(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】半導体装置、その製造方法および電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230508BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230508BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01L21/60 301N
H01L21/60 301D
H01L21/60 311Q
H01L27/04 A
H01L27/04 D
(21)【出願番号】P 2019147198
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯 浩利
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/063459(WO,A1)
【文献】特開2005-191447(JP,A)
【文献】特開2015-088576(JP,A)
【文献】特表2015-532530(JP,A)
【文献】特開2009-246086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 21/82
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1のパッドと
、
前記第1のパッドに対して前記半導体基板の端辺に近接する側に形成された第2のパッドと、
前記第1のパッドに対して前記端辺と遠隔する側に形成された第3のパッドと、
前記半導体基板の主面上に形成された入出力回路と、
前記入出力回路と外部装置の入出力信号を接続するための入出力信号線と、
前記入出力回路と外部装置の電源又は接地電位とを接続するための電源線又は接地線と、
を備え、
前記第
2のパッドと前記第3のパッドとは電気的に接続されて
おり、
前記第1のパッドは前記電源線又は接地線と接続され、前記第2のパッドは前記入出力信号線と接続されている、半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1のパッドと、
前記第1のパッドに対して前記半導体基板の端辺に近接する側に形成された第2のパッドと、
前記第1のパッドに対して前記端辺と遠隔する側に形成された第3のパッドと、
前記半導体基板の主面上に形成された入出力回路と、
前記入出力回路と外部装置の入出力信号を接続するための入出力信号線と、
前記入出力回路と外部装置の電源又は接地電位とを接続するための電源線又は接地線と、
を備え、
前記第2のパッドと前記第3のパッドとは電気的に接続されており、
前記第1のパッドは前記入出力信号線と接続され、前記第2のパッドは前記電源線又は接地線と接続され
ており、
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッドにおける前記端辺に垂直な方向の長さより小さい、半導体装置。
【請求項3】
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体
基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッド
における前記端辺に垂直な方向の長さより小さい、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のパッドと前記第3のパッドとは前記第1のパッドと同層の配線により電気的に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項2記載の半導体装置と、
第1の電極と前記第1の電極より前記半導体装置から遠隔して配置された第2の電極とを有する第1のパッケージ基板と、
を備え、
前記第1のパッドが前記第2の電極と、前記第2のパッドが前記第1の電極とがそれぞれワイヤボンディングで接続された電子装置。
【請求項6】
半導体装置と、
第1の電極と前記第1の電極より前記半導体装置から遠隔して配置された第2の電極とを有する第1のパッケージ基板と、
を備え、
前記半導体装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された第1のパッドと、
前記第1のパッドに対して前記半導体基板の端辺に近接する側に形成された第2のパッドと、
前記第1のパッドに対して前記端辺と遠隔する側に形成された第3のパッドと、
を備え、
前記第2のパッドと前記第3のパッドとは電気的に接続されており、
前記第1のパッドが前記第1の電極に接続され、前記第3のパッドが前記第2の電極にそれぞれワイヤボンディングで接続された電子装置。
【請求項7】
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体
基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッドより小さい、請求項
5又は
6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1のパッドと前記第3のパッドとは前記第1のパッドと同層の配線により電気的に接続されている、請求項
5又は
6に記載の電子装置。
【請求項9】
請求項2記載の半導体装置と、
第1の配線と前記第1の配線より前記半導体装置の中央側に配置された第2の配線とを有する第2のパッケージ基板と、
を備え、
