(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】先端キャビティを有する押し嵌め式耳栓
(51)【国際特許分類】
A61F 11/10 20060101AFI20230508BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61F11/10
G10K11/16 110
(21)【出願番号】P 2020511982
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2018056648
(87)【国際公開番号】W WO2019043627
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コフィン,ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】ストーンブレイカー,マシュー ヴィー.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】エリー,ヤコブ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハマー,ジェフリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ティーターズ,ケネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ラヴィ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516419(JP,A)
【文献】特表2016-513987(JP,A)
【文献】特開2012-075850(JP,A)
【文献】特表2003-501920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/10
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、主外面と、前記近位端から前記遠位端まで延びる長手方向軸と、を有するコアと、
前記コアの前記主外面に取り付けられた音響減衰体であって、基部及び先端部を有し、前記コアの前記遠位端が、前記音響減衰体内に配置されており、前記先端部が、前記コアの前記遠位端を越えて遠位に延びている、音響減衰体と、
前記先端部から近位に延びており、かつ遠位開口部を含む、前記音響減衰体の先端キャビティであって、前記音響減衰体によって形成された側壁及び前記コアの前記遠位端によって少なくとも部分的に形成された底部によって画定される容積を有し、前記先端キャビティの側壁は、前記長手方向軸に向かって内向きに延びる複数の突出部を有する、先端キャビティと、
を備える、
耳栓。
【請求項2】
前記突出部のそれぞれは、前記コアの前記遠位端に接触する近位端を有する、請求項1に記載の耳栓。
【請求項3】
前記複数の突出部のそれぞれが、前記コアの前記遠位端に熱結合されているか、前記複数の突出部が、前記音響減衰体と一体成形されている、請求項1に記載の耳栓。
【請求項4】
前記複数の突出部のそれぞれは、前記先端キャビティの前記底部から遠位に延びている、請求項1に記載の耳栓。
【請求項5】
前記先端キャビティは、前記コアの前記遠位端にある平面において第1の主断面寸法を、前記遠位開口部に隣接する平面において第2の主断面寸法を有し、前記第1の主断面寸法は、前記第2の主断面寸法よりも大きい、請求項1に記載の耳栓。
【請求項6】
前記複数の突出部のそれぞれが、前記先端キャビティの前記遠位開口部まで延びる長さを有する、請求項1に記載の耳栓。
【請求項7】
前記複数の突出部は、前記先端キャビティの前記遠位開口部を通して可視である、請求項1に記載の耳栓。
【請求項8】
前記コアは、第1の材料で作製されており、前記音響減衰体は、第2の材料で作製されており、前記第1の材料は、前記第2の材料とは異なる、請求項1に記載の耳栓。
【請求項9】
前記音響減衰体が、前記コア
の外側主表面の少なくとも一部分に熱結合されており、かつ、前記耳栓が、接着剤を含まない、請求項1に記載の耳栓。
【請求項10】
前記第1の材料が、熱可塑性樹脂を含むか、前記第2の材料が、熱可塑性樹脂、部分熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の耳栓。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、聴覚保護装置、例えば、押し嵌め式耳栓、及び聴覚保護装置を製造する方法に関する。
【0002】
聴覚保護装置及びノイズ減衰装置の使用は、周知であり、様々な種類の装置が検討されている。そのような装置としては、内耳への音波の通過を物理的に遮断するためにユーザの外耳道に挿入される、又はその上に配置される、発泡体若しくはゴム材料から部分的に又は完全に構築された耳栓及び半聴覚装置が挙げられる。
【0003】
圧縮性又は「丸める」タイプの耳栓は、一般に、圧縮性の弾力性のある本体部分を備え、好適な緩慢に回復する発泡体材料で作製してもよい。耳栓は、最初に指の間で回転させて本体部分を圧縮し、次いで本体部分を外耳道に押し込み、その後、本体部分を膨張させて外耳道を充填することによって、ユーザの外耳道に挿入することができる。
【0004】
押し嵌め式耳栓も検討されており、圧縮性減衰部分と、減衰部分から延びる剛性部分(例えば、ステム)と、を含んでもよい。押し嵌め式耳栓を挿入するために、ユーザは、剛性部分を把持し、減衰部分を適切な力レベルで外耳道に押し込む。減衰部分は、外耳道に収容されると、縮む。押し嵌め式耳栓は、耳栓を外耳道に迅速かつ容易に挿入することを可能にすることができ、挿入前の耳栓の減衰部分との接触を最小限にすることによって、衛生を促進することができる。
【発明の概要】
【0005】
音響減衰体内の先端キャビティを有する聴覚保護装置、例えば、押し嵌め式耳栓、及び聴覚保護装置を製造する方法が、本明細書に記載されている。
【0006】
一実施形態による耳栓の先端キャビティは、1つ以上の実施形態では、耳栓が外耳道内に前進し、かつ/又はその内部に存在するときに、音響減衰体の周囲の材料が潰れることができる容積を提供してもよい。この特徴は、1つ以上の実施形態では、特に、より小さい外耳道を有するユーザに対して、耳栓の挿入をより容易にし、かつ/又は快適性を改善することができる。
【0007】
音響減衰体の材料が占有する容積を提供することに加えて、耳栓内に位置するコアの端部は、先端キャビティ内に陥没することができ、これにより、1つ以上の実施形態では、音響減衰体が外耳道に挿入される、かつ/又は外耳道内に存在するときに、ユーザがコアの端部を感じる可能性を低減することができる。コアの端部は、先端キャビティ内に陥没しているが、1つ以上の実施形態では、コアの端部が一実施形態による先端キャビティの底部の上に位置するように、先端キャビティ内に延びてもよい。
【0008】
一実施形態によれば、耳栓は、近位端と、遠位端と、主外面と、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸と、を有するコアと、コアの主外面に取り付けられた音響減衰体であって、基部及び先端部を有し、コアの遠位端が、音響減衰体内に配置されており、先端部が、コアの遠位端を越えて遠位に延びている、音響減衰体と、先端部から近位に延びており、かつ遠位開口部を含む、音響減衰体の先端キャビティであって、音響減衰体によって形成された側壁及びコアの遠位端によって少なくとも部分的に形成された底部によって画定される容積を有する、先端キャビティと、を備える。先端キャビティの側壁は、長手方向軸に向かって内向きに延びる複数の突出部を有する。複数の突出部は、2個~12個の突出部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、突出部のそれぞれは、コアの遠位端に接触する近位端を有する。
【0009】
