(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
H05H1/26
(21)【出願番号】P 2019170521
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】堀越 章
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭平
(72)【発明者】
【氏名】高辻 茂
(72)【発明者】
【氏名】河野 元宏
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-303814(JP,A)
【文献】特開2005-302697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを受け入れることになるガス入口と、前記ガス入口から受け入れた前記ガスを送り出すガス出口と、前記ガス入口から前記ガス出口まで前記ガスの流方向に沿って延びる空洞部と、が設けられ、前記空洞部を介して互いに対向する第1誘電体部および第2誘電体部を有するガス経路部と、
第1電位が印加されることになるものであって、前記第1誘電体部を介して前記空洞部に対向する第1電極と、
前記第1電位と異なる第2電位が印加されることになるものであって、前記流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、前記第1電極に前記第1誘電体部と前記空洞部と前記第2誘電体部とを介して
厚み方向に対して傾いた方向に配置された第2電極と、
前記第1電位が印加されることになるものであって、前記第2誘電体部と前記空洞部と前記第1誘電体部とを介して前記第1電極に対向する第1対向電極と、
前記第2電位が印加されることになるものであって、前記第1誘電体部と前記空洞部と前記第2誘電体部とを介して前記第2電極に対向する第2対向電極と、
を備える、プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記第1電極は、前記第1誘電体部に面する平坦な第1対向面を有しており、前記第2電極は、前記第2誘電体部に面する平坦な第2対向面を有しており、前記第1対向面および前記第2対向面の各々は、前記流方向に平行な一の基準平面に平行である、請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、前記空洞部は、前記流方向に垂直な方向において前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた中間領域と、前記ガス入口から前記中間領域まで延びる入口領域と、前記中間領域から前記ガス出口まで延びる出口領域とを有している、請求項2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記中間領域は、
前記流方向における第1位置で、前記流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、
前記流方向における前記第1位置と前記ガス出口との間の第2位置で、前記流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、前記第1寸法は前記第2寸法よりも小さい、
請求項3に記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記第1電位が印加されることになるものであって、前記第1誘電体部を介して前記空洞部に対向する第3電極
をさらに備える、請求項1から
4のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記第1誘電体部を介して前記空洞部に対向する第3電極と、
前記第2誘電体部と前記空洞部と前記第1誘電体部とを介して前記第3電極に対向する第4電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に第1交流電圧を印加する第1電源と、
前記第3電極と前記第4電極との間に第2交流電圧を印加する第2電源と、
をさらに備える、請求項1から
4のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
ガスを受け入れることになるガス入口と、前記ガス入口から受け入れた前記ガスを送り出すガス出口と、前記ガス入口から前記ガス出口まで前記ガスの流方向に沿って延びる空洞部と、が設けられ、前記空洞部を介して互いに対向する第1誘電体部および第2誘電体部を有するガス経路部と、
第1電位が印加されることになるものであって、前記第1誘電体部を介して前記空洞部に対向する第1電極と、
前記第1電位と異なる第2電位が印加されることになるものであって、前記流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、前記第1電極に前記第1誘電体部と前記空洞部と前記第2誘電体部とを介して
厚み方向に対して傾いた方向に配置された第2電極と、
を備え
、
前記第1電極は、前記第1誘電体部に面する平坦な第1対向面を有しており、前記第2電極は、前記第2誘電体部に面する平坦な第2対向面を有しており、前記第1対向面および前記第2対向面の各々は、前記流方向に平行な一の基準平面に平行であり、
