁20のθ方向の幅M2は大きくなる。このとき、隣り合う内周壁20の間に配置されるスリット60のθ方向の幅N2は小さくなる。第1内周壁26および第2内周壁27のうち少なくとも一方をθ方向に移動させることにより、スリット60の位置および形状(大きさ)を変更することができる。スリット60の位置および形状は、被処理水の性質に応じて調整される。これにより、θ方向において均等に、被処理水を分配部18から流入管19に流入させることができる。
【0038】
前述されたように、内周壁20は、第1内周壁26および第2内周壁27の2個の内周壁により形成される。これに対して、内周壁20は、R方向に並んで配置される3個以上の内周壁により形成されてもよい。
【0039】
以上に詳述されたように、実施形態の流入部ユニット12は、流入管19と、分配部18と、を有する。流入管19は、沈殿槽1の掻寄板44を回転させる回転シャフト41の周囲に配置される。分配部18は、流入管19の上方に配置され、流入管19の内側に流入する被処理水を収容可能である。分配部18は、R方向の内側に内周壁20を有する内周壁20は、少なくとも一部が沈殿槽1の溢流堰13の上端13tより下方に配置されるスリット60を有する。
【0040】
スリット60の少なくとも一部が、沈殿槽1における被処理水の水位WLより下方に配置される。分配部18に流入した被処理水は、スリット60を通って沈殿槽1に流出する。被処理水に含まれる重いフロックは、被処理水の流れに押されてスリット60から排出される。フロックの堆積が抑制されるので、分配部18における被処理水の流れが均一になる。これに伴って、沈殿槽1の内部における被処理水の流れも均一になる。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0041】
スリット60は、内周壁20の上端から分配部18の底壁18bまで形成される。
スリット60は、θ方向において複数の位置に形成される。
これにより、重いフロックがスリット60から排出され、分配部18の底壁18bへのフロックの堆積が抑制される。
【0042】
流入部ユニット12は、分配部18への被処理水の供給口17aを形成する被処理水供給部17を有する。内周壁20は、供給口17aに対向して配置される供給口内周壁21を含む。供給口内周壁21は、θ方向における幅が、他の内周壁20より大きい。
供給口17aから分配部18に流入した被処理水は、供給口内周壁21に衝突する。供給口内周壁21は、被処理水が供給口17aから流入管19へ直接流入するのを抑制する。これにより、被処理水は、沈殿槽1の内部において、局所的に高速で流通することなく、均等に低速で流通する。
【0043】
スリット60は、供給口内周壁21のθ方向の両側に配置される供給口スリット61を含む。供給口スリット61は、θ方向における幅が、他のスリット60より小さい。
供給口スリット61は供給口17aの近くに配置され、他のスリット60は供給口17aから離れて配置される。そのため、供給口スリット61から流入管19への被処理水の流入量は、他のスリット60からの流入量と同等になる。これにより、被処理水は、沈殿槽1の内部において、局所的に高速で流通することなく、均等に低速で流通する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0044】
内周壁20は、スリット60の位置および形状のうち少なくとも一つを変更可能である。
この構成によれば、被処理水の性質に応じて、スリット60の位置および形状を調整することができる。これにより、θ方向において均等に、被処理水を分配部18から流入管19に流入させることができる。したがって、分配部18の底壁18bへのフロックの堆積が抑制される。
【0045】
内周壁20は、R方向に並んで配置され、相互に独立してθ方向に移動可能な第1内周壁26および第2内周壁27を有する。スリット60は、第1内周壁26に形成される第1スリット66および第2内周壁27に形成される第2スリット67により形成される。
これにより、簡単な構成でスリット60の位置および形状を変更することができる。
【0046】
図8は、第1の実施形態の第1変形例の流入部ユニットの説明図である。図8は、図3から図5と同様の矢視図である。第1変形例のスリット68は、内周壁20の-Z方向(下半部)のみに形成される。スリット68の+Z方向は、内周壁20により閉塞されている。
重いフロックは、分配部18の被処理水の下-Z方向に含まれる。重いフロックは、内周壁20の-Z方向に配置されたスリット68から排出される。
【0047】
前述されたように、沈殿槽1の上流側の凝集槽でフロックが生成される。被処理水は、フロックを含んだ状態で沈殿槽1に流入する。被処理水が分配部18に供給されるとき、フロックが壊れて微細フロックに分解される場合がある。微細フロックは、沈殿槽1の内部で被処理水から分離して沈降しにくい。そのため、微細フロックが流入管19に流入すると、沈殿槽1の沈降分離性能が低下する可能性がある。