一実施形態によれば、耳栓を製造する方法は、第1の材料を含むコアの主外面の少なくとも一部分を活性化されていない発泡剤を含む第2の材料で被覆することであって、コアが、近位端と、遠位端と、主外面と、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸と、を有する、ことと、コアの遠位端及び第2の材料の少なくとも一部分を金型キャビティに挿入することと、金型キャビティ内で活性化されていない発泡剤を活性化させて、金型キャビティ内でコアの主外面に取り付けられた音響減衰体を形成することと、を含む。音響減衰体は、基部及び先端部であって、コアの遠位端が、音響減衰体内に配置されており、先端部が、コアの遠位端を越えて遠位に延びている、基部及び先端部と、先端部から近位に延びており、かつ遠位開口部を含む、音響減衰体の先端キャビティであって、音響減衰体によって形成された側壁及びコアの遠位端によって少なくとも部分的に形成された底部によって画定される容積を有する、先端キャビティと、を含む。先端キャビティの側壁は、長手方向軸に向かって内向きに延びる複数の突出部を含む。いくつかの実施形態では、ボスは、金型キャビティ内に延び、コアの第1の端部が金型キャビティに挿入されたときに、ボスは、コアの第1の端部に接触するように位置決めされる。ボスは、金型の基部から軸方向に延びるカップと、先端キャビティの突出部を形成するためのカップ上の複数の切り欠きと、を含んでもよい。
【0010】
上述の概要は、一実施形態による耳栓及び耳栓を製造する方法の各実施形態又は全ての実装形態を説明することを意図していない。むしろ、本発明のより完全な理解は、添付の図を考慮して以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」を参照することによって明らかになり、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態による、先端キャビティを含む押し嵌め式耳栓の斜視図である。
【
図2】先端キャビティを含む耳栓の端部から取られた
図1の耳栓の端面図である。
【
図3】
図2の線3-3に沿って取られた
図1の耳栓の断面図である。
【
図4】耳栓の一部分が切り取られた状態の、
図1の耳栓の斜視図である。
【
図5B】
図5Aの線B-B及び線C-Cそれぞれに沿って取られた、
図1の耳栓の断面図である。
【
図5C】
図5Aの線B-B及び線C-Cそれぞれに沿って取られた、
図1の耳栓の断面図である。
【
図6】代替の実施形態による、先端キャビティを含む押し嵌め式耳栓の斜視図である。
【
図7】先端キャビティを含む耳栓の端部から取られた
図6の耳栓の端面図である。
【
図8】
図7の線7-7に沿って取られた
図6の耳栓の断面図である。
【
図9】耳栓の一部分が切り取られた状態の、
図6の耳栓の斜視図である。
【
図10】一実施形態による耳栓を製造する方法の例示的な一実施形態の中間状態における、コア及び外層を含むプリフォームの例示的な一実施形態の斜視図である。
【
図11】一実施形態による製造プロセスの例示的な一実施形態の概略図である。
【
図12A】一実施形態による耳栓を製造するための金型を使用する方法の例示的な一実施形態の断面図である。
【
図12B】一実施形態による耳栓を製造するための金型を使用する方法の例示的な一実施形態の断面図である。
【
図13】
図1の耳栓を作製するための金型部品の斜視図である。
【
図14】
図6の耳栓を作製するための金型部品の斜視図である。
【
図15】代替の実施形態による、先端キャビティを含む押し嵌め式耳栓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、耳栓に関し、より具体的には、耳栓の遠位端に快適性キャビティ(例えば、先端キャビティ)を含む押し嵌め式耳栓に関する。
【0013】
「金型」という用語は、中空形状に配置された構成要素に形状を付与してもよく、又は付与しなくてもよい中空形状を意味する。
【0014】
「熱結合された」という用語は、2つの材料又は表面の分子が、溶融相にあるときに他方の材料又は表面に拡散して、それにより結合が形成された状態を意味する。化学結合は、存在しない、又は熱結合された材料若しくは表面の間の一次結合源を提供しない。
【0015】
用語「熱可塑性樹脂」は、繰り返し加熱及び再成形することができ、冷却時にその形状を保持するポリマーを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprises)」及びその変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲に記載されている場合、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記載されたある1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを意味し、いかなる他の工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も排除されないことを意味するものと理解される。「からなる(consisting of)」により、この語句「からなる」に続くいかなるものも包み、これらに限定されることを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」により、この語句の後に列挙されるいかなる要素も含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意に含まれ、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい、又は、しなくてもよいことを意味する。
【0017】
「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、一定の状況下で一定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0018】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」等の用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例が使用され得る一般的な部類を含むことを意図するものである。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0019】
本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、全ての数は、用語「約」によって修飾されるものとみなされ、特定の状況では、好ましくは、用語「正確に」によって修飾されるものとみなされる。測定された量に関して本明細書で使用されるとき、用語「約」とは、当業者によって、測定を行い、測定の目的及び用いた測定機器の精度に見合う程度の注意を払って予想され得る、測定された量のばらつきを指す。本明細書において、「最大」数字(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0021】
本明細書で使用されるとき、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0022】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」などの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所にこのような語句が記載されている場合、必ずしも、本発明の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0023】
近位、遠位、左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対的な用語は、説明を簡略化するために本開示で使用されることがあるが、本発明の範囲をいかなる方法でも限定するものではない。左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの用語は、特定の図面において見られる視点からのものである。
【0024】
用語「小断面寸法」及び「小半径」は、本明細書では、物体の最小断面寸法/半径を指すために使用され、最小の断面寸法/半径は、断面寸法/半径が測定されている平面内の物体の中心を通過する/中心からの最短の長さである。
【0025】
用語「主断面寸法」及び「大半径」は、本明細書では、小断面寸法/半径と同じ平面内にある物体の寸法を指すために使用される。主断面寸法及び大半径は、小断面寸法及び小半径それぞれよりも大きい。
【0026】
本開示は、ユーザの聴覚保護を提供する耳栓、及び耳栓を製造する方法に関する。1つ以上の実施形態では、耳栓は、比較的軟質の外層によって直接又は間接的に被覆された比較的剛性のコアを含む。外層は、ユーザの外耳道に挿入することができる圧縮性音響減衰体を形成する。耳栓はまた、コアの上に比較的軟質の外層を含んでもよいステム部分を含んでもよく、ステム部分は、耳栓の挿入及び取り外しの間にユーザによって把持されることが意図されている。1つ以上の実施形態では、音響減衰体が圧縮される又は「丸められる」ことを最初に必要とすることなく、耳栓を外耳道に挿入することができる。
