(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】3D物体強度を増大させるための縫製方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/147 20170101AFI20230508BHJP
B29C 64/223 20170101ALI20230508BHJP
B29C 64/236 20170101ALI20230508BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230508BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230508BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230508BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230508BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B29C64/147
B29C64/223
B29C64/236
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B65H37/04 C
(21)【出願番号】P 2020041427
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ディー・ダニエルズ
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505416(JP,A)
【文献】特開2015-183186(JP,A)
【文献】中国実用新案第204733994(CN,U)
【文献】特開2017-218269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
B65H 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合体系積層造形中に、印刷された複合体層を集合体に結合する方法であって、
a)複数の印刷された基材層を、積層造形デバイスから連続して受容することであって、各印刷された基材層が、ポリマーで印刷された基材シートを有する、受容することと、
b)前記受容された複数の印刷された基材層を、積上げステーションで位置合わせされた形態で積層して、前記印刷された基材層の集合体を形成することであって、印刷された基材層の前記集合体が、3D複合体物体を形成する前記印刷された基材層の積層体の一部である、形成することと、
c)前記印刷された基材層を、縫製機械で一緒に縫製して、縫製された集合体を形成することと、
d)前記縫製された集合体を、後続の第2の縫製された集合体との結合のために、集合体搬送サブシステムを介して、積層装置サブシステムに移送して、前記縫製された集合体を含む印刷された基材層の積層体を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記工程c)が、縫製針及び前記縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体に繰り返し通して、前記縫製糸の第1のループを、縫製機構で印刷された基材層の印刷された基材層の前記集合体の片側から前記集合体の反対側に引っ張ることと、前記縫製糸の前記第1のループを、ループ機構で第2の縫製糸の周囲に繰り返し巻き付けることと、前記縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体から引っ張ることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程c)が、縫製針及び前記縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体に繰り返し通して、前記縫製糸の第1のループを、縫製機構で基材層の前記集合体の片側から基材層の前記集合体の反対側に引っ張ることと、前記縫製糸の前記第1のループを、ループ機構で前記縫製糸の第2のループの周囲に繰り返し巻き付けることと、前記縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体から引っ張ることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程b)の後に、印刷された基材層の前記集合体を、前記集合体搬送サブシステムで前記積上げステーションから前記縫製機械に移送することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記縫製が、ポリマー繊維及び炭素繊維のうちの1種を含む糸で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程b)が、前記印刷された基材層の見当開口部を、前記積上げステーションで、見当ピンの周りに位置合わせすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記工程d)が、前記縫製された集合体を、前記第2の縫製された集合体上に置くことと、それと共に、前記積層装置サブシステムの見当ピンと見当合わせされる前記集合体の位置合わせ開口部と位置合わせすることと、を含み、前記積層装置サブシステムが、前記縫製された集合体を受容して、前記縫製された集合体の積層体を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程d)の後に、前記縫製された集合体からの縫製糸を、印刷された基材層の隣接する集合体の印刷された基材層上に印刷された前記ポリマーと絡み合わせることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
制御装置から制御信号を出力して、前記縫製機械を制御することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複合体系積層造形中に、印刷された複合体層を集合体に結合する方法であって、
a)複数の印刷された基材層を、積層造形デバイスから連続して受容することであって、各印刷された基材層が、ポリマーで印刷された基材シートを有する、受容することと、
b)前記受容された複数の印刷された基材層を、積上げステーションで位置合わせされた形態で積層して、前記印刷された基材層の集合体を形成することであって、印刷された基材層の前記集合体が、3D複合体物体を形成する前記印刷された基材層の積層体の一部である、形成することと、
c)制御装置から制御信号を出力して、縫製機械を制御することと、
d)前記印刷された基材層を、前記縫製機械で一緒に縫製して、縫製された集合体を形成することであって、前記縫製が、縫製針及び前記縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体に繰り返し通して、前記縫製糸の第1のループを、縫製機構で印刷された基材層の前記集合体の片側から印刷された基材層の前記集合体の反対側に引っ張ることと、前記縫製糸の前記第1のループを、ループ機構で前記縫製糸の第2のループの周囲に繰り返し巻き付けることと、前記縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の前記集合体から引っ張ることと、を更に含む、形成することと、