前記第1のパッドと前記第1の配線とが接続され、前記第3のパッドと前記第2の配線とがフリップチップにより接続された電子装置。
【請求項10】
請求項
1記載の半導体装置と、
第1の配線と前記第1の配線より前記半導体装置の中央側に配置された第2の配線とを有する第2のパッケージ基板と、
を備え、
前記第1のパッドと前記第2の配線とが接続され、前記第2のパッドと前記第1の配線とがフリップチップにより接続された電子装置。
【請求項11】
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体
基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッドより小さい、請求項
9又は
10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第1のパッドと前記第3のパッドとは前記第1のパッドと同層の配線により電気的に接続されている、請求項
9又は
10に記載の電子装置。
【請求項13】
半導体基板の主面上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に第1のパッドを形成し、
前記半導体基板の端辺に対して前記第1のパッドより近接する側に第2のパッドを形成し、
前記端辺に対して前記第1のパッドより遠隔に第3のパッドを形成し、
前記第
2のパッドと前記第3のパッドとは電気的に接続さ
れ、
前記第1のパッドは前記半導体基板の主面上に形成された入出力回路の電源線又は接地線と接続され、
前記第2のパッドは前記入出力回路の入出力信号線と接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体基板の主面上に絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に第1のパッドを形成し、
前記半導体基板の端辺に対して前記第1のパッドより近接する側に第2のパッドを形成し、
前記端辺に対して前記第1のパッドより遠隔に第3のパッドを形成し、
前記第2のパッドと前記第3のパッドとは電気的に接続され、
前記第1のパッドは前記半導体基板の主面上に形成された入出力回路の入出力信号線と接続され、
前記第2のパッドは前記入出力回路の電源線又は接地線と接続され
、
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッドにおける前記端辺に垂直な方向の長さより小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2のパッド及び前記第3のパッドの前記半導体基板の前記端辺に垂直な方向の長さが前記第1のパッド
における前記端辺に垂直な方向の長さより小さい、請求項
13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1のパッドと前記第3のパッドとは前記第1のパッドと同層の配線により電気的に接続される、請求項
13又は14に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、その製造方法および電子装置に関し、特にワイヤボンディング(以下、WBという)またはフリップチップ(以下、FCという)によりパッケージに実装される半導体装置を使用するASSP(Application Specific Standard Products)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、特にSoC(System on Chip)などの大規模LSI(Large Scale Integrated circuit)において、集積度の向上に伴って、より多くのパッドが要求される傾向にある。特開2015-204364号公報(特許文献1)には、そのような半導体装置の例として、チップの端辺に沿うように配列された複数の外側パッドと、外側パッドよりチップの内側に配列された複数の内側パッドとを有し、複数の内側パッドと、複数の外側パッドとは、チップの端辺に沿う方向において、ジグザグパターンとなるように配置されている半導体装置が開示されている。
【0003】
かかる半導体装置をパッケージに実装する方法として、WB及びFCがある。WBとは、金、銅などのワイヤを用いて半導体装置のパッドとパッケージ基板とを電気的に接続する方法であり、FCとはパッケージ基板の半導体装置のパッドと対面する位置にパッドが設けられており、バンプなどを介して互いに接合させることによって、電気的に接続する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
WBでは、パッケージの電気的特性要求から、特に電源電位の電圧降下等を抑えるためボンディングワイヤのワイヤ長をできるだけ短くすることが好ましい。このため、電源線及び接地(以下、GNDという)線が接続されるパッドは半導体装置の外周部に配置される。一方、FCでは、パッケージの実装用ボール電極への入出力信号線の引き出し要求から、入出力信号線に接続されるパッドが外周部に配置され、電源線及びGND線が接続されるパッドは半導体装置の内周部に配置される。WBかFCかの実装方法の違いにより半導体装置の、特に電源線及びGND線が接続されるパッドの配置に対する要求が全く異なる。
【0006】
