(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2019177491
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】中島 努
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529262(JP,A)
【文献】特開2006-165402(JP,A)
【文献】特開平04-365400(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207313(WO,A1)
【文献】特開平08-075421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する実装装置であって、
前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う保持ユニットと、
前記保持ユニットに保持された前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ヘッドと、
前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローヘッドと、
前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報と、部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報と、を記憶する記憶部と、
前記保持ユニット、前記部品搭載ヘッド及び前記リフローヘッドを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記部品搭載ヘッドに前記部品搭載処理を実行させるときには、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、
前記リフローヘッドに前記リフロー処理を実行させるときには、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ
、
前記搭載位置情報に基づいて、前記複数の被実装面で互いに隣接する第1被実装面及び第2被実装面における部品の搭載位置を、各被実装面の境界付近に位置する注目搭載位置と、当該注目搭載位置以外の残余の標準搭載位置とに分類し、
前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記標準搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、前記リフロー処理の対象となる被実装面が前記第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、前記保持ユニットに前記被実装物の姿勢を調整させた後、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理を各被実装面ごとに実行させ、
前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記注目搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、各被実装面の水平に対する傾き角が前記部品特徴情報に基づく前記変位規制範囲内の角度となるように、前記保持ユニットに前記被実装物の姿勢を調整させた後、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理を各被実装面に対して同時に実行させる、実装装置。
【請求項2】
前記部品搭載ヘッドは、ヘッドユニットに配設され、
前記リフローヘッドは、前記部品搭載ヘッドに隣接するように前記ヘッドユニットに配設され、前記半田を溶融させることが可能なヘッドであって、熱風を噴射する熱風噴射ヘッド又はレーザーを照射するレーザー照射ヘッドにより構成される、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する実装装置であって、
前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う保持ユニットと、
前記保持ユニットに保持された前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ヘッドと、
前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローヘッドと、
前記リフローヘッドによる前記リフロー処理後において、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を撮像する撮像カメラ
と、
前記保持ユニット、前記部品搭載ヘッド及び前記リフローヘッドを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記部品搭載ヘッドに前記部品搭載処理を実行させるときには、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、
前記リフローヘッドに前記リフロー処理を実行させるときには、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、
前記撮像カメラの撮像動作中において、前記複数の被実装面のうち撮像対象の被実装面が前記撮像カメラに対して複数の方向を向くように、前記被実装物の姿勢を調整する第3姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させる
、実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記保持ユニットによる前記第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における前記部品搭載ヘッドによる前記部品搭載処理と、前記保持ユニットによる前記第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後における前記リフローヘッドによる前記リフロー処理と、前記撮像カメラの撮像動作中における前記保持ユニットによる前記第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、前記複数の被実装面ごとに実行させる、請求項
3に記載の実装装置。
【請求項5】
前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報と、部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報と、を記憶する記憶部を、更に備え、
前記制御部は、
前記撮像カメラによる撮像において一の部品が他の部品に隠れる現象の回避が可能となるように、前記搭載位置情報及び前記部品特徴情報に基づいて、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を、前記撮像カメラの撮像動作を先行させる先行撮像搭載位置と、前記撮像カメラの撮像動作を後続させる後続撮像搭載位置とに分類し、
前記保持ユニットによる前記第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における前記部品搭載ヘッドによる前記部品搭載処理と、前記保持ユニットによる前記第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後における前記リフローヘッドによる前記リフロー処理と、前記撮像カメラの撮像動作中における前記保持ユニットによる前記第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、前記先行撮像搭載位置に対して実行させた後に、前記後続撮像搭載位置に対して実行させる、請求項
3に記載の実装装置。
【請求項6】
前記複数の被実装面の各々において、前記先行撮像搭載位置と前記後続撮像搭載位置との間で、互いに隣接する搭載位置同士は、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理の影響が及ぶことを規制可能な所定の許容距離以上離間している、請求項
5に記載の実装装置。
【請求項7】
被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する実装方法であって、
前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報に基づいて、前記複数の被実装面で互いに隣接する第1被実装面及び第2被実装面における部品の搭載位置を、各被実装面の境界付近に位置する注目搭載位置と、当該注目搭載位置以外の残余の標準搭載位置とに分類する分類ステップと、
前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う姿勢調整ステップと、
前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ステップと、
前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローステップと、を含み、
前記姿勢調整ステップは、
前記部品搭載処理が行われる前において、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を行う第1姿勢調整ステップと、
前記リフロー処理が行われる前において、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を行う第2姿勢調整ステップと、を有
し、
前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記標準搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、前記リフロー処理の対象となる被実装面が前記第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、前記被実装物の姿勢を調整した後、前記リフロー処理を各被実装面ごとに行い、
前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記注目搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、各被実装面の水平に対する傾き角が部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報に基づく前記変位規制範囲内の角度となるように、前記被実装物の姿勢を調整した後、前記リフロー処理を各被実装面に対して同時に行う、実装方法。
【請求項8】
被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する実装方法であって、
前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う姿勢調整ステップと、
前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ステップと、
前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローステップと、
前記リフロー処理後において、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を撮像カメラの撮像動作によって撮像する撮像ステップと、を含み、
前記姿勢調整ステップは、
前記部品搭載処理が行われる前において、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を行う第1姿勢調整ステップと、
前記リフロー処理が行われる前において、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を行う第2姿勢調整ステップと、
前記撮像カメラの撮像動作中において、前記複数の被実装面のうち撮像対象の被実装面が前記撮像カメラに対して複数の方向を向くように、前記被実装物の姿勢を調整する第3姿勢調整処理を行う第3姿勢調整ステップと、を有する、実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田のパターンが形成された複数の被実装面を有する被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の半田上に部品を搭載して実装する実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平に対して傾斜した複数の被実装面を有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の半田上に部品を搭載して実装する実装装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示される実装装置では、部品の搭載対象の被実装面を水平に保持した状態で、部品搭載ヘッドによる部品搭載処理が行われる。被実装面の半田上に部品が搭載された被実装物は、リフロー炉にて半田を溶融させるリフロー処理が施されて、被実装面上の部品が半田接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフロー炉におけるリフロー処理の実行時には、半田が溶融状態とされるため、水平に対して傾斜した被実装面上の部品が変位し、所定の搭載位置から位置ずれした状態となり得る。このようなリフロー処理中に生じ得る被実装面上での部品の変位を規制する技術として、特許文献1には、被実装面上に接着剤を介して部品を搭載することが開示されている。この場合、部品搭載ヘッドによる部品搭載処理が行われる前に被実装面に接着剤を塗布するという煩雑な工程が必要となる。更に、接着剤の接着力が不足していると、リフロー炉でのリフロー処理中において、部品の変位を規制する効果が得られない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被実装物の被実装面に対し、位置ずれを抑制した状態で部品を実装することが可能な実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る実装装置は、被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する装置である。この実装装置は、前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う保持ユニットと、前記保持ユニットに保持された前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ヘッドと、前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローヘッドと、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報と、部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報と、を記憶する記憶部と、前記保持ユニット、前記部品搭載ヘッド及び前記リフローヘッドを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記部品搭載ヘッドに前記部品搭載処理を実行させるときには、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、前記リフローヘッドに前記リフロー処理を実行させるときには、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、前記搭載位置情報に基づいて、前記複数の被実装面で互いに隣接する第1被実装面及び第2被実装面における部品の搭載位置を、各被実装面の境界付近に位置する注目搭載位置と、当該注目搭載位置以外の残余の標準搭載位置とに分類し、前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記標準搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、前記リフロー処理の対象となる被実装面が前記第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、前記保持ユニットに前記被実装物の姿勢を調整させた後、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理を各被実装面ごとに実行させ、前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記注目搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、各被実装面の水平に対する傾き角が前記部品特徴情報に基づく前記変位規制範囲内の角度となるように、前記保持ユニットに前記被実装物の姿勢を調整させた後、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理を各被実装面に対して同時に実行させる。