e)前記縫製された集合体を、後続の第2の縫製された集合体との結合のために、集合体搬送サブシステムを介して、積層装置サブシステムに移送して、前記縫製された集合体を含む印刷された基材層の積層体を形成することであって、前記縫製された集合体を移送することが、前記縫製された集合体を、前記第2の縫製された集合体上に置くことと、それと共に、前記積層装置サブシステムの見当ピンと見当合わせされる前記集合体の位置合わせ開口部と位置合わせすることと、を含み、前記積層装置サブシステムが、前記縫製された集合体を受容して、前記縫製された集合体の積層体を形成する、形成することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記工程b)が、前記印刷された基材層の見当開口部を、前記積上げステーションで、見当ピンの周りに位置合わせすることを含み、工程b)の後に、印刷された基材層の前記集合体を、前記集合体搬送サブシステムで前記積上げステーションから前記縫製機械に移送することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、複合体系積層造形のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、個々の積層体層を積み重ねて、三次元物体、部品、及び構成要素(3D(three-dimensional)物体)を形成及び/又は製造するようなプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、出力製品の成形又は機械加工の様々な形態を含む、従来の物体、部品、及び構成要素の製造プロセスは、「積層造形」又はAM(additive manufacturing)技術と国際的に称される新しい種類の技術の商業的実装例を含むように発展している。これらのAM技術は、一般に、未完成の状態で時には毒性そうでなければ危険である付加材料の層が、特定の材料堆積及び硬化スキームに従って、プロセス中の3D物体上に順次堆積する、「固体自由造形(Solid Freeform Fabrication、SFF)」又は「3D印刷」と代替的に称されるプロセスを伴う。3D物体形成プロセスにおいて各層が付加されると、新たな材料層が付加され、1層以上の既に存在する層に付着する。次いで、各AM層は、少なくとも部分的に、3D物体構築プロセスにおける任意の次のAM層の堆積の前に、個々に硬化し得る。3D作業空間全体にわたって、この連続層材料の付加/接合は、様々なレベルの精巧さの自動制御下で実行される。
【0003】
AM製造技術としては、3D印刷物体を生成するために使用可能な「3D印刷」技術と広く称されるようになったこれらの技術が挙げられるが、これらに限定されない。3D印刷技術は、受像媒体基材上に2次元(two-dimensional、2D)印刷画像を形成するための周知のプロセスに適合する、及び周知のプロセスにいくつかの点で類似していると思われる1つ以上のプロセスを用いる。3D印刷技術によって生成される出力構造の有意な差は、一般的に、(1)3Dプリンタからの出力3D印刷物体を形成するために使用される堆積した材料の組成物、及び/又は(2)比較的多数の連続する(及び非常に薄い)堆積材料の層を堆積させて、層を出力3D印刷物体の形態に積み重ねる、「印刷」ヘッドによって行われる多数のパスに基づく。
【0004】
多数の粉末系AM技術が商業化されてきた。これらとしては、選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)、並びに3D印刷のためのトナー系2D印刷技術の特定の適合が挙げられる。当業者は、これらの実装例のうちの特定のものでは、特定の複雑な形状の作成を支持するための、別個の支持構造が通常必要とされないことを認識している。これらのプロセスのうちの特定のものでは、粉末材料は、過剰な粉末が手動で除去される3D物体に選択的に圧密化される。SLSプロセスでは、例えば、粉末の薄層が作業空間容器内に堆積し、次いで、粉末は、所望の断面の形状を追跡するレーザビームを使用して粉末を一緒に溶かす。本プロセスは、粉末層を堆積させることによって繰り返され、このようにこの様式で1層ずつ3D物体を構築する。典型的なトナー系3D印刷プロセスでは、バインダ材料は、粉末の各層上の3D物体の断面の形状で、一般的に結合剤を印刷するために使用される印刷技術で、層内に堆積した粉末を選択的に結合する。
【0005】
そこで、利用可能であるAM又は3D印刷プロセス及び技術の数が増加している。多数のこれらAM又は3D印刷プロセスの間の主な際立った特性は、層が、出力3D物体を作成するように堆積される様式、及び出力3D物体を形成するために使用される材料にある。
【0006】
(この用語が、3D印刷を含む様々な3D物体層化及び構築技術を参照するために本開示の残りの部分全体にわたって使用されるため)、AM技術の特定のものは、材料を溶融又は軟化して、例えば、適用された熱を通して入力材料の選択的レーザ溶融又は焼結などの技術を使用して、構築層を生成する。AM製造技術の他のものは、噴射(インク)材料「印刷」技術などのそれらの液体材料の堆積技術を使用して、液体材料を堆積及び硬化させる。
【0007】
いくつかの3Dプリンタは、部分断面の画像内で、プラスチックを、炭素繊維などの繊維性シート上に印刷し、次いで積層体が加熱されて、プラスチック及び圧縮された積層体を溶融又は硬化させた後に、多くのシートを積層して、3D物体になる積層体を形成するプロセスを使用する。過剰な非結合繊維性シート材料は、サンドブラスト又は他の方法を介して除去される。3D物体強度は、X軸及びY軸における繊維強度によって支配される。層間強度(Z軸)は、プラスチック結合剤強度によって支配される。最終3D物体の最も弱い側面は、Z軸にあり、その部分は、層間のポリマー接着性と同じくらい強いだけである。3D物体の層間強度を増加させることは、有益となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、本教示の1つ以上の実施形態又は実施例のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要な又は重要な要素を識別することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主要な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の序文として、簡略化された形態で1つ以上の概念を提示するだけである。追加の目標及び利点は、図面の説明、本開示の詳細な説明、及び特許請求の範囲においてより明らかになるであろう。
【0009】
本開示で具体化される前述及び/又は他の態様及び有用性は、複合体系積層造形中に、印刷された複合体層を集合体に結合する方法を提供することによって達成され得る。本方法は、複数の印刷された基材層を、積層造形デバイスから連続して受容することであって、各印刷された基材層が、ポリマーで印刷された基材シートを有する、受容することと、受容された複数の印刷された基材層を、積上げステーションで位置合わせされた形態で積層して、印刷された基材層の集合体を形成することであって、印刷された基材層の集合体が、3D複合体物体を形成する印刷された基材シートの積層体の一部である、形成することと、印刷された基材層の集合体を、集合体搬送サブシステムを有する縫製機械に移送することと、印刷された基材層を、縫製機械で一緒に縫製して、縫製された集合体を形成することと、縫製された集合体を、後続の第2の縫製された集合体との結合のために、集合体搬送サブシステムによって、積層装置サブシステムに移送して、縫製された集合体を含む印刷された基材層の積層体を形成すること、を含み得る。実施例では、本方法はまた、縫製針及び縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体に繰り返し通して、縫製糸の第1のループを、縫製機構で集合体の片側から集合体の反対側に引っ張ることと、縫製糸の第1のループを、ループ機構で縫製糸の第2のループの周囲に繰り返し巻き付けることと、縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体から引っ張ることと、によって、印刷された基材層を、縫製機械で一緒に縫製することも含み得る。実施例では、本方法は、縫製機械を制御するために、制御装置から制御信号を出力することを更に含み得る。
【0010】
本明細書に示される態様によれば、複合体系積層造形中に、印刷された複合体層を集合体に結合するための装置は、集合体搬送システムを有する縫製サブシステム、及び集合体搬送システムに近接する縫製機械を含み得る。集合体搬送サブシステムは、積層造形デバイスから連続する複数の印刷された基材層を、位置合わせされた形態で、印刷された基材層の集合体として受容及び積層するように構成されている積上げステーションを有し、各印刷された基材層は、ポリマーで印刷された基材シートを有する。印刷された基材層の集合体は、3D複合体物体を形成する印刷された基材シートの積層体の一部である。集合体搬送サブシステムは、印刷された基材層の集合体を、縫製機械に移送するように構成されている。縫製機械は、印刷された基材層を、縫製された集合体として一緒に縫製するように構成されている。集合体が縫製機械によって一緒に縫合された後、集合体搬送サブシステムは、縫製された集合体を、後続の縫製された集合体と他の縫製された集合体との結合のために、積層装置サブシステムに移送して、縫製された集合体を含む印刷された基材層の積層体を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の一実施例による、3D物体を印刷するための積層造形システムの側面図である。
【
図2】積層造形システム内で使用可能な例示的な縫製サブシステムの側面図である。
【
図3】複合体系積層造形縫製スキームを実施するための例示的な制御システムを示すブロック図を示す。