前記基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、前記空洞部は、前記流方向に垂直な方向において前記第1電極と前記第2電極との間に挟まれた中間領域と、前記ガス入口から前記中間領域まで延びる入口領域と、前記中間領域から前記ガス出口まで延びる出口領域とを有しており、
前記中間領域は、
前記流方向における第1位置で、前記流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、
前記流方向における前記第1位置と前記ガス出口との間の第2位置で、前記流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、前記第1寸法は前記第2寸法よりも小さい、プラズマ発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、大気圧プラズマの利用が進められている。例えば特許文献1によれば、抗腫瘍効果を奏する水溶液を得る目的で、水溶液に非平衡大気圧プラズマがプラズマ発生装置によって照射される。例示されている一のプラズマ発生装置は、筐体部の内部において対向して配置されている対向電極対を有している。筐体部のガス導入口からアルゴンを導入するとともに、電極間に電圧を印加すると、筐体部の内部にプラズマが発生する。プラズマは筐体部に形成された多数のガス噴出口の外部に照射される。これらガス噴出口を一の方向に沿って形成することによって、プラズマを線状に噴出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プラズマ発生装置は、点状ではなく線状のプラズマが噴出される。よってこの装置は、広い領域への効率的なプラズマ処理に適している。一方でこの装置は、プラズマを発生させるために、ガス導入口からガス噴出口へ向かって筐体内部にガスを流し、かつ、筐体内部に配置された対向電極対に電圧を印加する。このとき、電極がプラズマに直接さらされているので、電極からの異物がプラズマに混入しやすく、この異物が被処理物へ悪影響を与えることがある。また、両電極が筐体部の内部にあるので電極間が筐体部によって遮られていない。よって、電極間で被処理物を経由した比較的大きな電流が流れやすく、この電流が被処理物に悪影響を与えることがある。
【0005】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、被処理物への悪影響を抑えつつ被処理物へ効率的にプラズマを照射することができるプラズマ発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、プラズマ発生装置であって、ガス経路部と、第1電極と、第2電極と、第1対向電極と、第2対向電極とを有している。ガス経路部は、ガスを受け入れることになるガス入口と、ガス入口から受け入れたガスを送り出すガス出口と、ガス入口からガス出口までガスの流方向に沿って延びる空洞部と、が設けられており、空洞部を介して互いに対向する第1誘電体部および第2誘電体部を有している。第1電極は、第1電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部を介して空洞部に対向している。第2電極は、第1電位と異なる第2電位が印加されることになるものであって、流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、第1電極に第1誘電体部と空洞部と第2誘電体部とを介して厚み方向に対して傾いた方向に配置されている。第1対向電極は、第1電位が印加されることになるものであって、第2誘電体部と空洞部と第1誘電体部とを介して第1電極に対向している。第2対向電極は、第2電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部と空洞部と第2誘電体部とを介して第2電極に対向している。
【0007】
第2の態様は、第1の態様のプラズマ発生装置であって、第1電極は、第1誘電体部に面する平坦な第1対向面を有しており、第2電極は、第2誘電体部に面する平坦な第2対向面を有しており、第1対向面および第2対向面の各々は、流方向に平行な一の基準平面に平行である。
【0008】
第3の態様は、第2の態様のプラズマ発生装置であって、基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、空洞部は、流方向に垂直な方向において第1電極と第2電極との間に挟まれた中間領域と、ガス入口から中間領域まで延びる入口領域と、中間領域からガス出口まで延びる出口領域とを有している。
【0009】
第4の態様は、第3の態様のプラズマ発生装置であって、中間領域は、流方向における第1位置で、流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、流方向における第1位置とガス出口との間の第2位置で、流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、第1寸法は第2寸法よりも小さい。
【0012】
第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様のプラズマ発生装置であって、第3電極をさらに有している。第3電極は、第1電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部を介して空洞部に対向している。