多種多様な用途をカバーし消費電力もその用途に応じて大きく異なるASSPでは、同一の半導体装置に異なる実装方法を採用する場合、設計期間及び製造コストが増大する課題があった。ある用途においてその良好な電気的特性からFC用にチップ設計を行った場合、他の用途において、例えば、低コスト化のためWBで実装しようとしても、パッドの配置に対する要求が全く異なるため、その配置を変更しなければならないからである。その他の課題及び新規な特徴は、本明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態1に係る半導体装置は、パッドが半導体装置の端辺に沿うように3列の千鳥状に配置された構成であり、半導体装置の端辺に最も近接する1列目のパッドが電源線又はGND線と接続され、1列目のパッドに比し半導体装置の端辺より遠隔(半導体装置の内側)に配置された2列目のパッドが入出力信号線と接続され、2列目のパッドに比しさらに半導体装置の端辺より遠隔(半導体装置の内側)に配置された3列目のパッドが電源線又はGND線と接続され、かつ1列目のパッドと3列目のパッドとが半導体装置内で電気的に接続されている。
【0008】
他の実施の形態に係る半導体装置は、パッドが半導体装置の端辺に沿うように3列の千鳥状に配置された構成であり、半導体装置の端辺に最も近接する1列目のパッドが入出力信号線と接続され、1列目のパッドに比し半導体装置の端辺より遠隔(半導体装置の内側)に配置された2列目のパッドが電源線又はGND線と接続され、2列目のパッドに比しさらに半導体装置の端辺より遠隔(半導体装置の内側)に配置された3列目のパッドが入出力信号線と接続され、かつ1列目のパッドと3列目のパッドとが半導体装置内で電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
かかる構成により、WB、FCのいずれの方法でも同一の半導体装置を、そのパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るワイヤボンディングによりパッケージに実装された半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の半導体装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る入出力部のレイアウトの拡大図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る入出力部のワイヤボンディングによる接続図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係るフリップチップによりパッケージに実装された半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る入出力部のフリップチップによる接続図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る半導体装置2の構成を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る入出力部のレイアウトの拡大図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係る入出力部のワイヤボンディングによる接続図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る入出力部のフリップチップによる接続図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3に係る半導体装置3の構成を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係る入出力部のレイアウトの拡大図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る入出力部のワイヤボンディングによる接続図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係る入出力部のフリップチップによる接続図である。
【
図15】
図15は、実施の形態4に係る半導体装置4の構成を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態4に係る入出力部のレイアウトの拡大図である。
【
図17】
図17は、実施の形態4に係る入出力部のワイヤボンディングによる接続図である。
【
図18】
図18は、実施の形態4に係る入出力部のフリップチップによる接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書及び図面において、同一の構成要件又は対応する構成要件には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略又は簡略化している場合もある。また、各実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0012】
(実施の形態1)
[ワイヤボンディングによる実装の場合]
図1は、この発明の実施の形態1に係る、半導体装置1(たとえば、マイクロコンピュータチップ)がワイヤボンディングによりBGA(BALL Grid Array)方式のパッケージに実装された電子装置500の構成を模式的に示す断面図である。BGA方式のパッケージ基板は、はんだボールを格子状に並べた電極を有する。
【0013】