【0048】
微細フロックは、分配部18の被処理水の+Z方向に含まれる。第1変形例のスリット68は、内周壁20の-Z方向のみに形成される。内周壁20の+Z方向は閉塞されているので、微細フロックの分配部18からの流出が抑制される。分配部18における微細フロックの滞留時間が長くなると、微細フロックの会合頻度が多くなる。これにより、分配部18で微細フロックが凝集して、フロックの再生成が促進される。再生成したフロックは、分配部18の-Z方向に移動して、スリット68から排出される。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0049】
図9は、第1の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの説明図である。図9は、図3から図5と同様の矢視図である。第2変形例のスリット69は、内周壁20の+Z方向(上半部)のみに形成される。この場合でも、スリット69の少なくとも一部(下端部)が、沈殿槽1の溢流堰13の上端13tより下方に配置される。
スリット69の-Z方向は内周壁20により閉塞されるので、フロックの流出が抑制される。通常スリット62の一部をスリット69で構成することにより、フロックの流出速度を抑制することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の流入部ユニットの平面断面図である。図11は、図10のXI-XI線における側面断面図である。第2の実施形態の流入部ユニット212は、中間壁220を有する点で、第1の実施形態とは異なる。第1の実施形態と同様である点についての第2の実施形態の説明は省略される。
【0051】
流入部ユニット212の分配部18は、外周壁18aと、内周壁120と、中間壁220と、底壁18bと、を有する。外周壁18aおよび底壁18bは、第1の実施形態と同様に形成される。
中間壁220は、R方向において外周壁18aと内周壁20との間に配置される。中間壁220は円筒状に形成される。被処理水供給部17は、R方向において外周壁18aと中間壁220との間に被処理水の供給口17aを形成する。供給口17aは、外周壁18aの内側面上に形成される。
【0052】
中間壁220は、R方向において分配部18を第1流路51と第2流路52とに仕切る。第1流路51は、R方向の外側であって、外周壁18aと中間壁220との間に形成される。第2流路52は、R方向の内側であって、中間壁220と内周壁120との間に形成される。第1流路51および第2流路52は、Z方向からみて円環状に形成される。例えば、第1流路51および第2流路52のR方向の幅は同等である。
【0053】
中間壁220は、スリット(中間壁開口)260を有する。スリット260は、中間壁220をR方向に貫通する。スリット260の少なくとも一部(下端部)は、溢流堰13の上端13tよりも下方に配置される。スリット260は、Z方向において中間壁220の上端から分配部18の底壁18bまで形成される。中間壁220は、第1の実施形態の内周壁20と同様に、スリット260の位置および形状のうち少なくとも一つを変更可能である。
【0054】
スリット260は、θ方向において複数の位置に形成される。スリット260は、第1の実施形態のスリット60と同様に、通常スリット262と、供給口スリット261と、合流部スリット263と、を含む。
中間壁220は、スリット260によりθ方向に分断される。中間壁220は、第1の実施形態の内周壁20と同様に、通常中間壁222と、供給口中間壁221と、合流部中間壁223と、を含む。
【0055】
供給口中間壁221は、被処理水の供給口17aの-R方向に配置される。供給口中間壁221のθ方向の幅は、通常中間壁222より大きい。
合流部中間壁223は、合流部51cの-R方向に配置される。例えば、合流部中間壁223のθ方向の幅は、通常中間壁222と同等である。
通常中間壁222は、θ方向において供給口中間壁221と合流部中間壁223との間に配置される。複数の通常中間壁222が、θ方向に沿って等角度間隔で並んで配置される。
【0056】
供給口スリット261は、供給口中間壁221のθ方向の両側に形成される。供給口スリット261のθ方向の幅は、通常スリット262より小さい。
合流部スリット263は、合流部中間壁223のθ方向の両側に形成される。合流部スリット263のθ方向の幅は、通常スリット262より小さい。
通常スリット262は、θ方向において供給口スリット261と合流部スリット263との間に形成される。複数の通常スリット262が、θ方向に沿って等角度間隔で並んで形成される。例えば、通常スリット262のθ方向の幅は、通常中間壁222と同等である。
