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特許7273805水性口腔ケアフッ化物処置組成物、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-02
(45)【発行日】2023-05-15
(54)【発明の名称】水性口腔ケアフッ化物処置組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/21 20060101AFI20230508BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20230508BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61K8/21
A61K8/362
A61K8/81
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020517486
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 IB2018056752
(87)【国際公開番号】W WO2019064091
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/565,345
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イチュン
(72)【発明者】
【氏名】トン,ティファニー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン,メリンダ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ポスト,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】クレイバー,ポール アール.
(72)【発明者】
【氏名】カレラ ヴィダル,カロラ エー.
(72)【発明者】
【氏名】オックスマン,ジョエル ディー.
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-529634(JP,A)
【文献】特開2000-072638(JP,A)
【文献】特開昭59-044307(JP,A)
【文献】特開2005-047903(JP,A)
【文献】特開2008-156251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性口腔ケアフッ化物処置組成物であって、
0.1重量%~3.0重量%の、カルボン酸側基を有する架橋ポリ酸と、
薬学的に許容される緩衝剤と、
1.0重量%~2.5重量%のフッ化ナトリウムと、
0.025重量%~1.75重量%の、多価カチオンと対イオンとを含む多価カチオン塩と、
少なくとも60重量%の水と
を含み、
ここで、重量%は前記水性口腔ケアフッ化物処置組成物の総重量に基づくものであり、
前記架橋ポリ酸は、
アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、若しくは(C10~C30)アルキルアクリレートのホモポリマー、又は
アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、若しくは(C10~C30)アルキルアクリレートを含むコポリマー、を含み、
前記多価カチオンは、Ca、Al、及びこれらの組み合わせから選択され、前記対イオンは、塩化物イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、乳酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、及びこれらの組み合わせから選択される、水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項2】
前記架橋ポリ酸が、0.5重量%~1.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項3】
前記架橋ポリ酸が、アクリル酸ホモポリマー又はコポリマーを含む、請求項に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項4】
前記架橋ポリ酸が、アリルスクロース、アリルペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ポリアルケニルアルコール、ジビニルグリコール、又はこれらの組み合わせから選択される架橋剤で架橋されている、請求項1に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項5】
前記架橋ポリ酸が、アリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールから選択される架橋剤で架橋されている、請求項1に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項6】
前記多価カチオン塩が、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項7】
前記多価カチオン塩が塩化カルシウムである、請求項に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項8】
g、Ba、Mn、Fe、Zn、u、及びこれらの組み合わせから選択される多価カチオンを含む第2の多価カチオン塩を更に含む、請求項1記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項9】
前記第2の多価カチオン塩が含む、請求項8に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項10】
前記第2の多価カチオン塩が塩化亜鉛である、請求項9に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項11】
前記多価カチオン塩が、0.05重量%~1.5重量%の総量で存在する、請求項1記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項12】
.5重量%未満の量で存在する増粘剤を更に含む、請求項1記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項13】
1.0/秒の剪断速度で0.5~500パスカル秒の粘度により特徴付けられる前記水性口腔ケアフッ化物処置組成物を提供するのに十分な量で存在する増粘剤を更に含む、請求項1に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項14】
前記増粘剤が、非酸セルロース誘導体、無機充填剤、アルキレンオキシドポリマー、非酸変性デンプン、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物。
【請求項15】
フッ化物を患者の歯表面に付与するための、請求項1~14のいずれか一項に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フッ化物処置は、フッ化物を歯表面に適用して、フッ化アパタイト及びフッ化カルシウムを形成することを含む。
【0002】