【
図4】印刷されたシートを縫製して、印刷されたシートの積層体を結合するための例示的な方法の操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の例示的な例が、以下に提供される。デバイス、システム、及び方法の一実施形態は、以下に記載される実施例のうちの任意の1つ以上、及び任意の組み合わせを含み得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、以下に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝える。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に記載される装置、機構、及び方法の趣旨及び範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正物、及び等価物を包含することが意図される。
【0013】
我々は、本開示の詳細を不必要に不明瞭にしないように、周知の出発材料、処理技術、構成要素、機器、及び他の周知の詳細の説明を単に要約するか、又は省略してもよいことを予め指摘する。したがって、詳細が他の方法で周知である場合、本開示の出願に任せて、それらの詳細に関する選択肢を提案又は指示する。図面は、基材ウェブ上に印刷するための例示的な方法、装置、及びシステムの実施形態に関連する様々な実施例を示し、AM製造のためのウェブの個々のシートを自動的に積層することを示す。
【0014】
本明細書における値の任意の数値範囲を指す場合、そのような範囲は、記載された範囲の最小値と最大値との間のそれぞれ及び全ての数及び/又は端数を含むと理解される。例えば、0.5~6%の範囲は、端点0.5%及び6%に加えて、0.6%、0.7%、及び0.9%の全ての中間値、5.95%、5.97%、及び5.99%などまでの全てを明示的に含む。文脈上明確に別段の指示がない限り、本明細書に記載される互いの数値特性及び/又は要素範囲にも当てはまる。
【0015】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈によって規定される意味を有する(例えば、それは、少なくとも特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。特定の値で使用される場合、その値を開示していると考慮される必要がある。例えば、「約2」という用語はまた、値「2」も開示し、範囲「約2~約4」はまた、範囲「2~4」も開示する。
【0016】
「媒体」、「ウェブ」、「ウェブ基材」、「印刷基材」、及び「基材シート」という用語は、一般に、予備切断又はウェブ供給にかかわらず、通常は、紙、ポリマー、マイラー材料、プラスチック、又は他の好適な物理的印刷媒体基材、シート、ウェブなどの、画像用の可撓性物理的シートを指す。「媒体」、「印刷媒体」、「印刷基材」、及び「印刷シート」という列挙された用語はまた、当業者に容易に理解されるように、織布、不織布、金属フィルム、炭素繊維強化材料、及び箔も含み得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「マーキング材料」という用語は、画像形成デバイスによってウェブ基材上に堆積して、基材上に画像を形成する印刷物質を指し得る。「マーキング材料」という列挙された用語としては、インク、トナー、金属粒子、プラスチック、顔料、粉末、溶融材料、ポリアミド、ナイロン、ガラス充填ポリアミド、エポキシ樹脂、バイオ系樹脂、ワックス、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、フォトポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ABSフィラメント、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)、高衝撃ポリスチレン(high impact polystyrene、HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PETT)、セラミック、導電性フィラメント、及び他のインクジェット材料を挙げることができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「画像形成デバイス」、「印刷デバイス」、又は「プリンタ」という用語は、デジタル複写機、スキャナ、画像印刷機、ゼログラフィックデバイス、デジタルプロダクションプレス、文書処理システム、画像再生機、製本機、ファクシミリ機、多機能機などの、任意の目的のための印刷出力機能を実行する任意の装置を包含し、いくつかのマーキングエンジン、供給機構、走査アセンブリ、並びに紙フィーダー、仕上機などの他の印刷媒体処理ユニットを含み得る。画像形成デバイスは、シート、ウェブ、マーキング材料などを取り扱うことができる。画像形成デバイスは、任意の表面などにマークを置くことができ、入力シート上のマークを読み取る任意の機械、又はこのような機械の任意の組み合わせである。3Dプリンタは、3D物体などを作製し得る。図に示される構造体は、簡略化のために示されていない追加の機能を含み得るが、示された構造は、除去又は修正されてもよいことが理解されるであろう。
【0019】
「制御装置」という用語は、本明細書では、一般に、プロセス又は機械を指示又は調節する1つ以上のデバイスの操作に関する様々な装置を説明するために使用される。制御装置は、本明細書で論じられる様々な機能を実行するために、多数の方法(例えば、専用ハードウェアなど)で実施され得る。「プロセッサ」は、本明細書で論じる様々な機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用して、プログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを用いる制御装置の一例である。制御装置は、プロセッサを用いて又は用いずに実施されてもよく、また、いくつかの機能を実行する専用ハードウェアと、他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実施されてもよい。本開示の様々な実施形態で用いられ得る制御装置構成要素の例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
実施例は、本明細書に開示されるような方法を実施又は実行するための、コンピュータデバイス上で実行される場合、複数の命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体を更に含む。このようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。例として、限定するものではないが、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶装置、又はコンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を保持若しくは記憶するために使用され得る任意の他の媒体を含み得る。情報が、ネットワーク又は別の通信接続(有線、無線、又はこれらの組み合わせのいずれか)を介して、コンピュータに転送又は提供される場合、コンピュータは、コンピュータ可読媒体としての接続を適切に検査する。したがって、任意のこのような接続は、適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせはまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0021】
コンピュータ実行可能命令としては、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は特定の機能又は機能群を実行する専用処理デバイスを起動する命令及びデータが挙げられる。コンピュータ実行可能命令としてまた、スタンドアロン環境又はネットワーク環境でコンピュータによって実行されるプログラムモジュールも挙げられる。一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、物体、構成要素、及びデータ構造などが挙げられる。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法の工程を実行するためのプログラムコード手段の例を表す。このような実行可能命令又は関連するデータ構造の特定のシーケンスは、その中に記載される機能を実施するための対応する行為の例を表す。
