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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】スピーカの音量レベルの調整
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20230508BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04M1/00 U
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019568018
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018036656
(87)【国際公開番号】W WO2018227085
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】15/617,692
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503206684
【氏名又は名称】ディーティーエス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DTS,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】ラウ ダニー
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-306444(JP,A)
【文献】特開2010-028582(JP,A)
【文献】特開2009-246736(JP,A)
【文献】特表2006-524475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
H04M 1/00
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスピーカの音量レベルを調整する方法であって、前記第1のスピーカは、前記スピーカに入力される論理音量レベルと前記スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有し、前記方法は、
ユーザインターフェイスを介して、ある選択された音量レベルを受け付けるステップと、
前記選択された音量レベルをある音圧レベルに変換するステップと、
格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1のスピーカのための第1の製品固有の論理音量レベルに変換するステップであって、前記第1のスピーカについての論理音量レベルと音圧レベルの間の前記関係は前記第1のスピーカに送られるオーディオコンテンツから独立しており、前記ルックアップテーブルは前記第1のスピーカを含む複数の製品固有のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の複数の標準化されていない関係を表にしているステップと、
前記第1の製品固有論理音量レベルに対応するデータを前記第1のスピーカに送信するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記複数の製品固有のスピーカのうちの第2のスピーカのための第2の製品固有の論理音量レベルに変換するステップであって、前記格納されたルックアップテーブルは、前記第2のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の標準化されていない関係を表にしており、前記第1のスピーカと前記第2のスピーカは異なる製品であるステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを、前記第2のスピーカに送信するステップを更に備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受け付けるステップ、前記アクセスするステップ、及び前記送信するステップは、ユーザ装置上にローカルに格納されたソフトウェアアプリケーションによって開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記格納されたルックアップテーブルは前記ユーザ装置上にローカルに格納されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記格納されたルックアップテーブルは、前記第1のスピーカ及び第2のスピーカを含む前記複数の製品固有のスピーカについて、論理音量レベルと音圧レベルの間の複数の測定された関係を表にしている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の製品固有のスピーカのうちの少なくとも1つについて、前記格納されたルックアップテーブルは、論理音量レベルの離散値のみを含み、
2つの表値の間にある論理音量レベルに対応する音圧レベルについて、前記ソフトウェアアプリケーションは、前記2つの表値のうち近い方を選択する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の製品固有のスピーカのうちの少なくとも1つについて、前記格納されたルックアップテーブルは、前記音圧レベルから論理音量レベルの計算を可能にする数学的関係を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の製品固有のスピーカのうちの少なくとも1つについて、前記格納されたルックアップテーブルは、前記音圧レベルが前記スピーカにとって指定された最大音圧レベル以下である論理音量レベルの値のみを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2のスピーカの音量レベル調整され、前記第1及び第2のスピーカは、それぞれ、当該スピーカに入力される論理音量レベルと当該スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有し、