電子装置500は、半導体装置1と、パッケージ基板501と、封止部材510と、ダイボンド部材520と、外部端子509と、ボンディングワイヤ507、508を含む。パッケージ基板501は、たとえばガラス繊維入りエポキシ基板などから形成されたものであり、絶縁層と配線とを交互に積み上げることによって形成されたビルドアップ配線板である。封止部材510は、パッケージ基板501の主面を被覆する、たとえばエポキシ樹脂である。ダイボンド部材520は、たとえば銀ペーストである。外部端子509は、パッケージ基板501の裏面に取り付けられる複数のはんだボールである。ボンディングワイヤ507、508は、例えば、金線などから形成された、配線用ワイヤである。
【0014】
パッケージ基板501は、ボンディング電極503、504と、パッケージ配線(配線層)502とを含む。
【0015】
ボンディング電極503、504は、パッケージ基板501の主面上に銅などで形成された電極である。パッケージ配線(配線層)502は、ボンディング電極503、504と外部端子509を接続するための銅などで形成されたパッケージ基板501に形成された配線(配線層)又はスルーホールである。
【0016】
ボンディング電極503は、パッケージ配線502、外部端子509を介して、外部装置の電源線又はGND線(接地線)と電気的に接続し、ボンディング電極504は、パッケージ配線502、外部端子509を介して外部装置の入出力信号線と電気的に接続している。
【0017】
半導体装置1は、パッド505、506、515を含む。パッド505、506、515は、半導体装置1の主面上に層間絶縁層を介在して形成される。また、半導体装置1の主面上を覆うパッシベーション膜から露出する多層配線の最上層の配線を含み、半導体装置1の外周部に端辺に沿うように複数のパッドが千鳥状に配置される。
【0018】
半導体装置1の端辺に近接するパッド505は、ボンディングワイヤ507によってボンディング電極503と接続される。半導体装置1の端辺より遠隔(半導体装置1の内側)のパッド506は、ボンディングワイヤ508によってボンディング電極504と接続される。
【0019】
図2は、
図1の半導体装置1の構成を模式的に示す平面図である。半導体装置1は、半導体基板SUBの主面上に形成された、内部回路11と、内部回路11の周辺に設けられた入出力回路9とを含む。入出力回路9は、複数のIO(Input and Output)セル10と、IOセル10または内部回路11の上に半導体装置1の端辺14に沿って、3列の千鳥状に配置されたパッド505、506、515とを含む。
【0020】
IOセル10は、半導体装置1が、外部装置(図示しない)との信号の入出力や、外部装置からの電源電位及びGND電位(接地電位)の供給を受けるための回路ブロックである。内部回路11は、IOセル10から信号と、電源電位及びGND電位の供給を受け、所望の演算処理を行うための回路ブロックである。IOセル10内では、半導体装置1内部の多層配線(図示しない)によって、パッド505、506、515と内部回路11とが接続される。
【0021】
図3は、入出力回路9(
図2参照)の一部9Aを拡大して示した平面図である。
図3には、半導体装置1(
図2参照)の端辺14に沿うように配置された複数のIOセル10と、IOセル10の並びに沿って3列の千鳥状に配置されたパッド505、506、515、多層配線525が示される。
【0022】
パッド506が半導体装置1の端辺14に沿って一列に設けられ、パッド505がパッド506に対して半導体装置1の端辺14に近接する側(
図3の-Y方向)に、パッド506の配列方向(
図3のX方向)に沿って一列に設けられ、バッド515はパッド506に対して半導体装置1の端辺14から遠隔する側(
図3のY方向)に、パッド506の配列方向(
図3のX方向)に沿って、一列に設けられる。これらのパッドは3列の千鳥状に配置される。すなわち、パッド506は、その配列方向(
図3のX方向)に沿って、パッド515の隣接する2個のパッドの間に配置され、かつ、パッド505の隣接する2個のパッドの間に配置される。また、パッド505、506、515は、端辺14から遠隔する方向(離れる方向:
図3のY方向)に沿って、この順に配置されている。
【0023】
なお、本実施の形態1では、パッド505、バッド506、パッド515はいずれも、IOセル10の上部に配置されるPAD on IOセル構造である。また、多層配線525は、パッド505、515、506と同層の多層配線層で形成されてもよい。
【0024】
半導体装置1の端辺14に最も近接する第1列目のパッド505はIOセル10の電源線又はGND線と接続され、端辺14に2番目に近接する第2列目のパッド506はIOセル10の入出力信号線と接続される。また、パッド505とパッド515は、多層配線525によって電気的に接続される。
【0025】
[ワイヤボンディングによる実装の場合]
図4は、かかる半導体装置1(
図2参照)とBGAなどのパッケージ基板501とのWBによる接続を示した平面図である。
図4には、半導体装置1の入出力回路の一部9AとBGAなどのパッケージ基板501の主面の一部が示される。パッケージ基板501上のボンディング電極503は、電源用のボンディング電極503Aと、GND用のボンディング電極503Bとから構成される。GND用のボンディング電極503Bは、半導体装置1に最も近接する場所に端辺14に沿ってリング状に敷設され、電源用のボンディング電極503Aは、半導体体装置1から遠隔する側にGND用のボンディング電極503Bとは互いに離間して配置される。さらに、ボンディング電極504は、電源用のボンディング電極503Aに対して半導体装置1から遠隔する側に敷設される。
【0026】