現在、2つの主要なインオフィスのフッ化物処置方法が使用されている。1つの処置方法は、トレイ内でフッ化物ゲル/発泡体を使用する。この方法は、トレイ内に貯蔵され、次いで患者の口内で歯の上に載置される、数グラムのフッ化物ゲルを必要とする。このトレイは、ゲル/発泡体が歯と接触しながら、1~4分間、口内に残される。ゲル/発泡体製剤は、2%のフッ化ナトリウムを含む水性系である。この材料は、不必要な大量のフッ化物の摂取を回避するために、口から余分なゲルを引き出すための吸引の使用を必要とする。
【0003】
別の処置方法は、歯科用フッ化物ワニスである。市場にあるほとんどのフッ化物ワニスは、疎水性の性質を有するロジン/エタノール系製剤である。歯にワニスを塗り、数時間適所に留まらせて、組成物からフッ化物を放出させる。典型的には、歯科医師は、インオフィスのフッ化物処置のためにフッ化物ワニスを使用する。ほとんどの歯科用フッ化物ワニスは、5%のフッ化ナトリウムを含む。ワニスの用量は、約0.5gである。歯科用ワニスは、患者の口内に載置するフッ化物の量が、フッ化物ゲル/発泡体と比べてはるかに少ない。したがって、フッ化物ワニスでは、フッ化物の摂取はより少ない。更に、フッ化物ワニスは、患者の歯の上に単純に塗られるので適用がより簡単であるが、フッ化物ワニス処置はゲル処置よりも労働集約的であり、かつフッ化物ワニス処置は、患者に、不快な「汚れている歯」という感覚を残す。
【0004】
ワニスとして歯に適用するのが簡単であり、ゲル/発泡体製剤と同様に短い期間で作用する組成物が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、水性口腔ケアフッ化物処置組成物、及び処置する方法(例えば、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法)を提供する。
【0006】
このような組成物は、インオフィスのフッ化物処置組成物として使用することができる。それらは、所望であれば、歯の表面上に塗ることができる組成物中に配合することができる。それらは、ゲル/発泡体製剤よりも短い期間で、ワニスの有効性と同様のフッ化物の有効性をもたらすことができる。
【0007】
一実施形態では、本開示は、水性口腔ケアフッ化物処置組成物であって、0.1重量%~3.0重量%の、カルボン酸側基を有する架橋ポリ酸と、薬学的に許容される緩衝剤と、1.0重量%~2.5重量%のフッ化ナトリウムと、0.025重量%~1.75重量%の多価カチオン塩と、少なくとも60重量%の水とを含み、ここで、重量%は水性組成物の総重量に基づくものである、処置組成物を提供する。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0009】
別の実施形態では、本開示は、う歯の発生率を低減する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0010】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、アルカンの基である一価の基を指し、かつ直鎖(すなわち、直鎖状)、分枝鎖、環式、及び二環式のアルキル基、並びにこれらの組み合わせを含み、これには非置換と置換との両方のアルキル基が含まれる。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~100個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~60個の炭素原子、1~30個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を含有する。「アルキル基」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」としては、有機ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、及びコポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び修飾体が挙げられるがこれらに限定されない。更に、別段の特定の限定がない限り、用語「ポリマー」は、材料の全ての可能な幾何学的配置を包含するものとする。これらの配置としては、アイソタクチック対称、シンジオタクチック対称、及びアタクチック対称が挙げられるがこれらに限定されない。
【0012】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲において現れるところでは、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記載されたある1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを示唆するが、いかなる他の工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も排除されないことを示唆するものと理解される。「からなる」により、この語句「からなる」に続くいかなるものも含み、これらに限定することを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」により、この語句の後に列挙されるいかなる要素も含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意に含まれ、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい又は存在しなくてもよいことを示す。
【0013】
言葉「好ましい」及び「好ましくは」は、一定の状況下で一定の利益を提供できる本開示の実施形態を指す。ただし、他の実施形態がまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。更には、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0014】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例が使用され得る一般的な部類を含むことを意図するものである。用語「a」、「an」及び「the」は、語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と互換的に使用される。列挙に後続する語句「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0015】
用語「又は」は、特に内容に別段の明示がない限り、概して「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0016】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0017】
更に本明細書では、全ての数は用語「約」によって修飾されるものとみなされ、特定の実施形態において、好ましくは、用語「正確に」によって修飾されるものとみなされる。測定された量に関して本明細書で使用されるとき、用語「約」は、当業者によって、測定を行い、測定の目的及び用いた測定機器の精度に見合う程度の注意を払って予想され得る、測定された量のばらつきを指す。本明細書において、数字の前の「最大で」(例えば、最大で50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0018】
更に本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0019】
用語「室温」は、20℃~25℃、又は22℃~25℃の温度を指す。
【0020】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所でのこのような語句の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0021】
