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特許7273735生理活性物質の制御放出用組成物及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】生理活性物質の制御放出用組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/194 20060101AFI20230508BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 38/43 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 31/70 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230508BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230508BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20230508BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230508BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230508BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230508BHJP
   A23K 20/142 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/147 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/174 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20230508BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20230508BHJP
【FI】
A61K31/194
A61K31/07
A61K31/375
A61K38/43
A61K38/00
A61K31/70
A61K35/74 A
A61K31/715
A61K31/14
A61K33/00
A61K31/19
A61K47/44
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/58
A61K47/24
A61K47/14
A61K9/14
A61P43/00 171
A23K20/142
A23K20/147
A23K20/174
A23K20/163
A23K20/189
A23K20/158
A23K20/20
A23K50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019567408
(86)(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2018051189
(87)【国際公開番号】W WO2018154531
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】102017000021852
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519311581
【氏名又は名称】バイオスクリーン テクノロジーズ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガスパリ、エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ファルネディ、フラビオ
(72)【発明者】
【氏名】ウンゲーリ、デビス
(72)【発明者】
【氏名】バレンティーニ、アルナルド
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/127236(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/015203(WO,A2)
【文献】特表2013-525488(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122583(WO,A2)
【文献】特表2008-514583(JP,A)
【文献】特開昭63-317050(JP,A)
【文献】特開平05-192096(JP,A)
【文献】特開平05-023114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A23K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子の形態のルーメン耐性組成物であって、各々の微粒子が:
i)コア;及び
ii)少なくとも1つのコアコーティング層;
を含み、
前記コアが:
a)アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質、炭水化物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、コリン、コリンの誘導体及び有機酸から成る群から選択される1つ以上の生理活性物質;及び
b)結合物質、不活性物質及び押出助剤から成る群から選択される物質を含むマトリックス
を含み、
しかも、前記コアコーティング層が、エトキシル化油又はアルギネートから成る乳化物質の群から、及び/又は、脂肪酸から成る群から、及び/又は、メタクリレートポリマーによって形成される群から、選択される少なくとも1つの汚染物質を含み、
各々の前記コアが、少なくとも1つの崩壊剤を1.5%~6.5%の間の重量で更に含み、前記崩壊剤がダイズレシチンを含むことを特徴とする、前記の組成物。
【請求項2】
前記崩壊剤が、前記コア重量に関して1.75%~5.75%の間の重量で含まれることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記コアが、0.5mm~2mmの間に含まれる高さの円筒形状、又は、0.5mm~2mmの間に含まれる直径の回転楕円体形状を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのコーティング層を含み、しかも、各々の微粒子において、コーティング層の総重量が、微粒子重量の10%~70%の間であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
記脂肪酸が、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸又はそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも2つのコアコーティング層を含み、第2のコアコーティング層が、植物レシチン、エトキシル化油又はアルギネートから成る乳化物質の群から、及び/又は、脂肪酸から成る群から、及び/又は、メタクリレートポリマーによって形成される群から、選択される少なくとも1つの汚染物質を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
2つのコアコーティング層が、異なる組成の前記汚染物質を有することを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
下記のものを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物:
-脂肪、脂肪酸、水素添加油(硬化油)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、脂肪族アルコール及び脂肪酸のエステルから成る群から選択される1つ以上の疎水性物質を含む、少なくとも1つのコーティング層;及び
-マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、植物ワックス及び合成食用ワックスから成る群から選択される1つ以上の疎水性物質を含む、少なくとも1つのコーティング層。