【0013】
第6の態様は、第1から第4のいずれかの態様のプラズマ発生装置であって、第3電極と、第4電極と、第1電源と、第2電源とをさらに有している。第3電極は、第3電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部を介して空洞部に対向している。第4電極は、第3電位と異なる第4電位が印加されることになるものであって、第2誘電体部と空洞部と第1誘電体部とを介して第3電極に対向している。第1電源は第1電極と第2電極との間に第1交流電圧を印加する。第2電源は第3電極と第4電極との間に第2交流電圧を印加する。
第7の態様は、プラズマ発生装置であって、ガス経路部と、第1電極と、第2電極とを有している。ガス経路部は、ガスを受け入れることになるガス入口と、ガス入口から受け入れたガスを送り出すガス出口と、ガス入口からガス出口までガスの流方向に沿って延びる空洞部と、が設けられており、空洞部を介して互いに対向する第1誘電体部および第2誘電体部を有している。第1電極は、第1電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部を介して空洞部に対向している。第2電極は、第1電位と異なる第2電位が印加されることになるものであって、流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、第1電極に第1誘電体部と空洞部と第2誘電体部とを介して厚み方向に対して傾いた方向に配置されている。第1電極は、第1誘電体部に面する平坦な第1対向面を有しており、第2電極は、第2誘電体部に面する平坦な第2対向面を有しており、第1対向面および第2対向面の各々は、流方向に平行な一の基準平面に平行である。基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、空洞部は、流方向に垂直な方向において第1電極と第2電極との間に挟まれた中間領域と、ガス入口から中間領域まで延びる入口領域と、中間領域からガス出口まで延びる出口領域とを有している。中間領域は、流方向における第1位置で、流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、流方向における第1位置とガス出口との間の第2位置で、流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、第1寸法は第2寸法よりも小さい。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様によれば、第1電極および第2電極のそれぞれと、ガスが流れる空洞部との間が、第1誘電体部および第2誘電体部によって隔てられている。これにより、第1電極および第2電極がプラズマに直接さらされないので、第1電極および第2電極からの異物が被処理物へ悪影響を与えることが防止される。また、第1電極と第2電極との間が第1誘電体部および第2誘電体部によって遮られているので、電極間で被処理物を経由した比較的大きな電流が流れにくく、よってこの電流が被処理物に悪影響を与えることが防止される。以上から、プラズマが照射される被処理物への悪影響が抑えられる。さらに、第1の態様によれば、ガスの流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、第1電極と第2電極とが、第1誘電体部と空洞部と第2誘電体部とを介して対向している。この配置により、空洞部内においてガスの流方向に垂直な電界が発生し、この電界によって発生したプラズマが、流方向に沿って流れるガスによって効率的に押し出される。よって、被処理物へプラズマを効率的に照射することができる。以上から、被処理物への悪影響を抑えつつ被処理物へ効率的にプラズマを照射することができる。さらに第1対向電極が設けられることによって、プラズマの着火を、より確実に行うことができる。さらに第2対向電極が設けられることによって、プラズマの着火を、より確実に行うことができる。
【0015】
第2の態様によれば、ガスの流れを、基準平面に平行な方向に、広く拡散させることができる。これにより、基準平面に平行な線状に広く拡がるプラズマを得ることができる。
【0016】
第3の態様によれば、上記基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、空洞部は、流方向に垂直な方向において第1電極と第2電極との間に挟まれた中間領域と、ガス入口から中間領域まで延びる入口領域と、中間領域からガス出口まで延びる出口領域とを有している。これにより、中間領域において発生したプラズマが、入口領域からのガスの流れによって出口領域へと押し出される。よって、ガス出口からプラズマを効率的に噴出することができる。
【0017】
第4の態様によれば、上記中間領域は、流方向における第1位置で、流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、流方向における第1位置とガス出口との間の第2位置で、流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、第1寸法は第2寸法よりも小さい。これにより、中間領域のうち、相対的に小さな第1寸法で第1電極および第2電極が対向する箇所においてプラズマの着火を容易に行うことができる。さらに、当該箇所において着火したプラズマがガスの流方向に沿って移動することで、中間領域のうち、相対的に大きな第2寸法で第1電極および第2電極が対向する箇所でも、プラズマを発生させることができる。よって、プラズマの着火を容易としつつ、第1電極と第2電極との間でのプラズマの寸法を大きくすることができる。
