(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】軸受構造および回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/16 20060101AFI20230508BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20230508BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20230508BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
F16C33/66 Z
F16C19/06
F16C33/10 Z
(21)【出願番号】P 2019090399
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蟹田 梨帆
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213383(JP,A)
【文献】実開昭57-025298(JP,U)
【文献】実開平05-045245(JP,U)
【文献】特開2007-285517(JP,A)
【文献】特開平09-100838(JP,A)
【文献】特開平09-023607(JP,A)
【文献】特開平05-332366(JP,A)
【文献】特開平08-086317(JP,A)
【文献】実開昭61-148998(JP,U)
【文献】実公昭60-015998(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
F16C 33/66
F16C 19/06
F16C 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心とを有する回転子と、
前記回転子鉄心の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を前記回転軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、
前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子とを収納するフレームと、
前記回転子鉄心を挟んで前記回転軸方向の両側で前記ロータシャフトを回転可能に支持する2つの軸受構造と、
を備え、
前記2つの軸受構造のそれぞれは、
軸受本体と、
前記軸受本体を静止支持し
た軸受支持部と、
前記軸受支持部から前記軸受支持部の径方向外側に延びた平板部と、を有し、外部から前記軸受本体の潤滑用のグリースを注入可能な注入部
が前記平板部に形成され、前記注入部と前記軸受本体間を連通する通
路が前記軸受支持部に形成された軸受ブラケットと、
前記通路に連通して前記グリースを収納する収納部と、
を具備し、
前記通路は、
前記注入部と連通した移送部と、
前記移送部と前記軸受本体との間に形成され、前記軸受本体に対して機内側に位置し前記軸受本体と前記回転軸方向に並び、前記軸受本体からの熱伝導による熱を受け、前記注入部および前記収納部からの前記グリースを前記熱により溶かす溶融部と、
を有することを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記収納部は、機内側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記収納部は、機外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記軸受本体の前記グリースの排出側に接続する排出部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記収納部は、
前記グリースを収納するシリンダと、
前記シリンダ内に設けられたピストンと、
前記ピストンを押すことにより前記シリンダ内の前記グリースを前記通路に押し出すバネと、
を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項6】
回転軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心とを有する回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を前記回転軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子とを収納するフレームと、を備える回転電機の前記ロータシャフトの前記回転子鉄心を挟んで前記回転軸方向の両側の部分で前記ロータシャフトをそれぞれ回転可能に支持する軸受構造であって、
軸受本体と、
前記軸受本体を静止支持し
た軸受支持部と、
前記軸受支持部から前記軸受支持部の径方向外側に延びた平板部と、を有し、外部から前記軸受本体の潤滑用のグリースを注入可能な注入部
が前記平板部に形成され、前記注入部と前記軸受本体間を連通する通
路が前記軸受支持部に形成された軸受ブラケットと、
前記通路に連通して前記グリースを収納する収納部と、
を具備し、
前記通路は、
前記注入部と連通した移送部と、
前記移送部と前記軸受本体との間に形成され、前記軸受本体に対して機内側に位置し前記軸受本体と前記回転軸方向に並び、前記軸受本体からの熱伝導による熱を受け、前記注入部および前記収納部からの前記グリースを前記熱により溶かす溶融部と、
を有することを特徴とする軸受構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受構造およびこれを有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、ロータシャフトおよびロータシャフトに取り付けられた回転子鉄心を有する回転子と、固定子鉄心とそれを貫通する固定子巻線を有する固定子とを備えている。ロータシャフトは、回転子鉄心の両側を、軸受により回転可能に支持されている。軸受としては、一般に、たとえば、軸受本体あるいは滑り軸受が用いられる。