【請求項9】
下記の工程を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の調製方法:
アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質、炭水化物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、コリン、コリンの誘導体及び有機酸から成る群から選択される1つ以上の生理活性物質;結合物質、不活性物質及び押出助剤、及び崩壊剤を含む混合物を押出す工程;
場合により、微粒子を球状化に供する工程;
1つ以上のコアコーティング層を形成する工程。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を含む動物飼料用プレ混合物。
【請求項11】
請求項10に記載のプレ混合物を含む飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜産使用のための生理活性物質の制御放出組成物に関する。特に、本発明の主題は、それらが含有する生理活性物質を制御されたやり方で放出することが可能な微粒子を含む組成物、そのような微粒子の製造方法、及び畜産でのそれらの使用である。
【背景技術】
【0002】
家畜の食事に添加物を添加する又は栄養補助するために、生理活性物質が、それらの健康状態を改善する、それらの生産的な寿命を増加させる、及びそれらの畜産性能を増加させるために使用できるということは、公知である。
【0003】
こうして使用される生理活性物質は、例えば、アミノ酸、ビタミン、酵素、栄養物、例えば、タンパク質及び炭水化物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、コリン及びその誘導体を含む。
【0004】
上述の生理活性物質のいくつかは、すでに、家畜飼養用に使用される飼料中に普通存在する。しかし、時々、食事中に存在するこれらの活性物質の摂取は、高い生産性の状態又は不足に対応するには不適当又は不十分なことがある。
【0005】
栄養特性を有するこれらの生理活性物質は、処方製品(プレ混合物又は補完飼料)を通して動物に口から投与され、そこでは、前記活性物質は、媒体と混合することによって「希釈」されて;得られる製品は、その後、飼料に添加される。
【0006】
しかし、活性物質及びこれらの活性物質を含有する飼料は、動物消化管の最初のセクションで酵素化学分解を受ける。(腸に到達するよりも前に、食品が3つの前胃プラス腺胃を通過しなければならない)反芻動物の場合は、2つの主な付随要因が原因で、分解が特に極めて強いことがある:前胃中(特にルーメン(第一胃)中)での飼料の長い移動時間、及び、ルーメンを通過している分子のほとんどに対する分解作用を果たす微生物フローラの存在。
【0007】
ルーメン(第一胃)微生物の作用は、コリンなどのいくつかの活性物質を化学的に変え、それらを、初期の化合物に比べて著しく低減された生物的活性を持つ又はより低い栄養価を持つ物質に、変換する。
【0008】
更に、前記活性物質は、熱及び/又は圧力及び/又はスチームの適用に起因して、圧密処理の間と同様に、配合物の調製の間に、特に混合、包装及び貯蔵フェーズの間に、更に分解を受ける。
【0009】
ルーメンに続く時に物質の放出を可能にする、ルーメン環境での分解から保護されるルーメン保護形態で生理活性物質を放出するための解決を与えようとして、いくつかの製品が提案されてきた。
【0010】
US3959493は、反芻動物への経口投与用のルーメンバイパス製品を記載する。前記製品は、粒子の形態であり、粒子の重量に関して少なくとも60重量%の量で存在してルーメン環境に対して耐性の保護物質及び40%より少ない量の生物活性物質を含む。この保護物質は、反芻動物中でより低い消化管で消化でき、14~22個の炭素原子を含む飽和及び不飽和脂肪酸から成る。
【0011】
US6797291は、湿潤組成物中の吸湿成分を安定化させる方法を記載し、例えばワックス、脂肪酸、アルコール又は脂肪酸から導かれるエステル、ステロール、リン脂質及び水素添加油から成る脂質コーティング中での前記吸湿成分のカプセル化を含む。
【0012】
しかし、これらの文献に記載の製品は、乏しい保存安定性、低濃度の活性物質及びルーメン後の低減された消化性によって特徴付けられる。
【0013】
US2011/250286は、脂肪酸の層及び脂肪酸とグリセリドの第2の層によってコーティングされているコア中に配置された生理活性物質の制御放出用の微粒子又は顆粒の形態の組成物を記載する。
【0014】
EP2274990は、補完反芻動物飼料組成物を製造する方法を記載し、50℃~90℃の間の融点を有する動物油又は植物油から選択される保護剤の混合物の調製;レシチン及びアミノ酸;及び固体にするためにこの混合物の水中へのドリッピング、を含む。
【0015】
US4876097は、化学的に変性されたセルロースを含むpH変化に敏感で制御された親水性を持つコーティングを含む組成物を記載する。
【0016】
US8906407は、エチルセルロースベースのコーティングを含む組成物を記載する。
【0017】
しかし、ここに記載された組成物は、飼料又は栄養補助の製造の間に安定性が乏しく、そこでは、それらは、それらのコーティング層を除去できてこうして製品を効果のないものにする他の成分と混合される。
【0018】
そのような公知の組成物の別のもう1つの欠点は、例えばコーンサイレージを含有する酸性成分と混合することで、組成物が動物に投与される前でさえ、コーティングが反応する原因になり得ることである。
【0019】
EP1791532は、コア及び2つのコーティング層を含む、反芻動物のルーメン後の区域における生理活性物質の制御放出に適した微粒子組成物を記載する。第1のコーティング層は、40℃~74℃の融点及び12~22個の炭素原子の鎖を持つ、脂肪、脂肪酸、水素添加油、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、脂肪酸のエステル、脂肪族アルコールから選択される第1の疎水性物質を含む。第2のコーティング層は、80℃~100℃の間の融点を持つ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、植物及び合成ワックスから選択される第2の疎水性物質を含む。
【0020】
この文献に記載の組成物は、高度のルーメン交差(バイパス)、良好な生体内効果、優れた耐薬品性、耐熱性及び機械抵抗、及び高い混合性及びペレット化特性を保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、微粒子組成物中に含まれる物質のルーメン後の消化性を更に改善して、これらの物質の総生物学的利用能を高めることが、望ましい。
【0022】
こうして、本発明の目的は、第4胃(皺胃)から小腸までの動物消化路中で、従来技術の水準の組成物の欠点を有さない、制御されたやり方で含有物質を放出することが可能な畜産使用のための組成物を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的は、ルーメン耐性組成物で達成され、その主な特徴は、特許請求の範囲の請求項1に特定され、そのような組成物の調製方法の特徴は、関連する方法の請求項に特定され、前記組成物を含む飼料プレ混合物の特徴は、プレ混合物に関する請求項に特定され、そして、前記プレ混合物を含む飼料組成物の特徴は、それぞれの請求項に特定される。本発明の他の特徴は、残りの引用形式の請求項に特定される。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
微粒子の形態のルーメン耐性組成物であって、各々の微粒子が:
i)コア;及び
ii)少なくとも1つのコアコーティング層;
を含み、
前記コアが:
a)アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質、炭水化物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、コリン、コリンの誘導体及び有機酸から成る群から選択される1つ以上の生理活性物質;及び