【0020】
第5の態様によれば、さらに第3電極が設けられることによって、より広範囲にプラズマを発生させることができる。
【0021】
第6の態様によれば、第1電源だけでなく第2電源が設けられることによって、電界の分布を調整しやすくなる。これにより、プラズマの安定性を高めることができる。
第7の態様によれば、第1の態様によれば、第1電極および第2電極のそれぞれと、ガスが流れる空洞部との間が、第1誘電体部および第2誘電体部によって隔てられている。これにより、第1電極および第2電極がプラズマに直接さらされないので、第1電極および第2電極からの異物が被処理物へ悪影響を与えることが防止される。また、第1電極と第2電極との間が第1誘電体部および第2誘電体部によって遮られているので、電極間で被処理物を経由した比較的大きな電流が流れにくく、よってこの電流が被処理物に悪影響を与えることが防止される。以上から、プラズマが照射される被処理物への悪影響が抑えられる。さらに、第1の態様によれば、ガスの流方向に垂直な少なくとも一の断面視において、第1電極と第2電極とが、第1誘電体部と空洞部と第2誘電体部とを介して対向している。この配置により、空洞部内においてガスの流方向に垂直な電界が発生し、この電界によって発生したプラズマが、流方向に沿って流れるガスによって効率的に押し出される。よって、被処理物へプラズマを効率的に照射することができる。以上から、被処理物への悪影響を抑えつつ被処理物へ効率的にプラズマを照射することができる。さらに、ガスの流れを、基準平面に平行な方向に、広く拡散させることができる。これにより、基準平面に平行な線状に広く拡がるプラズマを得ることができる。さらに、上記基準平面に平行な平面レイアウトにおいて、空洞部は、流方向に垂直な方向において第1電極と第2電極との間に挟まれた中間領域と、ガス入口から中間領域まで延びる入口領域と、中間領域からガス出口まで延びる出口領域とを有している。これにより、中間領域において発生したプラズマが、入口領域からのガスの流れによって出口領域へと押し出される。よって、ガス出口からプラズマを効率的に噴出することができる。さらに、上記中間領域は、流方向における第1位置で、流方向に垂直な方向において第1寸法を有しており、流方向における第1位置とガス出口との間の第2位置で、流方向に垂直な方向において第2寸法を有しており、第1寸法は第2寸法よりも小さい。これにより、中間領域のうち、相対的に小さな第1寸法で第1電極および第2電極が対向する箇所においてプラズマの着火を容易に行うことができる。さらに、当該箇所において着火したプラズマがガスの流方向に沿って移動することで、中間領域のうち、相対的に大きな第2寸法で第1電極および第2電極が対向する箇所でも、プラズマを発生させることができる。よって、プラズマの着火を容易としつつ、第1電極と第2電極との間でのプラズマの寸法を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。
【
図3】
図1のプラズマ発生装置の平面レイアウトを説明する平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態2におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図4の線V-Vに沿う概略的な断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態3におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図7】
図6の線VII-VIIに沿う概略的な断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態4におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図8の線IX-IXに沿う概略的な断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態5におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図12】本発明の実施の形態6におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【
図13】
図12の線XIII-XIIIに沿う概略的な断面図である。
【
図14】参考例におけるプラズマ発生装置の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。方向についての説明の便宜上、各図においてxyz直交座標系が示されている。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0024】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1におけるプラズマ発生装置91の構成を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1の線II-IIに沿う概略的な断面図である。プラズマ発生装置91は、ガス経路部10と、第1電極51と、第2電極52と、第1対向電極51pと、第2対向電極52pと、ガス供給部20と、電源61(第1電源)とを有している。