本開示の上記の概要は、開示されるそれぞれの実施形態、又は本開示の全ての実装形態を説明することを意図していない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通し、数箇所において、例の列挙を通して指針が提供されており、これらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。いずれの場合にも、記載された列挙項目は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、水性口腔ケアフッ化物処置組成物を提供する。本開示はまた、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法、並びにう歯の発生率を低減する方法も提供する。このような方法は、本明細書に記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物を患者の歯表面に適用することを伴う。
【0023】
特定の実施形態では、水性口腔ケアフッ化物処置組成物を適用することは、この処置組成物を患者の歯表面上に塗ることを含む。
【0024】
特定の実施形態では、水性口腔ケアフッ化物処置組成物を適用することは、この処置組成物を歯科用トレイ中に分配することと、その中に処置組成物を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む。特定の実施形態では、歯科用トレイは、歯科矯正用アライナ処置トレイを含む。
【0025】
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%の水を含む。特定の実施形態では、処置組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、最大で96重量%、又は最大で90重量%の水を含む。
【0026】
本開示の処置組成物は、水性組成物である。それらは少量の有機溶媒(例えば、エタノールなどの(C1~C4)アルコール)を含んでもよいが、好ましくは、それらは、(風味剤又は甘味料用の担体/溶媒として使用される有機溶媒とは対照的に)液体担体として機能する有機溶媒を含まない。例えば、特定の添加剤は、液体担体として、有機溶媒中の溶液又は分散液として提供されてもよい。本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物中に存在する任意の有機溶媒(液体担体として機能する)が存在する場合、それは、水性組成物の総重量に基づいて5重量%未満の量で存在する。
【0027】
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、薬学的に許容される緩衝剤を含む。このような緩衝剤の種類及び量は、少なくとも6、又は少なくとも6.5のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、最大で8、最大で7.5、又は最大で7のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、特にう歯の発生率を低減する方法では、「Topical Fluoride Preparations for Reducing Incidence of Dental Caries」と題されたFederal Register,Vol.39,No.94,May 14,1974の研究論文に従って、6.5~7.5のpH、又は7.0のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。
【0028】
ポリ酸
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、架橋ポリ酸を含む。架橋ポリ酸は、1つ以上のカルボン酸基を有する1種以上のモノマーのホモポリマー又はコポリマーとすることができる。
【0029】
1つ以上のカルボン酸基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルエーテル、アルキルアクリレート、及び糖が挙げられる。所望であれば、このような材料の様々な組み合わせが使用されてもよい。特定の実施形態では、架橋ポリ酸としては、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(C10~C30)アルキルアクリレート、及びこれらの組み合わせのホモポリマー又はコポリマーが挙げられる。特定の実施形態では、架橋ポリ酸としては、架橋ポリアクリル酸ホモポリマーが挙げられる。
【0030】
架橋剤の例としては、アリルスクロース、アリルペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ポリアルケニルアルコール、又はジビニルグリコールが挙げられる。所望であれば、架橋剤の様々な組み合わせが使用されてもよい。特定の実施形態では、ポリアクリル酸は、アリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋される。
【0031】
本開示の好適なポリ酸は、広範囲の流動特性及びレオロジー特性を有する半固体及び液体製剤を開発するために使用され得る組成物を提供するのに役立つ。ポリ酸はまた、低濃度(例えば、0.1重量%~3.0重量%)で使用した場合であっても、高効率の増粘剤、懸濁化剤、沈降の問題を排除する安定剤、流動調整剤、及び生物付着剤のうちの1種以上を付与することができる。好ましいポリ酸は、水和されたとき及び中和されたときに膨潤し、コロイド状分散体を形成する。懸濁液中の不溶性成分は、次いで、ヒドロゲル粒子同士の間の間隙空間内に捕捉され、それによって安定した分散体が形成される。
【0032】
ポリ酸は、多様な粘度を有し得る。特定の実施形態では、架橋ポリ酸は、0.5重量%でのpH7.5緩衝剤中で、4,000~100,000センチポアズ(cP)の粘度を有する。
【0033】
例示的なポリ酸としては、直鎖状ポリアクリル酸、アクリル酸コポリマー、マレイン酸/無水マレイン酸コポリマー、イタコン酸コポリマー、ビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、例えば商標名GANTREZ(Ashlandから)で入手可能なもの、高分子量架橋ポリアクリル酸ホモポリマー及びコポリマー、例えば商標名CARBOPOL(Lubrizol Life Sciencesから)で入手可能なもの、及びカルボン酸変性セルロース(Carboxylic acid modified cellulose、CMC)、例えば商標名KLUCEL(Ashlandから)で入手可能なものが挙げられる。これらのホモポリマー及びコポリマーは、いくつかのアルカリ化学物質で中和されて水性緩衝系を形成することができる同じ種類のカルボン酸側基を有する。これらのポリマーは、水溶性又は分散性であるか、又はヒドロゲルを水溶液で形成することができる。
【0034】
好ましいポリ酸は、ポリアルケニルアルコール又はジビニルグリコールと化学的に架橋され、商標名CARBOPOLで入手可能なアクリル酸の高分子量ポリマーである。各一次粒子は、架橋によって相互接続されたポリマー鎖の網状構造として見ることができ、その結果、最大で3億ダルトン~4億ダルトンの分子量を有するポリマーが得られる。架橋を伴わずに、一次粒子は、直鎖ポリマー鎖の集合であり、物理的に絡み合っているが、化学的に結合されない。これらのポリマーは、水中の元の体積の1,000倍まで膨潤し(元の直径の10倍)、6±0.5のpKaを超えるpH環境に曝露されたときにゲルを形成する。ポリマー主鎖上のカルボキシレート基は、ポリマーの膨潤に加わる負の粒子間の反発をもたらす。ゲルは、大量の膨潤したマイクロゲル粒子を含有し、不溶性粒子が捕捉され得る(懸濁され得る)間質空間を含有する。