b)結合物質、不活性物質及び押出助剤から成る群から選択される物質を含むマトリックス
を含み、
各々の前記コアが、少なくとも1つの崩壊剤を1.5%~6.5%の間の重量で更に含むことを特徴とする、前記の組成物。
[2]
前記崩壊剤が、ルーメン後の水性環境の存在下にそれ自身の状態又は構成を変性して、この変性に続いて、コアの崩壊作用を決定する傾向にある物質であるか、又は、前記崩壊剤が、コアの崩壊を助けるようにルーメン後の水性環境中で水を回収又は吸着する傾向にある、ことを特徴とする、前記に記載の組成物。
[3]
前記崩壊剤が、乳化剤、増粘剤、発泡性混合物、多糖類及びメタクリレートポリマーから成る群から選択されることを特徴とする、前記に記載の組成物。
[4]
前記崩壊剤が、下記のものから成る群から選択されることを特徴とする、前記に記載の組成物:
乾燥形態のアミド;植物レシチン、エトキシル化油、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、乾燥形態のアラビアゴム又は寒天、ポリカルボン酸及びアンモニウムの二酸化炭素又はアルカリ金属の二酸化炭素を含む発泡性混合物、乾燥形態のセルロース、メタクリレートポリマー、又はそれらの組合せ。
[5]
前記崩壊剤が、前記コア重量に関して1.75%~5.75%の間、より好ましくは2%~5%の間の重量で含まれることを特徴とする、前記に記載の組成物。
[6]
前記崩壊剤が、下記のものを含む群から選択される物質を含むことを特徴とする、前記に記載の組成物:
ダイズレシチン、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せ;ダイズレシチン、及びクエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せ;ヒマワリレシチン;乾燥形態のカルボキシメチルセルロース(CMC);乾燥形態のコーンスターチ;エトキシル化ヒマシ油;パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及び/又はステアリン酸;乾燥形態のアラビアゴム又は寒天;ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はそれらの組合せ。
[7]
前記崩壊剤がダイズレシチンを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[8]
前記崩壊剤が、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[9]
前記崩壊剤が、ダイズレシチン、及びクエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[10]
前記崩壊剤が、ヒマワリレシチンを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[11]
前記崩壊剤が、乾燥形態のカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[12]
前記崩壊剤が、乾燥形態のコーンスターチを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[13]
前記崩壊剤が、エトキシル化ヒマシ油を含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[14]
前記崩壊剤が、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及び/又はステアリン酸又はそれらの組合せを含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[15]
前記崩壊剤が、乾燥形態のアラビアゴム又は寒天を含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[16]
前記崩壊剤が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、前記のいずれかに記載の組成物。
[17]
前記コアが、0.5mm~2mmの間に含まれる高さの円筒形状、又は、0.5mm~2mmの間に含まれる直径の回転楕円体形状を有することを特徴とする、前記のいずれかに記載の組成物。
[18]
少なくとも1つのコーティング層を含み、しかも、各々の微粒子において、コーティング層の総重量が、微粒子重量の10%~70%の間であることを特徴とする、前記のいずれかに記載の組成物。
[19]
少なくとも1つのコアコーティング層を含み、しかも、前記コーティング層が、植物レシチン、エトキシル化油又はアルギネートから成る乳化物質の群から、及び/又は、脂肪酸から成る群から、及び/又は、メタクリレートポリマーによって形成される群から、選択される少なくとも1つの汚染物質を含むことを特徴とする、前記のいずれかに記載の組成物。
[20]
前記乳化物質が、ダイズ又はヒマワリレシチン、エトキシル化ヒマシ油、アルギン酸マグネシウム及びアルカリ金属又はそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする、前記に記載の組成物。
[21]
前記汚染脂肪酸が、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸又はそれらの組合せから成る群から選択されることを特徴とする、[20]に記載の組成物。
[22]
少なくとも2つのコアコーティング層を含み、各々のコーティング層が、植物レシチン、エトキシル化油又はアルギネートから成る乳化物質の群から、及び/又は、脂肪酸から成る群から、及び/又は、メタクリレートポリマーによって形成される群から、選択される少なくとも1つの汚染物質を含むことを特徴とする、前記のいずれかに記載の組成物。
[23]
2つのコーティング層が、異なる組成の前記汚染物質を有することを特徴とする、[20]に記載の組成物。
[24]
下記のものを含む、前記のいずれかに記載の組成物:
-脂肪、脂肪酸、水素添加油(硬化油)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、脂肪族アルコール及び脂肪酸のエステルから成る群から選択される1つ以上の疎水性物質を含む、少なくとも1つのコーティング層;及び
-マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、植物ワックス及び合成食用ワックスから成る群から選択される1つ以上の疎水性物質を含む、少なくとも1つのコーティング層。
[25]
下記の工程を含むことを特徴とする、前記のいずれかに記載の組成物の調製方法:
アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質、炭水化物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、コリン、コリンの誘導体及び有機酸から成る群から選択される1つ以上の生理活性物質;結合物質、不活性物質及び押出助剤、及び崩壊剤を含む混合物を押出す工程;
場合により、微粒子を球状化に供する工程;
1つ以上のコーティング層を形成する工程。
[26]
[1]~[24]のいずれかに記載の組成物を含む動物飼料用プレ混合物。
[27]
[26]に記載のプレ混合物を含む飼料。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の組成物の利点は、それが、制御されたやり方でルーメン後の帯域中で生理活性物質を放出して、これらの物質の総生物学的利用能の改善を達成するという事実に存する。
【0025】
本発明の意味では、用語「ルーメンバイパス」とは、経口投与された物質の総重量に関して、胃及び腸である動物ルーメン後の領域に到達する物質の重量パーセンテージを示す。
【0026】
それに対して、物質の「ルーメン後の消化性」という用語は、経口投与された物質の総重量に関して、ルーメン後の区域で排他的にコーティングから遊離されて、溶解して、こうしてそれを消化可能又は吸収性にする物質の重量パーセンテージを意味する。