【0022】
本明細書で使用される場合、特に指定しない限り、「物体」という用語はまた、部品、要素、部分、又は構成要素も意味し得る。本明細書で使用される場合、物体は、3D印刷システム(プリンタ)によって個別に構築される、又は実際に構築される3D物体を指す。本明細書で言及されるような物体は、不可欠な部分を形成するために、層を連続的に付加することによって構築される。いくつかのプリンタは、同じ印刷ジョブの一部として、複数の独立した3D物体を含む3Dモデルからの複数の独立した部分を構築することができる。物体は、物体本体内に埋め込まれた空隙を含み得る。
【0023】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されるものではないが、例えば、「処理する」、「コンピューティング」、「計算する」、「決定する」、「使用する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」などの用語を利用する考察は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的(例えば、電子的)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理量として同様に表される他のデータ、又は操作及び/若しくはプロセスを実行する命令を記憶し得る他の情報記憶媒体に操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティングデバイスの操作(複数可)及び/又はプロセス(複数可)を指し得る。
【0024】
図1は、3D物体を印刷するための例示的なAMシステム100のブロック図である。AMシステム100は、材料供給装置102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110、カッター112、移送サブシステム114、積層装置サブシステム116、並びに様々な構成要素を接続及び制御する他の機能などの構成要素を含み得る。例示的な構成要素が
図1に示されているが、様々な代替及び任意の構成要素もまた、システム100と共に使用するのに好適である。
【0025】
例示的な実装例では、三次元(3D)物体は、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)プログラムによって作成される物体のコンピュータ3Dモデルに従って印刷される。例えば、CADプログラムは、自由形式の不均一な有利基準的スプライン(non-uniform rational basis spline、NURBS)プログラムであってもよく、又はCADプログラムは、Solid Works(登録商標)であってもよい。AMシステム100では、マーキング材料148(例えば、粉末)(
図4)は、画像形成デバイス104によって定義されるような、3D物体の薄いスライス又は層の「ポジ画像」に対応する基材材料118(又はその基材シート)上の物理的パターンで、粉末サブシステム106によって選択的に堆積する。3D物体の各スライスについて、3D物体が存在するスライスの位置に対応するパターンで粉末が付着し、3D物体が存在しないスライス内の位置において、粉末は基材に付着しない。3D CADモデルの薄いスライスは、例えば、STLファイル形式の3Dモデルから開始し、netfabb(登録商標)StudioソフトウェアのSlice Commander機能(netfabb GmbH,Parsberg,Germanyから入手可能)を使用して、薄いスライスを作成することによって作成され得る。指定された3D部品又は物体を作製するために必要な多くの付加された基材シートのために繰り返される、基材シートを選択的にパターニングするこのサイクルは、通常各シートで、3D部品又は物体の層を表す。
【0026】
材料供給装置102は、基材材料118(例えば、炭素繊維、紙)をロール又はシート形態(ここでは、例えばロール形態で示す)に保持し、画像形成デバイス104に移送するために、基材材料を適切な位置に置く。基材材料118は、転写サブシステム114を介して、画像形成デバイス104に移送されてもよく、転写サブシステム114は、AMシステム100を通って供給される基材材料の長さによって画定されるウェブを保持及び前進させるために使用される供給ローラー122と共に、張力付与機構120を含んでもよい。張力付与機構120は、AMシステムの構成要素に供給されるように教示される、基材材料118を保持するために位置する1つ以上のローラー124を含み得る。基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110を含むAMシステムの全ての構成要素を貫通することができ、次いで、以下により詳細に論じされるように、積層前にカッター112によって単一のシートに切断され得る。
【0027】
次いで、画像形成デバイス104は、基材材料118上の正確な位置で、画像状様式で接着剤(例えば、流体126)のパターンを堆積させ得る。流体126は、材料の一部が、3D物体のスライスのポジ画像として液体で被覆され、材料の一部が被覆されないように、基材材料118上に選択的に堆積する。流体126のパターンは、様々な手法を介して堆積し得る。例えば、画像形成デバイス104は、流体を分注するためのサーマルインクジェットヘッド又は圧電インクジェットヘッドを含み得る。例では、画像形成デバイス104は、流体126を分注するために空気圧をかけることができる。画像形成デバイス104はまた、空気圧が、空気の放出又は流体の分注を制御するために使用される場合、ソレノイド弁を含み得る。
【0028】
場合によっては、選択的に堆積する流体は、水、又は水の蒸発を遅らせる材料を含む水溶液であり得る。例えば、水溶液は、2-ピロリジノンを含み得る。他の場合では、アルコールなどの異なる流体が、選択的に堆積し得る。例えば、基材材料118が、感水性(例えば、ポリビニルアルコール、PVOH(polyvinyl alcohol))である場合、次いで、水は、基材材料を歪ませるか又は溶解し得る。この場合、選択的に堆積する流体としてアルコールが使用され得る。場合によっては、展延から選択的に堆積するか、又は過剰に基材に吸収される液体流体を防止するために、液体流体を選択的に堆積させる前に、表面エネルギー調整剤又は撥水剤を基材に塗布することが有用である。
【0029】
次いで、材料供給装置102は、基材材料118を、別個の構成要素として提供され得るか、又は単一の構成要素に一体化され得る、粉末塗布装置128及び粉末除去装置130を含む、粉末サブシステム106に移送する。いずれの配置においても、粉末塗布装置128は、3D物体粉末(例えば、熱可塑性粉末)を、基材材料上に堆積させるように構成されている。粉末は、画像形成デバイス104、すなわち層画像によって湿潤された基材の領域に付着するように構成されている。換言すれば、粉末塗布装置128は、パターン化された層形状がちょうど印刷された基材材料118の表面上に、限定されないが熱可塑性粉末などの粉末を堆積させる。粉末は、基材材料又はそのシート上の印刷された(湿潤)領域に粘着するが、流体で覆われていない基材の部分には付着しない。
【0030】
典型的な用途では、粉末塗布装置128は、粉末を収容するトラフを含み得る。トラフは、その下面にスリット付き開口部を有してもよく、粉末サブシステムの電気機械的振動装置に接続されている。振動装置は、作動時に、粉末を、基材がトラフの下で移動する間に、スリット付き開口部を通して下方に、トラフから基材上に流動させる。振動装置は、下の基板上のパターン化された流体の存在を感知するセンサ回路を含み得る制御装置150によって作動する。パターン化された流体が完全に通過すると、振動装置は停止して、トラフからの粉末流動を停止し得る。
【0031】
粉末は、他の手法によって選択的に堆積し得る。例えば、粉末は、基材の層の片側を粉末で満たし、次いで、基材の反対側をサーマル印刷ヘッドなどの適切なデバイスで選択的に加熱することによって、選択的に堆積し得る。この手法では、サーマル印刷ヘッドは、選択的にオン又はオフにすることができる、加熱素子の高解像度配列を含む。加熱される領域では、粉末は溶融し、基材に付着する。付着していない過剰な粉末は、例えば、粉末除去装置130により、過剰な粉末を真空にすることによって、又は過剰な粉末が重力を介して基材から落ちるように基材を裏返すことによって除去される。
【0032】