【0007】
この実装装置によれば、保持ユニットが姿勢調整可能に被実装物を保持し、その保持ユニットに保持された被実装物の被実装面に対して部品搭載ヘッドが部品搭載処理を行い、当該部品搭載処理後においてリフローヘッドが被実装面上の半田を溶融させるリフロー処理を行う。保持ユニット、部品搭載ヘッド及びリフローヘッドが行う各処理は、制御部によって制御される。制御部は、部品搭載ヘッドに部品搭載処理を実行させるときには、部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニットに実行させる。これにより、被実装面上の所定の搭載位置に対して正確に部品を搭載することができる。更に、制御部は、リフローヘッドにリフロー処理を実行させるときには、リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が変位規制範囲内に収まるように、被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニットに実行させる。これにより、リフローヘッドによるリフロー処理中において半田が溶融状態とされたときに、被実装面上での部品の変位が規制可能である。このため、被実装面上での所定の搭載位置に対して部品が位置ずれした状態で実装されることを抑制することができる。
複数の被実装面で互いに隣接する第1被実装面及び第2被実装面において、各被実装面の境界付近に位置する注目搭載位置に対して個別にリフロー処理を行う場合を想定する。この場合、第1被実装面上の注目搭載位置に対してリフロー処理を行った後、第2被実装面上の注目搭載位置に対してリフロー処理を行うと、第1被実装面上の注目搭載位置に対しては、2回にわたってリフロー処理が施される現象が生じ得る。この場合、第1被実装面上の注目搭載位置に実装された部品の半田による接合状態が不良となる虞がある。
そこで、制御部は、第1被実装面及び第2被実装面の各々の注目搭載位置に対しては、リフローヘッドによるリフロー処理を各被実装面に対して同時に実行させる。これにより、各被実装面上の注目搭載位置に対して複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。また、リフローヘッドによるリフロー処理を各被実装面に対して同時に実行させる場合、制御部は、各被実装面の水平に対する傾き角が部品特徴情報に基づく変位規制範囲内の角度となるように、被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニットに実行させる。これにより、リフローヘッドによるリフロー処理中において半田が溶融状態とされたときに、各被実装面上の注目搭載位置での部品の変位が規制可能である。このため、各被実装面上での注目搭載位置に対して部品が位置ずれした状態で実装されることを抑制することができる。
【0008】
上記の実装装置において、前記部品搭載ヘッドは、ヘッドユニットに配設される。そして、前記リフローヘッドは、前記部品搭載ヘッドに隣接するように前記ヘッドユニットに配設され、前記半田を溶融させることが可能なヘッドであって、熱風を噴射する熱風噴射ヘッド又はレーザーを照射するレーザー照射ヘッドにより構成される。
【0009】
この態様では、部品搭載ヘッドとリフローヘッドとが同一のヘッドユニットに配設されているので、部品搭載ヘッドにより部品搭載処理が行われた後、直ぐにリフローヘッドによってリフロー処理を行うことができる。
【0015】
本発明の他の局面に係る実装装置は、被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する装置である。この実装装置は、前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う保持ユニットと、前記保持ユニットに保持された前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ヘッドと、前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローヘッドと、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理後において、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を撮像する撮像カメラと、前記保持ユニット、前記部品搭載ヘッド及び前記リフローヘッドを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記部品搭載ヘッドに前記部品搭載処理を実行させるときには、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、前記リフローヘッドに前記リフロー処理を実行させるときには、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させ、前記撮像カメラの撮像動作中において、前記複数の被実装面のうち撮像対象の被実装面が前記撮像カメラに対して複数の方向を向くように、前記被実装物の姿勢を調整する第3姿勢調整処理を前記保持ユニットに実行させる。
【0016】
この態様では、リフロー処理後における各被実装面の部品の搭載位置を、撮像カメラによって複数の方向から撮像することができる。これにより、被実装面上での各搭載位置における部品の有無、部品の位置ずれ、半田の接合状態の良否などの部品の状態を検査するための、複数の方向からの検査画像を取得することができる。
【0017】
上記の実装装置において、前記制御部は、前記保持ユニットによる前記第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における前記部品搭載ヘッドによる前記部品搭載処理と、前記保持ユニットによる前記第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後における前記リフローヘッドによる前記リフロー処理と、前記撮像カメラの撮像動作中における前記保持ユニットによる前記第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、前記複数の被実装面ごとに実行させる。
【0018】
この態様では、第1姿勢調整処理、部品搭載処理、第2姿勢調整処理、リフロー処理、及び撮像カメラの撮像動作中における第3姿勢調整処理を含む一連の処理を、複数の被実装面ごとに行うことによって、被実装物の各被実装面上に部品を実装した上で、部品の状態を検査するための検査画像を取得することができる。
【0019】
上記の実装装置は、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報と、部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報と、を記憶する記憶部を、更に備える。そして、前記制御部は、前記撮像カメラによる撮像において一の部品が他の部品に隠れる現象の回避が可能となるように、前記搭載位置情報及び前記部品特徴情報に基づいて、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を、前記撮像カメラの撮像動作を先行させる先行撮像搭載位置と、前記撮像カメラの撮像動作を後続させる後続撮像搭載位置とに分類し、前記保持ユニットによる前記第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における前記部品搭載ヘッドによる前記部品搭載処理と、前記保持ユニットによる前記第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後における前記リフローヘッドによる前記リフロー処理と、前記撮像カメラの撮像動作中における前記保持ユニットによる前記第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、前記先行撮像搭載位置に対して実行させた後に、前記後続撮像搭載位置に対して実行させる。
【0020】
被実装面上における部品の搭載位置及び部品のサイズによっては、撮像カメラによる複数の方向からの撮像において、一の部品が他の部品に隠れる現象が生じ得る。このような現象の回避が可能となるように、制御部は、搭載位置情報及び部品特徴情報に基づいて、複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を、先行撮像搭載位置と後続撮像搭載位置とに分類する。そして、制御部は、第1姿勢調整処理、部品搭載処理、第2姿勢調整処理、リフロー処理、及び撮像カメラの撮像動作中における第3姿勢調整処理を含む一連の処理を、先行撮像搭載位置に対して実行させた後に後続撮像搭載位置に対して実行させる。これにより、撮像カメラによる複数の方向からの撮像において、一の部品が他の部品に隠れる現象の回避が可能となる。
【0021】
上記の実装装置において、前記複数の被実装面の各々において、前記先行撮像搭載位置と前記後続撮像搭載位置との間で、互いに隣接する搭載位置同士は、前記リフローヘッドによる前記リフロー処理の影響が及ぶことを規制可能な所定の許容距離以上離間している。
【0022】
この態様では、被実装面上の先行撮像搭載位置に対して、複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。
【0023】
本発明の他の局面に係る実装方法は、被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する方法である。この実装方法は、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を示す搭載位置情報に基づいて、前記複数の被実装面で互いに隣接する第1被実装面及び第2被実装面における部品の搭載位置を、各被実装面の境界付近に位置する注目搭載位置と、当該注目搭載位置以外の残余の標準搭載位置とに分類する分類ステップと、前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う姿勢調整ステップと、前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ステップと、前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローステップと、を含む。前記姿勢調整ステップは、前記部品搭載処理が行われる前において、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を行う第1姿勢調整ステップと、前記リフロー処理が行われる前において、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を行う第2姿勢調整ステップと、を有し、前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記標準搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、前記リフロー処理の対象となる被実装面が前記第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、前記被実装物の姿勢を調整した後、前記リフロー処理を各被実装面ごとに行い、前記第1被実装面及び前記第2被実装面の各々の前記注目搭載位置に対しては、前記第2姿勢調整処理において、各被実装面の水平に対する傾き角が部品のサイズに関する特徴を示す部品特徴情報に基づく前記変位規制範囲内の角度となるように、前記被実装物の姿勢を調整した後、前記リフロー処理を各被実装面に対して同時に行う。
また、本発明の他の局面に係る実装方法は、被保持面と、当該被保持面に対して交差する方向又は平行に延び、半田のパターンが形成された複数の被実装面とを有した被実装物に対し、前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載して実装する方法である。この実装方法は、前記複数の被実装面が外方に露出するように前記被保持面を介して前記被実装物を保持し、その状態で前記被実装物の姿勢を調整する姿勢調整処理を行う姿勢調整ステップと、前記被実装物における前記複数の被実装面の各々の前記半田上に部品を搭載する部品搭載処理を行う部品搭載ステップと、前記部品搭載処理後において、前記半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うことによって、前記複数の被実装面上に部品を半田接合させるリフローステップと、前記リフロー処理後において、前記複数の被実装面の各々における部品の搭載位置を撮像カメラの撮像動作によって撮像する撮像ステップと、を含む。前記姿勢調整ステップは、前記部品搭載処理が行われる前において、前記複数の被実装面のうち部品の搭載対象の被実装面が水平となるように、前記被実装物の姿勢を調整する第1姿勢調整処理を行う第1姿勢調整ステップと、前記リフロー処理が行われる前において、前記半田上に部品が搭載されて前記リフロー処理の対象となる被実装面の水平に対する傾き角が、前記リフロー処理中における部品の変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、前記被実装物の姿勢を調整する第2姿勢調整処理を行う第2姿勢調整ステップと、前記撮像カメラの撮像動作中において、前記複数の被実装面のうち撮像対象の被実装面が前記撮像カメラに対して複数の方向を向くように、前記被実装物の姿勢を調整する第3姿勢調整処理を行う第3姿勢調整ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、被実装物の被実装面に対し、位置ずれを抑制した状態で部品を実装することが可能な実装装置及び実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る実装装置の構成を模式的に示す正面図である。
