(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】耳栓組立品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 11/12 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A61F11/12 100
(21)【出願番号】P 2020511983
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2018056647
(87)【国際公開番号】W WO2019043626
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エリー,ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ティーターズ,ケネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】コフィン,ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】サイ,フェン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-501130(JP,A)
【文献】特表2013-517653(JP,A)
【文献】特表平11-514560(JP,A)
【文献】米国特許第05668354(US,A)
【文献】特表2016-537937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/12
H04R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳栓組立品の製造方法であって、前記耳栓組立品は、
第1の耳栓と、第2の耳栓と、第1の端部及び第2の端部並びに前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長さを有するコードと、を備え、各耳栓は、
近位端及び遠位端並びに前記近位端から前記遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、
前記ステムの前記遠位端に配置された音響減衰体と、
を備え、
前記方法は、
前記耳栓の前記ステムの前記近位端内の深さまでホットチップを挿入してコードキャビティを形成することであって、前記ステムは、第1の溶融温度を有する第1の材料を含み、前記コードは、第2の溶融温度を有する第2の材料を含み、前記ホットチップは、前記第1及び第2の溶融温度以上の温度を有する、ことと、
前記ステムから前記ホットチップを取り外すことと、
前記コードの前記第1又は前記第2の端部を前記コードキャビティに挿入することと、
によって、
前記コードの前記第1及び第2の端部をそれぞれ、前記第1及び第2の耳栓に
熱結合することを含
み、
前記コードの前記第1又は第2の端部を前記コードキャビティに挿入することにより、前記コードの前記端部の一部が溶融し、2つの材料が、結合が形成されるように、溶融相にあるときに他方の材料に拡散させる、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記コードキャビティ内に前記コードの前記端部のボールソケットアタッチメントを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料の溶融温度は、前記第1の材料の溶融温度より50℃以上低い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の材料は、約0.3~約12GPaの曲げ弾性率を有する剛性の熱可塑性材料から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料
が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、又はこれらの混合物を含む、又は
前記第2の材料が、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の材料は、約25~約90のタイプAショア硬度を有する可撓性熱可塑性材料から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ホットチップは、約175~約425℃の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ホットチップは、前記ステムの前記近位端内に約2~約10mmの深さまで挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
耳栓組立品であって、
それぞれが、
近位端及び遠位端並びに前記近位端から前記遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、
前記ステムの前記遠位端に配置された音響減衰体と、
を有する第1の耳栓及び第2の耳栓と、
第1の端部及び第2の端部並びに前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長さを有するコードであって、前記第1及び第2の端部が、前記第1及び第2の耳栓の前記ステムの前記近位端に熱結合されており、かつ前記近位端内のある深さまで延びる、コードと、