【0057】
供給口17aから分配部18に流入した被処理水は、第1流路51を-R方向に流れて、供給口中間壁221に衝突する。供給口中間壁221は、被処理水が供給口17aから第2流路52に直接流入するのを抑制する。供給口中間壁221は、被処理水をθ方向の両側に分流させる。+θ方向および-θ方向の二手に分かれて第1流路51を流通した被処理水は、θ方向において供給口17aの反対側の合流部51cで合流する。被処理水は、中間壁220に形成されたスリット260を通って、第2流路52に流入する。
【0058】
供給口スリット261は供給口17aの近くに配置され、通常スリット262は供給口17aから離れて配置される。前述されたように、供給口スリット261のθ方向の幅は、通常スリット262より小さい。そのため、供給口スリット261から第2流路52への被処理水の流入量は、通常スリット262からの流入量と同等になる。
合流部スリット263は合流部51cの近くに配置され、通常スリット262は合流部51cから離れて配置される。前述されたように、合流部スリット263のθ方向の幅は、通常スリット262より小さい。そのため、合流部スリット263から第2流路52への被処理水の流入量は、通常スリット262からの流入量と同等になる。
【0059】
このように、被処理水は、θ方向において均等に第1流路51から第2流路52に流入する。これにより、非処理水は、θ方向において均等に第2流路52から流入管19に流入する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0060】
内周壁120は、スリット160を有する。スリット160は、第1の実施形態のスリット60とは異なり、通常スリット162のみを有する。複数の通常スリット162が、θ方向に沿って等角度間隔で配置される。
内周壁120は、スリット160によりθ方向に分断される。内周壁120は、第1の実施形態の内周壁20とは異なり、通常内周壁122のみを有する。複数の通常内周壁122が、θ方向に沿って等角度間隔で配置される。
【0061】
第2流路52に流入した被処理水は、内周壁120に形成されたスリット160を通って分配部18から排出され、流入管19に流入する。
前述されたように、被処理水は、θ方向において均等に第1流路51から第2流路52に流入する。そのため、スリット160が通常スリット162のみを有する場合でも、非処理水は、θ方向において均等に第2流路52から流入管19に流入する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0062】
内周壁120は、第1の実施形態の内周壁20と同様に、スリット160の位置および形状のうち少なくとも一つを変更可能に形成されてもよい。スリット160の位置および形状は、被処理水の性質や流通状況に応じて調整される。これにより、θ方向においてより均等に、被処理水を流入管19に流入させることができる。
【0063】
分配部18に流入した被処理水は、第1流路51および第2流路52を順に流れる。長い流路を流れることで、微細フロックの会合頻度が多くなる。特に、合流部51cで被処理水が合流するとき、微細フロックの会合が顕著になる。これにより、微細フロックが凝集して、フロックの再生成が促進される。再生成したフロックは、沈殿槽1の内部で被処理水から分離して沈降する。したがって、既処理水の水質低下が抑制される。
【0064】
中間壁220は、R方向において分配部18を第1流路51と第2流路52とに仕切る。これにより、第1流路51および第2流路52の流路断面積が小さくなる。第1流路51および第2流路52を流れる被処理水の流速は、フロックの堆積が発生しない程度に早くなる。フロックは、分配部18に堆積することなく、スリット260およびスリット160を通過して、流入管19に流入する。フロックの堆積が抑制されるので、分配部18における被処理水の流れが均一になる。被処理水は、θ方向において均等に流入管19に流入する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0065】
第2の実施形態では、分配部18の外周壁18aと内周壁120との間に、1個の中間壁220が配置される。これに対して、外周壁18aと内周壁120との間に、2個以上の中間壁が配置されてもよい。
【0066】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態の沈殿槽の側面断面図である。図13は、図12のXIII部の拡大図である。図13は、図14のXIII-XIII線における側面断面図である。第3の実施形態の流入部ユニット312は、分配部18の内周壁20が流入管19の-R方向に配置されるとともに、分配部18が底壁開口90を有する点で、第1の実施形態とは異なる。第1の実施形態と同様である点についての第3の実施形態の説明は省略される。