半導体装置1がWBにより実装される場合には、半導体装置1の複数のパッド505のうちの電源線と接続されるパッド505Aは、ボンディングワイヤ507Aによって、電源用のボンディング電極503Aと接続され、GND線と接続されるパッド505Bは、ボンディングワイヤ507Bを介してGND用のボンディング電極503Bと接続される。また、半導体装置1のバッド506が、ボンディングワイヤ508によって、ボンディング電極504と接続される。なお、半導体装置1のパッド515にはボンディングワイヤは接続されない。
【0027】
半導体装置1により、半導体装置1の端辺14に最も近接するパッド505A、505Bが、ボンディングワイヤ507A、507Bによって、パッケージ基板501上の半導体装置1に最も近接する電源用またはGND用ボンディング電極503A、503Bとそれぞれ接続されるので、電源線またはGND線が接続されるボンディングワイヤ507A、507Bの長さが極小となる。
【0028】
かかる構成により、電源線またはGND線が接続されるボンディングワイヤの長さを極小にするために半導体装置1のパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。
【0029】
[フリップチップによる実装の場合]
図5は、この発明の実施の形態1に係る、同一の半導体装置1がFCによりBGA方式のパッケージに実装された電子装置101の構成を模式的に示す断面図である。
【0030】
電子装置101は、半導体装置1と、パッケージ基板102と、樹脂105と、アンダーフィル部材140と、バンプ電極131と、ボール電極124とを含む。パッケージ基板102は、たとえばガラス繊維入りエポキシ基板などから形成されたものであり、絶縁層と配線とを交互に積み上げることによって形成されたビルドアップ配線板である。樹脂105は、パッケージ基板102の主面を被覆する、たとえばエポキシ樹脂である。アンダーフィル部材140は、半導体装置1とパッケージ基板102との隙間の封止樹脂で、主にエポキシ樹脂を主剤とするコンポジットレジンである。バンプ電極131は、半導体装置1の主面上に格子状に並べて形成された、たとえば、はんだバンプである。ボール電極124は、パッケージ基板102の裏面に取り付けられる複数のはんだボールである。
【0031】
パッケージ基板102は、パッケージ電源配線又はGND配線121と、パッケージ信号配線122と、スルーホール配線123とを含む。パッケージ電源配線又はGND配線121及びパッケージ信号配線122は、パッケージ基板102の主面上に形成される。ボール電極124への接続及び引き出しを容易にするため、パッケージ信号配線122は、半導体装置1の端辺側に敷設され、パッケージ電源配線又はGND配線121は、半導体装置1の中央側に敷設されている。
【0032】
半導体装置1のバンプ電極131は、パッケージ電源配線又はGND配線121及びパッケージ信号配線122とはんだ等で接続され、スルーホール配線123、ボール電極124を介して外部装置と電気的に接続している。また、半導体装置1は樹脂105により被覆封止される。ここで、パッド515と接続されるバンプ電極131は点線で示し、パッド506と接続されるバンプ電極131と千鳥配置の関係にあることを示す。
【0033】
図6は、半導体装置1(
図2参照)とパッケージ基板102とのFCによる接続を示した平面図である。
図6には、半導体装置1の入出力回路の一部9Aと、FCなどのパッケージ基板102の主面の一部が示される。半導体装置1において、パッド515はIOセル10の電源線又はGND線と接続され、パッド506はIOセル10の入出力信号線と接続される。また、パッド505とパッド515は、配線525によって電気的に接続されている。
【0034】
半導体装置1がFCによりBGAなどのパッケージ基板102に実装される場合には、半導体装置1のパッド506は、バンプ電極131Sによってパッケージ信号配線122と接続される。半導体装置1のパッド515は、バンプ電極131VGによって、パッケージ基板102上のパッケージ電源配線又はGND配線121と接続される。
【0035】
半導体装置1において、入出力信号線と接続されるパッド506が電源線又はGND線と接続されるパッド515に対して、半導体装置1の端辺14に近接する側(
図6の-Y方向)に配置されているので、入出力信号線と接続されるパッド506とパッケージ信号配線122の接続が容易となる。
【0036】
かかる構成により、半導体装置1の入出力信号線をボール電極へ接続する際、半導体装置1のパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。
【0037】
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2に係る、半導体装置2の構成を模式的に示す平面図である。
図8は、この発明の実施の形態2に係る、半導体装置2(
図7参照)の入出力部9(
図7参照)の一部9Aを拡大して示した平面図である。
図8には、実施例の形態1と同様に、半導体装置1の端辺14に沿うように配置された複数のIOセル10と、IOセル10の並びに沿って3列の千鳥状に配置された複数のパッド505、506、515が示される。また、パッド505とパッド515は、半導体装置2内の多層配線525によって電気的に接続される。以下では、実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0038】
実施の形態2では、パッド505及び515はIOセル10の入出力信号線と接続され、パッド506はIOセル10の電源線又はGND線と接続される。