を備え、
熱結合とは、2つの材料が、結合が形成されるように、溶融相にあるときに他方の材料に拡散した状態をいい、
前記ステムは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、及びこれらの混合物から選択される第1の材料を含み、
前記コードは、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、及びこれらの混合物から選択される第2の材料を含む、耳栓組立品。
【請求項10】
前記ステムへの前記コードの取り付けには、接着剤が使用されていない、請求項
9に記載の耳栓組立品。
【請求項11】
前記第1の材料が、ポリプロピレン、ナイロン、又はこれらの組み合わせを含む、又は、前記第2の材料が、エチレンビニルアセテート(EVA)である、請求項
9に記載の耳栓組立品。
【請求項12】
耳栓組立品であって、
それぞれが、
近位端及び遠位端並びに前記近位端から前記遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、
前記ステムの前記遠位端に配置された音響減衰体と、
を有する第1の耳栓及び第2の耳栓と、
第1の端部及び第2の端部並びに前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる長さを有するコードであって、前記第1及び第2の端部が、前記第1及び第2の耳栓の前記ステムの前記近位端に熱結合されており、かつ熱結合によって前記近位端内にある深さまで延びる、コードと、
を備え、
熱結合とは、2つの材料が、結合が形成されるように、溶融相にあるときに他方の材料に拡散した状態をいい、
前記ステムは、第1の溶融温度を有する第1の熱可塑性材料を含み、前記コードは、前記第1の溶融温度よりも少なくとも30℃低い第2の溶融温度を有する第2の熱可塑性材料を含む、耳栓組立品。
【請求項13】
前記ステムへの前記コードの取り付けには、接着剤が使用されていない、請求項
12に記載の耳栓組立品。
【請求項14】
前記第1の材料が、ポリプロピレン、ナイロン、又はこれらの組み合わせを含む、又は、前記第2の材料が、エチレンビニルアセテート(EVA)である、請求項
12に記載の耳栓組立品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、聴力保護デバイス、例えば、2つの耳栓がコードによって接続されるプッシュ-フィット式耳栓と、該聴力保護デバイスの製造方法とに関する。
【0002】
聴力保護デバイス及びノイズ減衰デバイスの使用は周知であり、様々な種類のデバイスが検討されている。このようなデバイスとしては、内耳への音波の通過を物理的に妨害するために、ユーザーの外耳道に挿入される、又はユーザーの外耳道に配置される発泡体又はゴム材料から部分的又は完全に成る耳栓及び半聴覚デバイスが挙げられる。
【0003】
圧縮性又は「ロールダウン」式耳栓は概して、圧縮可能な弾性部を含み、ゆっくりと復元する好適な発泡材料で作製されてもよい。耳栓は、最初に指間で転動して本体部を圧縮し、次いで本体部を外耳道に押し込み、その後、本体部を拡張させて外耳道を充填することによって、耳栓をユーザーの外耳道に挿入することができる。
【0004】
プッシュ-フィット式耳栓も考慮されており、圧縮可能な減衰部と、減衰部から延びる剛性部(例えば、ステム)とを含んでもよい。プッシュ-フィット式耳栓を挿入するために、ユーザーは剛性部を把持し、減衰部を適切な力レベルで外耳道に押し込む。減衰部は、外耳道に収容されると圧縮する。プッシュ-フィット式耳栓では、耳栓を外耳道に迅速かつ容易に挿入することができ、挿入前の耳栓の減衰部との接触を最小限にすることによって衛生状態を向上させることができる。
【0005】
1対の耳栓はコードによって接続されて、耳栓組立品を形成してもよい。コードを耳栓に取り付ける方法は既知であるが、コストがかかり、製造上の課題をもたらし得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、2つの耳栓(例えば、プッシュ-フィットイヤー式プラグ)がコードによって接続される耳栓組立品、及び耳栓組立品の製造方法に関する。
【0007】
一実施形態によれば、耳栓組立品は、第1の耳栓と、第2の耳栓と、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有するコードと、を備え、各耳栓は、近位端及び遠位端並びに近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を備える。耳栓組立品の製造方法は、耳栓のステムの近位端内の深さまでホットチップ(hot tip)を挿入してコードキャビティを形成することであって、ステムが、第1の溶融温度を有する第1の材料を含み、コードが、第2の溶融温度を有する第2の材料を含み、ホットチップが、第1及び第2の溶融温度以上の温度を有する、ことと、ステムからホットチップを取り外すことと、コードの端部をコードキャビティに挿入することと、によって、コードの第1及び第2の端部をそれぞれ、第1及び第2の耳栓に取り付けることを含む。
【0008】