前記アクセスするステップは、前記格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1及び第2のスピーカのための第1及び第2の製品固有の論理音量レベルにそれぞれ変換するステップを備え、前記第1のスピーカについての論理音量レベルと音圧レベルの間の前記関係は前記第1のスピーカに送られるオーディオコンテンツから独立しており、前記第2のスピーカについての論理音量レベルと音圧レベルの間の前記関係は前記第2のスピーカに送られるオーディオコンテンツから独立しており、前記格納されたルックアップテーブルは前記第1及び第2のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の前記標準化されていない複数の関係を表にしており
前記送信するステップは、前記第2の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを前記第2のスピーカに送信するステップをさらに備える
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記受け付けるステップ、前記アクセスするステップ、及び前記送信するステップは、ユーザ装置上にローカルに格納されたソフトウェアアプリケーションによって開始される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
音量制御システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶したメモリであって、前記命令は第1のスピーカの音量レベルを調整する方法を実行するように前記プロセッサによって実行可能であり、前記第1のスピーカは前記スピーカに入力される論理音量レベルと前記スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有する、メモリと、
を備え、
前記方法は、
ユーザインターフェイスを介して、ある選択された音量レベルを受け付けるステップと、
前記選択された音量レベルをある音圧レベルに変換するステップと、
格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1のスピーカのための第1の製品固有の論理音量レベルに変換するステップであって、前記第1のスピーカについての論理音量レベルと音圧レベルの間の前記関係は前記第1のスピーカに送られるオーディオコンテンツから独立しており、前記格納されたルックアップテーブルは前記第1のスピーカを含む複数の製品固有のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の複数の標準化されていない関係を表にしているステップと、
前記第1の製品固有論理音量レベルに対応するデータを前記第1のスピーカに送信するステップと、
を備えた、音量制御システム。
【請求項13】
前記方法は、
前記格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記複数の製品固有のスピーカのうちの第2のスピーカのための第2の製品固有の論理音量レベルに変換するステップであって、前記格納されたルックアップテーブルは、前記第2のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の前記標準化されていない関係を表にしており、前記第1のスピーカと前記第2のスピーカは異なる製品であるステップと、
前記第2の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを、前記第2のスピーカに送信するステップと、
を更に備えた、請求項12に記載の音量制御システム。
【請求項14】
前記受け付けるステップ、前記アクセスするステップ、及び前記送信するステップは、ユーザ装置上にローカルに格納されたソフトウェアアプリケーションによって開始され、
前記格納されたルックアップテーブルは前記ユーザ装置上にローカルに格納されている、
請求項13に記載の音量制御システム。
【請求項15】
前記格納されたルックアップテーブルは、前記第1のスピーカ及び前記第2のスピーカを含む前記複数の製品固有のスピーカについて、論理音量レベルと音圧レベルの間の複数の測定された関係を表にしている、請求項13に記載の音量制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は2017年6月8日に出願された米国特許出願第15/617,692号の利益を主張するものであり、その特許出願は参照によりここに盛り込まれる。
【0002】
(分野)
本開示は、1つ以上のスピーカの音量レベルを調整することに関する。
【背景技術】
【0003】
マルチスピーカシステムにおいて音量を調整する場合、あるスピーカは、音量を、別のスピーカに対して不均衡に変えないことが望ましい。例えば、異なる製造業者によって製造された2つのスピーカを含む1つのシステムでは、論理音量レベル(例えば、スピーカに送信されるデジタル値)と、スピーカによって生成される実際の音量との関係は、スピーカ間で異なり得る。そのため、これら2つのスピーカに特定の値の論理音量レベル(例えば、「11」のレベル)を送ることによって、一方のスピーカが他方のスピーカよりも著しく大きくなる場合がある。これによりスピーカ間の不均衡を知覚することに繋がるが、これは望ましくない。
【発明の概要】
【0004】
一例は、第1のスピーカの音量レベルを調整する方法を含むことができる。前記第1のスピーカは、前記スピーカに入力される論理音量レベルと前記スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有することができる。ユーザインタフェースを介して、ある音圧レベルに対応する、ある選択された音量レベルを受け付けることができる。格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1のスピーカのための第1の製品固有の論理音量レベルに変換することができる。前記ルックアップテーブルは、前記第1のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の前記標準化されていない関係を表にすることができる。前記第1の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを、前記第1のスピーカに送信することができる。