【
図4】実装装置に備えられる保持ユニットを示す斜視図である。
【
図5】実装装置に備えられる制御部の制御動作に基づく実装方法の概略を説明するための図である。
【
図6】制御部の制御動作に基づく実装方法の概略を説明するための図である。
【
図7】制御部の制御動作に基づく実装方法の概略を説明するための図である。
【
図8】制御部の制御動作の第1例を詳細に説明するための図である。
【
図9】制御部の制御動作の第1例を詳細に説明するための図である。
【
図10】制御部の制御動作の第1例を詳細に説明するための図である。
【
図11】制御部の制御動作の第1例を詳細に説明するための図である。
【
図12】制御部の制御動作の第1例に関するフローチャートである。
【
図13】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図14】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図15】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図16】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図17】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図18】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図19】制御部の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
【
図20A】制御部の制御動作の第2例に関するフローチャートである。
【
図20B】制御部の制御動作の第2例に関するフローチャートである。
【
図20C】制御部の制御動作の第2例に関するフローチャートである。
【
図21】制御部の制御動作の第3例を詳細に説明するための図である。
【
図22】制御部の制御動作の第3例を詳細に説明するための図である。
【
図23】制御部の制御動作の第3例を詳細に説明するための図である。
【
図24A】制御部の制御動作の第3例に関するフローチャートである。
【
図24B】制御部の制御動作の第3例に関するフローチャートである。
【
図25】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図26】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図27】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図28】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図29】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図30】制御部の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
【
図31A】制御部の制御動作の第4例に関するフローチャートである。
【
図31B】制御部の制御動作の第4例に関するフローチャートである。
【
図31C】制御部の制御動作の第4例に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る実装装置及び実装方法について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸方向及びY軸方向は水平面上において互いに直交し、Z軸方向がX軸方向及びY軸方向の両方向と直交する鉛直方向に延びる方向である。また、X軸方向において一方向側を「X1方向」と称し、X軸方向において一方向とは反対の他方向側を「X2方向」と称する。同様に、Y軸方向において一方向側を「Y1方向」と称し、Y軸方向において一方向とは反対の他方向側を「Y2方向」と称する。また、Z軸方向において一方向側の上方向を「Z1方向」と称し、Z軸方向において一方向とは反対の他方向側の下方向を「Z2方向」と称する。
【0027】
[実装装置の全体構成]
図1~
図3は本発明の一実施形態に係る実装装置100の構成を示す図であって、
図1が正面図であり、
図2が平面図であり、
図3が側面図である。また、
図4は、実装装置100に備えられる保持ユニット3を示す斜視図である。
図5~
図7は、実装装置100に備えられる制御部10の制御動作に基づく実装方法の概略を説明するための図である。
【0028】
実装装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサ及び抵抗などの部品E(電子部品)を、被実装物Pに搭載して実装する装置である。なお、本実施形態に係る実装方法は、実装装置100を用いて実行される。実装装置100の構成の説明に先立って、
図5を参照して被実装物Pについて説明する。
【0029】
被実装物Pは、被保持面P1と、当該被保持面P1に対して交差する方向又は平行に延び、半田PSのパターンが形成された複数の第1~第4被実装面P21~P24とを有した立体基板である。被保持面P1は、被実装物Pにおいて、実装装置100の後述の保持ユニット3によって保持される部分である。第1~第4被実装面P21~P24は、被実装物Pにおいて、部品Eが搭載されて実装される面である。第1~第4被実装面P21~P24の各々の半田PS上に部品Eが搭載される。第1被実装面P21は、被保持面P1の上方側において当該被保持面P1に対して平行に延びる被実装面である。第2被実装面P22は、第1被実装面P21の一端から被保持面P1に向かう方向に傾斜して延びる、すなわち、被保持面P1に対して交差する方向に延びる傾斜面からなる被実装面である。第3被実装面P23は、第1被実装面P21の他端から被保持面P1に向かって垂直に延びる、すなわち、被保持面P1に対して交差(直交)する方向に延びる垂直面からなる被実装面である。第4被実装面P24は、第3被実装面P23と平行であって、第2被実装面P22の第1被実装面P21との接続部とは反対の端部から被保持面P1に向かって垂直に延びる垂直面からなる被実装面である。
【0030】
実装装置100は、基台1と、搬送部2と、保持ユニット3と、ヘッドユニット4に配設された部品搭載ヘッド41と、支持部5と、一対のレール部6と、リフローヘッド7と、部品認識カメラ81と、撮像カメラ82と、高さ計測部9と、制御部10と、記憶部10Mとを備えている。
【0031】
図2に示すように、基台1のY2方向の端部には、複数のテープフィーダー11を配置するためのフィーダー配置部12が設けられている。また、基台1のY1方向の端部には、フィーダー配置部12が設けられておらず、テープフィーダー11が配置されていない。テープフィーダー11は、
図3に示すように、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻回されたリール11aが装着されている。テープフィーダー11は、リール11aを回転させて部品Eを保持したテープを送出することにより、部品Eを供給するように構成されている。各テープフィーダー11は、フィーダー配置部12に設けられた図示しないコネクタを介して制御部10に電気的に接続された状態で、フィーダー配置部12に配置されている。これにより、各テープフィーダー11は、制御部10からの制御信号に基づいて、リール11aからテープを送出すると共に、部品Eを供給する。この際、各テープフィーダー11は、後述の部品搭載ヘッド41による部品搭載処理に応じて部品Eを供給する。
【0032】
搬送部2は、被実装物Pを実装装置100内に搬入し、X軸方向に搬送し、実装装置100から搬出するように構成されている。また、搬送部2は、実装装置100内において被実装物Pを後述の保持ユニット3に受け渡すように構成されている。実装装置100では、搬送部2により、被実装物Pを搬送するための単一の搬送路が形成されている。
【0033】
ここで、
図1~
図3に示すように、被実装物Pは、載置部材90に保持された状態で、搬送部2により搬送される。載置部材90は、被実装物Pの搬送用の部材である。載置部材90には、平板状の載置部91が設けられている。載置部91の上面(Z1方向側の面)には、微粘着性の粘着層が形成されている。載置部91は、被実装物Pの被保持面P1が粘着層に粘着されることにより、着脱可能に被実装物Pを保持する。載置部材90は、載置部91に被実装物Pが保持された状態で、保持ユニット3に保持される。すなわち、保持ユニット3は、載置部材90を介して被実装物Pを保持する。
【0034】
搬送部2は、
図1及び
図2に示すように、上流側搬送部21と、中央搬送部22と、下流側搬送部23とを含む。
【0035】
上流側搬送部21は、被実装物Pの搬送方向(X軸方向)の上流側(X1方向側)に設けられた搬送部である。上流側搬送部21は、被実装物Pを実装装置100内に搬入すると共に、搬入された被実装物Pを中央搬送部22まで搬送する。上流側搬送部21は、一対のコンベア部211を有している。上流側搬送部21は、一対のコンベア部211により、載置部材90の搬送方向と直交する方向(Y軸方向)の両端部を下方から支持することにより、Y軸方向の両側から被実装物Pを支持しながら、X軸方向に被実装物Pを搬送する。また、一対のコンベア部211は、Y軸方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、Y1方向側のコンベア部211がY軸方向に移動可能に構成されており、Y2方向側のコンベア部211が固定されている。これにより、被実装物Pの大きさ(Y軸方向の幅)に応じて、一対のコンベア部211の間の幅(Y軸方向の幅)を調整することが可能である。
【0036】
中央搬送部22は、上流側搬送部21と下流側搬送部23との間に設けられた搬送部である。中央搬送部22は、部品実装前の被実装物Pを上流側搬送部21から受け取り、受け取った被実装物Pを下流側搬送部23まで搬送する。また、中央搬送部22は、被実装物Pを保持ユニット3への受け渡し位置まで移動させるように構成されている。中央搬送部22は、一対のコンベア部221を有している。中央搬送部22は、一対のコンベア部221により、載置部材90の搬送方向と直交する方向(Y軸方向)の両端部を下方から支持することにより、Y軸方向の両側から被実装物Pを支持しながら、X軸方向に被実装物Pを搬送する。また、一対のコンベア部221は、図示しない駆動モータにより、Y軸方向に互いに独立して移動可能である。中央搬送部22は、一対のコンベア部221の間の幅(Y軸方向の幅)を維持しながら、一対のコンベア部221がY軸方向に移動されることにより、被実装物PをY軸方向に移動する。
【0037】
実装装置100では、部品実装前の被実装物Pが、中央搬送部22の一対のコンベア部221によりX軸方向に搬送されて、X軸方向の所定位置に位置決めされる。その後、被実装物Pが、一対のコンベア部221によりY軸方向に移動されることにより、Y軸方向の所定位置に位置決めされる。これにより、実装装置100では、被実装物Pが、保持ユニット3に被実装物Pを受け渡すための受け渡し位置まで移動される。
【0038】
下流側搬送部23は、搬送方向(X軸方向)の下流側(X2方向側)に設けられた搬送部である。下流側搬送部23は、部品実装後の被実装物Pを中央搬送部22から受け取り、実装装置100から部品実装後の被実装物Pを搬出する。下流側搬送部23は、一対のコンベア部231を有している。下流側搬送部23は、一対のコンベア部231により、載置部材90の搬送方向と直交する方向(Y軸方向)の両端部を下方から支持することにより、Y軸方向の両側から被実装物Pを支持しながら、X軸方向に被実装物Pを搬送する。また、一対のコンベア部231は、Y軸方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、Y1方向側のコンベア部231がY軸方向に移動可能に構成されており、Y2方向側のコンベア部231が固定されている。これにより、被実装物Pの大きさ(Y軸方向の幅)に応じて、一対のコンベア部231の間の幅(Y軸方向の幅)を調整することが可能である。
【0039】
保持ユニット3は、受け渡し位置において中央搬送部22から被実装物Pを受け渡され、被実装物Pを保持するユニットである。保持ユニット3は、載置部材90を介して被実装物Pを保持する。保持ユニット3は、第1~第4被実装面P21~P24が外方に露出するように、被保持面P1を介して被実装物Pを保持する。具体的には、保持ユニット3は、被実装物Pの被保持面P1が載置部91の粘着層に粘着された状態の載置部材90を保持することにより、第1~第4被実装面P21~P24が外方に露出するように被実装物Pを保持する。
【0040】
また、
図1~
図3に示すように、基台1の中央部には、平面視で矩形状の開口部1aが設けられている。基台1の開口部1aには、基台1の上面(Z1方向側の面)から下方(Z2方向)に向けて凹む凹形状を有する収容部1bが取り付けられている。保持ユニット3は、少なくとも一部が収容部1b内に収容されるように配置されている。これにより、保持ユニット3は、少なくとも一部が基台1の上面よりも下方に配置されている。このため、保持ユニット3を基台1の上面上に配置する場合に比べて、実装装置100がZ軸方向に大型化することを抑制することができる。
【0041】
保持ユニット3は、被実装物Pを保持した状態で、当該被実装物Pの姿勢を調整する姿勢調整処理を行う。保持ユニット3は、本実施形態に係る実装方法における姿勢調整ステップを実行する。保持ユニット3は、被実装物PをZ軸方向に移動させ、傾斜させ、又は回転させることにより、被実装物Pの姿勢を調整する姿勢調整処理を行う。保持ユニット3は、昇降機構部31と、傾斜機構部32と、回転機構部33と、保持部34と、固定部35とを含む。
【0042】