別の実施形態によれば、本方法は、耳栓のステムの近位端とホットチップとを接触させて近位端の一部を溶融させることであって、ステムが、第1の溶融温度を有する第1の材料を含み、コードが、第2の溶融温度を有する第2の材料を含み、ホットチップが、第1及び第2の溶融温度以上の温度を有する、溶融させることと、コードの端部をステムの近位端の溶融部分と接触させることと、によって、コードの第1及び第2の端部をそれぞれ、第1及び第2の耳栓に取り付けることを含む。
【0009】
一実施形態によれば、耳栓組立品は、第1の耳栓及び第2の耳栓を備え、各耳栓は、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を備える。耳栓組立品は、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを含むコードであって、第1及び第2の端部が、第1及び第2の耳栓のステムの近位端に熱結合されており、かつ近位端のある深さまで延びる、コードを更に備え、ステムは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、及びこれらの混合物から選択される第1の材料を含み、コードは、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、及びこれらの混合物から選択される第2の材料を含む。
【0010】
別の実施形態によれば、耳栓組立品は、第1の耳栓及び第2の耳栓を備え、各耳栓は、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を備える。耳栓組立品は、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを備えるコードであって、第1及び第2の端部が、第1及び第2の耳栓のステムの近位端に熱結合されており、かつ熱結合によって近位端内にある深さまで延びる、コードを更に備え、ステムは、第1の溶融温度を有する第1の熱可塑性材料を含み、コードは、第1の溶融温度よりも少なくとも30℃低い第2の溶融温度を有する第2の熱可塑性材料を含む。
【0011】
上述の概要は、本明細書に記載される耳栓及び耳栓の製造方法の各実施形態又は全ての実施例を説明することを意図していない。むしろ、本発明のより完全な理解は、添付図面を考慮して以下の詳細な説明及び請求項を参照することによって明らかになり、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る耳栓組立品を示す図である。
【
図3A】一実施形態に係る
図1の耳栓組立品の製造方法の概略図である。
【
図3B】一実施形態に係る
図1の耳栓組立品の製造方法の概略図である。
【
図3C】一実施形態に係る
図1の耳栓組立品の製造方法の概略図である。
【
図3D】一実施形態に係る
図1の耳栓組立品の製造方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は耳栓に関し、より具体的には、コードによって接続された2つの耳栓を含む耳栓組立品に関する。本開示は更に、2つの耳栓とコードとを有する耳栓組立品の製造方法に関する。特定の実施形態によれば、耳栓組立品の2つの耳栓は、熱結合によってコードに接続される。いくつかの実施形態では、耳栓とコードとの間の接続、又は耳栓組立品全体は、接着剤を使用しない。
【0014】
「熱結合」という用語は、2つの材料又は表面の分子が、結合が形成されるように、溶融相にあるときに他方の材料又は表面に拡散した状態を意味する。化学結合は、存在しないか、又は熱結合された材料又は表面の間の主要な結合源を提供しない。
【0015】
「熱可塑性」という用語は、繰り返し加熱及び再成形することができ、冷却時にその形状を保持するポリマーを意味する。
【0016】
「熱硬化性」という用語は、恒久的かつ不可逆的に硬化され、最初の硬化後に再成形又は再加熱することができないポリマーを指すために使用される。
【0017】
「溶融温度」という用語は、熱可塑性ポリマーが結晶相又は半結晶相から非晶相に遷移する温度又は温度範囲を説明するために使用される。溶融温度は、示差走査熱量測定(DSC)などの様々な試験方法を使用して判定することができる。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「含む(comprises)」という用語及びその変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に記載されている場合、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記載されたある1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを意味し、いかなる他の工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も排除されないことを意味するものと理解される。「からなる(consisting of)」により、この語句「からなる」に続くいかなるものも包み、これらに限定されることを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」により、この語句の後に列挙されるいかなる要素も含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意に含まれ、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい、又は、しなくてもよいことを意味する。