【0005】
別の例は、第1及び第2のスピーカの音量レベルを調整する方法を含むことができる。前記第1及び第2のスピーカは、それぞれ、当該スピーカに入力される論理音量レベルと当該スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有することができる。ユーザインタフェースを介して、ある音圧レベルに対応する、ある選択された音量レベルを受け付けることができる。格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1及び第2のスピーカのための第1及び第2の製品固有の論理音量レベルにそれぞれ変換することができる。前記格納されたルックアップテーブルは前記第1及び第2のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の前記標準化されていない複数の関係を表にすることができる。前記第1の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを前記第1のスピーカに送信することができる。前記第2の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを前記第2のスピーカに送信することができる。
【0006】
別の例は、システムを含むことができる。そのシステムは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶したメモリとを含むことができる。この命令は第1のスピーカの音量レベルを調整する方法を実行するように前記プロセッサによって実行可能でありうる。前記第1のスピーカは、前記スピーカに入力される論理音量レベルと前記スピーカによって生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有することができる。ユーザインタフェースを介して、ある音圧レベルに対応する、ある選択された音量レベルを受け付けることができる。格納されたルックアップテーブルにアクセスして、前記音圧レベルを、前記第1のスピーカのための第1の製品固有の論理音量レベルに変換することができる。前記ルックアップテーブルは、前記第1のスピーカのための論理音量レベルと音圧レベルの間の前記標準化されていない関係を表にすることができる。前記第1の製品固有の論理音量レベルに対応するデータを、前記第1のスピーカに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、いくつかの例による、単一のスピーカの、又はマルチスピーカオーディオシステムにおける1つ若しくは複数のスピーカの音量を制御することができる音量制御システムの一例に係るブロック図を示す。
【0008】
図2図2は、いくつかの例による、スピーカの音量レベルを調整する方法の一例に係るフローチャートを示す。
【0009】
図3図3は、いくつかの例による、1つのスピーカの音量を調整するために、又はマルチスピーカシステムにおいて2つ以上のスピーカの音量を同時に調整するために使用することが可能な音量制御システムの一例を示すブロック図である。
【0010】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して対応する部分を指示する。図面における要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面に示す構成は例にすぎず、いかなる態様であれ本発明の範囲を限定するものとして解されてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、いくつかの例による、単一のスピーカの、又はマルチスピーカオーディオシステムにおける1つ若しくは複数のスピーカの、音量を制御することができる音量制御システムの一例のブロック図を示す。
【0012】
この例では、スピーカ102Aと104Aは、整合されたスピーカ対(例えば、同一の製品に係る2つのユニット)である。スピーカ106Bは、102A及び104Aとは異なるスピーカ製品であり、同一の製造業者又は異なる製造業者によって製造される場合がある。スピーカ102A、104A、及び106Bは、それぞれ、スピーカに入力される論理音量レベルとスピーカにより生成される音圧レベルとの間に標準化されていない関係を有する場合がある。スピーカ106Bは、論理音量レベルと音圧レベルの間に、スピーカ102A及び104Aとは異なる関係を有する場合がある。
【0013】
この音量制御システムは、ユーザ装置108上のアプリケーションとして動作することができる。アプリケーションは、ユーザ装置の画面上でユーザに対してユーザインタフェースを提示することができる。ユーザは、ユーザインタフェース上で所望の音量レベルを選択する。この例では、所望の音量レベルは「5」である。
【0014】
本例では、所望の音量レベルは、標準化されていない単位で指定される。アプリケーションは、所望の音量「5」を、標準化された音量尺度に変換することができる。本例では標準化された音量の尺度は音圧レベルであるが、他の標準化された尺度を使用することもできる。本例では、アプリケーションは、「5」を、60デシベルの音圧レベル、即ち60dBspLに変換する。
【0015】