【0027】
耳栓を製造する方法の1つ以上の実施形態もまた説明される。1つ以上の実施形態では、方法は、耳栓を製造する困難さ及び/又はコストを低減することができる。方法は、コアなどの基材を、活性化されていない発泡剤を含む外層で被覆することと、外層の少なくとも一部分が所望の形状に膨張するように、発泡剤を活性化することと、を含んでもよい。この方法は、外層の膨張中にボス又はピンを使用して、耳栓の先端部の内側にキャビティを形成することを更に含んでもよい。
【0028】
図1~
図4は、押し嵌め式耳栓100の例示的な一実施形態を示す。耳栓100は、第1の材料で作製され、かつ近位端及び遠位端111及び112(それぞれ)を有するコア110を含む。近位端111は、耳栓100のステム部分124内に延び、遠位端112は、耳栓100の音響減衰体120内に延びる。耳栓100は、第2の材料で作製され、かつコア110の外側主表面の少なくとも一部分に直接的又は間接的に結合された外層を更に含む。第2の材料の外層は、音響減衰体120を形成するために使用してもよく、また、音響減衰体120から延びるステム部分124の外層127を形成するために使用してもよい。
【0029】
音響減衰体120は、ユーザの外耳道に少なくとも部分的に挿入されて、外耳道への音の通過を減衰させるように構成されている。必ずしも必要ではないが、ステム部分124は、1つ以上の実施形態では、音響減衰体120よりも小さい直径を有してもよい。耳栓100を外耳道に挿入する間、ステム部分124は、ユーザによって把持することができるハンドルとして機能する。耳栓100、具体的には音響減衰体120を、ユーザの耳に近接させて、外耳道に挿入する。音響減衰体120は、配置される際に圧縮され、コア110は、挿入を容易にするのに十分な剛性を提供する。使用中、音響減衰体120は、実質的に外耳道内に配置されて、音の通過を阻止し、ステム部分124は、外耳道から外向きに延びて、耳栓を取り外すためのハンドルを提供する。
【0030】
図1~
図9に示す耳栓100、100’などの耳栓の1つ以上の実施形態では、音響減衰体120は、先端部121及び基部122を含む。音響減衰体120の先端部121は、基部122及びコア110の遠位端112から遠位に延びる。コア110は、1つ以上の実施形態(
図1~
図9に示すものなど)では、音響減衰体120内に延びてもよい。
【0031】
耳栓の1つ以上の実施形態は、音響減衰体120の基部122が音響減衰体120の先端部121よりも広い音響減衰体120を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、幅は、コア110の近位端111及び遠位端112を通って延びる長手方向軸11を横断する寸法で測定される。
【0032】
耳栓の1つ以上の実施形態では、音響減衰体120は、音響減衰体120の基部122から近位にかつ外向きに延びるフランジ125を含んでもよい。フランジ125は、音響減衰体120に形成されたフランジキャビティ126によって形成してもよい。1つ以上の実施形態では、フランジキャビティ126は、音響減衰体120の先端部121から離れて下向きに開口するものとして説明してもよい。結果として、フランジ125は、音響減衰体120から本質的に片持ちされている。
【0033】
一実施形態による耳栓の音響減衰体は、音響減衰体120の先端部121から底部133に向かって延びる先端キャビティ130を含む。先端キャビティ130は、1つ以上の実施形態では、耳栓100が外耳道内に前進し、かつ/又はその内部に存在するときに、音響減衰体120の周囲の材料が潰れることができる容積を提供してもよい。コア110の遠位端112は、先端キャビティ130内に陥没しており、これにより、音響減衰体120が外耳道に挿入される、かつ/又は外耳道内に存在するときに、ユーザがコアの遠位端112を感じる可能性を低減することができる。1つ以上の実施形態では、コア110の遠位端112の全て又は一部分は、先端キャビティ130内に露出してもよい。1つ以上の代替の実施形態では、コア110の遠位端112は、音響減衰体120を形成するために使用される材料の層によって部分的に又は完全に被覆してもよい。
【0034】
先端キャビティ130及びコア110の遠位端112の例示的な実施形態は、(例えば、
図2に見られるような)円形断面形状を有するものとして示されているが、1つ以上の代替の実施形態では、一実施形態による耳栓に使用される先端キャビティ及び/又はコアの近位端は、任意の好適な形状、例えば、六角形、五角形、八角形、三角形、正方形などを有してもよい。
【0035】
先端キャビティ130は、深さD130と、音響減衰体によって形成された側壁135及びコア110の遠位端112によって少なくとも部分的に形成してもよい底部133によって画定される容積V130と、を有する。一実施形態によれば、先端キャビティの側壁135は、
図1~
図9に示すように、先端キャビティの中心に向かって内向きに(長手方向軸11に向かって)延びる複数の突出部30を画定する。
【0036】
これらの図は、4つの突出部30を有する実施形態を示しているが、先端キャビティ130は、2~12、3~10、又は4~8個の突出部30などの、奇数及び偶数を含む、任意の好適な数の突出部30を含んでもよい。
【0037】
突出部30は、近位端31及び遠位端32を有し、近位端31は、先端キャビティ130の底部133に、又はそれに隣接して配置され、長さL30は、近位端31と遠位端32との間に延びる。突出部30は、各支柱の長さが長手方向軸11を有する平面内に延びるように、支柱を画定してもよい。突出部30は、突出部30の遠位端32が近位端31よりも一緒に接近することができるように、内向きに角度付けしてもよい。
【0038】
複数の突出部30は、音響減衰体120と一体成形してもよく、音響減衰体120の一部分を形成してもよい。いくつかの実施形態では、突出部30は、先端キャビティ130の底部133から遠位に延びる。例えば、突出部30の近位端31は、コア110の遠位端112と接触してもよい。各突出部30の近位端31は、コア110の遠位端112に熱結合してもよい。各突出部30の近位端31はまた、化学的に(例えば、共有結合によって)又は表面結合によって(例えば、双極子相互作用、ファンデルワールス力、又は水素結合によって)コア110の遠位端112に結合してもよい。
【0039】
長手方向軸11に垂直な断面平面で見たとき(
図5A~
図5Cを参照)、先端キャビティ130は、第1の断面平面(
図5B)における第1の断面積A131と、第2の断面平面(
図5C)における第2の断面積A132と、を有する。第1の断面平面は、先端キャビティ130の底部133の少なくとも一部を形成してもよい、コア110の遠位端112にある、又はそれに隣接する線に沿って取られる。第2の断面平面は、先端キャビティ130の遠位開口部134にある、又はそれに隣接する線に沿って取られる。
【0040】
ここで
図5Bを参照すると、先端キャビティ130は、第1の断面平面内で、先端キャビティ130の中心(長手方向軸11)から突出部30の頂点33まで延びる小半径R33を有する。先端キャビティ130はまた、中心から隣接する2つの突出部30の間の壁135まで延びる大半径R135を有する。先端キャビティ130はまた、この平面内の先端キャビティの最大断面寸法として決定される第1の主断面寸法D131を有する。例えば、いくつかの実施形態では(例えば、偶数の突出部が存在する場合)、第1の主断面寸法D131は、大半径R135の2倍として決定してもよい。いくつかの実施形態では、小半径R33は、大半径R135の約15%~約85%、約20%~約75%、又は約25%~約65%である。
【0041】
図5Cに示す第2の断面平面では、先端キャビティ130は、その平面内での先端キャビティ130の最大断面寸法として決定される第2の主断面寸法D132を有する。いくつかの実施形態では、第1の主断面寸法D131は、第2の主断面寸法D132よりも大きい。例えば、第2の主断面寸法D132は、第1の主断面寸法D131の約5~約80%、約10~約60%、又は約20~約50%であってもよい。
【0042】