【0019】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」等の用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例が使用され得る一般的な部類を含むことを意図するものである。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「又は」という用語は、内容がそうでない旨を特に明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0021】
本明細書で使用されるとき、全ての数は、「約」という用語によって、また、特定の実施形態において、「正確に」という用語によって修飾されるものとみなされる。測定された量に関して本明細書で使用されるとき、用語「約」とは、当業者によって、測定を行い、測定の目的及び用いた測定機器の精度に見合う程度の注意を払って予想され得る、測定された量のばらつきを指す。本明細書において、「最大」数字(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0022】
本明細書で使用されるとき、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0023】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」などの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所にこのような語句が記載されている場合、必ずしも、本発明の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0024】
遠位、近位、左、右、前、後、頂、底、側、上、下、水平、垂直などの相対的用語は、説明を簡易化するために使用されるが、決して発明の範囲を限定するものではない。左、右、前、後、頂、底、側、上、下、水平、垂直などの相対的用語は、特定の図面において見られる視点からのものである。
【0025】
ユーザーの聴力保護を提供する耳栓、及び2つの耳栓と接続コードとを有する耳栓組立品の製造方法が、本明細書に記載される。実施形態では、耳栓組立品の一部として様々な種類の耳栓を使用することができる。特定の種類の耳栓が図示されているが、この種類は限定的にみなされるべきではなく、他の種類及び形状の耳栓を使用することができる。
【0026】
1つ以上の実施形態では、耳栓組立品は、コードによって接続された2つの耳栓を含む。耳栓組立品の製造方法の1つ以上の実施形態もまた説明される。コードは、ホットチップを使用してステムの近位端に装着点(例えば、コードキャビティ)を形成し、コードの端部を装着点と接続して(例えば、コードの端部をコードキャビティに挿入して)コードを耳栓に熱結合することによって、耳栓に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、取り付けには接着剤を使用しない。
【0027】
次に
図1を参照すると、耳栓組立品1が示されている。少なくともいくつかの実施形態によれば、耳栓組立品1は、コード20によって接続された2つの耳栓10を含む。本開示は、2つの耳栓を含む組立品について説明しているが、コードに装着された単一の耳栓を有する組立品も想定することができ、本開示の範囲内であると考えられる。
【0028】
耳栓組立品1の一部として、様々な種類の耳栓を使用することができる。例えば、耳栓は、ステム又は中央コアを含んでもよく、また、音響減衰体を更に含んでもよい。あるいは、耳栓ステム自体が、音響減衰体として機能してもよい。図に示される耳栓組立品1は、ステム100と音響減衰体120とを有する耳栓10を含む。ステム100は、近位端101、遠位端102、主外面103、及び近位端101から遠位端102まで延びる長手方向軸Aを有する。ステム100の近位端101は、耳栓10を外耳道に挿入する又は外耳道から取り外すときにユーザーによって把持されることが意図される。
【0029】
図示される実施形態では、音響減衰体120は、ステム100の遠位端102において主外面103に装着される。一般に、音響減衰体120は、ステム100と同じ材料又は異なる材料で製造することができる。音響減衰体120は、ユーザーの外耳道に挿入するのに好適な圧縮性材料(例えば、発泡体又はエラストマー)で製造することができる。
【0030】
コード20は、第1の端部21、第2の端部22、及び第1及び第2の端部21、22の間に延びる長さを有する。コードの長さは限定されず、任意の有用なコードの長さを使用することができる。典型的なコードの長さは、約12~約30インチで変動する。一実施形態によれば、第1及び第2の端部21、22は、組立品1の耳栓10のステムに熱結合される。いくつかの実施形態では、取り付けは接着剤を使用しないか、又は接着剤を使用する場合には、コードと耳栓との間の主要な接着機序を提供しない。
【0031】