あるいは、粉末は、ゼログラフィック印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積し得る。この手法では、電荷が粉末粒子に付与され、この粉末粒子は、基材118に向けられ、次いで基材の一部に選択的に付着するが、静電気引力又は斥力に起因する他のものではない。粉末粒子は、反対の電荷を有する基材の一部、又はこのような電荷を有する基材表面に隣接する基材の一部に付着し、同じ電荷を有する基材の一部から、又はこのような電荷を有する基材表面に隣接する基材の一部から反発される。
【0033】
あるいは、粉末は、磁気グラフィック印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積し得る。この手法では、粉末は、基材層の一部に選択的に付着するが、粉末と、基材表面又は基材表面に隣接する基材層との間の磁力相互作用に起因する他のものではない。例えば、粉末は、単一の構成要素の磁性トナー、コロイド懸濁液(例えば、強磁性流体)、又は2つの構成要素のトナーであり得る。磁鉄鉱又は酸化第二鉄(FeO)などの様々な磁気顔料が、この手法でトナー粉末に使用され得る。
【0034】
上記の実施例の全てでは、粉末を選択的に堆積させる工程は、固体粉末を非選択的様式で基材118に向けるサブ工程を含み得る。例えば、このサブ工程は、基材の表面全体を粉末で満たすことを含み得る。又は例えば、ゼログラフィック又は磁気グラフィックの例では、このサブ工程は、基材層全体に向けて帯電又は磁化された粉末を送ることを含み得る。
【0035】
更に
図1を参照すると、粉末除去装置130は、次いで、基材に付着していない任意の粉末を除去する。粉末は、例えば、粉末除去装置に隣接して移動する際に、過剰な粉末を真空にすることによって、基材から除去され得る。典型的な用途では、粉末除去装置130は、(後述される)サイクロンに連結される真空モータを有する真空を含み得る。操作中、真空は、基材に付着していない粉末を引き、一方で、印刷領域に塗布された粉末は残る。サイクロンは、当業者によく理解されるように、再使用のために、真空処理された粉末を粉末塗布装置128に再循環させ得る。特定の状況では、いくつかの望ましくない粉末が依然として基材材料上に存在し得るため、真空からの粉末除去量は不十分であり得る。このため、粉末除去装置130は、基材から任意の残りの過剰な粉末を除去するために、真空後のエアナイフを含み得る。除去された過剰な粉末はまた、再使用のためにサイクロンによって粉末塗布装置に再循環され得る。
【0036】
粉末システム106は、基材材料118が、画像形成デバイス104を通過すると、基材が、粉末システム106を自動的に移動するように、連続的に稼働するように設定され得る。あるいは、移送サブシステム114、画像形成デバイス、及び粉末システム106と通信する制御装置150は、粉末塗布装置128、及び粉末除去装置130、又はそのサブシステムに、適切な時間でオン及びオフにするように指示し得る。
【0037】
基材118に粉末が塗布され、過剰な粉末が除去された後、残りの粉末は、基材上で溶融してもよく、その結果、粉末は、基材の印刷領域により永久的に付着し、したがって、後続の処理工程中の変位、破壊、又は脱落から保護される。この目的のために、任意の定着装置108は、粉末システム106の後に配置され得る。定着装置108は、粉末除去装置130から出る基材の上方に、下方に、又は隣接して配置され得る。定着装置108は、溶融させるのに十分であって、それによってパターン化された粉末を基材に固定する、例えば、これらに限定されないが、放射、IR、又は他の加熱手法であり得る。基材118が、粉末システム106から出て移動すると、定着装置108からの熱が、基材表面上の粉末を溶融させて、粉末を基材に固定させる。
【0038】
AMシステム100は、任意に、システムが故障していないこと、適切な量の粉末が堆積すること、基材材料が必要に応じて移動していること、個々の基材シートが必要に応じて移動していること、を確実にするためにセンサ110(例えば、カメラなどの撮像デバイス)、及びプロセスの他の品質保証態様を有し得る。センサは、例えば、制御装置150からの入力に基づいて、又は印刷された材料又は基材シートの端部の検出に基づいて自動的に作動し得る。
【0039】
上記のように、例示的なAMシステム100では、基材材料118のロール102は、画像形成デバイス104の前に取り付けられ、位置する。特定の理論に限定されないが、基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110を含むAMシステムの全ての構成要素を貫通することができ、次いで、積層前にカッター112によって単一のシート132に切断することができ、シートは、3D物体の層に対応する。例では、基材材料118のウェブは、カッター112によって、プロセスの任意の前の時点で単一のシート132に切断され得る。例えば、ウェブは、得られた基材シートを画像形成デバイス104に前進させる前に、単一のシートに変換され得る。同様に、ウェブは、画像形成デバイス104の後及び粉末サブシステム106の前、又は粉末サブシステムの後及び定着装置108の前、又は定着装置の後及びセンサ110の前に、単一のシートに変換され得る。例では、ウェブは、個々のシートに予備切断されてもよく、シートは、AMシステムによる個々の処理のために材料フィーダーによって保持されたシートの積層体として配置される。カッター112は、当業者によく理解されるように、機械的器具(例えば、ブレード、パンチ)、又は他の手法(例えば、レーザ)でシートを切断し得る。
【0040】
例では、AMシステム100はまた、所望の位置に、基材材料118又はその基材シート132内に見当開口部を置くためのパンチデバイス134も含み得る。見当開口部は、シート上に印刷されたパターン化されたマーキング材料画像の正確な位置合わせのために、基材シートの位置に対して正確に予め画定された位置に配置される。これは、例えば、画像形成デバイス104及び粉末サブシステム106が置かれる同じフレーム上に、又は当該技術分野において周知の他の位置合わせ機構を使用して、移送サブシステム114によって移動する基材材料118に近接して、パンチデバイス134を取り付けることによって達成され得る。パンチデバイス134は、基材材料から見当開口部を突き出す硬質器具、又は基材材料から見当開口部を切断するレーザカッターを含み得る。
【0041】
3D物体を形成するAMプロセスを完了するために、粉末印刷された基材シート132は、基材シートをそれらの見当開口部を介して位置合わせし、互いに融合して、積層された基材シートを組み合わされた物体に取り付けることによって積層され得る。次いで、コーティングされていない基材材料は、例えば、研磨剤ブラスト、化学的除去、又は溶解によって、組み合わされた物体から除去され得る。積層装置サブシステム116は、上記の見当開口部に基づいて、切断された印刷された基材シート132を見当合わせして積層するように構成されている。
図1に見られるように、積層装置サブシステム116は、印刷された基材シート132を受容し、見当開口部が、積層装置サブアセンブリの見当ピン136の周りに位置合わせされて、印刷されたシートの積層体138を形成する。
【0042】
印刷されたシートを積層した後、シート上のパターン化された粉末は、組み合わせて、3D物体に硬化し得る。
図1は、たとえ圧縮しても、基材シート132上の圧力を維持するために、1つ以上の弾性構成要素(例えば、ばね142)を含む圧縮デバイス140を含む、積層装置サブシステム116を示す。多数の基材シート(層)が、ベッドプレート144上に重ねられて、積層装置サブシステム116内に置かれた後、挿入された基材シートは、ばね142と共に圧縮されて、上部プレート146上で、底部ベッドプレートに向かって圧力をかけ得る。
【0043】
圧縮された積層体138は、例えば、オーブン(図示せず)内で加熱され得る。オーブンからの熱は、熱可塑性粉末を溶融させる。溶融した材料は、基材層をコーティングする。次いで、その中に基板積層体138を有する圧縮デバイス140は、オーブンから取り出され、基材層は冷却される。次いで、溶融した材料は固化する。これによって、基材シート132を一緒に結合(融合)する。次いで、(固化した材料によって覆われていない)過剰な基材は、例えば、研磨剤ブラスト、化学的除去、又は溶解によって、上記のように除去されて、3D印刷された物体をもたらす。
【0044】
AMシステム100によって実行されるプロセスは、1つ以上の制御装置150を使用して、順序配列及び監視され得る。制御装置150は、印刷される物体の3Dモデルに基づいて、機外のコンピュータ(図示せず)によって生成される構築命令を読み取り、実行し得る。例えば、材料供給装置102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108、センサ110、カッター112、移送サブシステム114、パンチデバイス134、及び積層装置サブシステム116は、制御装置からの入力に基づいて、本明細書で論じられるように作動し得る。したがって、画像形成デバイス104と通信する制御装置150は示さるが、制御装置は、AMシステムの任意の構成要素と通信し得ることが理解される。
