(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】スパークプラグ
(51)【国際特許分類】
H01T 13/20 20060101AFI20230508BHJP
H01T 13/34 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01T13/20 B
H01T13/34
(21)【出願番号】P 2020065674
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】坂本 孝義
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭39-6611(JP,Y1)
【文献】実公昭55-055520(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/20
H01T 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる第1面と、前記第1面の先端側につながる段部と、前記段部の先端側につながり前記第1面より直径が小さい第2面と、を含む内周面を有する絶縁体と、
前記段部に接する先端面を有し前記第1面の内側に配置される頭部と、前記頭部につながり前記第2面の内側に配置され前記軸線方向に延びる軸部と、を有する中心電極と、
前記内周面および前記頭部に接するシール材と、を備え、
前記頭部は、前記先端面を有する第1部と、前記第1部の後端側につながり前記第1部よりも細い第2部と、を備えるスパークプラグであって、
前記頭部は、前記第1部および前記第2部の少なくとも一方の、前記第1面に対向する側面のうち、前記第1部および前記第2部の前記軸線方向の端を除く領域の周方向の一部に
設けられた凹みを含み、
前記凹みは、前記凹みの深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定であるストレート部を含
み、
前記ストレート部は、前記凹み
によって前記側面にできた前記凹みの開口端を含
み、
前記凹みに前記シール材が入り込んでいるスパークプラグ。
【請求項2】
前記凹みは前記第2部に形成されている請求項1記載のスパークプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパークプラグに関し、特に中心電極をシール材で絶縁体に固定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スパークプラグの中心電極を絶縁体に固定する技術として、特許文献1には、中心電極の頭部の外周に螺旋状やローレット状の凹みを設け、軸孔を封止するシール材で頭部を絶縁体に固定する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、凹みの中に入り込んだシール材の機械的接合(アンカー効果)によって中心電極の固定強度を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記技術では、凹みは、凹みの深さ方向に垂直な断面の大きさが、深さ方向に進むにつれて次第に小さくなる形状なので、スパークプラグに伝わるエンジンの振動等によって中心電極の固定強度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、中心電極の固定強度を高くできるスパークプラグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のスパークプラグは、軸線方向に延びる第1面と、第1面の先端側につながる段部と、段部の先端側につながり第1面より直径が小さい第2面と、を含む内周面を有する絶縁体と、段部に接する先端面を有し第1面の内側に配置される頭部と、頭部につながり第2面の内側に配置され軸線方向に延びる軸部と、を有する中心電極と、内周面および頭部に接するシール材と、を備え、頭部は、先端面を有する第1部と、第1部の後端側につながり第1部よりも細い第2部と、を備える。第1部および第2部の少なくとも一方の、第1面に対向する側面のうち、第1部および第2部の軸線方向の端を除く領域の周方向の一部に、深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定であるストレート部を含む凹みが形成され、ストレート部は凹みの開口端を含む領域に位置し、凹みにシール材が入り込んでいる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のスパークプラグによれば、中心電極の頭部の側面のうち、第1部および第2部の軸線方向の端を除く領域の周方向の一部に、シール材が入り込む凹みが形成されている。凹みは、凹みの開口端を含む領域にストレート部が位置する。ストレート部は深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。従って、深さ方向に進むにつれて断面の大きさが次第に小さくなる凹みを中心電極の頭部に設ける場合に比べ、軸線方向や回転方向の力が中心電極に加わる場合に、頭部のストレート部の角がシール材に引っ掛かり易いので、頭部が動きにくい。さらに、深さ方向に進むにつれて断面の大きさが次第に小さくなる凹みを中心電極の頭部に設ける場合に比べ、凹みの深さが同じであれば凹みの表面積を大きくできる。凹みの表面積が大きいほど、シール材による機械的接合は効果的になるので、中心電極の固定強度を高くできる。