アプリケーションは、各スピーカのために、ルックアップテーブルにアクセスして、その音圧レベルを製品固有の論理音量レベルに変換することができる。ルックアップテーブルは、アプリケーションの所有者又は操作者によって維持することができ、各スピーカについての測定データを含むことができる。この測定データにより、スピーカに送られた論理音量レベルとスピーカによって生成された音圧レベルとの関係を表にすることができる。本例では、アプリケーションは、60dBspLを、スピーカ102A及び104Aについては「3」、スピーカ106Bについては「6」の論理音量レベルに変換することができる。すなわち、スピーカ102Aを「3」に設定すると音圧レベルは60dBspLとなり、スピーカ104Aを「3」に設定すると音圧レベルは60dBspLとなり、スピーカ106Bを「6」に設定すると音圧レベルは60dBspLとなる。
【0016】
アプリケーションは、各製品に固有の論理音量レベルに対応するデータを、それぞれのスピーカに送信することができる。本例では、アプリケーションは、3の論理音量レベルをスピーカ102A及び104Aに送信し、6の論理音量レベルをスピーカ106Bに送信する。
【0017】
アプリケーションが音量をこのように調整することにより、あるスピーカの音量が別のスピーカよりも不均衡に上げたり下げたりすることがないように、複数のスピーカの音量を一斉に調整できるようになる。
【0018】
図2は、いくつかの例による、あるスピーカの音量レベルを調整する方法の一例に係るフローチャートを示す。この方法はまた、第1のスピーカ及び第2のスピーカの音量レベルを調節することもできる、即ちマルチスピーカサウンドシステム等における任意の適切な数のスピーカの音量レベルを調節することもできる。いくつかの例では、本方法は、音量レベルを同時に調節することができる。いくつかの例では、本方法は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、又は他の適切な装置等のユーザ装置上に、ローカルに格納されたソフトウェアアプリケーションによって実行可能である。
【0019】
スピーカは、スピーカに入力される論理音量レベルとスピーカにより生成される音圧レベルとの間に、標準化されていない関係を有する場合がある。往々にして、論理音量レベルは、製品間で又は製造業者間で標準化されないことがある。例えば、3の論理音量レベルが、ある特定のスピーカ製品については50dBspLの音圧レベルを生成し、別のスピーカ製品については55dBspLを生成する場合がある。これらの数値は一例であり、他の適当な数値を使用することもできる。
【0020】
動作202において、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザインタフェースを介して、ある音圧レベルに対応する、選択された音量レベルを受け付けることができる。いくつかの例では、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザインタフェースをユーザ装置の画面上に表示することができる。いくつかの例では、画面をタッチセンシティブとすることができる。いくつかの例では、ソフトウェアアプリケーションは、タッチセンシティブ画面上で選択された音量レベルを受け付けることができる。いくつかの例では、ユーザインタフェースは、遠隔制御装置上の音量制御部に類似する1つ又は複数の制御部を含むことができる。例えば、ユーザは、ユーザインタフェース上で「3」の音量レベルを選択することができる。
【0021】
選択された音量レベル3は製品間で又は製造業者間で標準化されていないので、ソフトウェアは選択された音量レベルを音圧レベルに関連付けることができる。音圧レベルは標準化され、音波によって引き起こされる、周囲の(平均の、即ち平衡な)大気圧からの局所的な圧力の偏差として定義される。例えば、ソフトウェアは、選択された音量レベル3を60CIBSPLの音圧レベルに関連付けることができ、この音圧レベルは1メートルの距離での会話音声の場合のような比較的静かな音量にほぼ対応づけ可能である。ユーザが音量を11に上げる場合、ソフトウェアは、11の選択された音量レベルを100dBspLの音圧レベルと関連付けることができ、この音圧は騒がしいナイトクラブのスピーカから1メートル離れた場所のような比較的大きな音量にほぼ対応づけ可能である。なお、これらの数値は一例であり、他の適当な値を用いてもよい。
【0022】
動作204において、ソフトウェアアプリケーションは、そのスピーカのために、記憶されたルックアップテーブルにアクセスして、その音圧レベルを、製品固有の論理音量レベルに変換することができる。記憶されたルックアップテーブルは、そのスピーカについて、またオプションで追加のスピーカ製品について、論理音量レベルと音圧レベルの間の標準化されていない関係を表にすることができる。ルックアップテーブルはある特定のスピーカの論理値を提供することができ、その論理値はそのスピーカのためのある具体的な音圧レベルを生成する。同一の製造業者によって製造された同一製品の2つのユニットからなる一対のスピーカのような整合されたスピーカの場合、ルックアップテーブルは、整合されたスピーカの全てをカバーする1つの表を含むことができる。格納されたルックアップテーブルは、商業的に入手可能な各スピーカ製品について、測定された複数の値からなる1つの集合を含むことが意図されている。格納されたルックアップテーブルは、同一のスピーカ製品の部品間の相違に対処することは意図されていない。
【0023】
いくつかの例では、格納されたルックアップテーブルは、ソフトウェアアプリケーションの製造業者によって維持又は更新することができ、格納されたルックアップテーブルに含まれるスピーカの各々について、論理音量レベルと音圧レベルの間の測定された関係を含むことができる。いくつかの例では、格納されたルックアップテーブルは、上市された追加のスピーカ製品を含むように必要に応じて更新可能である。いくつかの例では、2つ以上の記憶されたルックアップテーブルを使用することができる。いくつかの例では、格納されたルックアップテーブルは、ユーザ装置上にローカルに格納することができる。いくつかの例では、格納されたルックアップテーブルは、少なくとも2つのスピーカが異なる製品である複数のスピーカについて、論理音量レベルと音圧レベルの間の標準化されていない関係を表にすることができる。
【0024】