【0045】
図2は、AMシステム100と共に作動し得る例示的な縫製サブシステム200を示す。縫製サブシステム200は、印刷された複合体層を一緒に、印刷された複合シート層の集合体に縫合するように構成されている。特定の理論に限定されないが、縫製サブシステム200は、3D物体の層間強度を増大させるために、複合体系積層造形の中間部分として作動可能であり得る。本明細書で使用される場合、「縫製」という用語は、糸又はフィラメントを層に適用するための任意の機構(例えば、往復針など)にかかわらず、層と糸又はフィラメントとの任意の関連付け又は取り付けを含む。
【0046】
具体的には、縫製サブシステム200は、例えば、シートを一緒に層の集合体202に縫合することによって、印刷された基材シート132の層を一緒に結合し得る。次いで、印刷された層の集合体202は、例えば、積層装置サブシステム116によって、印刷されたシートの積層体138に積層され得る。その端部に向かって、縫製サブシステム200は、縫製機械204及び集合体搬送サブシステム206を含み得る。縫製機械204は、以下でより詳細に説明されるように、縫製機構208及びループ機構210を有する一体型ユニットであり得る。
【0047】
集合体搬送サブシステム206は、印刷されたシート132を、縫製サブシステム200を通して、集合体202として積層装置サブシステム116に移送し得る。例えば、
図2に示される集合体搬送サブシステム206は、切断された印刷された基材シート132を印刷された層として収集し、収集された印刷された層を集合体202に整理し、集合体の印刷された層を一緒に縫製するために集合体を縫製機械204に移送し、次いで縫製された集合体を積層装置サブシステムに移送して、3D物体の積層体138を形成するように構造化され、操作可能であり得る。したがって、集合体搬送サブシステム206は、AMシステム100を通して、集合体202を保持及び前進させるために使用される、ベルト212、供給ローラー214、及び見当ピン136を含み得る。集合体搬送サブシステム206は、移送サブシステム114に近接して位置付けられて、多数の切断された印刷された基材シート132を移送サブシステムから受容し、位置合わせし得る、積上げステーション216を更に含む。積上げステーション216は、例えば、上記の見当開口部に基づいて、見当合わせして切断された印刷された基材シート132の数を積層し得る。
図2に見られるように、積上げステーション212は、多数の印刷された基材シート132を、集合体搬送サブシステムの見当ピン136の周りに位置合わせされた見当開口部で連続して受容して、印刷された層の集合体202を形成する。
【0048】
集合体202は、層とも称される複数の切断された印刷された基材シート132であると理解される。シート層の集合体202は、縫製機械204によって一緒に縫製され得る任意の数のシート層を含み得る。集合体を構成するシート層の数は、基材材料118の厚さ、及び基材シート上の印刷パターンの厚さに依存し得る。実施例は、縫製機械204が、層を一緒に縫合し得る限り、任意の特定の数の印刷されたシート層に限定されない。例えば、シート層の数は、2~100、又は2~50、又は2~25、又は2~10であり得る。更に、各集合体は、厚さが変化してもよい(例えば、概ね0.5~3mmの積層体厚さの増加、1~10mmの積層体厚さの増加、1~25mmの積層体厚さ)。効率のために、層の数は、縫製機械の構成要素に過度の負担又は応力を引き起こすことなく、一緒に縫製され得る印刷されたシート層の範囲内であり得る。
【0049】
特定の理論に限定されないが、集合体搬送サブシステム206は、移送サブシステム114の一部であってもよく、又は移送サブシステムから分離してもよい。更に
図2を参照すると、集合体搬送サブシステム206は、カッター112の下流に位置するウェブ系移送サブシステム114とは別個であり、かつそれに近接し得る。基材材料118は、印刷された基材シート132がカッター112によって切断され、集合体202に積層されるウェブ基材であってもよく、その一方で、カッターによって分離されないウェブ基材の一部は、続いて、218で再度巻かれてもよい。次いで、集合体202は、縫製機械204によって一緒に縫合され、縫製された集合体を積み重ねるため、かつ後続の処理(例えば、加熱、圧縮、洗浄)のために、積層装置サブシステム116に移送され得る。
【0050】
縫製機械204は、集合体搬送サブシステム206に近接して位置し、縫製された集合体として、印刷された基材層の集合体202を一緒に縫製するように構成されている。上記のように、縫製機械204は、集合体搬送サブシステム206を介して、積上げステーション216から来る集合体202の上方に位置する縫製機構208と、集合体の下に位置するループ機構210とを有する一体型ユニットであり得る。縫製機構208は、その穿孔先端付近に糸開口部222を有する縫製針220を含む。
図2に見られるように、縫製機構208は、縫製針の糸開口部222を通って延在する縫製糸224を格納し得る。縫製機構208は、縫合針220を、縫製機構構成要素(例えば、歯車、カム、クランク、ベルト)に接続する針バー(図示せず)を含んでもよく、この縫製機構構成要素は、モータによって駆動されて、縫合針を下方及び上方に往復運動させて、印刷された基材層の集合体202を通して縫合糸224を繰り返し引っ張り、元に戻し、基材層を一緒に縫合し得る。ループ機構210は、縫製されている集合体202の下に、縫製機構の反対側に位置する。
【0051】
特定の理論に限定されないが、ループ機構は、当業者に容易に理解されるように、集合体を通過してその下面に移動する縫製糸224と相互作用して、糸を用いたループ縫合を完成させ得る。例えば、ループ機構210は、集合体の下にある、単一の長さの縫合糸224を、それ自体にループバックして、鎖縫合を形成し得る。この例では、ループ機構210は、往復縫製針220と同期して移動して、縫製針が集合体から引き出される前に、集合体の下に引かれた縫製糸のループを掴み、次いで、ループを前方に押すループフック(図示せず)を含み得る。縫製針220は、再び集合体を突き抜け、縫製糸を糸の新しいループとして集合体の下に引き戻す。縫製糸のこの新しいループは、前のループの中央を通過する。ループフックは、糸を再び掴み、次の縫合のためにループを前方に押す。このようにして、糸の全てのループは、次のループを定位置に保持する。
【0052】
別の例では、ループ機構210は、当業者によく理解されるように、縫製糸224の第1のループを、第2の縫製糸の周囲に繰り返し巻きつけて、ロック縫合を形成し得る。上記で論じられた例と同様に、縫製針220は、集合体202の印刷された層を突き抜け、縫製糸224のループを残す。しかしながら、この例では、縫製機構208は、ループを、ループ機構から巻きだす第2の糸に取り付ける。この例では、ループ機構は、シャトルフック及びボビン組立品を含み得る。縫製針220が、第2の糸を通ってループを押すとき、回転シャトルは、ループをそのフックで把持する。シャトルが回転すると、縫製糸224のループを、ボビンから来る第2の糸の周囲に引っ張る。実施例では、縫製糸224は、当業者にはよく理解されるように、集合体を一緒に縫合するのに使用可能な、ポリマー繊維、炭素繊維、これらの組み合わせ、又は任意の材料(例えば、綿、レーヨンなど)を含み得る。
【0053】
集合体202が、縫製機械204によって一緒に縫製された後、集合体搬送サブシステムは、後続の縫製された集合体と積層装置サブシステム上に置かれた他の縫製された集合体との結合のために、縫製された集合体を積層装置サブシステム216に移送し得る。後続の結合は、集合体202の積層体を加熱及び圧縮して、縫製された集合体の結合された積層体を形成することによって提供され得る。集合体202の加熱及び圧縮の間、各集合体の縫製糸は、各集合体内で、隣接する集合体を一緒に束ねる。基材層が冷却されると、糸は、集合体の基材層の冷却されたポリマーと、最終固体3D物体を形成する隣接する集合体に固定的に絡まる。過剰な基材、すなわちパターン化されたポリマーで印刷されていない層の基材材料の除去は、糸が元々印刷された基材シートの印刷された領域内のみに縫製される際に、交絡した糸を露出させることを懸念することなく、上記で論じられたように進み得る。最終結果は、3D物体全体にわたって縫製糸の縫製及び絡み合いに起因して、積層された基材シートの平面方向に垂直なZ軸の強度が増加した最終固体3D物体である。
【0054】