図2A及び2Bは耳栓組立品の部分図であり、
図2Bは耳栓10とコード20の一端の断面図である。コード20は、ステム100の近位端101の装着点110で耳栓10に装着される。特定の実施形態では、装着点110はコードキャビティ111を含み、コード20の端部(例えば、第1の端部21又は第2の端部22)は、コードキャビティ111内へと延び、ステム100の材料に熱結合される。
図2Bに見られるように、コード20が装着された後、小さな空気間隙又はキャビティが、コードキャビティ111の底部1112に残ることがある。
【0032】
耳栓をコードの端部に保持する主要機序は、熱結合である。しかしながら、いくつかの実施形態では、コード20の端部とコードキャビティ111がボールソケットアタッチメントを形成し、コード20の端部が、キャビティ111(「ソケット」)に嵌合するボール24を形成する。「ボール」という用語は、本明細書では、コードの拡大端部を示すために使用される。
図2B及び3Dでは円形ボールが示されているが、ボール24は不規則な形状を有してもよい。キャビティ111の口部1110は、ボール24の幅よりも狭く、熱結合によって提供される主要な接着に加えて摩擦嵌合を提供することができる。
【0033】
耳栓10及びコード20は、任意の好適な材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、耳栓のステム100は第1の材料から製造され、コード20は第2の材料から製造される。第2の材料は、第1の材料と異なっていてもよい。例えば、第1の材料は、耳栓のためのハンドルとして、及び音響減衰部のための支持体として機能し得る、又は音響減衰部として機能し得るような、ステムに好適な特性を提供するように選択することができる。第2の材料は、可撓性、快適性、耐久性などのコードに好適な特性を提供するように選択することができる。第1及び第2の材料の他の態様は、熱結合時の相互の適合性、加工の容易さ、コスト、及び環境的配慮などを更に考慮することができる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、ステム100は、好適な熱可塑性材料を含み得る第1の材料から製造される。例えば、第1の材料は、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(ナイロン)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、並びにこれらの混合物及び合金を含み得る。特定の実施形態では、第1の材料は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、又はこれらの混合物若しくは合金である。第1の材料は、PVCを含まなくてもよい。
【0035】
第1の材料は、約0.3~約12GPa、約0.5~約10GPa、又は約0.7~約8GPaの曲げ弾性率を有する剛性の熱可塑性材料であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の材料は、音響減衰部120も形成する発泡材料によって更に包囲され得るコアを形成する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、コード20は、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)及び熱可塑性エラストマー(TPE)などの好適な熱可塑性材料を含み得る第2の材料から製造される。例えば、第2の材料としては、エチレンビニルアセテート(EVA)、可撓性ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレンブロックコポリマー(SBC)、スチレン-ブタジエン(SB)コポリマー、ポリウレタン、ポリプロピレン系エラストマー、並びにこれらの混合物及び合金を挙げることができる。
【0037】
第2の材料は、その硬度に基づいて選択されてもよい。例えば、第2の材料は、約25~約90、又は約30~約75、又は約35~約60のタイプAショア硬度を有する可撓性熱可塑性材料から選択されてもよい。特定の実施形態では、第2の材料は、エチレンビニルアセテート(EVA)を含む、又はエチレンビニルアセテート(EVA)である。第2の材料は、PVCを含まなくてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の材料は、第1の材料の溶融温度(例えば、第1の溶融温度)と類似する(例えば、約10℃以内)又はそれよりも低い溶融温度(例えば、第2の溶融温度)を有するように選択される。例えば、第2の材料は、第1の材料の溶融温度よりも、約0~約200℃低い、約0~約150℃低い、約0~約100℃低い、約0~約75℃低い、約0~約50℃低い、又は約0~約35℃低い溶融温度を有してもよい。例示的な一実施形態では、第1の材料は、約150~約200℃の溶融温度を有し、第2の材料は、約70~約80℃の溶融温度を有する。2つの材料の溶融温度が比較される場合、同じ方法(例えば、DSC)を使用して、各溶融温度を判定すべきである。
【0039】