【0039】
[ワイヤボンディングによる実装の場合]
図9は、半導体装置2(
図7参照)とBGAなどのパッケージ基板501とのワイヤボンディングによる接続を示した平面図である。
図9には、半導体装置2の入出力回路9(
図7参照)の一部9AとBGAなどのパッケージ基板501の主面の一部が示される。実施の形態1と同様に、パッケージ基板501のボンディング電極503は、電源用のボンディング電極503Aと、GND用のボンディング電極503Bとから構成される。GND用のボンディング電極503Bは、パッケージ基板501上の半導体装置1に最も近接する場所に半導体装置1の端辺14に沿ってリング状に敷設され、電源用のボンディング電極503Aは、半導体体装置1から遠隔する側にGND用のボンディング電極503Bとは互いに離間して配置される。さらに、ボンディング電極504は、電源用のボンディング電極503Aに対して半導体装置1から遠隔する側に敷設される。
【0040】
パッケージ基板501に半導体装置1がWBにより実装される場合には、半導体装置1の複数のパッド506のうちの電源線と接続されるパッド506Aは、ボンディングワイヤ508Aによって、電源用のボンディング電極503Aと接続され、GND線と接続されるパッド506Bは、ボンディングワイヤ508Bを介してGND用のボンディング電極503Bと接続される。また、半導体装置1の入出力信号線と接続されるパッド515が、ボンディングワイヤ507によって、ボンディング電極504と接続される。パッド505には、ボンディングワイヤは接続されない。パッド505とボンディング電極504とをボンディングワイヤで接続すると、パッド506とボンディング電極503とを接続する際にボンディングワイヤ507と508の距離が小のため短絡する可能性があるからである。
【0041】
半導体装置1により、電源線又はGND線が接続されるパッド506A、506Bは、パッケージ基板501上の半導体装置1に最も近接する電源用またはGND用ボンディング電極503A、503Bと容易に接続でき、かつ、そのボンディングワイヤ長の増大が抑制できる。
【0042】
かかる構成により、半導体装置1において電源線またはGND線が接続されるボンディングワイヤの長さの増大を抑制するためのパッド配置の変更を行うことなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。
【0043】
[フリップチップによる実装の場合]
図10は、半導体装置2とBGAなどのパッケージ基板102とのフリップチップによる接続を示した平面図である。
図10には、半導体装置2(
図7参照)の入出力部9(
図7参照)の一部9Aと、FCなどのパッケージ基板102の主面の一部が示される。半導体装置2は、パッド515がIOセル10の入出力信号線と接続され、パッド506がIOセル10の電源線又はGND線と接続される。また、パッド505とパッド515は、半導体装置2の多層配線525によって電気的に接続される。また、パッケージ基板102の主面上には、パッケージ電源配線又はGND配線121とパッケージ信号配線122が敷設される。ボール電極124への接続及び引き出しを容易にするため、パッケージ信号配線122は、半導体装置2の端辺側(
図10の-Y方向)に敷設され、パッケージ電源配線又はGND配線121は、半導体装置2の中央側(
図10のY方向)に敷設されている。
【0044】
パッケージ基板102に半導体装置2が実装される場合には、半導体装置2の電源線又はGND線と接続されるパッド506は、バンプ電極131VGによってパッケージ電源配線又はGND配線121と接続される。入出力信号線と接続されるパッド505は、バンプ電極131Sによって、パッケージ信号配線122と接続される。
【0045】
半導体装置2において、入出力信号線と接続されるパッド505が電源線又はGND線と接続されるパッド506に対して、半導体装置2の端辺14に近接する側(
図10の-Y方向)に配置されているので、入出力信号線と接続されるパッド505とパッケージ信号配線122の接続が容易となる。
【0046】
かかる構成により、半導体装置2の入出力信号線をボール電極へ接続する際、半導体装置2のパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。
【0047】
(実施の形態3)
図11は、この発明の実施の形態3に係る、半導体装置3の構成を模式的に示す平面図である。
図12は、この発明の実施の形態3に係る、半導体装置3(
図11参照)の入出力部9(
図11参照)の一部9Aを拡大して示した平面図である。
図12には、実施例の形態1と同様に、半導体装置3の端辺14に沿うように配置された複数のIOセル10と、IOセル10の並びに沿って3列の千鳥状に配置された複数のパッド505、506、515が示される。
【0048】
パッド505、515は半導体装置3内の多層配線によりIOセル10の電源線又はGND線と接続され、パッド506はIOセル10の入出力信号線と接続される。また、パッド505とパッド515は、半導体装置3内の多層配線525によって電気的に接続される点は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態1と異なる点について主に説明する。
【0049】
実施の形態3では、パッド505、515のその配列方向に垂直な方向(
図12のY方向)の長さが、パッド506に比し小さい。
【0050】
[ワイヤボンディングによる実装の場合]