【0025】
ガス供給部20は、ガス経路部10へガスを供給する。ガスは、例えば、希ガス、窒素ガス、または空気であり、好ましくは、アルゴンガスまたはヘリウムガスなどの希ガスである。希ガスを用いることによって、プラズマの着火が容易となり、かつ、プラズマ発生装置91の外へプラズマを噴出させやすくなる。
【0026】
ガス経路部10には、ガス供給部20からガスを受け入れることになるガス入口T1と、ガス入口T1から受け入れたガスを送り出すガス出口T2と、ガス入口T1からガス出口T2までガスの流方向DF(
図2においてはy方向)に沿って延びる空洞部HLとが設けられている。この構成を得るべくガス経路部10は、第1誘電体部11と、第2誘電体部12と、スペーサ13とを有している。第1誘電体部11および第2誘電体部12は、空洞部HLを介して互いに対向している。具体的には、第1誘電体部11および第2誘電体部12の各々は、xy面に平行にひろがりz方向に厚みを有する平板であり、これらがz方向において間隔を空けて互いに対向している。スペーサ13は、空洞部HLの縁のうち、ガス入口T1およびガス出口T2以外の部分を封止しており、これにより流方向DFが規定されている。
【0027】
ガス供給部20からのガスは、前述したように希ガスであることが望ましい。その場合、プロセスコストを抑えるためにガス流量を抑制することが望まれる。ガス流量は、空洞部HLの厚み(z方向の寸法)が小さいほど抑制することができる。この観点で、空洞部HLの厚みは、好ましくは0.1mm以上1mm以下である。
【0028】
第1誘電体部11および第2誘電体部12は、高いプラズマ耐性を有する誘電体からなり、例えば石英またはセラミックからなる。スペーサ13も同様の材料からなっていてよい。第1誘電体部11、第2誘電体部12およびスペーサ13は、必ずしも個別の部材である必要はない。例えば、第1誘電体部11、第2誘電体部12およびスペーサ13の全体が、同じ材料からなる一の部材であってよい。
【0029】
電源61は、第1端子および第2端子のそれぞれから、第1電位と、第1電位と異なる第2電位とを発生する。具体的には、電源61は交流電源であり、第1電位と第2電位との間で交流電圧を発生する。
【0030】
第1電極51は、電源61によって第1電位が印加されることになるものである。第1電極51は、第1誘電体部11を介して空洞部HLに対向している。
図2においては、第1電極51は、第1誘電体部11の上面上に直接設けられている。
【0031】
第2電極52は、電源61によって第2電位が印加されることになるものである。第2電極52は、流方向DFに垂直な少なくとも一の断面視(
図2)において、第1電極51に、第1誘電体部11と空洞部HLと第2誘電体部12とを介して対向している。第1電極51と第2電極52とが互いに対向する方向は、
図2に示されているように、厚み方向(z方向)に対して傾いていることが好ましい。
図2においては、第2電極52は、第2誘電体部12の下面上に直接設けられている。
【0032】
第1対向電極51pは、第1電位が印加されることになるものである。第1対向電極51pは、第2誘電体部12と空洞部HLと第1誘電体部11とを介して第1電極51に対向している。第1電極51と第1対向電極51pとが互いに対向する方向は、
図2に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図2においては、第1対向電極51pは、第2誘電体部12の下面上に直接設けられている。
【0033】
第2対向電極52pは、第2電位が印加されることになるものである。第2対向電極52pは、第1誘電体部11と空洞部HLと第2誘電体部12とを介して第2電極52に対向している。第2電極52と第2対向電極52pとが互いに対向する方向は、
図2に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図2においては、第2対向電極52pは、第1誘電体部11の上面上に直接設けられている。
【0034】
第1電極51は、第1誘電体部11に面する平坦な第1対向面(
図2における下面)を有している。第2電極52は、第2誘電体部12に面する平坦な第2対向面(
図2における上面)を有している。第1電極51の第1対向面(
図2における下面)および第2電極52の第2対向面(
図2における上面)の各々は、流方向DFに平行な一の基準平面、すなわちxy平面、に平行である。第1対向電極51pは、第2誘電体部12に面する平坦な面(
図2における上面)を有しており、この面は基準平面(xy平面)に平行である。第2対向電極52pは、第1誘電体部11に面する平坦な面(
図2における下面)を有しており、この面は基準平面(xy平面)に平行である。
【0035】
図3は、プラズマ発生装置91の、xy平面(基準平面)に平行な平面レイアウトを示す平面図である。