【0008】
請求項2記載のスパークプラグによれば、凹みは第2部に形成されているので、凹みの中にシール材を入り込み易くできる。よって請求項1の効果に加え、シール材による中心電極の固定強度をさらに高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。
【
図2】
図1のIIで示す部分を拡大したスパークプラグの部分断面図である。
【
図3】(a)は
図2のIIIa-IIIa線におけるスパークプラグの断面図であり、(b)は中心電極の頭部の側面図である。
【
図4】(a)は第2実施の形態におけるスパークプラグの断面図であり、(b)は中心電極の頭部の側面図である。
【
図5】(a)は第3実施の形態におけるスパークプラグの断面図であり、(b)は中心電極の頭部の側面図である。
【
図6】(a)は第4実施の形態におけるスパークプラグの断面図であり、(b)は中心電極の頭部の側面図である。
【
図7】(a)は第5実施の形態におけるスパークプラグの断面図であり、(b)は中心電極の頭部の側面図である。
【
図8】第6実施の形態におけるスパークプラグの中心電極の頭部の側面図である。
【
図9】第7実施の形態におけるスパークプラグの中心電極の頭部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は第1実施の形態におけるスパークプラグ10の軸線Oを境にした片側断面図である。
図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という(
図2から
図9においても同じ)。
図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11、中心電極20及びシール材40を備えている。
【0011】
絶縁体11は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成されている。絶縁体11は、軸線Oに沿って絶縁体11を貫通する軸孔12が形成された略円筒状をなす。軸孔12の、軸線Oに垂直な断面は円形である。絶縁体11の軸孔12の先端側に中心電極20が配置されている。
【0012】
中心電極20は、軸線Oに沿って延びる棒状の部材である。中心電極20の先端は軸孔12から露出する。中心電極20はシール材40で絶縁体11に固定されている。シール材40は導電性を有するガラスであり、軸孔12を封止する。シール材40は、例えばCu,Fe等の導電性粉末がガラスに分散されている。ガラスとしては、例えばB2O3-SiO2系、BaO-B2O3系、SiO2-B2O3-CaO-BaO系などが採用され得る。
【0013】
抵抗体41は放電時に発生する電波ノイズを抑えるための部材であり、シール材40の後端側に配置されている。抵抗体41は、放電電流のうち電波ノイズの原因となる周波数帯の成分を吸収する。
【0014】
接続体42は導電性を有するガラスであり、抵抗体41の後端側に配置されている。接続体42は、例えばCu,Fe等の導電性粉末がガラスに分散されている。ガラスとしては、例えばB2O3-SiO2系、BaO-B2O3系、SiO2-B2O3-CaO-BaO系などが採用され得る。
【0015】
端子金具43は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。端子金具43は、先端側が軸孔12に挿入された状態で、絶縁体11の後端に固定されている。端子金具43は、少なくとも先端面が、軸孔12内で接続体42に接している。端子金具43は、シール材40、抵抗体41及び接続体42を介して、軸孔12内で中心電極20に電気的に接続されている。
【0016】
主体金具44は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成された略円筒状の部材である。主体金具44は、絶縁体11の先端側の部位を、絶縁体11の外周側から保持する。中心電極20の一部、抵抗体41の全体、端子金具43の一部は、絶縁体11を介して、主体金具44の内側に配置される。接地電極45は、主体金具44に接合される棒状の金属製(例えばニッケル基合金製)の部材である。接地電極45は、先端部が、中心電極20と火花ギャップを介して対向する。
【0017】
図2は
図1のIIで示す部分を拡大したスパークプラグ10の軸線Oを含む部分断面図である。絶縁体11の軸孔12が作る内周面13は、軸線方向に延びる第1面14と、第1面14の先端側につながる段部15と、段部15の先端側につながる第2面16と、を含む。第2面16の直径は第1面14の直径よりも小さい。段部15は円錐面または球帯であり、先端側に向かうにつれて縮径している。
【0018】
中心電極20は、銅または銅を主成分とする芯材21がニッケル又はニッケル基合金からなる母材22で覆われている。芯材21を省略することは可能である。中心電極20は、略円柱状の軸部23と、軸部23の後端側に連なる略円柱状の頭部24と、を備えている。頭部24は軸部23よりも太い。頭部24は、段部15に接する先端面25を有し、第1面14の内側に配置される。軸部23は第2面16の内側に配置される。頭部24の側面26は、先端面25と後端面27とをつなぐ。