【0035】
CARBOPOLポリマーマイクロゲルは、剪断によって容易に移動されるが、剪断が停止すると、マクロゲル構造は、すぐに再び形成される。これにより、撹拌又は圧送が停止すると即座に瞬間的な回収を伴って、非常に粘稠な懸濁液を容易に撹拌又は圧送することが可能になる。CARBOPOLポリマーは、水和されたとき及び中和されたときに膨潤し、コロイド状分散液を形成し、不溶性成分を捕捉する。
【0036】
好適なCARBOPOLポリマーとしては、CARBOPOL 974P NF、CARBOPOL 971P NF、及びCARBOPOL 71G NFポリマーとして入手可能なものが挙げられる。これらのうち、CARBOPOL 974P NFポリマーが特に好ましい。これは、高度に架橋され、マヨネーズと同様の高粘性ゲルを生成する。pH7でのCARBOPOL 974P NFポリマーの粘度は、20毎分回転(revolutions per minute、rpm)でのブルックフィールド粘度で測定して、0.2%の濃度にて10,000mPas、0.5%の濃度にて30,000mPas、1.0%の濃度にて60,000mPas、2.0%の濃度にて85,000mPasである。pH6とpH7とでのCARBOPOL 974P NFポリマーの粘度は、非常に近い。
【0037】
別の好適な架橋ポリ酸は、Lubrizol Advanced Materialsから商標名NOVEON AA-1 polycarbophil(ジビニルグリコールで架橋された高分子量アクリル酸ポリマー)で入手可能なものである。
【0038】
本開示の組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.5重量%の、カルボン酸側基を有する架橋ポリ酸を含む。本開示の組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、最大で3.0重量%、又は最大で1.5重量%の、カルボン酸側基を有する架橋ポリ酸を含む。
【0039】
多価カチオン塩
本開示の組成物中に使用するのに好適な多価カチオン塩としては、+2多価カチオン、+3多価カチオン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、多価カチオン塩は、+3多価カチオンを含む。所望であれば、このような塩の様々な組み合わせが使用されてもよい。
【0040】
塩中の好適な多価カチオンの例としては、Ca、Mg、Ba、Mn、Fe、Zn、Al、Cu、及びこれらの組み合わせから選択されるものが挙げられる。特定の実施形態では、多価カチオンは、Ca、Zn、Al、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、多価カチオンは、Al及びCaを含む。
【0041】
多価カチオン塩における好適な対イオンの例としては、塩化物、硝酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、及び硫酸塩から選択されるものが挙げられる。所望であれば、対イオンの様々な組み合わせが使用されてもよい。更に、塩はまた、その水和物も含み得る。
【0042】
特定の実施形態では、カルシウムを含む多価カチオン塩(すなわち、カルシウム塩)は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、カルシウムを含む多価カチオン塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0043】
特定の実施形態では、アルミニウムを含む多価カチオン塩(すなわち、アルミニウム塩)は、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、アルミニウムを含む多価カチオン塩は、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0044】
本開示の組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.025重量%、少なくとも0.05重量%、又は少なくとも0.1重量%の多価カチオン塩を含む。本開示の組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、最大で1.75重量%、最大で1.5重量%、又は最大で1.0重量%の多価カチオン塩を含む。
【0045】
活性剤-フッ化ナトリウム
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、活性剤としてフッ化ナトリウムを含む。特定の実施形態では、処置組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、少なくとも1.0重量%を含む。特定の実施形態では、処置組成物は、水性組成物の総重量に基づいて、最大で2.5重量%を含む。
【0046】
使用中、フッ化物放出組成物は、口腔に適用することができる。一実施形態では、フッ化物放出組成物は、典型的には、1本以上の歯に直接適用される。フッ化物放出組成物は、典型的には、治療有効量のフッ化物を放出するのに十分な時間、歯との接触が維持される。フッ化物放出組成物からのフッ化物の放出率は、例えば、本開示の実施例の項に記載の方法によって測定することができる。
【0047】
特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、5分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも30%(又は少なくとも40%、又は少なくとも50%)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、10分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも50%(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、20分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも80%(又は少なくとも90%、又は少なくとも95%)を放出する。
【0048】
特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、1分以内で、フッ化ナトリウムの最大で93%(又は最大で90%、又は最大で88%)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、3分以内で、フッ化ナトリウムの最大で97%(又は最大で95%、又は最大で94%)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、5分以内で、フッ化ナトリウムの最大で99%(又は最大で98%、又は最大で96%)を放出する。
【0049】
特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、10分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は98%以上、又は90%以上)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、15分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は99%以上、又は95%以上)を放出する。特定の実施形態では、本開示の処置組成物は、20分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は99%以上、又は98%以上)を放出する。