【0003】
軸受の潤滑用としては、液体状の潤滑油を供給する方式と、ゲル状のグリースを供給する方式とがある。滑り軸受の場合、通常、常時、潤滑油を供給する構成となっている。一方、軸受本体の場合、多くはグリースを定期的に補給する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、グリースを供給する方式では、定期的に外部からグリースを注入する必要がある。
【0006】
一方、たとえば、空調設備などのように、プラントの運転中は停止できない設備がある。電動機が空調ダクト内に設けられているような場合には、空調設備の運転中は電動機にアクセスすることができない。このように、プラントの運転中は、アクセスが制限され、あるいはアクセスができない箇所に回転電機が設置されている場合であっても、グリースによる潤滑機能を維持する必要がある。
【0007】
グリースの供給量を低減する方法としては、ラビリンスからの漏えいを低減するためにたとえば油切りのための羽根車を設ける技術が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、必要な供給量の確保と言う課題を解決するものではない。
【0008】
そこで、本発明は、回転電機がアクセスできない箇所に設置されている場合であっても、グリースによる潤滑機能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明に係る回転電機は、回転軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心とを有する回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を前記回転軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子とを収納するフレームと、前記回転子鉄心を挟んで前記回転軸方向の両側で前記ロータシャフトを回転可能に支持する2つの軸受構造と、を備え、前記2つの軸受構造のそれぞれは、軸受本体と、前記軸受本体を静止支持した軸受支持部と、前記軸受支持部から前記軸受支持部の径方向外側に延びた平板部と、を有し、外部から前記軸受本体の潤滑用のグリースを注入可能な注入部が前記平板部に形成され、前記注入部と前記軸受本体間を連通する通路が前記軸受支持部に形成された軸受ブラケットと、前記通路に連通して前記グリースを収納する収納部と、を具備し、前記通路は、前記注入部と連通した移送部と、前記移送部と前記軸受本体との間に形成され、前記軸受本体に対して機内側に位置し前記軸受本体と前記回転軸方向に並び、前記軸受本体からの熱伝導による熱を受け、前記注入部および前記収納部からの前記グリースを前記熱により溶かす溶融部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る軸受構造は、回転軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心とを有する回転子と、前記回転子鉄心の径方向外側に設けられた円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心内を前記回転軸方向に貫通する固定子巻線とを有する固定子と、前記固定子の径方向の外側に配されて前記回転子鉄心と前記固定子とを収納するフレームと、を備える回転電機の前記ロータシャフトの前記回転子鉄心を挟んで前記回転軸方向の両側の部分で前記ロータシャフトをそれぞれ回転可能に支持する軸受構造であって、軸受本体と、前記軸受本体を静止支持した軸受支持部と、前記軸受支持部から前記軸受支持部の径方向外側に延びた平板部と、を有し、外部から前記軸受本体の潤滑用のグリースを注入可能な注入部が前記平板部に形成され、前記注入部と前記軸受本体間を連通する通路が前記軸受支持部に形成された軸受ブラケットと、前記通路に連通して前記グリースを収納する収納部と、を具備し、前記通路は、前記注入部と連通した移送部と、前記移送部と前記軸受本体との間に形成され、前記軸受本体に対して機内側に位置し前記軸受本体と前記回転軸方向に並び、前記軸受本体からの熱伝導による熱を受け、前記注入部および前記収納部からの前記グリースを前記熱により溶かす溶融部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転電機がアクセスできない箇所に設置されている場合であっても、グリースによる潤滑機能を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る軸受構造の構成を示す
図1のII-II線矢視側面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る軸受構造の構成を示す
図2のIII-III線矢視平断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る軸受構造の構成を示す
図2のIV-IV線矢視立断面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【
図6】第3の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【
図7】第4の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る軸受構造および回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。
【0015】
回転電機200は、回転子10、固定子20、フレーム40、および2つの軸受構造100を有する。なお、
図1では、軸受構造100の詳細な表示は省略している。
【0016】
回転子10は、回転軸方向に延びたロータシャフト11と、ロータシャフト11に取り付けられた回転子鉄心12を有する。
【0017】
固定子20は、回転子鉄心12を囲むように回転子鉄心12の径方向外側に空隙18を介して配された固定子鉄心21と、固定子鉄心21を貫通する固定子巻線22を有する。
【0018】