昇降機構部31は、Z軸方向に延びる軸線A1に沿って、保持部34により保持された被実装物PをZ軸方向に移動させるための機構部である。昇降機構部31は、駆動モータ311と、ベルトプーリ機構部312と、ボールネジ軸313と、取付部314とを有している。駆動モータ311は、ボールネジ軸313を回転させるための駆動力を発生するモータである。ベルトプーリ機構部312は、駆動モータ311により発生された駆動力(回転力)を、ボールネジ軸313に伝達する。ボールネジ軸313は、ベルトプーリ機構部312を介して伝達された駆動モータ311の駆動力により、軸線A1回りに回転する。なお、軸線A1は、ボールネジ軸313の中心を通る軸線である。取付部314は、昇降機構部31に、傾斜機構部32、回転機構部33及び保持部34を取り付けるための部材である。具体的には、取付部314のY1方向側には、傾斜機構部32が取り付けられている。また、傾斜機構部32のX2方向側には、回転機構部33及び保持部34が取り付けられている。すなわち、取付部314に傾斜機構部32が取り付けられていると共に、傾斜機構部32を介して取付部314に回転機構部33及び保持部34が取り付けられている。また、取付部314には、ボールネジ軸313と係合(螺合)されるボールナット314aが設けられている。取付部314は、駆動モータ311によりボールネジ軸313が回転されることにより、ボールネジ軸313と係合(螺合)するボールナット314aと共に、ボールネジ軸313に沿ってZ軸方向に移動する。これにより、昇降機構部31は、取付部314と共に、傾斜機構部32、回転機構部33、保持部34及び保持部34に保持された被実装物PをZ軸方向に移動させる。
【0043】
傾斜機構部32は、昇降機構部31に取り付けられており、X軸方向に延びる軸線A2回りに回転させることにより、保持部34により保持された被実装物Pを傾斜させるためのチルト軸機構部である。傾斜機構部32は、駆動モータ321と、ベルトプーリ機構部322と、回転軸部323とを有している。駆動モータ321は、回転軸部323を回転させるための駆動力を発生するモータである。また、駆動モータ321は、正回転(時計回りの回転)及び逆回転(反時計回りの回転)が可能に構成されている。ベルトプーリ機構部322は、駆動モータ321により発生された駆動力(回転力)を、回転軸部323に伝達する。回転軸部323は、ベルトプーリ機構部322を介して伝達された駆動モータ321の駆動力により、軸線A2回りに回転する。なお、軸線A2は、回転軸部323の中心を通る軸線である。回転軸部323のX2方向側の端部には、回転機構部33及び保持部34が取り付けられている。回転機構部33及び保持部34は、駆動モータ321により回転軸部323が回転されることにより、回転軸部323と共に軸線A2回りに回転可能である。これにより、傾斜機構部32は、回転機構部33、保持部34及び保持部34に保持された被実装物Pを軸線A2回りに回転させて、YZ平面内で傾斜させる。具体的には、傾斜機構部32は、後述する軸線A3がZ軸方向と略平行な状態を基準状態とした場合に、基準状態から搬送方向と直交するY1方向側又はY2方向側に、回転機構部33、保持部34及び保持部34に保持された被実装物Pを傾斜させる。この際、傾斜機構部32は、基準状態から搬送方向と直交するY1方向側又はY2方向側に、それぞれ、0度以上90度以下の角度範囲で、回転機構部33、保持部34及び保持部34に保持された被実装物Pを傾斜させる。
【0044】
回転機構部33は、傾斜機構部32に取り付けられており、保持部34により保持された被実装物Pを軸線A3回りに回転させるための機構部である。軸線A3は、軸線A2に対して略直交する方向に延びる軸線である。また、軸線A3は、保持部34の中心を通る軸線であって、傾斜機構部32により回転機構部33及び保持部34が傾斜されるに伴って、傾斜される。回転機構部33は、駆動モータ331と、ベルトプーリ機構部332とを有している。駆動モータ331は、保持部34を回転させるための駆動力を発生するモータである。また、駆動モータ331は、正回転(時計回りの回転)及び逆回転(反時計回りの回転)が可能に構成されている。ベルトプーリ機構部332は、駆動モータ331により発生された駆動力(回転力)を、保持部34に伝達する。保持部34は、ベルトプーリ機構部332を介して伝達された駆動モータ331の駆動力により、軸線A3回りに回転する。これにより、回転機構部33は、保持部34と共に、保持部34に保持された被実装物Pを軸線A3回りに回転させる。
【0045】
保持部34は、回転機構部33に取り付けられており、載置部材90を介して被実装物Pを保持して固定するように構成されている。保持部34は、円柱形状を有する本体部341と、複数の爪部342とを有している。複数の爪部342は、本体部341の上面上に等角度間隔で配置されている。また、複数の爪部342は、それぞれ、保持部34の回転の半径方向に移動可能に構成されている。具体的には、載置部材90を保持する場合には、複数の爪部342は、それぞれ、本体部341の上面上で保持部34の回転中心に向かう半径方向(すなわち、軸線A3に向かう方向)に移動する。この結果、複数の爪部342により載置部材90が把持されると共に、載置部材90を介して被実装物Pが保持ユニット3により保持して固定される。また、載置部材90の保持を解除する場合には、複数の爪部342は、それぞれ、本体部341の上面上で保持部34の回転中心から離間する半径方向(すなわち、軸線A3から離間する方向)に移動する。この結果、複数の爪部342による載置部材90の把持が解除されると共に、保持ユニット3による載置部材90を介した被実装物Pの保持が解除される。
【0046】
固定部35は、保持ユニット3を基台1に取り付けて固定するための部材である。保持ユニット3は、
図1~
図3に示すように、固定部35を介して、例えばネジなどにより基台1に固定される。
【0047】
ヘッドユニット4は、支持部5及び一対のレール部6を介して、基台1の上方位置に設けられている。また、ヘッドユニット4は、搬送部2、保持ユニット3及びテープフィーダー11よりも上方側(Z1方向側)の位置に設けられており、水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動可能に構成されている。
【0048】
支持部5は、ヘッドユニット4をX軸方向に移動させる。支持部5は、X軸方向に延びるボールネジ軸51と、ボールネジ軸51を回転させるX軸モータ52と、X軸方向に延びる図示しないガイドレールとを含んでいる。また、ヘッドユニット4には、ボールネジ軸51が係合(螺合)されるボールナット45(
図3参照)が設けられている。ヘッドユニット4は、X軸モータ52によりボールネジ軸51が回転されることにより、ボールネジ軸51と係合(螺合)するボールナット45と共に、支持部5に沿ってX軸方向に移動する。
【0049】
一対のレール部6は、Y軸方向に延びるように形成されており、基台1のX軸方向の両端部において基台1上に固定されている。また、一対のレール部6は、支持部5をY軸方向に移動させる。一対のレール部6は、Y軸方向に延びる一対のボールネジ軸61と、ボールネジ軸61毎に設けられた複数のY軸モータ62とを含んでいる。各Y軸モータ62は、それぞれ、対応するボールネジ軸61を回転させる。また、支持部5には、ボールネジ軸61が係合(螺合)される図示しないボールナットが設けられている。支持部5は、各Y軸モータ62により各ボールネジ軸61が同期して回転されることにより、各ボールネジ軸61と係合(螺合)するボールナットと共に、一対のレール部6に沿ってY軸方向に移動する。
【0050】
このような構成により、ヘッドユニット4は、基台1上を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動可能である。これにより、ヘッドユニット4は、後述の部品搭載ヘッド41が部品搭載処理を行う際に、テープフィーダー11と保持ユニット3との間を移動することができる。ヘッドユニット4がテープフィーダー11の上方に移動することにより、部品搭載ヘッド41は、テープフィーダー11から供給された部品Eを吸着保持することができる。一方、ヘッドユニット4が保持ユニット3に保持された被実装物Pの上方に移動することにより、部品搭載ヘッド41は、吸着保持した部品Eを被実装物Pに対して搭載することができる。また、ヘッドユニット4は、後述のリフローヘッド7がリフロー処理を行う際に、保持ユニット3に保持された被実装物Pの上方に移動することができる。
【0051】
ヘッドユニット4には、複数の部品搭載ヘッド41と、部品搭載ヘッド41毎に設けられた複数のボールネジ軸42と、ボールネジ軸42毎に設けられた複数のZ軸モータ43と、部品搭載ヘッド41毎に設けられた複数のR軸モータ(不図示)とが配設されている。
【0052】
複数の部品搭載ヘッド41は、X軸方向に沿って直線状に配列される。部品搭載ヘッド41の先端には、ノズル41aが取り付けられている。部品搭載ヘッド41は、不図示の負圧発生機によりノズル41aの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダー11から供給される部品Eを吸着して保持することが可能である。部品搭載ヘッド41は、吸着保持した部品Eを、保持ユニット3に保持された被実装物Pにおける複数の第1~第4被実装面P21~P24の各々の半田PS上に搭載する部品搭載処理を行う。部品搭載ヘッド41は、本実施形態に係る実装方法における部品搭載ステップを実行する。
【0053】
ヘッドユニット4に配設された各ボールネジ軸42は、Z軸方向に延びるように形成されている。各Z軸モータ43は、対応するボールネジ軸42を回転させる。また、各部品搭載ヘッド41には、対応するボールネジ軸42に係合(螺合)されるボールナット41b(
図3参照)が設けられている。部品搭載ヘッド41は、Z軸モータ43によりボールネジ軸42が回転されることにより、ボールネジ軸42と係合(螺合)するボールナット41bと共に、ボールネジ軸42に沿ってZ軸方向に移動する。これにより、部品搭載ヘッド41は、テープフィーダー11からの部品Eの吸着や被実装物Pに対する部品Eの搭載などを行うことが可能な下降した状態の高さ位置と、部品搭載ヘッド41の水平方向の移動が可能な上昇した状態の高さ位置との間で、Z軸方向に移動可能である。各R軸モータは、対応する実装ヘッド41をノズル41aの中心軸回り(Z軸方向回り)に回転させる。
【0054】
リフローヘッド7は、部品搭載ヘッド41による部品搭載処理後において、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24上の半田PSを溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行うヘッドである。リフローヘッド7は、リフロー処理を行うことによって、第1~第4被実装面P21~P24上に部品Eを半田接合させる。リフローヘッド7は、本実施形態に係る実装方法におけるリフローステップを実行する。
図1に示すように、リフローヘッド7は、部品搭載ヘッド41に隣接するように、ヘッドユニット4に配設されている。このように、部品搭載ヘッド41とリフローヘッド7とが同一のヘッドユニット4に配設される構成を採用することにより、部品搭載ヘッド41により部品搭載処理が行われた後、直ぐにリフローヘッド7によってリフロー処理を行うことができる。
【0055】
また、ヘッドユニット4には、リフローヘッド7に対応して設けられたボールネジ軸71とZ軸モータ72とが配設されている。ヘッドユニット4に配設されたボールネジ軸71は、Z軸方向に延びるように形成されている。Z軸モータ72は、対応するボールネジ軸71を回転させる。また、リフローヘッド7には、対応するボールネジ軸71に係合(螺合)されるボールナット(不図示)が設けられている。リフローヘッド7は、Z軸モータ72によりボールネジ軸71が回転されることにより、ボールネジ軸71と係合(螺合)するボールナットと共に、ボールネジ軸71に沿ってZ軸方向に移動する。これにより、リフローヘッド7は、被実装物Pに対してリフロー処理を行うことが可能な下降した状態の高さ位置と、リフローヘッド7の水平方向の移動が可能な上昇した状態の高さ位置との間で、Z軸方向に移動可能である。
【0056】
リフローヘッド7は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24上の半田PSを溶融させることが可能なヘッドであれば特に限定されるものではなく、例えば、熱風を噴射する熱風噴射ヘッド又はレーザーを照射するレーザー照射ヘッドにより構成される。
【0057】
部品認識カメラ81は、テープフィーダー11の近傍の基台1の上面上に固定されており、部品Eの被実装物Pに対する実装に先立って、部品搭載ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを撮像するカメラである。部品認識カメラ81は、部品搭載ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを、下方側(Z2方向側)から撮像する。この撮像結果は、制御部10により取得される。制御部10は、部品搭載ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eの撮像結果に基づいて、下方から見た部品Eの吸着状態を認識する。また、制御部10は、部品Eの吸着状態の認識結果に基づいて、部品Eの回転姿勢及び実装時の座標位置(XY座標位置)を補正する。
【0058】
撮像カメラ82は、ヘッドユニット4に取り付けられたカメラである。具体的には、撮像カメラ82は、ヘッドユニット4のY1方向側の側部において、X軸方向に並んだ部品搭載ヘッド41の配列の中央の位置に取り付けられている。これにより、撮像カメラ82は、ヘッドユニット4と共に、基台1上を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動可能である。
【0059】
撮像カメラ82は、部品Eの被実装物Pに対する実装に先立って、被実装物Pに付された位置認識マークを撮像する。位置認識マークは、被実装物Pの位置を認識するためのマークである。この位置認識マークの撮像結果は、制御部10により取得される。制御部10は、位置認識マークの撮像結果に基づいて、保持ユニット3により保持された被実装物Pの正確な位置及び姿勢を認識する。また、制御部10は、被実装物Pの位置及び姿勢の認識結果に基づいて、実装時の座標位置(XY座標位置)を補正する。
【0060】
また、撮像カメラ82は、リフローヘッド7によるリフロー処理後において、被実装物Pの第1~第4被実装面P21~P24の各々における部品Eの搭載位置PPを撮像する。この撮像カメラ82によるリフロー処理後の撮像結果は、制御部10により取得される。制御部10は、リフロー処理後の撮像結果に基づいて、部品Eの状態を検査するための検査画像を取得する。
【0061】