先端キャビティ130の底部133の一部分を形成することができるコア110の遠位端112は、断面寸法D112を有する。例えば、コア110の遠位端112は、先端キャビティ130の底部133の第1の部分を形成してもよく、音減衰部分120は、底部133の第2の部分を形成してもよい。コアの遠位端112の一部分又は全ては、先端キャビティ130の底部133で露出され(例えば、見え)てもよい。更に、コアの遠位端112は、音減衰部分120によって形成された底部133の第2の部分を越えて遠位に延びてもよい。更に、コア110の遠位端112は、凸状の湾曲面などの非平面状遠位面を有してもよい。コア110は、コア110の近位端111と遠位端112との間の任意の位置で均一であってもよい、又はコア110の長さに沿って変化してもよい(例えば、一方の端部で他方よりも狭くてもよい)、断面を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、コア110の遠位端112の断面寸法D112は、先端キャビティ130の第1の主断面寸法D131よりも小さい。例えば、断面寸法D112は、第1の主断面寸法D131の約50%以上、又は第1の主断面寸法D131の約70%以上、約80%以上、若しくは約90%以上であってもよい。いくつかの実施形態では、断面寸法D112は、第1の主断面寸法D131の最大100%、最大110%、又は最大120%であってもよい。コア110の遠位端112の断面寸法D112はまた、先端キャビティ130の第2の主断面寸法D132よりも大きく(すなわち、先端キャビティ130の遠位開口部のサイズよりも大きく)てもよい。
【0044】
先端キャビティ130は、底部133の最近位点から遠位開口部134まで長手方向軸11に平行に延びる深さD130を有する。深さD130は、約2.5~約10mm、約3.8~約8.3mm、又は約4.7~約6.3mmの範囲であってもよい。音響減衰体120は、軸方向長さL120を有し、先端キャビティ130の深さD130は、音響減衰体120の軸方向長さL120の約10~約65%、約20~約60%、又は約30~約50%の範囲であってもよい。
【0045】
音響減衰体120は、音響減衰体120を構成する材料によって占有される容積として画定される容積を有する。いくつかの実施形態では、先端キャビティ130は、音響減衰体120の容積の約1~約10%、約2~約7、又は約3~約5%である容積V130を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、先端キャビティ130内に配置された突出部30は、先端キャビティ130の底部133から先端キャビティ130の遠位開口部134まで延びる長さL30を有する。複数の突出部130は、先端キャビティ130の遠位開口部134を通して見えてもよい。
図6~
図9に示す代替の実施形態では、突出部30’は、遠位開口部134に向かう方向の一部にのみ延び、先端キャビティ130の深さD130よりも短い長さL30’を有する。例えば、
図6~
図9に示す代替の実施形態では、長さL30’は、先端キャビティ130の深さD130の約14~約95%、約16~約80%、約18~約60%、又は約20~約50%であってもよい。
【0047】
一実施形態によれば、突出部30は、先端キャビティ130内の容積を占有する。突出部を有さない同じ先端キャビティと比較した場合、複数の突出部30は、複数の突出部を有さずに測定された先端キャビティ130の容積の約5~約60%、約7~約55%、約15~約55%、又は約25~約60%を占有する。複数の突出部を有さずに測定された先端キャビティの容積は、約0.02cm3~約0.2cm3、又は約0.04cm3~約0.1cm3の範囲であってもよい。
【0048】
音響減衰体120の具体的な外側形状は、特に限定されず、
図1~
図9に示す例示的な実施形態は、本開示による耳栓に潜在的に好適な形状の例に過ぎない。例えば、音響減衰体120の形状は、幾分尖っていてもよく、又は幾分丸みを帯びていてもよく、音響減衰体120の外面の側面は、幾分角度が付けられていてもよい。
【0049】
図15に示す耳栓200の別の変形例は、コア210が、近位端211と遠位端212との間のコア210を通って延びるチャネル213を含むものである。コア210は、音響減衰体220と同じ材料を含んでもよい外層227によって包囲してもよい。チャネル213は、先端キャビティ230の底部233を通って延びて、先端キャビティ230内に開いていてもよい。突出部20及びチャネル213は、突出部20が遠位端212においてチャネル213を取り囲むコア材料と接触するように、サイズ決めされ、配置してもよい。耳栓200は、そうでなければ、先端部221及び基部222、並びに任意選択的にフランジ225及びフランジキャビティ226を有する音響減衰体220を含む、上記の実施形態と同様であってもよい。耳栓を通過するチャネルを含む実施形態による耳栓は、受信機又は通信システムの構成要素を耳栓に取り付けることができるように製造してもよい。あるいは、又は加えて、チャネル(例えば、チャネル213など)は、所望の形状を有する減衰曲線を提供するために、1つ以上のフィルタ又は他の受動聴覚要素を収容することができる。例えば、チャネル213内に配置されたフィルタは、爆発、発砲などによって生成される高レベルインパルスの非線形減衰を引き起こすことができる。一実施形態による耳栓の1つ以上の実施形態に提供されるチャネルはまた、第1及び第2の耳栓を接合することができる、又は半聴覚性聴覚保護具内にヘッドバンドの端部を取り付けることができるように、コードを取り付けることができる凹部を提供してもよい。
【0050】
コア110及び音響減衰体120は、任意の好適な材料から構築してもよい。コア110は、第1の材料で構築してもよく、音響減衰体120は、第2の材料で構築してもよい。第2の材料は、第1の材料と異なっていてもよく、かつ/又は第1の材料とは異なる発泡度を有してもよい。
【0051】
コア材料は、上に材料の外層を提供することができ、かつユーザの外耳道への耳栓の挿入を容易にすることができる、基材を提供するように選択してもよい。
図1~
図9に示す例示的な実施形態では、コア110は、音響減衰体120(図示の実施形態では、ステム部分124の外層127)を形成するために使用される第2の材料よりも高い硬さ又は剛性を呈する第1の材料で作製されているが、ユーザにとって快適かつ安全であるのに十分に柔らかい。1つ以上の実施形態では、コア110の第1の材料は、音響減衰体120及びステム部分124の外層127を形成するために使用される材料と異なっていてもよい。1つ以上の代替の実施形態では、コア110の第1の材料は、化学的に同じ材料であってもよいが、第1の材料と第2の材料との間で異なる剛性をもたらす(例えば、密度、硬度などによって)ように形成又は提供してもよい。
【0052】
コア材料は、十分に剛性のステム部分124を提供することができ、それにより、耳栓100は、最初に音響減衰体120を圧縮する又は「丸める」必要なく、少なくとも部分的にユーザの耳の中に配置してもよい。1つ以上の実施形態では、コア110はまた、配置されたときにわずかに変形して外耳道の輪郭に追従することができるように、適切なレベルの可撓性を呈してもよい。
【0053】
コア110は、音響減衰体120を形成するために使用される材料に好適に結合し、そうでなければ適合することができる1つ以上の材料から作製してもよい。1つ以上の実施形態では、コア110は、熱可塑性樹脂を含む第1の材料から作製される。好適な例示的な材料としては、ポリプロピレンのホモポリマー及びコポリマー、並びにS&E Specialty Polymers,LLC(Lunenburg,MA)から入手可能なTUFPRENE(商標)などのポリプロピレンとスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)とのブレンドが挙げられる。他の潜在的に好適な材料としては、Exxon Mobil Corporation(Irving,TX)から入手可能なSANTOPRENE(商標)101-90、及び、耳栓100の音響減衰体120をユーザの外耳道に容易に挿入することができるように適切な剛性を呈する他の材料が挙げられる。
【0054】
コア材料は、コア110が所望の剛性を呈するように選択してもよい。例えば、材料は、指定された曲げ弾性率を有するように選択することができる。特定の実施形態では、コア110の少なくとも一部分は、約0.3~約4GPaの曲げ弾性率を有する。所望の硬度は、コア110が所望の剛性を呈するようにコア110の寸法に依存し得る。コア110の例示的な実施形態は、単一の材料のみを示しているが、一実施形態による耳栓に使用されるコアの1つ以上の代替の実施形態は、1つ以上の所望の特性を提供するために複数の層を含んでもよい。
【0055】
音響減衰体120は、材料内に形成された又は含まれる複数のセルを含むセルラ材料(例えば、発泡体)を含むことができる第2の材料で構築してもよい。同じ材料はまた、一実施形態による耳栓のステム部分の外層を形成してもよい。セルは、気体(例えば、空気)を含有してもよく、任意の好適な方法によって形成してもよい。