【0027】
物質の「総生物学的利用能」という用語は、経口投与された物質の総重量に関して、生物学的に活性な形態で動物体循環に到達する物質の重量パーセンテージを示すために、使用される。
【0028】
こうして、物質の総生物学的利用能は、ルーメンバイパス及びルーメン後の消化性という2つの値の組合せによって、定義される。
【0029】
実際、製薬産業で公知の方法論を使用することで、本発明の組成物を用いて投与される生理活性物質は、従来技術の水準の組成物よりも高いパーセンテージで、非分解形態で生物学的利用性があることが、確立された。
【0030】
更に、本発明の畜産使用のための組成物は、制御された化学的及び物理的特性を有し、機械構造的分解に対して耐性である。
【0031】
本発明のルーメン耐性組成物及びその製造方法のこれらの及び他の利点は、いくつかの実施形態の下記の詳細な記述から、当業者には明らかであろう。
【0032】
本発明のルーメン耐性組成物は、微粒子の形態であり、そこでは、各々の微粒子は、コア及び1つ以上のコーティング層を含む。
【0033】
前記コアは、一般に固体の形態である1つ以上の生理活性物質又は成分及びマトリックスを含有する。
【0034】
非分解形態で動物に投与されるべきいかなる物質も、本発明の組成物の微粒子のコア中に、原則として含有することができる。公知のように、微粒子のコア中に含有する生理活性物質は、下記のものから成る群から選択できる:アミノ酸、ビタミン、酵素、タンパク質及び炭水化物などの栄養物、プロバイオティクス微生物、プレバイオティック食品、鉱塩、乳酸、フマル酸、ソルビン酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、酪酸及びプロピオン酸などの酸の混合物、コリン及びコリン誘導体、例えば、塩化コリン、重酒石酸コリン、クエン酸脱水素化コリン、重炭酸コリン、コリン硫酸及び水酸化コリン。これらの生理活性物質は、異なる重量比で一緒に混合できるか又は単独で使用できる。
【0035】
好ましい実施形態では、生理活性物質は、下記のものから選択される:メチオニン、コリン、塩化コリン、リジン、リジン塩酸塩、リジン硫酸塩、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンD3及びその誘導体、ビタミンB1及びその誘導体、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB6及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンH、ビタミンPP及びその誘導体及び、乳酸、フマル酸、ソルビン酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、酪酸及びプロピオン酸を含む酸の混合物。
【0036】
均一の不均質混合物を得るために生理活性物質と混合される前記マトリックスは、不活性物質及び結合作用を有する物質から選択される少なくとも1つの物質を含む。
【0037】
マトリックス中で使用される結合作用を持つ物質は、典型的に、ゴム、セルロース及びその誘導体、アミド及び誘導体、ワックス及び誘導体及び脂肪及び誘導体などの植物又は合成起源の無毒の物質である。
【0038】
有利には、植物ワックス、例えば、カルナウバロウ、ライスワックス、マイクロクリスタリン(微結晶性)ワックス、脂肪及びそれらの誘導体が、使用される。好ましい実施形態では、結合剤は、有利には1:1である1:3~3:1の重量比でのライスワックス及び微結晶性ワックスの組合せである。
【0039】
別の実施形態では、結合剤は、有利には1:1である1:3~3:1の重量比でのライスワックス及び脂肪酸誘導体の組合せである。脂肪酸の誘導体として、亜鉛、マグネシウム又はカルシウム塩などの塩を使用できる。
【0040】
マトリックスの形成で使用される不活性成分は、滑り物質であり、そして、一般に、シリケートのカテゴリーに属し、特に疎水性シリケート、例えば、コロイドシリカ、合成アモルファスシリカ、沈降シリカ、ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カオリン、疎水性合成ゼオライトのカテゴリーに属する。
【0041】
本発明の組成物のコア中の結合物質及び不活性物質の総重量は、好ましくは、コアの総重量の1%~70%の間である。より好ましくは、結合及び不活性作用を有する物質の合計量は、合計コア重量の、10%~30重量%の間、更により好ましくは12%~17重量%の間である。
【0042】
本発明によれば、コアは、少なくとも1つの崩壊剤を含む。本発明によれば、崩壊剤は、結合剤に加えて存在する。要するに、崩壊剤として使用される物質は、破壊的機能を追加するような量でコアに添加される。
【0043】
この崩壊剤は、本発明の組成物のコア中に、コアの総重量の好ましくは1.5%~6.5%の間に含まれる重量で存在する。より好ましくは、崩壊剤の量は、コアの総重量の1.75重量%~5.75重量%の範囲内にあり、更により好ましくは、崩壊剤物質の重量は、コアの総重量の2%~5%の間に含まれる。
【0044】
本発明の意味では、崩壊剤という用語は、ルーメン後の水性環境の存在下にそれ自身の状態又は作用を変性することが可能で、それが水性媒体と一旦相互作用したらコアの急速な崩壊を引き起こすことが可能な、物質を示す。これらの作用は、例えば、コア物質の改善された可溶化、及び/又は、コアの崩壊又は破損を助ける発泡性作用である。要するに、こうして、活性成分は、崩壊剤の作用のおかげで改善されたルーメン後の消化性を与えられることができる。破壊的機能は、ルーメン後の環境中で水を回収できてコア崩壊を引き起こし得る物質によって、実施されることができる。
【0045】
実際、組成物がルーメン後の環境と一旦接触すると、前記崩壊剤は生理活性物質の放出を改善することが、驚いたことに見出された。
【0046】
この目的に適した崩壊剤物質は、乳化剤、増粘剤、発泡性混合物、多糖類及びメタクリレートポリマーである。
【0047】
好ましくは、本発明の組成物のコア中で上記で特定される量で使用できる崩壊剤化合物は、下記の群から選択される:乾燥形態のアミド;植物レシチン、例えば、ダイズレシチン又はヒマワリレシチン、又はそれらの組合せ;エトキシル化油;脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド;乾燥形態の寒天;二酸化炭素を展開可能な発泡性混合物、例えば、クエン酸又は酒石酸などの少なくとも1つのポリカルボン酸及びアンモニウムの又はアルカリ金属の少なくとも1つの重炭酸塩から形成されるもの、例えば、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せ;乾燥形態の及び/又はあらかじめウェットではないセルロース;及びメタクリレートポリマー、又はそれらの組合せ。乾燥形態のセルロースに関して、それが水性ルーメン後の環境と接触する時は、それは、湿気を吸収して膨潤し、それ故に活性成分を含有するコアの崩壊を促進する傾向がある、ということに留意するべきである。
【0048】
更により好ましくは、崩壊剤は、ダイズレシチンのみを含むこともでき、それは、乳化剤としてコアの内部に向って水を回収する機能を有し、そして、活性成分と水との接触を高めてそれらの可溶化を助ける。
【0049】
あるいは、崩壊剤は、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムの組合せを含む。それらは、コアを膨潤させる機能を有する発泡性混合物である。混合物中のクエン酸及び炭酸水素ナトリウムのそれぞれのパーセンテージは、前者が30%~70%で後者が70%~30%の範囲内にあり、より好ましくは50%-50%である。
【0050】
別のもう1つの実施形態では、崩壊剤は、ダイズレシチン及びクエン酸/炭酸水素ナトリウムの組合せを含む。上記の2つの機能は組み合わされ、すなわち、レシチンは、内部に向って水を引き付け、可溶化を助けると同時に、発泡性酸/塩基反応を助ける。
【0051】