高さ計測部9は、部品Eの被実装物Pに対する実装に先立って、被実装物Pにおける部品Eの搭載対象の被実装面の高さ位置を計測するレーザー変位計により構成されている。高さ計測部9は、被実装物Pにおける部品Eの搭載対象の被実装面にレーザー光を照射して、被実装面から反射された反射光を受光することにより、被実装物Pにおける部品Eの搭載対象の被実装面の高さ位置を計測する。この高さ位置の計測結果は、制御部10により取得される。制御部10は、高さ位置の計測結果に基づいて、被実装物Pにおける部品Eの搭載対象の被実装面の高さ位置を認識する。また、制御部10は、被実装物Pにおける部品Eの搭載対象の被実装面の高さ位置の認識結果に基づいて、部品搭載処理時における部品搭載ヘッド41の下降量、リフロー処理時におけるリフローヘッド7の下降量を補正する。
【0062】
また、高さ計測部9は、ヘッドユニット4に取り付けられている。具体的には、高さ計測部9は、部品搭載ヘッド42と撮像カメラ82との間で、X軸方向に並んだ部品搭載ヘッド41の配列の略中央の位置に取り付けられている。これにより、高さ計測部9は、ヘッドユニット4と共に、基台1上を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動可能である。
【0063】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などを含み、実装装置100の動作を制御する。制御部10は、実装装置100の動作を制御することによって、本実施形態に係る実装方法を実行する。すなわち、本実施形態に係る実装方法は、制御部10の制御動作に基づいて実行される。制御部10は、搬送部2、保持ユニット3、ヘッドユニット4に配設された部品搭載ヘッド41及びリフローヘッド7、部品認識カメラ81、撮像カメラ82、高さ計測部9、及びテープフィーダー11などを、予め記憶されたプログラムに従って制御する。
【0064】
記憶部10Mは、
図1に示すように、搭載位置情報J1と部品特徴情報J2とを記憶する。搭載位置情報J1は、被実装物Pの第1~第4被実装面P21~P24の各々における部品Eの搭載位置PPを示す情報である。部品特徴情報J2は、部品Eのサイズ及び重さに関する特徴を示す部品Eの固有の情報である。記憶部10Mに記憶された搭載位置情報J1及び部品特徴情報J2は、制御部10により参照される。
【0065】
制御部10は、被実装物Pを保持した状態で当該被実装物Pの姿勢を調整する姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(姿勢調整ステップ)。また、制御部10は、保持ユニット3に保持された被実装物Pにおける複数の第1~第4被実装面P21~P24の各々の半田PS上に、部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(部品搭載ステップ)。更に、制御部10は、部品搭載ヘッド41による部品搭載処理後において、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24上の半田PSを溶融させた後に硬化させるリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(リフローステップ)。この際、
図5に示すように、制御部10は、部品搭載ヘッド41に部品搭載処理を実行させるときには、複数の第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの搭載対象の第1被実装面P21が水平となるように、被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(第1姿勢調整ステップ)。これにより、部品Eの搭載対象の第1被実装面P21上の所定の搭載位置PPに対して正確に部品Eを搭載することができる。
【0066】
また、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、制御部10は、リフローヘッド7にリフロー処理を実行させるときには、半田PS上に部品Eが搭載されてリフロー処理の対象となる第1被実装面P21の水平に対する傾き角θが、リフロー処理中における部品Eの変位を規制可能な変位規制範囲内に収まるように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(第2姿勢調整ステップ)。これにより、リフローヘッド7によるリフロー処理中において半田PSが溶融状態とされたときに、リフロー処理の対象となる第1被実装面P21上での部品Eの変位が規制可能である。このため、第1被実装面P21上での所定の搭載位置PPに対して部品Eが位置ずれした状態で実装されることを抑制することができる。
【0067】
また、
図7(A)、
図7(B)及び
図7(C)に示すように、制御部10は、撮像カメラ82の撮像動作中において、複数の第1~第4被実装面P21~P24のうち、撮像対象の第1被実装面P21が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(第3姿勢調整ステップ)。具体的には、制御部10は、第1被実装面P21における搭載位置PPの上方からの撮像(
図7(A))と、搭載位置PPの斜め上方からの撮像(
図7(B))と、搭載位置PPの側方からの撮像(
図7(C))とが可能となるように、第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる。これにより、リフロー処理後における第1~第4被実装面P21~P24の部品の搭載位置PPを、撮像カメラに82よって複数の方向から撮像することができる。このため、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24上での各搭載位置PPにおける部品Eの有無、部品Eの位置ずれ、半田PSの接合状態の良否などの部品Eの状態を検査するための、複数の方向からの検査画像を取得することができる。
【0068】
[制御部の詳細な制御動作]
次に、本実施形態に係る実装装置100における制御部10の詳細な制御動作について説明する。
【0069】
<制御部の制御動作の第1例>
図8~
図11は、制御部10の制御動作の第1例を詳細に説明するための図である。
図8~
図11では、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、最初に第3被実装面P23に対して部品Eを実装した後、次に第2被実装面P22に対して部品Eを実装する例が示されている。
【0070】
制御部10は、部品Eの搭載対象の第3被実装面P23に対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる前に、第3被実装面P23が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図8参照)。第3被実装面P23が水平状態とされると、制御部10は、第3被実装面P23の半田PS上に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図8参照)。
【0071】
第3被実装面P23に部品Eが搭載されると、制御部10は、リフローヘッド7によるリフロー処理の対象となる第3被実装面P23が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図9参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、リフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図9参照)。
【0072】
第3被実装面P23に対する第1姿勢調整処理、部品搭載処理、第2姿勢調整処理及びリフロー処理を含む一連の処理が終了すると、制御部10は、第3被実装面P23の場合と同様に、第2被実装面P22に対する一連の処理を実行させる。すなわち、制御部10は、部品Eの搭載対象の第2被実装面P22が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させた後、第2被実装面P22に対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図10参照)。第2被実装面P22に部品Eが搭載されると、制御部10は、リフロー処理の対象となる第2被実装面P22が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させた後、第2被実装面P22に対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(
図11参照)。
【0073】
上記のように、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理とを含む一連の処理を、複数の第1~第4被実装面P21~P24ごとに実行させる。これにより、被実装物Pの各被実装面P21~P24上に部品Eを実装することができる。この際、制御部10は、リフローヘッド7にリフロー処理を実行させるときには、リフロー処理の対象となる第3被実装面P23及び第2被実装面P22が水平な状態を維持するように第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる。これにより、リフローヘッド7によるリフロー処理中において半田PSが溶融状態とされたときに、リフロー処理の対象となる第3被実装面P23及び第2被実装面P22上での部品Eの変位が規制可能である。このため、第3被実装面P23及び第2被実装面P22上での所定の搭載位置PPに対して部品Eが位置ずれした状態で実装されることを抑制することができる。
【0074】
以上説明した制御部10の制御動作の第1例について、
図12のフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0075】
制御部10は、被実装物Pが保持ユニット3への受け渡し位置まで搬送されるように、上流側搬送部21及び中央搬送部22を制御する(ステップa1、搬送ステップ)。被実装物Pが前記受け渡し位置に位置決めされると、制御部10は、保持ユニット3に被実装物Pを保持させる(ステップa2、保持ステップ)。保持ユニット3が被実装物Pを保持すると、制御部10は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、一の被実装面を部品Eの搭載対象に設定する(ステップa3)。そして、制御部10は、部品Eの搭載対象の被実装面が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップa4、第1姿勢調整ステップ)。
【0076】
搭載対象の被実装面が水平状態とされると、制御部10は、記憶部10Mに記憶された搭載位置情報J1に基づいて、被実装面上の一の搭載位置PPを搭載対象の位置として設定する(ステップa5)。そして、制御部10は、被実装面上の一の搭載位置PPに対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップa6、部品搭載ステップ)。次に、制御部10は、前記搭載位置情報J1に基づいて、部品Eの搭載対象の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了したか否かを判定する(ステップa7)。全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理が終了するまでステップa5及びステップa6の処理が繰り返される。
【0077】
一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了すると(ステップa7でYES)、制御部10は、当該一の被実装面が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップa8、第2姿勢調整ステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象となる被実装面上の一の搭載位置PPをリフロー対象の位置として設定する(ステップa9)。そして、制御部10は、被実装面上の一の搭載位置PPに対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(ステップa10、リフローステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象の被実装面上の全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップa11)。全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了していない場合には、当該全てのリフロー処理が終了するまでステップa9及びステップa10の処理が繰り返される。
【0078】
一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了すると(ステップa11でYES)、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの実装対象となる全ての被実装面に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップa12)。全ての被実装面に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理及びリフロー処理が終了するまで、ステップa3からステップa11までの各処理が繰り返される。
【0079】
全ての被実装面に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了すると(ステップa12でYES)、制御部10は、保持ユニット3による被実装物Pの保持を解除させる(ステップa13)。そして、制御部10は、被実装物Pが実装装置100から搬出されるように、中央搬送部22及び下流側搬送部23を制御する(ステップa14、搬出ステップ)。
【0080】
以上説明した通り、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理とを含む一連の処理を、複数の第1~第4被実装面P21~P24ごとに実行させる。これにより、被実装物Pの各被実装面P21~P24上に部品Eを実装することができる。
【0081】
<制御部の制御動作の第2例>
図13~
図19は、制御部10の制御動作の第2例を詳細に説明するための図である。
図13~
図19では、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、互いに隣接する第1被実装面P21と第2被実装面P22とに部品Eを実装する例が示されている。
【0082】
制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記搭載位置情報J1に基づいて、互いに隣接する第1被実装面P21及び第2被実装面P22における部品Eの搭載位置を、各被実装面P21,P22の境界付近に位置する注目搭載位置PP2と、当該注目搭載位置PP2以外の残余の標準搭載位置PP1とに分類する。
【0083】