【0050】
更なる任意選択の活性剤
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物はまた、フッ化ナトリウムに加えて、1種以上の活性剤も含有することができる。含まれる場合、1種以上の更なる活性剤としては、常にではないが通常は、歯、歯肉、頬、舌、口蓋などの、障害、疾患、又は状態に対して口腔内で活性な1種以上の活性剤が挙げられる。
【0051】
使用され得る更なる活性剤の例としては、1種以上の他のフッ素含有化合物、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化亜鉛、フッ化カリウム亜鉛、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
使用され得る更なる活性剤の例としては、1種以上の増白剤、抗結石剤、再石灰化剤、第一スズ源、抗菌剤、抗酸化剤、唾液刺激剤、呼気清涼化剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、H拮抗薬、減感剤、栄養素、及びタンパク質が挙げられる。所望の場合、このような更なる活性剤の様々な組み合わせが使用されてもよい。使用される場合、1種以上の更なる活性剤は、典型的には、それらの意図される効果を達成するのに十分な量で使用されることになる。
【0053】
使用される場合、増白剤は、多様な、好適な増白剤であり得る。増白剤には、例えば、パーオキシド増白剤、非パーオキシド増白剤、又はその両方が挙げられる。パーオキシド増白剤としては、過酸化水素、アルカリ又はアルカリ土類金属の過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウムなど、過酸化水素グリセリル、過酸化水素アルキル、過酸化ジアルキル、パーオキシ酸又はパーオキシ酸塩、過酸化ベンゾイル、過酸化尿素などが挙げられる。過酸化水素が、最も一般的である。非パーオキシド増白剤としては、二酸化塩素、亜塩素酸、及び次亜塩素酸が挙げられる。亜塩素酸及び次亜塩素酸は、典型的には、アルカリ又はアルカリ土類金属塩の形態、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、又はバリウムの塩の形態にある。着色剤、二酸化チタン、及びヒドロキシアパタイトもまた、使用することができる。
【0054】
使用される場合、抗結石剤は、多様な、好適な抗結石剤であり得る。抗結石剤には、例えば、ホスフェート、ポリホスフェート、例えばピロホスフェート、スルホン酸ポリオレフィン、リン酸ポリオレフィン、ジホスホネート、ホスホノアルカンカルボン酸、及びこれらの塩、典型的にはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0055】
使用される場合、再石灰化剤は、多様な、好適な再石灰化剤であり得る。再石灰化剤としては、例えば、カルシウムイオン、リン含有イオン、又はその両方を放出する材料、例えば、リン酸カルシウム(例えば、リン酸モノカルシウム、リン酸ジカルシウム、及び/又はリン酸トリカルシウム)、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0056】
カルシウムイオンを放出する材料の例は、水溶性のカルシウム塩、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択されるものである。特定の実施形態では、カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0057】
カルシウム塩はまた、フッ化物放出プロファイルを調節するために使用され得る。
【0058】
使用される場合、第一スズ源は、多様な、好適なスズイオンの源であり得る。第一スズイオン源には、例えば、ハロゲン化第一スズ、有機第一スズカルボン酸塩、例えばギ酸第一スズ、酢酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、乳酸第一スズ、酒石酸第一スズ、及びクエン酸第一スズが挙げられる。フッ化物源がフッ化第一スズである場合、これはまた、第一スズ源としても機能することができる。
【0059】
使用される場合、抗菌剤としては、多様な、経口的に許容される抗菌剤が挙げられる。例としては、トリクロサン、8-ヒドロキシキノリン、亜鉛イオン、第一スズイオン、第二銅化合物、フタル酸及びその塩、第四級アンモニウム化合物、サンギナリン、サリチルアニリド、サリチル酸、チモール、オイゲノール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、クロロヘキシジンなどが挙げられる。
【0060】
使用される場合、抗酸化剤は、多様な、経口的に許容できる抗酸化剤であり得る。例としては、ブチル化ヒドロキシアニゾン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ビタミンA、カロテノイド、ビタミンE、フラボノイド、ポリフェノール、アスコルビン酸又はその塩、クロロフィル、メラトニンなどが挙げられる。
【0061】
使用される場合、唾液刺激剤は、多様な、経口的に許容される唾液刺激剤であり得る。例としては、クエン酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、アジピン酸、フマル酸、及び酒石酸が挙げられる。
【0062】
使用される場合、呼気清涼化剤は、多様な、経口的に許容可能な呼気清涼化剤であり得る。例としては、亜鉛塩、例えばグルコン酸亜鉛塩、クエン酸亜鉛塩、及び亜塩素酸亜鉛塩、α-イオノンなどが挙げられる。
【0063】
使用される場合、抗歯垢剤は、多様な、経口的に許容される抗歯垢剤であり得る。例としては、第一スズ塩、銅、マグネシウム又はストロンチウムの塩、ジメチコンコポリオール、例えば、セチルジメチコンコポリオール、パパイン、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、尿素、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、ポリアクリル酸ストロンチウムなどが挙げられる。抗歯垢剤の更なる例としては、バイオフィルム阻害剤、詳細には、米国特許第8,968,709号(Yang et al.)に記載されているものが挙げられる。
【0064】
使用される場合、抗炎症剤は、多様な、経口的に許容される抗炎症剤であり得る。例としては、ステロイド、例えばフルシノロン及びヒドロコルチゾン、非ステロイド抗炎症薬剤、例えばケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アセチルサリチル酸、サリチル酸、ジフルニサル、メクロフェナメート、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾンなどが挙げられる。
【0065】
使用される場合、H拮抗剤は、多様な、経口的に許容されるH拮抗剤であり得る。例としては、シメチジン、エチニジン、ラニチジン、チオチジン、ルピチジン、デネチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン、ラムチジン、ザルチジン、ニザチジン、ミフェンチジン、ラミキソチジン、ロキシチジン、ビスフェンチジン、サフォチジン、エブロチジン、イムプロミジンなどが挙げられる。
【0066】