特定の理論に限定されないが、縫製機械204は、印刷された基材シートの層を、印刷されたシート132の印刷された部分の間のみの集合体202に一緒に縫製するように構成され得る。この手法では、縫製糸は、3D物体を一緒に縫合するために、印刷されたシートの印刷された領域内のみに配置されて、印刷材料によって覆われていない過剰な基材には配置されない。制御装置150は、縫製サブシステム200と通信して、形成されている3D物体の形状及び一緒に縫製されている3D物体の区分された集合体などの要因に基づいて、シート層の印刷された領域のみを一緒に縫合するように縫製機械204に指示し得る。縫製機械204は、針が上下に移動するのと同時に、縫製針220が縫製機構208の構成要素によって左右に移動する、ジグザグ縫合のような様々な縫合を提供する電気縫製機械であり得る。縫製機械は、制御装置150によって制御され、縫製機械モータ(複数可)を制御することができ、縫製機械モータは、縫製針220及び縫製機械204の他の構成要素を正確に動かして、集合体の基材シート層上の印刷された画像パターンと一致するパターンで縫合を生成する。
【0055】
図3は、
図1及び
図2に示されるAMシステム100及び縫製サブシステム200内の例示的なデバイスを自動的に制御する命令を実行するための制御装置150のブロック図を示す。例示的な制御装置150は、
図1~
図2で示され、以下の
図4でより詳細に説明されるようなシステム内でAM 3D物体形成プロセスを実行するための制御装置への入力を提供し得るか、又はその構成要素であり得る。
【0056】
例示的な制御システム150は、使用者が例示的な制御システム150と通信し得る操作インターフェース310を含み得る。操作インターフェース310は、AM 3D物体形成システム100に関連付けられるローカルアクセス可能な使用者インターフェースであり得る。操作インターフェース310は、使用者が例示的な制御システム150に情報を入力することを可能にし得る制御デバイス及び/又はコンピューティングデバイスに共通する1つ以上の従来の機構として構成され得る。操作インターフェース310は、例えば、従来のキーボード、「ソフト」ボタン又は互換性のあるスタイラスで使用するための様々な構成要素を有するタッチスクリーン、使用者が例示的な制御システム150に、音声認識プログラムによって「変換される」口頭命令を提供し得るマイクロフォン、又は使用者が特定の操作命令を例示的な制御システム150に通信し得る他の同様のデバイスを挙げることができる。操作インターフェース310は、例示的な制御システム150が関連付けられている、AMシステム100及び縫製サブシステム200上に搭載、統合、又は関連付けられる、グラフィカル使用者インターフェース(GUI)の一部又は機能であり得る。
【0057】
例示的な制御システム150は、例示的な制御システム150を個別に操作し、AM 3D物体形成のための効果制御及び操作機能を実行するための、具体的には、複合体系層形成スキームを実施し、印刷されたシートの層を3D物体に積層される結合剤に縫製するための、1つ以上のローカルプロセッサ320を含み得る。プロセッサ(複数可)320は、例示的な制御システム150の特定の機能、及びAM 3D物体形成プロセスの制御、及び/又は例示的な制御システム150を用いる集合体縫製を指示する命令を解釈及び実行する、少なくとも1つの従来のプロセッサ又はマイクロプロセッサを含み得る。
【0058】
例示的な制御システム150は、1つ以上のデータ記憶デバイス330を含み得る。このようなデータ記憶装置(複数可)330は、例示的な制御システム150、具体的にはプロセッサ(複数可)320によって使用されるデータ又は操作プログラムを記憶するために使用され得る。データ記憶デバイス(複数可)330は、例えば、例示的な制御システム150が関連付けられている、AMシステム内で3D物体を生成するための1つ以上の3D物体モデルに関する情報を記憶するために使用され得る。記憶された3D物体モデル情報は、2Dスライスの一連の層の印刷、及び本明細書の実施例によって一般的に記載される様式で3D物体を形成するための印刷された基材層を縫製のためのデータに移され得る。
【0059】
データ記憶装置(複数可)330としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は更新可能なデータベース情報を記憶し得る、例えば、プロセッサ(複数可)320によって、AMシステム操作の実行のための命令を別個に記憶し得る別のタイプのダイナミック記憶デバイスを挙げることができる。データ記憶デバイス(複数可)330はまた、従来のROMデバイス、又はプロセッサ(複数可)320のための静的情報及び命令を記憶する別のタイプの静的記憶デバイスを含み得る、読み出し専用メモリ(ROM)を挙げることができる。更に、データ記憶デバイス(複数可)330は、例示的な制御システム150と統合されていてもよく、又はクラウド系データ記憶構成要素を含む例示的な制御システム150の外部で、及び制御システム150と有線若しくは無線通信で提供され得る。
【0060】
例示的な制御システム150としては、AMシステム100のGUI上の表示スクリーン、及び/又は例示的な制御システム150が関連付けられ得る縫製サブシステム200が含まれるが、これらに限定されない、使用者に情報を出力する1つ以上の従来の機構として構成され得る、少なくとも1つのデータ出力/表示デバイス340を挙げることができる。データ出力/表示デバイス340は、デバイス内の複数の別個の処理ステーション又はサブシステムのうちの1つ以上で、1つ以上の個別に制御された構成要素の操作を含む、例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステム/縫製サブシステムによって実行される3D物体形成操作の状態を、使用者に示すために使用され得る。
【0061】
例示的な制御システム150は、例示的な制御システム150が、印刷されたシート繊維交絡装置200などの例示的な制御システムの外部にあってもよい構成要素と通信し得る、1つ以上の別個の外部通信インターフェース350を含み得る。外部通信インターフェース350のうちの少なくとも1つは、3D物体形成操作における制御機能の実行のためのモデリング情報を記憶する外部CAD/CAMデバイスを接続することを支援する入力ポートとして構成され得る。例示的な制御システム150と、外部及び/又は関連付けられた構成要素との間で、有線又は無線通信を提供する任意の好適なデータ接続は、示された外部通信インターフェース350によって包含されることが企図される。
【0062】
例示的な制御システム150としては、移された3D物体モデル情報によるプロセス中の3D物体のための、一連の2Dスライス(例えば、印刷された基材シート132)を生成する、基材材料118上の画像形成プロセス(例えば、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着装置108)を制御するために使用され得る画像形成制御デバイス360を挙げることができる。基材材料118は、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、及び定着装置108を通って供給されて、画像形成制御デバイス360の制御下で、その上に形成されたマーキング材料画像を有し得る。基材材料は、印刷された基材ウェブとして粉末サブシステム106を出て、物体を形成するための縫製された集合体を有する印刷されたシート138の積層体を構成するために、縫製サブシステム200を介してAMシステム100の出力側で切断されて、自動的に積層され得る。画像形成制御装置360は、データ記憶装置330のうちの1つ以上に連結されるプロセッサ320の一部若しくは機能として作動し得るか、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくは回路として作動し得る。プロセッサ320又は画像形成制御デバイス360のいずれかは、入力3D物体モデル情報を解析して、AMシステム100内の基材材料118上の層ごとの2Dスライス材料層印刷スキームを決定及び実行し得る。
【0063】