混合物中のダイズレシチン、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムのそれぞれのパーセンテージは、それぞれ、30%~60%、20%~40%及び20%~40%の範囲内に含まれ、より好ましくは、40%(レシチン)、30%(クエン酸)及び30%(炭酸水素ナトリウム)である。
【0052】
好ましくは、崩壊剤は、ヒマワリレシチンのみを含む。
【0053】
好ましくは、崩壊剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含み:あらかじめウェットではないインサート乾燥である。なぜなら、もしもそれがコア製造の間にウェットであるならば、それは、ルーメン後のフェーズで要求される崩壊機能を果たすことができないであろうからである。
【0054】
好ましくは、崩壊剤は、CMCと同様の機能を有する乾燥インサートコーンスターチを含む。
【0055】
好ましくは、崩壊剤は、ダイズレシチンと同様の機能を有するエトキシル化ヒマシ油を含む。
【0056】
好ましくは、崩壊剤は、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及び/又はステアリン酸、又はそれらの組合せを含む。すなわち、それらは単独の脂肪酸であり、それらは、消化できるのであって、コア中に使用される結合剤よりも容易に消化される傾向があり、その結果、それらを含有するコアを、より消化できるようにする傾向がある。
【0057】
好ましくは、崩壊剤は、寒天-アラビアゴムを含み、それらは、一旦ウェットになるとそれらを膨潤させるように、乾燥形態でインサートされる。更に、上述の脂肪酸に関しては同様に、それらは、押出結合剤として使用される伝統的な植物ワックス及びライスワックスよりも、かなり消化しやすいのであり、こうして、それらは、より容易に消化される傾向があり、その結果、それらを含有するコアを、より消化しやすくする。
【0058】
好ましくは、崩壊剤は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含み:酸性(胃)pHで可溶性となるpH依存性ポリマーであり、その一方でそれは、弱酸pH(5)と弱塩基性pH(8)との間では固体のままであり:この範囲は、健康な動物のルーメンで見出されるpH値を含む。その結果、PMMAは、もしも胃液によってウェットならば溶解するが、もしもルーメン液によってウェットならば溶解しない。
【0059】
本発明の組成物の微粒子は、少なくとも1つのコアコーティング層を含む。好ましくは、それらは、少なくとも2つのコーティング層を含む。こうして、外部コーティングは、ルーメン環境条件で少なくとも8時間安定な撥水フィルムを形成する物質で構成されている少なくとも第1の層と、75℃~90℃の間の温度に耐性であって機械的摩耗及び衝撃に対する保護のための少なくとも第2の保護層と、を含む。
【0060】
本発明の実施形態によれば、組成物の微粒子は、3つの、4つの又はそれ以上のコーティング層を含む被覆を形成するように前記第1の層及び第2の層が繰り返し堆積されて、製造できる。
【0061】
更に、本発明の組成物の微粒子は、前記第1の層及び第2の層で示されるものとは異なる組成を有するコーティング層を、更に含むことができる。
【0062】
実際、第1の層及び第2の層のこの繰返した交互の配置、及び/又は、異なる配合を持つ層の更なる適用は、微粒子の透水性を、ルーメン区域を越えるのに必要な期間、耐水性のままであるように調節することを可能にする、ということが見出された。この期間は、微粒子のサイズ、それらの比重及び浮力、すなわち、ルーメン内容物が細かく分けられる層の内部のそれらの配列によって変化できるが、普通は、7~8時間の範囲内である。その代わりに、微粒子がルーメン後の消化管の領域の内部で費やす時間は、更なる24時間以内に一般に定量化できる。
【0063】
本発明の組成物の微粒子は、反芻動物の消化環境での最初の10~12時間の浸漬では有利には不浸透性であり、その後、それらは外部環境に対してますます浸透性になる。
【0064】
コアの前記第1のコーティング層は、疎水性特性を有する1つ以上の生理学的に許容される物質から成る。
【0065】
前記第1の層を形成する疎水性物質は、下記のものから成る群から選択される:脂肪、脂肪酸、水素添加油、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、亜鉛、マグネシウム又はカルシウムステアリン酸塩などの脂肪酸の塩、脂肪族アルコール及び脂肪酸のエステル、及びそれらの混合物。
【0066】
これらの疎水性物質は、好ましくは下記のものから選択される:ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン、硬化大豆油、硬化菜種油、硬化綿油、硬化パーム油、硬化亜麻仁油、ナトリウムグリセリル モノ-、ジ-、トリ-ステアリン酸塩、カルシウムステアリン酸塩、マグネシウムステアリン酸塩、亜鉛ステアリン酸塩、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール。
【0067】
有利には、疎水性物質は、硬化パーム油及び/又は硬化菜種油から選択される。
【0068】
前記第1の層の外側上に配置される第2の層は、少なくとも1つの第2の生理学的に許容される物質、又は疎水性特性を有する物質の混合物を含む。前記第2の疎水性物質又は物質の混合物は、機械的応力に耐性であり、その化学的物理的特性を80℃の温度まで変化しないで維持する。
【0069】
前記第2の層の中に含まれる前記第2の疎水性物質は、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、植物ワックス及び食用合成ワックスから成る群から選択される。有利には、前記第2の疎水性物質は、ライスワックス、カルナウバロウ及び/又はマイクロクリスタリンワックスから成る群から選択される。
【0070】
有利には、本発明の実施形態によれば、少なくとも1つのコーティング層は、汚染物質を更に含み、それは、その不存在下では前記コーティング層が有するであろう特徴を変える物質である。好ましくは、汚染物質は、乳化物質、例えば、植物レシチン、エトキシル化油及びアルギネートから成る群、及び/又は脂肪酸の群及び/又はメタクリレートコポリマーの群、から選択される。コーティング層中の乳化物質として、ダイズ又はヒマワリレシチン、エトキシル化ヒマシ油、アルカリ金属及びアルギン酸マグネシウムが、有利に使用できる。好ましくは、乳化物質は、コーティング層の重量の0.1重量%~6重量%の間である。
【0071】
コーティング層中で汚染する脂肪酸として、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、又はそれらの組合せが有利に使用できる。好ましくは、脂肪酸又はそれらの組合せは、コーティング層の重量の1重量%~40重量%の間で含まれる。特にそれらは、単独の脂肪酸であり、それは、コーティング層として使用される水素化ワックス及びトリグリセリドよりもかなり消化しやすく、こうして、それらは、より容易に消化される傾向があり、その結果、時間が経てば、コーティングの構造中にミクロキャナル(損傷)を形成して、水が徐々に入ることを可能にする。
【0072】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、コーティング層を汚染するメタクリレートコポリマーとして有利に使用できる。
【0073】
好ましくは、乳化物質は、ダイズ又はヒマワリレシチンを含む。これらの物質は、水をコーティング層にゆっくりと入れさせる機能を有する。
【0074】
1つの実施形態では、乳化物質は、エトキシル化ヒマシ油を含む。
【0075】
1つの実施形態では、乳化物質は、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸マグネシウムを含む。この物質は、ワックス及びトリグリセリドよりも消化しやすく、より容易に消化される傾向があり、その結果、時間が経てば、コーティングの構造中にマイクロチャンネル(損傷)を形成して、水が徐々に入ることを可能にする。
【0076】