【0056】
第2の材料は、柔軟かつ曲げやすい発泡体、ゴム、ポリマー、又はユーザの外耳道内に快適に配置することができる他の好適な材料であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の材料は、当初、耳栓の作製中に音響減衰体を形成するために発泡される材料の予混合物である。同じ材料はまた、ステムの一部分(例えば、外層)を形成してもよい。ステム部分は、より低い程度(すなわち、より高い密度)に発泡してもよく、又は全く発泡されなくてもよい。第2の材料に好適な材料の例としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、部分熱硬化剤、熱硬化性ポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、第2の材料は、Teknor Apex(Pawtket,RI)から入手可能なMONPRENE MP1900などのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)を含んでもよい。他の好適な材料としては、可塑化ポリ塩化ビニル、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、天然ゴム、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリマー、及び適切な硬度範囲を呈するように配合することができる当該技術分野において既知の他の好適な材料が挙げられる。
【0057】
1つ以上の実施形態では、第1及び第2の材料は、コアと音響減衰体に使用される材料との間の(直接的又は間接的)一次結合源が熱結合であるように選択することができる。例えば、一実施形態では、音響減衰体は、コア又はステムの外面に熱結合される。1つ以上の実施形態では、コアを音響減衰体に結合するために追加の接着剤が必要とされず、結果として、コアと音響減衰体との間に接着剤が存在しない。いくつかの実施形態では、耳栓は、接着剤を含まない。耳栓の音響減衰体は、第2の材料で構築されているものとして説明することができるが、1つ以上の実施形態では、音響減衰体は、同じ又は異なる材料(例えば、同心円状に配置してもよい)の複数の層で構築してもよい。例えば、第1の層を使用して、ユーザの外耳道と接触するための所望の特性を提供することができ、第2の層を使用して、コアとの堅固な結合を促進することができ、一方、1つ以上の追加の層を使用して、他の所望の特性を提供することができる。
【0058】
音響減衰体に用いられる第2の材料は、使用中に容易に破断又は崩壊することがないように、音響減衰体の外面の脆さを制御するように選択してもよい。耳栓の脆さは、適切な分子量を有する材料を選択することによって部分的に制御してもよく、より高い分子量は、一般により脆くない耳栓をもたらす。例示的な実施形態では、音響減衰体の外層は、ASTM D6474-99に従うなどの、当該技術分野において既知のゲル浸透クロマトグラフィー分析によって測定したときに、100,000ダルトン~200,000ダルトンの分子量を有するSEBSを含む。
【0059】
第2の材料(例えば、音響減衰体の外層)の密度は、製造中に制御されて、特定の用途に所望されるような特定の密度を提供することができる。第2の材料は、例えば、音響減衰体に使用される第2の材料がコアのより近くに位置する第2の材料よりも密度が高い一体型の外側スキンを有するように、厚さによって変化する密度を呈してもよい。そのようなスキンは、音響減衰体及びステム部分(ステム部分が、例えば、音響減衰体に使用される第2の材料の層を含む場合)の一方又は両方の上に存在してもよい。あるいは、第2の材料は、実質的に均一な密度を有してもよい。
【0060】
ステム部分が音響減衰体に使用される第2の材料の層を含む1つ以上の実施形態では、音響減衰体の第2の材料は、第1の平均密度ρ1を有してもよく、ステム部分の外層の第2の材料は、第2の平均密度ρ2を有してもよい。第1及び第2の平均密度ρ1及びρ2は、音響減衰体又はステム部分の外層の各位置における密度を平均化することによって見出すことができる。理論に束縛されるものではないが、平均密度は、外力を受けたときに縮む、又は別の方法で適合する、音響減衰体又はステム部分の外層の能力の指標を提供すると考えられる。音響減衰体の第1の平均密度ρ1は、1つ以上の実施形態では、音響減衰体が、所望のレベルの音減衰を提供しながら、ユーザの外耳道に適合することによって快適なフィット性を提供することができるように、選択してもよい。様々な例示的実施形態では、例えば発泡SEBSを含む音響減衰体内の第2の材料の第1の平均密度ρ1は、100kg/m3~300kg/m3、150kg/m3~250kg/m3である、又は約200kg/m3であってもよい。ステム部分の外層内の第2の材料の第2の平均密度ρ2は、第1の平均密度ρ1よりも大きくてもよく、様々な例示的な実施形態では、200kg/m3~400kg/m3、250kg/m3~350kg/m3である、又は約300kg/m3であってもよい。
【0061】
一実施形態による耳栓の1つ以上の実施形態は、複数の工程プロセスで形成してもよい。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される耳栓は、コアが第2の材料の外層で(直接的又は間接的に)被覆された中間状態を伴うプロセスで形成されて、プリフォームと呼ばれることがあるが、まだ音響減衰体を含まない、予め形成された聴覚保護装置をもたらすことができる。プリフォームの例示的な一実施形態を
図10に示す。プリフォーム140は、コア110の上に位置する外層142を含む。1つ以上の実施形態では、プリフォーム140の外層142は、活性化されていない発泡剤を含む。1つ以上の実施形態では、活性化されていない発泡剤は、例えば、炭化水素、又は熱若しくは他の活性化源に曝すと膨張する他の適切なガスを封入するシェルを含む、熱可塑性球体を含む膨張性球状発泡剤を含む。熱可塑性シェルの膨張は、外層142の材料の体積の増加と密度の減少をもたらす。活性化されていない発泡剤はまた、膨張性球体に内蔵されている、又はそうでなければ含有されていない膨張性材料を含む、化学発泡剤であってもよい。そのような発泡剤の活性化により、膨張性材料を膨張させて、外層の材料中に空隙又は間隙を生じさせる。
【0062】
外層142に存在する発泡剤(単数又は複数)の活性化、及び外層142の関連する膨張は、所望の形状、密度、硬度、及び他の所望の特性を呈する音響減衰体及びステム部分の外層を有する耳栓を提供するように、制御することができる。膨張性球状発泡剤及び化学発泡剤の両方の存在により、そうでなければ膨張性球状発泡剤のみが使用された場合にもたらされることになるレベルから外層の硬度を低下させると同時に、活性化中に外層を適切に形成することができるように、十分な構造及び膨張を提供するのを支援することができる。化学発泡剤によって生成されたガスの一部又は全ては、活性化後にガスの一部又は全てが外層内に存在しないように、活性化中に逃げることができる。膨張性球状発泡剤の一部又は全ては、最終耳栓が熱可塑性球体を含んでもよいように、最終耳栓の外層内に留まることができる。1つ以上の例示的な実施形態では、一実施形態による耳栓の音響減衰体及びステム部分の外層を形成する外層142に使用される材料は、音響減衰体及びステム部分の外層に形成された後に、発泡剤又は発泡剤の残余物の1重量%~10重量%を含んでもよい。
【0063】
図10に示す中間状態では、プリフォーム140は、プリフォーム140から形成されることになる耳栓の所望の長さにほぼ等しい長さを有してもよい。1つ以上の代替の実施形態では、プリフォーム140は、2つ以上の耳栓の後続の形成に十分な延長された長さを有してもよい。延長された長さを有するプリフォーム140は、後続の処理及び発泡剤の活性化のための取り扱いを容易にすることができる。1つ以上の実施形態では、プリフォーム140は、その後切断され活性化されて所望の量の耳栓を得ることができる延長された長さに切断される。延長されたプリフォーム140は、輸送又は取り扱いを容易にするために、巻かれる、又は別の方法で成形してもよい。
【0064】
一実施形態による耳栓などの個人保護装置を製造する方法は、外層でコアを被覆することと、外層の少なくとも一部分に熱を加えて、それにより、外層の少なくとも一部分が膨張して、音響減衰体、及び1つ以上の実施形態ではステム部分の外層を形成することと、を含むことができる。外層の膨張は、1つ以上の実施形態では、外層の材料中に存在する発泡剤の活性化に起因して生じてもよく、膨張前に金型内に外層の少なくとも一部分を配置することによって制御することができる。外層の一部分は、外層が膨張する際に金型の形状によって制限してもよく、又は発泡剤の活性化を制限するために熱から遮蔽される。