【0019】
頭部24は、先端面25を有する略円柱状の第1部28と、第1部28の後端側につながる略円柱状の第2部31と、を含む。第2部31は第1部28に比べて細い。頭部24の側面26のうち、第1部28の軸線方向における先端側の端29及び後端側の端30は、第2部31の軸線方向における先端側の端32及び後端側の端33より、絶縁体11の第1面14の近くに位置する。シール材40は、頭部24の側面26及び後端面27と、絶縁体11の段部15のうち頭部24が接していない部分および第1面14と、に接する。
【0020】
中心電極20は、頭部24の側面26のうち第1部28及び第2部31の端29,30,32,33を除く領域の周方向の一部に凹み34が形成されている。凹み34が、頭部24の側面26の周方向の一部に設けられているので、頭部24の断面積を確保できる。よって頭部24の強度を確保できる。本実施形態では、凹み34は第2部31に形成されている。頭部24の側面26には、凹み34の開口端35ができる。凹み34の開口端35は第2部31の端32,33と離間しているので、凹み34の表面積を確保できる。シール材40は凹み34に入り込んでいる。
【0021】
図3(a)は、
図2のIIIa-IIIa線におけるスパークプラグ10の断面図である(
図4(a)、
図5(a)、
図6(a)、
図7(a)においても同じ)。
図3(a)では絶縁体11の図示が省略されている。
【0022】
図3(b)は中心電極20の頭部24の側面図である。
図3(b)は中心電極20の軸部23の一部の図示が省略されている。
図3(b)には、絶縁体11の軸孔12に配置される前の中心電極20が図示されている(
図4(b)、
図5(b)、
図6(b)、
図7(b)、
図8及び
図9においても同じ)。
【0023】
スパークプラグ10は、例えば以下のような方法によって製造される。まず絶縁体11の軸孔12に中心電極20を挿入した後、シール材40の原料粉末を軸孔12に入れて中心電極20の頭部24の周りに充填する。次いで抵抗体41の原料粉末を軸孔12に充填した後、接続体42の原料粉末を軸孔12に充填する。端子金具43を軸孔12に挿入した後、絶縁体11を加熱しながら端子金具43を用いて接続体42、抵抗体41及びシール材40の原料粉末を軸方向へ圧縮する。このときに凹み34にシール材40が押し込まれる。次に、予め接地電極45を接続した主体金具44を絶縁体11に組み付けた後、接地電極45を屈曲してスパークプラグ10を得る。
【0024】
中心電極20には、凹み34が、軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に、互いに離隔して4つ設けられている。凹み34には、開口端35を含むストレート部37が設けられている。ストレート部37は、凹み34の深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。本実施形態におけるストレート部37の深さは、凹み34の開口端35から底36までの深さの0.3倍である。凹み34の開口端35の形状は四角形であり、ストレート部37は角筒であり、縮小部38は角錐面である。凹み34は、例えば頭部24よりも硬い剛体(圧子)を頭部24の側面26に押し付けて生じる圧痕である。
【0025】
凹み34にストレート部37があるので、深さ方向に進むにつれて断面の大きさが次第に小さくなる凹みを頭部24に設ける場合に比べ、軸線方向や回転方向の力が中心電極20に加わる場合に、頭部24のストレート部37の角がシール材40に引っ掛かり易いので頭部24が動きにくい。さらに、深さ方向に進むにつれて断面の大きさが次第に小さくなる凹みを頭部24に設ける場合に比べ、凹みの深さが同じであれば、凹み34の表面積を大きくできる。よって凹み34の中に入り込んだシール材40の機械的接合(アンカー効果)により、中心電極20の頭部24の固定強度を高くできる。
【0026】
ストレート部37の最も深いところから凹み34の底36まで、縮小部38が設けられている。縮小部38では、凹み34の深さ方向に垂直な断面の大きさが、底36に近づくにつれて減少している。縮小部38の断面を小さくすることで、ストレート部37にシール材40が充填され易くなる。その結果、ストレート部37内のシール材40の断面積を確保し易くなるので、シール材40による機械的接合の強度を向上できる。
【0027】
凹み34が形成された第2部31は第1部28に比べて細いので、第2部31と第1面14との間にできる隙間を、第1部28と第1面14との間にできる隙間よりも広くできる。第2部31に凹み34が設けられるので、第1部28に凹み34が設けられる場合に比べ、凹み34にシール材40が入り込み易い。よってシール材40による中心電極20の固定強度を高くできる。
【0028】
図4(a)及び
図4(b)を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では、凹み34の底36(凹み34の最も深いところ)が、凹み34の中心に設けられる場合について説明した。これに対し第2実施形態では、凹み51の底53が、凹み51の四隅に設けられる場合について説明する。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図4(a)は第2実施の形態におけるスパークプラグの断面図である。