互いに隣接する第1被実装面P21及び第2被実装面P22において、各被実装面P21,P22の境界付近に位置する注目搭載位置PP2に対して個別にリフロー処理を行う場合を想定する。この場合、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に対してリフロー処理を行った後、第2被実装面P22上の注目搭載位置PP2に対してリフロー処理を行うと、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に対しては、2回にわたってリフロー処理が施される現象が生じ得る。この場合、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に実装された部品Eの半田PSによる接合状態が不良となる虞がある。
【0084】
そこで、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理とを含む一連の処理を、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の標準搭載位置PP1に対して実行させる。標準搭載位置PP1に対する各処理の終了後に、制御部10は、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対する部品搭載処理を実行させ、その後、リフローヘッド7によるリフロー処理を各被実装面P21,P22に対して同時に実行させる。これにより、各被実装面P21,P22上の注目搭載位置PP2に対して複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。
【0085】
具体的には、制御部10は、第1被実装面P21が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図13参照)。第1被実装面P21が水平状態とされると、制御部10は、第1被実装面P21上の標準搭載位置PP1に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図13参照)。
【0086】
第1被実装面P21上の標準搭載位置PP1に対する部品Eの搭載が終了すると、制御部10は、第1被実装面P21が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図14参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、第1被実装面P21上の標準搭載位置PP1に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図14参照)。
【0087】
第1被実装面P21上の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了すると、制御部10は、第2被実装面P22が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図15参照)。第2被実装面P22が水平状態とされると、制御部10は、第2被実装面P22上の標準搭載位置PP1に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図15参照)。
【0088】
第2被実装面P22上の標準搭載位置PP1に対する部品Eの搭載が終了すると、制御部10は、第2被実装面P22が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図16参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、第2被実装面P22上の標準搭載位置PP1に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図16参照)。
【0089】
第2被実装面P21上の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了すると、制御部10は、第1被実装面P21が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図17参照)。第1被実装面P21が水平状態とされると、制御部10は、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図17参照)。
【0090】
第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に対する部品Eの搭載が終了すると、制御部10は、第2被実装面P22が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図18参照)。第2被実装面P22が水平状態とされると、制御部10は、第2被実装面P22上の注目搭載位置PP2に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図18参照)。
【0091】
第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対する部品Eの搭載が終了した場合を想定する。この場合、制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記部品特徴情報J2に基づいて、第1被実装面P21の水平に対する傾き角θ1と第2被実装面P22の水平に対する傾き角θ2とが前記変位規制範囲内の角度となるように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図19参照)。そして、制御部10は、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を、各被実装面P21,P22に対して同時に実行させる(
図19参照)。これにより、各被実装面P21,P22上の注目搭載位置PP2に対して複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。また、リフローヘッド7によるリフロー処理を各被実装面P21,P22の注目搭載位置PP2に対して同時に実行させる場合、制御部10は、各被実装面P21,P22の水平に対する傾き角θ1,θ2が前記部品特徴情報J2に基づく前記変位規制範囲内の角度となるように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる。これにより、リフローヘッド7によるリフロー処理中において半田PSが溶融状態とされたときに、各被実装面P21,P22上の注目搭載位置PP2での部品Eの変位が規制可能である。このため、各被実装面P21,P22上での注目搭載位置PP2に対して部品Eが位置ずれした状態で実装されることを抑制することができる。
【0092】
以上説明した制御部10の制御動作の第2例について、
図20A、
図20B及び
図20Cのフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0093】
制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記搭載位置情報J1に基づいて、第1~第4被実装面P21~P24の各々における部品Eの搭載位置を、標準搭載位置PP1と注目搭載位置PP2とに分類する(ステップb1、分類ステップ)。次に、制御部10は、注目搭載位置PP2に対するリフロー処理時における、互いに隣接する各被実装面(第1及び第2被実装面P21,P22)の水平に対する傾き角θ1,θ2を演算する(ステップb2、演算ステップ)。
【0094】
制御部10は、被実装物Pが保持ユニット3への受け渡し位置まで搬送されるように、上流側搬送部21及び中央搬送部22を制御する(ステップb3、搬送ステップ)。被実装物Pが前記受け渡し位置に位置決めされると、制御部10は、保持ユニット3に被実装物Pを保持させる(ステップb4、保持ステップ)。保持ユニット3が被実装物Pを保持すると、制御部10は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、一の被実装面を部品Eの搭載対象に設定する(ステップb5)。そして、制御部10は、部品Eの搭載対象の被実装面が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップb6、第1姿勢調整ステップ)。
【0095】
搭載対象の被実装面が水平状態とされると、制御部10は、記憶部10Mに記憶された搭載位置情報J1に基づいて、被実装面上の一の搭載位置を搭載対象の位置として設定する(ステップb7)。次に、制御部10は、搭載対象が標準搭載位置PP1であるか否かを判定する(ステップb8)。制御部10は、搭載対象が標準搭載位置PP1である場合には、被実装面上の一の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップb9、部品搭載ステップ)。一方、搭載対象が標準搭載位置PP1ではない場合、すなわち、注目搭載位置PP2である場合、制御部10は、部品搭載ヘッド41による部品搭載処理をスキップさせる。
【0096】
次に、制御部10は、前記搭載位置情報J1に基づいて、部品Eの搭載対象の被実装面上の全ての標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理が終了したか否かを判定する(ステップb10)。全ての標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理が終了するまで、ステップb7からステップb9までの各処理が繰り返される。
【0097】
一の被実装面上の全ての標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理が終了すると(ステップb10でYES)、制御部10は、当該一の被実装面が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップb11、第2姿勢調整ステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象となる被実装面上の一の搭載位置をリフロー対象の位置として設定する(ステップb12)。次に、制御部10は、リフロー対象が標準搭載位置PP1であるか否かを判定する(ステップb13)。制御部10は、リフロー対象が標準搭載位置PP1である場合には、被実装面上の一の標準搭載位置PP1に対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(ステップb14、リフローステップ)。一方、リフロー対象が標準搭載位置PP1ではない場合、すなわち、注目搭載位置PP2である場合、制御部10は、リフローヘッド7によるリフロー処理をスキップさせる。
【0098】
次に、制御部10は、リフロー処理の対象の被実装面上の全ての標準搭載位置PP1に対するリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップb15)。全ての標準搭載位置PP1に対するリフロー処理が終了していない場合には、当該全てのリフロー処理が終了するまで、ステップb12からステップb14までの各処理が繰り返される。
【0099】
一の被実装面上の全ての標準搭載位置PP1に対するリフロー処理が終了すると(ステップb15でYES)、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの実装対象となる全ての被実装面上の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップb16)。全ての被実装面の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理及びリフロー処理が終了するまで、ステップb5からステップb15までの各処理が繰り返される。
【0100】
全ての被実装面の標準搭載位置PP1に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了すると(ステップb16でYES)、制御部10は、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2を部品Eの搭載対象に設定する(ステップb17)。次に、制御部10は、第1被実装面P21が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップb18、第1姿勢調整ステップ)。第1被実装面P21が水平状態とされると、制御部10は、第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップb19、部品搭載ステップ)。
【0101】
第1被実装面P21上の注目搭載位置PP2に対する部品Eの搭載が終了すると、制御部10は、第2被実装面P22上の注目搭載位置PP2を部品Eの搭載対象に設定する(ステップb20)。次に、制御部10は、第2被実装面P22が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップb21、第1姿勢調整ステップ)。第2被実装面P22が水平状態とされると、制御部10は、第2被実装面P22上の注目搭載位置PP2に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップb22、部品搭載ステップ)。
【0102】
第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対する部品Eの搭載が終了した場合を想定する。この場合、制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記部品特徴情報J2に基づいて、第1被実装面P21の水平に対する傾き角θ1と第2被実装面P22の水平に対する傾き角θ2とが前記変位規制範囲内の角度となるように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップb23、第2姿勢調整ステップ)。そして、制御部10は、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を、各被実装面P21,P22に対して同時に実行させる(ステップb24、リフローステップ)。
【0103】
次に、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの実装対象となる全ての被実装面上の注目搭載位置PP2に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップb25)。全ての被実装面の注目搭載位置PP2に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理及びリフロー処理が終了するまで、ステップb17からステップb24までの各処理が繰り返される。
【0104】