例示的な制御システム150は、データ記憶装置330のうちの1つ以上に連結される、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくはステーションとしての縫製サブシステム制御デバイス370を含み得る。縫製サブシステム制御装置370は、印刷されたシート集合体積層及び集合体縫製プロセスのうちの1つ以上の機能を制御して、個々の印刷されたシートを互いに縫合し、最終3D物体への積層及び処理のために印刷されたシートの縫製された集合体を形成するのに有用であり得る。このような場合、縫製サブシステム200を使用して、印刷された基材シートをバッチとして正確な位置合わせで積層することができ、バッチを一緒に縫合し、後の使用のためにバッチの積層体として正確な位置合わせで積層するために縫製されたバッチを前進させることができる。積層体138を加熱し、更に加圧することは、バッチ縫製プロセスを減速させないために、その後に必要に応じてオフラインで提供され得る。縫製サブシステム制御デバイス370は、例えば、1つ以上のデータ記憶装置330に連結されるプロセッサ320の一部若しくは機能として作動し得るか、又は例示的な制御システム150内の1つ以上の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくは回路として作動し得る。
【0064】
例示的な制御システム150としては、積層された支持構成要素構造体を除去し、3D物体を表面仕上げし得る削除機械加工プロセスにおいて、縫製され印刷された層状バッチの処理された積層体上の最終3D物体成形スキームを実行するための3D物体仕上制御デバイス(図示せず)を挙げることができる。上記で列挙された他の別個の制御デバイスと同様に、3D物体仕上げ制御デバイスは、仕上げデバイスの作動を実行するための1つ以上のデータ記憶装置330に連結されるプロセッサ320の一部若しくは機能として作動し得るか、又は例示的な制御システム150内の別個のスタンドアロン構成要素モジュール若しくは回路として作動し得る。
【0065】
図3に示されるように、例示的な制御システム150の様々な構成要素の全ては、1つ以上のデータ/制御バス380によって、内部に、及び1つ以上のAM物体形成デバイス及び/又はその構成要素に接続され得る。これらのデータ/制御バス380は、例示的な制御システム150の様々な構成要素間の有線又は無線通信を提供することができ、それらの構成要素の全ては、一体的に収容されているか、又はそれ以外の場合外部であり、かつ例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステム100に接続される。
【0066】
図3に一体型ユニットとして示されているが、例示的な制御システム150の様々な開示された要素は、例示的な制御システムの単一ユニットと一体である、又は外部であり、例示的な制御システムの単一ユニットと有線若しくは無線通信する、個々の構成要素又は構成要素の組み合わせとして、サブシステムの任意の組み合わせで配置され得る、と理解されるべきである。換言すれば、一体型ユニットとして、又は支持ユニットとしての特定の構成は、
図3の記述によって暗示されことはない。更に、例示的な制御システム150に関する本開示で提供される詳細を理解しやすくするために個々のユニットとして示されているが、個々に示された構成要素のうちのいずれかの記載された機能、具体的には、示された制御デバイスのそれぞれは、例えば、1つ以上のデータ記憶デバイス(複数可)330に接続され、それと通信する1つ以上のプロセッサ320によって実行され得る。
【0067】
開示された実施形態は、印刷された基材シート層のバッチを縫製し、縫製されたバッチを前進させて、3D物体としてバッチの積層体を形成することよって、その印刷された基材シート層に垂直なZ軸方向における3D物体の強度を増加させる例示的な方法を含み得る。
図4は、複合体系積層造形中に、印刷された複合体層を集合体に結合するそのような例示的な方法のフローチャートを示し、それは、工程S400で開始し、工程S410に進行する。
【0068】
工程S410で、切断された印刷されたシート132は、集合体搬送サブシステムの積上げステーションで、AMシステムから連続して2D層として受容される。本方法の操作は、工程S420に進行し、ここで、受容された複数の印刷された基材層は、位置合わせされた形態で積上げステーションで積層されて、位置合わせされた印刷された基材層の集合体を形成する。この工程は、印刷された基材層の見当開口部を、積上げステーションの見当ピンの周りに位置合わせして、集合体の印刷された基材層を位置合わせすることを含み得る。シート層の各集合体は、縫製機械204によって一緒に縫製され得る任意の数のシート層を含み得る。集合体を構成するシート層の数は、基材材料の厚さ、及び基材シート上の印刷パターンの厚さに基づいて事前時決定され得る。実施例は、縫製機械204が、層を一緒に縫合し得る限り、任意の特定の数の印刷されたシート層に限定されない。本方法の操作は、工程S430に進行する。
【0069】
工程S430では、集合体搬送サブシステムは、印刷された基材層の集合体を、縫製機械に移送する。方法の操作は工程S440に進行し、ここで、集合体の印刷された基材層は、縫製機械で一緒に縫製されて、縫製された集合体を形成する。実施例では、制御装置は、縫製機械と通信して、一緒に縫製されている3D物体のそれぞれの集合体によって形成されている3D物体の形状などの要因に基づいて、シート層の印刷された領域のみを一緒に縫合するように縫製機械に指示し得る。実施例では、縫製は、縫製針及び縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体に繰り返し通して、縫製糸の第1のループを、縫製機構で集合体の片側から集合体の反対側に引っ張ることと、縫製糸の第1のループを、ループ機構で第2の縫製糸の周囲に繰り返し巻き付けることと、縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体から引っ張ることと、を含む。他の実施例では、縫製は、縫製針及び縫製針に取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体に繰り返し通して、縫製糸の第1のループを、縫製機構で集合体の片側から集合体の反対側に引っ張ることと、縫製糸の第1のループを、ループ機構で縫製糸の第2のループの周囲に繰り返し巻き付けることと、縫製針及び取り付けられた縫製糸を、印刷された基材層の集合体から引っ張ることと、を含む。
【0070】
図4に示される方法の操作は、工程S450に進行し、ここで縫製された集合体は、後続の処理のために集合体搬送サブシステムによって積層装置サブシステムに移送され、これは、他の縫製された集合体と結合して、縫製された集合体を含む印刷された基材層の積層体を形成することを含み得る。実施例では、この工程は、縫製された集合体を、先に形成された縫製された集合体上に置くことと、それと共に、積層装置サブシステムの見当ピンと見当合わせされる集合体の位置合わせ開口部と位置合わせすることと、を含むことができ、ここで、積層装置サブシステムは、縫製された集合体を受容して、縫製された集合体の位置合わせされた積層体を形成する。操作は、積層体が完了するまで、付加されて縫製された集合体を有する積層体を増加させるために、工程S410に戻ってもよい。次いで、積層体は、上記で論じられたように、加熱、圧縮、及び洗浄などの後続の処理の準備ができている。集合体の加熱及び圧縮の間、各集合体の縫製糸は、各集合体内で、かつ隣接する集合体を一緒に束ね得る。基材層が冷却されると、糸は、最終固体3D物体を形成する集合体及び隣接する集合体の冷却されたポリマーと固定的に絡まり、積層された基材シートの平面方向に垂直なZ軸における積層体強度を更に増加させ得る。
【0071】
実行可能な方法工程の例示的に示されたシーケンスは、工程に記載される機能を実施するための、対応する動作シーケンスの一例を表す。例示的に示された工程は、開示された実施形態の目的を達成するために、任意の合理的な順序で実行され得る。本方法の開示された工程の特定の順序は、必ずしも
図4の記述によって暗示されず、添付の説明は、任意の特定の方法工程を除き、任意の他の方法工程の実行に必要な前提条件であると合理的に見なされる。個々の方法工程は、順番に、又は同時若しくはほぼ同時のタイミングで並行して実行され得る。加えて、示され、記載された方法工程の全てが、本開示による任意の特定のスキームに含まれる必要はない。
【0072】
当業者であれば、開示される主題の他の実施形態は、多くの異なる構成において、3Dインキングシステムに共通する多くの種類の画像形成要素を用いて実施され得ることを理解するであろう。例えば、単一パスマーキング材料の堆積が、論じられた実施形態に示されているが、実施例は、3D物体形成システム及び方法を含む、マルチパスシステム及び方法に適用される場合がある。また、論じられた実施形態では、片面印刷が示されているが、実施例は、多面印刷に適用される場合がある。これらは、開示されるスキームに従って実行され得る変形の非限定的な例であることを理解されたい。換言すれば、特定の限定的な構成は、上記の説明及び添付の図面から暗示されるべきではない。