使用される場合、減感剤は、多様な、経口的に許容される減感剤であり得る。例としては、クエン酸カリウム、塩化カリウム、酒石酸カリウム、重炭酸カリウム、シュウ酸カリウム、硝酸カリウム、ストロンチウム塩、アルギニン、アセチルサリチル酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、コデイン、アセトアミノフェンなどが挙げられる。
【0067】
使用される場合、栄養素は、多様な、経口的に許容される栄養素であり得る。例としては、ビタミン、例えばビタミンC、ビタミンD、チアミン、リボフラビン、葉酸、ニコチンアミド、ナイアシン、ピリドキシン、ビオフラボノイドなど、サプリメント、例えばアミノ酸、脂肪作用薬、魚油、多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、コエンザイムQ10、ユビキノン、カリウムなどのミネラルなどが挙げられる。
【0068】
使用される場合、タンパク質には、多様な、経口的に許容されるタンパク質が挙げられる。例としては、乳タンパク質、パーオキシド産生酵素、アミラーゼ、パパイン、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。
【0069】
緩衝剤
本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、薬学的に許容される緩衝剤を含む。このような緩衝剤の種類及び量は、少なくとも6、又は少なくとも6.5のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、最大で8、最大で7.5、又は最大で7のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。特定の実施形態では、このような緩衝剤の種類及び量は、6.5~7.5のpH、又は7.0のpHを有する処置組成物を提供するように選択される。多様な、好適な薬学的に許容される緩衝剤を挙げることができる。例としては、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、炭酸ナトリウム、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、酒石酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
増粘剤
特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、所望の適用方法を可能にする好適な粘度を有する組成物を提供するために、増粘剤を含む。例えば、反転されたマウスピーストレイアプリケータ内で最大で約4分間(専門的に適用されるフッ化物処置のための典型的な時間)組成物を維持するのに適切ではあるが、ただし歯科技師にとって許容される取り扱い特性を有する(例えば、歯科用トレイアプリケータ中に分配するとき)のに十分流体であるような、溶液粘度を達成するのに十分な量の好適な増粘剤を使用することができる。又は、十分な量にある好適な増粘剤を、歯表面上を塗るのに適切な溶液粘度を達成するために使用してもよい。
【0071】
特定の実施形態では、増粘剤の種類及び量は、1.0/秒の剪断速度で少なくとも0.5パスカル秒の粘度を有する処置組成物を提供するように選択される。特定の実施形態では、増粘剤の種類及び量は、1.0/秒の剪断速度で最大で500パスカル秒の粘度を有する処置組成物を提供するように選択される。
【0072】
特定の実施形態では、増粘剤は、処置組成物中に、水性組成物の総重量に基づいて2.5重量%未満の量で存在する。特定の実施形態では、増粘剤は、水性組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%の量で存在する。
【0073】
好適な増粘剤は、典型的には、ヒトの摂取に一般的に安全である(FDAが、内部使用について承認している)ものであり、フッ化物イオンに結合しないものであり、かつフッ化物イオンの生物学的利用能に有意に影響しないものである。
【0074】
特定の実施形態では、増粘剤は、天然ゴム、非酸セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、無機充填剤(例えば、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、チタニア、及び酸化亜鉛)、アルキレンオキシドポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー)、非酸変性デンプン、並びにこれらの組み合わせから選択される。
【0075】
任意選択の添加剤
特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、香味剤(すなわち、風味剤)及び甘味料を含む1種以上の任意選択の添加剤を含む。所望であれば、このような添加剤の様々な組み合わせが使用されてもよい。
【0076】
特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、甘味料を含む。多様な、経口的に許容される甘味料を使用することができる。一般的な甘味料としては、キシリトール、ソルビトール、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、通常はサッカリンナトリウムなどが挙げられる。存在する場合、甘味料は、任意の好適な量で、ほとんどの場合、組成物に心地よい甘味を付与するのに十分な量で使用することができる。その好適な量は、典型的には、水性組成物の総重量に基づいて0.5重量%~15重量%である。
【0077】
特定の実施形態では、本開示の水性口腔ケアフッ化物処置組成物は、香味剤を含む。多様な、経口的に許容される香味剤を使用することができる。一般的な香味剤としては、ペパーミント油、スペアミント油、サクランボ香味、クエン酸、オレンジ香味、バニラ、イチゴ香味、ココナツ香味、及び風船ガムの香味が挙げられる。存在する場合、香味剤は、任意の好適な量で、ほとんどの場合、組成物に所望の香味を付与するのに十分な量で使用することができる。その好適な量は、典型的には、水性組成物の総重量に基づいて1重量%~4重量%である。
【0078】
例示的な実施形態
実施形態1は、水性口腔ケアフッ化物処置組成物であって、0.1重量%~3.0重量%の、カルボン酸側基を有する架橋ポリ酸と、薬学的に許容される緩衝剤と、1.0重量%~2.5重量%のフッ化ナトリウムと、0.025重量%~1.75重量%の多価カチオン塩と、少なくとも60重量%の水とを含み、ここで、重量%は水性組成物の総重量に基づくものである、処置組成物である。
【0079】
実施形態2は、架橋ポリ酸が、0.5重量%~1.5重量%の量で存在する、実施形態1に記載の処置組成物である。
【0080】
実施形態3は、架橋ポリ酸が、1つ以上のカルボン酸基を有する1種以上のモノマーのホモポリマー又はコポリマーを含む、実施形態1又は2に記載の処置組成物である。
【0081】
実施形態4は、架橋ポリ酸が、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルエーテル、アルキルアクリレート、糖、及びこれらの組み合わせのホモポリマー又はコポリマーを含む、実施形態3に記載の処置組成物である。
【0082】
実施形態5は、架橋ポリ酸が、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、(C10~C30)アルキルアクリレート、及びこれらの組み合わせのホモポリマー又はコポリマーを含む、実施形態4に記載の処置組成物である。
【0083】