図3において、空洞部HLは、入口領域HL1と、出口領域HL2と、中間領域HL3と、周辺領域HL4とを有している。中間領域HL3は、x方向(流方向DFに垂直な方向)において第1電極51と第2電極52との間に挟まれている。入口領域HL1はガス入口T1から中間領域HL3まで延びている。出口領域HL2は中間領域HL3からガス出口T2まで延びている。周辺領域HL4は、入口領域HL1、出口領域HL2および中間領域HL3から外れた領域であり、省略されていてもよい。
【0036】
中間領域HL3の幅(x方向における寸法)が大きいほど、プラズマPLの幅も大きくすることができる。一方で、この幅が過度に大きいとプラズマの着火が困難となる。この観点で、中間領域HL3の幅は、好ましくは10mm以上30mm以下である。この場合、幅10mm以上30mm以下程度のプラズマPLのジェットを得ることができる。
【0037】
本実施の形態によれば、第1電極51および第2電極52のそれぞれと、ガスが流れる空洞部HLとの間が、第1誘電体部11および第2誘電体部12によって隔てられている。これにより、第1電極51および第2電極52がプラズマに直接さらされないので、第1電極51および第2電極52からの異物が被処理物へ悪影響を与えることが防止される。また、第1電極51と第2電極52との間が第1誘電体部11および第2誘電体部12によって遮られているので、電極間で被処理物を経由した比較的大きな電流が流れにくく、よってこの電流が被処理物に悪影響を与えることが防止される。以上から、プラズマPLが照射される被処理物への悪影響が抑えられる。さらに、本実施の形態によれば、ガスの流方向DFに垂直な少なくとも一の断面視(
図2)において、第1電極51と第2電極52とが、第1誘電体部11と空洞部HLと第2誘電体部12とを介して対向している。この配置により、空洞部HL内においてガスの流方向DFに垂直な電界が発生し、この電界によって発生したプラズマが、流方向DFに沿って流れるガスによって効率的に押し出される。よって、被処理物へプラズマPLを効率的に照射することができる。以上から、被処理物への悪影響を抑えつつ被処理物へ効率的にプラズマを照射することができる。
【0038】
第1電極51および第2対向電極52pが第1誘電体部11に面する平坦な面を有しており、かつ、第2電極52および第1対向電極51pが第2誘電体部12に面する平坦な面を有している場合、第1誘電体部11および第2誘電体部12の各々として平板を用いることができる。それにより、平板に平行な方向、具体的にはx方向、に、ガスの流れを広く拡散させることができる。これにより、x方向に平行な線状に広く拡がるプラズマPL(
図1)を得ることができる。
【0039】
平面レイアウト(
図2)において、空洞部HLは、流方向DFに垂直な方向において第1電極51と第2電極52との間に挟まれた中間領域HL3と、ガス入口T1から中間領域HL3まで延びる入口領域HL1と、中間領域HL3からガス出口T2まで延びる出口領域HL2とを有している。これにより、中間領域HL3において発生したプラズマが、入口領域HL1からのガスの流れによって出口領域HL2へと押し出される。よって、ガス出口T2からプラズマPLを効率的に噴出することができる。言い換えれば、プラズマジェットを効率的に得ることができる。
【0040】
第1電位が印加される電極として、第1電極51に加えてさらに第1対向電極51pが設けられることによって、プラズマの着火を、より確実に行うことができる。また、第2電位が印加される電極として第2電極52に加えてさらに第2対向電極52pが設けられることによって、プラズマの着火を、より確実に行うことができる。
【0041】
<実施の形態2>
図4は、本実施の形態2におけるプラズマ発生装置92の構成を概略的に示す平面図である。
図5は、
図4の線V-Vに沿う概略的な断面図である。
【0042】
プラズマ発生装置92は、前述した実施の形態1におけるプラズマ発生装置91の構成に加えてさらに、第3電極51Aと、第3対向電極51Apとを有している。第3電極51Aは、第1電極51と同様、第1電位が印加されることになるものであって、第1誘電体部11を介して空洞部HLに対向している。
【0043】
第3対向電極51Apは、第1対向電極51pと同様、第1電位が印加されることになるものである。第3対向電極51Apは、第2誘電体部12と空洞部HLと第1誘電体部11とを介して第3電極51Aに対向している。第3電極51Aと第3対向電極51Apとが互いに対向する方向は、
図5に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図5においては、第3電極51Aは第1誘電体部11の上面上に直接設けられており、第3対向電極51Apは第2誘電体部12の下面上に直接設けられている。
【0044】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比して、さらに第3電極51Aおよび第3対向電極51Apが設けられることによって、より広範囲にプラズマPLを発生させることができる。具体的には、プラズマPLのx方向における幅を、実施の形態1に比して倍以上とすることができる。
【0045】
<実施の形態3>
図6は、本実施の形態3におけるプラズマ発生装置93の構成を概略的に示す平面図である。
図7は、
図6の線VII-VIIに沿う概略的な断面図である。プラズマ発生装置93は、前述した実施の形態2におけるプラズマ発生装置92(
図4および