【0067】
図12に示されるように、分配部18の内周壁20は、流入管19の-R方向に配置される。外周壁18aは、流入管19の+R方向に配置される。底壁18bは、流入管19をR方向に跨いで、流入管19の-R方向および+R方向の両側に配置される。
図13に示されるように、分配部18の底壁18bは、底壁開口90を有する。底壁開口90は、流入管19の-R方向に配置された底壁18bに形成される。底壁開口90は、流入管19の内側に開口する。
【0068】
図14は、第3の実施形態の流入部ユニットの平面断面図である。図14は、図1のII-II線に相当する部分における断面図である。底壁開口90は、Z方向から見て円形状に形成される。底壁開口90は、円形以外の形状に形成されてもよい。底壁開口90は、R方向において内周壁20と流入管19の中間位置に形成される。底壁開口90は、R方向において内周壁20の近くに形成されてもよいし、流入管19の近くに形成されてもよい。底壁開口90は、R方向において複数の位置に形成されてもよい。
【0069】
底壁開口90は、θ方向において複数の位置に形成される。例えば、複数の底壁開口90が、θ方向に沿って等角度間隔で配置される。底壁開口90は、供給口17aの-R方向に配置される供給口底壁開口を有しない。底壁開口90は、合流部51cに配置される合流部底壁開口93を有する。底壁開口90は、合流部底壁開口93を有しなくてもよい。
【0070】
第1の実施形態と同様に、被処理水に含まれるフロックは、内周壁20のスリット60を通って流入管19に流入する。これに加えて、第3の実施形態では、フロックが底壁開口90を通って流入管19に流入する。フロックは、スリット60まで到達しなくても、底壁開口90から流入管19に流入する。これにより、底壁18bへのフロックの堆積が抑制される。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0071】
底壁開口90は、供給口17aの-R方向に配置される供給口底壁開口を有しない。供給口17aから分配部18に流入した被処理水は、流入管19に直接流入しない。分配部18における被処理水の滞留時間が長くなるので、微細フロックの会合頻度が多くなり、フロックの再生成が促進される。したがって、既処理水の水質低下が抑制される。
【0072】
底壁開口90は、合流部51cに配置される合流部底壁開口93を有する。合流部51cまで移動したフロックは、合流部底壁開口93から流入管19の内側に排出される。これにより、底壁18bへのフロックの堆積が抑制される。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0073】
第1の実施形態における分配部18の内周壁20は、図1に示されるように、R方向において流入管19と略同じ位置に配置される。このとき、外周壁18aは、流入管19から+R方向に離れて配置される。そのため、外周壁18aと溢流堰13との距離Aは小さくなる。
一方、第3の実施形態における分配部18の内周壁20は、図12に示されるように、流入管19より-R方向に配置される。このとき、外周壁18aは、流入管19の+R方向の近くに配置される。そのため、外周壁18aと溢流堰13との距離Bは大きくなる。これにより、外周壁18aと溢流堰13との間における被処理水の流速が小さくなる。沈殿槽1の内部における被処理水の実質的滞留時間が増加する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0074】
図15は、第3の実施形態の第1変形例の沈殿槽の側面断面図である。第1変形例の流入部ユニット312aでは、分配部18の内周壁20が、回転シャフト41の近くに配置される。このとき、外周壁18aは、R方向において流入管19と略同じ位置に配置される。そのため、外周壁18aと溢流堰13との距離Cは大きくなる。これにより、外周壁18aと溢流堰13との間における被処理水の流速が小さくなる。沈殿槽1の内部における被処理水の実質的滞留時間が増加する。したがって、沈殿槽1の沈降分離性能の低下が抑制される。
【0075】
図16は、第3の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの平面断面図である。図16は、図1のII-II線に相当する部分における断面図である。第2変形例の流入部ユニット312bでは、底壁開口90が楕円形状に形成される。底壁開口90は、R方向を短軸方向とし、θ方向を長軸方向とする楕円形状に形成される。底壁開口90は、被処理水の流通方向であるθ方向を長軸方向とする。これにより、被処理水に含まれるフロックは、底壁開口90を通って流入管19に排出され易い。
【0076】