実施形態6は、架橋ポリ酸が、架橋ポリアクリル酸ホモポリマーを含む、実施形態5に記載の処置組成物である。
【0084】
実施形態7は、架橋ポリ酸が、アリルスクロース、アリルペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ポリアルケニルアルコール、ジビニルグリコール、及びこれらの組み合わせから選択される架橋剤を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0085】
実施形態8は、ポリアクリル酸が、アリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋されている、実施形態7に記載の処置組成物である。
【0086】
実施形態9は、0.5重量%でのpH7.5緩衝剤中の架橋ポリ酸が、4,000~100,000cPの粘度を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0087】
実施形態10は、多価カチオン塩が、+2多価カチオン、+3多価カチオン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0088】
実施形態11は、多価カチオン塩が、Ca、Mg、Ba、Mn、Fe、Zn、Al、Cu、及びこれらの組み合わせから選択される多価カチオンを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0089】
実施形態12は、多価カチオン塩が、Ca、Zn、Al、及びこれらの組み合わせから選択される多価カチオンを含む、実施形態11に記載の処置組成物である。
【0090】
実施形態13は、多価カチオン塩が、Al及びCaを含む、実施形態12に記載の処置組成物である。
【0091】
実施形態14は、多価カチオン塩が、塩化物塩、硝酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、硫酸塩、これらの水和物、及びこれらの組み合わせを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0092】
実施形態15は、カルシウムを含む多価カチオン塩が、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態11~14のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0093】
実施形態16は、カルシウムを含む多価カチオン塩が、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態15に記載の処置組成物である。
【0094】
実施形態16は、アルミニウムを含む多価カチオン塩が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、これらの水和物、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態11~16のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0095】
実施形態17は、多価カチオン塩が、0.05重量%~1.5重量%、又は0.1重量%~1.0重量%の総量で存在する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0096】
実施形態18は、増粘剤を更に含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0097】
実施形態19は、増粘剤が、1.0/秒の剪断速度で0.5~500パスカル秒の粘度を有する組成物を提供するのに十分な量で存在する、実施形態18に記載の処置組成物である。
【0098】
実施形態20は、増粘剤が、少なくとも0.5重量%で2.5重量%未満の量で存在する、実施形態18又は19に記載の処置組成物である。
【0099】
実施形態21は、増粘剤が、天然ゴム、非酸セルロース誘導体、無機充填剤、アルキレンオキシドポリマー、非酸変性デンプン、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態18~20のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0100】
実施形態22は、6~8のpH、又は6.5~7.5のpHを有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0101】
実施形態23は、6~7のpH、又は7.0のpHを有する、実施形態22に記載の処置組成物である。
【0102】
実施形態24は、担体液体(例えば、エタノール)として機能する、5重量%未満の有機溶媒を含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0103】
実施形態25は、5分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも30%(又は少なくとも40%、又は少なくとも50%)を放出する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0104】
実施形態26は、10分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも50%(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%)を放出する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0105】
実施形態27は、20分以内で、フッ化ナトリウムの少なくとも80%(又は少なくとも90%、又は少なくとも95%)を放出する、実施形態1~26のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0106】
実施形態28は、1分以内で、フッ化ナトリウムの最大で93%(又は最大で90%、又は最大で88%)を放出する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0107】
実施形態29は、3分以内で、フッ化ナトリウムの最大で97%(又は最大で95%、又は最大で94%)を放出する、実施形態1~28のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0108】
実施形態30は、5分以内で、フッ化ナトリウムの最大で99%(又は最大で98%、又は最大で96%)を放出する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0109】
実施形態31は、10分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は98%以上、又は90%以上)を放出する、実施形態1~30のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0110】
実施形態32は、15分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は99%以上、又は95%以上)を放出する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0111】
実施形態33は、20分以内で、フッ化ナトリウムの100%(又は99%以上、又は98%以上)を放出する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0112】