図5)から、第1対向電極51p、第2対向電極52pおよび第3対向電極51Apが省略された構成に対応している。本実施の形態によれば、実施の形態2に比して、電極構造および配線構造を簡素化することができる。
【0046】
<実施の形態4>
図8は、本実施の形態4におけるプラズマ発生装置94の構成を概略的に示す平面図である。
図9は、
図8の線IX-IXに沿う概略的な断面図である。プラズマ発生装置94は、前述した実施の形態2におけるプラズマ発生装置92(
図4および
図5)の構成に加えてさらに、第4電極52Aと、第4対向電極52Apとを有している。
【0047】
第4電極52Aは、第2電極52と同様、第2電位が印加されることになるものである。第4電極52Aは、第2誘電体部12と空洞部HLと第1誘電体部11とを介して第3電極51Aに対向している。第4対向電極52Apは、第2対向電極52pと同様、第2電位が印加されることになるものである。第4対向電極52Apは、第1誘電体部11と空洞部HLと第2誘電体部12とを介して第4電極52Aに対向している。第4電極52Aと第4対向電極52Apとが互いに対向する方向は、
図9に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図9においては、第4電極52Aは第2誘電体部12の下面上に直接設けられており、第4対向電極52Apは第1誘電体部11の上面上に直接設けられている。
【0048】
本実施の形態によれば、実施の形態2に比して、さらに第4電極52Aおよび第4対向電極52Apが設けられることによって、より広範囲にプラズマPLを発生させることができる。具体的には、プラズマPLのx方向における幅を、実施の形態2に比して1.5倍以上とすることができる。なお、さらに電極を追加することによって、プラズマPLの幅をさらに大きくすることも可能である。
【0049】
<実施の形態5>
図10は、本実施の形態5におけるプラズマ発生装置95の構成を概略的に示す平面図である。
図11は、
図10の線XI-XIに沿う概略的な断面図である。プラズマ発生装置95は、前述した実施の形態1におけるプラズマ発生装置91の構成に加えてさらに、第3電極53と、第4電極54と、第3対向電極53pと、第4対向電極54pと、電源62(第2電源)とを有している。
【0050】
第3電極53は第1誘電体部11を介して空洞部HLに対向している。第4電極54は第2誘電体部12と空洞部HLと第1誘電体部11とを介して第3電極53に対向している。電源61は第1電極51と第2電極52との間に第1交流電圧を印加する。電源62は第3電極53と第4電極54との間に第2交流電圧を印加する。第1交流電圧と第2交流電圧とは互いに異なっていてよい。電源61と電源62とは、電圧に関して、互いに独立して制御可能に構成されていることが好ましい。
【0051】
第3対向電極53pは、第1対向電極51pと同様、第1電位が印加されることになるものである。第3対向電極53pは、第2誘電体部12と空洞部HLと第1誘電体部11とを介して第3電極53に対向している。第3電極53と第3対向電極53pとが互いに対向する方向は、
図11に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図11においては、第3電極53は第1誘電体部11の上面上に直接設けられており、第3対向電極53pは第2誘電体部12の下面上に直接設けられている。
【0052】
第4対向電極54pは、第2対向電極52pと同様、第2電位が印加されることになるものである。第4対向電極54pは、第1誘電体部11と空洞部HLと第2誘電体部12とを介して第4電極54に対向している。第4電極54と第4対向電極54pとが互いに対向する方向は、
図11に示されているように、厚み方向(z方向)に沿っていることが好ましい。
図11においては、第4電極54は第2誘電体部12の下面上に直接設けられており、第4対向電極54pは第1誘電体部11の上面上に直接設けられている。
【0053】
xy平面(基準平面)に平行な平面レイアウトにおいて、第3電極53および第4電極54は、x方向において第1電極51および第2電極52の間に配置されていてよい。その場合、第3電極53はx方向において第2電極52と第4電極54との間に配置されていることが好ましく、また第4電極54はx方向において第1電極51と第3電極53との間に配置されていることが好ましい。
【0054】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比して、さらに第3電極53、第4電極54、第3対向電極53pおよび第4対向電極54pが設けられることによって、より広範囲にプラズマPLを発生させることができる。また、電源61だけでなく電源62が設けられることによって、電界の分布を調整しやすくなる。これにより、プラズマPLの安定性を高めることができる。
【0055】
<実施の形態6>
図12は、本実施の形態6におけるプラズマ発生装置96の構成を概略的に示す平面図である。
図13は、
図12の線XIII-XIIIに沿う概略的な断面図である。
【0056】
前述した実施の形態1におけるプラズマ発生装置91は、