全ての被実装面の注目搭載位置PP2に対する部品搭載処理及びリフロー処理が終了すると(ステップb25でYES)、制御部10は、保持ユニット3による被実装物Pの保持を解除させる(ステップb26)。そして、制御部10は、被実装物Pが実装装置100から搬出されるように、中央搬送部22及び下流側搬送部23を制御する(ステップb27、搬出ステップ)。
【0105】
以上説明した通り、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理とを含む一連の処理を、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の標準搭載位置PP1に対して実行させる。標準搭載位置PP1に対する各処理の終了後に、制御部10は、第1被実装面P21及び第2被実装面P22の各々の注目搭載位置PP2に対する部品搭載処理を実行させ、その後、リフローヘッド7によるリフロー処理を各被実装面P21,P22に対して同時に実行させる。これにより、各被実装面P21,P22上の注目搭載位置PP2に対して複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。
【0106】
<制御部の制御動作の第3例>
図21~
図23は、制御部10の制御動作の第3例を詳細に説明するための図である。
図21~
図23では、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、第3被実装面P23に対して部品Eを実装した後、当該部品Eの搭載位置PPを撮像カメラ82により撮像する例が示されている。
【0107】
制御部10は、部品Eの搭載対象の第3被実装面P23に対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる前に、第3被実装面P23が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図21参照)。第3被実装面P23が水平状態とされると、制御部10は、第3被実装面P23の半田PS上に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図21参照)。
【0108】
第3被実装面P23に部品Eが搭載されると、制御部10は、リフローヘッド7によるリフロー処理の対象となる第3被実装面P23が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図22参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、リフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図22参照)。
【0109】
リフローヘッド7によるリフロー処理が終了すると、制御部10は、撮像カメラ82の撮像動作中において、撮像対象の第3被実装面P23が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図23参照)。これにより、制御部10は、第3被実装面P23上での各搭載位置PPにおける部品Eの有無、部品Eの位置ずれ、半田PSの接合状態の良否などの部品Eの状態を検査するための、複数の方向からの検査画像を取得することができる。なお、
図23では、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像のうち、第3被実装面P23における搭載位置PPの斜め上方からの撮像の例が示されている。
【0110】
上記のように、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理と、撮像カメラ82の撮像動作中における保持ユニット3による第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、複数の第1~第4被実装面P21~P24ごとに実行させる。これにより、被実装物Pの各被実装面P21~P24上に部品Eを実装した上で、部品Eの状態を検査するための検査画像を取得することができる。
【0111】
以上説明した制御部10の制御動作の第3例について、
図24A及び
図24Bのフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0112】
制御部10は、被実装物Pが保持ユニット3への受け渡し位置まで搬送されるように、上流側搬送部21及び中央搬送部22を制御する(ステップc1、搬送ステップ)。被実装物Pが前記受け渡し位置に位置決めされると、制御部10は、保持ユニット3に被実装物Pを保持させる(ステップc2、保持ステップ)。保持ユニット3が被実装物Pを保持すると、制御部10は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、一の被実装面を部品Eの搭載対象に設定する(ステップc3)。そして、制御部10は、部品Eの搭載対象の被実装面が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップc4、第1姿勢調整ステップ)。
【0113】
搭載対象の被実装面が水平状態とされると、制御部10は、記憶部10Mに記憶された搭載位置情報J1に基づいて、被実装面上の一の搭載位置PPを搭載対象の位置として設定する(ステップc5)。そして、制御部10は、被実装面上の一の搭載位置PPに対する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップc6、部品搭載ステップ)。次に、制御部10は、前記搭載位置情報J1に基づいて、部品Eの搭載対象の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了したか否かを判定する(ステップc7)。全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理が終了するまでステップc5及びステップc6の処理が繰り返される。
【0114】
一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する部品搭載処理が終了すると(ステップc7でYES)、制御部10は、当該一の被実装面が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップc8、第2姿勢調整ステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象となる被実装面上の一の搭載位置PPをリフロー対象の位置として設定する(ステップc9)。そして、制御部10は、被実装面上の一の搭載位置PPに対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(ステップc10、リフローステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象の被実装面上の全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップc11)。全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了していない場合には、当該全てのリフロー処理が終了するまでステップc9及びステップc10の処理が繰り返される。
【0115】
一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対するリフロー処理が終了すると(ステップc11でYES)、制御部10は、被実装面上の一の搭載位置PPを検査対象の位置として設定する(ステップc12)。次に、制御部10は、撮像対象の被実装面が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させると共に(ステップc13、第3姿勢調整ステップ)、撮像カメラ82による撮像動作を実行させる(ステップc14、撮像ステップ)。そして、制御部10は、一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する撮像カメラ82による撮像が終了したか否かを判定する(ステップc15)。全ての搭載位置PPに対する撮像カメラ82による撮像が終了していない場合には、当該全ての撮像が終了するまで、ステップc12からステップc14までの各処理が繰り返される。
【0116】
一の被実装面上の全ての搭載位置PPに対する撮像カメラ82による撮像が終了すると(ステップc15でYES)、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの実装対象となる全ての被実装面に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了したか否かを判定する(ステップc16)。全ての被実装面に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了するまで、ステップc3からステップc15までの各処理が繰り返される。
【0117】
全ての被実装面に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了すると(ステップc16でYES)、制御部10は、保持ユニット3による被実装物Pの保持を解除させる(ステップc17)。そして、制御部10は、被実装物Pが実装装置100から搬出されるように、中央搬送部22及び下流側搬送部23を制御する(ステップc18、搬出ステップ)。
【0118】
以上説明した通り、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理と、撮像カメラ82の撮像動作中における保持ユニット3による第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、複数の第1~第4被実装面P21~P24ごとに実行させる。これにより、被実装物Pの各被実装面P21~P24上に部品Eを実装した上で、部品Eの状態を検査するための検査画像を取得することができる。
【0119】
<制御部の制御動作の第4例>
図25~
図30は、制御部10の制御動作の第4例を詳細に説明するための図である。
図25~
図30では、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、第3被実装面P23に対してサイズの異なる部品E及び部品EEを実装し、当該部品E及び部品EEの搭載位置を撮像カメラ82により撮像する例が示されている。なお、部品Eと部品EEとを比較すると、部品EEが部品Eよりもサイズが大きい。
【0120】
第3被実装面P23上における部品E,EEの搭載位置及び部品E,EEのサイズによっては、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像において、サイズの小さい部品Eがサイズの大きい部品EEに隠れる現象が生じ得る。このような現象の回避が可能となるように、制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記搭載位置情報J1及び前記部品特徴情報J2に基づいて、複数の第1~第4被実装面P21~P24の各々において部品実装対象の第3被実装面P23における部品の搭載位置を、先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4とに分類する。先行撮像搭載位置PP3は、撮像カメラ82の撮像動作を先行させる搭載位置である。後続撮像搭載位置PP4は、撮像カメラ82の撮像動作を先行撮像搭載位置PP3に対して後続させる搭載位置である。
【0121】
この際、制御部10は、第3被実装面P23において、先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4との間で互いに隣接する搭載位置同士が、リフローヘッド7によるリフロー処理の影響が及ぶことを規制可能な所定の許容距離DD(
図28)以上離間していることを把握する。すなわち、後続撮像搭載位置PP4に属するように分類すべき、サイズの大きい部品EEが搭載される予定の搭載位置が、サイズの小さい部品Eが搭載される予定の搭載位置に対して前記許容距離DD未満で隣接する場合を想定する。この場合、制御部10は、サイズの大きい部品EEが搭載される予定の搭載位置を、後続撮像搭載位置PP4ではなく、先行撮像搭載位置PP3として分類する。一方、サイズの大きい部品EEが搭載される予定の搭載位置が、サイズの小さい部品Eが搭載される予定の搭載位置に対して前記許容距離DD以上離間して隣接する場合を想定する。この場合、制御部10は、サイズの小さい部品Eが搭載される予定の搭載位置を先行撮像搭載位置PP3とし、サイズの大きい部品EEが搭載される予定の搭載位置を後続撮像搭載位置PP4として分類する。これにより、第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に対して、複数回のリフロー処理が施される現象を回避することができる。
【0122】
第3被実装面P23に対する先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4との分類が終了すると、制御部10は、第3被実装面P23が水平となるように被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図25参照)。第3被実装面P23が水平状態とされると、制御部10は、第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に部品Eを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図25参照)。
【0123】
第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に対する部品Eの搭載が終了すると、制御部10は、第3被実装面P23が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図26参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図26参照)。
【0124】
第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に対するリフローヘッド7によるリフロー処理が終了すると、制御部10は、撮像カメラ82の撮像動作中において、撮像対象の第3被実装面P23が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図27参照)。これにより、制御部10は、第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3における部品Eの有無、部品Eの位置ずれ、半田PSの接合状態の良否などの部品Eの状態を検査するための、複数の方向からの検査画像を取得することができる。なお、
図27では、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像のうち、第3被実装面P23における先行撮像搭載位置PP3の斜め上方からの撮像の例が示されている。