【0065】
一実施形態による耳栓を製造するプロセスの例示的な一実施形態の概略図を
図11に示す。図示のプロセスでは、延長されたコア110は、第1の材料を第1のダイ150を通して押し出し、第1の材料を適切な直径に延伸することによって形成される。上述のように、コアは、中実であってもよく、又はコア110の全て若しくは一部分を通って延びる長手方向チャネルを含んでもよく、異なる特性を有する1つ以上の同心層を含んでもよい。第1の材料は、製造プロセスの後続工程において安定したままであるように冷却してもよい。温度変化の大きさは、使用される材料及び最終製品の所望の特性に依存し得る。1つ以上の実施形態では、細長いコア110は、第2のダイ152によって被覆される前の時点で外層142に使用される第2の材料の活性化温度又は硬化温度よりも低い温度を呈するように、必要に応じて冷却される。外層142の第2の材料によって被覆される前に、細長いコア110は、延長された長さを有し、耳栓の所望の長さにまだ切断されていない。
【0066】
図11に示す実施形態では、細長いコア110は、第2のダイ152によって第2の材料を含む外層142で直接又は間接的に被覆される。第2のダイ152は、当該技術分野において既知の共押出ダイ又は他の好適なダイであってもよい。1つ以上の実施形態では、第2の材料は、熱可塑性樹脂及び1つ以上の活性化されていない発泡剤を含む。外層142は、活性化されていない発泡剤の活性化温度未満の温度に留まっている間に、細長いコア110に適用される。1つ以上の実施形態では、第2の材料は、SEBS及び100~205℃の活性化温度を有する発泡剤を含む。他の好適な材料としては、可塑化ポリ塩化ビニル、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、天然ゴム、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリマー、及び当該技術分野において既知の他の好適な材料を挙げることができる。外層142がゴム又は熱硬化性ポリマーを有する第2の材料を含む実施形態では、外層142は、ゴム若しくは熱硬化性ポリマーの加硫温度又は硬化温度未満の温度で適用してもよい。そのような実施形態では、外層142は、熱又は他の好適な活性化若しくは硬化プロセスを用いて、その後にそれぞれ活性化及び硬化することができる、活性化されていない発泡剤及び未硬化若しくは部分的に硬化したゴム又は熱硬化性ポリマーを含んでもよい。
【0067】
1つ以上の実施形態では、外層142は、コア110を被覆するために適用されたときに、溶融状態にある。結果として、外層142及びコア110の分子、又は1つ以上の中間層の分子は、互いの材料又は表面に拡散し、熱結合が形成されると考えられる。コア110は、第2のダイ250の代わりとして、又はそれに加えて、積層、成形、噴霧、浸漬、又は当該技術分野において既知の他の好適なプロセスによって、外層142又は1つ以上の中間層で被覆してもよい。そのような工程は、コア110が所望の長さに切断される前又は後に行なわれてもよい。使用されるプロセスにかかわらず、外層142の温度は、発泡剤(単数又は複数)が被覆プロセス中に活性化されないままであるように、発泡剤(単数又は複数)の活性化温度未満のままであるべきである。
【0068】
1つ以上の実施形態では、外層142によって被覆されたコア110は、カッター154で所望の耳栓の長さに切断される。結果は、外層142が、その後活性化されてプリフォーム140の外層142によって形成された音響減衰体及びステム部分の外層を有する耳栓を生成することができる、活性化されていない発泡剤を含む、コア110及び外層142を有するプリフォーム140である(例えば、
図1~
図9に示す耳栓100の音響減衰体120及びステム部分124を参照)。
【0069】
カッター154は、一実施形態による耳栓の所望の長さに、又は2つ以上の耳栓の後続の形成に十分な延長された長さに、プリフォーム140を切断してもよい。1つ以上の実施形態では、プリフォーム140は、その後切断され活性化されて(又はその逆も同様に)所望の量の耳栓を得ることができる延長された長さに切断される。延長されたプリフォーム140は、取り扱い又は輸送を容易にするために、巻かれる、又は別の方法で成形してもよい。
【0070】
1つ以上の実施形態では、外層142に存在する活性化されていない発泡剤は、炭化水素又は他の膨張性材料を封入する熱可塑性球体を含む。適切な量の熱を加えることにより、熱可塑性シェル及び炭化水素を膨張させる。外層142の膨張は、外層142の厚さ及び組成によって、熱、触媒、若しくは他の活性化源を選択的に適用することによって、及び/又は発泡剤が活性化される際に外層142の膨張を制限するために金型内にプリフォーム140の少なくとも一部分を配置することによって、制御することができる。
【0071】
一実施形態による耳栓の1つ以上の実施形態を製造するために使用することができる金型アセンブリ190の例示的な一実施形態を
図12A及び
図12Bに示す。金型アセンブリ190は、ステム部分170と、音響減衰体部分180と、を含む。ステム部分170及び音響減衰体部分180は、それぞれ、ステムキャビティ171及び音響減衰体キャビティ182を含む。ステムキャビティ171及び音響減衰体キャビティ182は、1つ以上の実施形態では、コア110及び外層142を含む、プリフォームの外層の膨張を制御するために使用される。ステムキャビティ171は、プリフォームの一部分を受け入れるステム部分の形態である。
図12A及び
図12Bに示すような金型アセンブリ190の例示的な実施形態などの金型アセンブリで使用されるプリフォームは、金型アセンブリ190内に配置される前に所望の耳栓の長さに切断してもよい。
【0072】
金型アセンブリ190内に配置されたプリフォームに熱が加えられて、少なくとも、外層142内に存在する発泡剤の活性化温度まで外層142の温度を上昇させ、
図12Bに示すように外層142を膨張させる。1つ以上の実施形態では、プリフォームの外層142とステムキャビティ171の内面との間に、間隙176が存在してもよい。熱又は他の好適な活性化源を適用すると、外層142の一部分が膨張して、間隙176を充填し、ステムキャビティ171の形状に実質的に適合する。1つ以上の実施形態では、ステムキャビティ171内に配置された耳栓のステム部分は、発泡剤の活性化が制限されるように、熱から効果的に遮蔽することができる。あるいは又は加えて、ステムキャビティ171は、外層142を拘束し、さもなければステムキャビティ170内のコア110の一部分の上のより大きな体積及びより低密度の外層をもたらすことになる、発泡剤の活性化によって引き起こされる膨張を実質的に抑制する。金型の拘束及び/又は発泡剤の活性化が制限されることにより、耳栓のステム部分(例えば、
図1~
図9に示すような耳栓100内のステム部分124を参照)は、同じ耳栓の音響減衰体部分よりも高い平均密度及び/又はより高い硬度を有することができる。
【0073】
例示的な金型アセンブリ190は、一実施形態による耳栓の音響減衰体の形状を提供するために使用される音響減衰体キャビティ182を含む。プリフォームの一部分が最初に音響減衰体キャビティ182内に配置されたときに、音響減衰体キャビティ182内のプリフォームの一部分は、キャビティ182の全てを占有しない。外層142内の材料は、加熱されると、軟化することができ、外層142内の発泡剤が活性化されて、外層の材料を膨張させ、音響減衰体キャビティ182を充填する。1つ以上の実施形態では、ステムキャビティ171内に配置された外層142の一部分内の材料の一部は、音響減衰体キャビティ182内に流入してもよい。1つ以上の実施形態では、金型アセンブリは、外層142内の材料が膨張する際に任意の溶融材料が通過するのを防止しながら、過剰なガスが逃げることを可能にする、1つ以上の小さなガス抜き口を含んでもよい。
【0074】
金型アセンブリは、ステムキャビティ171が音響減衰体キャビティ182の上に配置されるように向けてもよい。そのような向きでは、膨張プロセス中のステムキャビティ171から音響減衰体キャビティ182への材料の任意の流れを向上させることができる。1つ以上の実施形態では、そのような向きは、発泡剤の活性化中に形成されたセル又は間隙が、音響減衰体キャビティ182の下面から上向きにかつ離れる方向に移動する傾向があり得るため、金型アセンブリを使用して形成された耳栓の音響減衰体上の一体的なスキンの形成を促進することができる。