実施形態34は、少なくとも70重量%(又は少なくとも80重量%)の水を含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0113】
実施形態35は、最大で96重量%(又は最大で90重量%)の水を含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0114】
実施形態36は、フッ化ナトリウムに加えて、1種以上の活性剤を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0115】
実施形態37は、1種以上の活性剤が、増白剤、抗結石剤、再石灰化剤、第一スズ源、抗菌剤、抗酸化剤、唾液刺激剤、呼気清涼化剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、H拮抗薬、減感剤、栄養素、タンパク質、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態36に記載の処置組成物である。
【0116】
実施形態38は、香味剤を更に含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0117】
実施形態39は、甘味料を更に含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の処置組成物である。
【0118】
実施形態40は、フッ化物を患者の歯表面に付与する方法であって、実施形態1~39のいずれか1つに記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0119】
実施形態41は、適用することが、処置組成物を患者の歯表面上に塗ることを含む、実施形態40に記載の方法である。
【0120】
実施形態42は、適用することが、処置組成物を歯科用トレイ中に分配することと、その中に処置組成物を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む、実施形態40に記載の方法である。
【0121】
実施形態43は、歯科用トレイが、歯科矯正用アライナ処置トレイを含む、実施形態42に記載の方法である。
【0122】
実施形態44は、それを必要とする患者におけるう歯の発生率を低減する方法であって、実施形態1~39のいずれか1つに記載の水性口腔ケアフッ化物処置組成物を患者の歯表面に適用することを含む、方法である。
【0123】
実施形態45は、適用することが、処置組成物を患者の歯表面上に塗ることを含む、実施形態44に記載の方法である。
【0124】
実施形態46は、適用することが、処置組成物を歯科用トレイ中に分配することと、その中に処置組成物を有するトレイを患者の歯表面に取り付けることとを含む、実施形態44に記載の方法である。
【0125】
実施形態47は、歯科用トレイが、歯科矯正用アライナ処置トレイを含む、実施形態46に記載の方法である。
【実施例
【0126】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載された特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、単に例示目的のみのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0127】
実施例
【表1】
【0128】
pH試験
pH試験を、較正後に標準pHメーターで実施した。pHメーターは、Fisher Scientific製のACCUMET model 15 pH meterとした。測定は、pHプローブを溶液中に挿入し、2分間待機し、pH値を記録することによって実施した。pH値を、実施例の表中に列挙した。
【0129】
フッ化物放出率試験
フッ化物放出率を、Mettler Toledo T70滴定機で測定した。Cole Parmerフッ化物電極を、フッ化物放出用の試料を毎日測定する前に、最初に、TISAB IIIを使用してフッ化物基準の百万分率(parts per million、ppm)で較正した(総イオン強度調整緩衝剤(Total Ionic Strength Adjustment Buffer、TISAB)III濃縮溶液は、フッ化物イオン選択性電極、Sigma Aldrichと共に使用する)。各実施例の組成物を、RINZL Plastic顕微鏡スライド上に、このスライドの両側で2.54cm、薄層でコーティングした。コーティングの総重量は、約0.045gとした。フッ化物測定器滴定カップに、MilliQ DI水45mLと、TISAB III濃縮物5mLとの混合物50mLを充填した。フッ化物イオン選択的電極を、希釈したTISAB III溶液の滴定カップ中に載置し、各試料を分析する前に、30秒間、測定器を平衡化させた。30秒後、クランプした試料を、希釈したTISAB III溶液50mLへと減らした。Mettler Toledo T70滴定機での30分間滴定中の種々の時点で、フッ化物放出率(fluoride release、mV)を測定した。フッ化物放出率を、フッ化物標準検量線に対して計算した。各実施例につき2回の滴定の平均を報告した。
【0130】
緩衝化CARBOPOLポリ酸溶液の調製:
リン酸水素二ナトリウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ性化学物質を、ガラス瓶内の脱イオン(DI)水に最初に溶解させて、透明な溶液を形成した。次いで、CARBOPOL 974P NFをガラス瓶に添加し、これをローラー混合して、わずかに粘稠でわずかに濁った溶液を形成した。pHを、標準pH測定器で測定した。4種の異なる緩衝化CARBOPOL溶液(buffered CARBOPOL solutions、BCS)を、表2に示す以下の配合で調製した。
【0131】
【表2】
【0132】
実施例の調製の手順
適切な量の緩衝化CARBOPOLポリ酸溶液をプラスチックボトルに加え、次いで、フッ化ナトリウム、キシリトール、香味/甘味料の計算量を、磁気撹拌しながら30分間プラスチックボトルに添加して、これらの化学物質を全て、水性の実施例の溶液に溶解した。多価カチオン塩を最初に別個のガラス瓶中でDI水に溶解させ、次いで、これらの塩溶液を、プラスチックボトル中のCARBOPOL溶液にゆっくりと添加した。混合物を磁気撹拌しながら1時間混合した。次いで、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyl ethyl cellulose、HEC)を実施例の溶液に添加し、これを磁気撹拌しながら更に30分間混合した。最後に、実施例の組成物をローラーミキサー上で1~2日間、更に混合して、粘稠な水性コーティング液を形成した。各実施例の総量を、グラム単位の量で、表3A~表3Eに示す。
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
【表5】
【0136】
【表6】
【0137】
【表7】
【0138】
【表8】
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】
【表11】
【0142】
本明細書に引用した特許、特許文献、及び刊行物の全開示は、それぞれが個別に組み込まれたかのごとく、それらの全体が参照により組み込まれる。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することのない、本開示に対する様々な改変及び変更が明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。