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、パルミチン酸を含み、それは、容易に消化される傾向があり、その結果、時間が経てば、コーティングの構造中にマイクロチャンネル(損傷)を形成する傾向があり、水が徐々に入ることを可能にする。
【0077】
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、オレイン酸を含む。
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、リノール酸を含む。
【0078】
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、リノレン酸を含む。
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、ステアリン酸を含む。
【0079】
1つの実施形態では、汚染脂肪酸は、上述の脂肪酸の組合せを含む。
【0080】
1つの実施形態では、汚染物質は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含み:酸性(胃)pHで可溶性となるpH依存性ポリマーであり、その一方でそれは、弱酸pH(5)と弱塩基性pH(8)との間では固体のままであり:この範囲は、健康な動物のルーメンで見出されるpH値を含む。その結果、それは、もしも胃液によってウェットならば溶解するが、もしもルーメン液によってウェットならば溶解しない。
【0081】
本開示の好ましい形態では又は好ましい形態(複数)では、本開示のルーメン耐性組成物は、コーティング層の中に上記で定義されるような汚染物質及び上記で定義されるようなコア中の崩壊剤のいかなる組合せをも含む。
【0082】
その結果として、この組合せは、それがない製品に比べて得られるべきルーメン後の消化性の改善を可能にすることが起き;ルーメン後の消化性の前記改善は、コーティング層中の汚染物質とコア中の崩壊剤との間の相乗作用が原因で活性成分に与えられる。
本発明の好ましい実施形態によれば、微粒子は、少なくとも2つのコーティング層を含み、そこでは、各々のコーティング層は、上記で定義される実施形態のいずれか又はそれらの組合せにおけるようなものである。各々のコーティング層は、コーティング層の重量の0.01重量%~40重量%の間を含む量の汚染物質を含む。
各々の微粒子では、コーティング層の全重量は、微粒子の重量の10%~50%の間であり、より好ましくは、コーティング層の全重量は、微粒子の重量の15%~40%の間である。
【0083】
本発明は、上述の微粒子組成物の調製方法にも関する。
【0084】
当該方法は、コアを形成する物質、すなわち、生理活性物質、マトリックス物質及び崩壊剤物質を混合するフェーズを含み、それは、混合、切断、加熱及び冷却を備えた容器中で実施される。混合は、均一な混合物が得られるまで、実施される。
【0085】
高い微小粒度分布を持つ生理活性物質の場合は、予備的な微粉化処理が必要になることがある。上記で強調されているように、コアは、1つ以上の生理活性物質を含むことができ、得られる混合物は、その後の処理工程の間に、特にコーティング作業の間に、コアがインタクトのままであるほど十分に固体でなければならない。
【0086】
本発明の微粒子の組成物を調製する方法は、こうして得た混合物のその後の押出工程を含む。
【0087】
得られた混合物は、要求される形状及びサイズの微粒子を得るように、押出機中に押出される。
【0088】
当業者に公知の押出機は、有利には、実施される処理に基づき温度勾配の適用を可能にする加熱及び冷却手段を備えたセクター及び、供給及び混合を備えた二軸押出機である。押出機のヘッドは、加熱可能な及び/又は冷却可能なダイを備え、そして、所定の直径を持つ複数の出口穴を備える。
【0089】
ダイの外側で、組成物は、微粒子コアの長さの調節を可能にする可変スピードでのカッターで、切断に付する。
【0090】
こうして得られたコアは、望ましくない寸法の廃棄物及び粉末を除去するために、冷却及びふるい分けに付する。
【0091】
この時点で、コアは、コーティング工程に付することができる。
【0092】
本発明の別の実施形態では、コーティング工程よりも前に、冷却及びふるい分け後に得られたコアは、その形状を修正するために球状化操作に又は別のもう1つの処理に付する。球状化操作は、軟化剤、増粘剤及び凝集剤などの助剤及び空気中でブローする回転ディスクスフェロナイザーで実施できる。
【0093】
回転楕円体形状は、円筒形状に比べて、より大きなコンパクトさ、滑らかさ、被覆性及び混合性という利点を有する。
【0094】
実際、本発明によれば、回転楕円体形状は、得られるべきコーティングの一層良い均一性を可能にし、これは、同じ厚さの適用される保護層ではコーティングのより効果的な保護作用を可能にすることが、見出された。
【0095】
あるいは、本発明のルーメン耐性組成物のコアは、下記の技術を通して得ることができる:
-乾燥及び/又は湿潤組成物、しかも、生理活性物質は、不規則な微粒子を形成するまでマトリックス物質と混合される;
-マトリックス物質と一緒に圧縮;
-ドリッピング:しかも、生理活性物質は、冷却液中にドリップされる混合物を形成するワックス又は溶融ワックス中に分散される;
-噴霧冷却:しかも、生理活性物質は、溶融マトリックス中に分散され、冷却塔中に噴霧される;
-コアセルベーション:しかも、生理活性物質は、マトリックスを持つ溶液中で溶融され、その後、硬化剤(例えばCaCl)及び水の溶液中に注入される。こうして得られた球は、その後、乾燥され潜在的に被覆される。
【0096】
本発明の実施形態によれば、ルーメン耐性組成物の微粒子のコアは、円筒形状を有し、その高さは、0.5mm~2mmの間に含まれる。別の実施形態によれば、ルーメン耐性組成物の微粒子のコアは、実質的に回転楕円体形状を有し、その直径は、0.5mm~2mmの間に含まれる。
【0097】
その後、こうして得られたコアは、コーティング工程に付する。コーティング層は、当業者に公知のコーティング技術によって、パンの中で適用できる。あるいは、例えばトップ噴霧流動床、ボトム噴霧流動床又は接線噴霧流動床などの流動床コーティング技術;又は、単独の成分又は成分の混合物での噴霧技術、又は乾燥コーティング技術を使用できる。
【0098】
本発明の更なる利点及び特徴が、下記の詳細及び下記の例に関してそれらの実施形態の非限定的な記述から、当業者には明らかであろう。
【0099】

下記の例では、下記の分析及び検査具が使用された:
・微粒子寸法線検査用の、各々の単一の製造工程の終わりに配置されるふるい;
・目視検査用の顕微鏡;
・耐熱性検査用の融点計器;
・硬度及び機械抵抗検査用の硬度計;
・活性成分(濃度)の定量用の自動滴定装置又はHPLC;
・ルーメンバイパスの程度を決定するための医薬品溶解機。使用の実験条件は、約6.8の「ルーメン」pHを持つ溶液中での8時間の存在、15rpm、39℃であった。
・DaisyII ANKOM:ルーメンバイパスの程度を決定するための、市販の実験室の人工ルーメン。使用の実験条件は、39℃、ルーメン条件での8時間の存在、「ルーメン接種源」のインサーションでの「ルーメン」pHの緩衝溶液及びルーメン嫌気状態の再現(当業者に公知の大学手順による)であった。品質管理フェーズで標準的に試験されたpHは、6.8である。ルーメン後の消化性の程度を決定するための医薬品溶解機。使用の実験条件は、「Boisen試験」として当業者に公知の手順に従い、特に、それらは下記のものであった:
39℃、30rpm、2h、「胃の」pH(2.0)+ペプシン接種源を持つ緩衝溶液。
39℃、30rpm、4h、「腸の」pH(6.8)+パンクレアチン接種源を持つ緩衝溶液。
39℃、30rpm、18h、「腸の」pH(6.8)+リパーゼ及び胆汁抽出物接種源を持つ緩衝溶液。
【0100】
例1-塩化コリンを含有する微粒子の調製
例1.1
99%の純度を持つ425kgの塩化コリンが、10kgの噴霧ライスワックス、15kgの亜鉛ステアリン酸塩、10kgのダイズレシチン及び40kgのシリカと混合された。混合物は、下記のプログラムに従って異なる温度勾配のセクターを持つ押出機を使用して、押出された。
セクター1 セクター2 セクター3 セクター4 セクター5 セクター6