図13にプローブ痕550を模式的に示すように、WBにより実装した電子装置を出荷する場合、出荷時のプロービングテストではプローブ針による半導体装置3(
図11参照)の入出力信号線との導通にパッド506、半導体装置3の電源線又はGND線との導通にパッド515を用いる。これにより、WBにより実装する際に半導体装置3の電源線と接続されるパッド515A,505Aのうち、電源用のボンディング電極503Aとの接続にプロービング痕550が残らないパッド505Aを用いることができる。また、半導体装置1のGND線と接続されるパッド515B、505Bのうち、GND用のボンディング電極503Bとの接続にプロービング痕550が残らないパッド505Bを用いることができる。
【0051】
かかる構成により、電源線及びGND線が接続されるボンディングワイヤの長さを極小にするために半導体装置3のパッド配置を変更することなく容易に実装でき、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。さらに、パッド面積の増加が抑制できるので、半導体装置3の面積増に伴う製造コストの増大が抑制できる。
【0052】
[フリップチップによる実装の場合]
図14にプローブ痕550を模式的に示すように、FCにより実装した電子装置を出荷する場合、出荷時のプロービングテストではプローブ針による半導体装置3(
図11参照)の入出力信号線との導通にパッド506、半導体装置3の電源線又はGND線との導通にパッド505を用いる。これにより、FCにより実装するときの半導体装置3の電源線又はGND線とパッケージ電源配線又はGND配線121との接続にプロービング痕550が残らないパッド515を用いることができる。
【0053】
かかる構成により、半導体装置1の入出力信号線をボール電極へ接続するときの引き出しを容易にするために半導体装置1のパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。さらに、パッド面積の増加を抑制できるので、半導体装置1の面積増による製造コストの増大が抑制できる。
【0054】
(実施の形態4)
図15は、この発明の実施の形態4に係る、半導体装置4の構成を模式的に示す平面図である。
図16は、この発明の実施の形態4に係る、半導体装置4(
図15参照)の入出力部9(
図15参照)の一部9Aを拡大して示した平面図である。
図16には、実施例の形態2と同様に、半導体装置4の端辺14に沿うように配置された複数のIOセル10と、IOセル10の並びに沿って3列の千鳥状に配置された複数のパッド505、506、515が示される。
【0055】
パッド505、515は半導体装置4内の配線によりIOセル10の入出力信号線と接続され、パッド506はIOセル10の電源線又はGND線と接続される。また、パッド505とパッド515が半導体装置4内の多層配線525によって電気的に接続される。以下では、実施の形態2と異なる点について主に説明する。
【0056】
実施の形態4では、パッド505、515の半導体装置4の端辺14に垂直な方向(Y方向)の長さが、パッド506に比し小さい。
【0057】
[ワイヤボンディングによる実装の場合]
図17にプローブ痕550を模式的に示すように、WBにより実装した電子装置を出荷する場合、出荷時のプロービングテストではプローブ針による半導体装置4(
図15参照)の電源線又はGND線との導通にパッド506、半導体装置4の入出力信号線との導通にパッド505を用いる。これにより、WBにより実装するときの半導体装置1の入出力信号線とパッケージ基板501のボンディング電極504との接続にプロービング痕550が残らないパッド515を用いることができる。
【0058】
かかる構成により、半導体装置4の電源線及びGND線が接続されるボンディングワイヤの長さを極小にするために半導体装置4のパッド配置を変更することなく容易に実装でき、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。さらに、パッド面積の増加を抑制できるので、半導体装置4の面積増による製造コストの増大が抑制できる。
【0059】
[フリップチップによる実装の場合]
図18にプローブ痕を模式的に示すように、FCにより実装した電子装置を出荷する場合、出荷時のプロービングテストではプローブ針による半導体装置4(
図15参照)の電源線又はGND線との導通にパッド506、半導体装置1の入出力信号線との導通にパッド515を用いる。これにより、FCにより実装するときの半導体装置1の入出力信号線とパッケージ信号配線122との接続にプロービング痕550(
図17参照)が残らないパッド505を用いることができる。
【0060】
かかる構成により、半導体装置4の入出力信号線をボール電極へ接続するときの引き出しを容易にするために半導体装置4のパッド配置を変更することなく容易に実装できるので、設計期間及び製造コストの増大を抑制できる。さらに、パッド面積の増加を抑制できるので、半導体装置4の面積増による製造コストの増大が抑制できる。
【0061】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0062】
例えば、本発明に係る、3列の千鳥状に配置されたパッド505、506、515は、長方形の半導体装置1乃至4の4辺に備えても良いし、一部の辺に備えてもよい。また、辺の一部にのみ実施してもよい。さらに、辺の一部毎に、実施の形態1~4と従来のパッド配置を混在して形成しても良い。またさらに、実施の形態1~4を組合せてもよい。