【0075】
一実施形態による耳栓の音響減衰体の外形を形成することに加えて、音響減衰体キャビティ182はまた、音響減衰体キャビティ182の開口部に向かって上向きに延びる、すなわち、金型アセンブリ190のステムキャビティ171に向かって延びる、ボス184を含む。ボス184は、キャビティ182の底部181から上向きに延びるものとして説明することができる。ボス184は、1つ以上の実施形態では、音響減衰体120内に先端キャビティ130を形成するために使用される。
【0076】
ボス184は、プリフォームのコア110の遠位端111を受け入れるように、いくつかの実施形態では、遠位端112を変形させるように、配置された窪み185を含んでもよい。コア110の遠位端112の変形は、遠位端112に拡大部分を生成することができる。コア110の遠位端112のその変形は、ボス184の窪み185により熱及び/又は圧力を加えることによって生じさせることができる。
【0077】
ボス184は、先端キャビティ130内に突出部30を形成する複数の切り欠き186を更に含む。切り欠き186の数、形状、及びサイズは、上述の突出部30の意図された形状及びサイズを反映する。例えば、切り欠き186は、
図1~
図4(突出部30)及び
図13(ボス184)に示すように、先端キャビティ130の底部133から先端キャビティ130の遠位開口部134まで延びる突出部30を作り出すために、ボス184の高さに延びることができる長さを有する。一方、切り欠き186’の長さは、
図6~
図9(突出部30’)及び
図14(ボス184’)に示すように、底部133から先端キャビティ130の遠位開口部134に向かう方向の一部にだけ延びる突出部30’を作り出すために、ボス184’の高さの一部にだけ延びてもよい。ボス184は、例えば、2~12、2~10、3~8、又は4~6個の切り欠き186、186’を含んでもよい。
【0078】
材料がステムキャビティ171及び音響減衰体キャビティ182の全てを占有するように外層142が膨張した後に、このように形成された耳栓は、冷却され、金型アセンブリから取り出すことができる。このように形成された耳栓は、音響減衰体キャビティ182の形状を有する音響減衰体120と、ボス184の形状を有する先端キャビティ130と、ステムキャビティ171の形状を有するステム部分124と、を含む。
【0079】
一実施形態による耳栓の1つ以上の実施形態では、耳栓は、約15mm~40mm、又は約25.5mmの長手方向軸に沿った全長を有するプリフォームから形成してもよい。1つ以上の実施形態では、プリフォームの外層142は、約2.5mm~7.5mm、又は約5.5mmの外径を有してもよい。プリフォームの1つ以上の実施形態では、コアは、約1.5mm~3.5mm、又は約2.5mmの外径を有してもよい。コアがそれを通って形成されたチャネルを有するそれらの実施形態では、チャネルは、約1.0mm~2.0mm、又は約1.5mmの直径を有することができる。
【0080】
上述のようにプリフォームの外層142を活性化させた後に、このように製造された耳栓は、約15mm~40mm、又は約25.5mmの音響減衰体120の先端部とステム部分124の反対側の端部との間の長手方向軸に沿って測定される全長Lを有してもよい。1つ以上の実施形態では、一実施形態による耳栓の音響減衰体120は、約10mm~20mm、又は約15mmの、その最も広い点での外径(耳栓の長手方向軸に対して横方向に測定される)を有してもよい。1つ以上の実施形態では、ステム部分124は、約3mm~10mm、又は約6.5mmの直径(耳栓の長手方向軸に対して横方向に測定される)を有してもよい。1つ以上の実施形態では、コアは、約1.5mm~3.5mm、又は約2.5mmの外径(耳栓の長手方向軸に対して横方向に、かつ先端キャビティの底部の下で測定される)を有してもよい。コア内に設けられる場合、チャネルは、約1.0mm~2.0mm、又は約1.5mmの直径(耳栓の長手方向軸に対して横方向に測定される)を有してもよい。一実施形態による耳栓を製造するために使用されるプリフォーム及び耳栓自体の寸法は、音響減衰体及び/又はコアを形成するために使用される材料に基づいて変化させることができる。
【0081】
本明細書に記載される耳栓100はまた、本明細書に記載される方法の変形及び他の方法に従って作製してもよい。例えば、一実施形態による耳栓は、発泡剤が活性化される際に外層で比較的より剛性の細長いコアを被覆すること、又は以前に発泡された外層で比較的より剛性の細長いコアを被覆することによって作製してもよい。発泡された外層は、その後切断、圧縮、高密度化、又は別の方法で成形して、ステム部分を有する外層と、内部に配置された先端キャビティを有する音響減衰体とを形成してもよい。
【0082】
本明細書に記載される耳栓の例示的な実施形態は、ステム部分の少なくとも外層にも使用され、それと一体成形される材料で作製された音響減衰体を含むが、一実施形態による耳栓の1つ以上の代替の実施形態は、任意の好適な技術によって作製することができる。1つ以上の代替の実施形態では、一実施形態による耳栓は、その後に組み立てられ、かつ/又は互いに取り付けられて、完全な耳栓を形成する、複数の部品で製造することができる。例えば、音響減衰体及びステム部分は、別々に構築され、次いで一緒に組み立てられ、溶接(音波、熱、化学など)、接着剤、締まりばめ、機械的接続(ねじ接続、機械的締結具など)などの、取り付けの任意の好適な技術又は取り付けの組み合わせによって取り付けてもよい。
【0083】
「Method of Making an Earplug」と題された米国特許第8,968,613号(Endleら)、及び米国特許第9,549,855号(Hamerら)は、押し嵌め式耳栓などの個人保護装置を製造する方法、及び一実施形態による耳栓を製造するために一部かつ/又はいくつかの修正とともに使用することができるこれらの方法に使用される材料を記載している。
【0084】
一実施形態による耳栓及び耳栓を製造する方法は、1つ以上の実施形態では、1つ以上の利益を提供することができる。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載される耳栓は、所望のレベルの聴覚保護を提供するためにユーザの外耳道に快適に配置することができ、耳栓内のより剛性の細長いコアの存在は、挿入前に音響減衰体を丸める必要性を排除することによって、衛生を促進し、かつ/又は挿入時間を低減することができる。先端キャビティの存在は、1つ以上の実施形態では、挿入時に先端キャビティを取り囲む音響減衰体の1つ以上の部分が内向きに潰れることを可能にし、したがって、本明細書に記載される耳栓がユーザの外耳道に適合する能力を場合により高めることができる。先端キャビティ内の複数の突出部の存在は、1つ以上の実施形態では、音響減衰体の内部に配置された剛性のコアをユーザが感じ得る可能性を低減することができる。
【0085】
例示的な実施形態
実施形態1は、耳栓であって、
近位端と、遠位端と、主外面と、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸と、を有するコアと、
コアの主外面に取り付けられた音響減衰体であって、基部及び先端部を有し、コアの遠位端が、音響減衰体内に配置されており、先端部が、コアの遠位端を越えて遠位に延びている、音響減衰体と、
先端部から近位に延びており、かつ遠位開口部を含む、音響減衰体の先端キャビティであって、音響減衰体によって形成された側壁及びコアの遠位端によって少なくとも部分的に形成された底部によって画定される容積を有し、
先端キャビティの側壁が、長手方向軸に向かって内向きに延びる複数の突出部を有する、先端キャビティと、
を備える、耳栓である。
【0086】
実施形態2は、複数の突出部が、2~12、3~10、又は4~8個の突出部を含む、実施形態1に記載の耳栓である。
【0087】
実施形態3は、複数の突出部が、3~6個の突出部を含む、実施形態1又は2に記載の耳栓である。
【0088】
実施形態4は、突出部のそれぞれが、コアの遠位端に接触する近位端を有する、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0089】
実施形態5は、複数の突出部のそれぞれが、コアの遠位端に熱結合されている、実施形態1に記載の耳栓である。
【0090】
実施形態6は、複数の突出部が、音響減衰体と一体成形されている、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0091】
実施形態7は、複数の突出部のそれぞれが、先端キャビティの底部から遠位に延びている、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0092】