本明細書に記載される実施形態では、第1の耳栓と、第2の耳栓と、第1及び第2の耳栓を接続するコードと、を含む耳栓組立品内で、コードが2つの耳栓のステムと連結されて、耳栓を相互に接続し、コードは、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有する。耳栓組立品の製造方法の1つ以上の実施形態もまた説明される。1つ以上の実施形態では、本方法は、本明細書に記載されるような耳栓組立品の製造の困難さ及び/又はコストを低減することができる。例えば、本方法では、より迅速に、簡易に、及び安価に製造を行うことができる。本方法は、1つ以上の実施形態において、耳栓のステムの端部をホットチップと接触させて、コードの装着点を形成することと、コードの端部を装着点に取り付けることと、を含んでもよい。
【0040】
本方法の簡略化された概略図を
図3A~3Dに示す。一実施形態によると、ホットチップ3は、ステム100の近位端101に接触して、ステム100の材料の一部を溶融させて装着点110を形成する。ホットチップ3は、近位端101のほぼ中央でステム100に接触することができる。いくつかの実施形態では、ホットチップ3は、コードキャビティ111を形成する深さまでステム100に挿入される。
【0041】
ホットチップ3は、第1及び第2の材料の第1及び第2の溶融温度よりも高い温度を有する。例えば、ホットチップ3は、約150~約450℃、約200~約425℃、約225~約400℃、又は約250~約350℃の温度を有し得る。ホットチップ3の温度は、第1の材料の溶融温度よりも少なくとも約30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも75℃、又は少なくとも100℃高くなるように選択することができる。
【0042】
ホットチップ3は、短時間後、ステム100から取り外される。そのタイミングは、ホットチップ3の温度と第1の材料の溶融温度との間の差に部分的に依存する。差が大きいほど、ホットチップ3を早く取り外すことができる。例えば、差が約75℃以上である場合、ホットチップ3は、約0.1~約5秒又は約0.2~約2秒後に取り外すことができる。差が小さい場合、より長い時間が必要となり得る。
【0043】
ホットチップ3がステム100の近位端101に接触すると、近位端の温度を上昇させ、ステム100の材料の一部を溶融させる。次いで、コード20の端部を、装着点110で溶融部分と接触させることができる。ホットチップ3がステム100に挿入されて深さD111のコードキャビティ111を形成する場合、コードの端部(例えば、第1の端部21又は第2の端部22)をコードキャビティ111に挿入することができる。コードキャビティの深さD111は、約2~約10mm又は約3~約7mmであってもよい。
【0044】
一実施形態によれば、コード20が装着点110と接触するとき、ステム100の溶融部分の温度は、コードの材料(第2の材料)の溶融温度よりも高い。溶融部分の温度は、コード20の端部の一部を溶融するのに十分であるため、コード20を耳栓10に熱結合することができる。少なくともいくつかの実施形態では、熱源(例えば、ホットチップ3)は、コードには当てられず、耳栓のステムのみに当てられる。正確に言えば、コード20の端部は、ステム100の残留熱によって溶融する。コード20の端部は、ホットチップ3が取り外された直後、かつ装着点が第2の材料(コード20の材料)の溶融温度未満の温度まで冷却される前に、装着点110と接触させることができる。
【0045】
コード20の端部は、コードキャビティ111の底部までずっと挿入されてもよい(挿入深さはコードキャビティ111の深さD111に等しい)。しかしながら、いくつかの実施形態では、コード20は、コードキャビティ111内の途中まで挿入される(挿入深さは、コードキャビティ111の深さD111よりも小さい)。例えば、コード20の端部は、
図2Bに示されるように、コード20が装着された後、コードキャビティ111の底部1112に小さい空気間隙又はキャビティが残るように、コードキャビティ111に挿入されてもよい。
【0046】
コード20の端部は、熱結合を発生させるだけの時間、(例えば、コードキャビティ111内の)ステム100の近位端101の定位置に保持され得る。例えば、コード20は、約0.5~約4秒間、定位置に保持することができる。熱結合が生じ、装着点における材料温度が十分に(例えば、少なくとも1つの材料の溶融温度よりも低く)冷却された後、コードは、補助なく(例えば、保持することなく)耳栓に装着されたままになる。
【0047】
いくつかの実施形態では、コード20の端部の一部を溶融させて、コードキャビティ111内にコードのボールソケット式のアタッチメントを形成してもよい。
図2B及び3Dに見られるように、コード20の端部は、コードキャビティ111の内側に拡大ボール24を形成して、熱結合の主要な接着方法に加えて摩擦嵌合を提供することができる。周囲のコア材料は、ボール24の形状に少なくとも部分的に一致していてもよい。
【0048】
例示的な実施形態