回転子鉄心12および固定子20は、フレーム40内に収納されている。フレーム40の両端には、軸受構造100の軸受ブラケット120が取り付けられている。軸受ブラケット120は、軸受本体110(
図3)を直接支持する軸受支持部128を、軸受支持部128の径方向外側に拡がり、フレーム40と結合する平板部121を有する。
【0019】
フレーム40および2つの軸受構造100は、互いに相まって閉空間40aを形成する。以下、閉空間40aに面する側を機内側、外気に面する側を機外側と呼ぶこととする。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る軸受構造の構成を示す
図1のII-II線矢視側面図であり、
図3は、
図2のIII-III線矢視断面図であり、
図4は、
図2のIV-IV線矢視断面図である。
【0021】
図3に示すように、それぞれの軸受構造100は、軸受本体110、軸受ブラケット120、収納部130、および排出部140を有する。
【0022】
軸受本体110は、複数の回転体111、回転部112、および静止部113を有する。回転部112はロータシャフト11に取り付けられている。静止部113は、回転部112に対向するように軸受ブラケット120の軸受支持部128によって静止支持されている。周方向に並ぶ複数の回転体111は、回転部112と静止部113に挟まれて回転部112の回転とともに回転する。
【0023】
軸受ブラケット120は、平板部121、および軸受本体110を直接支持する軸受支持部128を有する。
【0024】
図2に示すように、平板部121は、環状の円板であり、径方向内側は、軸受支持部128に接続している。平板部121は、フレーム40と、たとえばボルトなどの複数の結合体121aにより結合されている。
【0025】
図3に示すように、軸受支持部128は、軸受本体110の静止部113を静止支持している。軸受支持部128の内部には、グリースを軸受本体110に導く通路126が形成されている。すなわち、通路126として、移送部122、および移送部122と軸受本体110との間の部分である溶融部123が形成されている。軸受本体110の下流側には排出口125が形成されている。通路126のうち、機内側の部分は、環状に形成されており、通路126のうち、移送部122は、軸受支持部128の頂部近傍に一箇所形成されている。
【0026】
平板部121には、注入部129の注入路129aが1本形成されている。注入路129aは、径方向に延びるように形成され、平板部121の径方向の最上部の端面にまで貫通している。径方向内側では、軸受支持部128の通路126と連通している。平板部121の径方向外側端面の注入路129aの貫通孔は、グリースニップル129bにより封止されている。グリースを注入する際は、たとえばグリース注入用のカートリッジ(図示せず)をグリースニップル129bに接続してグリースを圧入する。なお、注入部129は、移送部122の鉛直上方の方向に設けられなくともよいが、通路126が形成されている角度方向に形成される。
【0027】
排出口125は、軸受本体110を挟んで通路126と反対側に配され、機外側に設けられた排出部140に連通している。なお、排出部140と通路126とは、隔離されている。排出部140から排出されたグリースは、たとえば図示しない受け容器で直接回収される。
【0028】
このように移送部122は、注入部129と連通するように形成され、機内側で、溶融部123に連通している。なお、移送部122と溶融部123の間には中間的な領域も存在し、移送部122と溶融部123の境界は概念的なものである。
【0029】
通路126に連通するようにグリースを収納する収納部130が機内側に設けられている。収納部130は、収納容器131、収納容器131と通路126を連通させる連通部134を有する。また、収納容器131の上部は開放されており、蓋135が取り付けられている。
【0030】
収納部130の収納容器131および蓋135により貯留空間130sが形成されている。ここで、収納容器131の外形は、たとえば円筒形または直方体、あるいは、断面が楕円形や多角形であってもよい。また、鉛直方向に亘って同一断面である必要はない。また、収納容器131および連通部134は、鉛直方向に沿って上下に延びているが、これに限定されない。すなわち、収納容器131内のグリースに重力の鉛直下方へ成分が作用されるのであれば、鉛直方向に対して傾いていてもよい。
【0031】
収納容器131内の貯留空間130sの最大体積は、所定の期間、たとえば2年を超える程度の期間に亘るグリースの使用量に対応するような十分な大きさとなっている。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0033】
当該回転電機200の開放点検時には、収納容器131の蓋135を取り外し、収納容器131内にグリースを充填することができる。
【0034】
回転電機200の運転中には、機内温度が上昇し、移送部122のうち機内に近接する部分の温度が上昇する。溶融部123は、機内側に配置されているとともに、さらに、摩擦抵抗熱により温度の高い軸受本体110からの熱伝導による熱を受ける。この熱によりグリースは完全に液状になる。このため、軸受本体110に近い領域、たとえば、溶融部123では、グリースは完全に溶けて、軸受本体110に供給される。貯留空間130s内ではゲル状のグリースは、移送部122から溶融部123と軸受本体110に近づくにつれてゾル化して液状となり、自然落下によって、軸受本体110に供給される。
【0035】
また、注入部129からグリースを圧入した際に、収納部130の収納容器131内の貯留空間130s内の圧力は、グリースが貯留空間130s内に充填されることにより、もともと貯留空間130s内に存在していた空気の圧力が上昇する。この圧力の上昇分は、収納容器131内に貯留されたグリースを押し出す駆動力となる。
【0036】
軸受本体110に供給されたグリースは、軸受本体110の回転体111と回転部112間および回転体111と静止部113間の潤滑に寄与した後に、排出部140から排出される。