実施形態8は、複数の突出部が、支柱を画定し、各支柱が、長手方向軸を有する平面内で個別に延びている、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0093】
実施形態9は、先端キャビティが、長手方向軸に垂直な平面において、突出部の頂点に小半径、及び隣接する突出部の間で大半径を有し、小半径が、大半径の約15~約85%、約20~約75%、又は約25~約65%である、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0094】
実施形態10は、先端キャビティが、コアの遠位端にある平面において第1の主断面寸法を、遠位開口部に隣接する平面において第2の主断面寸法を有し、第1の主断面寸法が、第2の主断面寸法よりも大きい、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0095】
実施形態11は、第2の主断面寸法が、第1の主断面寸法の約5~約80%、約10~約60%、又は約20~約50%である、実施形態10に記載の耳栓である。
【0096】
実施形態12は、コアの遠位端が、先端キャビティの、第1の主断面寸法よりも小さく、かつ第2の主断面寸法よりも大きい、コア断面寸法を有する、実施形態10に記載の耳栓である。
【0097】
実施形態13は、コア断面寸法が、先端キャビティの第1の主断面寸法の約50~約120%、約70~約110%、又は約80~100%である、実施形態12に記載の耳栓である。
【0098】
実施形態14は、コアの遠位端の一部分が、先端キャビティの底部で露出している、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0099】
実施形態15は、コアの遠位端が、先端キャビティの底部の第1の部分を形成し、音響減衰体が、底部の第2の部分を形成し、第1の部分が第2の部分を越えて遠位に延びている、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0100】
実施形態16は、先端キャビティが、底部の最近位点から遠位開口部まで延びる深さを有し、深さが、約2.5~約10mm、約3.8~約8.3mm、又は約4.7~約6.3mmの範囲である、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0101】
実施形態17は、音響減衰体が、軸方向長さを有し、先端キャビティが、先端キャビティの底部の最近位点から遠位開口部まで延びる深さを有し、深さが、音響減衰体の軸方向長さの約10~約65%、約20~約60%、又は約30~約50%の範囲である、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0102】
実施形態18は、複数の突出部のそれぞれが、先端キャビティの遠位開口部まで延びる長さを有する、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0103】
実施形態19は、複数の突出部が、先端キャビティの遠位開口部を通して可視である、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0104】
実施形態20は、コアの遠位端が、非平面状の遠位面を含む、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0105】
実施形態21は、先端キャビティが、底部の最近位点から遠位開口部まで延びる深さを有し、複数の突出部のそれぞれが、先端キャビティの深さの約14~約100%、約15~約95%、約16~約80%、約18~約60%、又は約20~約50%延びる長さを有する、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0106】
実施形態22は、複数の突出部が、複数の突出部を除いて測定された先端キャビティの容積の約5~約60%、約7~約55%、約15~約55%、又は約25~約60%の範囲の全容積を有する、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0107】
実施形態23は、コアが、第1の材料で作製されており、音響減衰体が、第2の材料で作製されており、第1の材料が、第2の材料とは異なる、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0108】
実施形態24は、コアが、第1の発泡度を有する第1の材料で作製されており、音響減衰体が、第2の発泡度を有する第2の材料で作製されており、第1の材料が、第2の材料とは異なる、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0109】
実施形態25は、音響減衰体が、コアの外側主表面の少なくとも一部分に熱結合されている、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0110】
実施形態26は、耳栓が、接着剤を含まない、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0111】
実施形態27は、コアが、第1の発泡度を有する第1の材料で作製されており、音響減衰体が、第2の発泡度を有する第2の材料で作製されており、第1の材料が、第2の材料と同じである、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0112】
実施形態28は、第1の材料が、熱可塑性樹脂を含む、実施形態23に記載の耳栓である。
【0113】
実施形態29は、第2の材料が、熱可塑性樹脂、部分熱硬化剤、熱硬化性ポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態23に記載の耳栓である。
【0114】
実施形態30は、音響減衰体が、音響減衰体を構成する材料によって占有される容積として画定される容積を有し、先端キャビティの容積が、音響減衰体の容積の約1~約10%、約2~約7、又は約3~約5%である、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0115】
実施形態31は、コアが、コアの近位端と遠位端との間の任意の位置において均一な断面を有する、上記実施形態のいずれかに記載の耳栓である。
【0116】
実施形態32は、耳栓を製造する方法であって、方法が、
第1の材料を含むコアの主外面の少なくとも一部分を活性化されていない発泡剤を含む第2の材料で被覆することであって、コアが、近位端と、遠位端と、主外面と、近位端から遠位端まで延びる長手方向軸と、を有する、ことと、
コアの遠位端及び第2の材料の少なくとも一部分を金型キャビティに挿入することと、
金型キャビティ内の活性化されていない発泡剤を活性化させて、金型キャビティ内でコアの主外面に取り付けられた音響減衰体を形成することと、を含み、ただし、音響減衰体が、
基部及び先端部であって、コアの遠位端が、音響減衰体内に配置されており、先端部が、コアの遠位端を越えて遠位に延びている、基部及び先端部と、
先端部から近位に延びており、かつ遠位開口部を含む、音響減衰体の先端キャビティであって、音響減衰体によって形成された側壁及びコアの遠位端によって少なくとも部分的に形成された底部によって画定される容積を有し、
先端キャビティの側壁が、長手方向軸に向かって内向きに延びる複数の突出部を含む、先端キャビティと、を備える、
方法である。
【0117】
実施形態33は、ボスが、金型キャビティ内に延び、コアの第1の端部が金型キャビティに挿入されたときに、ボスが、コアの第1の端部に接触するように位置決めされる、実施形態32に記載の方法である。
【0118】
実施形態34は、ボスが、金型の基部から軸方向に延びるカップを含む、実施形態33に記載の方法である。
【0119】
実施形態35は、カップが、複数の切り欠き、例えば、2~12、2~10、3~8、又は4~6個の切り欠きを含み、第2の材料が、切り欠き内に流れて、突出部を形成する、実施形態34に記載の方法である。
【0120】
実施形態36は、方法が、ボスを使用してコアの遠位端を変形させることを更に含む、実施形態33に記載の方法である。
【0121】
実施形態37は、方法が、金型キャビティ内でコアの第1の端部を変形させることを更に含む、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法である。