第2変形例では、底壁18bが、底壁開口90の位置および形状を変更可能である。分配部18の底壁18bは、第1底壁86と、第2底壁87と、を有する。第1底壁86および第2底壁87は、Z方向に並んで配置される。第1底壁86は+Z方向に配置され、第2底壁87は-Z方向に配置される。
【0077】
第1底壁86は、θ方向の全周にわたって円環状に形成される。第1底壁86は、外周壁18aおよび内周壁20に対して固定される。
第2底壁87は、θ方向の一部のみに円弧状に形成される。第2底壁87は、第1底壁86に対してθ方向に移動可能に形成される。第2底壁87は、複数の底壁開口90の形成位置にそれぞれ配置される。複数の第2底壁87は、相互に独立してθ方向に移動可能である。
【0078】
第1底壁86は、第1底壁開口96を有する。第2底壁87は、第2底壁開口97を有する。第1底壁開口96および第2底壁開口97は、Z方向から見て同等の形状に形成される。底壁開口90は、第1底壁開口96および第2底壁開口97がZ方向に重なって形成される。
【0079】
図16に示されるように、第1底壁開口96および第2底壁開口97の全体がZ方向に重なるとき、底壁開口90の開口面積は最大になる。
図17は、第3の実施形態の第2変形例の流入部ユニットの動作説明図である。第1底壁86に対して第2底壁87をθ方向に移動させると、第1底壁開口96および第2底壁開口97の一部のみがZ方向に重なる。このとき、底壁開口90の開口面積は小さくなる。このように、第1底壁86に対して第2底壁87をθ方向に移動させることにより、底壁開口90の形状(大きさ)を変更することができる。
【0080】
以上のように、底壁18bは、底壁開口90の位置および形状を変更可能である。
これにより、被処理水の性質に応じて、底壁開口90の位置または形状を調整することができる。これにより、θ方向において均等に、被処理水を流入管19に流入させることができる。また、分配部18から流入管19への被処理水およびフロックの流入速度を調整することができる。
【0081】
図18は、第3の実施形態の第3変形例の流入部ユニットの平面断面図である。図18は、図1のII-II線に相当する部分における断面図である。第3変形例の流入部ユニット312cは、分配部18が中間壁220を有する点で、第1変形例と異なる。中間壁220の構造は、第2の実施形態と同様である。
【0082】
供給口17aから分配部18に流入した被処理水は、第1流路51を-R方向に流れて、供給口中間壁221に衝突する。供給口中間壁221は、被処理水が供給口17aから第2流路52に直接流入するのを抑制する。供給口中間壁221は、被処理水をθ方向の両側に分流させる。+θ方向および-θ方向の二手に分かれて第1流路51を流通した被処理水は、θ方向において供給口17aの反対側の合流部51cで合流する。被処理水は、中間壁220に形成されたスリット260を通って、第2流路52に流入する。
【0083】
第2流路52に流入した被処理水は、内周壁120に形成されたスリット160および底壁18bに形成された底壁開口90を通って、流入管19に流入する。被処理水に含まれるフロックは、内周壁20のスリット60および底壁18bに形成された底壁開口90を通って、分配部18から排出される。これにより、底壁18bへのフロックの堆積が抑制される。
【0084】
被処理水は、第1流路51および第2流路52を順に流れる。長い流路を流れることで、微細フロックの会合頻度が多くなる。これにより、微細フロックが凝集して、フロックの再生成が促進される。再生成したフロックは、沈殿槽1の内部で被処理水から分離して沈降する。したがって、既処理水の水質低下が抑制される。
【0085】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、分配部18の内周壁20がスリット60を持つ。これにより、分配部18の底壁18bへのフロックの堆積が抑制されるので、沈殿槽1の沈降分離性能の低下を抑制することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
R…径方向、θ…周方向、1…沈殿槽、11…槽体、12…流入部ユニット、13…溢流堰、13t…上端、17…被処理水供給部、17a…供給口、18…分配部(収容部)、18a…外周壁、18b…底壁、19…流入管、20…内周壁、21…供給口内周壁、26…第1内周壁、27…第2内周壁、41…回転シャフト、44…掻寄板、60…スリット(内周壁開口)、61…供給口スリット(供給口内周壁開口)、66…第1スリット(第1内周壁開口)、67…第2スリット(第2内周壁開口)、90…底壁開口、220…中間壁、260…スリット(中間壁開口)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18