図3において説明したように、入口領域HL1、出口領域HL2および中間領域HL3を有している。これに対して、本実施の形態におけるプラズマ発生装置96は、入口領域HLC1、出口領域HLC2および中間領域HLC3を有している。中間領域HLC3は、y方向(すなわち、流方向DF)における第1位置で、x方向(すなわち、流方向DFに垂直な方向)において第1寸法ST1を有しており、y方向における第1位置とガス出口T2との間の第2位置で、x方向において第2寸法ST2を有している。第1寸法ST1は第2寸法ST2よりも小さい。
【0057】
y方向における位置が出口領域HLC2に近づくにつれて、当該位置での中間領域HLC3のx方向における寸法は、不連続的ではなく連続的に変化している。具体的には、y方向における位置が出口領域HLC2に近づくにつれて、当該位置での中間領域HLC3のx方向における寸法は、徐々に増大している。なお変形例として、中間領域は、y方向における位置の変化に対して上記寸法が一定となるような部分を含んでもよい。
【0058】
プラズマ発生装置96のプラズマの着火工程においては、中間領域HLC3のうち、まず、第1寸法ST1の部分(x方向における寸法が相対的に小さい部分)で着火が生じる。これにより、まず、第1寸法ST1の部分および第2寸法ST2の部分のうち、前者においてのみプラズマが発生する。このプラズマが流方向DFに流れるガスによって押されることによって、プラズマが第2寸法ST2の部分にも拡がる。その結果、第2寸法ST2程度の幅を有するプラズマPLがプラズマ発生装置96のガス出口T2から噴出される。
【0059】
本実施の形態のプラズマ発生装置96によれば、中間領域HLC3のうち、相対的に小さな第1寸法ST1で第1電極51Cおよび第2電極52Cが対向する箇所において、プラズマの着火を容易に行うことができる。さらに、当該箇所において着火したプラズマがガスの流方向DFに沿って移動することで、中間領域HLC3のうち、相対的に大きな第2寸法ST2で第1電極51Cおよび第2電極52Cが対向する箇所でも、プラズマを発生させることができる。よって、プラズマの着火を容易としつつ、第1電極51Cと第2電極52Cとの間でのプラズマの寸法を大きくすることができる。例えば、第1寸法ST1に比して第2寸法ST2を倍以上とすることで、プラズマPLのx方向における幅を、実施の形態1に比して倍以上とすることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態によれば、実施の形態2のプラズマ発生装置92(
図4および
図5)と異なり、幅方向(x方向)におけるプラズマの分布が電極によって分断されない。よって、幅方向において均一性の高いプラズマPLのジェットを得ることができる。これに対して、プラズマ発生装置92(
図4および
図5)の場合は、第2電極52および第2対向電極52pが、幅方向(x方向)におけるプラズマの分布を分断し、その結果、プラズマPLのジェットの、幅方向における強度むらにつながる。なお第2電極52および第2対向電極52pの幅を小さくすれば、この強度むらを、抑制することができる。
【0061】
図14は、参考例におけるプラズマ発生装置96Rの構成を概略的に示す平面図である。
図15は、
図14の線XV-XVに沿う概略的な断面図である。プラズマ発生装置96Rは、第1後段電極51Jと、第1後段対向電極51Jpと、第2後段電極52Jと、第2後段対向電極52Jpと、第1前段電極51Kと、第1前段対向電極51Kpと、第2前段電極52Kと、第2前段対向電極52Kpとを有している。
【0062】
流方向DF(
図14)に沿って流れるガスは、平面レイアウトにおいて、電圧印加された第1寸法ST1の領域を通過した後、同様に電圧印加された第2寸法ST2の領域を通過する。よって、流方向DFで流れているガスにとって、電圧印加されている寸法の大きさが、第1寸法ST1から第2寸法ST2へと不連続に増大する。
【0063】
プラズマ発生装置96Rのプラズマの着火工程においては、第1寸法ST1の部分(x方向における寸法が相対的に小さい部分)で着火が生じる。これにより、第1寸法ST1の部分および第2寸法ST2の部分のうち、前者においてのみプラズマが発生する。このプラズマは、流方向DFに流れるガスによって押されるものの、寸法の上記不連続性のために、第2寸法ST2の部分へは拡がりにくい。その結果、第2寸法ST2ではなく第1寸法ST1程度の幅を有するプラズマPLしか得られないことがある。
【0064】
これに対して本実施の形態のプラズマ発生装置96によれば、前述したように、中間領域HLC3のx方向における寸法が、不連続的ではなく連続的に変化している。これにより、上記プラズマ発生装置96Rとは異なり、プラズマの着火後に、プラズマの幅の増大が円滑に生じる。よって、プラズマPLの幅を、より確実に拡大することができる。
【0065】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 :ガス経路部
11 :第1誘電体部
12 :第2誘電体部
13 :スペーサ
20 :ガス供給部
51,51C :第1電極
51A,53 :第3電極
51Ap,53p :第3対向電極
51p :第1対向電極
52,52C :第2電極
52A,54 :第4電極
52Ap,54p :第4対向電極
52p :第2対向電極
61 :電源(第1電源)
62 :電源(第2電源)
91~96 :プラズマ発生装置
DF :流方向
HL :空洞部
HL1,HLC1 :入口領域
HL2,HLC2 :出口領域
HL3,HLC3 :中間領域
HL4 :周辺領域