実施形態1は、耳栓組立品の製造方法であって、耳栓組立品は、第1の耳栓と、第2の耳栓と、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有するコードと、を備え、各耳栓が、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を備え、該方法が、耳栓のステムの近位端内の深さまでホットチップを挿入してコードキャビティを形成することであって、ステムが、第1の溶融温度を有する第1の材料を含み、コードが、第2の溶融温度を有する第2の材料を含み、ホットチップが、第1及び第2の溶融温度以上の温度を有する、ことと、ステムからホットチップを取り外すことと、コードの端部をコードキャビティに挿入することと、によって、第1及び第2の端部を第1及び第2の耳栓にそれぞれ取り付けることを含む。
【0049】
実施形態2は、コードの端部をコードキャビティに挿入することにより、コードの端部の一部が溶融する、実施形態1に記載の方法である。
【0050】
実施形態3は、該方法が、コードキャビティ内にコードの端部のボールソケットアタッチメントを形成する、実施形態1又は2に記載の方法である。
【0051】
実施形態4は、コードの端部をコードキャビティ内に約0.5~約4秒間保持することを更に含む、実施形態1~3のいずれかに記載の方法である。
【0052】
実施形態5は、第2の材料の溶融温度が、第1の材料の溶融温度より20℃以上、30℃以上、50℃以上、又は75℃以上低い、実施形態1~4のいずれかに記載の方法である。
【0053】
実施形態6は、第1の材料が、約0.3~約12GPa、約0.5~約10GPa、又は約0.7~約8GPaの曲げ弾性率を有する剛性の熱可塑性材料から選択される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法である。
【0054】
実施形態7は、第1の材料が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、又はこれらの混合物を含む、実施形態1~6のいずれかに記載の方法である。
【0055】
実施形態8は、第2の材料が、約25~約90、又は約30~約75、又は約35~約60のタイプAショア硬度を有する可撓性熱可塑性材料から選択される、実施形態1~7のいずれかに記載の方法である。
【0056】
実施形態9は、第2の材料が、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、又はこれらの混合物を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の方法である。
【0057】
実施形態10は、ホットチップが、約175~約450℃、約150~約450℃、約200~約425℃、約225~約400℃、又は約250~約350℃の温度を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の方法である。
【0058】
実施形態11は、ホットチップが、ホットチップの挿入後、約0.1~約5秒、約0.1~約2秒、又は約0.2~約2秒でステムから取り外される、実施形態1~10のいずれかに記載の方法である。
【0059】
実施形態12は、ホットチップが、ステムの近位端内に約2~約10mm又は約3~7mmの深さまで挿入される、実施形態1~11のいずれかに記載の方法である。
【0060】
実施形態13は、耳栓組立品の製造方法であって、耳栓組立品は、第1の耳栓と、第2の耳栓と、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有するコードと、を備え、各耳栓が、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を備え、該方法は、耳栓のステムの近位端とホットチップとを接触させて近位端の一部を溶融させることであって、ステムが、第1の溶融温度を有する第1の材料を含み、コードが、第2の溶融温度を有する第2の材料を含み、ホットチップが、第1及び第2の溶融温度以上の温度を有する、溶融させることと、コードの端部を、ステムの近位端の溶融部分と接触させることと、によって、コードの第1及び第2の端部をそれぞれ、第1及び第2の耳栓に取り付けることを含む、方法である。
【0061】
実施形態14は、コードの端部をステムの溶融部分に約0.5~約4秒間保持することを更に含む、実施形態13に記載の方法である。
【0062】
実施形態15は、第2の材料の溶融温度が、第1の材料の溶融温度より20℃以上、30℃以上、50℃以上、又は75℃以上低い、実施形態13~14のいずれかに記載の方法である。
【0063】
実施形態16は、第1の材料が、約0.3~約12GPa、約0.5~約10GPa、又は約0.7~約8GPaの曲げ弾性率を有する剛性の熱可塑性材料から選択される、実施形態13~15のいずれかに記載の方法である。
【0064】
実施形態17は、第1の材料が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、又はこれらの混合物を含む、実施形態13~16のいずれかに記載の方法である。
【0065】
実施形態18は、第2の材料が、約25~約90、又は約30~約75、又は約35~約60のタイプAショア硬度を有する可撓性熱可塑性材料から選択される、実施形態13~17のいずれかに記載の方法である。
【0066】
実施形態19は、第2の材料が、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、又はこれらの混合物を含む、実施形態13~18のいずれかに記載の方法である。