図4(b)は中心電極50の頭部24の側面図である。中心電極50は、第1実施形態におけるスパークプラグ10の中心電極20に代えて配置される。
【0029】
中心電極50は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み51が形成されている。凹み51は軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つ設けられている。凹み51の開口端52は、第2部31の端32,33と離間している。開口端52の形状は四角形である。凹み51の底53(凹み51の最も深いところ)は、凹み51の四隅に設けられている。
【0030】
凹み51には、開口端52を含むストレート部54が設けられている。ストレート部54は、凹み51の深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。ストレート部54の深さは、凹み51の開口端52から底53までの深さの0.6倍である。ストレート部54の最も深いところ(
図4(a)に示す破線の位置)から凹み51の底53まで、縮小部55が設けられている。縮小部55では、凹み51の深さ方向に垂直な断面の大きさが、底53に近づくにつれて減少している。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、中心電極50の頭部24の固定強度を高くできる。
【0031】
図5(a)及び
図5(b)を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5(a)は第3実施の形態におけるスパークプラグの断面図である。
図5(b)は中心電極60の頭部24の側面図である。中心電極60は、第1実施形態におけるスパークプラグ10の中心電極20に代えて配置される。
【0032】
中心電極60は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み61が形成されている。凹み61は軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つ設けられている。凹み61の開口端62は、第2部31の端32,33と離間している。開口端62の形状は四角形である。
【0033】
凹み61には、開口端62を含むストレート部64が設けられている。ストレート部64は、凹み61の深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。ストレート部64の深さは、凹み61の開口端62から底63までの深さの0.5倍である。ストレート部64の最も深いところから凹み61の底63まで、縮小部65が設けられている。縮小部65は円筒面を含み、ストレート部64は角筒である。縮小部65では、凹み61の深さ方向に垂直な断面の大きさが、底63に近づくにつれて減少している。第3実施形態においても第1実施形態と同様に、中心電極60の頭部24の固定強度を高くできる。
【0034】
図6(a)及び
図6(b)を参照して第4実施の形態について説明する。第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6(a)は第4実施の形態におけるスパークプラグの断面図である。
図6(b)は中心電極70の頭部24の側面図である。中心電極70は、第1実施形態におけるスパークプラグ10の中心電極20に代えて配置される。
【0035】
中心電極70は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み71が形成されている。凹み71は軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つ設けられている。凹み71の開口端72は、第2部31の端32,33と離間している。開口端72の形状は三角形である。
【0036】
凹み71には、開口端72を含むストレート部74が設けられている。ストレート部74は、凹み71の深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。ストレート部74は角筒である。本実施形態では凹み71の開口端72から底73までがストレート部74である。第4実施形態においても第1実施形態と同様に、中心電極70の頭部24の固定強度を高くできる。
【0037】
図7(a)及び
図7(b)を参照して第5実施の形態について説明する。第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7(a)は第5実施の形態におけるスパークプラグの断面図である。
図7(b)は中心電極80の頭部24の側面図である。中心電極80は、第1実施形態におけるスパークプラグ10の中心電極20に代えて配置される。
【0038】
中心電極80は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み81が形成されている。凹み81は軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つ設けられている。凹み81の開口端82は、第2部31の端32,33と離間している。開口端82の形状は円形である。凹み81は圧子の押し付けやドリル等を用いた切削によって形成される。切削によって凹み81が形成される場合も、芯材21がむき出しにならないように、凹み81の底に母材22が残るように母材22を削るのが好ましい。