いくつかの例では、複数のスピーカのうちの少なくとも1つについて、格納されたルックアップテーブルは、論理音量レベルの離散値のみを含むことができる。これらの例では、表にされた2つの値の間にある論理音量レベルに対応する音圧レベルに対して、ソフトウェアアプリケーションは2つの表値のうち近いものを選択することができる。例えば、ある指定された音圧レベルが73dBspLであり、論理音量レベルが5の場合72dBspL、論理音量レベルが6の場合75dBspLのルックアップテーブルの表値の場合、ソフトウェアアプリケーションは、5の論理音量レベルを、その指定された音圧レベルにより近いものとして選択することができる。これは一数値例に過ぎず、他の適当な値を使用することもできる。
【0025】
他のいくつかの例では、ソフトウェアアプリケーションは、離散値の間にある中間論理音量レベルを生成するように補間することができる。いくつかの例では、複数のスピーカのうちの少なくとも1つについて、記憶されたルックアップテーブルは、音圧レベルから論理音量レベルの計算を可能にする数学的関係を含むことができる。いくつかの例では、複数のスピーカのうちの少なくとも1つについて、記憶されたルックアップテーブルは、音圧レベルが、そのスピーカについて指定された最大音圧レベル以下である論理音量レベルの値だけを含むことができ、これによりそのスピーカに対して損壊を与えることを防止することができる。
【0026】
動作206において、ソフトウェアアプリケーションは、第1の製品固有論理音量レベルに対応するデータを、第1のスピーカに対して送信することができる。ソフトウェアアプリケーションが複数のスピーカを制御することができるいくつかの例では、ソフトウェアアプリケーションは、各製品に固有の論理音量レベルに対応するデータを、それぞれのスピーカに送信することができる。
【0027】
いくつかの例では、動作202における受信、動作204におけるアクセス、及び動作206における送信は、ソフトウェアアプリケーションによって自動的に開始され得る。他のいくつかの例では、これらの動作のうちの1つ又は複数は、ユーザ装置上のソフトウェアアプリケーションと接続されたサーバによって自動的に開始され得る。
【0028】
図3は、いくつかの例による、1つのスピーカの音量を調整し、又はマルチスピーカシステムにおいて2つ以上のスピーカの音量を同時に調整するために使用することができる、音量制御システム300の一例を示すブロック図である。音量制御システム300はそのような音量制御システムの一例であるが、他の適当な音量制御システムを使用することもできる。いくつかの例では、音量制御システム300は図2の方法200を実行することができ、他の適当な音量制御システムもまた図2の方法200を実行することができる。
【0029】
いくつかの例では、音量制御システム300は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、又は他の適切な装置などの、ユーザ装置上で実行可能なソフトウェアとして構成することができる。図3の具体例では、音量制御システム300は、スマートフォンなどのモバイル装置302上で実行することができるソフトウェアアプリケーションを含む。
【0030】
音量制御システム300は、プロセッサ304と、プロセッサ304によって実行可能な命令を記憶するメモリデバイス306とを含むことができる。その命令は、プロセッサ304によって実行されて、マルチスピーカシステムにおいて、第1のスピーカ、第1のスピーカ及び第2のスピーカ、又は3つ以上のスピーカの音量レベルを調整する方法を実行することができる。
【0031】
モバイル装置302は、プロセッサ304を含むことができる。プロセッサ304は、モバイル装置302に適した様々な異なる種類の市販のプロセッサ304(例えば、XScaleアーキテクチャマイクロプロセッサ、MIPS(microprocessor without interlocked pipeline stages:インタロックされたパイプラインステージのないマイクロプロセッサ)アーキテクチャプロセッサ、又は他のタイプのプロセッサ304)のいずれであってもよい。RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、又は他のタイプのメモリなどのメモリ306は、通常、プロセッサ304にとってアクセス可能である。メモリ306は、OS(オペレーティングシステム)308や、位置有効化モバイル(a mobile location enabled)などのアプリケーションプログラム310を記憶するように適応されうる。いくつかの例では、メモリ306は、上述のルックアップテーブルを記憶することができる。プロセッサ304は、直接に又は適当な中間ハードウェアを介して、ディスプレイ312と、キーパッド、タッチパネルセンサ、マイクロフォンなどの1つ又は複数の入出力(I/O)装置314とに接続されてよい。いくつかの例では、ディスプレイ312は、ユーザインタフェースをユーザに表示することができ、ユーザから所望の音量レベルの選択を受け付けることができる。同様に、いくつかの例では、プロセッサ304は、アンテナ318とインタフェースする送受信機316に接続されてよい。送受信機316は、モバイル装置302の性質に応じて、アンテナ318を介してセルラネットワーク信号、ワイヤレスデータ信号、又は他のタイプの信号を送受信するように構成可能である。さらに、いくつかの構成では、GPS受信機320も、アンテナ318を利用してGPS信号を受信することができる。いくつかの例では、送受信機316は、マルチスピーカシステム内のそれぞれのスピーカの論理音量レベルに対応する信号をワイヤレスネットワーク上で送信することができる。
【0032】
本発明を例示的な設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の範囲内でさらに修正され得る。したがって、本願は、本発明の、その一般的な原理を使用する、任意の変形、使用、又は適応を含むことを意図している。さらに、本願は、本発明が属する技術分野において公知の又は慣例的な実践の範囲内であって且つ添付の特許請求の範囲の範囲内にあるような、本開示とは異なる事項を含むことを意図している。
図1
図2
図3