【0037】
貯留空間130sの容積は、回転電機200の運転期間、たとえば、最大、定期検査の間隔にわたるグリースの消費量に対応する容積より大きいため、必要なグリースの供給はなされる。
【0038】
また、必要に応じて、外部から直接グリースの補給をすることができる。注入部129のグリースニップル129bにグリース注入用のカートリッジを接続してグリースを圧入すると、軸受本体110には隙間が存在することから、グリースは、通路126を経由して、軸受本体110に供給される。なお、一部は収納容器131側に移行するが収納容器131側は密閉空間のため、移行する量は少ない。
【0039】
機内側に空間的に余裕がある場合は、機外のスペースを占有するものが少なくなる点で、配置上あるいは通路性確保の上で有利である。また、収納部130が、機外側より温度の高い機内側に設けられていることから、収納部130内に収納されているグリースは、容器に液体化し、確実に軸受本体110に供給される。
【0040】
なお、以上、
図1に示す2つの軸受構造100のうち、
図1における右側の軸受構造100について説明したが、左側の軸受構造100についても同様である。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、プラントの運転中は立ち入りが制限され、あるいは立ち入りができない箇所に回転電機が設置されている場合であっても、定期検査などのプラントの運転停止中に立ち入りグリースの注入をすることで、回転電機の運転中に必要な潤滑を確保することができる。また、発電所などの大型のプラントのように設置、運転される回転電機が多い場合でも、グリースを供給する頻度が少なくなり、運転要員あるいは保守要員の負担が軽減される。
【0042】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【0043】
本第2の実施形態は、第1の実施形態の変形である。本第2の実施形態における収納部130は、第1の実施形態における収納容器131に代えて、シリンダ132を有する。その他の点では、第1の実施形態と同様である。
【0044】
シリンダ132は筒状で、長手方向に一定形状、寸法の断面を有する。断面は、たとえば長方形であるが、あるいは、長方形以外でもよい。シリンダ132は、その内部に、シリンダ132内を上下に区切るピストン133aと、ピストン133aを下方に押し下げるバネ133bを有する。なお、必要に応じてピストン軸(図示せず)を設けてもよい。シリンダ132内の貯留空間130sは、連通部134に連通している。
【0045】
ピストン133aは、シリンダ132内を、その外縁がシリンダ132の内壁に接しながら、内壁に沿ってシリンダ132の軸方向に移動可能に形成されている。バネ133bは、シリンダ132の全長に亘りピストン133aを駆動可能である。すなわち、バネ133bは、貯留空間130sにグリースが充填されると、圧縮状態となり、グリースの減少とともにその体積に応じてピストン133aを押し下げるように作用し、ピストン133aの全ての位置に亘って圧縮状態にある。
【0046】
貯留空間130sへのグリースの充填は、シリンダ132の上部に取り付けられた蓋135を外し、さらにバネ133bおよびピストン133aを取り外すことにより、貯留空間130sにグリースを上方から供給した後に、ピストン133a、バネ133bおよび蓋135を復旧することにより行うことができる。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、貯留空間130s内に収納されたグリースの押し出し力をさらに確実にする手段を得ることができる。
【0048】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【0049】
本第3の実施形態は、第1の実施形態の変形である。本第3の実施形態においては、収納部130が、軸受ブラケット120の軸受支持部128の機外側部分に取り付けられている。すなわち、収納部130が、機外側に設けられている。これ以外は、第1の実施形態と同様である。
【0050】
機内側に空間的に余裕がない場合は、本実施形態が有利である。
【0051】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態に係る軸受構造の収納部の詳細およびグリースの状態を説明する概念的な部分立断面図である。
【0052】
本第4の実施形態は、第2の実施形態と第3の実施形態の組み合わせである。すなわち、収納部130aは、機外側に配され、また、収納部130aは、シリンダ132内にピストン133aおよびバネ133bを有することにより、確実にグリースを供給することができる。
【0053】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0054】
たとえば、第1および第2の実施形態において、収納部自体を軸受ブラケットに着脱可能に形成することにより、注入部を削除する構成をとってもよい。
【0055】
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。たとえば、第1あるいは第2の実施形態に、第3の実施形態の特徴を組み合わせても良い。
【0056】
さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
10…回転子、11…ロータシャフト、12…回転子鉄心、18…空隙、20…固定子、21…固定子鉄心、22…固定子巻線、40…フレーム、40a…閉空間、100…軸受構造、110…軸受本体、111…回転体、112…回転部、113…静止部、120…軸受ブラケット、121…平板部、121a…結合体、122…移送部、123…溶融部、125…排出口、126…通路、128…軸受支持部、129…注入部、129a…注入路、129b…グリースニップル、130、130a…収納部、130s…貯留空間、131…収納容器、132…シリンダ、133a…ピストン、133b…バネ、134…連通部、135…蓋、140…排出部、200…回転電機