【0039】
凹み81には、開口端82を含むストレート部84が設けられている。ストレート部84は、凹み81の深さ方向に垂直な断面の大きさ及び形状が一定である。ストレート部84の深さは、凹み81の開口端82から底83までの深さの0.3倍である。ストレート部84の最も深いところから凹み81の底83まで、縮小部85が設けられている。縮小部85は円錐面であり、ストレート部64は円筒面である。縮小部85では、凹み81の深さ方向に垂直な断面の大きさが、底83に近づくにつれて減少している。
【0040】
第5実施形態においても第1実施形態と同様に、中心電極80の頭部24の固定強度を高くできる。さらに円形の開口端82には隅ができないので、シール材40の原料粉末をストレート部64の全周に接触させ易くできる。その結果、シール材40をストレート部64に充填させ易くなるので、頭部24の固定強度を確保し易くできる。
【0041】
図8及び
図9を参照して第6実施の形態および第7実施の形態について説明する。第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図8は第6実施の形態におけるスパークプラグの中心電極90の頭部24の側面図である。
図9は第7実施の形態におけるスパークプラグの中心電極100の頭部24の側面図である。中心電極90,100は、それぞれ第1実施形態におけるスパークプラグ10の中心電極20に代えて配置される。
【0042】
図8に示すように中心電極90は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み34,81が形成されている。凹み34,81は、軸線方向に並べて配置され、軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つずつ(合計8つ)設けられている。凹み34,81は互いに離隔されている。
【0043】
図9に示すように中心電極100は、頭部24の側面26のうち第2部31の端32,33を除く領域の周方向の一部に凹み61,81が形成されている。凹み61,81は、軸線方向に並べて配置され、軸線Oを中心とする頭部24の回転対称の位置に4つずつ(合計8つ)設けられている。凹み61,81は互いに離隔されている。第6実施の形態および第7実施の形態によれば、中心電極90,100に設けられる凹み34,61,81の表面積をさらに大きくできるので、中心電極90,100の頭部24の固定強度をさらに高くできる。
【0044】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば中心電極20,50,60,70,80,90,100や凹み34,51,61,71,81の形状は一例であり、適宜設定できる。頭部24に設ける凹み34,51,61,71,81の位置や数も一例であり、適宜設定できる。凹み34,51,61,71,81は1つでも良い。
【0045】
実施形態では、頭部24の第2部31に凹み34,51,61,71,81が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。頭部24の第1部28に凹みを形成することは当然可能である。第1部28のみに凹みを設けても良いし、第1部28及び第2部31の両方に凹みを設けることは当然可能である。さらに頭部24の後端面27に凹みを設けることは当然可能である。
【0046】
実施形態では、凹み34,51,61,71,81の開口端35,52,62,72,82の中心と底36,53,63,73,83の中心とを通る直線が、軸線Oに垂直に交わる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。該直線と軸線Oとが斜めに交わるように凹みを設けることは当然可能である。また該直線と軸線Oとがねじれの位置となるように凹みを設けることは当然可能である。
【0047】
実施形態では、抵抗体41及び接続体42を介してシール材40が端子金具43に電気的に接続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。抵抗体41及び接続体42を省略して、シール材40を端子金具43に接続することは当然可能である。
【0048】
実施形態では、中心電極20,50,60,70,80,90,100と接地電極45との間のスパークで生じた火種を成長させて燃焼室内の混合気に着火するスパークプラグについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他のスパークプラグに中心電極20,50,60,70,80,90,100を採用することは当然可能である。他のスパークプラグとしては、例えば中心電極および接地電極を副室の中に配置したスパークプラグが挙げられる。
【符号の説明】
【0049】
10 スパークプラグ
11 絶縁体
13 内周面
14 第1面
15 段部
16 第2面
20,50,60,70,80,90,100 中心電極
23 軸部
24 頭部
25 先端面
26 側面
28 第1部
29,30 端
31 第2部
32,33 端
34,51,61,71,81 凹み
35,52,62,72,82 開口端
37,54,64,74,84 ストレート部
40 シール材
O 軸線