【0067】
実施形態20は、ホットチップが、約175~約450℃、約150~約450℃、約200~約425℃、約225~約400℃、又は約250~約350℃の温度を有する、実施形態13~19のいずれかに記載の方法である。
【0068】
実施形態21は、ホットチップが、ホットチップの挿入後、約0.1~約5秒、約0.1秒~約2秒、又は約0.2~約2秒でステムから取り外される、実施形態13~20のいずれかに記載の方法である。
【0069】
実施形態22は、ホットチップが、ステムの近位端内に約2~約10mm、又は約3~7mmの深さまで挿入される、実施形態13~21のいずれかに記載の方法である。
【0070】
実施形態23は、耳栓組立品であって、それぞれが、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を備えるステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を有する第1の耳栓と第2の耳栓と、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有するコードであって、第1及び第2の端部が、第1及び第2の耳栓のステムの近位端に熱結合されており、かつ近位端内のある深さまで延びる、コードと、を備え、ステムが、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、及びこれらの混合物から選択される第1の材料を含み、コードが、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性エラストマー、エチレンビニルアセテート、可撓性ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリプロピレン系エラストマー、及びこれらの混合物から選択される第2の材料を含む、耳栓組立品である。
【0071】
実施形態24は、ステムへのコードの取り付けには、接着剤が使用されていない、実施形態23に記載の耳栓組立品である。
【0072】
実施形態25は、第1の材料が、ポリプロピレン、ナイロン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態23又は24に記載の耳栓組立品である。
【0073】
実施形態26は、第2の材料がエチレンビニルアセテート(EVA)である、実施形態23~25のいずれかに記載の耳栓組立品である。
【0074】
実施形態27は、耳栓組立品であって、それぞれが、近位端、遠位端、主外面、及び近位端から遠位端まで延びる長手方向軸を有するステムと、ステムの遠位端に配置された音響減衰体と、を有する第1の耳栓と第2の耳栓と、第1の端部及び第2の端部並びに第1の端部と第2の端部との間に延びる長さを有するコードであって、第1及び第2の端部が、第1及び第2の耳栓のステムの近位端に熱結合されており、かつ熱結合によって近位端内のある深さまで延びる、コードと、を備え、ステムが、第1の溶融温度を有する第1の熱可塑性樹脂を含み、コードが、第1の溶融温度よりも少なくとも20℃、30℃以上、50℃以上、又は75℃以上低い第2の溶融温度を有する第2の熱可塑性材料を含む、耳栓組立品である。
【0075】
実施形態28は、ステムへのコードの取り付けには、接着剤が使用されていない、実施形態27に記載の耳栓組立品である。
【0076】
実施形態29は、第1の材料が、ポリプロピレン、ナイロン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態27又は28に記載の耳栓組立品である。
【0077】
実施形態30は、第2の材料がエチレンビニルアセテート(EVA)である、実施形態27~29のいずれかに記載の耳栓組立品である。
【実施例】
【0078】
上記の方法を使用して、コードを耳栓に装着した。耳栓は、ステムを通って延びるポリプロピレン(PP)複合コアを有し、この複合コアを、遠位端で発泡して音響減衰部を形成する材料の層で囲んだ。ポリプロピレンコアをステムの近位端で露出させた。コードは、約74℃の溶融温度を有する1.27mm厚のエチレンビニルアセテート(EVA)とした。PPコアの溶融温度は165~200℃の範囲であった。
【0079】
約1.57mmの厚さ及び尖端を有する金属先端部を約370℃の温度まで加熱し、ステムのPPコアの近位端に挿入して、コードキャビティを形成した。金属先端部をコードキャビティ内に約1秒間保持し、コアの一部を溶融させた。金属先端部をコードキャビティから取り外した後、コードの端部をコードキャビティに挿入し、約3秒間定位置に保持した。
【0080】
コードの端部が耳栓のステムに熱結合されていることが観察された。コードの一部が溶融してコードキャビティ内にボールを形成し、ボールソケット式接続を形成したことが更に観察された。コードと耳栓との間の接続は、接着剤を用いずに耳栓組立品で使用されるほど強固であることが分かった。
【0081】
当業者には、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されるものではないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される本開示の範囲内の単なる例示として示されることを理解されたい。