85℃ 85℃ 50℃ 50℃ 45℃ 65℃
【0101】
こうして得られたコアは、塩化コリンで85%の濃度を有した。その後、コアは、パン中でのコーティングに付された。
【0102】
第1のコーティング層が形成され、400kgの微粒子を、下記のものを含む120kgのコーティング混合物でコーティングした:
65重量%の硬化パーム油;
32重量%のパルミチン酸;
3重量%のダイズレシチン。
【0103】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む40kgのコーティング混合物でコーティングした:
50重量%の硬化パーム油;
50重量%のライスワックス。
【0104】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0105】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して60重量%の塩化コリン濃度を有した。
【0106】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。Boisen法の完全な記述として、下記の出版物が参照される:S. Boisen, J. A. Fernandez “Prediction of total tract digestibility of energy feedstuffs and pig diets by in vitro analyses” Animal Feed Science Technology 68, 277-286, 1997。
【0107】
インビトロの結果が、表1に強調される。
【表1】
【0108】
例1.2
99%の純度を持つ425kgの塩化コリンが、10kgの噴霧ライスワックス、15kgの亜鉛ステアリン酸塩、10kgのダイズレシチン、5kgのクエン酸、5kgの炭酸水素ナトリウム及び30kgのシリカと混合された。混合物は、下記のプログラムに従って異なる温度勾配のセクターを持つ押出機を使用して、押出された。
セクター1 セクター2 セクター3 セクター4 セクター5 セクター6
70℃ 75℃ 80℃ 80℃ 80℃ 85℃
【0109】
こうして得られたコアは、塩化コリンで85%の濃度を有した。その後、コアは、パン中でのコーティングに付された。
【0110】
第1のコーティング層が形成され、400kgの微粒子を、下記のものを含む100kgのコーティング混合物でコーティングした:
75重量%の硬化パーム油;
23重量%のパルミチン酸;
2重量%のエトキシル化ヒマシ油.
【0111】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む60kgのコーティング混合物でコーティングした:
50重量%の硬化菜種油;
45重量%のカルナウバロウ;
5重量%のポリメチルメタクリレート。
【0112】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0113】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して60重量%の塩化コリン濃度を有した。
【0114】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。Boisen法の完全な記述として、下記の出版物が参照される:S. Boisen, J. A. Fernandez “Prediction of total tract digestibility of energy feedstuffs and pig diets by in vitro analyses” Animal Feed Science Technology 68, 277-286, 1997。
【0115】
インビトロの結果が、表2に強調される。
【表2】
【0116】
例1.3
例1.2の手順で得られた押出コアは、球状化用助剤として75%塩化コリン水性液の使用で球状化された。その後、それらは、パンの中で被覆された。
【0117】
第1のコーティング層が形成され、400kgの回転楕円体微粒子を、下記のものを含む125kgのコーティング混合物でコーティングした:
72重量%の硬化パーム油;
25重量%のパルミチン酸;
3重量%のエトキシル化ヒマシ油。
【0118】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む20kgのコーティング混合物でコーティングした:
50重量%の硬化パーム油;
50重量%のライスワックス。
【0119】
最後に、100%のポリメチルメタクリレートを含有する20kgの第3コーティング層が、形成された。
【0120】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0121】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して60重量%の塩化コリン濃度を有した。
【0122】
インビトロの結果が、表3に強調される。
【表3】
【0123】
例2-リジンHClを含有する微粒子の調製
例2.1
400kgの微粉化リジン塩酸塩が、60kgの粒状ライスワックス、48kgのパーダー化粉末、及び12kgのダイズレシチンと混合された。混合物は、下記のプログラムに従って異なる温度勾配のセクターを持つ押出機を使用して、押出された。
セクター1 セクター2 セクター3 セクター4 セクター5 セクター6
85℃ 65℃ 50℃ 50℃ 50℃ 50℃
【0124】
こうして得られたコアは、リジン塩酸塩で75%の濃度を有した。その後、コアは、パン中でのコーティングに付された。
【0125】
第1のコーティング層が形成され、350kgの微粒子を、下記のものを含む100kgのコーティング混合物でコーティングした:
95重量%の硬化パーム油;
5重量%のヒマワリレシチン。
【0126】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む75kgのコーティング混合物でコーティングした:
50重量%の硬化菜種油;
48重量%のカルナウバロウ;
2重量%のヒマワリレシチン。
【0127】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0128】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して50重量%のリジン塩酸塩濃度を有した。
【0129】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。Boisen法の完全な記述として、下記の出版物が参照される:S. Boisen, J. A. Fernandez “Prediction of total tract digestibility of energy feedstuffs and pig diets by in vitro analyses” Animal Feed Science Technology 68, 277-286, 1997。
【0130】
インビトロの結果が、表4に強調される。
【表4】
【0131】
例2.2
324kgの微粉化リジン塩酸塩が、64kgのライスワックス噴霧及び12kgのダイズレシチンと混合された。混合物は、下記のプログラムに従って異なる温度勾配のセクターを持つ押出機を使用して、押出された。
セクター1 セクター2 セクター3 セクター4 セクター5 セクター6
85℃ 85℃ 80℃ 80℃ 80℃ 80℃
【0132】
こうして得られたコアは、80%リジン塩酸塩の濃度を有した。コアは、球状化助剤として50%リジン塩酸塩水溶液を使用して球状化され、その後、パン中でのコーティングに付された。
【0133】
第1のコーティング層が形成され、350kgの微粒子を、下記のものを含む90kgのコーティング混合物でコーティングした:
75重量%の硬化パーム油;
23重量%のパルミチン酸;
2重量%のエトキシル化ヒマシ油。
【0134】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む50kgのコーティング混合物でコーティングした:
48重量%の硬化菜種油;
52重量%のライスワックス;
2重量%のヒマワリレシチン。
【0135】
その後、第3のコーティング層が形成され、第2の層によってコーティングされた微粒子を、第1の層と同一のコーティング混合物40kgでコーティングした。
【0136】
その後、第4のコーティング層が形成され、第3の層によってコーティングされた微粒子を、第2の層と同一のコーティング混合物30kgでコーティングした。
【0137】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0138】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して50重量%のリジン塩酸塩濃度を有した。
【0139】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。Boisen法の完全な記述として、下記の出版物が参照される:S. Boisen, J. A. Fernandez “Prediction of total tract digestibility of energy feedstuffs and pig diets by in vitro analyses” Animal Feed Science Technology 68, 277-286, 1997。
【0140】
インビトロの結果が、表5に強調される。
【表5】
【0141】
例3-DL-メチオニンを含有する微粒子の調製
例3.1
430kgのDL-メチオニンが、30kgのライスワックス噴霧、25kgの硬化パーム油、5kgのシリカ、5kgのクエン酸及び5kgの炭酸水素ナトリウムと混合された。混合物は、下記のプログラムに従って異なる温度勾配のセクターを持つ押出機を使用して、押出された。
セクター1 セクター2 セクター3 セクター4 セクター5 セクター6
85℃ 45℃ 40℃ 40℃ 35℃ 60℃
【0142】
こうして得られたコアは、85%DL-メチオニンの濃度を有した。その後、コアは、パン中でのコーティングに付された。
【0143】
第1のコーティング層が形成され、400kgの微粒子を、下記のものを含む40kgのコーティング混合物でコーティングした:
70重量%の硬化菜種油;
30重量%のリノレン酸。
【0144】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む35kgのコーティング混合物でコーティングした:
35重量%の硬化パーム油;
65重量%のカルナウバロウ。
【0145】
その後、第3のコーティング層が形成され、第2の層によってコーティングされた微粒子を、第1の層と同一のコーティング混合物10kgでコーティングした。
【0146】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0147】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して70重量%のDL-メチオニン濃度を有した。
【0148】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。
【0149】
インビトロの結果が、表6に強調される。
【表6】
【0150】
例3.2
前述の例の最初の部分に記載された同じ手順に続いて得た400kgの押出顆粒が、更に、3つのコーティング層を使用してパン中で被覆された。
【0151】
第1のコーティング層が形成され、400kgの微粒子を、下記のものを含む35kgのコーティング混合物でコーティングした:
82重量%の硬化パーム油;
18重量%のリノレン酸。
【0152】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む35kgのコーティング混合物でコーティングした:
52重量%の硬化菜種油;
45重量%のカルナウバロウ;
3重量%のヒマワリレシチン。
【0153】
その後、第3のコーティング層が形成され、第2の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む15kgのコーティング混合物でコーティングした:
50重量%の硬化パーム油;
49重量%のライスワックス;
1%のエトキシル化ヒマシ油。
【0154】
上記で示されたパーセンテージの全ては、被覆層の総重量に基づき重量パーセンテージである。
【0155】
こうして得られた微粒子は、微粒子の総重量に関して70重量%のDL-メチオニン濃度を有した。
【0156】
その後、微粒子は、Boisen法を使用してルーメンバイパスの程度、ルーメン後の消化性及び総生物学的利用能の評価に付された。
【0157】
インビトロの結果が、表7に強調される。
【表7】
【0158】
例4-L-リジン、ニコチン酸及びDL-メチオニンを含有する微粒子の調製
例4.1
180kgの99%塩化コリンが、240kgの99%L-リジン塩酸塩、65kgのニコチン酸(ビタミンPP)及び145kgのD、L-メチオニンと混合された。20kgのクエン酸、20kgの炭酸水素ナトリウム、5kgのヒマワリレシチン及び225kgのライスワックス噴霧が、添加された。混合物は押出された。
【0159】
こうして得られたコアは、20%の塩化コリン、26.7%のL-リジン塩酸塩、7.2%のニコチン酸、16.1%のD、L-メチオニンの濃度を有した。
【0160】
核は、パン中でのコーティングに付された。
【0161】
第1のコーティング層が形成され、400kgの微粒子を、下記のものを含む200kgのコーティング混合物でコーティングした:
66重量%の硬化菜種油;
34重量%のパルミチン酸。
【0162】
その後、第2のコーティング層が形成され、第1の層によってコーティングされた微粒子を、下記のものを含む100kgのコーティング混合物でコーティングした:
48重量%の硬化パーム油;
50重量%のライスワックス;
2重量%のダイズレシチン。
【0163】
例5
上述の分析方法(医薬品溶解機)を使用して、バイパスの程度及び塩化コリンの生物学的利用能を決定するために、インビトロの試験が実施された:
-99%純度の塩化コリンから成る製品A;
-顆粒の総重量に関して25重量%の塩化コリンを含有する、噴霧冷却技術を用いて得られたマイクロカプセル化塩化コリン顆粒から成る製品B;
-顆粒の総重量に関して50重量%の塩化コリンを含有する、特許EP1791532の例4によって得られた微粒子から成る製品C;
-上述の例1.3によって得られた微粒子から成る製品D。
【0164】
試験結果が、下記の表8及び表9に示される。
【0165】
表8は、200gの製品の理論的な投与を考慮して得られた結果を示す。
【表8】
【0166】
表9は、100gの塩化コリンの理論的な投与で得られた結果を示す。
【表9】
【0167】
例6
上述の分析方法(医薬品溶解機)を使用して、バイパスの程度及び塩化コリンの生物学的利用能を決定するために、インビトロの試験が実施された:
-99%純度の塩化コリンから成る製品A;
-顆粒の総重量に関して25重量%の塩化コリンを含有する、噴霧冷却技術を用いて得られたマイクロカプセル化塩化コリン顆粒から成る製品B;
-顆粒の総重量に関して50重量%の塩化コリンを含有する、特許EP1791532の例4によって得られた微粒子から成る製品C;
-上述の例1.3によって得られた微粒子から成る製品D。
-例1.3の押出形態によって得られたが、汚染物質に欠けたコーティング層で被覆された微粒子から成る製品E;
-崩壊剤の一部が、ライスワックス噴霧(結合剤)によって置換されたが、コーティング層は、例1.3に比べて2倍の量の汚染物質で「汚染された」、例1.3の押出形態によって得られた微粒子から成る製品F。
【0168】
試験の結果が、下記の表10及び表11に示される。表10及び表11は、崩壊剤の単なる存在が、ルーメン後のフェーズにおいてコリンを生物学的に利用可能とすることに効果的であることを、示す。
【0169】
表10は、200gの製品の理論的な投与を考慮して得られた結果を示す。
【表10】
【0170】
表11は、100gの塩化コリンの理論的な投与を考慮して得られた結果を示す。
【表11】