【0125】
第3被実装面P23上の先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了すると、制御部10は、第3被実装面P23が水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図28参照)。第3被実装面P23が水平状態とされると、制御部10は、第3被実装面P23上の後続撮像搭載位置PP4に部品EEを搭載する部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(
図28参照)。この際、第3被実装面P23において先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4とは、リフローヘッド7によるリフロー処理の影響が及ぶことを規制可能な前記許容距離DD以上離間している。
【0126】
第3被実装面P23上の後続撮像搭載位置PP4に対する部品EEの搭載が終了すると、制御部10は、第3被実装面P23が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、被実装物Pの姿勢を調整する第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図29参照)。この第2姿勢調整処理後において、制御部10は、第3被実装面P23上の後続撮像搭載位置PP4に対するリフローヘッド7によるリフロー処理を実行させる(
図29参照)。
【0127】
第3被実装面P23上の後続撮像搭載位置PP4に対するリフローヘッド7によるリフロー処理が終了すると、制御部10は、撮像カメラ82の撮像動作中において、撮像対象の第3被実装面P23が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(
図30参照)。これにより、制御部10は、第3被実装面P23上の後続撮像搭載位置PP4における部品EEの有無、部品EEの位置ずれ、半田PSの接合状態の良否などの部品EEの状態を検査するための、複数の方向からの検査画像を取得することができる。なお、
図30では、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像のうち、第3被実装面P23における後続撮像搭載位置PP4の斜め上方からの撮像の例が示されている。
【0128】
上記のように、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理と、撮像カメラ82の撮像動作中における保持ユニット3による第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、先行撮像搭載位置PP3に対して実行させた後に、後続撮像搭載位置PP4に対して実行させる。これにより、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像において、サイズの小さい部品Eがサイズの大きい部品EEに隠れる現象の回避が可能となる。
【0129】
以上説明した制御部10の制御動作の第4例について、
図31A、
図31B及び
図31Cのフローチャートを参照してより詳細に説明する。
【0130】
制御部10は、記憶部10Mに記憶された前記搭載位置情報J1及び前記部品特徴情報J2に基づいて、複数の第1~第4被実装面P21~P24の各々における部品E,EEの搭載位置を、先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4とに分類する(ステップd1、分類ステップ)。この際、制御部10は、先行撮像搭載位置PP3と後続撮像搭載位置PP4との間で互いに隣接する搭載位置同士が、リフローヘッド7によるリフロー処理の影響が及ぶことを規制可能な前記許容距離DD以上離間していることを把握する(ステップd2、許容距離把握ステップ)。
【0131】
制御部10は、被実装物Pが保持ユニット3への受け渡し位置まで搬送されるように、上流側搬送部21及び中央搬送部22を制御する(ステップd3、搬送ステップ)。被実装物Pが前記受け渡し位置に位置決めされると、制御部10は、保持ユニット3に被実装物Pを保持させる(ステップd4、保持ステップ)。保持ユニット3が被実装物Pを保持すると、制御部10は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、一の被実装面を部品Eの搭載対象に設定する(ステップd5)。そして、制御部10は、部品Eの搭載対象の被実装面が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップd6、第1姿勢調整ステップ)。
【0132】
搭載対象の被実装面が水平状態とされると、制御部10は、被実装面上の一の先行撮像搭載位置PP3を搭載対象の位置として設定する(ステップd7)。そして、制御部10は、被実装面上の一の先行撮像搭載位置PP3に対する部品Eの部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップd8、部品搭載ステップ)。
【0133】
次に、制御部10は、前記搭載位置情報J1に基づいて、部品Eの搭載対象の被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理が終了したか否かを判定する(ステップd9)。全ての先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理が終了するまで、ステップd7及びステップd8の各処理が繰り返される。
【0134】
一の被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理が終了すると(ステップd9でYES)、制御部10は、当該一の被実装面が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップd10、第2姿勢調整ステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象となる被実装面上の一の先行撮像搭載位置PP3をリフロー対象の位置として設定する(ステップd11)。そして、制御部10は、被実装面上の一の先行撮像搭載位置PP3に対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(ステップd12、リフローステップ)。
【0135】
次に、制御部10は、被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対するリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップd13)。全ての先行撮像搭載位置PP3に対するリフロー処理が終了していない場合には、当該全てのリフロー処理が終了するまで、ステップd11及びステップd12の各処理が繰り返される。
【0136】
一の被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対するリフロー処理が終了すると(ステップd13でYES)、制御部10は、被実装面上の一の先行撮像搭載位置PP3を検査対象の位置として設定する(ステップd14)。次に、制御部10は、撮像対象の被実装面が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させると共に(ステップd15、第3姿勢調整ステップ)、撮像カメラ82による撮像動作を実行させる(ステップd16、撮像ステップ)。そして、制御部10は、一の被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対する撮像カメラ82による撮像が終了したか否かを判定する(ステップd17)。全ての先行撮像搭載位置PP3に対する撮像カメラ82による撮像が終了していない場合には、当該全ての撮像が終了するまで、ステップd14からステップd16までの各処理が繰り返される。
【0137】
一の被実装面上の全ての先行撮像搭載位置PP3に対する撮像カメラ82による撮像が終了すると(ステップd17でYES)、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品Eの実装対象となる全ての被実装面上の先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了したか否かを判定する(ステップd18)。全ての被実装面の先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了するまで、ステップd5からステップd17までの各処理が繰り返される。
【0138】
全ての被実装面の先行撮像搭載位置PP3に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了すると(ステップd18でYES)、制御部10は、被実装物Pにおける第1~第4被実装面P21~P24のうち、一の被実装面を部品EEの搭載対象に設定する(ステップd19)。そして、制御部10は、部品EEの搭載対象の被実装面が水平となるように第1姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップd20、第1姿勢調整ステップ)。
【0139】
部品EEの搭載対象の被実装面が水平状態とされると、制御部10は、被実装面上の一の後続撮像搭載位置PP4を搭載対象の位置として設定する(ステップd21)。そして、制御部10は、被実装面上の一の後続撮像搭載位置PP4に対する部品EEの部品搭載処理を部品搭載ヘッド41に実行させる(ステップd22、部品搭載ステップ)。
【0140】
次に、制御部10は、前記搭載位置情報J1に基づいて、部品EEの搭載対象の被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対する部品搭載処理が終了したか否かを判定する(ステップd23)。全ての後続撮像搭載位置PP4に対する部品搭載処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理が終了するまで、ステップd21及びステップd22の各処理が繰り返される。
【0141】
一の被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対する部品搭載処理が終了すると(ステップd23でYES)、制御部10は、当該一の被実装面が第1姿勢調整処理での水平な状態を維持するように、第2姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させる(ステップd24、第2姿勢調整ステップ)。次に、制御部10は、リフロー処理の対象となる被実装面上の一の後続撮像搭載位置PP4をリフロー対象の位置として設定する(ステップd25)。そして、制御部10は、被実装面上の一の後続撮像搭載位置PP4に対するリフロー処理をリフローヘッド7に実行させる(ステップd26、リフローステップ)。
【0142】
次に、制御部10は、被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対するリフロー処理が終了したか否かを判定する(ステップd27)。全ての後続撮像搭載位置PP4に対するリフロー処理が終了していない場合には、当該全てのリフロー処理が終了するまで、ステップd25及びステップd26の各処理が繰り返される。
【0143】
一の被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対するリフロー処理が終了すると(ステップd27でYES)、制御部10は、被実装面上の一の後続撮像搭載位置PP4を検査対象の位置として設定する(ステップd28)。次に、制御部10は、撮像対象の被実装面が撮像カメラ82に対して複数の方向を向くように、被実装物Pの姿勢を調整する第3姿勢調整処理を保持ユニット3に実行させると共に(ステップd29、第3姿勢調整ステップ)、撮像カメラ82による撮像動作を実行させる(ステップd30、撮像ステップ)。そして、制御部10は、一の被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対する撮像カメラ82による撮像が終了したか否かを判定する(ステップd31)。全ての後続撮像搭載位置PP4に対する撮像カメラ82による撮像が終了していない場合には、当該全ての撮像が終了するまで、ステップd28からステップd30までの各処理が繰り返される。
【0144】
一の被実装面上の全ての後続撮像搭載位置PP4に対する撮像カメラ82による撮像が終了すると(ステップd31でYES)、制御部10は、第1~第4被実装面P21~P24のうち、部品EEの実装対象となる全ての被実装面に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了したか否かを判定する(ステップd32)。全ての被実装面の後続撮像搭載位置PP4に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了していない場合には、当該全ての部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了するまで、ステップd19からステップd31までの各処理が繰り返される。
【0145】
全ての被実装面の後続撮像搭載位置PP4に対する部品搭載処理、リフロー処理及び撮像処理が終了すると(ステップd32でYES)、制御部10は、保持ユニット3による被実装物Pの保持を解除させる(ステップd33)。そして、制御部10は、被実装物Pが実装装置100から搬出されるように、中央搬送部22及び下流側搬送部23を制御する(ステップd34、搬出ステップ)。
【0146】
以上説明した通り、制御部10は、保持ユニット3による第1姿勢調整処理と、当該第1姿勢調整処理後における部品搭載ヘッド41による部品搭載処理と、保持ユニット3による第2姿勢調整処理と、当該第2姿勢調整処理後におけるリフローヘッド7によるリフロー処理と、撮像カメラ82の撮像動作中における保持ユニット3による第3姿勢調整処理とを含む一連の処理を、先行撮像搭載位置PP3に対して実行させた後に、後続撮像搭載位置PP4に対して実行させる。これにより、撮像カメラ82による複数の方向からの撮像において、サイズの小さい部品Eがサイズの大きい部品EEに隠れる現象の回避が可能となる。
【符号の説明】
【0147】
3 保持ユニット
4 ヘッドユニット
41 部品搭載ヘッド
7 リフローヘッド
82 撮像カメラ
10 制御部
10M 記憶部
100 実装装置
DD 許容距離
E,EE 部品
J1 搭載位置情報
J2 部品特徴情報
P 被実装物
P1 被保持面
P21 第1被実装面
P22 第2被実装面
P23 第3被実装面
P24 第4被実装面
PP 搭載位置
PP1 標準搭載位置
PP2 注目搭載位置
PP3 先行撮像搭載位置
PP4 後続撮像搭載位置
PS 半田
θ,θ1,θ2 傾き角